[第1実施形態]
図1に示すように、電子内視鏡システム11は、電子内視鏡12、プロセッサ装置13、及び光源装置14からなる。電子内視鏡12は、被検者の体内に挿入される可撓性の挿入部16と、挿入部16の基端部分に連接された操作部17と、プロセッサ装置13及び光源装置14に接続されるコネクタ18と、操作部17‐コネクタ18間を繋ぐユニバーサルコード19とを有する。挿入部16の先端(以下、先端部という)20には被検体内撮影用のCCD型イメージセンサ(図2参照。以下、CCDという)21が設けられている。
操作部17には、先端部20を上下左右に湾曲させるためのアングルノブや挿入部16の先端からエアーや水を噴出させるための送気/送水ボタン、観察画像を静止画像記録するためのレリーズボタン、モニタ22に表示された観察画像の拡大/縮小を指示するズームボタン、通常光による観察とPDDの切り替えを行う切り替えボタンといった操作部材が設けられている。また、操作部17の先端側には、電気メス等の処置具が挿通される鉗子口が設けられている。鉗子口は、挿入部16内の鉗子チャネルを介して、先端部20に設けられた鉗子出口に連通している。
プロセッサ装置13は、光源装置14と電気的に接続され、電子内視鏡システム11の動作を統括的に制御する。プロセッサ装置13は、ユニバーサルコード19や挿入部16内に挿通された伝送ケーブルを介して電子内視鏡12に給電を行い、CCD21の駆動を制御する。また、プロセッサ装置13は、伝送ケーブルを介してCCD21から出力された撮像信号を取得し、各種画像処理を施して画像データを生成する。プロセッサ装置13で生成された画像データは、プロセッサ装置13にケーブル接続されたモニタ22に観察画像として表示される。
図2に示すように、先端部20には、CCD21、対物光学系31、投光ユニット55A,55B等が設けられている。タイミングジェネレータ(以下、TGという)26、アナログ信号処理回路(以下、AFEという)27、VRAM28、CPU29は、操作部17やユニバーサルコード19のコネクタ18等に設けられている。観察窓23の奥には、レンズ群及びプリズムからなる対物光学系31によって被検体内の像が撮像面に結像されるようにCCD21が配置されている。照明窓24からは照明光やPDT用の治療光が被検体内に照射される。照明光や治療光は、光源装置14から電子内視鏡12に供給され、ユニバーサルコード19及び挿入部16に挿通された光ファイバ56A,56Bによって導光され、出射端に配置された投光ユニット55A,55Bから照明レンズ(図示しない)を介して被検体内に照明される。
CCD21は、対物光学系31によって撮像面に結像された被検体内の像を光電変換する。CCD21は複数の画素を有し、各画素は入射光量に応じた画素値である撮像信号を出力する。撮像面は、中央の受光部と、受光部を囲むように設けられたオプティカルブラックとからなる。受光部は開口された画素が配列された領域であり、各画素に複数の色セグメントからなるカラーフィルタが形成されている。カラーフィルタは、例えばベイヤー配列の原色(RGB)あるいは補色(CMYまたはCMYG)カラーフィルタである。オプティカルブラックは、遮光膜によって遮光された画素からなる領域であり、暗電流ノイズに応じた撮像信号を出力する。したがって、CCD21が出力する撮像信号には、受光部の画素から出力される撮像信号とともに、オプティカルブラックの画素から出力される撮像信号が含まれる。受光部の画素から出力される撮像信号は、観察画像の生成に用いられ、オプティカルブラックの画素から出力される撮像信号は、受光部の画素から出力される撮像信号の暗電流補正に用いられる。また、CCD21はTG26から入力されるクロック信号に応じて動作し、信号電荷の蓄積や読み出し等の動作を行う。信号電荷を蓄積する期間(以下、電荷蓄積期間という)の長さや開始/終了のタイミング等、いわゆる電子シャッタの開閉やそのタイミングは、シャッタパルスとしてのクロック信号の入力タイミングによって調節される。シャッタパルスが入力されている期間が電子シャッタが閉じられている期間であり、シャッタパルスの入力が停止している期間が、電子シャッタが開かれている期間である。
CCD21から出力される撮像信号はアナログ信号であり、AFE27によってノイズ除去処理やゲイン補正処理が施され、A/D変換された後に、ユニバーサルコード19及びコネクタ18を介してプロセッサ装置13のDSP42(後述)に入力される。
TG26は、CCD21にクロック信号を与える。CCD21は、TG26から入力されるクロック信号に応じて撮像動作を行ない、撮像信号を出力する。CPU29は、電子内視鏡12とプロセッサ装置13とが接続された後、プロセッサ装置13のCPU41からの動作信号に基づいてTG26を駆動させる。後述するように、TG26から出力されるクロック信号はCPU29によって決定され、PDTによる治療中やPDDによる観察時等、撮影の態様に応じて各々異なるタイミングで信号電荷の蓄積等の動作を開始/終了を指示するクロック信号が出力される場合がある。
AFE27は、相関二重サンプリング(CDS)回路、自動ゲイン調節(AGC)回路、A/D変換器からなる。CDSは、CCD21が出力する撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、CCD21を駆動することによって生じるノイズを除去する。AGCは、CDSによってノイズが除去された撮像信号を増幅する。A/D変換器は、AGCで撮像信号を、所定のビット数のデジタルな撮像信号に変換する。AFE27の駆動は、CPU29によって制御される。例えば、CPU29は、プロセッサ装置13のCPU41から入力される動作信号に基づいて、AGC回路による撮像信号の増幅率(ゲイン)を調節する。
投光ユニット55A,55Bは、光源装置14から光ファイバ56A,56Bによって導光される光を被検体内に照射するユニットである。投光ユニット55A,55Bの先端は保護ガラス(図示しない)によって封止されており、それぞれ治療光,通常光,励起光の照射窓として先端面に露呈される。
投光ユニット55Aは、通常光を被検体内に照射するユニットであり、光ファイバ56Aによって光源装置14から青色レーザー光が導光される。投光ユニット55Aの先端には、蛍光体58が設けられている。蛍光体58は、例えばYAGやBAM(BaMgAl10O17)からなり、光ファイバ56Aから出射される青色レーザー光の一部を吸収して緑色〜黄色に励起発光する。このため、投光ユニット55Aは、蛍光体58を拡散しながら透過する青色の光と、蛍光体58から励起発光される緑色〜黄色の光が合わさって擬似白色の通常光を出射する。通常光の照射範囲は、電子内視鏡12による撮影範囲と同程度か、これよりも大きく、通常光は観察画像の全面にほぼ均一に照射される。
投光ユニット55Bは、PDD用の励起光やPDT用の治療光を被検体内に照射するユニットであり、光ファイバ56Bによって励起光または治療光の一方が導光される。投光ユニット55Bの先端には、光ファイバ56Bから出射される光を所定の範囲に拡散させる光拡散部材59が設けられている。このため、投光ユニット55Bが被検体内に照射する光は、一定の広がりを持った照射範囲となる。励起光及び治療光の照射範囲は、通常光の照射範囲よりも小さく、励起光及び治療光は、主に電子内視鏡12の視野の一部に照射される。
プロセッサ装置13は、CPU41、デジタル信号処理回路(DSP)42、デジタル画像処理回路(DIP)43、表示制御回路44、操作部51等を有する。
CPU41は、図示しないデータバスやアドレスバス、制御線を介して各部と接続されており、プロセッサ装置13全体の動作を統括的に制御する。ROM52には、プロセッサ装置13の動作を制御するための各種プログラム(OS,アプリケーションプログラム等)や各種データ(グラフィックデータ等)が記憶されている。CPU41は、ROM52から必要なプログラムやデータを読み出して、作業メモリであるRAM53に展開し、読み出したプログラムを逐次処理する。また、CPU41は、検査日時、被検体や術者の情報等の文字情報といった検査毎に変わる情報を、操作部51やLAN等のネットワークより取得し、RAM53に記憶する。
さらに、CPU41は、被検体内に照射する光の種類や照射タイミング等、撮影の態様に応じてCCD21の電荷蓄積期間やその開始/終了のタイミングを調節する調節信号を電子内視鏡12のCPU29に入力する。電子内視鏡12のCPU29は、CPU41から入力される調節信号にしたがってTG26を駆動させることにより、CCD21の電子シャッタを開閉させるタイミング等を撮影の態様に応じて調節する。例えば、挿入部16の挿入時等に通常光で照明しながら被検体内を撮影する場合、1枚の観察画像を撮影するサイクルである1フレーム期間のうち、信号電荷を読み出して撮像信号を出力する期間を除くほぼ全ての期間を電荷蓄積時間とする。一方、PDTによる治療を行ないながら被検体内を撮影する場合、CPU29は、1フレーム期間の前半半分で電子シャッタを閉じ、1フレーム期間の後半半分で電子シャッタを開け、電荷蓄積期間とする。
また、CPU41は、CPU29に入力するものと同じ調節信号を光源装置14のCPU66に入力する。これにより、光源装置14から撮影態様に応じたタイミングで通常光や励起光、治療光を照射させる。CCD21と後述する光源装置14の各LDの動作は、CPU41がCPU29及びCPU66に撮影態様に応じた同期信号を入力することによって同期される。
DSP42は、CCD21から入力される撮像信号に対して、色分離、色補間、ゲイン補正、ホワイトバランス調整、ガンマ補正等の各種信号処理を施し、画像データを生成する。DSP42で生成された画像データは、DIP43の作業メモリに入力される。また、DSP42は、例えば生成した画像データの各画素の輝度を平均した平均輝度値等、照明光量の自動制御(ALC制御)に必要なALC制御用データを生成し、CPU41に入力する。
DIP43は、DSP42で生成された画像データに対して、電子変倍、色強調処理、エッジ強調処理等の各種画像処理を施す。DIP43で各種画像処理が施された画像データは、観察画像としてVRAM28に一時的に記憶された後、表示制御回路44に入力される。
表示制御回路44は、VRAM28から観察画像を選択して取得し、モニタ22上に表示する。また、表示制御回路44は、CPU41からROM52及びRAM53に記憶されたグラフィックデータ等を受け取る。グラフィックデータ等には、観察画像のうち被写体が写された有効画素領域のみを表示させる表示マスク、検査日時,被検体や術者の情報等の文字情報、GUIといったものがある。表示制御回路44は、VRAM28から取得した観察画像に対してグラフィックデータ等の重畳処理を行うとともに、モニタ22の表示形式に応じたビデオ信号(コンポーネント信号、コンポジット信号等)に変換してモニタ22に出力する。これにより、モニタ22に観察画像が表示される。
操作部51は、プロセッサ装置13の筐体に設けられる操作パネル、マウスやキーボード等の周知の入力デバイスであり、PDTにおける治療光の照射及び停止を指示するペダルスイッチを含む。CPU41は、操作部51や電子内視鏡12の操作部17からの操作信号に応じて、電子内視鏡システム11の各部を動作させる。
プロセッサ装置13には、上記の他にも、画像データに所定の圧縮形式(例えばJPEG形式)で画像圧縮処理を施す圧縮処理回路や、レリーズボタンの操作に連動して、圧縮された画像をリムーバブルメディアに記録するメディアI/F、LAN等のネットワークとの間で各種データの伝送制御を行うネットワークI/F等が設けられている。これらは、データバス等を介してCPU41と接続されている。
光源装置14は、照明光ユニット61と治療光ユニット62を備える。照明光ユニット61は、被検体内に照射する撮影用の照明光を発生するユニットであり、光源63、絞り機構64、波長選択フィルタ65等から構成される。
光源装置14は、通常光用LD61、励起光用LD62、治療光用LD63の3種類のレーザーダイオードを光源として有し、CPU66によって各々の動作を制御する。
通常光用LD61は、中心波長445nmの青色レーザー光を発光する光源であり、レンズ等(図示しない)を介して光ファイバ64aに導光される。光ファイバ64aは、コネクタ18を介して電子内視鏡12の光ファイバ56Aに接続される。このため、通常光用LD61が発光した青色レーザー光は、投光ユニット55Aに導光され、蛍光体58に入射する。そして、青色レーザー光が入射されることにより蛍光体58が励起発光する緑色〜黄色の光と合わさって、擬似白色の通常光として被検体内に照射される。
励起光用LD62は、中心波長405nmの青紫レーザー光を発光する光源であり、レンズ等(図示しない)を介して光ファイバ64bに導光される。光ファイバ64bは、カプラ(図示しない)によって光ファイバ64cと1経路の光ファイバ64dに統合され、コネクタ18を介して電子内視鏡12の光ファイバ56Bに接続される。このため、励起光用LD62が発光した青紫レーザー光は、投光ユニット55Bに導光される。そして、光拡散部材59によって拡散され、PDD用の励起光として被検体内に照射される。PDD及びPDTで用いられる光感受性物質は、励起光の照射によって中心波長660nm程度の赤色の蛍光光を発生する。
治療光用LD63は、中心波長665nmの赤色レーザー光を発する光源であり、レンズ等(図示しない)を介して光ファイバ64cに導光される。光ファイバ64cは、光ファイバ64dに統合された後に、コネクタ18を介して電子内視鏡12の光ファイバ56Bに接続される。このため、治療光用LD63が発光した赤色レーザー光は、投光ユニット55Bに導光される。そして、光拡散部材59によって拡散され、PDT用の治療光として被検体内に照射される。
これらの各LD61〜63の点灯や消灯のタイミングはCPU66によって各々制御される。例えば、CPU66は、CPU41から入力される信号に基づいて、励起光用LD62と治療光用LD63のいずれか一方を選択的に点灯させる。これにより、PDD用の励起光またはPDT用の治療光のいずれか一方が投光ユニット55Bから被検体内に照射される。
また、CPU66は、CPU41から入力される調節信号や同期信号にしたがって各LD61〜63の点灯/消灯のタイミングを調節することにより、撮影態様に応じて、かつ、CCD21の駆動タイミングと同期して、通常光や励起光、治療光を被検体内に照射させる。例えば、PDTによる治療を行ないながら被検体内を撮影する場合、CPU66は通常光用LD61を常時点灯させることにより、投光ユニット55Aから通常光を照射し続けるとともに、1フレーム期間のうち一部の期間で治療光用LD63を点灯させ、投光ユニット55Bから治療光を照射する。このとき、CPU66は、1フレーム期間の開始時点に同期して、治療光用LD63を点灯開始させるとともに、所定時間、治療光用LD63を点灯させた後に、治療光用LD63を消灯する。CPU66が治療光用LD63を点灯させる期間は、1フレーム期間後半の電荷蓄積期間に一部重複する長さに調節される。治療光の照射期間と電荷蓄積時間とが重複する期間(以下、重複期間という)の長さは、調節信号に含まれており、CPU41によって、撮影する画像にハレーションが生じない程度に設定やALC制御用データ等に基づいて決定される。
さらに、CPU66は、プロセッサ装置13のCPU41と通信し、通常光用LD61及び励起光用LD62の発光量を調節することにより、被検体内に照射する照明光の光量を調節する。CPU66による照明光量の制御は、撮影された観察画像の明るさ等に応じて自動的に照明光量を調節するALC(Auto Light Control)制御であり、DSP42で生成されたALC制御用データに基づいて行われる。
フード81は、PDD及びPDTを行う場合に先端部20に取り付けられるアタッチメントである。フード81には、先端部20の観察窓23,照明窓24,鉗子出口の位置にそれぞれ対応して、観察窓82,照明窓83,鉗子出口が設けられている。
観察窓82には減光フィルタ85が設けられている。減光フィルタ85は、PDD用の励起光とPDT用の治療光を減光するフィルタ(いわゆるノッチフィルタ)であり、励起光及び治療光以外の波長帯の光はほぼ100%透過する。このため、PDD時には、光感受性物質から発生する蛍光光と励起光の反射光が観察窓82に入射するが、励起光だけが減光される。これにより、光量が小さい蛍光光による被検体内の像を撮影することができる。
また、PDT時には、治療時間を短縮するために高光量の治療光が用いられるが、その反射光は減光フィルタ85によって減光されるので、CCD21に到達する治療光の光量が低減される。
なお、通常光は広帯域光であり、PDD用の励起光やPDT用の治療光の波長の光を含むので、フード81を取り付けた状態で通常光によって照明しながら被検体内を撮影(以下、通常光撮影という)すると、減光フィルタ85によって励起光及び治療光と同一の波長帯の情報が低減されてしまうが、その他の大部分の波長帯の光は減光フィルタ85を透過する。このため、通常光の照明によって撮影される観察画像(以下、通常光画像という)は、フード81の有無によらず、ほぼ同様の通常光画像となる。
照明窓83には、少なくとも通常光と励起光を透過する透明な部材(例えばガラス板)が嵌め込まれている。このため、先端部20にフード81を取り付けた場合も、フード81を取り付けない場合と同様に通常光や励起光が被検体内に照射される。
図3(A)に示すように、投光ユニット55Aは、蛍光体58と、蛍光体58の外周を覆う筒状のスリーブ部材71と、スリーブ部材71の先端を封止する保護ガラス72と、スリーブ部材71に挿入された光ファイバ56Aを中心軸に保持するフェルール73とを備えている。光ファイバ56Aはフレキシブルスリーブ74の間に挿入され、フェルール73の後端側に延設されている。また、図3(B)に示すように、投光ユニット55Bは、蛍光体58のかわりに光拡散部材59が配置され、光ファイバ56Bによって導光される以外は、投光ユニット55Aと同様の構成となっている。
図4に示すように、減光フィルタ85は、励起光の波長λ1の近傍と治療光の波長λ2の近傍で透過率が低く、その他の波長の光はほぼ100%透過する。減光フィルタ85は、励起光の波長λ1の近傍で透過率が低い第1のノッチフィルタと、治療光の波長λ2の近傍で透過率が低い第2のノッチフィルタを重ねて作製される。このため、励起光の波長λ1の透過率は、PDD時に用いる励起光の光量と発生する蛍光光とに応じて、治療光λ2の透過率はPDT時に用いる治療光の光量に応じて、各々定められる。なお、ここでは2種のノッチフィルタを組み合わせる例を説明したが、減光フィルタ85は、励起光と治療光を減光させることができれば良いので、光学薄膜等の具体的な構成は任意に定めることができる。
上述のように構成される電子内視鏡システム11の作用を説明する。電子内視鏡システム11によってPDD及びPDTを行う場合、術者は前もって被検者に光感受性物質を投与する。光感受性物質の投与後、一定の時間が経過し、光感受性物質が腫瘍組織に十分に蓄積し、検査及び治療が開始される。検査及び治療を開始するときには、術者は電子内視鏡12とプロセッサ装置13及び光源装置14を接続し、プロセッサ装置13及び光源装置14の電源をオンにする。また、操作部51を操作して、被検体に関する情報等を入力するとともに、先端部20にフード81を取り付け、挿入部16を被検体内に挿入する。挿入部16の挿入は、通常光を証明して被検体内を観察しながら行われる。
先端部20が腫瘍組織近傍に到達したら、操作部17を操作して、観察方法を通常光観察からPDDに切り替える。操作部17によって通常光観察からPDDへの切り替え指示が入力されると、CPU41は、PDD用の調節信号と同期信号を電子内視鏡12のCPU29と光源装置14のCPU66に入力する。電子内視鏡12のCPU29は、PDD用の調節信号と同期信号が入力された場合、通常光によって被検体内を観察する場合と同様にCCD21を駆動して被検体内を撮影する。また、光源装置14のCPU66は、PDD用の調節信号と同期信号が入力されると、通常光用LD61を消灯し、励起光用LD62を点灯させる。これにより、被検体内には、投光ユニット55Aから照射される通常光に代わって、投光ユニット55Bから励起光が照射される。
こうして励起光を照射して被検体内を撮影すると、光感受性物質から発せられる蛍光光によって腫瘍組織が強調されたPDD画像が撮影され、モニタ22に表示される。術者は、通常光画像とPDD画像を切り替え観察(あるいは同時に表示させて観察)しながら腫瘍組織の位置や大きさ、形状等を確認し、腫瘍組織に治療光が効率良く照射されるように先端部20の位置や向きを調節する。
先端部20の位置や向きを調節が完了すると、術者はペダルスイッチ(操作部51)を踏み、PDTによる治療を開始する。ペダルスイッチが踏まれると、CPU41は、PDT用の調節信号及び同期信号を、電子内視鏡12のCPU29及び光源装置14のCPU66にPDT用の調節信号及び同期信号を入力する。電子内視鏡12のCPU29及び光源装置14のCPU66は、PDT用の調節信号及び同期信号が入力されると、これに応じてCCD21の電子シャッタの開閉タイミングや各LD61〜63の点灯/消灯のタイミングを各々調節して、PDTによる治療中用の撮影態様に切り替える。
図5に示すように、電子内視鏡12のCPU29は、PDT用の調節信号及び同期信号が入力されると、1フレーム期間FRの前半半分Aで電子シャッタを閉じ(close)、1フレーム期間FRの後半半分Bで電子シャッタを開く(open)ように、TG26から所定のクロック信号をCCD21に入力させる。これにより、CCD21は、1フレーム期間FRの後半半分Bで信号電荷を蓄積する。
また、光源装置14のCPU66は、PDT用の調節信号及び同期信号が入力されると、通常光用LD61をonに設定し、常時点灯を開始させるとともに、励起光用LD62を消灯する。これにより、PDTによる治療を行っている間、投光ユニット55Aから常に通常光が照射される。これと同時に、CPU66は、治療光用LD63を点灯/消灯(on/off)させることにより、CCD21の駆動タイミングに合わせて投光ユニット55Bから治療光をパルス照射する。治療光用LD63が点灯開始(on)されるタイミングは、CCD21の電子シャッタが閉じられる1フレーム期間FRの開始時に同期され、1フレーム期間FRの後半半分の期間Bの途中で消灯(off)される。
したがって、治療光の照射期間T1と電荷蓄積期間T2には重複期間T3がある。重複期間T3の長さは、PDTによる治療中に撮影する画像(以下、PDT画像という)にハレーションが生じない程度に、設定等にしたがってCPU41によって予め定められている。治療光の照射期間T1は、1フレーム期間FRの前半半分Aに重複期間T3を加えた長さに定められる。
CCD21の各画素は、電子シャッタが閉じられているフレームFRの前半半分の期間Aでは、信号電荷の蓄積量は0(empty)である。その後、電子シャッタが開かれると、入射光量に応じて信号電荷が蓄積される。このとき、緑色画素(以下、G画素という)は、通常光の反射光に含まれる緑色成分に感応して、電荷蓄積期間T2の長さに比例した信号電荷が蓄積される。治療光は赤色であるため、重複期間T3においてもG画素は通常光の反射光によって信号電荷を蓄積する。青色画素(以下、B画素という)も同様に、通常の反射光に含まれる青色成分に感応して、電荷蓄積期間T2の長さに比例した信号電荷が蓄積される。
一方、赤色画素(以下、R画素という)では、電子シャッタが開かれると、電荷蓄積期間T2のうち、当初の重複期間T3では、治療光による反射光と通常光の反射光に含まれる赤色成分とによって信号電荷が蓄積される。このため、治療光の反射光が入射するR画素では、G画素やB画素よりも急峻に信号電荷が蓄積される。そして、重複期間T3以後の電荷蓄積期間T2においては、通常光の反射光に含まれる赤色成分の量に比例して信号電荷が蓄積する。重複期間T3は、電荷蓄積期間T2の終了時にR画素に蓄積される信号電荷が、概ね最大蓄積容量(full)に満たない範囲内で決定される。また、治療光の反射光が入射しない位置にあるR画素では、G画素やB画素と同様に、通常光の反射光に含まれる赤色成分によって信号電荷が蓄積されるので、電荷蓄積期間T2を通して、通常光の反射光の光量に比例して信号電荷が蓄積される。
上述のように、電子内視鏡システム11では、PDTによる治療を行っているときに、1フレーム期間FRの前半の一部期間を治療光照射期間T1,フレームFRの後半半分の期間Bを電荷蓄積期間T2とするとともに、治療光照射期間T1と電荷蓄積期間T2に重複期間T3を設けてPDT画像を撮影する。重複期間T3はPDT画像にハレーションが生じない程度に定められるので、電子内視鏡システム11で撮影したPDT画像によれば、PDTによる治療中であっても被検体内を良好に観察することができる。
そして、フレーム期間毎に治療光の照射と通常光撮影を交互に行うことによって治療中の被検体内を観察する例(例えば、T1=T2かつT3=0の場合。以下、比較例1という)と電子内視鏡システム11を比較すると、電子内視鏡システム11は、重複期間T3の分だけ各フレーム期間FRにおいて治療光が長く腫瘍組織に照射される。PDTによる治療時間は、CCD21の駆動サイクルに関係なく常に治療光を照射し続けた場合であっても1時間以上もの長時間を要することも多い。このため、電子内視鏡システム11によれば、重複期間T3の長さや、治療完了するまでに必要な治療光の総照射光量によっては、数10分単位で治療時間を短縮し、被検者の負担を低減することができる。
また、電子内視鏡システム11では、重複期間T3が設けられているため、PDT画像は、いわゆる通常光画像に重複期間T3の長さに比例した治療光の照射スポットの像が重畳表示された画像となっている。比較例1の場合には、治療光の照射と通常光撮影が交互であるため、モニタ等に表示される通常光画像から治療光が照射されているか否かを判別したり、治療光が腫瘍組織の位置に正しく照射されているか否かを判別したりすることは困難であるが、電子内視鏡システム11では、PDTによる治療中に被検体内を良好に観察することができることに加えて、治療光の照射スポットをPDT画像から把握することができる。
さらに、図6に示すように、CCD21の駆動サイクルに関わらず常に治療光を照射しておき、1フレーム期間FRの途中で電子シャッタを閉じて信号電荷を破棄することによってPDTによる治療中にハレーションのない画像を撮影する例(以下、比較例2という)と比べて、本発明の電子内視鏡システム11には次のようなメリットがある。
比較例2の場合、1フレーム期間FRの開始時点aで電子シャッタを閉じて、再び電子シャッタを開き信号電荷の蓄積を開始する。その後、1フレーム期間FRの途中bで再び電子シャッタを閉じて、全画素の信号電荷を破棄する。この間、フレームFR当初の時点aから途中の時点bまでにR画素は治療光の反射光によって飽和してしまうが(full)、途中の時点bで全画素の信号電荷を破棄することにより、治療光によるハレーションを防止する。
ここで、例えば、R画素のタイミングチャートに二点鎖線で示すように、比較例2で時点b後のR画素に蓄積される信号電荷の量が、本発明の電子内視鏡システム11のR画素の信号電荷の量と等しくなるように、電子シャッタを閉じる時点bのタイミングが定められているとする。この場合、比較例2では時点bで電子シャッタを閉じ、G画素やB画素の信号電荷も破棄してしまうので、G画素及びB画素のタイミングチャートに二点鎖線で示すように、電子内視鏡システム11のG画素やB画素の信号電荷の量よりも小さくなりやすい。また、治療光の反射光が入射しないようなR画素は、G画素やB画素と同様に蓄積される信号電荷の量は小さい。したがって、比較例2で撮影されるPDT画像は、ほぼ治療光の照射スポット(赤色)だけが浮かび上がったような画像となり、PDTによる治療中に被検体内の全体を良好に観察することは難しい。これに対して、電子内視鏡システム11は、被検体内の全体をほぼフルカラーで観察することができる。また、電子内視鏡システム11を用いてPDTによる治療を行う場合、治療光を消灯する時間がある分、比較例2よりも治療時間は長くなるが、電子内視鏡システム11は、治療時間を最小限に抑えつつ、被検体内を良好に観察することができるようにしたものである。
なお、上述の第1実施形態では、設定等によって重複期間T3が予め定められている例を説明したが、重複期間T3を可変にしても良い。例えば、図7(A)に示すように、重複時間T3でPDT画像を撮影したときに、R画素の信号電荷が小さくPDT画像が暗かった場合、図7(B)や図7(C)に示すように、フレーム期間毎の治療光照射期間T1を延長し、または電荷蓄積期間T2を延長することによって、重複期間T3の長さを延長しても良い。逆に、必要以上にPDT画像が明るかった場合には、同様にして重複期間T3を短縮しても良い。
こうした重複期間T3の延長は、CPU41がDSP42から入力されるALC制御用データに基づいて以下のように行うようにすれば良い。なお、重複期間T3を短縮する場合も同様であるので説明は省略する。CPU41には、DSP42からALC制御用データが入力されるが、PDTによる治療中においては、通常光撮影時に比べて電荷蓄積期間T2が減少されており、PDT画像は通常光画像と比べて暗いと判別される場合が多い。このため、PDTによる治療中では、ALC制御用データは、概ね、通常光の光量を増大させ、より明るい画像を撮影することを指示するものとなっている。また、光源装置14のCPU66は、これに応じて通常光を最大光量まで増大させているとする。
CPU41は、こうしたALC制御用データが入力されると、ALC制御用データが指示する通常光の光量の増大分を、所定の数式(あるいはデータテーブル等)にしたがって重複時間T3に換算し、あらたな重複時間T3’,T3”を決定する。そして、決定した重複時間T3’,T3”に応じて、治療光照射期間T1をT1’ (T1’>T1)に延長するように、または電荷蓄積期間T2をT2’(T2’>T2)に延長するように、新たな調節信号及び同期信号を電子内視鏡12のCPU29及び光源装置14のCPU66に入力する。電子内視鏡12のCPU29及び光源装置14のCPU66は、新たに入力された調節信号及び同期信号に基づいて、CCD21や各LD61〜63を各々制御することによって、次のフレーム期間またはそれ以降のフレーム期間で重複期間T3が重複期間T3’,T3”に延長される。
図7(B)に示すフレーム期間FR’のように、治療光照射期間T1をT1’とすることによって重複期間T3をT3’に延長する場合、重複期間が延長された分、1フレーム期間で照射される治療光の光量が増大するとともに、R画素で蓄積される信号電荷が増大する。一方、電荷蓄積期間T2は以前のフレーム期間FRと同じなので、G画素やB画素の信号電荷は以前のフレーム期間FRとほぼ変わりなく、治療光の反射光が入射しないような位置にあるR画素もG画素やB画素と同様である。このため、治療光照射期間T1を延長することによって重複期間T3を延長させる場合、治療時間を短縮できるとともに、主に治療光の照射スポット周辺の赤色がより明るいPDT画像を撮影することができる。これは、被検者の体力が少ない場合などで、治療時間をより短く抑えたい場合に特に有用である。
また、図7(C)に示すフレーム期間FR”のように、電荷蓄積期間T2をT2”とすることによって重複期間T3をT3”に延長する場合、重複期間が延長された分、R画素で蓄積される信号電荷が増大する。同時に、G画素やB画素で蓄積される信号電荷も増大する。このため、電荷蓄積期間T2を延長することによって重複期間T3を延長する場合、RGBの全色がより明るくなったPDT画像を撮影することができ、PDTによる治療と同時に、その治療効果等、被検体内の詳細な性状観察をおこないたい場合に特に有用である。
なお、ここでは、重複期間T3を可変にする場合に、治療光照射期間T1または電荷蓄積期間T2のいずれか一方を変更することによって重複期間T3を延長/短縮する例を説明したが、治療光照射期間T1及び電荷蓄積期間T2の双方の長さを変更することによって重複期間T3を延長/短縮しても良い。この場合、CPU41は、延長/短縮後の重複期間T3の長さをALC制御用データに基づいて先に決定し、例えば、決定した延長/短縮後の重複期間T3の長さ治療光照射期間T1及び電荷蓄積期間T2の増減量が最小になるように、治療光照射期間T1及び電荷蓄積期間T2の長さを決定すれば良い。こうして治療光照射期間T1と電荷蓄積期間T2をともに変更することによって重複期間T3の長さを調節すると、治療時間とPDT画像の明るさを最適化することができる。
なお、上述の第1実施形態では、フレーム期間FRの前半側を治療光照射期間T1とし、後半側を電荷蓄積期間T2とすることで、治療光照射期間T1の後端と電荷蓄積期間T2の前端に重複期間T3を設ける例を説明したが、これに限らず、フレーム期間FRの前半側を電荷蓄積間T2とし、後半側を治療光照射期間T1として、電荷蓄積期間T2の後端と治療光照射期間T1の前端に重複期間T3を設けても良い。
[第2実施形態]
なお、上述の第1実施形態では、PDTによる治療中に、通常光の照明の元でPDT画像を撮影する例を説明したが、PDTによる治療中にPDDによる蛍光観察画像(以下、PDD画像)を撮影するようにしても良い。この場合、PDT画像の撮影とPDD画像の撮影をフレーム期間毎に分けて交互に行うと、治療時間が倍増するので、以下に説明する第2実施形態のようにすることが好ましい。
PDD用の励起光照射によって光感受性物質が発光する蛍光光(以下、PDD蛍光光という)は例えば中心波長660nmの赤色光であり、治療光は中心波長665nmの赤色光である。また、PDD蛍光光の光量は治療光の光量と比較して極めて小さい。このため、PDD画像の撮影時に、治療光を僅かでも照射すると、PDD蛍光光は治療光の反射光に埋もれ、撮影したPDD画像によって腫瘍組織を蛍光観察することはできない。したがって、図8に示すように、PDTによる治療中に、PDT画像の撮影とPDD画像の撮影をともに行う場合、PDT画像の撮影を行うフレーム期間FR1とPDD画像の撮影を行うフレーム期間FR2を分け、各々交互に行う。
PDT画像の撮影を行うフレーム期間FR1では、前述の第1実施形態のように、治療光照射期間T1と電荷蓄積期間T2に重複期間T3を設けてPDT画像を撮影することで、治療時間をできるだけ短縮しながら、被検体内を良好に観察可能なPDT画像を通常光照明下で撮影することができる。
PDD画像の撮影を行うフレーム期間FR2では、電子内視鏡12のCPU29は、フレーム期間FR2の前半半分の期間t1で電子シャッタを閉じ、フレーム期間FR2の後半半分の期間t2(t1=t2)で電子シャッタを開ける。また、光源装置14のCPU66は、フレーム期間FR2の全期間(t1+t2)にわたって通常光用LD61を消灯し、投光ユニット55Aからの通常光の照射を停止させる。一方、光源装置14のCPU66は、フレーム期間FR2の前半半分の期間t1で治療光用LD63を点灯させ、投光ユニット55Bから治療光を被検体内に照射させるとともに、フレーム期間FR2の後半半分の期間t2では治療光用LD63を消灯し、かわりに励起光用LD62を点灯させ、投光ユニット55Bから励起光を被検体内に照射させる。したがって、PDD画像の撮影を行うフレーム期間FR2では、前半半分の期間t1でPDTによる治療が行われ、後半半分の期間t2でPDD画像の撮影が行われる。フレーム期間FR2で撮影されたPDD画像は、前のフレーム期間FR1で撮影されたPDT画像と並べてモニタ22に表示される。また、PDD画像は、操作部51の操作に応じてモニタ22にPDT画像の代わりに切り替え表示される。
こうして、PDTによる治療中にPDD画像の撮影も行う場合に、PDD画像を撮影するフレーム期間FR2の前半半分の期間t1等、フレーム期間FR2の一部期間で治療光を照射することにより、単にPDT画像を撮影するフレーム期間とPDD画像を撮影するフレーム期間を分けて交互にPDT画像とPDD画像を撮影する場合と同様にPDTによる治療中にPDT画像及びPDD画像の撮影をほぼ同時に行ないながらも、治療時間の延長を短く抑えることができる。
なお、第2実施形態では、PDD画像を撮影するフレーム期間FR2では、前半半分の期間で治療光を照射し、後半半分の期間でPDD画像の撮影を行う例を説明したが、第1実施形態の後半で重複期間T3を可変にする変形例と同様に、撮影したPDD画像に基づいたALC制御用データ等に基づいて、フレーム期間FR2における治療光治療光照射期間及び電荷蓄積期間を可変とすることが好ましい。フレーム期間FR2の治療光照射期間及び電荷蓄積期間を可変にすることで治療時間の短縮と観察しやすいPDD画像の撮影を容易に両立することができる。
また、第2実施形態では、フレーム期間FR1において第1実施形態と同様にPDT画像を撮影する例を説明したが、これに限らない。例えば、フレーム期間FR1の全期間で治療光を照射し、PDD画像を撮影するフレーム期間FR2については前後半の期間t1,t2で治療光の照射とPDD画像の撮影を分けるようにしても良い。この場合、フレーム期間FR1において撮影されるPDT画像にはハレーションが生じるが、より治療時間を短縮することができる。したがって、PDD画像から、被検体内及び腫瘍組織を良好に観察可能な場合であって、さらに治療時間を短縮したい場合に好適である。
なお、第2実施形態では、PDT画像を撮影するフレーム期間FR1とPDD画像を撮影するフレーム期間FR2を交互に行う例を説明したが、PDD撮影を行う頻度は任意に定めて良い。例えば、PDT画像を2連続で撮影し、その後、PDD画像を1枚撮影する等としても良い。
なお、上述の第2実施形態では、PDD画像を撮影するフレーム期間FR2の前半t1で治療光を照射し、後半t2を電荷蓄積期間とする例を説明したが、これに限らず、PDD画像を撮影するフレーム期間FR2の前半t1を電荷蓄積期間とし、フレーム期間FR2の前半t1でPDD画像を撮影し、フレーム期間FR2の後半t2で治療光を照射するようにしても良い。
なお、上述の第2実施形態では、治療光の照射中に励起光の照射を中断する例を説明したが、治療光照射期間中に励起光の照射を中断させなくても良い。治療光の光量は励起光や蛍光光の光量に比べて極めて大きいので、撮影画像に何ら影響がないからである。
なお、上述の第1及び第2実施形態では、LDを光源とする例を説明したが、LEDやハロゲンランプ等、他の周知の光源を用いても良い。
なお、上述の第1及び第2実施形態では、通常光、PDD用の励起光、PDT用の治療光の3種類の光を被検体内に照射する例を説明したが、他の光を組み合わせて用いても良い。例えば、中心波長472nmの青色光を照明光として用いて撮影すると、血中の酸素飽和度と血管の深さの情報を抽出することができる。また、中心波長785nmの赤外光を照明光として用いると、血管に注入したIGC(インドシアニングリーン)の赤外光観察を行うことができる。中心波長375nmの紫外光を照明光として用いると、ルシフェラーゼを用いた蛍光観察を行うことができる。また、PDD用の励起光を、被検体に光感受性物質を投与していない場合にも照明光として用いることによって、いわゆる狭帯域光観察を行っても良い。
なお、上述の第1及び第2実施形態では、通常光用LD61、励起光用LD62、治療光用LD63の3種類のLDを光源装置14に備える例を説明したが、各々の光源を複数のLDで構成し、カプラ等を用いて合波して照明光等として用いることが好ましい。こうして、各光源を複数のLDで構成することにより、各LDの個体差による発光波長のばらつきやスペックルを軽減することができる。
なお、上述の第1及び第2実施形態では、通常光を照射する投光ユニット55Aと、励起光または治療光を照射する投光ユニット55Bを備える例を各々1つずつ備える例を説明したが、これらと同様のものを複数設けても良い。また、通常光、PDD用の励起光、PDT用の治療光以外の光を照明光等として用いる場合には、各々に専用の投光ユニットを設けても良い。但し、挿入部16を細径化するためには、できるだけ共通の投光ユニットを用いることが好ましい。
なお、上述の第1及び第2実施形態では、通常光等を照射する場合に各LD61〜63を点灯させ、通常光等の照射を中止する場合に各LD61〜63を消灯する例を説明したが、通常光や励起光、治療光を被検体内に照射する場合には、各LD61〜63のon/offを短時間で切り替えることによりパルス照射するようにして、継続的に照射する場合と同等の光量の光を被検体内に照射するようにしても良い。
なお、PDD及びPDTに用いる光感受性物質は、治療対象となる部位(腫瘍組織等)に蓄積し、励起光の照射により蛍光光を発し、治療光を照射することによって治療対象となる部位を治療可能であれば、任意の薬剤を用いることができる。PDD用の励起光の波長やPDT用の治療光の波長は、使用する光感受性物質に応じて定めれば良い。また、励起光や治療光の波長が異なる複数種類の光感受性物質を用いることがある場合には、各々に応じて光源等を設けておけば良い。PDD用の励起光、励起光の照射によって生じる蛍光光(PDD蛍光光)、PDT用の治療光の波長の例を薬剤毎に図9に示す。PDDの励起光としては、フォトフリン、レザフィリン、ビスダイン、5−ALA(アミノレブリン酸)のいずれの薬剤を光感受性物質として使用した場合でも中心波長350〜450nmのレーザー光が利用可能であり、中心波長が405nmのレーザー光が好適に用いられる。5−ALAはプロトポルフィリンIXの蓄積によるもので病巣の進行によって蛍光の波長比が変化する。
なお、上述の第1及び第2実施形態では、1フレーム期間で全画素の信号電荷を用いた画像(いわゆるプログレッシブ画像)を撮影する例を説明したが、これに限らない。例えば、CCD21の画素のうち、1行おきの画素を組みにしてフィールド毎にインターレース画像の観察画像を撮影する場合には、フィールド毎にPDT画像やPDD画像を撮影しても良い。
なお、上述の第1及び第2実施形態では、撮像素子としてCCD21を用いる例を説明したが、CMOS型のイメージセンサ等、他の周知のイメージセンサを撮像素子として好適に用いることができる。また、上述の第1及び第2実施形態では、CCD21の画素毎にRGBのカラーフィルタが設けられ、フルカラーの画像を撮影する、いわゆる同時式で撮影する例を説明したが、カラーフィルタを設けていない撮像素子の全面でRGBのカラーフィルタを回転させる等して、各色毎に撮影する、いわゆる面順次方式で撮影しても良い。面順次方式の場合に本発明を適用する場合には、照射期間T1、電荷蓄積期間T2、重複期間T3の長さをRGBの色毎に個別に設定することができる。例えば、赤色の画像を撮影する場合には、電荷蓄積期間T2及び重複期間T3を短く設定してハレーションを防ぎ、緑色及び青色の画像を撮影する場合には治療光はフィルタでカットされるので、照射期間T1の長さに関わりなく、電荷蓄積期間T2を適切に設定することができる。面順次方式を採用する場合に、こうして色毎に照射期間T1、電荷蓄積期間T2、重複期間T3を個別に設定することで、PDTによる治療中により容易に適切な通常光画像(PDT画像)を撮影することができる。
なお、上述の第1及び第2実施形態では、光源装置14に治療光用LD63を備え、挿入部16に予め設けられた投光ユニット55Bから治療光を照射する例を説明したが、治療光を被検体内に照射する態様はこれに限らない。例えば、光源装置14とは別に治療光用の光源を設け、鉗子口から鉗子チャネルに導光プローブを挿通し、鉗子出口に突出させた導光プローブの先端から治療光を被検体内に照射するようにしても良い。
なお、上述の第1及び第2実施形態では、治療光の照射期間T1に通常光を照射し続ける例を説明したが、通常光はPDT画像を撮影するフレームの電荷蓄積期間T2(重複期間T3を含む)に照射されていれば良く、治療光の照射期間T1のうち、重複期間T3を除く期間については通常光を消灯しても良い。