JP2012067360A - コンクリート構造物への電気防食電極の取り付け方法、およびコンクリート構造物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電気防食電極2の取り付け方法としては、内部に鋼材が設置されたコンクリート構造物10の表面に、電気防食電極2とシート体4とを、前記電気防食電極が前記コンクリート構造物の表面に接触し、且つ前記シート体が、前記電気防食電極の外側を被覆するように固定し、前記シート体とコンクリート構造物の表面との間にグラウト5を注入することで、前記電気防食電極をコンクリート構造物に設置し、コンクリート構造物としては、コンクリート1の内部に鋼材が設置されたコンクリート構造物であって、コンクリート表面に電気防食電極と、前記電気防食電極を外面から被覆するシート体が固定され、前記シート体とコンクリート表面との間にグラウト5が注入されて前記電気防食電極がコンクリート表面に設置されている。
【選択図】図1
Description
例えば、コンクリート表面に溝を切削し、該溝内に電極を設置して、モルタルなどのグラウト材で被覆する方法(特許文献1および2)や、溝内に設置した電極を絶縁材で保護する方法(特許文献3)などが知られている。
特に、電極を設置する溝が横向きや下向きに開口している場合、つまり、天井や壁にあたる位置に電極を設置しようとすると、モルタルで電極を固定するまでの間、電極が溝から落下しないよう、電極を溝の内部に仮止めする必要があり、作業性がさらに悪いという問題がある。
しかし、例えば、桁端部などのような作業スペースが狭い場所に電極を設置する場合には作業間隔が小さく、工具での施工が困難となることや電源の確保が困難であり、また切削のための工具を使用するためのコードやホースが邪魔になり作業性が非常に悪いという問題もある。
よって、切削などによって溝を形成する工程が不要となり、簡単に電気防食電極の取り付け作業が行える。また、切削時に発生する粉塵などによる作業環境の悪化も防止できる。
また、コンクリート表面に溝を形成する必要がないため、鋼材が露出するおそれがなく、鋼材と電気防食電極との十分な距離を確保でき、電気分布が良好で、分極性にすぐれたコンクリート構造物が得られる。
また、接着部の接着力は、少なくとも、電気防食電極をグラウトで固定するまでの間、電気防食電極をシート体に固定でき、且つシート体をコンクリート表面に固定できる程度の接着力があればよい。
また、鋼材が露出するおそれがなく、鋼材と電気防食電極との十分な距離を確保でき、電気分布が良好で、分極性にすぐれたコンクリート構造物が得られる。
まず、本発明の電気防食電極が設置されたコンクリート構造物について、図1に基づいて説明する。
本実施形態のコンクリート構造物10は、図1(a)(b)に示すように、コンクリート1の表面に長尺状の電気防食電極2の一面側が接触するように配置されており、該電気防食電極2の他面側には導電性シート3を介してシート体4が設けられている。
該シート体4は、前記電気防食電極2および導電性シート3よりも幅の広い長尺状であり、前記電気防食電極2および導電性シート3を外側から覆うようにコンクリート1表面に接着部によって接着されている。
前記該シート体4とコンクリート1表面の間であって、前記電気防食電極2の幅方向の側部には、グラウト5が充填され、前記電気防食電極2を固定している。
尚、エキスパンドメタル状とは、JIS G 3351に規定されたエキスパンドメタルの形状、またはこれと同様の形状をいう。
シート体4の材質は特に限定されるものではないが、前記電気防食電極2をコンクリート1表面に固定し、さらにその後、シート体4の内部にグラウトを充填するためある程度の伸縮性と、コンクリート構造物の外面に配置されるため防水性とを備えていることが好ましい。具体的には、例えば、アイオノマー樹脂製のフィルムやブチルゴムテープなどが好ましい。
前記グラウト材5としては、モルタルやセメントペースト等のグラウト材の充填性が良好であるため好適に用いられるが、特に限定されるものではない。
まず、前記のような網目状の電気防食電極2を、導電性シート3を介して長尺状のシート体4の一面側の幅方向の中央部に配置して、図2に示すような形成する。
前記導電性シート3はシート体4の中央部の接着層4a上に配置され、さらに導電性シート3の接着層の上面に前記電気防食電極2が接着される。
前記のようにシート体4の幅は、電気防食電極2の幅よりも広く形成されているため、電気防食電極2の幅方向の側部にはシート体4の両端部4bに接着層4aが露出している、図2(a)に示すような電極付きシート20が形成される。
まず、コンクリート1の表面を、洗浄し、必要に応じてコンクリートサンダーなどを用いて粗化する。
このような洗浄や粗化などの前処理を行うことは必ずしも条件ではないが、前記シート体4を接着しやすくなるという利点がある。
このような孔5はシート体4にカッターなどで切り込みをいれることで容易に形成できる。前記孔5を設ける数や位置は、シート体4の長さや充填するグラウトの流動性などに合わせて任意の数や位置に設定することができるが、例えば、シート体4の長手方向に1個/1m間隔程度に形成することが好ましい。
前記のようにシート体4にカッターなどで切り込みを入れる際に、内側に位置する前記導電性シート3にもカッターなどの刃が到達するようにして、同時に切り込みを入れ前記導電性シート3にも孔3aを形成する。
前記プラグ6としては、通常コンクリート構造物のひび割れにモルタルを注入するために用いられる注入プラグが使用できる。
さらに、該プラグ6から、注入ポンプ7を用いてモルタルを注入し(図3(c))、このモルタルが硬化することで電気防食電極2が固定される。
この時、前記電気防食電極2は網目状であるため、プラグ6から注入されたモルタルは、シート体4の孔5、導電性シート3の孔3aから電気防食電極2まで到達し、さらに電気防食電極2の網目の隙間を通過して、電極付きシート20とコンクリート1の表面の間にまんべんなくゆきわたって注入される。
しかも、電気防食電極をグラウトで完全に固定するまでの間、シート体でコンクリート表面に固定させておくことができるので、例えば、電気防食電極を構造物の下向きの面、斜面や側面などに取り付ける場合であっても、シート体で電気防食電極を固定しておくことでき、作業性が良好である。
シート体4がコンクリート表面へ固定されている状態は、少なくとも充填されたグラウトが硬化するまでの間維持されていれば、電気防食電極の設置は可能である。
但し、シート体4によって電極外面が被覆されている場合には、電極が露出することを確実に防止できるため、電極の取り付け後にもシート体4で覆われていることが好ましい。
長さ3m、高さ2.5m、厚さ20cmのコンクリート壁に、直径13mm(D13)の鉄筋を高さ方向に20cm間隔で複数本、壁面の表面から30mmの深さに埋設したコンクリートを試験対象とした。
実施例として、前記コンクリート壁面表面に長さ50cmの2本の電極(エルガードチタンリボンメッシュ#100、エルガード社製)を、前記壁面の中央部であって、前記鉄筋の上部に位置する付近に、高さ方向に15cm間隔で配置し、シート材(スコッチ強力防水補修テープ50mm幅、住友スリーエム株式会社製)、および導電性シート材(導電性メッシュテープ#2465RY、住友スリーエム株式会社製)を用いて、前記の方法で、シート材および導電性シート材によってコンクリート表面に前記電極を固定し、その後カッターで適宜数箇所に孔をあけ、該孔にプラグ(グラウトプラグA、日本シーカ株式会社製)からグラウト材(ハイスタッフ、日鉄セメント株式会社製)を注入して,28日放置し硬化させたものを準備した。
比較例1として、前記実施例と同様のコンクリート表面の前記電極を配置した位置と略同じ位置に、深さ20mm,幅20mm、長さ50cmの溝を2本形成し、内部に実施例と同様の電極を埋設して、上からモルタル材で固定したものを準備した。
尚、この時の2本の電極の間隔は10cmであった。
比較例2として、前記比較例1と、電極の間隔を20cmにした以外は、同様にしたものを準備した。
前記実施例、比較例1および2の分極試験(E-log I試験)をそれぞれ行った。
分極試験は、土木学会の「電気化学的防食工法設計施工指針」に記載の方法に従って行った。
通電試験装置;ポテンショガルバノスタッド(HA−151A、北斗電工株式会社製)
電位測定機器;高入力抵抗マルチメータ(734、横河電気株式会社製)
照合電極;鉛照合電極(PbM−5型、日本防蝕工業株式会社製)
図4のグラフより、実施例は電極間の距離が10cm比較例1よりも5cm電極間が広いにもかかわらず、比較例1と同程度の分極量であることが明らかである。すなわち、実施例は電流分布が良好なコンクリート構造物であるといえる。
従って、電極の設置間隔を広くとることができ、電極の設置数や設置面積を減らすことができる。
2:電気防食電極、
3:導電性シート、
4:シート体、
5:グラウト、
10:コンクリート構造
Claims (7)
- 内部に鋼材が設置されたコンクリート構造物の表面に、電気防食電極とシート体とを、前記電気防食電極が前記コンクリート構造物の表面に接触し、且つ前記シート体が、前記電気防食電極の外側を被覆するように固定し、
前記シート体とコンクリート構造物の表面との間にグラウトを注入することで、
前記電気防食電極をコンクリート構造物に設置することを特徴とするコンクリート構造物への電気防食電極の取り付け方法。 - 前記シート体が、一面側に接着部を有するシート体であり、前記電気防食電極を前記シート体の接着部の一部に接着によって固定し、前記電気防食電極が接着によって固定されていない前記接着部によって前記コンクリート構造物の表面に前記シート体を設置する請求項1に記載のコンクリート構造物への電気防食電極の取り付け方法。
- 前記電気防食電極を、導電性シートを介して前記シート体に固定する請求項1または請求項2に記載のコンクリート構造物への電気防食電極の取り付け方法。
- 前記シート体をコンクリート構造物の表面に固定した後に、前記シート体に設けられた切り込み部から前記グラウトを注入する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコンクリート構造物への電気防食電極の取り付け方法。
- 前記グラウトが硬化した後に、前記シート体に小孔を形成する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコンクリート構造物への電気防食電極の取り付け方法。
- コンクリートの内部に鋼材が設置されたコンクリート構造物であって、コンクリート表面に電気防食電極とシート体とが、前記電気防食電極が前記コンクリート構造物の表面に接触され、且つ前記シート体が、前記電気防食電極の外側を被覆するように固定され、前記シート体とコンクリート表面との間にグラウトが注入されて前記電気防食電極がコンクリート表面に設置されていることを特徴とするコンクリート構造物。
- 前記シート体が、一面側に接着部を有し、前記接着部の一部を介して電気防食電極とシート体が固定され、前記電気防食電極が固定されていない接着部によって前記コンクリート表面に前記シート体が固定されている請求項6に記載のコンクリート構造物。
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