JP2018163071A - 関節リウマチに関するペプチドマーカー - Google Patents

関節リウマチに関するペプチドマーカー Download PDF

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Abstract

【課題】関節リウマチの診断のための新規なマーカーペプチドの提供。
【解決手段】被験者における関節リウマチの検出方法は、被験者の生物試料中の、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチドを測定することを含む。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ペプチドマーカーを用いた関節リウマチの検出方法に関し、より詳細には、ペプチドマーカーを用いた関節リウマチの判定、治療薬が奏効する関節リウマチ患者(リスポンダー)の判定(コンパニオン診断法)、予防効果の判定、治療効果の判定、早期診断のための検査方法、早期治療のための検査方法、及び物質のスクリーニング方法に関する。
関節リウマチ治療は生物学的製剤の登場とともに予後が劇的改善し、関節炎をできるだけ速やかに鎮静化させて寛解導入し、寛解を長期間維持することを目指せる時代となってきた。しかし現状での関節リウマチ診療には下記のようないくつかの課題が残されている。
関節リウマチ治療は生物学的製剤の登場とともに予後が劇的改善し、関節炎をできるだけ速やかに鎮静化させて寛解導入し、寛解を長期間維持することを目指せる時代となってきた。しかし現状での関節リウマチ診療には、1)コストの高い生物学的製剤を効果的に応用するためにどのように薬剤を選択し、効果予測を行うか、2)関節破壊の進展する前の早期の寛解を可能とする、早期診断して治療を開始するための診断のツールの必要性、及び、3)T2T(Treat to Target, 目標達成に向けた治療)治療戦略を実践するための、MRIや超音波に代わる疾患活動性マーカーや寛解マーカーの必要性といった課題が残されている。
さらに、生物学的製剤の中止による再燃が認められ、未だ根本的な治療が達成できていない。すなわち、関節リウマチの治癒を目指すために、関節リウマチのさらなる病因解析と新たな分子標的を探求する事が残された最重要な研究課題である。
ヒトのゲノム配列の全容が解明してから10年以上経過し、数十万人規模のゲノム情報が得られ、関節リウマチ領域でも、国際共同研究コンソーシアムによるゲノムワイド関連解析(GWAS)が行われ、42の新規関節リウマチ感受性遺伝子領域を含む計101領域が同定された。しかし、関節リウマチはヘテロな原因により生じる多遺伝子疾患であり、転写翻訳やエピジェネティクスの影響もあり、遺伝子データのみでは、診断や疾患活動性指標や真の原因分子の探索は容易ではない。そこで、ポストゲノム時代として、蛋白、ペプチドが、疾患バイオマーカーに応用が期待される。
現在、12種類のバイオマーカーを基にした疾患活動性の新たな指標であるMBDA(multi-biomarker disease activity)であるVECTRA- DA(登録商標)が存在するが、既存の蛋白によるものであり、最近では生物学的製剤との相関性が低いことも明らかになっており、より正確でかつ病因に関連するマーカーが求められる。とくにIL-6受容体抗体であるtocilizumab投与ではCRPが陰性化し、CRPが疾患活動性(炎症)指標にならないため、新規マーカーは臨床上の有用性が高い。また、tocilizumab使用時の感染症診断の遅れを生じやすいが、CRPより感度の高い新規炎症マーカーがあれば、安全で有効性の高い治療が可能となる。
ペプチドームは、低分子量プロテオームを構成する。ペプチドーム解析は、20 kDa以下の低分子タンパク質および内在性ペプチドの系統的・包括的な分析を示す。ペプチドーム解析は、翻訳後の修飾(リン酸化、糖鎖形成など)も加えたゲノムと、トランスクリプトームから集められた情報をすべて含み、構造や物理化学的性質およびそれらの機能を含む生体システム内のすべてのタンパク質に関する大規模解析で、遺伝的・エピジェネティック的特徴を統合することにより、蛋白質生産と分解の動的変化を検知する。また、タンパク質の濃度およびそれらの翻訳後修飾の両方ともに、疾病進行中に変わる可能性があり、疾病にかかるかのリスクを明白に示し、かつ治療効果のモニタリングにも役立つ。
出願人であるプロトセラ社は、一次元電気泳動から質量分析(MALDI-TOF-MS)に至る工程を簡略化し、大量検体の高速処理が可能なMALDI-TOF-MS用の新しい測定板(BLOTCHIP(登録商標))を開発した(非特許文献1)。BLOTCHIP(登録商標)-MS法は、タンパク質に吸着したペプチドと遊離ペプチドの総量を測定できる唯一の方法で、吸着ペプチドはSDS存在下の電気泳動でタンパク質から離れ、遊離ペプチドと一緒にBLOTCHIP(登録商標)に電気転写される。その後、BLOTCHIP(登録商標)上の吸着ペプチドと遊離ペプチドをMALDI-TOF-MSで測定する。すなわち、タンパク質の除去や酵素消化等の前処理が不要で、従来は検出できなかった低濃度(フェムトモル〜ピコモル)で、MALDI- TOF(/TOF) による分子量1〜20 kDa領域ペプチドの一括探索と定量・配列解析まで対応できることになる。
Tanaka K.ら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 379, 110-114. (2009)
本発明の目的は、被験者の生物試料中のバイオマーカーペプチドの測定により関節リウマチを検出することにある。特には、患者の生物試料中のバイオマーカーペプチドの測定により、治療薬への応答性を検出することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、関節リウマチの患者の血清サンプルを調べたところ、5種類のバイオマーカー候補ペプチドを発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下の態様が提供される。
項1.被験者の生物試料中の、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチドを測定することを含む、該被験者における関節リウマチの検出方法。
項2.被験者の生物試料中の、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される2種又は3種のペプチドを測定することを含む、項1に記載の方法。
項3.前記生物試料が血液、血漿、血清、唾液、尿、髄液、骨髄液、胸水、腹水、関節液、汗、涙液、眼房水、硝子体液及びリンパ液からなる群より選択される体液からなる、項1又は2に記載の方法。
項4.生体試料を質量分析にかけることを含む、項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
項5.配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択されるペプチドを特異的に認識する抗体を用いる、項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
項6.前記関節リウマチの検出は、関節リウマチの判定、関節リウマチの予防効果の判定、関節リウマチの治療効果の判定、治療薬が奏効する関節リウマチ患者の判定、個々の関節リウマチ患者に奏効する治療薬の判定、関節リウマチの診断のための検査方法、又は関節リウマチの治療のための検査方法である項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
項7.配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチド又はそれらのフラグメントイオンが安定同位体で標識された内部標準品を備える関節リウマチの検出キット。
項8.配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチドに対する抗体を含む関節リウマチの検出キット。
項9.安定同位体で標識された、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチド又はそれらのフラグメントイオンを含む関節リウマチの検出剤。
項10.配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチドに対する抗体を検出試薬として含む関節リウマチの検出剤。
項11.被験者における関節リウマチの罹患可能性を判定するための、コンピュータにより実行される方法であって、被験者の生物試料中の、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチドについての定量的データを取得する工程と、
前記取得したデータを、前記1種又は2種以上のペプチドの関数である多変量ロジスティック回帰モデルに適用し、被験者における関節リウマチの罹患可能性の予測値を求める工程とを含む方法。
項12.配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される2種以上のペプチドの定量的データを取得し、前記取得したデータを、前記2種以上のペプチドの関数である多変量ロジスティック回帰モデルに適用する項11に記載の方法。
項13.配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチドの、関節リウマチを検出するためのマーカーとしての使用方法。
項14.配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチドの、治療薬へのリウマチ患者の応答性を検出するマーカーとしての使用方法。
本発明によれば、関節リウマチを迅速かつ極めて高い信頼性で判定できるため、該疾患の判定、治療薬が奏効する関節リウマチ患者(リスポンダー)の判定(コンパニオン診断法)、予防効果の判定、治療効果の判定、早期診断、早期治療のための検査方法、及び物質のスクリーニング方法が可能となる。
Baseline(黒色の丸印)、薬剤投与後4週間後(灰色の丸印)、及び薬剤投与1年後(白色の丸印)のBLOTCHIP(登録商標)-Msにより測定したペプチドのシグナル強度の値(横軸)に対するSID-SRM-MS分析により測定した血中濃度(縦軸)の相関を示す散布図。(A)はPDA018(ペプチド1)、(B)はPDA063(ペプチド2)、(C)はPDA066(ペプチド3)である。 (A)PDA018、(B)PDA063、及び(C)PDA066の3つのペプチドの血清レベル(縦軸)に対する血清調製に要する凝血時間(横軸)の影響。A−Lの8人の健常ボランティアの血清を、異なる凝血時間(白色バー:0.5時間、灰色バー:1時間、黒色バー2時間)で調製した。 (A)Baseline(黒色の丸印)、薬剤投与後4週間後(灰色の丸印)、及び薬剤投与1年後(白色の丸印)における予測値の時間依存的変化、(B)CDAIの時間依存的変化。Mann-Whitney U-検定。図中、***は統計学的に有意(p<0.001)であることを示す。
本発明は、新規かつ有用な関節リウマチの検出マーカーペプチド(以下、包括して「本発明のペプチド」という場合もある)を提供する。
なお、本明細書において、関節リウマチの「検出」には、関節リウマチの判定、治療薬が奏効する関節リウマチ患者(リスポンダー)の判定(コンパニオン診断法)、関節リウマチの予防効果の判定、関節リウマチの治療効果の判定、関節リウマチの診断(特には早期診断)のための検査方法、及び関節リウマチの治療(特には早期治療)のための検査方法が含まれる。関節リウマチの「判定」には、関節リウマチの有無を判定することのみならず、予防的に関節リウマチの罹患可能性を判定することや、治療後の関節リウマチの予後を予測すること、及び関節リウマチの治療薬の治療効果を判定することが含まれる。物質のスクリーニング方法には、関節リウマチの「検出」、「判定」及び「治療」に有用な物質のスクリーニング方法が含まれる。
本明細書において、「罹患」には「発症」が含まれる。
本明細書において、「治療」とは、疾患もしくは症状の治癒又は改善、或いは症状の抑制を意味し「予防」を含む。「予防」とは、疾患又は症状の発現を未然に防ぐことを意味する。
本明細書において、「ペプチド」とは、2個以上50個以下のアミノ酸が結合して形成された分子を指す。
本発明は、被験者の生物試料中の、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチドを測定することを含む、該被験者における関節リウマチの検出方法を包含する。
配列番号1から配列番号5までで表されるアミノ酸配列の解析結果から、これらのペプチドは、フィブリノペプチドA、血液凝固第I因子(フィブリノーゲン)、α−2−HS糖タンパク質、及び血液凝固第XIII因子(γグルタミルトランスフェラーゼ)の部分配列であることが判明した。本特許がカバーするペプチドとそれを使用した検査、判定、診断、診察、物質スクリーニング法は、従来のCDAI等の従来の関節リウマチの診断方法に代わりに従来の関節リウマチの診断方法と組み合わせて、関節リウマチの検出に適応可能である。
本発明の被験者における関節リウマチの検出方法に用いられるペプチドは、被験者の生物試料中に見出される、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。これらのペプチドの測定値は関節リウマチの罹患と相関する。配列番号1〜5のアミノ酸配列は以下の表1に示す通りである。
配列番号1〜5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの質量分析による見かけの分子量[M+H]+は、それぞれ約1616.66、約2659.26、約2755.52、約3277.46、約3949.98である。
本明細書において、「配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド」と言う場合、別途明記されていない限り、そのようなペプチドには、各アミノ酸が非修飾である配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドのみならず、アミノ酸の種類を維持したまま1又は複数のアミノ酸が修飾されている、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドも含まれる。そのような修飾には、酸素原子の結合による酸化、リン酸化、N−アセチル化、S−システイン化等が含まれる。「配列番号2〜5で表されるアミノ酸配列からなるペプチド」も同様に、別途明記されていない限り、各アミノ酸が非修飾又は修飾されているペプチドを包含するものとする。
さらに、本発明のペプチドの特定のアミノ酸の修飾の例としては、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの3番目(フィブリノペプチドAのN末端から22番目)のセリンのリン酸化、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの18番目(α−2−HS−糖タンパク質のN末端から358番目)のシステインの酸素による酸化、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの28番目(フィブリノーゲンα鎖のN末端から603番目)のメチオニンの酸素による酸化、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1番目(血液凝固第XIII因子A鎖のN末端から1番目)のセリンのN−アセチル化が挙げられる。 このような場合も、配列番号1〜5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである限り、本発明の範囲に包含される。なお、配列番号1〜5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの上記修飾体は、質量分析にて非修飾体と区別が可能であり、疾患の検出、判定及び治療等に、修飾ペプチド又は非修飾ペプチドのいずれを適切な状況で使用することも本発明の範囲に包含される。
本発明は、被験者の生物試料中の、上記の5個の本発明のペプチドのうちの1種、又は2種以上を測定することを含む、該被験者における関節リウマチの検出又は判定方法を包含する。
さらに好ましい一つの実施形態では、被験者における関節リウマチの検出又は判定方法は、被験者の生物試料中の、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される2種又は3種のペプチドを測定することを含む。
被験者には、関節リウマチに罹患していると疑われる患者が含まれ、「関節リウマチに罹患していると疑われる患者」は、被検者本人が主観的に疑いを抱く者(何らかの自覚症状がある者に限らず、単に予防検診の受診を希望する者を含む)であってもよいし、何らかの客観的な根拠に基づいて関節リウマチと判定又は診断された者(例えば、従来公知の臨床検査(例、関節に関する問診及び触診、血液検査、X線検査、及び米国及び欧州リウマチ学会の合同関節リウマチ分類基準(2010))及び/又は診察の結果、関節リウマチの合理的な罹患可能性があると医師が判断した者)であってもよい。「ペプチドを測定する」とはペプチドの濃度、量、又はシグナル強度を測定することを指す。
被験試料となる被検者由来の生体試料は特に限定されないが、被検者への侵襲が少ないものであることが好ましく、例えば、血液、血漿、血清、唾液、尿、涙液、汗など生体から容易に採取できるものや、髄液、骨髄液、胸水、腹水、関節液、眼房水、硝子体液、リンパ液など比較的容易に採取されるものが挙げられる。一実施形態では、生物試料が血液、血漿、血清、唾液、尿、髄液、骨髄液、胸水、腹水、関節液、涙液、汗眼房水、硝子体液及びリンパ液からなる群より選択される体液からなる。血清や血漿を用いる場合、常法に従って被検者から採血し、前処理を施さず直接、又は液性成分を分離することにより分析にかける被験試料を調製することができる。検出対象である本発明のペプチドは必要に応じて、抗体カラム、その他の吸着剤カラム、又はスピンカラムなどを用いて、予め高分子量の蛋白質画分などを分離除去しておくこともできる。
生体試料中の、本発明のペプチドの検出は、例えば、生体試料を各種の分子量測定法、例えば、ゲル電気泳動や、各種の分離精製法(例:イオン交換クロマトグラフィ、疎水性クロマトグラフィ、アフィニティークロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィなど)、表面プラズモン共鳴法、イオン化法(例:電子衝撃イオン化法、フィールドディソープション法、二次イオン化法、高速原子衝突法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法、エレクトロスプレーイオン化法など)、及び質量分析計(例:二重収束質量分析計、四重極型分析計、飛行時間型質量分析計、フーリエ変換質量分析計、イオンサイクロトロン質量分析計、免疫質量分析計、安定同位体ペプチドを内部標準にした質量分析計、安定同位体標識フラグメントイオンを内部標準品にしたMS-MS質量分析計、免疫顕微鏡計、質量顕微計など)を組み合わせる方法等に供し、該ペプチドの分子量と一致するバンドもしくは該ペプチドのフラグメントイオン、スポット、あるいはピークを検出することにより行うことができるが、これらに限定されない。
本発明のペプチドを精製してそれらを認識する抗体を作製し、ELISA, RIA,イムノクロマト法、表面プラズモン共鳴法、ウェスタンブロッティング、免疫質量分析法や各種イムノアッセイ、免疫顕微鏡法により該ペプチドを検出する方法もまた、好ましく用いられ得る。さらに上記方法のハイブリッド型検出法も有効である。
本発明の検出又は判定方法における特に好ましい測定法の1つは、飛行時間型質量分析に使用するプレートの表面に被験試料を接触させ、該プレート表面に捕捉された成分の質量を飛行時間型質量分析計で測定する方法が挙げられる。飛行時間型質量分析計に適合可能なプレートは、検出対象である本発明のペプチドを効率よく吸着し得る表面構造(例:官能基付加ガラス、Si、Ge、GaAs、GaP、SiO2、SiN4、改質シリコン、種々のゲル又はポリマーのコーティング)を有している限り、いかなるものであってもよい。
好ましい実施態様においては、質量分析用プレートとして用いられる支持体は、ポリビニリデンジフロリド(PVDF)、ニトロセルロース又はシリカゲル、特に好ましくはPVDFで薄層コーティングされた基材である(WO 2004/031759を参照)。かかる基材は、質量分析用プレートにおいて使用されているものであれば、特に限定されず、例えば、絶縁体、金属、導電性ポリマー、それらの複合体などが挙げられる。かかるPVDFで薄層コーティングされた質量分析用プレートとして、好ましくは株式会社プロトセラ社のブロットチップ(BLOTCHIP,登録商標)などが挙げられる。代わりに、質量分析用プレートは、支持体表面を塗布、噴霧、蒸着、浸漬、印刷、スパッタリング等の公知の手段でコーティングすることにより、公知の方法により調製することもできる。また、質量分析用プレート上の分子を質量分析する方法自体は公知である(例えばWO 2004/031759)。WO 2004/031759に記載の方法を、必要に応じて適宜改変して使用することができる。
被験試料の質量分析用プレート(支持体)への移行は、被験試料となる被検者由来の生体試料を未処理のままで、あるいは抗体カラムその他の方法で高分子タンパク質を除去、濃縮した後に、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動もしくは等電点電気泳動に付し、泳動後ゲルをプレートと接触させて転写(ブロッティング)することにより行われる。転写の方法自体は公知であり、好ましくは電気転写が用いられる。電気転写時に使用する緩衝液としては、pH 7〜9、低塩濃度の公知の緩衝液を用いることが好ましい(例えばトリス緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酢酸緩衝液など)。
上記の方法により支持体表面上に捕捉された被験試料中の分子を質量分析することにより、分子量に関する情報から、標的分子である本発明のペプチドの存在及び量を同定することができる。質量分析装置からの情報を、任意のプログラムを用いて、非罹患がん患者、処置後の患者(フォローアップ)、もしくは健常人由来の生体試料における質量分析データと比較して、示差的な(differential)情報として出力させることも可能である。そのようなプログラムは周知であり、また、当業者は、公知の情報処理技術を用いて、容易にそのようなプログラムを構築もしくは改変することができることが理解されよう。
高精度な質量分析結果を得るためには、高速液体クロマトグラフィに接続した三連四重極型等の質量分析装置を用いて分析する。標的分子の安定同位体標識ペプチドを合成して、それを既知量の内部標準品として被験試料に混合し、逆相固相担体等でペプチド画分の粗精製を実施する。高速液体クロマトグラフィに導入後、分離された各ペプチドは質量分析装置内でイオン化され、その後コリジョンセル内で断片化、得られたペプチドフラグメントをmultiple reaction monitoring法により定量する。この際、安定同位体標識ペプチドを内部標準として用いることでCV値が5%以下の実測データを取得できる。安定同位体標識ペプチドは、Cambridge Isotope Laboratory(MA, USA)より購入した安定同位体標識アミノ酸(アミノ酸a(13C6,15N2)は、安定同位体炭素(原子量13)6個と、安定同位体窒素(原子量15)2個で置換された質量数が元のアミノ酸より8原子量増加したアミノ酸aを例示)を元のアミノ酸の配列位置に置換して既存の合成法(たとえばF-mocによる固相反応)により得られる。質量分析は株式会社プロトセラ社のBLOTCHIP(登録商標)システムでも実施可能であり、これらの方法は抗体を使用しない検出装置として臨床使用できる。
上記の質量分析による検出において、タンデム質量分析(MS/MS)法を用いてペプチドを同定することができ、かかる同定法としては、MS/MSスペクトルを解析してアミノ酸配列を決定するde novo sequencing法と、MS/MSスペクトル中に含まれる部分的な配列情報(質量タグ)を用いてデータベース検索を行い、ペプチドを同定する方法等が挙げられる。また、MS/MS法を用いることにより、直接本発明のペプチドのアミノ酸配列を同定し、該配列情報に基づいて該ペプチドの全部もしくは一部を合成し、これを以下の抗体に対する抗原として利用することもできる。
本発明のペプチドの測定は、それに対する抗体を用いて行うこともできる。よって、本発明は、ペプチドを特異的に認識する抗体を用いた関節リウマチの検出又は判定方法、かかる抗体を含む関節リウマチの検出又は判定剤、ならびにかかる抗体を含む関節リウマチの検出又は判定キットを含む。かかる方法は、最適化されたイムノアッセイ系を構築してこれをキット化すれば、上記質量分析装置のような特殊な装置を使用することなく、高感度かつ高精度に該ペプチドを検出することができる点で、特に有用である。
本発明のペプチドに対する抗体は、例えば、本発明のペプチドを、これを発現する患者由来の生体試料から単離・精製し、該ペプチドを抗原として動物を免疫することにより調製することができる。あるいは、得られるペプチドの量が少量である場合は、RT-PCRによる該ペプチドをコードするcDNA断片の増幅等の周知の遺伝子工学的手法によりペプチドを大量に調製することができ、あるいはかかるcDNAを鋳型として、無細胞転写・翻訳系を用いて本発明のペプチドを取得することもできる。さらに有機合成法により大量に調製することも可能である。
本発明のペプチドに対する抗体(以下、「本発明の抗体」と称する場合がある)は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれであってもよく、周知の免疫学的手法により作製することができる。また、該抗体は完全抗体分子だけでなくそのフラグメントをも包含し、例えば、Fab、F(ab')2、ScFv、及びminibody等が挙げられる。
例えば、ポリクローナル抗体は、本発明のペプチドを抗原として、市販のアジュバント(例えば、完全又は不完全フロイントアジュバント)とともに、動物の皮下あるいは腹腔内に2〜3週間おきに2〜4回程度投与し、最終免疫後に全血を採取して抗血清を精製することにより取得できる。抗原を投与する動物としては、ラット、マウス、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、モルモット、ハムスターなど、目的の抗体を得ることができる哺乳動物が挙げられる。
また、モノクローナル抗体は、細胞融合法により作成することができる。モノクローナル抗体を調製するための技法の説明は、Stites et al, Basic and Clinical Immunology. (Lang Medical Publications Los Altos. CA. 4th Edition) and references therein, 、in particular Koehler, G. & Milstein, C. Nature 256, 495-497 (1975).に見出され得る。例えば、本発明のペプチドを市販のアジュバントと共にマウスに2〜4回皮下あるいは腹腔内に投与し、最終投与後に脾臓あるいはリンパ節を採取し、白血球を採取する。この白血球と骨髄腫細胞(例えば、NS-1, P3X63Ag8など)を細胞融合して該ペプチドに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得る。所望のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、周知のEIA又はRIA法等を用いて抗原と特異的に結合する抗体を、培養上清中から検出することにより選択できる。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養は、インビトロ、又はマウスもしくはラット、このましくはマウス腹水中等のインビボで行うことができ、抗体はそれぞれハイブリドーマの培養上清及び動物の腹水から取得することができる。
抗体を用いる本発明の検出又は判定方法は、特に制限されるべきものではなく、被験試料中の抗原量に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的又は物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法及びサンドイッチ法等が好適に用いられる。測定に際し、抗体又は抗原は、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、又は発光物質等の標識剤と結合され得る。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン-アビジン系を用いることもできる。これら個々の免疫学的測定法は、当業者の通常の技能により、本発明の定量方法に適用可能である。
本発明のペプチドはタンパク質分解産物からなるため、未分解のタンパク質や、切断部位が共通の類似ペプチド等様々な分子が測定値に影響を与える可能性がある。そこで、第1工程において、生体試料を抗体により免疫アフィニティ精製し、抗体に結合したフラクションを、第2工程において質量分析に付し、精緻な分子量を基準に同定、定量する、いわゆる免疫質量分析法を利用することができる(例えば、Rapid Commun. Mass Spectrom. 2007, 21: 352-358を参照)。免疫質量分析法によれば、未分解のタンパク質も類似ペプチドも、質量分析計で完全に分離され、バイオマーカーの正確な分子量を基準に高い特異度と感度で定量が可能となる。
あるいは、本発明の抗体を用いる別の本発明の検出又は判定方法として、該抗体を上記したような質量分析計に適合し得るチップの表面上に固定化し、該チップ上の該抗体に被検試料を接触させ、該抗体に捕捉された生体試料成分を質量分析にかけ、該抗体が認識するマーカーペプチドの分子量に相当するピークを検出する方法が挙げられる。
上記のいずれかの方法により測定された被検者由来試料中の本発明のペプチドのレベルが、非関節リウマチ患者、処置後の患者もしくは健常人由来の対照試料中の該ペプチドレベルに比べて有意に変動している場合、該被検者は関節リウマチに罹患している可能性が高いと判定することができる。
本発明のペプチドは、それぞれ単独でも関節リウマチの検出マーカーとして利用することができるが、2種以上を組み合わせることにより、感度(有病正診率)及び特異度(無病正診率)をより高めることができる。
2種以上のペプチドをマーカーとして用いる場合の検出手法としては、例えば、(1) 測定対象であるすべてのペプチドについてレベルが有意に変動する場合に関節リウマチに罹患していると判定し、いずれかのペプチドについてレベルが有意に変動しない場合に関節リウマチに罹患していないと判定する方法、(2) 測定対象であるすべてのペプチドについてレベルが有意に変動しない場合に関節リウマチに罹患していないと判定し、いずれかのペプチドについてレベルが有意に変動した場合に関節リウマチに罹患していると判定する方法、(3) 測定対象であるn個のペプチドのうち、例えば、2〜(n-1)個以上のペプチドについて、レベルが有意に変動する場合に関節リウマチに罹患していると判定する方法、さらに各ペプチド間で重みを持たせる方法、ならびに(4) バギング法、ブースティング法、ランダムフォレスト法などの機械学習法、などが考えられるが、特には複数のマーカーペプチドを1つのマーカーセットとして取り扱うことが出来る解析手法である多変量ロジスティック回帰分析を用いることが好ましい。この場合、マーカーとして用いるペプチドの数は特に限定されないが、好ましくは2種以上、より好ましくは3種、4種、又は5種である。
一つの実施形態において、上記の解析に用いられるペプチドは、配列番号1〜5で表されるアミノ酸配列からなる5種のペプチドのうちの少なくとも1種であり、好ましくは2種以上である。
好ましい実施形態において、上記の解析に用いられるペプチドは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドのうちの少なくとも1種であり、好ましくは2種以上、より好ましくは3種である。
本願では、質量分析により特定された候補ペプチドの多変量ロジスティック回帰モデルを最尤法により構築したところ、ROCの曲線下面積(AUC)が高い(3つのマーカーペプチドで0.85を超える)極めて信頼性の高い関節リウマチの検出又は判定が可能であることを見出した。 検出又は測定されるペプチドの数は、本発明の検査方法におけるAUCが或る閾値を超える値となる数であることが好ましい。通常、閾値は0.9である。例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの血中濃度の関数であるロジスティック回帰モデルによれば、特異度に対して感度をプロットしたROCの曲線下面積(AUC)が0.85を超え(特には0.9を超え)、極めて高い精度で関節リウマチを検出することができる。
本発明の検出方法は、患者から時系列で生体試料を採取し、各試料における本発明のペプチドの発現の経時変化を調べることにより行うこともできる。生体試料の採取間隔は特に限定されないが、患者のQOLを損なわない範囲でできるだけ頻繁にサンプリングすることが望ましく、例えば、血漿もしくは血清を試料として用いる場合、約1日〜約1年の間で採血を行うことが好ましい。本発明のペプチドは、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド以外は、関節リウマチが改善するに従って血清・血漿レベルが低下する傾向にある。従って、これらのマーカーのレベルが経時的に低下した場合には、該患者における関節リウマチが改善している可能性が高いと判定することができる。
さらに、上記時系列的なサンプリングによる関節リウマチの検出方法は、前回サンプリングと当回サンプリングとの間に、被検者である患者に対して該疾患の治療措置が講じられた場合に、当該措置による治療効果を評価するのに用いることができる。即ち、治療の前後にサンプリングした試料について、治療後の状態が治療前の状態と比較してペプチドの低下(病態の改善)が認められると判定された場合に、当該治療の効果があったと評価することができる。一方、治療後の状態が治療前の状態と比較してペプチドの低下(病態の改善)が認められない、あるいはさらに悪化していると判定された場合には、当該治療の効果がなかったと評価することができる。
さらに、上記時系列的なサンプリングによる関節リウマチの検出のための検査方法は、健康食品等の摂取、禁煙、運動療法、有害環境からの隔離等、関節リウマチの罹患リスク低減措置後の予防効果を評価するのに用いることができる。即ち、罹患リスクの低減措置の施行の前後にサンプリングした試料について、施行後の状態が施行前の状態と比較してペプチドの上昇(病態の発症もしくは進行)が認められないと判定された場合に、当該措置の施行の効果があったと評価することができる。一方、治療後の状態が治療前の状態と比較してペプチドの低下(病態の改善)が認められない、あるいはさらに病態が悪化していると判定された場合には、当該措置の施行の効果がなかったと評価することができる。
従って、本発明のペプチドならびに方法は、関節リウマチを診断又は検出するマーカーのみならず、関節リウマチの予後を予測するマーカー、ならびに治療効果判定のマーカーともなり得る。すなわち、本発明のペプチドならびに方法は、関節リウマチの治療の創薬標的分子のスクリーニングに、及び/又は患者(リスポンダー)の選別もしくは治療薬の投与量(用量)の調節のためのコンパニオン診断薬として使用することができる。
特筆すべきは、後述の実施例にて示すように、本発明によれば、現在の関節リウマチの活動性指標(CDAI)では不可能であった、治療薬投与後の極めて早い時期での治療薬の選択とリスポンダーの選択が可能となる。
また、本発明のペプチドならびに方法は、物質のスクリーニング方法に使用できる。この場合の物質には、関節リウマチを未病段階で防止する健康食品やトクホ製品などの食品類、関節リウマチを診断又は検出するマーカー類、及び罹患後の関節リウマチを治療する治療薬等の医薬品類が含まれる。
一実施形態において、本発明は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種、2種、3種、4種、又は5種のペプチドに対する抗体を含む関節リウマチの検出キットを包含する。
別の実施形態において、本発明は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種、2種、又は3種のペプチドに対する抗体を含む関節リウマチの検出キットを包含する。
別の実施形態において、本発明は、 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種、2種、3種、4種、又は5種のペプチドに対する抗体を検出試薬として含む関節リウマチの検出剤を包含する。
別の実施形態において、本発明は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種、2種、又は3種のペプチドに対する抗体を検出試薬として含む関節リウマチの検出剤を包含する。
また別の実施形態において、本発明は、被験者における関節リウマチの罹患可能性を判定するための、コンピュータにより実行される方法であって、被験者の生物試料中の、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種、2種、3種、4種、又は5種のペプチドについての定量的データを取得する工程と、前記取得したデータを、前記1種、2種、3種、4種、又は5種のペプチドの関数である多変量ロジスティック回帰モデルに適用し、被験者における関節リウマチの罹患可能性の予測値を求める工程とを含む方法を包含する。ここで、ペプチドの定量的データとは、例えば質量分析やペプチドに対する抗体を用いて測定されたペプチドの発現量、血中濃度等の定量的な測定値を指す。
別の実施形態において、本発明は、被験者における関節リウマチの罹患可能性を判定するための、コンピュータにより実行される方法であって、被験者の生物試料中の、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種、2種、又は3種のペプチドについての定量的データを取得する工程と、前記取得したデータを、前記1種、2種、3種、又は4種のペプチドの関数である多変量ロジスティック回帰モデルに適用し、被験者における関節リウマチの罹患可能性の予測値(予測罹患確率)を求める工程とを含む方法を包含する。
好ましい実施形態において、定量的データを取得するペプチドは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの3つのペプチドである。
上記コンピュータにより実行される方法は、予測値を求めた後で、該予測値に基づいて被験者における関節リウマチの罹患可能性を判定する工程をさらに含んでもよい。例えば求めた予測値が或る閾値を超えた場合に、その被験者を関節リウマチに罹患していると判定する。通常、閾値は0.5であり、好ましくは0.1以下である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されないことは言うまでもない。
本明細書中に引用されているすべての特許出願及び文献の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
実施例1
1.患者及び血液採取
京都府立医科大学にて、関節リウマチに罹患した患者(n=26名)にトシリツマブ(tocilizumab)を投与し、トシリツマブの投与前(ベースライン)、投与後4週間、投与後1年の時点(ポイント)で1.5μLの血清を採取した。採取した血液を、3,000rpmで10分間室温にて遠心分離し、血清を得た。上清を使用するまで-80℃で分けて保存した。
Ann Rheum Dis. 2004 Mar; 63(3):221-5に従い、患者の各ポイントでの臨床疾患活動性指数(Clinical Disease Activity Index, CDAI)の改善率を算出した(表2)。
2.BLOTCHIP(登録商標)による質量分析
血清中の質量分析によるペプチド解析を、ペプチドームプロファイリングの迅速定量法である、ワンステップの直接転写技術のBLOTCHIP(登録商標)質量分析により行った(Biochem. Biophys. Res. Commun. 2009;379(1):110-4)。
まず、血清サンプルをドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)に供し、ペプチドをタンパク質と分離した。次に、ゲル中のペプチドをBLOTCHIP(登録商標)(株式会社プロトセラ、尼崎市所在)に電気転写した。転写終了後、チップの表面を超純水でリンスし、BLOTCHIP(登録商標)に直接マトリックス(α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸, Sigma-Aldrich Co., アメリカ合衆国ミズーリ州)を塗布後、UltraFlexII TOF/TOF mass spectrometer (Bruker Daltonics社製、アメリカ州マサチューセッツ州)の反射モードで、Proteomics 11:2727-2737.に記載された通りに質量分析を行い、ペプチドプロファイルを得た。
3.統計解析
サンプルはBLOTCHIP(登録商標)質量分析により4回繰り返し解析した。より統計学的に有意なピークを見出すために、4つのデータを独立データとして使用し、解析ソフトClinProTools 2.2 (Bruker Daltonics社製)を使用してウィルコクソン検定のp値を計算し、p値が0.05以下の場合に有意差ありとみなした。
統計解析ソフトR(R Core Team (2013). R: A language and environment for statistical computing. R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria. URL http://www.R-project.org/.)によりウィルコクソン検定のp値を計算するために、一つのサンプル当たりの4つのデータの平均値を用いてペプチドの診断性能を評価し、診断性能の高い有用なバイオマーカーペプチドを発見した。モデルの構築には統計解析ソフトR(R Core Team (2013)を使用した。
構築したモデルの診断能の評価のためにROC分析を実施した。Rのパッケージである”Epi パッケージ“(A package for statistical analysis in epidemiology、Version 1.149、http://cran.r-project.org/web/packages/Epi/index.html)を用いた。AUCはROC曲線から計算した。診断のための最適カットオフ値は、Cancer 1950;3:32-5のYouden’s indexに従って決定でき、95%信頼区間は、ノンパラメトリックなブートストラップ抽出を用いて推定した。
4.ペプチドの同定
各標的ペプチドを含む血清を、その同定のために採取した。ペプチドは、Sep-Pak C18固相抽出カートリッジ(Waters Corporation、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ミルフォード)を用いて、0.1%トリフルオロ酢酸を含む水に80%v/v アセトニトリル(ACN)で抽出した。溶出液をCC-105 遠心濃縮器(株式会社トミー精工, 東京)を用いて100μL以下に濃縮した。次に溶液を0.065% TFAを含む2%v/v CAN水溶液400μL(溶離液Aと称する)に希釈し、C18シリカカラム(COSMOSIL(登録商標) 5C18-AR-II)(ナカライテスク株式会社、京都)を装備したAEKTA精製装置(GE Healthcare UK Ltd, 英国バッキンガムシャー州)にかけた。溶出液を、溶離液Aに対し0.05% TFAを含む80%v/v CANの水溶液で1.0mL/分の流速で0-100%の線形勾配により20個の画分(各1mL)に分けた。各画分をCC-105遠心濃縮器で10μL以下に濃縮し、ペプチドの配列をMALDI-TOF/TOF(UltraFlex II TOF/TOF)及びLC-MS/MS(Q-Exactive;Thermo Fisher Scientific Inc, アメリカ合衆国マサチューセッツ州ワルサム)を用いて分析した。
5.SID-SRM-質量分析法による血中のバイオマーカーペプチド濃度の測定
上記4.で発見され、アミノ酸配列が決定されたペプチドの濃度を後に述べる多変量ロジスティック回帰法に適用することにより算出した予測値の診断性能を、異なるコホート、85%改善(N=10), 70%改善(N=17),50%改善(N=19)を対象に、安定同位体希釈選択反応モニタリング法(stable isotope dilution-selected reaction monitoring-MS technology:SID-SRM-MS 法)により検証した。アミノ酸構成原子の一部を質量数の大きな原子(安定同位体)に置換させて配列番号1〜5で表されるアミノ酸配列を有する5種類のペプチドを合成し、98%純度品を濃度測定時の内部標準品として使用した。Xevo(商標)TQ-S マイクロ質量分析計に結合したACQUITY UPLC I-Class システム(Waters社)を使用して、30マイクロリットルの患者血清に、5種類の既知濃度の安定同位体標識内部標準ペプチドを添加し、Bioanalysis 2015;7: 2991-3004. doi: 10.4155/bio.15.222に従い、一度に5種類のペプチドの血中濃度を測定した。
(結果)
1.関節リウマチバイオマーカーペプチドの発見
表2においてトシリツマブの1年投与により関節リウマチが寛解した7検体の血清のペプチド解析をBLOTCHIP(登録商標)質量分析により行った。各ペプチドームプロファイルより得られた質量スペクトルのデータをデータベースに保存した。すべてのMS測定が完了した後、解析ソフトFlexAnalysis2.4を用いて、2タイムポイント(Baseline 対 1 year)でのディファレンシャル解析を行った。その結果、m/z 1,500-20,000の領域に63個のピークが確認された(p<0.05)。統計解析により得られたすべてのピークの形状を目視により精査し、MALDI-MS測定にランダムに現れるノイズ、弱いピーク、及び微かなピークを除外した。これにより、25個のシャープなピークが得られた。
2.同定されたバイオマーカー候補ペプチド
逆相クロマトグラフィで部分的に精製した血清ペプチドによりMALDI-TOF/TOF及びLC-MS/MSペプチド配列決定分析を行った。25個のピークのうち5個のペプチドを最終的に同定した(表3)。m/z 1616.66のペプチド(PDA018)はトロンビンによりフィブリノーゲンのα鎖から放出されたフィブリノペプチドAであることが明らかとなった。2つのペプチドであるm/z 2659.26(PDA063)及び3277.46(PDB012)はフィブリノーゲンα鎖の中間領域を異なる部位でタンパク質分解したものである。m/z 2755.52のペプチド(PDA066)はα−2−HS−糖タンパク質の部分配列ペプチドである。m/z 3949.98のペプチド(PDB001)は血液凝固第XIII因子(酵素前駆体)がトロンビンにより活性化されるときに切断されて生成した、活性化ペプチドである。m/z 1616.66のペプチドは 3番目のSerの位置でリン酸化により修飾されており、m/z 2755.52のペプチドは18番目のCysの位置で酸化されており、m/z 3277.46のペプチドは28番目のMetの位置で酸化されており、m/z 3949.98のペプチドは1番目のSerの位置でN−アセチル化により修飾されていた。ディファレンシャル解析は、基準値(baseline)から調製した患者血清(N = 7)と、トシリツマブによる処理の1年後の同じ患者の血清(N = 7)との間で行った。
3.アミノ酸配列解析
上記の番号1〜5のペプチドのアミノ酸配列を当業者に周知のペプチド配列決定法により決定した(表4)。
4.バイオマーカー候補ペプチドの血中濃度と臨床検査値との相関
表5に示されるように、発見されたバイオマーカー候補ペプチドは、以前からリウマチ検査に使用されてきた検査項目と高い相関を示した。枠で囲んだ部分はR統計学的環境ソフトウェアを用いてMann-Whitney's U-検定により統計学的有意 (p<0.05 )であることが示された。とりわけ、C-反応性タンパク質(CRP)、赤血球沈降速度(ESR)、圧痛関節数(TJC)、腫脹関節数(SJC)、CDAI、DAS28-ESR、DAS28-CRP、血小板数(Plt)、血清総蛋白(TP)、アルブミン(Alb)、クレアチンキナーゼ(CK)値とは有意な相関が示された。
5.多変量ロジスティック回帰分析
ボランティアより採取した血清を用いて、ペプチド1〜5の5つのペプチドの血中濃度をSID-SRM-MSにより8回測定した(表6)。
全5種類のバイオマーカーペプチドの中からペプチド1〜3の3種のペプチドの組合せについて、3種のペプチドのレベルを 50% 改善、70%改善、及び85%改善の患者の血清でSID-SRM-MS分析により測定した(baseline, 1年後)(表7)、この測定値を用いて予測率の多変量ロジスティック回帰モデル(式)を以下の方程式(1)として得た。[ ]はペプチドの濃度である。
Logit 回帰方程式; 予測率 = -17.624613 + 0.01055 × [PDA018] + 0.0010434 × [PDA063] + 0.005570 × [PDA066] ・・・(1)
3種類のバイオマーカーペプチド(ペプチド1〜3)の血中濃度を回帰式に代入して得られるBLOTCHIP(登録商標)-MSによるペプチドのシグナル強度の計算値とSID-SRM-MS分析により測定された血清濃度とが最も高い相関を示した。
次に、PDA018、PDA063、及びPDA066の3つのペプチド(ペプチド1〜3)の血清レベル(縦軸)に対する血清調製に関する凝血時間(横軸)の影響を調べた。図2に示すように、A−Lの8人の健常ボランティアの血清を、異なる凝血時間(白色バー:0.5時間、灰色バー:1時間、黒色バー2時間)で調製した。調製した血清は、遠心により血塊からすぐに分離し、使用する前まで−80℃で保存した。
上記3種類のペプチドを用いた場合の多変量ロジスティック回帰モデルによるBaseline、4週間後、1年後の検体の予測値を散布図で図3(A)に示す。図3(B)は同じ検体のCDAIの散布図である。図3(A)で示されたように、治療薬投与後4週で、多変量ロジスティック回帰モデルで得られた予測値が、1年後の寛解時の予測値と有意差がないまでに低下したことから、治療薬投与後4週で治療薬の選択とリスポンダーの選択が可能となった。図3(B)の現在の関節リウマチの活動性指標(CDAI)では、治療薬投与後4週ではこのような選択と予測は不可能であった。
以上の結果から、これらのペプチドマーカーの血中濃度から多変量ロジスティック回帰モデルで得られた予測値が、関節リウマチの判定、治療薬が奏効する関節リウマチ患者(リスポンダー)の判定及び個々の関節リウマチ患者に奏効する治療薬の判定(コンパニオン診断法)、予防効果の判定、治療効果の判定、早期診断のための検査方法、早期治療のための検査方法、及び物質のスクリーニング方法に有用であることが示唆された。

Claims (14)

  1. 被験者の生物試料中の、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチドを測定することを含む、該被験者における関節リウマチの検出方法。
  2. 被験者の生物試料中の、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される2種又は3種のペプチドを測定することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記生物試料が血液、血漿、血清、唾液、尿、髄液、骨髄液、胸水、腹水、関節液、汗、涙液、眼房水、硝子体液及びリンパ液からなる群より選択される体液からなる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 生体試料を質量分析にかけることを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択されるペプチドを特異的に認識する抗体を用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記関節リウマチの検出は、関節リウマチの判定、関節リウマチの予防効果の判定、関節リウマチの治療効果の判定、治療薬が奏効する関節リウマチ患者の判定、個々の関節リウマチ患者に奏効する治療薬の判定、関節リウマチの診断のための検査方法、又は関節リウマチの治療のための検査方法である請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチド又はそれらのフラグメントイオンが安定同位体で標識された内部標準品を備える関節リウマチの検出キット。
  8. 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチドに対する抗体を含む関節リウマチの検出キット。
  9. 安定同位体で標識された、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチド又はそれらのフラグメントイオンを含む関節リウマチの検出剤。
  10. 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチドに対する抗体を検出試薬として含む関節リウマチの検出剤。
  11. 被験者における関節リウマチの罹患可能性を判定するための、コンピュータにより実行される方法であって、被験者の生物試料中の、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチドについての定量的データを取得する工程と、
    前記取得したデータを、前記1種又は2種以上のペプチドの関数である多変量ロジスティック回帰モデルに適用し、被験者における関節リウマチの罹患可能性の予測値を求める工程とを含む方法。
  12. 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される2種以上のペプチドの定量的データを取得し、前記取得したデータを、前記2種以上のペプチドの関数である多変量ロジスティック回帰モデルに適用する請求項11に記載の方法。
  13. 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチドの、関節リウマチを検出するためのマーカーとしての使用方法。
  14. 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上のペプチドの、治療薬へのリウマチ患者の応答性を検出するマーカーとしての使用方法。
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