JP2012072604A - 補強用パネルおよび補強構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】屋外側に開口部を有する縦枠材2を備えて壁パネル1が構成され、開口部を介して締め付けられるビス8で固定面部が柱11に固定されることで、縦枠材2を含めた壁パネル1の厚さ寸法を小さくすることができ、施工後の外壁10の厚さ寸法を抑えることができる。さらに、屋外側から柱11間に介装した壁パネル1を屋外側からの固定作業のみによって取り付けることができるので、既存建築物の耐震補強工事における施工性を向上させることができ、屋内側の内装材14を壊す必要がないことから施工コストを低減させることができる。
【選択図】図2
Description
特許文献1に記載された壁パネルでは、一対のフランジとウェブとを有した断面コ字形の溝形鋼から枠材が構成され、この枠材の一方のフランジに折板が固定され、枠材のウェブが柱や梁に固定されている。
一方、2枚の金属板の間に不燃無機質板体を挟み込んだ壁パネルを用い、この壁パネルを柱の屋外側側面に固定することで耐火性や断熱性を高めた建物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
このような構成によれば、縦枠材のみならず上枠材および下枠材においても見込み寸法を抑えつつ、補強用パネルの四辺を躯体に固定することで、固定強度を高めて補強効果を向上させることができる。
また、本発明の補強用パネルでは、前記上枠材および下枠材の少なくとも一方は、前記固定面部の側面部とは他方側に対向する対向面部と、この対向面部よりも他方側に前記固定面部を延長するとともに当該対向面部側に折り返して形成される延出面部とを有し、この延出面部を貫通して締め付けられる固着具によって前記上部躯体または下部躯体に固定されてもよい。
これらの構成によれば、上枠材や下枠材において、対向面部に形成した孔に挿通した固着具を締め付けたり、対向面部よりも他方側に延長した延出面部を貫通して固着具を締め付けたりすることで、補強用パネルの他方側だけから固定作業を行うことができ、施工性をより一層向上させることができる。
このような構成によれば、外壁の屋外側から補強用パネルを取り付けることができるので、内装材や屋内の設備機器等を壊したりすることなく外装材を取り外すだけで補強用パネルの固定作業を実施することができ、施工性の向上および施工コストの低減をさらに促進させることができる。
このような構成によれば、補強用パネルの屋外側に断熱材を取り付けることで、金属製の枠材や折板が外気に曝されて熱橋になるのを防ぎ、屋内の温度変化を抑制することができ、外壁の断熱性を向上させることができる。特に、冬季において、補強用パネルの枠材や折板が冷やされると、その屋内面に結露が発生しやすくなってしまうが、屋外側に断熱材を取り付けることで、補強用パネルの冷却を防いで結露を防止することができる。
このような構成によれば、折板の屋内側から枠材と躯体との間まで気密材を連続させることで、気密ラインを連続して形成することができ、外壁の気密性を向上させることができる。さらに、補強用パネルの屋内側に沿って気密ラインが形成されることから、補強用パネルに内気が接するのを防ぐことができ、結露をさらに抑制して補強用パネルの錆び発生を防止することができる。
このような構成によれば、壁の一方側の仕上げ材を取り外すことなく、他方側だけから補強用パネルの取付作業を実施できることから、耐震補強工事の施工性を向上させることができるとともに、施工コストを低減させることができる。
図1〜図3に示すように、本発明の補強用パネルとしての壁パネル1は、薄板軽量形鋼(リップ溝形鋼)からなる一対の枠材としての縦枠材2と、これら一対の縦枠材2の上端間に渡って架設される上枠材3と、縦枠材2の下端間に渡って架設される下枠材4と、上枠材3と下枠材4とに渡って架設される中間枠材5と、これらの縦枠材2、上枠材3、下枠材4および中間枠材5の一方側の面にねじ6で接合される薄板鋼板からなる折板7とを備えて構成されている。このような壁パネル1は、図2および図3に示すように、既存建築物の外壁10に取り付けられて当該建築物を耐震補強するために用いられ、外壁10の躯体としての左右一対の柱11および上下の梁12,13に固定されるようになっている。この外壁10は、柱11および梁12,13の屋内側に固定され石膏ボード等からなる内装材14と、柱11および梁12,13の屋外側に固定されサイディング等からなる外装材15とを備えて構成されている。
先ず、図7(A)に示すように、外壁10の外装材15および中桟17を屋外側に取り外し、柱11や梁12,13を露出させる。この際、内装材14を取り外さず、壁パネル1の取付作業を屋外側からのみ実施する。
次に、断熱材9のうち主断熱材91のみを取り付けた壁パネル1を準備し、図7(B)に示すように、折板7の屋内側に気密シート16を当てがいつつ、屋外側から屋内側に向かって壁パネル1を押し込み、柱11および梁12,13の間に介装し、内装材14と折板7との間、縦枠材2と柱11との間、上枠材3と梁12との間および下枠材4と梁13との間にそれぞれ気密シート16を挟み込んで保持する。
このように各枠材2,3,4を柱11や梁12,13に固定して壁パネル1を取り付けたら、図7(C)に示すように、主断熱材91と柱11との隙間に縦断熱材92を取り付け、これと同様に主断熱材91と梁12との隙間に上断熱材93を取り付け、主断熱材91と梁13との隙間に下断熱材94を取り付ける。さらに、柱11および梁12,13の屋外側側面に外装材15を固定することで、耐震補強工事の施工が完了する。
すなわち、屋外側に開口部24を有する縦枠材2を備えて壁パネル1が構成され、開口部24を介して締め付けられるビス8で固定面部22Aが柱11に固定されることで、縦枠材2を含めた壁パネル1の厚さ寸法を小さくすることができ、施工後の外壁10の厚さ寸法を抑えることができる。さらに、屋外側から柱11および梁12,13の躯体間に介装した壁パネル1を屋外側からの固定作業のみによって取り付けることができるので、居住者の生活ペースを乱すことなく、同時に作業者の作業ペースを乱すこともなく作業が実施できる。従って、既存建築物の耐震補強工事における施工性を向上させることができ、屋内側の内装材14を壊す必要がないことから施工コストを低減させることができる。
例えば、前記実施形態では、既存建築物の耐震補強のために壁パネル1を用いる場合を例示したが、本発明の補強用パネルは、新築の建築物に取り付けられてもよいし、外壁10等の壁以外に、床や屋根等に取り付けられてもよい。
また、前記実施形態では、外壁10に壁パネル1を取り付ける補強構造を説明したが、本発明の補強用パネルは、外壁10に限らず、図8に示すように、建築物内部の間仕切り壁等の内壁1Aとして利用されてもよいし、図9および図10に示すように、建築物の収納部等の開口を塞ぐ戸や襖などに代わる内壁1Bとして利用されてもよい。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (8)
- 互いに対向する少なくとも一対の枠材と当該一対の枠材に渡って固定される折板とを少なくとも備え、建築物の躯体に固定されて当該建築物を補強するための補強用パネルであって、
前記一対の枠材は、前記折板が固定される一方側の側面部と、この側面部に連続して他方側に延び前記躯体に固定される固定面部と、前記側面部に対向する他方側にて開口する開口部と、を少なくとも有した開断面で構成され、
前記折板の側から前記躯体間に介装されるとともに、前記固定面部を貫通する固着具によって前記枠材が当該躯体に固定されることを特徴とする補強用パネル。 - 請求項1に記載の補強用パネルにおいて、
前記一対の枠材は、上下方向に延びる一対の縦枠材であって、これら一対の縦枠材の上端間に渡って上枠材が設けられ、一対の縦枠材の下端間に渡って下枠材が設けられ、
前記上枠材および下枠材は、前記折板が固定される一方側の側面部と、この側面部に連続して他方側に延びる固定面部とを少なくとも有して構成され、前記一対の躯体と交差して延びる上部躯体および下部躯体に前記固定面部が固定されることを特徴とする補強用パネル。 - 請求項2に記載の補強用パネルにおいて、
前記上枠材および下枠材の少なくとも一方は、前記固定面部の側面部とは他方側に対向する対向面部を有し、この対向面部に形成された孔に挿通されて締め付けられる固着具によって前記固定面部が前記上部躯体または下部躯体に固定されることを特徴とする補強用パネル。 - 請求項2に記載の補強用パネルにおいて、
前記上枠材および下枠材の少なくとも一方は、前記固定面部の側面部とは他方側に対向する対向面部と、この対向面部よりも他方側に前記固定面部を延長するとともに当該対向面部側に折り返して形成される延出面部とを有し、この延出面部を貫通して締め付けられる固着具によって前記上部躯体または下部躯体に固定されることを特徴とする補強用パネル。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の補強用パネルにおいて、
前記躯体は、前記建築物の外壁を構成する外壁躯体であって、
前記外壁の屋内側に前記折板が位置し、前記外壁の屋外側に前記枠材が位置した状態で当該枠材が前記外壁躯体に固定されることを特徴とする補強用パネル。 - 請求項5に記載の補強用パネルにおいて、
前記枠材の屋外側に断熱材が取り付けられていることを特徴とする補強用パネル。 - 請求項5または請求項6に記載の補強用パネルにおいて、
前記折板の屋内側から前記枠材と躯体との間まで連続する気密材が設けられていることを特徴とする補強用パネル。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の補強用パネルを用いて既存建築物を補強する補強構造であって、
前記既存建築物の壁の一方側の仕上げ材を取り外すことなく、他方側の仕上げ材を一旦取り外した当該壁の躯体に前記補強用パネルが他方側から固定されたことを特徴とする補強構造。
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