JP4059063B2 - セラミック多層基板およびその製造方法 - Google Patents
セラミック多層基板およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4059063B2 JP4059063B2 JP2002327262A JP2002327262A JP4059063B2 JP 4059063 B2 JP4059063 B2 JP 4059063B2 JP 2002327262 A JP2002327262 A JP 2002327262A JP 2002327262 A JP2002327262 A JP 2002327262A JP 4059063 B2 JP4059063 B2 JP 4059063B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ceramic
- green sheet
- ceramic green
- laminate
- multilayer substrate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波モジュールなどに用いられるセラミック多層基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミック多層基板は、複数の基板用グリーンシートを積層したセラミック積層体を焼成することにより製造される。しかし、このセラミック積層体をそのまま焼成すると、基板用グリーンシートが平面方向に収縮してしまうため、設計通りのセラミック多層基板を製造することは困難である。そこで、セラミック積層体の焼結温度では焼結しない収縮抑制用グリーンシートをセラミック積層体の両主面に積層し、セラミック積層体および収縮抑制用グリーンシートを焼成することが行われている。これにより、基板用グリーンシートの平面方向の収縮が抑制される。
【0003】
また、上述したセラミック多層基板の製造方法においては、セラミック積層体および収縮抑制用グリーンシートを焼成した後、未焼結の収縮抑制用グリーンシートを除去し、セラミック多層基板(焼成後のセラミック積層体)を得ている。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
【特許文献1】
特開2000−277914号公報(全頁、全図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したセラミック多層基板の製造方法においては、焼成時に、セラミック積層体と収縮抑制用グリーンシートとの間に、ポーラスな反応層が形成される。この反応層を完全に除去するためには、バレルなどの機械的手段によりセラミック多層基板の主面を研磨する必要があるが、この場合、基板や基板主面上に形成された配線導体を損傷してしまうという問題があった。
【0006】
一方、反応層がセラミック多層基板の主面上に残留すると、セラミック多層基板の信頼性が低下するという問題があった。これは以下の理由による。
【0007】
図5は、主面上に反応層が残留したセラミック多層基板の一部を模式的に示す断面図である。図5に示すように、セラミック多層基板41の一方主面上には配線導体44が形成されるとともに、反応層46が残留している。また、はんだ付け性を高めるために、配線導体44表面はめっき膜45により被覆されている。図5からわかるように、配線導体44の端部44aは、反応層46と接触しているため、めっき膜45により被覆されていない。すると、図5に示すように、ポーラスな反応層46を通じて、配線導体44を構成する金属のマイグレーション(図中矢印)が進行してしまう。このため、セラミック多層基板の信頼性が低下するのである。
【0008】
本発明は、反応層を完全に除去することなく、信頼性の高いセラミック多層基板を製造する方法を提供することを目的とする。
【0011】
本発明に係るセラミック多層基板の製造方法は、ガラスおよびセラミックを含む第1のセラミックグリーンシートを準備する工程と、前記第1のセラミックグリーンシートの焼結温度では焼結しない第2のセラミックグリーンシートを準備する工程と、前記第1のセラミックグリーンシートを積層してなり、少なくとも一方主面上に配線導体を有するセラミック積層体と、前記セラミック積層体の両主面上に配置された前記第2のセラミックグリーンシートと、からなる複合積層体を作製する工程と、前記第1のセラミックグリーンシートが焼結し、前記第2のセラミックグリーンシートが焼結しない温度で、前記複合積層体を焼成する工程と、焼成後の前記複合積層体から、未焼結の前記第2のセラミックグリーンシートを除去し、前記セラミック積層体が焼結してなるセラミック焼結体を得る工程と、前記第1のセラミックグリーンシートに含まれるガラスの軟化温度以上の温度で、前記セラミック焼結体を熱処理する工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、前記セラミック焼結体の少なくとも一方主面上に形成された配線導体の表面に、めっき膜を形成する工程をさらに備えることが好ましい。
【0013】
また、未焼結の前記第2のセラミックグリーンシートを除去する際には、ウェットブラスト、サンドブラスト、ウォータージェット、超音波洗浄の手段のうちいずれかであることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係るセラミック多層基板を示す概略断面図である。図1に示すように、セラミック多層基板11は、複数のガラスセラミック層12を積層してなるセラミック焼結体13からなる。セラミック焼結体13の一方主面上には配線導体14が形成され、配線導体14の表面はめっき膜15により被覆されている。また、セラミック焼結体13の両主面上には反応層16が形成されている。また、ガラスセラミック層12間には内部導体17が形成され、ガラスセラミック層12を積層方向に貫通するようにビア導体18が形成されている。
【0015】
図2は、図1において、セラミック焼結体13の一方主面の様子を拡大して示した部分断面図である。図2に示すように、めっき膜15は、配線導体14の表面を被覆するニッケルからなる第1のめっき膜15aと、第1のめっき膜15aの表面を被覆する金からなる第2のめっき膜15bと、からなるニッケル/金めっき膜である。また、反応層16は、配線導体14の端部14aに接触している。
【0016】
セラミック焼結体13を構成する基板材料としては、例えば、B2O3−SiO2−Al2O3−CaO系ガラスとアルミナとからなるガラスセラミックなどを用いることができる。
【0017】
配線導体14、内部導体17、およびビア導体18を構成する導体材料としては、銀、銅、白金、パラジウムなどの金属を用いることができる。中でも、配線導体14としてマイグレーションが発生しやすい銀を用いた場合、本発明の効果が顕著に発揮される。
【0018】
配線導体14の表面はめっき膜15で被覆されている。これにより、配線導体14上に実装される実装部品のはんだ付け性が向上するとともに、配線導体14を構成する金属のマイグレーションが防止される。本実施形態のように、めっき膜15が、第1のめっき膜15aと第2のめっき膜15bとからなり、第1のめっき膜15aがニッケルからなる場合、配線導体14のはんだ食われを防止することができる。また、第2のめっき膜15bが金からなる場合、特に実装部品のはんだ付け性に優れているため好ましい。なお、第2のめっき膜15bとしては、すずなどを用いてもよい。また、めっき膜15は2層に限らず、1層であってもよいし、3層以上であってもよい。
【0019】
反応層16は、未焼結のセラミックが、セラミック焼結体13から拡散したガラスにより固着されたものからなる。未焼結のセラミックとしては、例えば、アルミナやジルコニアなどを用いることができる。セラミック焼結体13から拡散するガラスは、例えば、上述したB2O3−SiO2−Al2O3−CaO系ガラスなどである。
【0020】
反応層16を構成する未焼結のセラミックは、もともとはポーラスな構造であるが、これがガラスにより固着されるため、反応層16は緻密な構造となる。これにより、配線導体14の端部14aがめっき膜15により直接被覆されなくても、配線導体14を構成する金属のマイグレーションが防止される。
【0021】
なお、セラミック多層基板11においては、セラミック焼結体13の主面上に均一に反応層16が形成されるとは限らず、例えば、反応層16が部分的に生じることもある。この場合、反応層16と配線導体14の端部14aとが接触しない部分が生じうるが、反応層16と接触していない配線導体14の端部14aは、めっき膜15により被覆される。したがって、配線導体14を構成する金属のマイグレーションは問題にならない。
【0022】
次に、本発明に係るセラミック多層基板の製造方法の一例を説明する。
(第1のセラミックグリーンシートを準備する工程)
この工程では、焼成後にセラミック多層基板のセラミック層を構成する第1のセラミックグリーンシートを準備する。まず、出発原料として、ガラス粉末とセラミック粉末とを準備し、これらを混合してガラスセラミック粉末を作製する。ガラス粉末としては、例えば、B2O3−SiO2−Al2O3−CaO系ガラス粉末を用いることができる。セラミック粉末としては、例えば、アルミナ粉末を用いることができる。
【0023】
次に、ガラスセラミック粉末に、適当量のバインダ、溶剤、および分散剤を加えてスラリーを作製する。次に、ドクターブレード法などによりスラリーをシート状に成形し、第1のセラミックグリーンシートを作製する。
【0024】
また、必要に応じて、第1のセラミックグリーンシート上には配線導体が形成される。配線導体は、例えば、スクリーン印刷により、銀、銅、白金、パラジウムなどを含む導体ペーストを第1のセラミックグリーンシート上に印刷することにより形成される。
【0025】
また、必要に応じて、第1のセラミックグリーンシートには第1のセラミックグリーンシートを厚み方向に貫通するビア導体が形成される。ビア導体は、例えば、NCパンチにより第1のセラミックグリーンシートの厚み方向に貫通孔を設け、この貫通孔に、銀や銅などを含む導体ペーストを充填することにより形成される。
【0026】
(第2のセラミックグリーンシートを準備する工程)
第2のセラミックグリーンシートは、第1のセラミックグリーンシートと同様の方法により作製される。ただし、第2のセラミックグリーンシートは、第1のセラミックグリーンシートの焼結温度では焼結しないように構成される。したがって、出発原料としては、第1のセラミックグリーンシートに含まれるガラスセラミック粉末よりも焼結温度の高い、アルミナやジルコニアなどのセラミック粉末が用いられる。
【0027】
(複合積層体を作製する工程)
この工程では、上述した第1、第2のセラミックグリーンシートを積層して、複合積層体を作製する。図3は、この複合積層体を示す部分断面図である。図3に示すように、複合積層体21は、第1のセラミックグリーンシート22を積層してなるセラミック積層体23と、セラミック積層体23の両主面上に配置された第2のセラミックグリーンシート29と、からなる。セラミック積層体23の一方主面上には配線導体24が形成され、第1のセラミックグリーンシート22間には内部導体27が形成され、第1のセラミックグリーンシート22を積層方向に貫通するようにビア導体28が形成されている。
【0028】
複合積層体21を作製する方法としては、あらかじめ第1のセラミックグリーンシート22を積層、圧着してセラミック積層体23を作製しておき、セラミック積層体23の両主面上に第2のセラミックグリーンシート29を積層、圧着する方法が挙げられる。また、第1のセラミックグリーンシート22、第2のセラミックグリーンシート29を積層し、これらを一括して圧着することにより複合積層体21を作製してもよい。
【0029】
(複合積層体を焼成する工程)
この工程では、上述した複合積層体を焼成する。複合積層体は、第1のセラミックグリーンシートが焼結し、第2のセラミックグリーンシートが焼結しない温度で焼成される。例えば、第1のセラミックグリーンシートの出発原料としてB2O3−SiO2−Al2O3−CaO系ガラス粉末とアルミナ粉末とを混合したガラスセラミック粉末、第2のセラミックグリーンシートの出発原料としてアルミナ粉末を選択した場合、複合積層体の焼成温度は900℃前後となる。
【0030】
第1のセラミックグリーンシートは、この温度で焼結するため、平面方向に収縮しようとする。しかし、この温度で焼結しない第2のセラミックグリーンシートは、第1のセラミックグリーンシートの収縮を抑制するように作用する。この結果、焼成後に得られるセラミック多層基板においては、基板の反りや変形が抑えられる。
【0031】
この焼成工程においては、セラミック積層体と第2のグリーンシートとが界面で反応を起こし、ポーラスな反応層が形成される。反応層は、第2のグリーンシートを構成する未焼結のセラミックと、セラミック積層体から拡散したガラスと、からなる。このとき、反応層中のガラスは、反応層とセラミック積層体との界面に近づくにつれ増大するように、傾斜的に分布している。したがって、反応層は、反応層とセラミック積層体との界面から遠ざかるにつれ、よりポーラスな構造となっている。
【0032】
また、このとき、配線導体と第2のグリーンシートとが界面で反応を起こし、別の反応層が形成されることもある。
【0033】
(第2のセラミックグリーンシートを除去する工程)
この工程では、焼成後の複合積層体から、未焼結の第2のセラミックグリーンシートを除去する。これにより、セラミック積層体が焼結してなるセラミック焼結体が得られる。
【0034】
ここでは、セラミック焼結体や配線導体を損傷しない程度に、未焼結の第2のセラミックグリーンシートを除去する。したがって、セラミック焼結体と第2のセラミックグリーンシートとの間に形成されたポーラスな反応層は除去されないまま、セラミック焼結体上に露出する。反応層は、反応層とセラミック焼結体との界面から遠ざかるにつれ、すなわち、反応層の表面に近づくにつれ、よりポーラスな構造となっている。
【0035】
なお、未焼結の第2のセラミックグリーンシートを除去する際に、ポーラスな反応層の一部が除去されることもある。また、配線導体と第2のセラミックグリーンシートとの界面で形成される別の反応層は、それほど配線導体との接合力が高くないため、未焼結の第2のセラミックグリーンシートとともに除去される。
【0036】
上述したように、反応層を残したまま、未焼結の第2のセラミックグリーンシートを除去する手段としては、ウエットブラスト、サンドブラスト、ウォータージェット、超音波洗浄の手段が適している。
【0037】
ウエットブラストの場合は、圧縮空気と水とアルミナなどの砥粒とを、未焼結の第2のセラミックグリーンシートに吹き付ける。サンドブラストの場合は、圧縮空気とアルミナなどの砥粒とを、未焼結の第2のセラミックグリーンシートに吹き付ける。ウォータージェットの場合は、圧縮空気と水とを、未焼結の第2のセラミックグリーンシートに吹き付ける。超音波洗浄の場合は、純水などの洗浄液に焼成後の複合積層体を浸漬し、洗浄液中に所定周波数の超音波を放射する。
【0038】
(セラミック焼結体を熱処理する工程)
この工程では、第1のセラミックグリーンシートに含まれるガラスの軟化温度以上の温度で、セラミック焼結体を熱処理する。これにより、セラミック焼結体に含まれるガラスが軟化して流動化し、ポーラスな反応層に拡散する。そして、このガラスにより反応層が固着され緻密化する。なお、この熱処理の主たる目的は、特にポーラスな反応層表面を緻密化させることにある。
【0039】
第1のセラミックグリーンシートの出発原料として、B2O3−SiO2−Al2O3−CaO系ガラスを用いた場合、このガラスの軟化温度は約750℃であるため、セラミック積層体を800℃以上で熱処理すれば、十分に本発明の作用効果が期待できる。ただし、このときの熱処理の温度は、セラミック焼結体に形成された配線導体に含まれる金属の融点を超えないものとする。例えば、配線導体として銀を用いた場合、熱処理の温度は1000℃以下にする必要がある。
【0040】
(めっき膜を形成する工程)
この工程では、セラミック焼結体の少なくとも一方主面上に形成された配線導体の表面に、めっき膜を形成する。めっき膜としては、例えば、すずめっきやニッケル/金めっきが挙げられる。
【0041】
ニッケル/金めっき膜は、例えば、以下のようにして形成される。まず、セラミック焼結体をアルカリ溶液に浸漬して脱脂を行う。次に、セラミック焼結体をパラジウムイオンを含む溶液に浸漬し、配線導体表面にパラジウムの触媒を付与する。次に、セラミック焼結体を無電解ニッケルめっき液に浸漬し、配線導体表面にニッケルめっき膜を形成する。次に、セラミック焼結体を無電解金めっき液に浸漬し、ニッケルめっき膜表面に金めっき膜を形成する。
【0042】
なお、上述した各工程の間では、セラミック焼結体を水洗する。また、無電解金めっきには、めっき液に還元剤を含まない置換金めっきと、めっき液に還元剤を含む狭義の無電解金めっきとがあり、置換金めっきだけを行う場合や、置換金めっきの後に狭義の無電解金めっきを行う場合などがある。
【0043】
また、無電解金めっきを行う前には、セラミック焼結体を酸洗浄あるいはアルカリ洗浄し、セラミック焼結体表面において配線導体間に付着したパラジウムイオンを除去するとよい。これにより、金めっき膜の異常析出による配線導体間の絶縁抵抗の劣化を防止することができる。
【0044】
【実験例】
以下のようにして、本発明に係るセラミック多層基板を作製し、その評価を行った。
まず、出発原料として、軟化温度が750℃であるB2O3−SiO2−Al2O3−CaO系ガラス粉末と、アルミナ粉末と、を準備した。次に、これらの出発原料を、ガラス粉末50重量%、アルミナ粉末50重量%となるように混合した。次に、得られた混合粉末を、有機バインダーおよび可塑剤とともにトルエンに添加し、ボールミルで混練し、減圧下で脱泡処理を行って、スラリーを作製した。
【0045】
次に、ドクターブレードを用いたキャスティング法により、スラリーをPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に流し込み、厚さ0.1mmのセラミックグリーンシートを作製した。次に、このセラミックグリーンシートを乾燥させた後PETフィルムから剥離し、プレス金型により100mm×100mmのサイズに打ち抜き、これを第1のセラミックグリーンシートとした。
【0046】
次に、1枚の第1のセラミックグリーンシート上に、スクリーン印刷により銀ペーストを印刷して、櫛歯状電極用パターンを形成した。なお、櫛歯状電極については後述する。
【0047】
一方、アルミナ粉末を有機バインダーおよび可塑剤とともにトルエンに添加し、ボールミルで混練し、減圧下で脱泡処理を行って、スラリーを作製した。次に、第1のセラミックグリーンシートと同様の作製方法により、スラリーから100mm×100mmのセラミックグリーンシートを作製し、これを第2のセラミックグリーンシートとした。
【0048】
次に、櫛歯状電極用パターンが形成された第1のセラミックグリーンシートが最上層となるように、第1のセラミックグリーンシートを10枚積層してセラミック積層体を作製した。次に、セラミック積層体の両主面上に、第2のセラミックグリーンシートをそれぞれ5枚ずつ積層し、第1、第2のセラミックグリーンシートを積層方向に圧着して、複合積層体を作製した。
【0049】
次に、複合積層体を900℃で焼成した。次に、焼成後の複合積層体を超音波洗浄槽に入れ、40kHzの超音波を放射し、未焼結の第2のセラミックグリーンシートを除去してセラミック焼結体を得た。
【0050】
このセラミック焼結体の一方主面上には、図4に示すような櫛歯状電極が形成されている。図4に示すように、櫛歯状電極31は、複数の電極指32aを有する第1の端子32と、複数の電極指33aを有する第2の端子33と、からなり、第1の端子32と第2の端子33とは、電極指32a,32a間に電極指32bが配置されるようにして対向している。本実験例では、電極指32a,32bの幅をそれぞれ100μm、電極指32a,32bの間隔を100μmとした。
【0051】
このようにして得られたセラミック焼結体の試料を6つ準備し、それぞれ下記の表1に示す温度で熱処理を行った。なお、試料1については熱処理を行わなかった。
【0052】
次に、各試料をアルカリ脱脂し、水洗した。次に、塩化パラジウム水溶液に各試料を浸漬し、櫛歯状電極表面にパラジウム触媒を付与し、その後各試料を水洗した。
【0053】
次に、硫酸ニッケル、クエン酸、次亜リン酸からなる無電解ニッケルめっき液に各試料を浸漬し、櫛歯状電極表面にニッケルめっき膜を析出させ、その後各試料を水洗した。
【0054】
次に、亜硫酸金からなる置換金めっき液に各試料を浸漬し、ニッケルめっき膜表面に置換金めっき膜を析出させ、その後各試料を水洗した。
【0055】
次に、アンモニウム水溶液に各試料を浸漬し、不要なパラジウムイオンを除去し、その後各試料を水洗した。
【0056】
次に、亜硫酸金、チオ尿素からなる無電解金めっき液に各試料を浸漬し、置換金めっき膜表面に無電解金めっき膜を析出させ、その後各試料を水洗した。
【0057】
以上のようにして、各試料の櫛歯状電極表面にニッケル/金めっき膜を形成した。次に、各試料に形成された櫛歯状電極の両端子間にDC10Vの電圧を印加した状態で、各試料を温度85℃、湿度85%の条件下で1000時間放置し、1000時間後の各試料の絶縁抵抗を測定した。その結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1からわかるように、本実験例で用いられたガラス粉末の軟化温度である750℃以上の温度で熱処理を行った試料3〜6については、絶縁抵抗が109Ω以上と高かった。一方、750℃を下回る温度で熱処理を行った試料1,2については、絶縁抵抗が106Ω以下と低かった。
【0060】
【発明の効果】
本発明に係るセラミック多層基板では、セラミック焼結体の主面上に形成された反応層が、セラミック焼結体から拡散したガラスにより固着されて緻密化している。
【0061】
また、本発明に係るセラミック多層基板の製造方法では、主面上にポーラスな反応層が形成されたセラミック焼結体を、セラミック焼結体に含まれるガラスの軟化温度以上で熱処理することにより、セラミック焼結体から反応層へガラスを拡散させて反応層を緻密化させる。
【0062】
これにより、配線導体端部から反応層を通じて、配線導体を構成する金属のマイグレーションが進行するのを防止することができる。したがって、信頼性の高いセラミック多層基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセラミック多層基板について、その一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】図1に示すセラミック多層基板11において、セラミック焼結体13の一方主面の様子を拡大して示した部分断面図である。
【図3】本発明に係るセラミック多層基板の製造方法で用いられる複合積層体について、その一実施形態を示す部分断面図である。
【図4】第1のグリーンシートの主面上に形成される櫛歯状電極を示す平面図である。
【図5】従来のセラミック多層基板について、その一方主面の様子を拡大して示した部分断面図である。
【符号の説明】
11 セラミック多層基板
12 ガラスセラミック層
13 セラミック焼結体
14 配線導体
14a 配線導体の端部
15 めっき膜
15a 第1のめっき膜
15b 第2のめっき膜
16 反応層
21 複合積層体
22 第1のセラミックグリーンシート
23 セラミック積層体
24 配線導体
29 第2のセラミックグリーンシート
Claims (3)
- ガラスおよびセラミックを含む第1のセラミックグリーンシートを準備する工程と、
前記第1のセラミックグリーンシートの焼結温度では焼結しない第2のセラミックグリーンシートを準備する工程と、
前記第1のセラミックグリーンシートを積層してなり、少なくとも一方主面上に配線導体を有するセラミック積層体と、前記セラミック積層体の両主面上に配置された前記第2のセラミックグリーンシートと、からなる複合積層体を作製する工程と、
前記第1のセラミックグリーンシートが焼結し、前記第2のセラミックグリーンシートが焼結しない温度で、前記複合積層体を焼成する工程と、
焼成後の前記複合積層体から、未焼結の前記第2のセラミックグリーンシートを除去し、前記セラミック積層体が焼結してなるセラミック焼結体を得る工程と、
前記第1のセラミックグリーンシートに含まれるガラスの軟化温度以上の温度で、前記セラミック焼結体を熱処理する工程と、
を備えることを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。 - 前記セラミック焼結体の少なくとも一方主面上に形成された配線導体の表面に、めっき膜を形成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のセラミック多層基板の製造方法。
- 未焼結の前記第2のセラミックグリーンシートを除去する際に、ウェットブラスト、サンドブラスト、ウォータージェット、超音波洗浄の手段のうちいずれかであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のセラミック多層基板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002327262A JP4059063B2 (ja) | 2002-11-11 | 2002-11-11 | セラミック多層基板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002327262A JP4059063B2 (ja) | 2002-11-11 | 2002-11-11 | セラミック多層基板およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004165295A JP2004165295A (ja) | 2004-06-10 |
JP4059063B2 true JP4059063B2 (ja) | 2008-03-12 |
Family
ID=32805955
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002327262A Expired - Lifetime JP4059063B2 (ja) | 2002-11-11 | 2002-11-11 | セラミック多層基板およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4059063B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109413857A (zh) * | 2018-11-09 | 2019-03-01 | 博罗康佳精密科技有限公司 | 一种高频高速板的制作工艺 |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006303437A (ja) * | 2005-03-24 | 2006-11-02 | Hitachi Metals Ltd | 多層セラミック基板およびその製造方法 |
JP4820149B2 (ja) * | 2005-11-16 | 2011-11-24 | 日本特殊陶業株式会社 | 導電性ペーストの製造方法および配線基板の製造方法 |
WO2008053956A1 (en) * | 2006-11-02 | 2008-05-08 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Ceramic substrate, electronic device and method for producing ceramic substrate |
JP4885749B2 (ja) * | 2007-01-26 | 2012-02-29 | 日本碍子株式会社 | セラミックス積層基板の製造方法 |
TW200932081A (en) * | 2008-01-11 | 2009-07-16 | Murata Manufacturing Co | Multilayer ceramic substrate, method for manufacturing multilayer ceramic substrate and method for suppressing warpage of multilayer ceramic substrate |
DE112009000006T5 (de) * | 2008-03-03 | 2010-01-21 | Murata Manufacturing Co. Ltd., Nagaokakyo-shi | Verfahren zum Herstellen eines Keramiksubstrats und Keramiksubstrat |
US8039385B1 (en) * | 2010-09-13 | 2011-10-18 | Texas Instruments Incorporated | IC devices having TSVS including protruding tips having IMC blocking tip ends |
JP6624282B2 (ja) | 2016-04-28 | 2019-12-25 | 株式会社村田製作所 | 多層セラミック基板 |
-
2002
- 2002-11-11 JP JP2002327262A patent/JP4059063B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109413857A (zh) * | 2018-11-09 | 2019-03-01 | 博罗康佳精密科技有限公司 | 一种高频高速板的制作工艺 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004165295A (ja) | 2004-06-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8756775B2 (en) | Method for smoothing a surface of an electrode | |
JP4059063B2 (ja) | セラミック多層基板およびその製造方法 | |
CN111096090B (zh) | 陶瓷基板的制造方法、陶瓷基板以及模块 | |
KR101175412B1 (ko) | 적층형 세라믹 전자부품의 제조방법 | |
JPH06100377A (ja) | 多層セラミック基板の製造方法 | |
JP5045734B2 (ja) | 電子部品の製造方法及び電子部品 | |
JP5229316B2 (ja) | セラミック基板の製造方法 | |
JP2955442B2 (ja) | セラミックス回路基板の製造方法 | |
JP4028810B2 (ja) | 多層配線基板の製造方法 | |
US8241449B2 (en) | Method for producing ceramic body | |
JP3886791B2 (ja) | 多層配線基板の製造方法 | |
JP4048974B2 (ja) | 多層セラミック基板を備える電子部品の製造方法 | |
JP4693284B2 (ja) | 多層配線基板およびその製造方法 | |
JP3909189B2 (ja) | ガラスセラミック基板の製造方法 | |
JP3825224B2 (ja) | ガラスセラミック基板の製造方法 | |
JP2004165294A (ja) | 電子部品およびその製造方法 | |
JP3909195B2 (ja) | ガラスセラミック基板の製造方法 | |
JP2006253563A (ja) | 電子部品の製造方法、焼成方法 | |
JP2004146701A (ja) | ガラスセラミック基板の製造方法 | |
JP4610185B2 (ja) | 配線基板並びにその製造方法 | |
JP3554195B2 (ja) | 配線基板 | |
JP3850243B2 (ja) | ガラスセラミック基板の製造方法 | |
JP2006100498A (ja) | セラミック電子部品の製造方法 | |
JP3850245B2 (ja) | ガラスセラミック基板の製造方法 | |
JP3748400B2 (ja) | ガラスセラミック基板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050908 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070828 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071017 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20071127 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20071210 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101228 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4059063 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101228 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111228 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111228 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121228 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131228 Year of fee payment: 6 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |