JP2012069912A - 電子部品の製造方法及び電子部品 - Google Patents

電子部品の製造方法及び電子部品 Download PDF

Info

Publication number
JP2012069912A
JP2012069912A JP2011145824A JP2011145824A JP2012069912A JP 2012069912 A JP2012069912 A JP 2012069912A JP 2011145824 A JP2011145824 A JP 2011145824A JP 2011145824 A JP2011145824 A JP 2011145824A JP 2012069912 A JP2012069912 A JP 2012069912A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paste
element body
electronic component
conductive paste
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2011145824A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukihiko Shirakawa
幸彦 白川
Kazuhiro Nakamura
和浩 中村
Shintaro Kon
慎太郎 金
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2011145824A priority Critical patent/JP2012069912A/ja
Publication of JP2012069912A publication Critical patent/JP2012069912A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ceramic Capacitors (AREA)
  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Abstract

【課題】メッキ液等の水分が素体内に浸入することを防止すると共に製品寸法の増大を防止し、電子部品の信頼性を向上させることができる電子部品の製造方法及び電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品1の製造方法では、平板20の凹部21に第一導電性ペーストP1が入り込むように付与し、凹部21に付与された第一導電性ペーストP1に素体2の端面2a,2bを押し当てて第一ペースト層16を形成している。これにより、素体2の端面2a,2bに平均的に第一導電性ペーストP1が塗布される。そのため、角部分9付近の厚みを十分に確保しつつ、端面2a,2bの中央位置付近の厚みの増大を防止することができる。したがって、メッキ液等の水分が素体2内に浸入することを防止できる共に、外部電極3,4の厚みの増大を抑制することで製品寸法の増大を防止でき、信頼性の向上を図ることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子部品の製造方法及び電子部品に関する。
従来の積層コンデンサの製造方法として、グリーンシートと内部電極材料を交互に積層して焼成することによって形成した素体の端面を導電性ペーストに浸漬させてペースト層を形成し、一方の端面に形成されたペースト層と他方の端面に形成されたペースト層との乾燥状態を近づけるように乾燥させた後、焼成して外部電極を形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−13315号公報
上述の電子部品の製造方法においては、素体を形成した後、導電性ペーストに端部を浸漬させて焼成することによって外部電極を形成している。しかしながら、この製造方法では、浸漬後に素体を引き離す際、端面の中央位置付近で導電性ペーストが引っ張られることによって、ペースト膜の中央位置付近の厚みが大きくなる一方、素体の端面と側面の間の角部分付近の厚みが薄くなっていた。この結果、外部電極の厚みは、湾曲した角部分付近で薄くなり、焼成工程後のメッキ工程において、薄くなった部分からメッキ液等の水分が素体内に浸入するおそれがあった。従って、従来の製造方法によって製造された電子部品では、メッキ工程の際に素体内に浸入した水分の影響によって、電子部品の特性が劣化してしまうおそれがあった。
この点に関して、上記電子部品の製造方法においてペースト膜の角部分付近の厚みを確保しようとすると、これに伴って端面の中央位置付近及び素体の側面部分のペースト膜が更に厚くなってしまう。これにより、外部電極が大きくなることで製品外形寸法が大きくなる。そのため、製品寸法が決められている場合には、電子部品の実効機能を確保する素体の実効体積を圧迫し、製品特性を達成させることが困難になるといった問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、メッキ液等の水分が素体内に浸入することを防止すると共に製品寸法の増大を防止し、電子部品の信頼性を向上させることができる電子部品の製造方法及び電子部品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る電子部品の製造方法は、一対の端面と端面同士を連結する四つの側面を有する素体と、素体の端面側に形成された外部電極とを備える電子部品の製造方法であって、表面に凹凸形状を有する部材を準備する部材準備工程と、部材の凹部に導電性ペーストが入り込むように付与するペースト付与工程と、凹部に付与された導電性ペーストに素体の端面側を押し当ててペースト層を形成するペースト層形成工程と、を有することを特徴とする。
この電子部品の製造方法では、凹凸形状を有する部材の凹部に導電性ペーストが入り込むように付与し、凹部に付与された導電性ペーストに素体の端面側を押し当ててペースト層を形成している。このように、凹部に付与された導電性ペーストに素体の端面側を押し当てると、凹部内に均一に付与された導電性ペーストが素体の端面側に付与されるため、素体の端面側に平均的に導電性ペーストが付与される。そのため、従来の浸漬工法で形成される場合に比べて、角部分付近の厚みを十分に確保しつつ、端面の中央位置付近の厚みの増大を防止することができる。したがって、メッキ液等の水分が素体内に浸入することを防止できると共に、外部電極の厚みの増大を抑制することで製品寸法の増大を防止できる。その結果、素体の実効体積を確保できるため、製品特性を十分に達成させることができ、信頼性の向上を図ることができる。
部材は、平面上にスクリーンメッシュが配置されることによって構成されていることが好ましい。このような構成により、凹凸形状を容易に形成することができる。また、素体の端面が強く押し当てられた場合であっても、スクリーンメッシュによって、素体の端面が平板に当接することがない。そのため、素体の端面が導電性ペーストを押し出すことを防止できる。したがって、素体の端面の中央部分に導電性ペーストが付与されないといった不具合を防止できる。
部材が導電性ペーストに対して撥水性を有することが好ましい。通常、導電性ペーストは、金属に対して濡れ性がよい。そのため、例えば金属板で形成された平板の表面と導電性ペーストとは濡れ性がよく、素体の端面を押し付けて導電性ペーストを付与する際、表面に導電性ペーストが残留しやすい。これにより、素体の端面への導電性ペーストの付着率(転写率)が悪くなる。その結果、一回の工程で素体の端面に付与される導電性ペーストの量が不十分となり、必要な第一ペースト層の厚みを得るために、工程を複数回繰り返し行う必要が生じる。そこで、部材が撥水性を有する構成とすることで、導電性ペーストが剥離しやすくなる。したがって、一回の工程で素体の端面に所望する厚みの導電性ペーストを付与できるため、作業の効率化を図ることができる。
スクリーンメッシュが導電性ペーストに対して撥水性を有することが好ましい。この場合には、スクリーンメッシュから導電性ペーストが剥離しやすくなる。したがって、一回の工程で素体の端面に所望する厚みの導電性ペーストをより良好に付与することができるため、作業の効率化を更に図ることができる。
ペースト層形成工程の後、素体に形成されたペースト層を焼き付けて焼付電極を形成する焼付工程と、焼付電極の全体を覆うように金属メッキ層を形成するメッキ層形成工程と、金属メッキ層を加熱処理する熱処理工程と、を更に有することが好ましい。このように、金属メッキ層を形成して熱処理を行うことで、金属メッキ層を形成した際のメッキ膜中の水分やメッキ液等の残留物を揮発させることができ、残留メッキ液による電子部品の信頼性の低下を防止できる。また、焼付電極と金属メッキ層とを強固に結合させることができる。さらには、焼付電極間の電気的、機械的接合が完全に形成されると共に、緻密な外部電極を形成することができる。
熱処理工程は、金属メッキ層を酸素雰囲気中で加熱処理する第一熱処理工程と、第一熱処理工程の後、金属メッキ層を還元雰囲気中で加熱処理する第二熱処理工程と、を含むことが好ましい。これにより、金属メッキ層は、酸素雰囲気中において熱処理されることにより酸化し、水分やメッキ液等の残留物は、酸化分解、燃焼分解等によって離脱される。また、金属メッキ層内に形成された空隙やボイド等も、酸素雰囲気中の熱処理に伴う体積膨張により消滅させることができる。そして、還元雰囲気中において熱処理を行うことにより、緻密化された状態のまま金属メッキ層を金属に還元すると共に、焼付電極と金属メッキ層とを強固に結合することができる。したがって、緻密な外部電極を形成することができるので、従来のように、素体内へのメッキ液の浸入防止のために焼付電極を厚く形成しなくとも、素体内へのメッキ液等の浸入を防止することができる。そのため、従来よりも素体の側面における焼付電極の厚み、素体の端面の中央位置付近における焼付電極の厚みを小さくすることができ、これに伴い外部電極の外形寸法を小さくすることができる。
第二熱処理工程の後、金属メッキ層を焼き付ける第二焼付工程を更に有することが好ましい。金属メッキ層は、第一熱処理工程において酸化され、更に第二熱処理工程において元の金属に戻る過程で初期の層の結晶構造が再構成されて緻密化される。この状態において、更に焼き付けることにより、金属メッキ層の焼結が進むので、外部電極の緻密化を更に図ることができる。
本発明に係る電子部品は、上述のいずれかの電子部品の製造方法によって製造された電子部品である。上述の方法によって電子部品を製造することにより、メッキ液等の水分が素体内に浸入することを防止すると共に製品寸法の増大を防止し、電子部品の信頼性を向上させることができる。
本発明によれば、メッキ液等の水分が素体内に浸入することを防止すると共に製品寸法の増大を防止し、電子部品の信頼性を向上させることができる。
第一実施形態に係る電子部品の製造方法によって製造された電子部品の断面図である。 電子部品の製造方法を示すフロー図である。 平板準備工程及びペースト付与工程の工程内容を示す図である。 素体保持工程及び第一ペースト層形成工程の工程内容を示す図である。 第二ペースト層形成工程の工程内容を示す図である。 第一ペースト層形成工程及び第一焼付工程の工程内容を示す図である。 メッキ層形成工程及び第二焼付工程の工程内容を示す図である。 第一焼付工程及びメッキ層形成工程後の素体を拡大して示す図である。 酸化熱処理工程及び第二焼付工程後の素体を拡大して示す図である。 第二実施形態に係る電子部品の製造方法におけるペースト付与工程の工程内容を示す図である。 第一ペースト層形成工程の工程内容を示す図である。 第三実施形態に係る電子部品の製造方法におけるペースト付与工程の工程内容を示す図である。 第一ペースト層形成工程の工程内容を示す図である。 寸法計測の結果を示す表である。 試験結果を示す表である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[第一実施形態]
図1を参照して、第一実施形態に係る電子部品の製造方法によって製造された電子部品の構成を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品の製造方法によって製造された電子部品の断面図である。
図1に示すように、電子部品1は、例えば、セラミックコンデンサなどの電子部品であり、複数の板状のセラミックグリーンシートを積層して一体化することによって略直方体形状に構成された素体2と、素体2の両端面側に形成された外部電極3,4とを備えて構成される。素体2は、素体2の長手方向に向かい合って互いに平行をなす一対の端面2a,2bと、端面2a,2bと直交すると共に端面2a,2b同士を連結する四つの側面2cを有する。外部電極3は、一方の端面2a及び端面2aと直交する四つ側面2cの各縁部の一部を覆うように形成されている。この四つの側面2cを覆う部分の大きさ、すなわち、外部電極3の端面2aを覆う部分における厚みが最大となる位置と側面2cを覆う部分における端部との間の寸法(図1においてBで示される)を以下B寸法と呼ぶ。このB寸法は、例えば、0.5mm〜0.6mm程度に設定される。また、外部電極4は、他方の端面2b及び端面2bと直交する四つの側面2cの各縁部の一部を覆うように形成されている。電子部品1は、例えば、縦が1.9mm〜2.2mm程度に設定され、横が1.1mm〜1.3mm程度に設定され、厚みが1.1mm〜1.3mm程度に設定されている。
外部電極3,4は、素体2の外面にCuやNi、あるいはAg、Pd等を主成分とする導電性ペーストを後述の方法によって付与した後に所定温度(例えば、700℃程度)にて焼き付け、更に電気メッキを施すことにより形成される。電気メッキには、Cu、Ni、Sn等を用いることができる。
素体2は、図1に示すように、複数の長方形板状の誘電体層6と、複数の内部電極7及び内部電極8とが積層された積層体として構成されている。内部電極7と内部電極8とは、素体2内において誘電体層6の積層方向(以下、単に「積層方向」と称する。)に沿ってそれぞれ一層ずつ配置されている。内部電極7と内部電極8とは、少なくとも一層の誘電体層6を挟むように対向配置されている。実際の電子部品1では、複数の誘電体層6は、互いの間の境界が視認できない程度に一体化されている。この素体2は、内部電極7,8と誘電体層6とが交互に複数積層される領域である第一領域2Aと、第一領域2Aを積層方向に挟み込む一対の誘電体層6からなる領域である第二領域2Bとを有している。なお、第二領域2Bは、二対以上の複数の誘電体層6から形成されていてもよい。素体2には、端面2a,2bと側面2cの間の角部分9が湾曲して所定の曲率半径を有するように面取り加工が施されている。図示されていないが、側面2cの外縁の角部分も湾曲して曲率半径を有するように面取り加工が施されている。素体2の角部分9の曲率半径は、例えば0.05mm〜0.15mm程度とされている。
内部電極7,8は、例えばNiやCuなどの導電材を含んでいる。内部電極7,8の厚みは、例えば1μm〜5μm程度である。内部電極7,8は、積層方向から見て互いに重なりあう領域を有するような形状であれば、特に形状は限定されず、例えば矩形状などの形状をなしている。内部電極7,8は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。内部電極7は外部電極3と電気的に接続されており、内部電極8は外部電極4と電気的に接続されている。
また、図1に示すように、電子部品1において、素体2の第一領域2Aと第二領域2Bの境界部分、すなわち積層方向の最も外側の内部電極8の位置における外部電極3,4の寸法(図1においてFで示される)を以下F寸法とし、素体2の側面2cにおける外部電極3,4の寸法(図1においてHで示される)を以下H寸法とし、素体2の端面2a,2bの中央位置付近における外部電極3,4の寸法(図1においてTで示される)を以下T寸法とする。
続いて、図2〜図7を参照して本発明の実施形態に係る電子部品1の製造方法について説明する。図2は、電子部品の製造方法を示すフロー図である。
図2に示すように、電子部品1の製造工程は、素体準備工程S1から工程を開始する。この素体準備工程S1では以下の処理がなされる。すなわち、誘電体層6となるセラミックグリーンシートを形成した後、当該セラミックグリーンシート上に内部電極7,8のパターンを導電性ペーストで印刷し、乾燥することによって電極パターンを形成する。このように電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを複数枚重ね合わせ、そのセラミックグリーンシートの積層体をそれぞれ素体2の大きさのチップとなるように切断する。続いて、ポリエチレン等の材料からなる密閉回転ポットに水と複数のチップと研磨用のメディアを入れて、この密閉回転ポットを回転させることによって、チップの角部分9の面取りが行われ、それぞれの角部分9が湾曲して所定の曲率半径を有することとなる(バレル研磨)。面取り加工を施したチップに所定温度で所定時間加熱処理を施すことによって脱バインダを行う。脱バインダを行った後、更に焼成を行うことで素体2を得る。以上の処理によって、素体準備工程S1が終了する。
素体準備工程S1の後、平板準備工程(部材準備工程)S2が行われる。図3は、平板準備工程及びペースト付与工程の工程内容を示す図である。平板準備工程S2は、凹凸形状を有する平板(部材)20を準備する工程である。図3に示すように、平板20は、板状の部材であり、その表面は、凹凸形状をなしており、複数の凹部21(凹みパターン)が形成されている。凹部21は、例えば平板20自体にザグリ加工により形成されており、その深さは、所望する第一ペースト層16(後述)の厚さによって設定されている。なお、凹部21は、エッチング加工等の手法にてパターニングされた所定の厚みを有する金属板を、表面を平坦な平板20上に配置することで形成されてもよい。
平板準備工程S2の後、ペースト付与工程S3が行われる。このペースト付与工程S3は、平板20の凹部21に第一導電性ペーストP1が入り込むように付与する工程である。ペースト付与工程S3では、図3に示すように、凹部21が形成された平板20上に第一導電性ペーストP1を配置し、硬質ゴム等で構成された弾性スキージ22を凸部の頂面に押し付けて第一導電性ペーストP1を矢印の方向に掻き取り、平板20の凹部21に第一導電性ペーストP1が入り込むように付与する。これにより、平板20の凹部21に、所定の厚み(凹部21の深さ分)の第一導電性ペーストP1が高精度で形成される。
ペースト付与工程S3の後、素体保持工程S4が行われる。図4は、素体保持工程及び第一ペースト層形成工程の工程内容を示す図である。この素体保持工程S4は、素体準備工程S1で準備した素体2を複数並べて保持する工程である。素体保持工程S4では、キャリアプレートや粘着プレート等の公知の保持治具30(図4ではキャリアプレート)を用いて、素体2の一方の端面2aが下方を向くように他方の端面2a側において側面2cを保持する。
素体保持工程S4の後、第一ペースト層形成工程(ペースト層形成工程)S5が行われる。この第一ペースト層形成工程S5は、端面2aを第一導電性ペーストP1に押し当てることによって、端面2a側に第一ペースト層16を形成する工程である。第一ペースト層形成工程S5では、平板20の凹部21に塗布された第一導電性ペーストP1に保持治具30にて保持された素体2の端面2aを押し当て、素体2の端面2a側に第一ペースト層16を形成する。端面2a側には、角部分9が含まれていている。第一ペースト層16が形成された後、乾燥工程が行われ、第一ペースト層16の硬化が行われる。端面2a側の第一ペースト層16の乾燥工程の後、上述の第一ペースト層形成工程S5の工程内容が端面2b側にも行われることによって、図6(a)に示すように、端面2b側にも第一ペースト層16が形成され、乾燥によって硬化が行われる。なお、第一導電性ペーストP1は、Cuを主成分とする金属粉末からなり、ガラスを含有している。
第一ペースト層形成工程S5の後、第二ペースト層形成工程S6が行われる。この第二ペースト層形成工程S6は、浸漬工法により第一ペースト層16を覆うように第二導電性ペーストP2を付与することによって第二ペースト層17を形成する工程である。第二ペースト層形成工程S6では、具体的には、図5に示すように、保持治具30で保持された素体2の端面2a側を、平板31上に例えばドクターブレード法によって塗布された第二導電性ペーストP2中に深く浸漬させることによって、第二ペースト層17を形成する。この第二ペースト層形成工程S6を行うことによって、端面2aに形成された第一ペースト層16を覆い且つ素体2の四つの側面2cに第二導電性ペーストP2を付与することができる。これによって、第二ペースト層17が形成される。第二導電性ペーストP2は、第一導電性ペーストP1よりも低粘度(低固形分濃度)のものを用いることができる。第二ペースト層17が形成された後、乾燥工程が行われ、第二ペースト層17の硬化が行われる。端面2a側の第二ペースト層17の乾燥工程の後、上述の第二ペースト層形成工程S6の工程内容が端面2b側にも行われることによって、端面2b側にも第二ペースト層17が形成され、乾燥によって硬化が行われる。なお、第二ペースト層形成工程S6の後、乾燥する前に、ブロット工程を行い、素体2に過剰に付与された第二導電性ペーストP2を掻き取ってもよい。
第二ペースト層形成工程S6の後、第一焼付工程S7が行われる。第一焼付工程S7では、第一ペースト層16及び第二ペースト層17に例えば780℃で熱処理を行うことによって、図6(b)に示すような第一焼付電極16a及び第二焼付電極17aを形成する。
第一焼付工程S7が行われた後、メッキ層形成工程S8が行われる。メッキ層形成工程S8は、湿式メッキ工法によって第二焼付電極17a全体を覆うようにメッキ膜を析出させてメッキ層(金属メッキ層)18を形成する工程である。メッキ層形成工程S8においては、シアン化銅、硫酸銅、又はピロリン酸銅等にてメッキ浴を行い、図7(a)に示すように、メッキ層18を形成する。このとき、メッキ層18の厚みは、第二焼付電極17aを覆う程度の厚みであればよく、例えば3μm〜20μmである。メッキ層形成工程S8が行われた後、酸化熱処理工程(第一熱処理工程)S9が行われる。酸化熱処理工程S9は、酸素雰囲気中にてメッキ層18の熱処理を行う工程である。この酸化熱処理工程S9では、酸素雰囲気中の熱処理炉内においてメッキ層18が形成された素体2を例えば500℃にて加熱し、メッキ層18を酸化させると共に、メッキ層18の表面にCuO層19を形成する。この酸化熱処理工程S9における温度は、温度が低いとメッキ層形成工程S8における残留物の昇華、酸化分解、及び燃焼分解が不十分となり、更にメッキ層18のCuO化が不十分となる一方、温度が高すぎると第一及び第二焼付電極16a,17aが過度に酸化され、更にガラス成分とCuOとが反応してしまうため、好ましくは300℃〜700℃であり、より好ましくは400℃〜600℃である。
酸化熱処理工程S9が行われた後、還元熱処理工程(第二熱処理工程)S10が行われる。還元熱処理工程S10は、酸化熱処理が施されたメッキ層18を還元雰囲気中にて熱処理を行うことにより、酸化されたメッキ層18(CuO)をCu金属に還元する工程である。この還元熱処理工程S10では、例えば水素を添加した窒素雰囲気中(還元雰囲気中)の熱処理炉内においてメッキ層18が形成された素体2を例えば500℃にて加熱して、酸化されたメッキ層18をCu金属に還元すると共に、メッキ層18の表面に形成されたCuO層19を連続した構造のCu金属層とする。この還元熱処理工程S10における温度は、温度が低すぎるとメッキ層18の還元が不十分となる一方、温度が高すぎると素体2の誘電体層6が還元されるため、好ましくは300℃〜600℃、より好ましくは350℃〜550℃である。
還元熱処理工程S10が終了すると、第二焼付工程S11が行われる。第二焼付工程S11では、例えば700℃で熱処理を行うことによって、図7(b)に示すように外部電極3,4を形成する。第二焼付工程S11における温度は、温度が低すぎると焼結効果を十分に得ることができないが、温度が高すぎると素体2に与える熱負荷が大きくなるため、好ましくは500℃〜850℃、より好ましくは550℃〜800℃である。第二焼付工程S11が行われた後、メッキ工程S12が行われる。メッキ工程S12は、電子部品1の表面にNiメッキ層やSnメッキ層を形成する工程である。具体的に、このメッキ工程S12では、バレル内のメッキ液に電子部品1を浸漬させた後、バレルを回転させつつ電子部品1の表面にメッキが施される。以上によって、図2に示す工程が終了し、電子部品1を得ることができる。
次に、本発明の実施形態に係る電子部品1の製造方法の作用・効果について説明する。
従来の電子部品の製造方法にあっては、素体を形成した後、導電性ペーストに端部を浸漬させて焼き付けることによって外部電極を形成していた。しかし、この製造方法では、浸漬後に素体を引き離す際、端面の中央位置付近で導電性ペーストが引っ張られることによって、ペースト膜の中央位置付近の厚くなる一方、素体の角部分付近の厚みが薄くなっていた。この結果、外部電極の厚みは、曲率半径を有する角部分付近で薄くなり、焼付工程後のメッキ工程において、薄くなった部分からメッキ液等の水分が素体内に浸入するおそれがあった。従って、従来の製造方法によって製造された電子部品では、メッキ工程の際に素体に浸入した水分の影響によって、電子部品の特性が劣化してしまうおそれがあった。特に、MLCC(Multi-Layer Ceramic Capacitor:積層セラミックコンデンサ)においては、メッキ液等が素体内に浸入して残留すると、信頼性、特に耐湿性が著しく低下するおそれがあった。
上記電子部品の製造方法においてペースト膜の角部分付近の厚みを確保しようとすると、これに伴って端面の中央位置付近及び素体の側面部分のペースト膜が更に厚くなってしまう。これにより、外部電極が大きくなることで製品外形寸法が大きくなる。そのため、製品寸法が決められている場合には、電子部品の実効機能を確保する素体の実効体積を圧迫し、製品特性を達成させることが困難になるといった問題があった。
これに対して、電子部品1の製造方法では、表面に凹凸形状を有する平板20の凹部21に第一導電性ペーストP1が入り込むように付与し、この凹部21に付与された第一導電性ペーストP1に素体2の端面2a,2bを押し当てて第一ペースト層16を形成している。このように、凹部21に付与された第一導電性ペーストP1に素体2の端面2a,2b側を押し当てると、凹部21内に均一に付与された第一導電性ペーストP1が素体2の端面2a,2b側に付与されるため、素体2の端面2a,2bに平均的に第一導電性ペーストP1が付与される。そのため、従来の浸漬工法で形成される場合に比べて、角部分9付近の厚みを十分に確保しつつ、端面2a,2bの中央位置付近の厚みの増大を防止することができる。したがって、メッキ液等の水分が素体2内に浸入することを防止できる共に、外部電極3,4の厚みの増大を抑制することで製品寸法の増大を防止できる。その結果、素体2の実効体積を確保できるため、製品特性を十分に達成させることができ、信頼性の向上を図ることができる。
また、第一ペースト層16によりメッキ液の素体2への浸入点となる角部分9付近の厚み(F寸法)が確保されているため、第二ペースト層17を厚く形成する必要はない。したがって、第二ペースト層17においてはF寸法を考慮する必要がないため、第二ペースト層形成工程S6において、複数回のブロットにより過剰に付与された第二導電性ペーストP2を掻き取る方法等を用い、従来よりも大幅にT、H、F寸法が薄い外部電極3,4を形成することができる。このため、従来の浸漬工法のみで一括して外部電極を形成する方法と比較して、外部電極3,4のT、H寸法を大幅に削減し、同時にF寸法を厚くすることができる。これにより、製品外形寸法を削減し、且つメッキ液の浸入による電子部品1の信頼性劣化を改善することが可能であり、従来困難であった大容量で信頼性の高い電子部品1(チップコンデンサ)の製造が可能となる。
また、従来の電子部品の製造方法では、素体の端面側にのみ導電性ペーストを付与する場合、平板上に、一定の厚みで導電性ペーストを付与し、素体の側面側に導電性ペーストが付与されないように導電性ペーストに対して素体を浸漬させている。このような方法にて素体の端面側にのみ導電性ペーストを精度よく付与するためには、以下の工程を実現する必要がある。すなわち、均一の高さで、且つ正確な狙い値となるように平板上に導電性ペーストを付与する必要がある。また、導電性ペーストに素体を浸漬させる際、複数の素体の端面の高さを均一とし、且つ正確な狙い値となるように素体を保持する必要がある。さらには、素体の端面が形成する仮想平面と、導電性ペーストの塗布面とが正確に平行となり、且つ正確な狙い値で素体を保持する保持治具を平行移動させて、複数の素体の端面側のみを導電性ペーストに接触させる必要ある。したがって、従来の製造方法では、非常に高い機械的精度での位置合わせが必要になると共に、導電性ペーストを付与する素体の寸法精度が要求されるため、製造装置のコストが増大すると共に、必要な生産性、歩留を達成することが困難であった。
これに対して、本実施形態に係る電子部品1の製造方法では、凹部21が形成された平板20上に第一導電性ペーストP1を配置し、弾性スキージ22を押し付けて第一導電性ペーストP1を掻き取ることで平板20の凹部21に第一導電性ペーストP1が入り込むように付与している。これにより、平板20の凹部21に、所定の厚みの第一導電性ペーストP1を高精度で形成できる。そして、このように付与された第一導電性ペーストP1に素体2の端面2a,2bを押し当てて第一ペースト層16を形成している。そのため、高い機械的精度での位置合わせが必要なく、また、導電性ペーストを付与する素体の寸法精度が要求されない。したがって、製造装置のコストの増大を抑制できると共に、必要な生産性、歩留を達成することが可能となる。
ここで、図8(a)に示すように、第二ペースト層17を焼き付けて形成した第二焼付電極17aは、導電性金属粒子の焼結によって形成されているため、表面に凹凸が発生する。このとき、図8(b)に示すように、第二焼付電極17a上には凹凸を覆うようにメッキ層18が形成されるため、第二焼付電極17aの微小な凹凸を埋めて欠陥を補修する効果が得られる。また、メッキ層18を形成する際に、メッキ液及びメッキ層形成工程S8に起因する水分が第一及び第二焼付電極16a,17aの空隙や素体2内、及びメッキ層18自体に残留することがある。この残留成分Sは、電解質であるため、Ni、Snメッキと同様に、素体2及び外部電極3,4内に残留することで電子部品1の信頼性を低下させ、特に耐湿負荷特性を劣化させる。
これに対して、本実施形態の電子部品1の製造方法では、メッキ層形成工程S8の後に酸性雰囲気中において熱処理を行う酸化熱処理工程S9を実施することにより、図9(a)に示すように、水分の揮発だけでなく、電子部品1の信頼性を低下させるメッキ液等の残留成分Sが酸化分解及び燃焼分解によって素体2内から離脱されると共に、非昇華性の残留物を安定的な酸化物とすることができる。また、メッキ層18も酸素雰囲気中の熱処理によりCuO層化するが、このとき体積膨張によって層内に形成された空隙やボイド等の消滅効果が得られる。そして、還元熱処理工程S10を実施することにより、図9(b)に示すように、メッキ層18の表面に形成されたCuO層19が連続した構造のCu金属層になり、また、第二焼付電極16a,17aと酸化処理されたメッキ層18とが金属への還元過程を経ることでより強固に結合される。これにより、外部電極3,4が緻密化されるため、素体2内へのメッキ液等の浸入が確実に防止される。
更に、還元雰囲気中において熱処理をした後に更に高温で焼き付けることにより、外部電極3,4が更に緻密化されると共に、前述の凹凸形状が緩和されて平坦化し、外部電極3において局所的に厚みを有する部分が修正される。これにより、電子部品1の製品寸法を小さくすることができる。なお、第二焼付工程S11における焼付温度は、還元熱処理工程S10において外部電極3,4の表面に緻密で連続したCu層が形成されているため、第一及び第二焼付電極16a,17a等からのガラス浮きが発生せず、従来よりも高温で熱処理が可能となっている。その結果、外部電極3,4の更なる緻密化を図ることができる。
[第二実施形態]
続いて、第二実施形態について説明する。図10は、第二実施形態に係る電子部品の製造方法におけるペースト付与工程の工程内容を示す図であり、図11は、第一ペースト層形成工程の工程内容を示す図である。各図に示すように、第二実施形態に係る電子部品1の製造方法では、メッシュ状スクリーンによって部位41を形成している点で、第一実施形態と異なっている。
具体的には、図10に示すように、ペースト付与工程S3では、メッシュ状スクリーンとしてスクリーン印刷版に使用されるスクリーンメッシュ40を平板42上に配置することで、平板42の面上に複数の部位41が形成されている。すなわち、平板42とスクリーンメッシュ40とにより、表面に凹凸形状を有する部材が構成されている。部位41は、スクリーンメッシュとメッシュ空隙によって実質的に凹凸を有する部分である。そして、ペースト付与工程S3では、部位41が形成された平板42上(スクリーンメッシュ40上)に第一導電性ペーストP1を配置し、硬質ゴム等で構成された弾性スキージ22を押し付けて第一導電性ペーストP1を矢印の方向に掻き取り、部位41に第一導電性ペーストP1が入り込むように付与する。これにより、平板42の部位41に、所定の厚み(部位41の深さ分)の第一導電性ペーストP1が高精度に形成される。
ペースト付与工程S3の後、素体保持工程S4が行われ、第一ペースト層形成工程S5が行われる。第一ペースト層形成工程S5では、図11に示すように、スクリーンメッシュ40にて形成された部位41に付与された第一導電性ペーストP1に保持治具30にて保持された素体2の端面2aを押し当て、素体2の端面2a側に第一ペースト層16を形成する。このとき、素体2の端面2aは、スクリーンメッシュ40により、平板42に当接することがない。このように、素体2の端面2a側に第一ペースト層16が形成される。その後、第一実施形態と同様に、第二ペースト層形成工程S6からメッキ工程S12までの工程が行われて電子部品1が製造される。
以上説明したように、第二実施形態に係る電子部品1の製造方法では、第一実施形態と同様に、スクリーンメッシュ40によって形成された部位41に第一導電性ペーストP1が入り込むように付与し、この部位41に付与された第一導電性ペーストP1に素体2の端面2a,2bを押し当てて第一ペースト層16を形成している。このように、部位41に付与された第一導電性ペーストP1に素体2の端面2a,2b側を押し当てると、部位41内に均一に付与された第一導電性ペーストP1が素体2の端面2a,2b側に付与されるため、素体2の端面2a,2bに平均的に第一導電性ペーストP1が付与される。そのため、従来の浸漬工法で形成される場合に比べて、角部分9付近の厚みを十分に確保しつつ、端面2a,2bの中央位置付近の厚みの増大を防止することができる。したがって、メッキ液等の水分が素体2内に浸入することを防止できると共に、外部電極3,4の厚みの増大を抑制することで製品寸法の増大を防止できる。その結果、素体2の実効体積を確保できるため、製品特性を十分に達成させることができ、信頼性の向上を図ることができる。
ここで、従来の電子部品の製造方法として、平板上に10μm程度となるように導電性ペーストをドクターブレード法にて極薄く付与し、鉛直方法(Z方向)に多少の弾性を有する保持治具に素体を保持して平板に素体を押し付ける方法がある。このような方法の場合、平板に素体が強く押し付けられることがある。これにより、素体の端面が平板上の導電性ペーストを押し出し、素体の端面の中央部分に導電性ペーストが付与されない素体が発生するといった問題が生じるおそれがある。
これに対して、素体2の端面2a,2bが強く押し当てられた場合であっても、スクリーンメッシュ40によって、素体2の端面2a,2bが平板42の表面に当接することがない。そのため、素体2の端面2a,2bが平板42上の第一導電性ペーストP1を押し出すことが防止される。したがって、素体2の端面2a,2bの中央部分に第一導電性ペーストP1が付与されないといった不具合を防止できる。
なお、スクリーンメッシュ40は、裏返しに配置して用いてもよい。すなわち、図11に示す状態のスクリーンメッシュ40を裏返して密着配置し、その上に第一導電性ペーストP1を配置して、硬質ゴム等で構成された弾性スキージ22を押し付けて第一導電性ペーストP1を矢印の方向に掻き取り、部位41に第一導電性ペーストP1が入り込むように付与して用いてもよい。また、スクリーンメッシュ40は、全面が部位41相当のメッシュのみで形成されてもよい。
[第三実施形態]
続いて、第三実施形態について説明する。図12は、第三実施形態に係る電子部品の製造方法におけるペースト付与工程の工程内容を示す図であり、図13は、第一ペースト層形成工程の工程内容を示す図である。各図に示すように、第三実施形態に係る電子部品1の製造方法では、撥水フィルム43を設けた点で、第二実施形態と異なっている。
図12に示すように、第三実施形態では、平板42とスクリーンメッシュ40との間に、撥水性を有する撥水フィルム43が設けられている。すなわち、平板42、スクリーンメッシュ40及び撥水フィルム43により、表面に凹凸形状を有する部材が構成されている。撥水フィルム43は、例えばPET(Polyethylene Terephthalate)やテフロン(登録商標)等からなる。このような構成を有する平板42上に、第一導電性ペーストP1を配置し、硬質ゴム等で構成された弾性スキージ22を押し付けて第一導電性ペーストP1を矢印の方向に掻き取り、部位41に第一導電性ペーストP1が入り込むように付与する。これにより、平板42の部位41に、所定の厚み(部位41の深さ分)の第一導電性ペーストP1が高精度に形成される。
ペースト付与工程S3の後、素体保持工程S4が行われ、第一ペースト層形成工程S5が行われる。第一ペースト層形成工程S5では、図13に示すように、スクリーンメッシュ40にて形成された部位41に付与された第一導電性ペーストP1に保持治具30にて保持された素体2の端面2aを押し当て、素体2の端面2a側に第一ペースト層16を形成する。このとき、第一導電性ペーストP1は撥水フィルム43上に塗布されているため、第一導電性ペーストP1の剥離性がよい。その後、第一実施形態と同様に、第二ペースト層形成工程S6からメッキ工程S12までの工程が行われて電子部品1が製造される。
以上説明したように、第三実施形態に係る電子部品1の製造方法では、第一実施形態と同様に、スクリーンメッシュ40によって形成された部位41に第一導電性ペーストP1が入り込むように付与し、この部位41に付与された第一導電性ペーストP1に素体2の端面2a,2bを押し当てて第一ペースト層16を形成している。このように、部位41に付与された第一導電性ペーストP1に素体2の端面2a,2b側を押し当てると、部位41内に均一に付与された第一導電性ペーストP1が素体2の端面2a,2b側に付与されるため、素体2の端面2a,2bに平均的に第一導電性ペーストP1が付与される。そのため、従来の浸漬工法で形成される場合に比べて、角部分9付近の厚みを十分に確保しつつ、端面2a,2bの中央位置付近の厚みの増大を防止することができる。したがって、メッキ液等の水分が素体2内に浸入することを防止できると共に、外部電極3,4の厚みの増大を抑制することで製品寸法の増大を防止できる。その結果、素体2の実効体積を確保できるため、製品特性を十分に達成させることができ、信頼性の向上を図ることができる。
また、通常、導電性ペーストは、金属に対して濡れ性がよい。そのため、金属板で形成される平板42と第一導電性ペーストP1とは濡れ性がよく、素体2の端面2a,2bを押し付けて第一導電性ペーストP1を塗布する際、平板42側に第一導電性ペーストP1が残留しやすい。これにより、素体2の端面2a,2bへの第一導電性ペーストP1の付着率(転写率)が悪くなる。その結果、一回の工程で素体2の端面2a,2bに付与される第一導電性ペーストP1の量が不十分となり、必要な第一ペースト層16の厚みを得るために工程を複数回繰り返し行う必要が生じる。
これに対して、平板42とスクリーンメッシュ40との間には、撥水フィルム43が設けられているので、第一導電性ペーストP1が剥離しやすくなる。したがって、一回の工程で素体2の端面2a,2bに所望する厚みの第一導電性ペーストP1を付与することができるため、作業の効率化を図ることができる。
なお、上述の説明では、平板42上に撥水フィルム43を設けているが、平板42の表面が第一導電性ペーストP1に対して撥水性を有していればよい。したがって、平板42の表面にコーティングを行ってもよいし、平板42をテフロン等の材質によって形成してもよい。
また、スクリーンメッシュ40が第一導電性ペーストP1に対して撥水性を有していてもよい。スクリーンメッシュ40に撥水性をもたせる方法としては、例えば防水処理等に用いられるシリコーン、テフロン等の撥水性コーティング剤をスクリーンメッシュ40に塗布する。これにより、スクリーンメッシュ40から第一導電性ペーストP1が剥離しやすくなる。したがって、一回の工程で素体2の端面2a,2bに所望する厚みの第一導電性ペーストP1をより良好に付与することができるため、作業の効率化を更に図ることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
本発明者らは、上述の製造方法により電子部品を製造した。素体は、縦が910μm、横が456μm、高さが460μmのC1005形状品を用いた。
(比較例1)
まず、平板(メタライザー)上にドクターブレード法にて電極ペーストAを約200μmの厚さとなるように均一なペースト膜を形成した。電極ペーストAは、Cu平均粒径2μm、固形分70wt%、粘度25Pas、エチルセルロース系バインダペーストである。そして、キャリアプレートに保持した素体をペースト膜に浸漬させて電極ペーストAを素体の端面側に塗布し、電極ペーストAを塗布した後に所定の温度で乾燥させて800℃で焼き付けて焼付電極を形成した。その後、バレルメッキによって4μmのNiメッキ膜と、4μmのSnメッキ膜とを形成して外部電極を形成し、比較例1を得た。
(実施例1)
次に、ステンレスの平板(メタライザー)上にスクリーン印刷に用いられるSUS#200メッシュを密着させて配置し、上記電極ペーストAを配置すると共に硬質ゴムスキージーを用いて不要なペーストを掻き取り、平板上に電極ペーストAを塗布した。続いて、保持治具(キャリアプレート)に保持した素体の端面をスクリーンメッシュに密着するように押し付けて、素体の端面側に第一ペースト層を形成した。第一ペースト層を形成して所定の温度で乾燥させた後、電極ペーストBを付与して第二ペースト層を形成した。電極ペーストBは、Cu平均粒径2μm、固形分65wt%、粘度8Pas、エチルセルロース系バインダペーストである。第二ペースト層は、電極ペーストBを平板上にドクターブレード法にて約200μmの厚さとなるように均一に塗布してペースト膜を形成し、このペースト膜にキャリアプレートにて保持した素体を浸漬させて形成した。そして、第二ペースト層に公知のブロット操作を行った後に所定の温度で乾燥させた。その後、焼付炉にて800℃で焼成して焼付電極を形成し、バレルメッキによって4μmのNiメッキ膜と、4μmのSnメッキ膜とを形成して外部電極を形成して、実施例1を得た。
(実施例2)
また、実施例1の工程において、第一ペースト層の印刷と乾燥とを2回行い、実施例2を得た。
(実施例3)
また、実施例2の工程において、平板とSUS#200メッシュとの間に30μmのPETフィルムを配置し、第一ペースト層の印刷と乾燥とを2回行い、実施例3を得た。
(実施例4)
また、実施例3の工程において、SUS#200メッシュにテフロン系防湿スプレー材を噴霧してコーティングし、第一ペースト層の印刷と乾燥とを2回行い、実施例4を得た。
(実施例5)
また、比較例1の方法にて焼付電極を形成した。次に、ステンレスの平板上にスクリーン印刷に用いられるSUS#200メッシュを30μmのPETフィルムを間に挟んで配置し、上記電極ペーストAを配置すると共に硬質ゴムスキージーを用いて不要なペーストを掻き取り、平板上に電極ペーストAを付与した。続いて、キャリアプレートに保持した素体の端面をスクリーンメッシュに密着するように押し付けて、素体の端面側に第一ペースト層を形成した。そして、所定の温度で乾燥させた後、焼付炉にて800℃で焼成して焼付電極を形成後、バレルメッキによって4μmのNiメッキ膜と、4μmのSnメッキ膜とを形成して外部電極を形成し、実施例5を得た。
そして、比較例1及び実施例1〜5は、各工程段階での寸法を測定し、さらに、Ni、Snメッキ形成前に端子表面の外観検査を行った。Ni、Snメッキ後サンプルに関してはプレッシャークッカー槽に投入し121℃−95%の雰囲気下で電圧印加を行う加速耐湿負荷試験を実施した。
試験結果を図14に示す。図14に示すように、本発明の実施例1〜4は、何れも比較例と比較して製品寸法が削減されており、製品最大外形から計算される製品体積が比較例の93%〜95%に削減されている。この削減体積をチップコンデンサの実効機能(静電容量)を確保するセラミック素地部の実効体積の増大に割り当てることが可能となる。図15に、Ni、Snメッキ前の外部電極の外観結果、及び、Ni、Snメッキ後のサンプルの超加速耐湿負荷試験結果を示す。
図15に示すように、比較例1は、全てのサンプルが、素体の端面のコーナー付近で電極が掠れた様な状態となり、異常と判断した。これは、端子電極焼き付け時に端子電極のCuと素体の内部電極のNiが反応した反応層が、端子電極の薄い部分で外観異常として検出されたためと考えられる。また超加速耐湿負荷試験の結果は28%のサンプルに絶縁抵抗不良が発生した。
これに対し、実施例1〜4の電子部品は全て端子外観異常が検出されず、NG率は0%であった。これは図14に記載のF寸法の厚みからも明らかな様に、上記の素体の端面角部分付近の外部電極の厚みが削減されているにもかかわらず、大幅にF寸法が増大した結果、内部電極のNiとの反応層が外観上観察されなくなったためと推定される。実施例1の超加速耐湿負荷試験NG率は、1333ppmと比較例の1/200以下に大幅に改善され、さらに第一ペースト層を2層とした実施例2〜4は更に改善されている。特に実施例3,4はNG品が検出されなかった。これは、メタライザー、スクリーンに対するペースト撥水効果により第一の電極の形成効率が改善された結果を反映していると考えられる。実施例5は、比較例1の端子電極上に本発明の工法を用いて素体の端面のみに1層の電極を付加した物である。図14からも明らかなように、製品寸法、製品体積が僅かに増加しているが、端子外観不良が解消すると供に、超加速耐湿負荷試験NG率も1/400以下に激減し、大幅な信頼性改善効果が得られている。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、第一ペースト層16及び第二ペースト層17を形成した後に第一焼付工程S7にて焼き付けているが、第一ペースト層16を形成して焼き付けた後に、第二ペースト層17を形成してもよい。この場合、焼き付け後に第一焼付電極16aの強度が大幅に改善されるため、第二ペースト層17を形成するに当たって、素体2の整列、配置を行う際の機械的衝撃等による電極の欠陥(擦れ、ハガレ)の発生を防止することができる。
また、上記実施形態では、素体2において、端面2a,2bと側面2cの間の角部分9が湾曲して所定の曲率半径を有するように面取り加工が施されているが、本発明では、素体2の角部分9が必ずしも所定の曲率半径を有するように面取り加工が実施される必要はない。
また、上記実施形態では、第一ペースト層16を素体2の端面2a,2b側に形成した後に、この第一ペースト層16を覆うように第二ペースト層17を浸漬工法にて形成して素体2の側面2cにも導電性ペーストを付与しているが、素体2の側面2c側に導電性ペーストを付与した後(予め素体2の側面2cに導電性ペーストが付与されたもの)に、第一ペースト層16を形成してもよい。具体的には、まず素体2の端面2a,2b及び側面2cに導電性ペーストを例えば浸漬工法にて付与する。このとき、端面2a,2b側に付与された導電性ペーストをブロット工程にて除去又は減少させてもよい。そして、乾燥させて硬化させた(更には焼き付けた)後に、素体2の端面2a,2b側に第一ペースト層形成工程S5の手法にて導電性ペーストを付与する。その後、第一焼付工程S7からメッキ工程12までを行うことで、電子部品1を得ることができる。
また、上記実施形態では、平板42上にスクリーンメッシュを1枚(層)配置する形態について説明したが、スクリーンメッシュを平板42上に複数重ねて配置してもよい。例えば、平板42上にスクリーンメッシュを2枚(2層)配置した場合、素体2の端面2a,2bに付与される第一導電性ペーストP1の量を効果的に増大させることが可能となる。
また、平板42上に配置される複数のスクリーンメッシュのメッシュ密度は、それぞれ異なるものであってもよい。例えば、平板42上に2枚の第1及び第2スクリーンメッシュを重ねて配置する場合において、平板42上に配置した第1スクリーンメッシュのメッシュ密度を粗く、この第1スクリーンメッシュ上に配置した第2スクリーンメッシュのメッシュ密度を細かくした場合には、素体2の端面2a,2bに付与された第一導電性ペーストP1のペースト面をより平坦化することが可能となる。
1…電子部品、2…素体、2a,2b…端面、2c…側面、3,4…外部電極、16…第一ペースト層(ペースト層)、16a…第一焼付電極、17…第二ペースト層、17a…第二焼付電極、18…メッキ層、20,42…平板(部材)、21…凹部、40…スクリーンメッシュ、41…部位(凹部)、S2…平板準備工程(部材準備工程)、S3…ペースト付与工程、S5…第一ペースト層形成工程(ペースト層形成工程)、S7…第一焼付工程、S8…メッキ層形成工程(金属メッキ層形成工程)、S9…酸化熱処理工程(第一熱処理工程、熱処理工程)、S10…還元熱処理工程(第二熱処理工程、熱処理工程)、S11…第二焼付工程、P1…第一導電性ペースト、P2…第二導電性ペースト。

Claims (8)

  1. 一対の端面と前記端面同士を連結する四つの側面を有する素体と、前記素体の前記端面側に形成された外部電極とを備える電子部品の製造方法であって、
    表面に凹凸形状を有する部材を準備する部材準備工程と、
    前記部材の凹部に導電性ペーストが入り込むように付与するペースト付与工程と、
    前記凹部に付与された前記導電性ペーストに前記素体の端面側を押し当ててペースト層を形成するペースト層形成工程と、
    を有することを特徴とする電子部品の製造方法。
  2. 前記部材は、平面上にスクリーンメッシュが配置されることによって構成されていることを特徴とする請求項1記載の電子部品の製造方法。
  3. 前記部材が前記導電性ペーストに対して撥水性を有することを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品の製造方法。
  4. 前記スクリーンメッシュが前記導電性ペーストに対して撥水性を有することを特徴とする請求項3記載の電子部品の製造方法。
  5. 前記ペースト層形成工程の後、前記素体に形成されたペースト層を焼き付けて焼付電極を形成する焼付工程と、
    前記焼付電極の全体を覆うように金属メッキ層を形成するメッキ層形成工程と、
    前記金属メッキ層を加熱処理する熱処理工程と、
    を更に有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の電子部品の製造方法。
  6. 前記熱処理工程は、
    前記金属メッキ層を酸素雰囲気中で加熱処理する第一熱処理工程と、
    前記第一熱処理工程の後、前記金属メッキ層を還元雰囲気中で加熱処理する第二熱処理工程と、
    を含むことを特徴とする請求項5記載の電子部品の製造方法。
  7. 前記第二熱処理工程の後、前記金属メッキ層を焼き付ける第二焼付工程を更に有することを特徴とする請求項6記載の電子部品の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項記載の電子部品の製造方法によって製造された電子部品。
JP2011145824A 2010-08-27 2011-06-30 電子部品の製造方法及び電子部品 Withdrawn JP2012069912A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011145824A JP2012069912A (ja) 2010-08-27 2011-06-30 電子部品の製造方法及び電子部品

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010190923 2010-08-27
JP2010190923 2010-08-27
JP2011145824A JP2012069912A (ja) 2010-08-27 2011-06-30 電子部品の製造方法及び電子部品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012069912A true JP2012069912A (ja) 2012-04-05

Family

ID=46166758

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011145824A Withdrawn JP2012069912A (ja) 2010-08-27 2011-06-30 電子部品の製造方法及び電子部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2012069912A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018116665A1 (ja) * 2016-12-20 2018-06-28 株式会社村田製作所 電子部品およびその製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018116665A1 (ja) * 2016-12-20 2018-06-28 株式会社村田製作所 電子部品およびその製造方法
JP6394846B1 (ja) * 2016-12-20 2018-09-26 株式会社村田製作所 電子部品およびその製造方法
CN110024061A (zh) * 2016-12-20 2019-07-16 株式会社村田制作所 电子部件以及其制造方法
US11398342B2 (en) 2016-12-20 2022-07-26 Murata Manufacturing Co., Ltd Electronic component and manufacturing method for the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6806035B2 (ja) 積層セラミックコンデンサ
JP2012119616A (ja) 電子部品の製造方法及び電子部品
JP2012004480A (ja) 電子部品の製造方法及び電子部品
KR101266343B1 (ko) 세라믹 전자 부품
JP6028739B2 (ja) 電子部品の製造方法
JP4561831B2 (ja) セラミック基板、電子装置およびセラミック基板の製造方法
JP4947076B2 (ja) 電子部品の製造方法
US10811190B2 (en) Multilayer ceramic capacitor, printed circuit board and package
TWI665691B (zh) 積層陶瓷電容器及其製造方法
JP2013165180A (ja) 電子部品及び電子部品の製造方法
KR101964368B1 (ko) 적층 세라믹 콘덴서 및 그 제조 방법
JP2012253077A (ja) 電子部品の製造方法及び電子部品
US11264177B2 (en) Method of manufacturing multilayer ceramic capacitor and multilayer ceramic capacitor
JP5195820B2 (ja) 積層コンデンサの製造方法及び積層コンデンサ
JP5040983B2 (ja) 電子部品の製造方法及び電子部品
JP5136389B2 (ja) 電子部品の製造方法
JP5045734B2 (ja) 電子部品の製造方法及び電子部品
JP2012009556A (ja) セラミック電子部品及びその製造方法
JP5040941B2 (ja) 電子部品の製造方法
JP2010147406A (ja) 電子部品の製造方法
JP4059063B2 (ja) セラミック多層基板およびその製造方法
JP2012069912A (ja) 電子部品の製造方法及び電子部品
JP4513129B2 (ja) 積層セラミック電子部品の製造方法、及び積層セラミック電子部品
JP2022097372A (ja) 積層型電子部品及びその製造方法
JP2011134875A (ja) 電子部品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20140902