JP2012068579A - フォトマスクのクリーニング方法及びフォトマスクのクリーニング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フォトマスクに照射される露光量に応じて定期的にフォトマスクのクリーニング処理を行なう。具体的には真空チャンバ1内のステージ3上に試料2としてのフォトマスク基板を載置し、作業用ガスとして還元性ガスを真空チャンバ1内に導入する。プラズマ生成用のRF電源7及びプラズマイオンの入射エネルギ調整用のRF電源24に高周波電力を印加してプラズマを発生させ、還元性ガスをラジカル化し、露光によりフォトマスクの遮光層に取り込まれた酸素原子を、酸化還元反応によって引き出すことにより、酸化層を除去する。
【選択図】 図2
Description
近年、大規模集積回路(LSI)などの半導体デバイスの高集積化に伴って、回路パターンのさらなる微細化が進んでいる。このような微細な回路パターンを実現するためには、回路を構成する配線パターンやコンタクトホールパターンの細線化が要求されている。これらのパターニングは、フォトマスクを用いた光リソグラフィにより行なわれるため、原版となるフォトマスクパターンも微細且つ高精度に形成する技術が求められている。
しかしながら、近年の光リソグラフィで転写される回路パターンのサイズは、露光波長(例えば、先端の露光装置の場合、波長193〔nm〕)以下のサイズとなっており、露光の際に生じる光の干渉や回折、収差などの影響で、フォトマスクパターン通りの形状を、半導体基板上のレジスト膜に転写することは困難である。
半導体デバイスの原版となるフォトマスクには、大きく分けて、従来構造のバイナリー型フォトマスク、MoSiバイナリー型フォトマスク、ハーフトーン型位相シフトフォトマスクが存在する。
<従来構造のバイナリー型フォトマスクの作製方法の説明>
従来構造のバイナリー型フォトマスクの作製方法は次のとおりである。
まず、透明基板上にCrなどの遮光層が設けられたフォトマスクブランク上に電子線レジスト膜を塗布し、このレジスト膜に電子ビームでパターンを描画し、レジスト膜を現像してレジストパターンを得る。
次いで、このレジストパターンをエッチングマスクとして、ドライエッチング加工により遮光部と透光部とからなるフォトマスクパターンを形成する(例えば、非特許文献1参照。)。
さらに、近年マスクパターンの微細化に伴い、レジストを薄膜化することでレジストパターンの解像性を向上させる必要が出てきている。しかしながら、上記の従来構造のバイナリー型フォトマスクの作製方法では、遮光層とレジストのドライエッチング選択比(遮光層のエッチング速度÷レジストのエッチング速度)が小さいために、レジストの薄膜化には限界がある。
これを回避するために、新しい構造のバイナリー型フォトマスクが提案されている。
これは、遮光層を、従来のCr層ではなくMoSi層を主材料とし、さらにレジストとMoSi層との間に、Crなどの無機材料からなる薄いハードマスク層を設けたものである(例えば、特許文献1参照)。
上記タイプのバイナリー型フォトマスクの作製方法は次のとおりである。
まず、上述した構造の、MoSiバイナリー型フォトマスクブランク上に電子線レジスト膜を塗布し、このレジスト膜に電子ビームでパターンを描画し、このレジスト膜を現像してレジストパターンを得る。
次いで、このレジストパターンをエッチングマスクとして、ドライエッチング加工により、ハードマスク層のパターニングを行なう。次いで、パターニングされたハードマスク層を、エッチングマスクとして、ドライエッチング加工により遮光層のパターニングを行う。最後に、残ったハードマスク層を剥離して、遮光部(MoSi残し部)と透光部(開口部)とからなるフォトマスクパターンを得る。
次に、ハーフトーン型位相シフトフォトマスクの作製方法は、上述したMoSiバイナリー型フォトマスクと基本的に同じである。
その理由は、基本構造(材料を積層する順序など)が同じであるためである。ただし、各層の組成や各層の膜厚などは異なるため、加工条件(ガス種、圧力、電力など)はブランクに合わせて最適化する必要がある。
以上のようにしてパターニングされたフォトマスクは、レジスト剥離液、硫酸、アンモニア水、過酸化水素水、オゾン水、温純水などにより洗浄され、異物付着防止のためのペリクルが貼られフォトマスクとして完成する。
そのため、露光工程におけるフォトマスクのパターン寸法変動を抑えるための良策が求められていた。
本発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、露光におけるフォトマスクパターン寸法変動を抑制することの可能なフォトマスクのクリーニング方法及びフォトマスクのクリーニング装置を提供することを目的としている。
また、請求項2に記載の発明は、前記還元性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、当該プラズマ状態の還元性ガスを用いて前記表面処理を行なうことを特徴としている。
さらに、本発明の請求項4に記載の発明は、フォトマスク及び電極が配置される真空チャンバと、前記真空チャンバ内に還元性ガスを供給する還元性ガス供給手段と、前記真空チャンバ内を排気して所定の圧力に維持する圧力制御手段と、前記電極に高周波電力を印加して前記還元性ガスをプラズマ状態とするプラズマ発生手段と、を備えることを特徴としている。
また、請求項5に記載の発明は、前記プラズマ発生手段はプラズマ生成用の高周波電源を有し、当該高周波電源の周波数帯は、200kHz〜3GHzであることを特徴としている。
<クリーニング装置の構成>
図1は、本発明におけるクリーニング装置の実施形態の一例を示す概略断面図である。
図1において、1は真空チャンバであって、真空チャンバ1内には、試料2となるフォトマスク基板を載置するためのステージ3と、ステージ3の上方に配置された上部電極としてのアノード電極4と、上部電極の対向電極となる下部電極5とが設けられ、下部電極5は、ステージ3の直下の、ステージ3を挟んでアノード電極4と対向する位置に設けられて接地されている。
前記真空チャンバ1には、ガス供給口1aと、このガス供給口1aと対向する位置にガス排気口1bとが形成されている。ガス供給口1aには、マスフローコントローラ11を介してプラズマ発生用の図示しない材料ガス供給源が接続され、マスフローコントローラ(還元性ガス供給手段)11は真空チャンバ1への材料ガスの供給流量を制御する。ガス排気口1bには、圧力制御バルブ12及び真空ポンプ13が接続され、圧力制御バルブ12及び真空ポンプ13を制御することにより、真空チャンバ1内の圧力を所望の圧力に一定に保つようになっている。なお、圧力制御バルブ12及び真空ポンプ13が圧力制御手段に対応している。
一般に、プラズマを生成するためのアノード電極4は、電極形状によっていくつかの放電方式(例えばICP放電など)があるが、本実施形態では電極形状や放電方式は問わない。
この図2におけるクリーニング装置は、図1に示すクリーニング装置において、下部電極5に替えてカソード電極21を備える。なお、図2において、図1と同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
図2に示すように、カソード電極21はステージ3直下に設けられ、さらにこのカソード電極21には、直流成分をカットし交流成分のみを通過させるブロッキングコンデンサ22とインピーダンスの整合を行なう整合器(Matching Box)23とを介して、プラズマイオンの入射エネルギ調整用のRF電源(高周波電源)24が接続され、RF電源24は接地されている。
この図3におけるクリーニング装置は、図2に示すクリーニング装置において、アノード電極4に替えて上部電極25を備える。なお、図3において、図2と同一部には同一符号を付与している。
図3に示すように、カソード電極21とステージ3を挟んで対向する位置に上部電極25が設けられ、この上部電極25は接地されている。また、RF電源24は、プラズマ発生用の高周波電力をカソード電極21に印加する。
しかしながら、プラズマ密度と試料2としてのフォトマスク基板への正イオンの入射エネルギとを独立に制御することのできる、アノード電極4及びカソード電極21を共に備える構成が好ましい。
次に、本発明のクリーニング装置によるクリーニング処理の手順を説明する。
ここでは、アノード電極4とカソード電極21との両方を備えた図2に示すクリーニング装置を例にとってクリーニング処理の処理手順を説明する。
まず、半導体リソグラフィ用の露光機でウェハ転写に使用されて、パターン寸法変動を起こしたフォトマスクをステージ3上に配置する。
ついで、圧力制御バルブ12及び真空ポンプ13を制御して真空チャンバ1内を数〔mTorr〕以下の圧力に真空引きする。その後、プラズマ発生用の材料ガスとして還元性ガスをマスフローコントローラ11にて一定流量導入し、1〜100〔mTorr〕の範囲で、真空チャンバ1内の真空度を一定に保持する。
前記プラズマ発生用の材料ガスとして還元性ガスを用いる理由は、ウェハ露光によるフォトマスクパターンの寸法変動は露光時の酸化によるものと考えられることから、脱酸素反応を進行させるためである。
ついで、プラズマ生成用のRF電源7により、概ね50〜1000〔W〕の電力をアノード電極4に印加しプラズマ放電15を生じさせる。
このときアノード電極4に印加する電力量は、プラズマ放電15が生じる範囲であればよいが、高電力であるほど処理速度を早くすることができる。また、プラズマ生成用のRF電源7は、200〔kHz〕〜3〔GHz〕の範囲の周波数帯を使用することができる。
ついで、試料2としてのフォトマスク基板が置かれたカソード電極21に、このカソード電極21に接続されたイオンの入射エネルギ調整用のRF電源24から3〜200〔W〕の電力を印加する。この印加電力が高い場合には、処理時間を短くできる反面、試料2であるフォトマスク基板へのダメージが発生しやすく、逆に印加電力が低い場合には試料2であるフォトマスク基板へのダメージを低減することができるが、期待したクリーニング(寸法の回復)が進まない場合がある。RF電源7によるプラズマ生成用の高周波電力量及びRF電源24によるプラズマイオンの入射エネルギ調整用の高周波電力量は、試料2としてのフォトマスク基板の材料や使用する還元性ガスの種類に応じて適宜設定すればよい。
このようなプラズマ処理であれば、フォトマスク基板を常温(処理時間が長い場合でも100度以下)に保ったままの処理が可能となるので、フォトマスク基板の応力変化は発生しない。そのため、フォトマスクのパターン位置精度の低下は起こらない。また、膜材料(CrやMoSi)の石英基板への熱拡散も発生しないため光学特性の低下もない。
以上のクリーニング処理によれば、ウェハ露光によってフォトマスクの膜材料(CrやMoSi)に取り込まれた酸素原子を、酸化還元反応によって引き出すことが可能となるため、ウェハ露光によりフォトマスクにパターン寸法の変化が生じる前の状態に回復させることができる。
<1>MoSiハーフトーン型位相シフトフォトマスクの作製
初めに、露光やクリーニングのテストを行なうための、透過率6%のMoSiハーフトーン型位相シフトフォトマスクを作製した。その作製方法は図4に示す通りである。
まず、6インチ角の石英ガラス基板101上に遮光層としてのMoSi層102とハードマスク層としてのCr層103とをこの順に成膜してフォトマスク用ブランク105を作製した(図4(a))。そして、この形成したフォトマスク用ブランク105を、オゾン水を用いた洗浄液で洗浄した。
しかる後、電子線描画機(JBX9000/日本電子株式会社製)を用いてパターンサイズ50〜2000〔nm〕のパターンを描画した。この描画後、PEB及び現像装置(SFG3000/シグマメルテック社製)を用いて、PEB(Post Exposure Bake:照射後ベーク)及び現像を行い、レジストパターン106aを形成した(図4(c))。
続いて、C2F6を用いたドライエッチング装置でMoSi層102をエッチングし(図4(f))、MoSi層102上に残ったCr層103を剥離し、ウェット洗浄にて最終洗浄を行なった(図4(g))。これにより、MoSi層102にパターンが形成されたフォトマスク110を得た。
上述のようにして作製したフォトマスク110に対し、露光前にターゲットパターンの素子寸法を測長走査型電子顕微鏡(CD−SEM(Critical Dimension-Scanning Electron Microscope))にて測定した。その後、加速露光機によりこのフォトマスク110用いて露光を行い、10〔kJ〕の露光量毎に、露光前に測定した箇所と同一個所をCD−SEMで測定し、さらに50〔kJ〕の露光量毎には、前述の本発明によるクリーニング処理を行なった。前記加速露光機は、リソテックジャパン株式会社製の露光装置(光源ArFエキシマレーザ、波長193〔nm〕、最大パルスエネルギー250〔mJ〕)を用いた。
図5において横軸は露光量〔kJ〕、縦軸は寸法太り量〔nm〕すなわちフォトマスク上に形成されているMoSi層102のパターン寸法の変動量(増加量)を表す。
図5に示すように、露光量に比例して寸法太りが増加していくことがわかる。概ね、露光量10〔kJ〕で約1〔nm〕の太りが生じることが確認できた。露光量50〔kJ〕に到達した時点で本発明によるクリーニング処理を施すと、それまでの太り量が解消され、露光前のパターン寸法に回復することが確認できた。
それ以降も、露光すると寸法太りが発生するが、50〔kJ〕毎に前記クリーニング処理を施すことによりそれまでの太り量が解消されるため、パターン寸法変動を5〔nm〕以内に抑えることができた。
実際の運用では、製造したい半導体デバイスのパターン寸法変動の許容範囲に応じてクリーニング処理の実行頻度を設定すればよい。
前記<1>での手順にしたがって作製したフォトマスクについて、前記露光を行なう前、100〔kJ〕の露光後、さらに前記クリーニング処理を施した後の、フォトマスクの断面形状を透過電子顕微鏡(TEM)によって観察したところ、図6に示すように、露光後には、遮光層としてのMoSi層202に、約11〔nm〕程度の酸化層203が形成されていることが確認され(図6(b))、また、前記クリーニング処理後には酸化層が除去され(図6(c))、露光前(図6(a))と変わらない断面形状であることが確認できた。なお、クリーニング処理の条件は、前記<2>でのクリーニング条件と同一条件とした。
なお、図6において、201は石英基板、202はMoSi層、203は露光により形成される酸化層である。
前記<1>でのMoSiハーフトーン型位相シフトフォトマスクの作製手順と同様の手順で、MoSiバイナリー型フォトマスクを作製し、上記<2>での加速露光テスト及びクリーニング処理、<3>でのフォトマスクの断面形状の評価を同様の手順で行い、露光によるパターン寸法の変動量と、前記本発明によるクリーニング処理によるパターン寸法の回復量とを、CD−ESMにより測定し、上記と同様に、露光前、露光後、クリーニング処理後の断面形状を透過電子顕微鏡にて観察した。その結果、露光によるパターン寸法の変動量は、10〔kJ〕あたり約0.4〔nm〕であって、露光量に比例して増加する傾向が見られた。また本発明による前述のクリーニング処理によって、露光前の寸法に回復することも確認できた。
フォトマスクの断面形状についても、露光後には酸化膜層が形成されていることが確認されたが、クリーニング処理を施した後、酸化間層が除去されていることが確認できた。
1a ガス供給口
1b ガス排気口
3 ステージ
4 アノード電極
5 下部電極
6 整合器
7 プラズマ発生用のRF電源
11 マスフローコントローラ
12 圧力制御バルブ
13 真空ポンプ
21 カソード電極
22 ブロッキングコンデンサ
23 整合器
24 プラズマイオンの入射エネルギ調整用のRF電源
25 上部電極
101 フォトマスクの石英基板
102 MoSi層
103 Cr層
105 フォトマスク用ブランク
106 レジスト
110 フォトマスク
201 フォトマスクの石英基板
202 MoSi層
203 酸化層
Claims (5)
- ウェハ露光工程に用いられるフォトマスクのクリーニング方法であって、
前記ウェハ露光工程後に、還元性ガスを用いて前記フォトマスクの表面処理を行なうことを特徴とするフォトマスクのクリーニング方法。 - 前記還元性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、当該プラズマ状態の還元性ガスを用いて前記表面処理を行なうことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクのクリーニング方法。
- 前記還元性ガスは、H2、CO、CH4、HF、HClの少なくとも何れか1つであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のフォトマスクのクリーニング方法。
- フォトマスク及び電極が配置される真空チャンバと、
前記真空チャンバ内に還元性ガスを供給する還元性ガス供給手段と、
前記真空チャンバ内を排気して所定の圧力に維持する圧力制御手段と、
前記電極に高周波電力を印加して前記還元性ガスをプラズマ状態とするプラズマ発生手段と、を備えることを特徴とするフォトマスクのクリーニング装置。 - 前記プラズマ発生手段はプラズマ生成用の高周波電源を有し、
当該高周波電源の周波数帯は、200kHz〜3GHzであることを特徴とする請求項4記載のフォトマスクのクリーニング装置。
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