JP2014020941A - 大腸癌のマーカーおよびそれを用いた診断 - Google Patents

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Abstract

【課題】大腸癌の新規診断マーカーの提供。
【解決手段】被検者より採取した生体試料中の、配列番号1〜3のうちの少なくとも1つで表されるペプチドの量を測定する(好ましくは質量分析もしくは該ペプチドを特異的に認識する抗体を用いて測定する)ことを特徴とする、該被検者における大腸癌の診断のための検査方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、大腸癌の新規診断マーカー、並びにそれを利用した大腸癌の診断方法等に関する。
大腸癌は大腸(盲腸、結腸、直腸)に発生する癌腫であり、米国では3番目に多い癌であり、癌死の原因としては2番目に多く、生涯における罹患率は約7%にのぼっている。我が国でも、胃癌を抜き、肺癌に次いで多い癌となっている。大腸癌は、早期に診断と治療が行われれば治癒が十分に望める病気である。したがって、発症リスク要因の改善等よりも、むしろ早期発見を心がけることの方が重要である。
大腸癌の検診としては、便潜血検査が最も一般的であるが、早期癌では約半数、進行癌でも1割程度が偽陰性となり、見落とされる可能性があるので、できるだけ大腸内視鏡による精度の高い検診を受けることが望ましい。
しかし、大腸内視鏡検診は、十分な技術を持った内視鏡専門医が行わないと非常な苦痛を伴う場合があるが、そのような優れた専門医の数は十分とはいえない。また、検査前に大量の下剤を服用して腸内を洗浄しなければならず、被検者にとっては負担が大きい。したがって、より簡便に、精度の高い大腸癌診断または検出を可能にする新規な手法が切望されている。
生体内のタンパク質発現を網羅的に解析するプロテオミクス研究の進展に伴い、プロテオミクスを利用した新規バイオマーカーの探索が精力的に行われている。いくつかの癌患者の血清中の蛋白質分解産物パターンが調べられ、フィブリノペプチドA(FPA)およびそのフラグメント、フィブリノーゲンα鎖のフラグメント並びにITIH4のフラグメントが、前立腺癌、膀胱癌、乳癌で変動することが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、これらのペプチドと大腸癌との関連については何ら報告されていない。
ヴィラヌエヴァ(Villanueva)ら, 「ザ・ジャーナル・オヴ・クリニカル・インヴェスティゲーション(The Journal of Clinical Investigation)」, 第116巻(第1号), pp. 271-284(2006年)
本発明の目的は、大腸癌の新規診断マーカー、並びにそれを利用した大腸癌の有効な診断または検出方法を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、大腸癌患者から採取した血清を質量分析により調べた結果、健常人と比較して顕著にレベルが変動している3種のペプチドを見出し、これらのペプチドを大腸癌の診断マーカーとして新たに同定して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]被検者より採取した生体試料中の、(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチド; (b)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、連続する20個以上のアミノ酸の配列からなるペプチド;および(c)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜5個以上のアミノ酸が付加、欠失又は置換されているペプチド;からなる群より選択される1種以上のペプチドの量を測定することを特徴とする、該被検者における大腸癌の診断のための検査方法。
[2]生体試料が体液である、上記[1]記載の方法。
[3]体液が血液、血漿、血清、唾液、尿、髄液、骨髄液、胸水、腹水、関節液、涙液、眼房水、硝子体液およびリンパ液からなる群より選択される、上記[2]記載の方法。
[4]生体試料を質量分析にかけることを含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]患者から時系列で生体試料を採取し、該試料における各ペプチドの量の経時変化を調べることを特徴とする、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]大腸癌患者における治療効果の評価のための検査方法であって、治療が施される前後に該患者から採取した生体試料における、(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチド;(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、連続する20個以上のアミノ酸の配列からなるペプチド;および(c)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜5個以上のアミノ酸が付加、欠失又は置換されているペプチド;からなる群より選択される1種以上のペプチドの量の変化を調べることを特徴とする方法。
[7](a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチド;(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、連続する20個以上のアミノ酸の配列からなるペプチド;および(c)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜5個以上のアミノ酸が付加、欠失又は置換されているペプチド;からなる群より選択されるペプチドを含む大腸癌のバイオマーカー。
[8]配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチドを含む大腸癌のバイオマーカー。
[9](a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチド;(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、連続する20個以上のアミノ酸の配列からなるペプチド;および(c)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜5個以上のアミノ酸が付加、欠失又は置換されているペプチド;からなる群より選択されるペプチドからなる大腸癌のバイオマーカー。
[10]配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチドからなる大腸癌のバイオマーカー。
[11]大腸癌の診断のための検査方法であって、
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチド;
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、連続する20個以上のアミノ酸の配列からなるペプチド;および
(c)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜5個以上のアミノ酸が付加、欠失又は置換されているペプチド;
からなる群より選択されるペプチドを特異的に認識する抗体を用いた方法。
[12]抗体を含む大腸癌診断剤であって、当該抗体が、(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチド;(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、連続する20個以上のアミノ酸の配列からなるペプチド;および(c)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜5個以上のアミノ酸が付加、欠失又は置換されているペプチド;からなる群より選択されるペプチドを特異的に認識する抗体である、大腸癌診断剤。
[13]抗体を含む大腸癌診断キットであって、当該抗体が、
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチド;
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、連続する20個以上のアミノ酸の配列からなるペプチド;および
(c)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜5個以上のアミノ酸が付加、欠失又は置換されているペプチド;
からなる群より選択されるペプチドを特異的に認識する抗体である、大腸癌診断キット。
本発明によれば、大腸癌を迅速・的確に判定できるので、該疾患の早期発見、早期治療、大腸がん治療の創薬標的分子のスクリーニング、および/またはコンパニオン診断薬としての利用が可能となる。
BLOTCHIP(登録商標)-MS法で解析された検体グループを示す表である。 実施例1で得られたバイオマーカーペプチド3種の質量分析における分子量、親タンパク質名、親タンパク質から切り出されたアミノ酸配列部分の番号、アミノ酸配列、ROC解析によるAUC(濃度曲線下面積)値(「健常者群(グループ1)」と「進行がん群(グループ4)及び「進行がん+転移群(グループ5)」間のROC解析結果)を示す表である。 実施例1で得られたバイオマーカー(分子量約2773)の、全5群間でのピーク強度のプロットを示す図である。横軸は図1におけるのと同じグループ番号を示す。 (A)実施例1で得られたバイオマーカー(分子量約2773)の、健常群(グループ1と早期大腸がん群(グループ3)間でのピーク強度のプロット図と(B)ROC曲線図である。AUC値、感度(Sens;有病正診率)および特異度(Spec;無病正診率)を図4Aの上に示した。 実施例1で得られたバイオマーカー(分子量約3211)の、全5群間でのピーク強度のプロットを示す図である。横軸は図1におけるのと同じグループ番号を示す。 (A)実施例1で得られたバイオマーカー(分子量約3211)の、健常群(グループ1と早期大腸がん群(グループ3)間でのピーク強度のプロット図と(B)ROC曲線図(右)である。AUC値、感度(Sens;有病正診率)および特異度(Spec;無病正診率)を図6Aの上に示した。 実施例1で得られたバイオマーカー(分子量約3283)の、全5群間でのピーク強度のプロットを示す図である。横軸は図1におけるのと同じグループ番号を示す。 (A)実施例1で得られたバイオマーカー(分子量約3283)の、健常群(グループ1と早期大腸がん群(グループ3)間でのピーク強度のプロット図と(B)ROC曲線図(右)である。AUC値、感度(Sens;有病正診率)および特異度(Spec;無病正診率)を図8Aの上に示した。
本発明は、新規かつ有用な大腸癌の診断マーカーペプチドを提供する。
特に、以下の本発明の3種のペプチド1〜3は、ペプチド1〜ペプチド3の血清レベルは、大腸癌患者において、健常人と比較して顕著に下降していることが判明した:
ペプチド1:配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる。該アミノ酸配列は、ヒトフィブリノーゲンα鎖のN末端から576番目のセリン(S)から600番目のセリン(S)までの25個のアミノ酸からなるフラグメントに相当する。
ペプチド2:配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる。該アミノ酸配列は、ヒトフィブリノーゲンα鎖のN末端から576番目のセリン(S)から603番目のメチオニン(M)までの28個のアミノ酸からなるフラグメントに相当する。
ペプチド3:配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる。該アミノ酸配列は、ヒトフィブリノーゲンα鎖のN末端から576番目のセリン(S)から604番目のアラニン(A)までの29個のアミノ酸からなるフラグメントに相当する。
SSSYSKQFT SSTSYNRGDS TFESKS (配列番号1)
SSSYSKQFT SSTSYNRGDS TFESKSYKM (配列番号2)
SSSYSKQFT SSTSYNRGDS TFESKSYKMA (配列番号3)
ペプチド1、2および3は、質量分析による見かけの分子量が、それぞれ約2773、約3227、約3299である(図2)。ペプチド2および3の分子量が約3227、約3299であるのは、非修飾のアミノ酸配列の場合の分子量がそれぞれ約3211、約3283であるのに対し、酸素(O)が1つアミノ酸配列に付加されているためと考えられる。
本発明のペプチドには、このようにアミノ酸配列に酸素が付加されたものも包含される。分子量の実測値は、用いられる測定方法・測定機器に応じて若干変動し得る。したがって、これらの分子量における「約」とは、例えば、質量分析計を用いる方法による場合は、±0.5%、好ましくは±0.3%、より好ましくは±0.1%の誤差を含む意味で用いられる。
上記のペプチド1〜3が大腸癌の早期発見・早期治療のマーカーとして有用であるので、この3種のペプチドのアミノ酸残基の一部または全部を含むペプチドも同様に大腸癌のマーカーとなることが考えられる。ここでアミノ酸残基の一部とは、各ペプチドのアミノ酸残基のうち、連続する20個以上のアミノ酸を意味し、好ましくは連続する23個以上、より好ましくは連続する25個以上のアミノ酸を意味する。
本発明のペプチドは、上記3種のペプチドのアミノ酸配列の一部または全部のアミノ酸配列を有するぺプチドに加えて、上記3種のペプチドのアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するペプチドも含む。実質的に同一とは、上記3種のペプチドのアミノ酸配列と比較して、1個もしくは少数個のアミノ酸が修飾されているが、なお大腸癌の診断マーカーとなり得るものを意味する。ここで修飾とは、アミノ酸が欠失、付加、もしくは他のアミノ酸により置換されているか、またはこれらの組み合わせによりアミノ配列が変更されていることを意味する。さらに修飾には、糖鎖および/または脂肪酸の付加やリン酸化も含まれる。
ここで、少数個とは、例えば各ペプチドにおいて全アミノ酸数に対して約20%以下、好ましくは約10%以下を意味する。例えばペプチド1の場合、5個以下、好ましくは3個以下、より好ましくは2個以下を意味する。従って、本発明において実質的に同じアミノ酸配列には、1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個のアミノ酸が付加、欠失または置換されてもよく、なお大腸癌のマーカーと成りうるアミノ酸配列が包含される。例えば、被験対象となる患者が、本発明のペプチドのアミノ酸配列内に1もしくは2以上のアミノ酸の置換、欠失、挿入もしくは付加またはそれらの組合せを含む多型もしくはアレル変異を有する場合、検出すべきペプチドのアミノ酸配列は、「配列番号1、2および3で表される各アミノ酸配列において、当該多型もしくはアレル変異を有するアミノ酸配列」と解すべきであることは、当業者にとって自明である。
本発明はまた、上記のごとき種々のアミノ酸配列を有するペプチドの断片をも含む。これらの断片は、それが大腸癌の診断マーカーとして有用か否かに拘らず、抗体の製造のための免疫原として有用である。ここで、断片とは、上記アミノ酸配列中の連続する20個以上のアミノ酸を意味し、好ましくは連続する23個以上のアミノ酸、より好ましくは連続する25個以上のアミノ酸を意味する。
本発明はまた、大腸癌に罹患していると疑われる被検者由来の生体試料中の、1種以上の本発明のペプチドまたはその断片の量を測定することによる、該被検者における大腸癌の診断のための検査方法を提供する。ここで「診断のための検査」とは、該ペプチド量の測定および必要に応じた対照サンプルにおける測定値との比較を意味する。「大腸癌に罹患していると疑われる被検者」は、被検者本人が主観的に疑いを抱く者(何らかの自覚症状がある者に限らず、単に予防検診の受診を希望する者を含む)であっても、何らかの客観的な根拠に基づく者(例えば、従来公知の臨床検査(例、便潜血検査)および/または診察の結果、大腸癌への合理的な罹患可能性があると医師が判断した者)であってもよい。特に、本発明のペプチドまたはその断片は、病期分類(1997年、UICC)のうちの早期症例においても、健常人と有意差をもって生体レベルが変動することから、本発明のペプチドまたはその断片を指標とする定期診断を採用することにより、大腸癌の早期発見・早期治療に寄与し得る可能性がある。
測定対象となるペプチドまたはその断片は、上記3種の本発明のペプチドまたはその断片から選択される限り特に制限はない。また、測定精度を高めるために、本発明のペプチドまたはその断片を含む限り、本発明のペプチドまたはその断片以外の大腸癌マーカーとなりうる1種以上の生体物質の量を、さらに測定してもよい。そのような生体物質としては、例えば、癌胎児性抗原(CEA)、糖鎖抗原(例、シアリルルイスAグループ、Xグループ、Tnグループ)、ムチン抗原グループなどが挙げられる。
被験試料となる被検者由来の生体試料は特に限定されないが、被検者への侵襲が少ないものであることが好ましく、例えば、血液、血漿、血清、唾液、尿、涙液など生体から容易に採取できるものや、髄液、骨髄液、胸水、腹水、関節液、眼房水、硝子体液など比較的容易に採取されるものが挙げられる。 血清や血漿を用いる場合、常法に従って被検者から採血し、液性成分を分離することにより調製することができる。検出対象である本発明のペプチドは必要に応じて、スピンカラムなどを用いて、予め高分子量の蛋白質画分などを分離除去しておくこともできる。
生体試料中の、本発明のペプチドまたは断片の検出は、例えば、生体試料を各種の分子量測定法、例えば、ゲル電気泳動や、各種の分離精製法(例:イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーなど)、表面プラズモン共鳴法、イオン化法(例:電子衝撃イオン化法、フィールドディソープション法、二次イオン化法、高速原子衝突法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法、エレクトロスプレーイオン化法など)、および質量分析計(例:二重収束質量分析計、四重極型分析計、飛行時間型質量分析計、フーリエ変換質量分析計、イオンサイクロトロン質量分析計、免疫質量分析計、安定同位体ペプチドまたは断片を内部標準にした質量分析計など)を組み合わせる方法等に供し、該ペプチドまたは断片の分子量と一致するバンドもしくはスポット、あるいはピークを検出することにより行うことができるが、これらに限定されない。
本発明のペプチドまたは断片を精製してそれらを認識する抗体を作製し、ELISA, RIA,イムノクロマト法、ウェスタンブロッティング、免疫質量分析法や各種イムノアッセイにより該ペプチドを検出する方法もまた、好ましく用いられ得る。さらに上記方法のハイブリッド型検出法も有効である。
本発明の検査方法における特に好ましい測定法の1つは、飛行時間型質量分析に使用するプレートの表面に被験試料を接触させ、該プレート表面に捕捉された成分の質量を飛行時間型質量分析計で測定する方法が挙げられる。飛行時間型質量分析計に適合可能なプレートは、検出対象である本発明のペプチドまたは断片を効率よく吸着し得る表面構造(例:官能基付加ガラス、Si、Ge、GaAs、GaP、SiO2、SiN4、改質シリコン、種々のゲルまたはポリマーのコーティング)を有している限り、いかなるものであってもよい。
好ましい実施態様においては、質量分析用プレートとして用いられる支持体は、ポリビニリデンジフロリド(PVDF)、ニトロセルロースまたはシリカゲル、特に好ましくはPVDFで薄層コーティングされた基材である(WO 2004/031759を参照)。かかる基材は、質量分析用プレートにおいて使用されているものであれば、特に限定されず、例えば、絶縁体、金属、導電性ポリマー、それらの複合体などが挙げられる。かかるPVDFで薄層コーティングされた質量分析用プレートとして、好ましくはプロトセラ社のブロットチップ(BLOTCHIP,登録商標)などが挙げられる。代わりに、質量分析用プレートは、支持体表面を塗布、噴霧、蒸着、浸漬、印刷、スパッタリング等の公知の手段でコーティングすることにより、公知の方法により調製することもできる。また、質量分析用プレート上の分子を質量分析する方法自体は公知である(例えばWO 2004/031759)。WO 2004/031759に記載の方法を、必要に応じて適宜改変して使用することができる。
被験試料の質量分析用プレート(支持体)への移行は、被験試料となる被検者由来の生体試料を未処理のままで、あるいは抗体カラムその他の方法で高分子タンパク質を除去、濃縮した後に、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動もしくは等電点電気泳動に付し、泳動後ゲルをプレートと接触させて転写(ブロッティング)することにより行われる。転写の方法自体は公知であり、好ましくは電気転写が用いられる。電気転写時に使用する緩衝液としては、pH 7〜9、低塩濃度の公知の緩衝液を用いることが好ましい(例えばトリス緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酢酸緩衝液など)。
上記の方法により支持体表面上に捕捉された被験試料中の分子を質量分析することにより、分子量に関する情報から、標的分子である本発明のペプチドまたは断片の存在および量を同定することができる。質量分析装置からの情報を、任意のプログラムを用いて、非大腸癌患者もしくは健常人由来の生体試料における質量分析データと比較して、示差的な(differential)情報として出力させることも可能である。そのようなプログラムは周知であり、また、当業者は、公知の情報処理技術を用いて、容易にそのようなプログラムを構築もしくは改変することができることが理解されよう。
高精度な質量分析結果を得るためには、標的分子の安定同位体標識ペプチドを合成して、それを既知量の内部標準品として被験試料に混合し、プロトセラ社のBLOTCHIP(登録商標)システムを用いて測定することでCV値が5%以下の実測データを取得できる。もちろんBLOTCHIP(登録商標)システム以外の質量分析システムでも質量分析が実施可能であり、この方法は抗体を使用しない診断装置として臨床使用できる。
上記の質量分析による検出において、タンデム質量分析(MS/MS)法を用いてペプチドを同定することができ、かかる同定法としては、MS/MSスペクトルを解析してアミノ酸配列を決定するde novo sequencing法と、MS/MSスペクトル中に含まれる部分的な配列情報(質量タグ)を用いてデータベース検索を行い、ペプチドを同定する方法等が挙げられる。また、MS/MS法を用いることにより、直接本発明のペプチドのアミノ酸配列を同定し、該配列情報に基づいて該ペプチドの全部もしくは一部を合成し、これを以下の抗体に対する抗原(ハプテン)として利用することもできる。
本発明のペプチドまたは断片の測定は、それに対する抗体を用いて行うこともできる。よって、本発明は、ペプチドまたは断片を特異的に認識する抗体を用いた大腸癌の診断のための検査方法、かかる抗体を含む抗体を含む大腸癌診断剤、ならびにかかる抗体を含む大腸癌診断キットを含む。かかる検査方法は、最適化されたイムノアッセイ系を構築してこれをキット化すれば、上記質量分析装置のような特殊な装置を使用することなく、高感度かつ高精度に該ペプチドを検出することができる点で、特に有用である。
本発明のペプチドまたは断片に対する抗体は、例えば、本発明のペプチドまたは断片を、これを発現する患者由来の生体試料から単離・精製し、該ペプチドまたは断片を抗原として動物を免疫することにより調製することができる。あるいは、得られるペプチドまたは断片の量が少量である場合は、RT-PCRによる該ペプチドまたは断片をコードするcDNA断片の増幅等の周知の遺伝子工学的手法によりペプチドまたは断片を大量に調製することができ、あるいはかかるcDNAを鋳型として、無細胞転写・翻訳系を用いて本発明のペプチドまたは断片を取得することもできる。さらに有機合成法により大量に調製することも可能である。
本発明のペプチドまたは断片に対する抗体(以下、「本発明の抗体」と称する場合がある)は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれであってもよく、周知の免疫学的手法により作製することができる。また、該抗体は完全抗体分子だけでなくそのフラグメントをも包含し、例えば、Fab、F(ab')2、ScFv、およびminibody等が挙げられる。
例えば、ポリクローナル抗体は、本発明のペプチドまたはその断片を抗原として、市販のアジュバント(例えば、完全または不完全フロイントアジュバント)とともに、動物の皮下あるいは腹腔内に2〜3週間おきに2〜4回程度投与し、最終免疫後に全血を採取して抗血清を精製することにより取得できる。抗原を投与する動物としては、ラット、マウス、ウサギ、ヤギ、モルモット、ハムスターなど、目的の抗体を得ることができる哺乳動物が挙げられる。
また、モノクローナル抗体は、細胞融合法により作成することができる。モノクローナル抗体を調製するための技法の説明は、Stites et al, Basic and Clinical Immunology. (Lang Medical Publications Los Altos. CA. 4th Edition) and references therein, 、in particular Koehler, G. & Milstein, C. Nature 256, 495-497 (1975).に見出され得る。例えば、本発明のペプチドまたはその断片を市販のアジュバントと共にマウスに2〜4回皮下あるいは腹腔内に投与し、最終投与後に脾臓あるいはリンパ節を採取し、白血球を採取する。この白血球と骨髄腫細胞(例えば、NS-1, P3X63Ag8など)を細胞融合して該ペプチドまたは断片に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得る。所望のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、周知のEIAまたはRIA法等を用いて抗原と特異的に結合する抗体を、培養上清中から検出することにより選択できる。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養は、インビトロ、またはマウスもしくはラット、このましくはマウス腹水中等のインビボで行うことができ、抗体はそれぞれハイブリドーマの培養上清および動物の腹水から取得することができる。
抗体を用いる本発明の検査方法は、特に制限されるべきものではなく、被験試料中の抗原量に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法等が好適に用いられる。測定に際し、抗体または抗原は、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、または発光物質等の標識剤と結合され得る。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン-アビジン系を用いることもできる。これら個々の免疫学的測定法は、当業者の通常の技能により、本発明の定量方法に適用可能である。
本発明のペプチドはタンパク質分解産物からなるため、未分解のタンパク質や、切断部位が共通の類似ペプチド等様々な分子が測定値に影響を与える可能性がある。そこで、第1工程において、生体試料を抗体により免疫アフィニティ精製し、抗体に結合したフラクションを、第2工程において質量分析に付し、精緻な分子量を基準に同定、定量する、いわゆる免疫質量分析法を利用することができる(例えば、Rapid Commun. Mass Spectrom. 2007, 21: 352-358を参照)。免疫質量分析法によれば、未分解のタンパク質も類似ペプチドも、質量分析計で完全に分離され、バイオマーカーの正確な分子量を基準に高い特異性と感度で定量が可能となる。
あるいは、本発明の抗体を用いる別の本発明の検査方法として、該抗体を上記したような質量分析計に適合し得るチップの表面上に固定化し、該チップ上の該抗体に被検試料を接触させ、該抗体に捕捉された生体試料成分を質量分析にかけ、該抗体が認識するマーカーペプチドまたは断片の分子量に相当するピークを検出する方法が挙げられる。
上記のいずれかの方法により測定された被検者由来試料中の本発明のペプチドのレベルが、非大腸癌患者もしくは健常人由来の対照試料中の該ペプチドレベルに比べて有意に変動している場合、該被検者は大腸癌に罹患している可能性が高いと診断することができる。
より具体的には、本発明のペプチドがペプチド1〜3のいずれかであり、試料中の該ペプチドのレベルが、対照試料中の該ペプチドレベルに比べて有意に下降している場合、該被検者は大腸癌に罹患している可能性が高いと診断することができる。
本発明のペプチドまたは断片、より具体的には本発明の3種のペプチドは、それぞれ単独でも大腸癌の診断マーカーとして利用することができるが、2種以上を組み合わせることにより、感度(有病正診率)および特異度(無病正診率)をより高めることができる。
2もしくは3種の本発明のペプチドをマーカーとして用いる場合、集団学習法により判定するか、あるいは相当サンプル数の既知大腸癌患者および非大腸癌対照由来試料中の各ペプチドの測定値を2次元もしくは3次元座標にプロットして散布図を作成することにより、大腸癌と非大腸癌とがどの領域に分布するかを可視化し、次いで、被検者由来試料中の各ペプチドの測定値を該散布図上にプロットすることにより、被検者が大腸癌に罹患しているか否かを容易に判定することができる。散布図に基づいて各ペプチドのカットオフ値を決定し、被検者由来試料中の各ペプチドの測定値をこれと比較することによっても判定が可能である。
本発明の検査方法は、患者から時系列で生体試料を採取し、各試料における本発明のペプチドの発現の経時変化を調べることにより行うこともできる。生体試料の採取間隔は特に限定されないが、患者のQOLを損なわない範囲でできるだけ頻繁にサンプリングすることが望ましく、例えば、血漿もしくは血清を試料として用いる場合、約1分〜約1週間の間隔で採血を行うことが好ましい。本発明のペプチド1〜3は、大腸癌が進行するに従って血清・血漿レベルが低下する傾向にある。従って、これらのマーカーのレベルが経時的に上昇した場合には、該患者における大腸癌が改善されている可能性が高いと判定することができる。
さらに、上記時系列的なサンプリングによる大腸癌の検査方法は、前回サンプリングと当回サンプリングとの間に、被検者である患者に対して該疾患の治療措置が講じられた場合に、当該措置による治療効果を評価するのに用いることができる。即ち、治療の前後にサンプリングした試料について、治療後の状態が治療前の状態と比較して病態の改善が認められると判定された場合に、当該治療の効果があったと評価することができる。一方、治療後の状態が治療前の状態と比較して病態の改善が認められない、あるいはさらに悪化していると判定された場合には、当該治療の効果がなかったと評価することができる。
従って、本発明のペプチドまたはその断片は、大腸がんを診断または検出するマーカーのみならず、大腸癌の予後を予測するマーカー、ならびに治療効果判定のエンドポイントのためのマーカーともなり得る。さらに、本発明のペプチドまたはその断片ならびに方法は、大腸がん治療の創薬標的分子のスクリーニングに、および/または患者の選別もしくは薬の投与量の調節のために治療薬と併用されるコンパニオン診断薬に使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されないことは言うまでもない。
本明細書中に引用されているすべての特許出願および文献の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
実施例1 BLOTCHIP(登録商標)を用いたプロファイリング解析
大腸癌患者17例(進行大腸癌(Group 4)および進行大腸癌かつ遠隔転移あり(Group 5))の血清並びに健常人(Group 1)21例の血清1.5μLを電気泳動用サンプル処理液(NuPAGE(登録商標)LDS Sample Buffer 4x ;Invitrogen)4.5μLと混合し70℃で10分間、加熱処理した後、4-12%グラジェントポリアクリルアミドゲル(Invitorigen)にアプライし電気泳動を行った。電気泳動終了後、ゲルを切り出しBLOTCHIP(登録商標)(Protosera, Inc.)に積層し電気転写用バッファー(BLOTBufferTM;Protosera, Inc.)中で90mA、120分間転写した。転写終了後、チップの表面を超純水でリンスし、チップ全体にマトリックス(α-Cyano-4-hydroxy cinamic acid)を塗布後、matrix-assisted laser desorption ionization time-of-flight (MALDI-TOF) mass spectrometer (Bruker Daltnics社製Ultra-FlexII)で質量分析を行った。測定パラメータは、Detector voltage 1685V, Supression1000, Laser Intensity は28〜35のFuzzyモードで、1チップあたり415点、1点あたり500回のレーザー照射で、総計207,500回レーザー照射を行った。得られたスペクトル中の各ピーク強度をM/z 毎に積算し、1個の積算スペクトルに変換した。積算スペクトルをClinProTools (Bruker Daltonik GmbH) を用いて、大腸癌患者血清と健常人血清の間でディファレンシャルプロファイリング解析を行い、ピーク強度や癌/正常のピーク比に関係なく、0.05以下のP値を与えるペプチド群を選択し、目視により不適当と思われるものを除外した結果、分子量約2773、3211および3283の3種のペプチドが大腸癌マーカーとして同定された(図1、図2)。図3、図5および図7は得られた3種のバイオマーカーの全5群間でのピーク強度を示し、図4A,B、図6A,Bおよび図8A,Bは得られた3種のバイオマーカーの、健常群(グループ1と早期大腸がん群(グループ3)間でのピーク強度のプロット図とROC曲線図とを示す。これらの結果から、早期大腸がん群では健常群と比較してピーク強度が顕著に低いことが理解され、3種のペプチドが特異的な大腸癌マーカーとして有用であることが示された。
実施例2 BLOTCHIP上でのde novoMS/MS解析によるペプチドの同定
図3〜8Bに示したペプチドのあったフラクションのスポットに対し、MALDI-TOF型質量分析計UltraflexII(Bruker Daltnics社製)のReflectorモードでモノアイソトピック質量[M+H]+を測定した。得られたモノアイソトピック質量[M+H]+をParent Massに指定して、Liftモード(PSD)でMS/MS測定を行った。測定結果をMASCOT Serverで検索し、MS/MS解析によりアミノ酸配列を決定し、ペプチドを同定した(図2)。
その結果、配列番号1で表されるアミノ酸番号576-600で示されるアミノ酸配列であるペプチド1、配列番号2で表されるアミノ酸番号576-603で示されるアミノ酸配列であるペプチド2、配列番号3で表されるアミノ酸番号576-604で示されるアミノ酸配列であるペプチド3がそれぞれ同定された。ホモロジー検索の結果、ペプチド1〜3は、いずれもフィブリノーゲンα鎖の分解産物であることが明らかとなった。
本発明の新規な大腸癌診断マーカーを利用した臨床検査方法は、大腸癌を迅速且つ的確に判断できるので、該疾患の早期発見、早期治療が可能となる点で有用である。

Claims (13)

  1. 被検者より採取した生体試料中の、
    (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチド;
    (b)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、連続する20個以上のアミノ酸の配列からなるペプチド;および
    (c)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜5個以上のアミノ酸が付加、欠失又は置換されているペプチド;
    からなる群より選択される1種以上のペプチドの量を測定することを特徴とする、該被検者における大腸癌の診断のための検査方法。
  2. 生体試料が体液である、請求項1記載の方法。
  3. 体液が血液、血漿、血清、唾液、尿、髄液、骨髄液、胸水、腹水、関節液、涙液、眼房水、硝子体液およびリンパ液からなる群より選択される、請求項2記載の方法。
  4. 生体試料を質量分析にかけることを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 患者から時系列で生体試料を採取し、該試料における各ペプチドの量の経時変化を調べることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 大腸癌患者における治療効果の評価のための検査方法であって、治療が施される前後に該患者から採取した生体試料における、
    (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチド;
    (b)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、連続する20個以上のアミノ酸の配列からなるペプチド;および
    (c)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜5個以上のアミノ酸が付加、欠失又は置換されているペプチド;
    からなる群より選択される1種以上のペプチドの量の変化を調べることを特徴とする方法。
  7. (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチド;
    (b)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、連続する20個以上のアミノ酸の配列からなるペプチド;および
    (c)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜5個以上のアミノ酸が付加、欠失又は置換されているペプチド;
    からなる群より選択されるペプチドを含む大腸癌のバイオマーカー。
  8. 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチドを含む、大腸癌のバイオマーカー。
  9. (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチド;
    (b)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、連続する20個以上のアミノ酸の配列からなるペプチド;および
    (c)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜5個以上のアミノ酸が付加、欠失又は置換されているペプチド;
    からなる群より選択されるペプチドからなる大腸癌のバイオマーカー。
  10. 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチドからなる大腸癌のバイオマーカー。
  11. 大腸癌の診断のための検査方法であって、
    (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチド;
    (b)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、連続する20個以上のアミノ酸の配列からなるペプチド;および
    (c)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜5個以上のアミノ酸が付加、欠失又は置換されているペプチド;
    からなる群より選択されるペプチドを特異的に認識する抗体を用いた方法。
  12. 抗体を含む大腸癌診断剤であって、当該抗体が、
    (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチド;
    (b)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、連続する20個以上のアミノ酸の配列からなるペプチド;および
    (c)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜5個以上のアミノ酸が付加、欠失又は置換されているペプチド;
    からなる群より選択されるペプチドを特異的に認識する抗体である、大腸癌診断剤。
  13. 抗体を含む大腸癌診断キットであって、当該抗体が、
    (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群より選択されるペプチド;
    (b)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、連続する20個以上のアミノ酸の配列からなるペプチド;および
    (c)配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、および配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜5個以上のアミノ酸が付加、欠失又は置換されているペプチド;
    からなる群より選択されるペプチドを特異的に認識する抗体である、大腸癌診断キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015199529A1 (en) * 2014-06-27 2015-12-30 University Of Malaya Method of diagnosis and/or discrimination of prostate cancer
JP2016148623A (ja) * 2015-02-13 2016-08-18 京都府公立大学法人 大腸がんの検出方法

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