JP2012066671A - 動揺低減装置および浮体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水上に浮かぶ浮体本体2において幅方向L2を向く側面5側に装着可能な平板6を備え、平板6は、浮体本体2における側面と底面との境界部分11よりも水深方向L1の水底側に、ビルジ部10の下端縁10aとの間に絞り隙間9をあけて略水平方向に沿って配置され、絞り隙間9の水深方向L1に沿った距離Aと、浮体本体2の幅方向L2に沿った幅寸法Bと、の第1比率A/Bは、0.025以上0.1以下となっている動揺低減装置3を提供する。
【選択図】図2
Description
本発明に係る動揺低減装置は、水上に浮かぶ浮体本体において幅方向を向く側面側に装着可能な平板を備える動揺低減装置であって、前記平板は、前記浮体本体における側面と底面との境界部分よりも水深方向の水底側に、前記境界部分との間に絞り隙間をあけて略水平方向に沿って配置され、前記絞り隙間の前記水深方向に沿った距離Aと、前記浮体本体の前記幅方向に沿った幅寸法Bと、の第1比率A/Bは、0.025以上0.1以下となっていることを特徴とする。
ここで略水平方向とは、水平方向に対して±30°程度の幅を許容する。
すなわち、幅方向に沿って、浮体本体を挟んだ平板の反対側から浮体本体に入射波が加えられると、水平方向のうち幅方向に直交する方向に延びる仮想軸回りに浮体本体が動揺して横揺れすることで傾き、浮体本体とともに平板が水深方向の水底側に移動する。すると、入射波によって生じる浮体本体の動揺および入射波自身によって発生させられる相対的水粒子運動または流れが、平板によって阻害されながら絞り隙間を通過し、幅方向に沿った浮体本体の内側から外側に向けて絞り隙間から吹き出すこととなる。これにより、渦を発生させてエネルギー散逸を生じさせることが可能になり、浮体本体の動揺を低減することができる。
すなわち、第1比率A/Bが0.025よりも小さい場合、平板が前記境界部分に近づきすぎるため、平板が入射波の波力を大きく受けることとなる。一方、第1比率A/Bが0.1よりも大きいと、絞り隙間が大きくなりすぎ、入射波により運動させられた水粒子に絞り隙間を通過させても、浮体本体の動揺を低減させるために十分なエネルギー散逸を生じさせることができないおそれがある。
また、例えばこの浮体本体を水上で移動させる場合には、平板を浮体本体から離脱させることで、平板を起因として生じる移動時の流体抵抗の増加(移動速度の低下)を回避することができる。
また、装着フレームの頂部に床面材が取り付けられているので、接舷対象と浮体本体とを接舷させて両者間で人や物資などを往来させるときに、床面材上を通して円滑に行うことができる。
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る船舶(浮体)を説明する。
図1に示すように、船舶1は、水上に浮かぶ船舶本体(浮体本体)2と、船舶本体2の動揺を低減する動揺低減装置3と、を備えている。
図2に示すように、船舶本体2において短手幅方向(幅方向)L2を向く舷(側面)5は、水深方向L1(鉛直方向)に沿って延びている。
なお略水平方向とは、水平方向に対して±30°程度の幅を許容し、図示の例では、平板6、7は、水平方向に沿って配置されており、平板6、7の上下両面が水平方向に平行になっている。
短手幅方向L2の他方側L22から船舶本体2に入射波が加えられると、水平方向のうち長手幅方向L3に延びる図示しない仮想軸回りに船舶本体2が動揺して横揺れすることで傾き、図3に示すように、船舶本体2の一方側L21とともに第1平板6が水深方向L1の水底側に移動する。すると、入射波によって生じる船舶本体2の動揺および入射波自身によって発生させられる相対的水粒子運動または流れが、第1平板6によって阻害されながら絞り隙間9を通過し、絞り隙間9から一方側L21に向けて吹き出すこととなる。これにより、渦Uを発生させてエネルギー散逸を生じさせることが可能になり、船舶本体2の動揺を低減することができる。
また、短手幅方向L2の一方側L21から船舶本体2に入射波が加えられた場合であっても、第2平板7が前記第1平板6と同様の作用を奏功し、船舶本体2の動揺を低減することができる。
すなわち、第1比率A/Bが0.025よりも小さい場合、平板6、7が船舶本体2の前記境界部分11(図示の例では、ビルジ部10の下端縁10a)に近づきすぎるため、平板6、7が入射波の波力を大きく受けることとなる。一方、第1比率A/Bが0.1よりも大きいと、絞り隙間9が大きくなりすぎ、入射波により運動させられた水粒子に絞り隙間9を通過させても、船舶本体2の動揺を低減させるために十分なエネルギー散逸を生じさせることができないおそれがある。
この場合、絞り隙間9の水深方向L1に沿った距離Aとは、ビルジキール12の先端縁12aと、平板6、7の内端縁8と、の間の水深方向L1に沿った距離を意味する。また、船舶本体2の前記境界部分11と、平板6、7の内端縁8と、の間の短手幅方向L2に沿った距離Cとは、ビルジキール12の先端縁12aと、平板6、7の内端縁8と、の間の短手幅方向L2に沿った距離を意味する。
さらに本実施形態では、第1平板6と第2平板7とが前記対称軸Oを基準として線対称となるように配置されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば図5(c)に示すように、第1平板6と第2平板7とが前記対称軸Oを基準として線対称となっていなくても良い。
さらにまた本実施形態では、第2平板7を備えているものとしたが、これに限られるものではなく、図5(d)に示すように、第2平板は無くても良い。
さらに、本実施形態では、第2比率C/Bは0.025以下であるものとしたが、これに限られない。
次に、前記第1実施形態で説明した作用効果についての第1から第4の検証試験を実施した。
第1の検証試験では、第1比率A/Bと、平板6、7が受ける入射波の波力と、の関係について検証した。本検証試験では、実施例1〜3および比較例1、2の計5例を実施した。
また、実施例1〜3および比較例1には、第1実施形態に示した平板6、7の1/100スケールの構成を採用した。すなわち、平板6、7の短手幅方向L2に沿った幅寸法Dは、20mmとした。さらに、平板6、7の内端縁8は、船舶本体2の前記境界部分11(ビルジ部10の上端縁10b)に対して短手幅方向L2に沿った船舶本体2の外側にずらされており、船舶本体2の前記境界部分11と平板6、7の内端縁8との間の短手幅方向L2に沿った距離Cは、1mmとなっている。なお比較例2では、船舶本体2に平板6、7を装着させなかった。
なお実施例1では、平板6、7として、図1に示すような船舶本体2の長手幅方向L3に沿って連続して延びる構成を採用し、実施例2では、平板6、7として、図5(a)に示すような船舶本体2の長手幅方向L3に沿って間欠的に延びる構成を採用した。
この結果から、第1比率A/Bが小さくなるほど、第1平板6が受ける波力が大きくなることが確認された。そして、第1比率A/Bが0.02の場合(比較例1)には、第1比率A/Bが0.025の場合(実施例3)に比べて極めて大きい波力を受けることが確認された。特に、第1比率A/Bが0.02の場合には、波周期が0.5秒以上1秒以下となる図6に示す範囲R1内にあるとき、第1比率A/Bが0.025の場合に比べて極めて大きい波力を受けることが確認された。
第2の検証試験では、第1比率A/Bと、船舶本体2の動揺と、の関係について検証した。本検証試験では、実施例1〜3および比較例2、3の計5例を実施した。
比較例3は、前記第1の検証試験の比較例1と絞り隙間9の水深方向L1に沿った距離Aのみ異ならせ、前記距離Aを44mmとした。すなわち、比較例3では、第1比率A/Bが0.11である。
この結果から、第1比率A/Bが0.025および0.1の場合(実施例1〜3)には、平板6、7が装着されていない場合に比べて、船舶本体2の動揺が低減されることが確認された。そして、第1比率A/Bが0.11の場合(比較例3)には、第1比率A/Bが0.1の場合(実施例1、2)に比べて極めて大きく船舶本体2が動揺し、平板6、7が装着されていない場合(比較例2)と同程度、船舶本体2が動揺することが確認された。特に、平板6、7が装着されていない場合、および第1比率A/Bが0.11の場合には、波周期が0.6秒以上0.9秒以下となる図7に示す範囲R2内にあるとき、第1比率A/Bが0.1の場合に比べて極めて大きく船舶本体2が動揺することが確認された。
第3の検証試験では、第2比率C/Bと、船舶本体2の動揺と、の関係について検証した。
なお前記距離Cは、船舶本体2の前記境界部分11(ビルジ部10の上端縁10b)と第1平板6の内端縁8との短手幅方向L2の位置が同等の場合を0として、第1平板6が短手幅方向L2に沿った船舶本体2の外側にずらされた場合を正、第1平板6が短手幅方向L2に沿った船舶本体2の内側にずらされた場合を負とした。
第4の検証試験では、平板6、7の形状と、船舶本体2の動揺と、の関係について検証した。本検証試験では、実施例1、2および比較例2の計3例を実施した。
そして、実施例1、2および比較例2のいずれも、波周期が互いに異なる複数種の入射波を、短手幅方向L2に沿って他方側L22から一方側L21に向けて船舶本体2に加え、船舶本体2の横揺れの振幅量を測定した。
この結果から、平板6、7として、船舶本体2の長手幅方向L3に沿って連続して延びる構成(実施例1)を採用しても、船舶本体2の長手幅方向L3に沿って間欠的に延びる構成(実施例2)を採用しても、平板6、7を装着しない場合(比較例2)に比べて、船舶本体2の動揺が低減されていることが確認された。特に、船舶本体2の長手幅方向L3に沿って連続して延びる構成、および船舶本体2の長手幅方向L3に沿って間欠的に延びる構成いずれの場合でも、波周期が0.6秒以上0.9秒以下となる図9に示す範囲R3内にあるとき、平板6、7を装着しない場合に比べて、船舶本体2の動揺が効果的に低減されることが確認された。
次に、本発明に係る第2実施形態の船舶20を、図10から図12を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
なお接舷とは、船が互いに舷側を付けることや、接舷対象21と船舶本体2とが互いの側面5、21a(側壁面、舷)を向き合わせて並列することを意味し、接舷対象21と船舶本体2とが接舷した状態では、両者間で人や物資などの往来が可能となる。
また図10に示すように、装着フレーム22の外側部22bおよび緩衝材23は、平板6、7よりも短手幅方向L2に沿った船舶本体2の外側に位置している。
平板6、7は、各装着フレーム22の底部22aに各別に取り付けられている。これにより、平板6、7は、船舶本体2の長手幅方向L3に沿って間欠的に延びることとなる。なお図示の例では、平板6、7の短手幅方向L2に沿った大きさは、装着フレーム22の底部22aの短手幅方向L2に沿った大きさよりも大きくなっており、平板6、7の内端縁8は、装着フレーム22から、短手幅方向L2に沿った船舶本体2の内側に張り出している。
図12に示すように、装着部材25は、装着フレーム22に長手幅方向L3に間隔をあけて複数(図示の例では2つ)取り付けられている。
図10に示すように、鉛直規制部30は、側面視逆U字状に形成されるとともに、一対のL字材29aの間に嵌合された横材27と、L字材29aと、を短手幅方向L2に挟み込むように、船舶本体2の上面に上方から着脱可能に装着されている。
支持部31は、船舶本体2の舷5に取り付けられている。また支持部31には、水深方向L1の水面側に向けて突出し装着部材25の縦材26の凹部27aに嵌合された凸部31aが形成されている。
係合手段32は、装着フレーム22において長手幅方向L3の一方側の一端部に取り付けられた雄部材33と、装着フレーム22において長手幅方向L3の他方側の他端部に取り付けられた雌部材34と、を備えている。
雌部材34は、装着フレーム22の他端部から長手幅方向L3に向けて突出するとともに短手幅方向L2に間隔をあけて配置された一対のL字材34aからなる。一対のL字材L字材34aは、装着フレーム22の他端部から長手幅方向L3に延びた後、互いに近接するように屈曲された上面視L字状となっており、この一対のL字材34aの間に雄部材33が嵌合されている。
図10に示すように、船舶本体2から装着フレーム22を離脱させる際には、まず、被装着部材28の鉛直規制部30を船舶本体2から離脱させ、装着部材25の水深方向L1の移動の規制を解除するとともに、例えば、船舶本体2に設けられた揚貨装置35(クレーンやダビッド等)によって装着フレーム22を上方から支持する。
以上により、装着フレーム22の水平方向の移動の規制が解除されることとなる。その後、揚貨装置35によって装着フレーム22を移動させ、例えば船舶本体2に収容する。
このように、装着フレーム22を船舶本体2に対して水深方向L1に昇降させることで、装着フレーム22を船舶本体2に着脱させることができる。
また、例えばこの船舶本体2を水上で移動(曳航、航行)させる場合には、平板6、7を船舶本体2から離脱させることで、平板6、7を起因として生じる移動時の流体抵抗の増加(移動速度の低下)を回避することができる。
さらに、装着フレーム22を船舶本体2に対して水深方向L1に昇降させることで、装着フレーム22を船舶本体2に着脱させることができるので、例えば揚貨装置35により装着フレーム22を着脱させることが可能になる。したがって、岸壁から離れた沖合であっても装着フレーム22および平板6、7を船舶本体2に容易に着脱させることができる。
また、装着フレーム22の頂部22cに床面材24が取り付けられているので、接舷対象21と船舶本体2とを接舷させて両者間で人や物資などを往来させるときに、床面材24上を通して円滑に行うことができる。
また本実施形態では、平板6、7の内端縁8は、装着フレーム22から、短手幅方向L2に沿った船舶本体2の内側に張り出しているものとしたが、張り出していなくても良い。
また平板6、7は、船舶本体2の舷5側に着脱可能でなくても良い。
例えば、前記各実施形態では、浮体本体として船舶本体2を採用したが、水上に浮かぶものであればこれに限られるものではなく、浮体本体として浮桟橋や浮駐車場なども採用することができる。
2 船舶本体(浮体本体)
3 動揺低減装置
4 底面
5 舷(側面)
6、7 平板
8 内端縁
9 絞り隙間
10 ビルジ部
11 境界部分
21 接舷対象
21a 側面
22 装着フレーム
22a 底部
22b 外側部
22c 頂部
23 緩衝材
24 床面材
L1 水深方向
L2 短手幅方向(幅方向)
Claims (5)
- 水上に浮かぶ浮体本体において幅方向を向く側面側に装着可能な平板を備える動揺低減装置であって、
前記平板は、前記浮体本体における側面と底面との境界部分よりも水深方向の水底側に、前記境界部分との間に絞り隙間をあけて略水平方向に沿って配置され、
前記絞り隙間の前記水深方向に沿った距離Aと、前記浮体本体の前記幅方向に沿った幅寸法Bと、の第1比率A/Bは、0.025以上0.1以下となっていることを特徴とする動揺低減装置。 - 請求項1記載の動揺低減装置であって、
前記境界部分と、前記平板において前記幅方向に沿った浮体本体の内側に位置する内端縁と、の間の前記幅方向に沿った距離Cと、前記浮体本体の前記幅方向に沿った幅寸法Bと、の第2比率C/Bは0.05以下であることを特徴とする動揺低減装置。 - 請求項1又は2に記載の動揺低減装置であって、
前記平板は、前記浮体本体の前記側面側に着脱可能であることを特徴とする動揺低減装置。 - 請求項3記載の動揺低減装置であって、
前記浮体本体の前記側面に着脱可能とされた装着フレームを備え、
前記平板は、前記装着フレームの底部に取り付けられていることを特徴とする動揺低減装置。 - 水上に浮かぶ浮体本体と、
請求項1から4のいずれか1項に記載の動揺低減装置と、を備えることを特徴とする浮体。
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