JP2004138651A - 洗浄・検査装置および洗浄・検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細パターンが形成されたマスクの洗浄を適度にかつ効率よく行うことができる洗浄・検査装置と洗浄・検査方法を提供する。
【解決手段】露光用のマスクが収納されるチャンバー6と、チャンバー内を減圧する減圧手段20、22と、マスク14への付着物と反応するラジカルをチャンバー内に供給するラジカル供給手段8、9と、チャンバー内のマスク14に電子線を照射する電子線照射手段3、4と、電子線照射によりマスクから放出される二次電子16を観測する二次電子検出手段7と、二次電子像からパターンの線幅を測定する線幅測定手段1、2と、線幅の測定結果からマスクに付着した付着物の量を算出する演算手段2とを有する洗浄・検査装置と、それを用いる洗浄・検査方法およびマスクの洗浄・検査方法。
【選択図】 図1
【解決手段】露光用のマスクが収納されるチャンバー6と、チャンバー内を減圧する減圧手段20、22と、マスク14への付着物と反応するラジカルをチャンバー内に供給するラジカル供給手段8、9と、チャンバー内のマスク14に電子線を照射する電子線照射手段3、4と、電子線照射によりマスクから放出される二次電子16を観測する二次電子検出手段7と、二次電子像からパターンの線幅を測定する線幅測定手段1、2と、線幅の測定結果からマスクに付着した付着物の量を算出する演算手段2とを有する洗浄・検査装置と、それを用いる洗浄・検査方法およびマスクの洗浄・検査方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は洗浄・検査装置と洗浄・検査方法に関し、特に、リソグラフィに用いられるマスクの洗浄・検査装置と洗浄・検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、集積回路の高密度化に伴い、微細パターン形成技術の主流をなしてきたフォトリソグラフィはその限界が指摘され、この限界を打ち破るものとして電子線によるリソグラフィが急速に進歩している。電子線露光装置のうち、電子線投影露光装置や電子線近接露光装置では所定のパターンが形成されたマスクを介して、電子線露光が行われる。
【0003】
電子線露光に用いられるマスクには、ステンシルマスクとメンブレンマスクがある。ステンシルマスクは薄膜に所定のパターンで開口部が形成されたマスクであり、開口部を電子線が通過する。メンブレンマスクは薄膜上に所定のパターンで電子線散乱体が設けられたマスクであり、電子線散乱体が形成されていない部分を電子線が透過する。
【0004】
電子線投影露光装置や電子線近接露光装置では、入射電子あるいは散乱電子と残留ガスとの反応、あるいはそのような電子とレジストからのアウトガスとの反応により、ステンシルマスクやメンブレンマスクに炭化水素系の汚染物が付着する。このような付着物が蓄積すると、マスクの開口幅(マスクのパターンの線幅)が狭くなり、電子線の透過軌道幅が縮小される。
【0005】
このような電子線の作用によって発生した汚染物を除去する方法として、薬液(例えば有機溶剤)による処理と、特許文献1〜6に記載されているようなプラズマ等による処理(ドライプロセス)が挙げられる。
【0006】
特許文献1には、真空処理チェンバ内の汚染を減少させるための方法が開示されている。この方法によれば、汚染物と反応してその汚染物より揮発性の化合物を形成すべく選択されたガスを、真空処理チェンバ内に導入し、その揮発性の化合物を真空チェンバから除去する。
【0007】
特許文献2には汚染物の除去と電子線露光の両方を行う電子線露光方法が開示されている。この方法によれば、電子線露光装置のコラム内にコラムの軸方向に沿って電極を挿入し、該電極とコラム内壁との間に高周波電圧を印加することにより、該コラム内にガスプラズマを発生させて、コラム内壁面の付着物をアッシング除去し、その後、引き続き露光処理を行う。
【0008】
特許文献3には、荷電粒子線照射装置内の部品表面の汚染物を、下地に損傷を与えずに清浄化する方法が開示されている。この方法によれば、荷電粒子線の照射が行われる真空室に対して接続された放電室内で活性種を発生させ、活性種を真空室に導入して真空室内を清浄化する。
【0009】
特許文献4には、洗浄機能付き荷電粒子線装置および荷電粒子線装置の洗浄方法が開示されている。この装置によれば、特許文献3記載の方法において、活性種源から離れたところで洗浄能力が失われる問題を解決するため、内部汚染物除去用ガスが所定の洗浄部分を通過するように、内部汚染物除去用ガスの流路制御手段が設けられている。
【0010】
特許文献5には、プラズマによりマスクの静電気を除去してからマスクの検査を行うマスク検査装置が開示されている。走査型電子顕微鏡を用いるマスクの欠陥検査において、マスクの帯電は電子線のドリフトやコントラストの変化の要因となり、高分解能の像観察を困難とする。特許文献5記載の装置は、マスクの観察が行われるチャンバー以外に、予備排気されたサブチャンバーを有し、サブチャンバー内でプラズマの発生と、プラズマによるマスクの電荷の中和が行われる。
【0011】
特許文献6には、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡等の荷電粒子線装置のチャンバー、試料および試料ステージを同時に清浄化する方法が開示されている。この方法によれば、酸素ラジカルを発生させて炭化水素系の汚染物の除去を行う。
【0012】
電子線露光装置で繰り返し使用され、炭化水素系の付着物が蓄積したマスクは、開口幅が狭くなるため、例えば上記のような方法によって清浄化される。マスクへの汚染物の付着や、付着した汚染物の除去は、マスクの線幅を測定することによって確認される。
【0013】
図5のフローチャートは、露光によりマスクに付着した汚染物を除去するための従来のプロセスを示す。以下、図5のフローチャートについて説明する。
ステップ1(ST1)
処理を開始する。
ステップ2(ST2)
マスクに形成されたパターンの線幅を測定し、測定値を初期値とする。この線幅測定は、走査型電子顕微鏡等を用いるマスク検査装置で行う。
【0014】
ステップ3(ST3)
電子線露光装置において、マスクを用いた電子線投影露光を行う。通常、マスクに付着物が蓄積するまで、複数回のショット(成形ビームによる露光)が行われる。
ステップ4(ST4)
マスクに所定のショット数の露光が行われた後、マスクに付着した汚染物を除去する。予め、露光にマスクを使用した回数とマスクの線幅との関係を、実験および/またはシミュレーションにより調べておく。これに基づいて、付着物の蓄積が許容されなくなる所定の回数を設定する。
【0015】
ステップ5(ST5)
付着物が除去されたマスクでパターンの線幅を測定する。この線幅測定は、走査型電子顕微鏡等を用いるマスク検査装置で行う。
ステップ6(ST6)
測定されたパターンの線幅が許容できるか判定する。例えば、初期値の±x%以内(xはその露光に要求される精度等に基づいて設定される値とする。)を許容範囲とする。線幅が許容範囲内であれば、ステップ3以降を繰り返す。線幅が許容されなければ、ステップ4で再び付着物の除去を行う。
【0016】
【特許文献1】
特開昭60−77340号公報
【特許文献2】
特開昭61−20321号公報
【特許文献3】
特開平5−144716号公報
【特許文献4】
特開平8−139010号公報
【特許文献5】
特開2002−131887号公報
【特許文献6】
米国特許第6105589号明細書
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、電子線露光装置では、マスクに炭化水素系の汚染物が蓄積し、マスクの開口幅が狭くなる問題がある。しかしながら、このような汚染物を除去するため、有機溶剤等の薬液を用いてマスクを洗浄すると、パターンが崩壊しやすい。ステンシルマスクやメンブレンマスクは、薄膜に微細パターンが形成された構造を有するため、適切な洗浄条件の設定が困難である。
【0018】
薬液によるマスクのエッチングを抑制しようとすると、パターン間に付着した汚染物を十分に除去できないことが多く、逆に、付着した汚染物を十分に除去しようとすると、マスクがエッチングされる。微細パターンが形成されたマスクでは、マスクがわずかにエッチングされただけで、パターンの崩壊が起こる。
【0019】
また、特許文献1〜4および6では、真空チェンバ内部品や絞りに付着する汚染物の除去を目的としており、これらの文献に記載された方法または装置は、ステンシルマスクやメンブレンマスクにおいてパターンの破損を防止し、かつ短時間で効率よく汚染物を除去するために最適化されたものではない。
【0020】
例えば、特許文献1記載の方法および装置では、ガス自身の反応性のみを利用して汚染物を除去または減少させるだけであり、汚染物の除去効率が低いという問題がある。一方、特許文献2記載の方法では、コラム室内の静電偏向器等の部品の表面に付着した汚染物を除去する際、コラム室内のプラズマによるイオン衝撃や、これに伴う温度上昇が、被洗浄物に損傷を与えやすいという問題がある。
【0021】
特許文献3および4記載の装置および方法では、プラズマ中のイオンによる被洗浄物あるいはその下地の損傷を防止するため、荷電粒子線の照射が行われる真空室と別に設けられた放電室で活性種を発生させている。しかしながら、これらの装置は電子線露光等を行う荷電粒子線装置であり、マスクの線幅を指標として汚染物の付着あるいは除去を確認することは特に示されていない。
また、特許文献6においても、酸素ラジカルを用いた汚染物の除去は開示されているが、マスクの線幅を測定することは記載されていない。
【0022】
特許文献5には、プラズマによりマスクの静電気を除去してからマスクの検査を行うことが記載されているが、検査の対象はステンシルマスクよりも強度的な問題が少ないフォトマスクである。ステンシルマスクにプラズマを照射すると、前述したようなイオンの衝撃が問題となる。
【0023】
したがって、特許文献5記載のマスク検査装置はステンシルマスクの検査には適さない。また、特許文献5記載の装置では、マスクの帯電によるドリフト等を防止するため、マスクにプラズマを照射しており、マスクに付着した汚染物の除去は行われない。
【0024】
電子線露光等の荷電粒子線露光に用いられるマスクにおいて、パターンの破損を起こさずに付着物を除去するには、付着物の除去による開口幅の復元程度をモニターしながら、マスクを洗浄することが望ましい。また、開口幅をモニターしながら洗浄を行うことにより、過剰な洗浄が避けられ、短時間で効率よく汚染物を除去できる。上記の特許文献1〜6記載の方法または装置では、いずれもそのような洗浄処理を行うことができない。
【0025】
また、図5に示すフローによれば、汚染物の除去が行われる装置内では、マスクへの汚染物の付着量を正確に把握できない。マスクの使用状況によっては、汚染物の付着量が変化するため、洗浄処理の適切な条件を設定するのが困難となる。したがって、汚染物の除去(ステップ4)と、その効果の検証のための線幅測定(ステップ5)を、線幅が許容範囲内となるまで繰り返し実行しなければならなかった。特に、マスクの洗浄と線幅測定とを別の装置内で行うため、効率が悪く、処理の負担が大きかった。
【0026】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、したがって本発明は、微細パターンが形成されたマスクの洗浄を適度にかつ効率よく行うことができる洗浄・検査装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、微細パターンを破損させずに、付着物の除去を効率よく行うことができる洗浄・検査方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、マスクに形成された微細パターンを破損させずに、付着物の除去を効率よく行うことができるマスクの洗浄・検査方法を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の洗浄・検査装置は、洗浄および検査の対象物が収納されるチャンバーと、前記チャンバー内を減圧する減圧手段と、前記対象物への付着物と反応して前記付着物を揮発させるラジカルを、前記チャンバー内に供給するラジカル供給手段と、前記チャンバー内に収納された前記対象物に電子線を照射する電子線照射手段と、電子線の照射により前記対象物から放出される二次電子を観測する二次電子検出手段と、前記二次電子検出手段によって検出された二次電子像から、前記対象物の少なくとも一部の形状を認識する検査手段とを有することを特徴とする。
【0028】
これにより、ラジカルの供給によって付着物を揮発させる処理と、電子線の照射により形状を認識する処理とを、同一の装置内で行うことが可能となる。したがって、洗浄用の装置と検査用の装置の間で装置間を搬送したり、各装置に対象物を搬入するごとに装置内の雰囲気を調節したりする必要がなくなるだけでなく、洗浄の効果を確認しながら洗浄を行うことが容易となる。
【0029】
また、本発明の洗浄・検査装置によれば、チャンバー外で発生させたプラズマ中のラジカルを用いて付着物を酸化するため、プラズマ中のイオン衝撃等による対象物の損傷も防止できる。
【0030】
好適には、前記対象物は、所定のパターンで光または荷電粒子線の透過部が形成された、前記パターンの露光に用いられるマスクであり、前記検査手段は、前記パターンの線幅を測定する線幅測定手段と、前記線幅の測定結果から、前記マスクに付着した付着物の量を算出する演算手段とを含む。
これにより、マスクの洗浄において、付着物の除去と付着物の量の確認とを同一の装置内で行うことが可能となり、マスクの洗浄・検査が効率化される。
【0031】
本発明の洗浄・検査装置は、好適には、前記ラジカルを前記チャンバー内に供給し、前記付着物と反応させる時間を計測する計時手段をさらに有し、前記演算手段は、前記線幅の変化量と前記時間とから前記付着物が除去される速度をさらに算出する。
これにより、マスク上に残留している付着物を除去するのに必要かつ十分な洗浄を行うことが容易となる。
【0032】
上記の目的を達成するため、本発明の洗浄・検査方法は、洗浄および検査の対象物をチャンバー内に搬入する工程と、前記チャンバー内を減圧する工程と、前記チャンバー内にラジカルを導入し、前記対象物への付着物と反応させ、前記付着物を揮発させることにより、前記対象物を洗浄する工程と、揮発した前記付着物を前記チャンバー外に排出させる工程と、前記チャンバー内の前記対象物に電子線を照射して二次電子を放出させ、放出された二次電子の観測により前記対象物の少なくとも一部の形状を認識し、前記対象物の検査を行う工程とを有することを特徴とする。
【0033】
これにより、対象物に付着した付着物の除去と、洗浄効果の確認とを効率よく行うことが可能となる。また、洗浄効果を確認しながら付着物を除去することにより、過度な洗浄が避けられ、対象物の洗浄による損傷を防止できる。一方、洗浄の不足も防止でき、付着物を十分除去できる。
【0034】
また、本発明の洗浄・検査方法によれば、チャンバー外で発生させたプラズマ中のラジカルを用いて付着物を酸化するため、プラズマ中のイオン衝撃等による対象物の損傷も防止できる。
【0035】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクの洗浄・検査方法は、所定のパターンで光または荷電粒子線の透過部が形成された、前記パターンの露光に用いられるマスクを、チャンバー内に搬入する工程と、前記チャンバー内を減圧する工程と、前記チャンバー内にラジカルを導入し、前記マスクへの付着物と反応させ、前記付着物を揮発させることにより、前記マスクを洗浄する工程と、揮発した前記付着物を前記チャンバー外に排出させる工程と、前記チャンバー内の前記マスクに電子線を照射して二次電子を放出させ、放出された二次電子の観測により前記パターンの線幅を測定する工程と、前記線幅の測定結果が所定範囲内であれば、洗浄を終了し、前記線幅の測定結果が前記付着物の存在によって前記所定範囲未満となっていれば、前記チャンバー内にラジカルを導入して、前記マスクを再度洗浄する工程とを有することを特徴とする。
【0036】
これにより、マスクに付着した付着物の除去と、洗浄効果の確認とを効率よく行うことが可能となる。また、洗浄効果を確認しながら付着物を除去することにより、過度な洗浄が避けられ、マスクの洗浄による損傷を防止できる。一方、洗浄の不足も防止でき、付着物を十分除去できる。
【0037】
また、本発明のマスクの洗浄・検査方法によれば、チャンバー外で発生させたプラズマ中のラジカルを用いて付着物を酸化するため、プラズマ中のイオン衝撃等によるパターンの損傷も防止できる。
【0038】
本発明のマスクの洗浄・検査方法は、好適には、前記マスクを洗浄する前に、前記チャンバー内の前記マスクに電子線を照射して二次電子を放出させ、放出された二次電子の観測により前記パターンの線幅を測定する工程と、前記マスクを洗浄して前記線幅を測定した後、洗浄前後の前記線幅の測定結果の差分と、前記洗浄を続けた時間とから、付着物の除去速度を求める工程とをさらに有し、前記マスクを再度洗浄する工程において、前記除去速度に基づき、洗浄を続ける時間を設定することを特徴とする。
これにより、マスク上に残留している付着物を除去するのに必要かつ十分な洗浄を行うことが容易となる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の洗浄・検査装置、洗浄・検査方法およびマスクの洗浄・検査方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態のマスク洗浄・検査装置の概略図である。本実施形態のマスク洗浄・検査装置では、ラジカルを用いてマスクへの付着物を除去し、二次電子像からマスクのパターンの線幅を測定する。
【0040】
図1のマスク検査装置は測定制御系表示部(測定制御系ディスプレイ)1と、測定制御部2と、電子線発生部3を含む。測定制御系ディスプレイ1と測定制御部2は、パターンの線幅を測定する線幅測定手段と、マスクに付着した付着物の量を算出する演算手段を構成する。電子線発生部3は電子線照射手段を構成する。
【0041】
電子線発生部3と接続するようにカラム4が設けられ、電子線発生部3内の電子銃(不図示)から電子線5が出射される。電子線5によってチャンバー6内で二次電子が放出され、二次電子は二次電子検出手段である二次電子検出器7によって検出される。チャンバー6に接続するように、ラジカル流入制御手段としてラジカル用ゲートバルブ8が設けられている。ラジカル用ゲートバルブ8は、ラジカル発生器9で発生したラジカルのチャンバー6への流入を制御する。
【0042】
ラジカル発生器9は、放電によりラジカルを含むプラズマを発生させるプラズマ生成部である。ラジカル用ゲートバルブ8、プラズマ発生器9およびそれらとチャンバー6との間に設けられた配管(ラジカル流路)は、ラジカル供給手段を構成する。
【0043】
ラジカル発生器9は材料ガス用ゲートバルブ10に接続され、材料ガス用ゲートバルブ10は材料ガス導入口11に接続されている。ラジカルの材料ガスは材料ガス導入口11からチャンバー6内に、材料ガス用ゲートバルブ10を介して導入される。
【0044】
また、チャンバー6内にはパージガス導入口12からパージガス用ゲートバルブ13を介して、パージガスが導入可能となっている。
マスク14はチャンバー6内でマスクステージ15に固定される。マスク14に電子線5が照射されることにより、二次電子16が放出される。
【0045】
チャンバー6に接続するように粗引き用ゲートバルブ17が設けられ、粗引き用ゲートバルブ17は粗引きポンプ18に接続されている。また、チャンバー6に接続するように予備ポンプ用ゲートバルブ19が設けられ、予備ポンプ用ゲートバルブ19は予備ポンプ20に接続されている。予備ポンプ20としてはターボポンプやイオンポンプが用いられる。予備ポンプ20は主ポンプ用ゲートバルブ21を介して主ポンプ22に接続されている。これらのポンプ18、20、22はチャンバー6の減圧手段を構成する。
【0046】
図1に示すマスク検査装置においては、ラジカル発生器9で発生するラジカルを用いてマスク14の洗浄が行われる。ラジカルの材料ガスとしては水素ガス(H2)、酸素ガス(O2)、窒素ガス(N2)、希ガス等またはこれらの混合ガスが挙げられ、これらの材料ガスが材料ガス導入口11からラジカル発生器9に導入される。
【0047】
マスクのパターンの線幅測定は、電子線5の照射によってマスク14から放出される二次電子16を、二次電子検出器7で検出して行われる。二次電子検出器7によってマスク14表面の二次電子像を観測する。観測された二次電子像は測定制御部2に取り込まれ、測定制御系ディスプレイ1上で線幅が測定される。
【0048】
図2のフローチャートは、上記の本実施形態のマスク洗浄・検査装置を用いたマスクの洗浄・検査方法を示す。以下、図2のフローチャートについて説明する。
ステップ1(ST1)
処理を開始する。
ステップ2(ST2)
マスクに形成されたパターンの線幅を測定し、測定値を初期値とする。この線幅測定は、図1の装置の二次電子検出器7で得られる二次電子像を用いて行う。
【0049】
ステップ3(ST3)
電子線露光装置において、マスクを用いた電子線投影露光を行う。通常、マスクに付着物が蓄積するまで、複数回の露光が行われる。
ステップ4(ST4)
マスクに所定のショット数の露光が行われた後、マスクに付着した汚染物を除去する。予め、露光にマスクを使用した回数とマスクの線幅との関係を、実験および/またはシミュレーションにより調べておく。これに基づいて、付着物の蓄積が許容されなくなる所定の回数を設定する。
【0050】
汚染物の除去は図1の装置で行う。マスクをチャンバー6内のマスクステージ15に固定し、ラジカル発生器9で発生させた酸素ラジカルをチャンバー6内に導入する。ラジカル用ゲートバルブ8を開けることにより、酸素ラジカルがチャンバー6内に導入される。これにより、炭化水素系の付着物が酸化され、揮発する。揮発した汚染物は主ポンプ22等によってチャンバー6外に排出される。
【0051】
付着物を酸化して揮発させた後、材料ガスのラジカル発生器9への導入を停止して、ラジカルの発生を停止する。その後、必要に応じてチャンバー6内にパージガス導入口12から窒素ガス等の不活性ガスを導入してパージを行う。チャンバー6に導入されるガスを切り換え可能とするような機構を設けておけば、材料ガス導入口とパージガス導入口は兼用としてもよい。
【0052】
ステップ5(ST5)
付着物が除去されたマスクでパターンの線幅を測定する。この線幅測定はステップ2と同様に、図1の装置の二次電子検出器7で得られる二次電子像を用いて行う。したがって、マスクの洗浄(ステップ4)とその後の線幅測定(ステップ5)を同一の装置内で、マスク14を移動させずに行うことができる。
【0053】
ステップ6(ST6)
測定されたパターンの線幅が許容できるか判定する。例えば、初期値の±x%以内(xはその露光に要求される精度等に基づいて設定される値とする。)を許容範囲とする。線幅が許容範囲内であれば、ステップ3以降を繰り返す。線幅が許容されなければ、ステップ4で再び付着物の除去を行う。
【0054】
以上の工程により、マスクの開口幅の変動を許容範囲内に抑えながら、継続してマスクを使用することが可能である。上記の本実施形態のマスク洗浄・検査方法によれば、マスクの線幅測定とマスクの洗浄とをマスクの移動なしに行うことが可能であり、マスクの洗浄とその効果の確認を効率よく行うことができる。
【0055】
また、チャンバー6外に設けられたラジカル発生器9でプラズマを発生させると、ラジカル以外にイオン等の活性種も生成されるが、イオン等はラジカルに比較して寿命が短く、ラジカル用ゲートバルブ8とその前後の配管を通過する過程で、ラジカル以外の活性種は減衰する。これにより、チャンバー6内にはラジカルがほぼ選択的に導入される。
【0056】
(実施形態2)
本実施形態のマスク洗浄・検査方法では、図1に示す洗浄・検査装置を用い、適切な除去時間(洗浄を続ける時間)を算出して、マスクの洗浄および検査を行う。図3のフローチャートは、本実施形態のマスク洗浄・検査方法を示す。以下、図3のフローチャートについて説明する。
【0057】
ステップ1(ST1)
処理を開始する。
ステップ2(ST2)
マスクに形成されたパターンの線幅を測定し、測定値を初期値とする。この線幅測定は、図1の装置の二次電子検出器7で得られる二次電子像を用いて行う。
ステップ3(ST3)
電子線露光装置において、マスクを用いた電子線投影露光を行う。通常、マスクに付着物が蓄積するまで、複数回の露光が行われる。
【0058】
ステップ4(ST4)
マスクに所定のショット数の露光が行われた後、マスクのパターンの線幅を測定する。図4は、マスクに露光用の光を照射した回数(ショット数)と線幅変動との関係の一例を示す図である。例えば、図4に示すように、約1万回の露光でパターンの線幅が20nm程度減少する場合、開口部の両側の壁面にはそれぞれ10nmの付着物が蓄積していると見積もることができる。
【0059】
ステップ5(ST5)
マスクに付着した汚染物を、図1に示す装置において実施形態1のステップ4と同様に除去する。
ステップ6(ST6)
付着物が除去されたマスクでパターンの線幅を測定する。この線幅測定はステップ2および4と同様に、図1の装置の二次電子検出器7で得られる二次電子像を用いて行う。したがって、マスクの洗浄(ステップ5)とその後の線幅測定(ステップ6)を同一の装置内で、マスクを移動させずに行うことができる。
【0060】
ステップ7(ST7)
測定されたパターンの線幅が許容できるか判定する。例えば、初期値の±x%以内(xはその露光に要求される精度等に基づいて設定される値とする。)を許容範囲とする。線幅が許容範囲内であれば、ステップ3以降を繰り返す。
【0061】
ステップ8(ST8)
ステップ7で線幅が許容されなければ、ステップ5で再び付着物の除去を行うが、そのときの所要時間(除去時間)をステップ8で設定する。ステップ4での線幅測定結果とステップ6での線幅測定結果との差分は、ステップ5での汚染物の除去量に等しい。したがって、この差分をステップ5での除去時間で割ることにより、汚染物の除去速度を見積もることができる。
【0062】
また、ステップ2での線幅測定結果(初期値)とステップ6での線幅測定結果との差分から、ステップ5で汚染物を除去した後に残留する汚染物の付着量がわかる。上記のようにして求めた汚染物の除去速度と、汚染物の残留量とから、再度の除去処理(ステップ5)の所要時間を求めることができる。このとき、汚染物除去プロセスの均一性を確保するため、所要時間に余裕分を追加してもよい。
【0063】
例えば、ステップ2での線幅測定結果とステップ6での線幅測定結果との差分が20nmであれば、開口部の両側の壁面にそれぞれ10nmの汚染物が残留していることになる。一方、ステップ4での線幅測定結果とステップ6での線幅測定結果との差分を、ステップ5の除去時間で割って求められた汚染物の除去速度が40nm/分であるとする。プロセス余裕分を50%とすると、必要な除去量は15nmとなる。これを除去速度で割ることにより、再度の除去処理における好適な除去時間を22.5秒と求めることができる。
【0064】
上記の本実施形態のマスク洗浄・検査方法およびそのための装置によれば、マスクの洗浄と検査をマスクの移動なしに行うことが可能であり、洗浄とその効果の確認のプロセスを効率化できる。また、線幅を確認しながら洗浄を行うことが容易であり、洗浄が不足したり過剰となったりするのを防止できる。これにより、微細パターンが形成されたマスクにおいて、パターンを破損させずに付着物を十分除去することが可能となる。
【0065】
本発明の洗浄・検査装置、洗浄・検査方法およびマスクの洗浄・検査方法の実施形態は、上記の説明に限定されない。例えば、上記の実施形態ではステンシルマスクの洗浄・検査例を示したが、微細パターンが形成されたメンブレンマスクにも本発明を適用できる。あるいは、X線リソグラフィ用マスク等、荷電粒子線リソグラフィ以外のリソグラフィに用いられるマスクに本発明を適用することもできる。
【0066】
また、本発明はマスク以外の洗浄、検査にも適用できる。例えば、半導体デバイスの製造等において、微細パターン上のレジスト残渣等を除去して洗浄する工程等にも本発明を適用できる。本発明の装置で得られる二次電子像は、パターンの線幅の測定だけでなく、露光または洗浄等によるパターンの破損(欠陥)がないかを調べる検査にも使用できる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0067】
【発明の効果】
本発明の洗浄・検査装置によれば、微細パターンが形成されたマスクの洗浄を適度にかつ効率よく行うことができる。本発明の洗浄・検査方法によれば、微細パターンを破損させずに、付着物の除去を効率よく行うことができる。また、本発明のマスクの洗浄・検査方法によれば、マスクに形成された微細パターンを破損させずに、付着物の除去を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の洗浄・検査装置の概略図である。
【図2】図2は本発明の実施形態1に係るマスクの洗浄・検査方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は本発明の実施形態2に係るマスクの洗浄・検査方法を示すフローチャートである。
【図4】図4は本発明の実施形態2に係り、マスクにおけるショット数と線幅変動との関係を示す図である。
【図5】図5は従来のマスク洗浄方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…測定制御系ディスプレイ、2…測定制御部、3…電子線発生部、4…カラム、5…電子線、6…チャンバー、7…二次電子検出器、8…ラジカル用ゲートバルブ、9…ラジカル発生器、10…材料ガス用ゲートバルブ、11…材料ガス導入口、12…パージガス導入口、13…パージガス用ゲートバルブ、14…マスク、15…マスクステージ、16…二次電子、17…粗引き用ゲートバルブ、18…粗引きポンプ、19…予備ポンプ用ゲートバルブ、20…予備ポンプ、21…主ポンプ用ゲートバルブ、22…主ポンプ。
【発明の属する技術分野】
本発明は洗浄・検査装置と洗浄・検査方法に関し、特に、リソグラフィに用いられるマスクの洗浄・検査装置と洗浄・検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、集積回路の高密度化に伴い、微細パターン形成技術の主流をなしてきたフォトリソグラフィはその限界が指摘され、この限界を打ち破るものとして電子線によるリソグラフィが急速に進歩している。電子線露光装置のうち、電子線投影露光装置や電子線近接露光装置では所定のパターンが形成されたマスクを介して、電子線露光が行われる。
【0003】
電子線露光に用いられるマスクには、ステンシルマスクとメンブレンマスクがある。ステンシルマスクは薄膜に所定のパターンで開口部が形成されたマスクであり、開口部を電子線が通過する。メンブレンマスクは薄膜上に所定のパターンで電子線散乱体が設けられたマスクであり、電子線散乱体が形成されていない部分を電子線が透過する。
【0004】
電子線投影露光装置や電子線近接露光装置では、入射電子あるいは散乱電子と残留ガスとの反応、あるいはそのような電子とレジストからのアウトガスとの反応により、ステンシルマスクやメンブレンマスクに炭化水素系の汚染物が付着する。このような付着物が蓄積すると、マスクの開口幅(マスクのパターンの線幅)が狭くなり、電子線の透過軌道幅が縮小される。
【0005】
このような電子線の作用によって発生した汚染物を除去する方法として、薬液(例えば有機溶剤)による処理と、特許文献1〜6に記載されているようなプラズマ等による処理(ドライプロセス)が挙げられる。
【0006】
特許文献1には、真空処理チェンバ内の汚染を減少させるための方法が開示されている。この方法によれば、汚染物と反応してその汚染物より揮発性の化合物を形成すべく選択されたガスを、真空処理チェンバ内に導入し、その揮発性の化合物を真空チェンバから除去する。
【0007】
特許文献2には汚染物の除去と電子線露光の両方を行う電子線露光方法が開示されている。この方法によれば、電子線露光装置のコラム内にコラムの軸方向に沿って電極を挿入し、該電極とコラム内壁との間に高周波電圧を印加することにより、該コラム内にガスプラズマを発生させて、コラム内壁面の付着物をアッシング除去し、その後、引き続き露光処理を行う。
【0008】
特許文献3には、荷電粒子線照射装置内の部品表面の汚染物を、下地に損傷を与えずに清浄化する方法が開示されている。この方法によれば、荷電粒子線の照射が行われる真空室に対して接続された放電室内で活性種を発生させ、活性種を真空室に導入して真空室内を清浄化する。
【0009】
特許文献4には、洗浄機能付き荷電粒子線装置および荷電粒子線装置の洗浄方法が開示されている。この装置によれば、特許文献3記載の方法において、活性種源から離れたところで洗浄能力が失われる問題を解決するため、内部汚染物除去用ガスが所定の洗浄部分を通過するように、内部汚染物除去用ガスの流路制御手段が設けられている。
【0010】
特許文献5には、プラズマによりマスクの静電気を除去してからマスクの検査を行うマスク検査装置が開示されている。走査型電子顕微鏡を用いるマスクの欠陥検査において、マスクの帯電は電子線のドリフトやコントラストの変化の要因となり、高分解能の像観察を困難とする。特許文献5記載の装置は、マスクの観察が行われるチャンバー以外に、予備排気されたサブチャンバーを有し、サブチャンバー内でプラズマの発生と、プラズマによるマスクの電荷の中和が行われる。
【0011】
特許文献6には、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡等の荷電粒子線装置のチャンバー、試料および試料ステージを同時に清浄化する方法が開示されている。この方法によれば、酸素ラジカルを発生させて炭化水素系の汚染物の除去を行う。
【0012】
電子線露光装置で繰り返し使用され、炭化水素系の付着物が蓄積したマスクは、開口幅が狭くなるため、例えば上記のような方法によって清浄化される。マスクへの汚染物の付着や、付着した汚染物の除去は、マスクの線幅を測定することによって確認される。
【0013】
図5のフローチャートは、露光によりマスクに付着した汚染物を除去するための従来のプロセスを示す。以下、図5のフローチャートについて説明する。
ステップ1(ST1)
処理を開始する。
ステップ2(ST2)
マスクに形成されたパターンの線幅を測定し、測定値を初期値とする。この線幅測定は、走査型電子顕微鏡等を用いるマスク検査装置で行う。
【0014】
ステップ3(ST3)
電子線露光装置において、マスクを用いた電子線投影露光を行う。通常、マスクに付着物が蓄積するまで、複数回のショット(成形ビームによる露光)が行われる。
ステップ4(ST4)
マスクに所定のショット数の露光が行われた後、マスクに付着した汚染物を除去する。予め、露光にマスクを使用した回数とマスクの線幅との関係を、実験および/またはシミュレーションにより調べておく。これに基づいて、付着物の蓄積が許容されなくなる所定の回数を設定する。
【0015】
ステップ5(ST5)
付着物が除去されたマスクでパターンの線幅を測定する。この線幅測定は、走査型電子顕微鏡等を用いるマスク検査装置で行う。
ステップ6(ST6)
測定されたパターンの線幅が許容できるか判定する。例えば、初期値の±x%以内(xはその露光に要求される精度等に基づいて設定される値とする。)を許容範囲とする。線幅が許容範囲内であれば、ステップ3以降を繰り返す。線幅が許容されなければ、ステップ4で再び付着物の除去を行う。
【0016】
【特許文献1】
特開昭60−77340号公報
【特許文献2】
特開昭61−20321号公報
【特許文献3】
特開平5−144716号公報
【特許文献4】
特開平8−139010号公報
【特許文献5】
特開2002−131887号公報
【特許文献6】
米国特許第6105589号明細書
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、電子線露光装置では、マスクに炭化水素系の汚染物が蓄積し、マスクの開口幅が狭くなる問題がある。しかしながら、このような汚染物を除去するため、有機溶剤等の薬液を用いてマスクを洗浄すると、パターンが崩壊しやすい。ステンシルマスクやメンブレンマスクは、薄膜に微細パターンが形成された構造を有するため、適切な洗浄条件の設定が困難である。
【0018】
薬液によるマスクのエッチングを抑制しようとすると、パターン間に付着した汚染物を十分に除去できないことが多く、逆に、付着した汚染物を十分に除去しようとすると、マスクがエッチングされる。微細パターンが形成されたマスクでは、マスクがわずかにエッチングされただけで、パターンの崩壊が起こる。
【0019】
また、特許文献1〜4および6では、真空チェンバ内部品や絞りに付着する汚染物の除去を目的としており、これらの文献に記載された方法または装置は、ステンシルマスクやメンブレンマスクにおいてパターンの破損を防止し、かつ短時間で効率よく汚染物を除去するために最適化されたものではない。
【0020】
例えば、特許文献1記載の方法および装置では、ガス自身の反応性のみを利用して汚染物を除去または減少させるだけであり、汚染物の除去効率が低いという問題がある。一方、特許文献2記載の方法では、コラム室内の静電偏向器等の部品の表面に付着した汚染物を除去する際、コラム室内のプラズマによるイオン衝撃や、これに伴う温度上昇が、被洗浄物に損傷を与えやすいという問題がある。
【0021】
特許文献3および4記載の装置および方法では、プラズマ中のイオンによる被洗浄物あるいはその下地の損傷を防止するため、荷電粒子線の照射が行われる真空室と別に設けられた放電室で活性種を発生させている。しかしながら、これらの装置は電子線露光等を行う荷電粒子線装置であり、マスクの線幅を指標として汚染物の付着あるいは除去を確認することは特に示されていない。
また、特許文献6においても、酸素ラジカルを用いた汚染物の除去は開示されているが、マスクの線幅を測定することは記載されていない。
【0022】
特許文献5には、プラズマによりマスクの静電気を除去してからマスクの検査を行うことが記載されているが、検査の対象はステンシルマスクよりも強度的な問題が少ないフォトマスクである。ステンシルマスクにプラズマを照射すると、前述したようなイオンの衝撃が問題となる。
【0023】
したがって、特許文献5記載のマスク検査装置はステンシルマスクの検査には適さない。また、特許文献5記載の装置では、マスクの帯電によるドリフト等を防止するため、マスクにプラズマを照射しており、マスクに付着した汚染物の除去は行われない。
【0024】
電子線露光等の荷電粒子線露光に用いられるマスクにおいて、パターンの破損を起こさずに付着物を除去するには、付着物の除去による開口幅の復元程度をモニターしながら、マスクを洗浄することが望ましい。また、開口幅をモニターしながら洗浄を行うことにより、過剰な洗浄が避けられ、短時間で効率よく汚染物を除去できる。上記の特許文献1〜6記載の方法または装置では、いずれもそのような洗浄処理を行うことができない。
【0025】
また、図5に示すフローによれば、汚染物の除去が行われる装置内では、マスクへの汚染物の付着量を正確に把握できない。マスクの使用状況によっては、汚染物の付着量が変化するため、洗浄処理の適切な条件を設定するのが困難となる。したがって、汚染物の除去(ステップ4)と、その効果の検証のための線幅測定(ステップ5)を、線幅が許容範囲内となるまで繰り返し実行しなければならなかった。特に、マスクの洗浄と線幅測定とを別の装置内で行うため、効率が悪く、処理の負担が大きかった。
【0026】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、したがって本発明は、微細パターンが形成されたマスクの洗浄を適度にかつ効率よく行うことができる洗浄・検査装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、微細パターンを破損させずに、付着物の除去を効率よく行うことができる洗浄・検査方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、マスクに形成された微細パターンを破損させずに、付着物の除去を効率よく行うことができるマスクの洗浄・検査方法を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の洗浄・検査装置は、洗浄および検査の対象物が収納されるチャンバーと、前記チャンバー内を減圧する減圧手段と、前記対象物への付着物と反応して前記付着物を揮発させるラジカルを、前記チャンバー内に供給するラジカル供給手段と、前記チャンバー内に収納された前記対象物に電子線を照射する電子線照射手段と、電子線の照射により前記対象物から放出される二次電子を観測する二次電子検出手段と、前記二次電子検出手段によって検出された二次電子像から、前記対象物の少なくとも一部の形状を認識する検査手段とを有することを特徴とする。
【0028】
これにより、ラジカルの供給によって付着物を揮発させる処理と、電子線の照射により形状を認識する処理とを、同一の装置内で行うことが可能となる。したがって、洗浄用の装置と検査用の装置の間で装置間を搬送したり、各装置に対象物を搬入するごとに装置内の雰囲気を調節したりする必要がなくなるだけでなく、洗浄の効果を確認しながら洗浄を行うことが容易となる。
【0029】
また、本発明の洗浄・検査装置によれば、チャンバー外で発生させたプラズマ中のラジカルを用いて付着物を酸化するため、プラズマ中のイオン衝撃等による対象物の損傷も防止できる。
【0030】
好適には、前記対象物は、所定のパターンで光または荷電粒子線の透過部が形成された、前記パターンの露光に用いられるマスクであり、前記検査手段は、前記パターンの線幅を測定する線幅測定手段と、前記線幅の測定結果から、前記マスクに付着した付着物の量を算出する演算手段とを含む。
これにより、マスクの洗浄において、付着物の除去と付着物の量の確認とを同一の装置内で行うことが可能となり、マスクの洗浄・検査が効率化される。
【0031】
本発明の洗浄・検査装置は、好適には、前記ラジカルを前記チャンバー内に供給し、前記付着物と反応させる時間を計測する計時手段をさらに有し、前記演算手段は、前記線幅の変化量と前記時間とから前記付着物が除去される速度をさらに算出する。
これにより、マスク上に残留している付着物を除去するのに必要かつ十分な洗浄を行うことが容易となる。
【0032】
上記の目的を達成するため、本発明の洗浄・検査方法は、洗浄および検査の対象物をチャンバー内に搬入する工程と、前記チャンバー内を減圧する工程と、前記チャンバー内にラジカルを導入し、前記対象物への付着物と反応させ、前記付着物を揮発させることにより、前記対象物を洗浄する工程と、揮発した前記付着物を前記チャンバー外に排出させる工程と、前記チャンバー内の前記対象物に電子線を照射して二次電子を放出させ、放出された二次電子の観測により前記対象物の少なくとも一部の形状を認識し、前記対象物の検査を行う工程とを有することを特徴とする。
【0033】
これにより、対象物に付着した付着物の除去と、洗浄効果の確認とを効率よく行うことが可能となる。また、洗浄効果を確認しながら付着物を除去することにより、過度な洗浄が避けられ、対象物の洗浄による損傷を防止できる。一方、洗浄の不足も防止でき、付着物を十分除去できる。
【0034】
また、本発明の洗浄・検査方法によれば、チャンバー外で発生させたプラズマ中のラジカルを用いて付着物を酸化するため、プラズマ中のイオン衝撃等による対象物の損傷も防止できる。
【0035】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクの洗浄・検査方法は、所定のパターンで光または荷電粒子線の透過部が形成された、前記パターンの露光に用いられるマスクを、チャンバー内に搬入する工程と、前記チャンバー内を減圧する工程と、前記チャンバー内にラジカルを導入し、前記マスクへの付着物と反応させ、前記付着物を揮発させることにより、前記マスクを洗浄する工程と、揮発した前記付着物を前記チャンバー外に排出させる工程と、前記チャンバー内の前記マスクに電子線を照射して二次電子を放出させ、放出された二次電子の観測により前記パターンの線幅を測定する工程と、前記線幅の測定結果が所定範囲内であれば、洗浄を終了し、前記線幅の測定結果が前記付着物の存在によって前記所定範囲未満となっていれば、前記チャンバー内にラジカルを導入して、前記マスクを再度洗浄する工程とを有することを特徴とする。
【0036】
これにより、マスクに付着した付着物の除去と、洗浄効果の確認とを効率よく行うことが可能となる。また、洗浄効果を確認しながら付着物を除去することにより、過度な洗浄が避けられ、マスクの洗浄による損傷を防止できる。一方、洗浄の不足も防止でき、付着物を十分除去できる。
【0037】
また、本発明のマスクの洗浄・検査方法によれば、チャンバー外で発生させたプラズマ中のラジカルを用いて付着物を酸化するため、プラズマ中のイオン衝撃等によるパターンの損傷も防止できる。
【0038】
本発明のマスクの洗浄・検査方法は、好適には、前記マスクを洗浄する前に、前記チャンバー内の前記マスクに電子線を照射して二次電子を放出させ、放出された二次電子の観測により前記パターンの線幅を測定する工程と、前記マスクを洗浄して前記線幅を測定した後、洗浄前後の前記線幅の測定結果の差分と、前記洗浄を続けた時間とから、付着物の除去速度を求める工程とをさらに有し、前記マスクを再度洗浄する工程において、前記除去速度に基づき、洗浄を続ける時間を設定することを特徴とする。
これにより、マスク上に残留している付着物を除去するのに必要かつ十分な洗浄を行うことが容易となる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の洗浄・検査装置、洗浄・検査方法およびマスクの洗浄・検査方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態のマスク洗浄・検査装置の概略図である。本実施形態のマスク洗浄・検査装置では、ラジカルを用いてマスクへの付着物を除去し、二次電子像からマスクのパターンの線幅を測定する。
【0040】
図1のマスク検査装置は測定制御系表示部(測定制御系ディスプレイ)1と、測定制御部2と、電子線発生部3を含む。測定制御系ディスプレイ1と測定制御部2は、パターンの線幅を測定する線幅測定手段と、マスクに付着した付着物の量を算出する演算手段を構成する。電子線発生部3は電子線照射手段を構成する。
【0041】
電子線発生部3と接続するようにカラム4が設けられ、電子線発生部3内の電子銃(不図示)から電子線5が出射される。電子線5によってチャンバー6内で二次電子が放出され、二次電子は二次電子検出手段である二次電子検出器7によって検出される。チャンバー6に接続するように、ラジカル流入制御手段としてラジカル用ゲートバルブ8が設けられている。ラジカル用ゲートバルブ8は、ラジカル発生器9で発生したラジカルのチャンバー6への流入を制御する。
【0042】
ラジカル発生器9は、放電によりラジカルを含むプラズマを発生させるプラズマ生成部である。ラジカル用ゲートバルブ8、プラズマ発生器9およびそれらとチャンバー6との間に設けられた配管(ラジカル流路)は、ラジカル供給手段を構成する。
【0043】
ラジカル発生器9は材料ガス用ゲートバルブ10に接続され、材料ガス用ゲートバルブ10は材料ガス導入口11に接続されている。ラジカルの材料ガスは材料ガス導入口11からチャンバー6内に、材料ガス用ゲートバルブ10を介して導入される。
【0044】
また、チャンバー6内にはパージガス導入口12からパージガス用ゲートバルブ13を介して、パージガスが導入可能となっている。
マスク14はチャンバー6内でマスクステージ15に固定される。マスク14に電子線5が照射されることにより、二次電子16が放出される。
【0045】
チャンバー6に接続するように粗引き用ゲートバルブ17が設けられ、粗引き用ゲートバルブ17は粗引きポンプ18に接続されている。また、チャンバー6に接続するように予備ポンプ用ゲートバルブ19が設けられ、予備ポンプ用ゲートバルブ19は予備ポンプ20に接続されている。予備ポンプ20としてはターボポンプやイオンポンプが用いられる。予備ポンプ20は主ポンプ用ゲートバルブ21を介して主ポンプ22に接続されている。これらのポンプ18、20、22はチャンバー6の減圧手段を構成する。
【0046】
図1に示すマスク検査装置においては、ラジカル発生器9で発生するラジカルを用いてマスク14の洗浄が行われる。ラジカルの材料ガスとしては水素ガス(H2)、酸素ガス(O2)、窒素ガス(N2)、希ガス等またはこれらの混合ガスが挙げられ、これらの材料ガスが材料ガス導入口11からラジカル発生器9に導入される。
【0047】
マスクのパターンの線幅測定は、電子線5の照射によってマスク14から放出される二次電子16を、二次電子検出器7で検出して行われる。二次電子検出器7によってマスク14表面の二次電子像を観測する。観測された二次電子像は測定制御部2に取り込まれ、測定制御系ディスプレイ1上で線幅が測定される。
【0048】
図2のフローチャートは、上記の本実施形態のマスク洗浄・検査装置を用いたマスクの洗浄・検査方法を示す。以下、図2のフローチャートについて説明する。
ステップ1(ST1)
処理を開始する。
ステップ2(ST2)
マスクに形成されたパターンの線幅を測定し、測定値を初期値とする。この線幅測定は、図1の装置の二次電子検出器7で得られる二次電子像を用いて行う。
【0049】
ステップ3(ST3)
電子線露光装置において、マスクを用いた電子線投影露光を行う。通常、マスクに付着物が蓄積するまで、複数回の露光が行われる。
ステップ4(ST4)
マスクに所定のショット数の露光が行われた後、マスクに付着した汚染物を除去する。予め、露光にマスクを使用した回数とマスクの線幅との関係を、実験および/またはシミュレーションにより調べておく。これに基づいて、付着物の蓄積が許容されなくなる所定の回数を設定する。
【0050】
汚染物の除去は図1の装置で行う。マスクをチャンバー6内のマスクステージ15に固定し、ラジカル発生器9で発生させた酸素ラジカルをチャンバー6内に導入する。ラジカル用ゲートバルブ8を開けることにより、酸素ラジカルがチャンバー6内に導入される。これにより、炭化水素系の付着物が酸化され、揮発する。揮発した汚染物は主ポンプ22等によってチャンバー6外に排出される。
【0051】
付着物を酸化して揮発させた後、材料ガスのラジカル発生器9への導入を停止して、ラジカルの発生を停止する。その後、必要に応じてチャンバー6内にパージガス導入口12から窒素ガス等の不活性ガスを導入してパージを行う。チャンバー6に導入されるガスを切り換え可能とするような機構を設けておけば、材料ガス導入口とパージガス導入口は兼用としてもよい。
【0052】
ステップ5(ST5)
付着物が除去されたマスクでパターンの線幅を測定する。この線幅測定はステップ2と同様に、図1の装置の二次電子検出器7で得られる二次電子像を用いて行う。したがって、マスクの洗浄(ステップ4)とその後の線幅測定(ステップ5)を同一の装置内で、マスク14を移動させずに行うことができる。
【0053】
ステップ6(ST6)
測定されたパターンの線幅が許容できるか判定する。例えば、初期値の±x%以内(xはその露光に要求される精度等に基づいて設定される値とする。)を許容範囲とする。線幅が許容範囲内であれば、ステップ3以降を繰り返す。線幅が許容されなければ、ステップ4で再び付着物の除去を行う。
【0054】
以上の工程により、マスクの開口幅の変動を許容範囲内に抑えながら、継続してマスクを使用することが可能である。上記の本実施形態のマスク洗浄・検査方法によれば、マスクの線幅測定とマスクの洗浄とをマスクの移動なしに行うことが可能であり、マスクの洗浄とその効果の確認を効率よく行うことができる。
【0055】
また、チャンバー6外に設けられたラジカル発生器9でプラズマを発生させると、ラジカル以外にイオン等の活性種も生成されるが、イオン等はラジカルに比較して寿命が短く、ラジカル用ゲートバルブ8とその前後の配管を通過する過程で、ラジカル以外の活性種は減衰する。これにより、チャンバー6内にはラジカルがほぼ選択的に導入される。
【0056】
(実施形態2)
本実施形態のマスク洗浄・検査方法では、図1に示す洗浄・検査装置を用い、適切な除去時間(洗浄を続ける時間)を算出して、マスクの洗浄および検査を行う。図3のフローチャートは、本実施形態のマスク洗浄・検査方法を示す。以下、図3のフローチャートについて説明する。
【0057】
ステップ1(ST1)
処理を開始する。
ステップ2(ST2)
マスクに形成されたパターンの線幅を測定し、測定値を初期値とする。この線幅測定は、図1の装置の二次電子検出器7で得られる二次電子像を用いて行う。
ステップ3(ST3)
電子線露光装置において、マスクを用いた電子線投影露光を行う。通常、マスクに付着物が蓄積するまで、複数回の露光が行われる。
【0058】
ステップ4(ST4)
マスクに所定のショット数の露光が行われた後、マスクのパターンの線幅を測定する。図4は、マスクに露光用の光を照射した回数(ショット数)と線幅変動との関係の一例を示す図である。例えば、図4に示すように、約1万回の露光でパターンの線幅が20nm程度減少する場合、開口部の両側の壁面にはそれぞれ10nmの付着物が蓄積していると見積もることができる。
【0059】
ステップ5(ST5)
マスクに付着した汚染物を、図1に示す装置において実施形態1のステップ4と同様に除去する。
ステップ6(ST6)
付着物が除去されたマスクでパターンの線幅を測定する。この線幅測定はステップ2および4と同様に、図1の装置の二次電子検出器7で得られる二次電子像を用いて行う。したがって、マスクの洗浄(ステップ5)とその後の線幅測定(ステップ6)を同一の装置内で、マスクを移動させずに行うことができる。
【0060】
ステップ7(ST7)
測定されたパターンの線幅が許容できるか判定する。例えば、初期値の±x%以内(xはその露光に要求される精度等に基づいて設定される値とする。)を許容範囲とする。線幅が許容範囲内であれば、ステップ3以降を繰り返す。
【0061】
ステップ8(ST8)
ステップ7で線幅が許容されなければ、ステップ5で再び付着物の除去を行うが、そのときの所要時間(除去時間)をステップ8で設定する。ステップ4での線幅測定結果とステップ6での線幅測定結果との差分は、ステップ5での汚染物の除去量に等しい。したがって、この差分をステップ5での除去時間で割ることにより、汚染物の除去速度を見積もることができる。
【0062】
また、ステップ2での線幅測定結果(初期値)とステップ6での線幅測定結果との差分から、ステップ5で汚染物を除去した後に残留する汚染物の付着量がわかる。上記のようにして求めた汚染物の除去速度と、汚染物の残留量とから、再度の除去処理(ステップ5)の所要時間を求めることができる。このとき、汚染物除去プロセスの均一性を確保するため、所要時間に余裕分を追加してもよい。
【0063】
例えば、ステップ2での線幅測定結果とステップ6での線幅測定結果との差分が20nmであれば、開口部の両側の壁面にそれぞれ10nmの汚染物が残留していることになる。一方、ステップ4での線幅測定結果とステップ6での線幅測定結果との差分を、ステップ5の除去時間で割って求められた汚染物の除去速度が40nm/分であるとする。プロセス余裕分を50%とすると、必要な除去量は15nmとなる。これを除去速度で割ることにより、再度の除去処理における好適な除去時間を22.5秒と求めることができる。
【0064】
上記の本実施形態のマスク洗浄・検査方法およびそのための装置によれば、マスクの洗浄と検査をマスクの移動なしに行うことが可能であり、洗浄とその効果の確認のプロセスを効率化できる。また、線幅を確認しながら洗浄を行うことが容易であり、洗浄が不足したり過剰となったりするのを防止できる。これにより、微細パターンが形成されたマスクにおいて、パターンを破損させずに付着物を十分除去することが可能となる。
【0065】
本発明の洗浄・検査装置、洗浄・検査方法およびマスクの洗浄・検査方法の実施形態は、上記の説明に限定されない。例えば、上記の実施形態ではステンシルマスクの洗浄・検査例を示したが、微細パターンが形成されたメンブレンマスクにも本発明を適用できる。あるいは、X線リソグラフィ用マスク等、荷電粒子線リソグラフィ以外のリソグラフィに用いられるマスクに本発明を適用することもできる。
【0066】
また、本発明はマスク以外の洗浄、検査にも適用できる。例えば、半導体デバイスの製造等において、微細パターン上のレジスト残渣等を除去して洗浄する工程等にも本発明を適用できる。本発明の装置で得られる二次電子像は、パターンの線幅の測定だけでなく、露光または洗浄等によるパターンの破損(欠陥)がないかを調べる検査にも使用できる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0067】
【発明の効果】
本発明の洗浄・検査装置によれば、微細パターンが形成されたマスクの洗浄を適度にかつ効率よく行うことができる。本発明の洗浄・検査方法によれば、微細パターンを破損させずに、付着物の除去を効率よく行うことができる。また、本発明のマスクの洗浄・検査方法によれば、マスクに形成された微細パターンを破損させずに、付着物の除去を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の洗浄・検査装置の概略図である。
【図2】図2は本発明の実施形態1に係るマスクの洗浄・検査方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は本発明の実施形態2に係るマスクの洗浄・検査方法を示すフローチャートである。
【図4】図4は本発明の実施形態2に係り、マスクにおけるショット数と線幅変動との関係を示す図である。
【図5】図5は従来のマスク洗浄方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…測定制御系ディスプレイ、2…測定制御部、3…電子線発生部、4…カラム、5…電子線、6…チャンバー、7…二次電子検出器、8…ラジカル用ゲートバルブ、9…ラジカル発生器、10…材料ガス用ゲートバルブ、11…材料ガス導入口、12…パージガス導入口、13…パージガス用ゲートバルブ、14…マスク、15…マスクステージ、16…二次電子、17…粗引き用ゲートバルブ、18…粗引きポンプ、19…予備ポンプ用ゲートバルブ、20…予備ポンプ、21…主ポンプ用ゲートバルブ、22…主ポンプ。
Claims (9)
- 洗浄および検査の対象物が収納されるチャンバーと、
前記チャンバー内を減圧する減圧手段と、
前記対象物への付着物と反応して前記付着物を揮発させるラジカルを、前記チャンバー内に供給するラジカル供給手段と、
前記チャンバー内に収納された前記対象物に電子線を照射する電子線照射手段と、
電子線の照射により前記対象物から放出される二次電子を観測する二次電子検出手段と、
前記二次電子検出手段によって検出された二次電子像から、前記対象物の少なくとも一部の形状を認識する検査手段とを有する
洗浄・検査装置。 - 前記対象物は、所定のパターンで光または荷電粒子線の透過部が形成された、前記パターンの露光に用いられるマスクであり、
前記検査手段は、前記パターンの線幅を測定する線幅測定手段と、
前記線幅の測定結果から、前記マスクに付着した付着物の量を算出する演算手段とを含む
請求項1記載の洗浄・検査装置。 - 前記ラジカルを前記チャンバー内に供給し、前記付着物と反応させる時間を計測する計時手段をさらに有し、
前記演算手段は、前記線幅の変化量と前記時間とから前記付着物が除去される速度をさらに算出する
請求項2記載の洗浄・検査装置。 - 前記ラジカル供給手段は、材料ガスが供給され、放電によりプラズマを発生させるプラズマ生成部と、
前記プラズマ生成部で生成したラジカルを前記チャンバー内へ流入させるラジカル流路と、
前記ラジカル流路上に設けられた、前記ラジカルの前記チャンバー内への流入を制限するラジカル流入制御手段とを含む
請求項1記載の洗浄・検査装置。 - 洗浄および検査の対象物をチャンバー内に搬入する工程と、
前記チャンバー内を減圧する工程と、
前記チャンバー内にラジカルを導入し、前記対象物への付着物と反応させ、前記付着物を揮発させることにより、前記対象物を洗浄する工程と、
揮発した前記付着物を前記チャンバー外に排出させる工程と、
前記チャンバー内の前記対象物に電子線を照射して二次電子を放出させ、放出された二次電子の観測により前記対象物の少なくとも一部の形状を認識し、前記対象物の検査を行う工程とを有する
洗浄・検査方法。 - 前記対象物を洗浄する前に、前記チャンバー内の前記対象物に電子線を照射して二次電子を放出させ、放出された二次電子の観測により前記対象物の少なくとも一部の形状を認識し、前記対象物の検査を行う工程をさらに有する
請求項5記載の洗浄・検査方法。 - 前記検査の結果に応じて、再度、前記チャンバー内にラジカルを導入し、前記対象物への付着物と反応させ、前記付着物を揮発させることにより、前記対象物を洗浄する工程をさらに有する
請求項5記載の洗浄・検査方法。 - 所定のパターンで光または荷電粒子線の透過部が形成された、前記パターンの露光に用いられるマスクを、チャンバー内に搬入する工程と、
前記チャンバー内を減圧する工程と、
前記チャンバー内にラジカルを導入し、前記マスクへの付着物と反応させ、前記付着物を揮発させることにより、前記マスクを洗浄する工程と、
揮発した前記付着物を前記チャンバー外に排出させる工程と、
前記チャンバー内の前記マスクに電子線を照射して二次電子を放出させ、放出された二次電子の観測により前記パターンの線幅を測定する工程と、
前記線幅の測定結果が所定範囲内であれば、洗浄を終了し、前記線幅の測定結果が前記付着物の存在によって前記所定範囲未満となっていれば、前記チャンバー内にラジカルを導入して、前記マスクを再度洗浄する工程とを有する
マスクの洗浄・検査方法。 - 前記マスクを洗浄する前に、前記チャンバー内の前記マスクに電子線を照射して二次電子を放出させ、放出された二次電子の観測により前記パターンの線幅を測定する工程と、
前記マスクを洗浄して前記線幅を測定した後、洗浄前後の前記線幅の測定結果の差分と、前記洗浄を続けた時間とから、付着物の除去速度を求める工程とをさらに有し、
前記マスクを再度洗浄する工程において、前記除去速度に基づき、洗浄を続ける時間を設定する
請求項8記載のマスクの洗浄・検査方法。
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---|---|---|---|
JP2002300647A JP2004138651A (ja) | 2002-10-15 | 2002-10-15 | 洗浄・検査装置および洗浄・検査方法 |
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JP2002300647A Pending JP2004138651A (ja) | 2002-10-15 | 2002-10-15 | 洗浄・検査装置および洗浄・検査方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012068579A (ja) * | 2010-09-27 | 2012-04-05 | Toppan Printing Co Ltd | フォトマスクのクリーニング方法及びフォトマスクのクリーニング装置 |
JP2015518628A (ja) * | 2012-03-23 | 2015-07-02 | ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド | プラテンのクランプ面の監視 |
-
2002
- 2002-10-15 JP JP2002300647A patent/JP2004138651A/ja active Pending
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