JP2012067400A - 塩化ビニル製手袋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】手袋本体A1の中間層として、発泡剤が混入された塩化ビニル材料の加熱で、その全面に亘って多数の独立気泡2aが略均一な密度で発泡して所定厚さの発泡層2を形成することにより、手袋本体A1に適度な断熱性と可撓性が得られるとともに、手袋本体A1の厚さにバラツキが発生せず、部分的に破れ難くなり、さらに発泡層2の内面全体に形成された独立気泡2aの端部による凹凸部2bに沿って被覆層3を積層形成することにより、被覆層3が凹凸形状となって、手袋本体A1への手の出し入れ時に適度な滑り性が得られ粘着し難くなる。
【選択図】図1
Description
詳しくは、手袋型を塩化ビニルに浸漬し加熱して製造する塩化ビニル製手袋に関する。
しかし乍ら、手袋型の表面全体が同じ形状でないため、マイクロカプセルの入った塩化ビニルペーストに浸漬しても、手袋型の表面全体にマイクロカプセルを均一に分散配置させることが困難であった。
つまり、手袋型の表面全体において、掌部や甲部や挿入口部などの比較的に平らな個所と、指先を含む先などの狭く屈曲した個所とでは、手袋型の浸漬によりマイクロカプセルを付着させても密度が疎密になり易いため、これらマイクロカプセルの配置密度に応じて皮膜層の厚さにバラツキが発生し、それにより部分的に破れ易い個所ができて強度が低下するという問題があった。
特に、熱膨張性のカプセルを用いた場合には、熱膨張性のカプセルが付着した個所と、付着しない個所とでは、熱膨張率に大きな差が生じるため、皮膜層の厚さに著しいバラツキが発生し、更に破け易くなるという問題があった。
その結果、手袋型をマイクロカプセルの入った塩化ビニルペーストに浸漬し加熱することで気泡を有する皮膜層が成形される従来のものに比べ、手袋本体の強度が向上して長期に亘り使用できる。
さらに、多数の独立気泡による発泡層がクッションとなって、指先が破れ難くなり、さらに同重量の従来の手袋に比べて柔らかいため、手への負担が少なくなって長時間に亘り使用しても疲れ難い。
本発明の実施形態に係る塩化ビニル製手袋Aは、図1に示すように、その手袋本体A1の表面側に形成されるスキン層1と、このスキン層1の内面において発泡剤が混入された塩化ビニル材料の加熱により積層形成される発泡層2と、この発泡層2の内面に沿って積層形成される被覆層3を備えている。
スキン層1及び発泡層2に用いられる材料は、塩化ビニル樹脂に可塑剤、安定剤、ゲル化剤、顔料などがそれぞれ所定量ずつ添加される塩化ビニルペーストであり、それぞれが半硬化した時に各層の相互で接着性の良い材料が用いられる。
発泡層2の塩化ビニルペーストには、発泡剤が添加され、発泡剤の配合量としては、浸漬により手袋型に付着した塩化ビニルペーストを所定厚さ付着した後に加熱することで、該塩化ビニルペーストの全面に亘り多数の独立気泡2aが発泡して所定厚さの発泡層2が膨張形成され、この発泡層2の表面全体には、独立気泡2aの端部による凹凸部2bが形成されるように設定する。
発泡剤としては、例えばアゾジカルボン酸アミド(ADCA)やp,p'-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)などを用いるか、又はそれらの混合を用いる。
被覆層3の材料としては、例えばウレタンやアクリル樹脂などのエマルションからなる表面処理剤が用いられ、発泡層2の内面全体に形成された独立気泡2aの端部による凹凸部2bに沿って均等な厚さ寸法で形成される。
それにより、浸漬した手袋型の全面にスキン層1が形成される。
さらに必要に応じて同工程では、手袋型に予め形成された滑り止め模様(図示しない)と対向するスキン層1の表面に、該滑り止め模様に沿った形状の滑り止め用凹凸部1aを形成することが好ましい。
それにより、スキン層1の全面に沿って多数の独立気泡2aが略均一な密度で発泡し、所定厚さに膨張して発泡層2が積層形成されるとともに、この発泡層2の表面全体に、独立気泡2aの端部による凹凸部2bが形成される。
それにより、発泡層2の表面全体に形成された独立気泡2aの端部による凹凸部2bに沿って被覆層3が均等な厚さ寸法で積層形成される。
さらに、スキン層1、発泡層2及び被覆層3の厚さ寸法を変えることにより、手袋本体A1として様々な厚さの手袋を形成することも可能である。
それ以降、上述した工程を繰り返すことで、手袋本体A1が順次形成される。
この発泡層2を挟んで手袋本体A1の表面側にスキン層1が積層形成されるとともに、発泡層2の内面全体に形成した独立気泡2aの端部による凹凸部2bに沿って被覆層3が積層形成される。
それにより、手袋本体A1に適度な断熱性と可撓性が得られて、保温性と柔軟性に優れるとともに、手袋本体A1の厚さにバラツキが発生せず、部分的に破れ難くなって強度が向上する。
さらに、被覆層3が独立気泡2aの端部による凹凸部2bを覆って露出せず凹凸部2bの破損を防止して保護するとともに、独立気泡2aの端部による凹凸部2bに沿った凹凸形状となり、手袋本体A1の挿入口部A4からの手の出し入れ時に適度な滑り性が得られて粘着し難くなって手の着脱が容易になる。
次に、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1(b)に示される例では、各独立気泡2aはそれぞれの形状が不均一であるものの、発泡層2の厚さ方向へ長く延びると同時に、発泡層2の厚さ方向と直交する面方向へ発泡層2の全面に亘って相互に隣り合うように無数形成されている。
また、その他の例として図示しないが、独立気泡2aの形状や数や間隔などは、発泡層2の塩化ビニルペーストに対する発泡剤の配合量や発泡層2の形成工程における加熱量に応じて、多少変化させることも可能である。
それにより、被覆層3の凹凸形状が緻密化して、手袋本体A1への手の出し入れ時における滑り性が向上し、粘着し難くなって手の着脱を更に容易にすることができるという利点がある。
1.塩化ビニルペーストの基本構成
スキン層1及び発泡層2の塩化ビニルペーストとしては、塩化ビニル樹脂100部、可塑剤(アルキルスルホン酸フェニルエステル又はジ−2−エチルヘキシルフタレート:DEHP)100部、安定剤4部、ゲル化剤4部、顔料1部の割合で配合されたものを使用した。
被覆層3の材料としては、水性のウレタン、アクリル樹脂2〜10部が含有された粘度10〜200cps程度の合成樹脂エマルジョンからなる表面処理剤を使用した。
発泡剤としては、アゾジカルボン酸アミド(ADCA)などを使用した。
上述した発泡層2の塩化ビニルペーストに発泡剤を添加する際、発泡剤が粒状の塊(ダマ)とならないように、塩化ビニルペーストを撹拌しながら発泡剤を少量ずつ添加して、塩化ビニルペースト100部に対し発泡剤を約1〜5部を配合した。
発泡剤としては分解温度が約140℃のものを使用し、スキン層1の形成工程及び発泡層2の形成工程における加熱で各塩化ビニルペーストを約110℃程度までに温度上昇させ、被覆層3のエマルジョンからなる表面処理剤を付着させた後、加熱して約140℃以上に温度上昇させたところ、発泡層2が発泡を開始し、その後も140℃以上を継続することで発泡を完了させた。
1〜4の条件で得た本実施例の塩化ビニル製手袋Aと、比較例として発泡層が無い同材料の手袋で厚さの異なるものを複数種類用意し、これら手袋の内面に温度センサーをそれぞれ取り付け、約20℃の水が満たされた水槽内に浸し、5秒毎に手袋内面の温度変化を記録した。
その結果、本実施例の塩化ビニル製手袋Aは、比較例の発泡層が無い同材料の手袋よりも、最大で保温性の試験を開始してから約1分40秒前後に約0.8〜1.4℃高くなり、保温性に優れることが実証できた。
2 発泡層 2a 独立気泡
2b 凹凸部 3 被覆層
Claims (2)
- 手袋本体の表面側に形成されるスキン層と、
このスキン層の内面において発泡剤が混入された塩化ビニル材料の加熱により積層形成される発泡層と、
この発泡層の内面全体に沿って積層形成される被覆層とを備え、
前記発泡層は、発泡剤が混入された塩化ビニル材料の加熱で、その全面に亘り多数の独立気泡が略均一な密度で発泡して所定厚さに膨張形成され、
前記被覆層は、前記発泡層の前記独立気泡の端部による凹凸部に沿って積層形成されることを特徴とする塩化ビニル製手袋。 - 前記発泡層の内面における前記独立気泡の端部による前記凹凸部に沿って前記被覆層を均一な厚さの薄膜状に積層形成したことを特徴とする請求項1記載の塩化ビニル製手袋。
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