図1に示すように、本発明の電子内視鏡システム10は、被検者の体腔内をCCDなどの撮像素子で撮像する電子内視鏡11と、この電子内視鏡11の挿入部20が挿通されるオーバーチューブ13と、挿入部20における先端部24aに装着されるフード14と、撮像により得られた信号に基づいて体腔内の被写体組織の画像を生成するプロセッサ装置15と、体腔内に照射する白色光を供給する白色光の光源装置16と、生体組織内から自家蛍光を励起するための励起光を供給する励起光の光源装置17と、体腔内の画像を表示するモニタ18とを備えている。
電子内視鏡11は、体腔内に挿入される可撓性の挿入部20と、挿入部の基端部分に設けられた操作部21と、操作部21とプロセッサ装置15及び白色光の光源装置16との間を連結するユニバーサルコード23とを備えている。挿入部20の先端には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部24が形成されている。湾曲部24は、操作部のアングルノブ26における操作によって、上下左右方向に湾曲動作する。
湾曲部24の先端には、体腔内撮影用の光学系等を内蔵した先端部24aが設けられいる。先端部24aは、湾曲部24の湾曲動作によって、体腔内の所望の方向に向けられる。先端部24aには、白色光や励起光を照射する2つの第1および第2照明窓57,59(図4参照)と、体腔内からの白色光や自家蛍光を受光する観察窓62(図4参照)と、観察窓に向けて水やエアを吹き付ける送気・送水ノズル63(図4参照)と、挿入部20内の鉗子チャンネルに挿通された処置具の出口となる鉗子出口64(図4参照)とが設けられている。
操作部21には、白色光を用いて体腔内の観察を行なう通常光観察モード、励起光を用いて生体組織内から発せられる自家蛍光を観察する自家蛍光観察モードのいずれかに切り替える観察モード切替ボタン28が設けられている。この観察モード切替ボタン28による切替情報はプロセッサ装置のコントローラ113(図2参照)に送信される。
ここで、通常光観察モードに設定されている場合には、体腔内で反射した白色光を撮像することにより得られる白色光画像がモニタ18に表示され、自家蛍光観察モードに設定されている場合には、自家蛍光を撮像することにより得られる自家蛍光画像、または白色光画像と自家蛍光画像とを合成した合成画像がモニタ18に表示される。
ユニバーサルコード23のうち、プロセッサ装置15および白色光の光源装置16側の端部にはコネクタ30が取り付けられている。コネクタ30は、通信用コネクタと光源用コネクタからなる複合タイプのコネクタであり、電子内視鏡11は、このコネクタ30を介して、プロセッサ装置15および白色光の光源装置16に着脱自在に接続される。
電子内視鏡11の先端部24aには、励起光カットフィルタ32を備えるフード14が装着される。励起光カットフィルタ32は、先端部24aに設けられた観察窓62(図4参照)を覆うことにより、観察窓62に入る前の光のうち励起光の波長帯域の光をカットまたは減光する。エネルギーが非常に高い励起光を観察窓62の手前でカットし、その励起光が観察窓62の奥側に設けられたCCD100(図2参照)に入らないようにすることで、CCD100の画素が電荷飽和状態になって画面が真っ白になるハレーションを防止することができる。
オーバーチューブ13は、チューブ本体35と、このチューブ本体35内に設けられ、電子内視鏡11の挿入部29が挿通される内視鏡挿通管路37と、この内視鏡挿通管路37の周囲に設けられ、励起光の光源装置17からの励起光を導光する2本の第1および第2光ファイバ38,39とを備えている。
内視鏡挿通管路37は、電子内視鏡の挿入部20の挿入口となる基端側開口37aと、その挿入部20の出口となる先端側開口37bとを備えている。したがって、挿入部20を内視鏡挿通管路37に挿通したときには、先端側開口37bから電子内視鏡の先端部24a及びその先端部24aに装着されたフード14が露呈される。電子内視鏡の挿入部20を体腔内に挿入する際には、オーバーチューブ13に挿入部20を挿通させた状態で挿入する。また、フード14の外周面には、第1および第2光ファイバ38,39からの励起光を体腔内に照射する第1および第2投光ユニット41,42が固着されている。なお、第1および第2光ファイバ38,39と第1および第2投光ユニット41,42とは、コネクタ等によって光結合される。
図2に示すように、白色光の光源装置16、白色光光源45、絞り調節機構46、白色光制御部47、ロータリシャッタ48、位置検出部49、回転制御部50を備えている。白色光光源45は、白色光の光源装置16の電源がオンのときに、常にオンにして白色光を発する。白色光は、波長が青色帯域から赤色帯域に及ぶ広帯域光であり、例えば、図3に示すように、400nm〜700nmの波長帯域を有している。白色光光源45としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、LED(発光ダイオード)、蛍光発光素子ランプ、またはLD(レーザーダイオード)などが使用される。白色光光源45から発せられる白色光は、レンズ53で集光される。レンズ53で集光された光は、絞り調節機構46を介して、第1および第2ライトガイド55,56に入射する。
第1および第2ライトガイド55,56は大口径光ファイバなどから構成されている。第1および第2ライトガイド55,56の入射側端部は、白色光の光源装置16に接続されている。一方、図4に示すように、第1ライトガイド55の出射側端部は電子内視鏡11の先端部24aの第1照明窓57に向けられおり、第2ライトガイド55の出射側端部は先端部24aの第2照明窓59に向けられている。これら第1および第2照明窓57,59のそれぞれから白色光が体腔内に向けて出射される。
第1照明窓57と第2照明窓59は、フード14に設けられた励起光カットフィルタ32(または観察窓62)に関して、それぞれ対称の位置に設けられている。また、図5に示すように、第1照明窓57から出射される白色光の照射範囲WL1と第2照明窓59から出射される白色光の照射範囲WL2とはほぼ重なり合っている。したがって、先端部24aを観察対象Tに向けたときには、それら照射範囲WL1,WL2の重複領域WLR内に観察対象Tがほぼ入る。これにより、観察対象Tに対して、白色光を十分に且つ照明ムラなく照射することができる。
なお、フード14は、先端部24aのうち観察窓62のみを覆い、それ以外は開口部14aから体腔内に露呈している。したがって、第1および第2照明窓57,59からの白色光の照射をフード14が妨げることはない。また送気・送水ノズル63からのエアや水をフードの励起光カットフィルタ32に吹き付けることができる。さらには、鉗子出口64から処置具を体腔内に向けて突出させることができる。
図2に示すように、絞り調節機構46は、レンズ53とロータリシャッタ48との間に配置され、白色光光源45から発せられる白色光の光量を調節する。絞り調節機構46は、例えば、絞り径を可変させる複数の絞り羽根、及びこの絞り羽根を移動させるモータなどから構成される。絞り調節機構の絞り量(すなわち、白色光の光量)は、ドライバ47aを介して、白色光制御部47によって制御される。白色光制御部47は、プロセッサ装置15内の信号処理により得られる白色光画像に基づいて、絞り量(すなわち、白色光の光量)を制御する。
図6A及びBに示すように、ロータリシャッタ48は、円板形状で一部に扇形の切欠部分を有する。ロータリシャッタ48のうち、切欠部分が白色光を透過させる光透過部48aとなり、残りの部分が白色光を遮断する遮光部48bとなっている。ロータリシャッタ48は、白色光光源45の光軸と平行に配置されたモータ70の回転軸70aに接続されている。このモータ70の駆動によってロータリーシャッタ48が回転することで、白色光光源の光路P上に光透過部48aと遮光部48bとが交互に位置する。
光路P上に光透過部48a、遮光部48bのいずれが位置しているかは、フォトセンサなどから構成される位置検出部49によって検出される。ここで、図2や図6A及びBにおいては、位置検出部はロータリシャッタの外周近傍に配置されているが、配置位置はそれ以外、例えば、ロータリシャッタの内部であってもよい。
図6Aに示すように、光透過部48aが光路P上に位置する間は、白色光が第1および第2ライトガイド55,56に入射するため、体腔内に白色光が照射される。この期間を、以下において白色光照射期間する。一方、図6Bに示すように、遮光部48bが光路P上に位置する間は、第1および第2ライトガイド55,56へ白色光が入射しないため、体腔内において白色光が遮光された状態となる。この期間を、以下において白色光遮光期間とする。位置検出部49は、白色光照射期間と白色光遮光期間のいずれの状態にあるかについての情報を、励起光の光源装置内の励起光制御部75およびプロセッサ装置のコントローラ113に適宜送信する。
白色光照射期間と白色光遮光期間は観察モードによって異なり、自家蛍光観察モード時における各期間は通常光観察モード時の2倍に設定されている。したがって、図2に示す回転制御部50は、自家蛍光観察モード時においては、ロータリシャッタ48の回転速度を通常光観察モード時の回転速度の半分とする回転制御を行なっている。なお、回転制御部50は、モータ70に接続されたドライバ50aを介して、ロータリシャッタ48の回転速度を制御する。
図2に示すように、励起光の光源装置17は、第1及び第2レーザ光源72,73、励起光制御部75を備えている。第1および第2レーザ光源72,73は発光ダイオード等から構成され、図3に示すような、405±10nmの波長を有する励起光を発する。このような波長域を有する励起光を体腔内に照射することで、波長が420nm〜650nmにおよぶ自家蛍光が生体組織内の内因性蛍光物質から発せられる。
第1および第2レーザ光源72,73は、自家蛍光観察モードに設定されている場合には、常に励起光が発せられる。これにより、生体組織からは常に自家蛍光が発せられる。図3に示すように、電子内視鏡の先端部24aに戻ってくる励起光は励起光カットフィルタによりカットされ、また自家蛍光の光量は白色光に比べて微弱である。したがって、体腔内において白色光だけでなく励起光や自家蛍光が存在する状態で、白色光画像を取得したとしても、その取得した白色光画像においては励起光や自家蛍光は全く影響を与えない。
励起光制御部75は、ドライバ75a,75bを介して、第1および第2レーザ光源72,73の励起光の光量を制御する。励起光制御部75は、白色光制御部47に接続されており、白色光制御部47による白色光の光量制御に従って、励起光の光量も制御する。励起光の光量の制御は、白色光と励起光とが所定の相関を有するように、例えば、励起光の光量と白色光の光量との光量比が1/10等を保持するように、励起光の光量を変化させる。
このように白色光の光量が変更された場合であっても、これに追従して、励起光の光量も励起光制御部で自動的に変更されるため、白色光画像と自家蛍光画像との露出バランスを常に適正な状態に維持することができる。なお、励起光の光量制御は、白色光の光量制御に連動してごとに行なうのではく、図7に示すように、白色光照射期間から白色光遮光期間に切り替わったときに、白色光と励起光とが所定の相関を有するように制御してもよい。
第1レーザー光源72から発せられた励起光は、オーバーチューブの第1光ファイバ38に入射する。もう一方の第2レーザー光源73から発せられた励起光は、オーバーチューブの第2光ファイバ39に入射する。そして、図4に示すように、第1光ファイバ38内の励起光ELはフード14の第1投光ユニット41から出射し、第2光ファイバ内の励起光ELはフード14の第2投光ユニット42から出射する。
第1および第2投光ユニット41,42は、先端部24aの第1および第2照明窓57,59と同様に、フード14の励起光カットフィルタ32(または観察窓62)に関して、それぞれ対称の位置に設けられている。また、図8に示すように、第1投光ユニット41から出射される励起光の照射範囲EL1と第2投光ユニット42から出射される励起光の照射範囲EL2とはほぼ重なり合っている(重複領域ELR)。さらに、この重複領域ELRは、2つの白色光の照射範囲が重なりあった重複領域WLRに含まれている。
以上のような照射範囲EL1,EL2を有することから、先端部24aを観察対象Tに向けたときには、それら照射範囲EL1,EL2の重複領域ELRに観察対象Tがほぼ入る。これにより、観察対象Tに対して、励起光を十分に且つ照明ムラなく照射することができる。したがって、例えば、観察対象Tの全体が正常部である場合には、その観察対象の全域からほぼ同一強度の自家蛍光が発せられる。さらには、2つの励起光の照射範囲が重なり合った重複領域ELRは、2つの白色光の照射範囲の重複領域WLRに含まれていることから、観察対象T全体において、白色光と励起光の光量比は一定に保持される。
図9に示すように、第1投光ユニット41は、光拡散部材90、この光拡散部材の外周を覆う筒状のスリーブ部材91と、スリーブ部材91の一端側を封止する保護ガラス92と、スリーブ部材内に挿入され第1光ファイバ38を保持するフェルール93とを備えている。また、フェルール93の後端側から外皮に覆われて延出される第1光ファイバ38には、その外皮の外側を覆うフレキシブルスリーブ95がスリーブ部材91との間に挿入されている。なお、第2投光ユニットについては第1投光ユニットと同様であることから説明を省略する。
光拡散部材90は、第1光ファイバ38からの励起光を拡散させる透光性樹脂材料からなる。透光性樹脂材料の他にも、例えば、透光性セラミックスやガラス等が利用可能である。また、光拡散部材90は、その表面や中間層等に、微小の凹凸や屈折率の異なる粒子(フィラー等)を混在させた光拡散層を設けた構成や、半透明の材料を用いた構成としてもよい。これにより、光拡散部材90から出射する励起光は、光の偏光作用や拡散作用によって光量が均一化される。したがって、光拡散部材の材料や分量を適宜変更することによって、第1投光ユニット内で、励起光の照射範囲や光量を調節することができる。なお、第1投光ユニット内での光の照射範囲や光量は、光拡散部材の他、レンズや保護ガラスを適宜変更することによっても調節することができる。
図2に示すように、電子内視鏡11は、CCD100、アナログ処理回路104(AFE:Analog Front End)、撮像制御部106を備えている。CCD100は、励起光カットフィルタ32、観察窓62、及び集光レンズ102を透過した光を、撮像面100aで受光する。そして、CCD100では、撮像面100aで受光した光を光電変換して信号電荷を蓄積し、蓄積した信号電荷を撮像信号として読み出す。読み出された撮像信号は、AFE104に送られる。
CCD100はカラーCCDであり、撮像面100aには、R色、G色、B色のカラーフィルターが設けられたR画素、G画素、B画素の3色の画素が配列されている。ここで、白色光は波長域が青色帯域から赤色帯域にまでおよぶことから、白色光がCCDの撮像面に入射したときには、R画素、G画素、B画素の全てが感応する。したがって、白色光受光時に得られる撮像信号には、R画素から出力される撮像信号、G画素から出力される撮像信号、及びB画素から出力される撮像信号の3種類が含まれている。
一方、自家蛍光は主たる波長域が緑色帯域であり、一部が青色帯域または赤色帯域にまで及ぶ。そのため、自家蛍光がCCDの撮像面100aに入射したときには、G画素は確実に自家蛍光に感応する。したがって、自家蛍光受光時に得られる撮像信号には、G画素から出力される撮像信号が含まれている。
AFE104は、相関二重サンプリング回路(CDS)および自動ゲイン制御回路(AGC)から構成されている。CDSは、CCDからの撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、CCD100の駆動により生じたノイズを除去する。AGCは、CDSによりノイズが除去された撮像信号を増幅する。
撮像制御部106はCCD44の撮像制御を行なう。この撮像制御部106の撮像制御に従って、AFE45から所定のフレームレートで撮像信号が出力される。撮像制御部106は、プロセッサ装置15内のコントローラ113に接続されており、撮像時においてコントローラ113が認識している観察モード等によって、撮像制御部106は制御方法を適宜変更する。
ここで、図10Aに示すように、通常光観察モードに設定されている場合には、白色光照射期間のときに、白色光を光電変換して信号電荷を蓄積するステップが行なわれる。そして、白色光照射期間から白色光遮光期間に切り替わったときには、撮像制御部106から撮像信号読出パルスがCCD100に送信される。CCD100が撮像信号読出しパルスを受信したときに、CCD100で蓄積した信号電荷が撮像信号としてAFE104に出力される。そして、白色光遮光期間から白色光照射期間に切り替わったときに、再度、白色光を光電変換して信号電荷を蓄積するステップが行なわれる。以上の一連の動作は、通常光画像モードに設定されている間、繰り返し行なわれる。
これに対して、自家蛍光観察モードに設定されている場合には、図10Bに示すように、白色光照射期間のときには、白色光を光電変換して信号電荷を蓄積するステップが行なわれる。そして、白色光照射期間から白色光遮光期間に切り替わったときには、撮像制御部106から撮像信号読出パルスがCCD100に送信される。CCD100が撮像信号読出しパルスを受信したときに、CCD100で蓄積した信号電荷が撮像信号としてAFE104に出力される。これとほぼ同時に、自家蛍光を光電変換して信号電荷を蓄積するステップが行なわれる。自家蛍光は微弱であるが、自家蛍光観察モード時の白色光遮光期間、即ち自家蛍光観察期間を通常光観察モード時の白色光遮光期間の2倍にすることで、自家蛍光画像を形成できる程度の光量はCCD100で確実に受光することができる。
そして、白色光照射期間から白色光遮光期間に切り替わってから一定時間経過後、撮像制御部106から撮像信号読出パルスがCCD100に送信される。これに応じて、CCD100で蓄積した信号電荷が撮像信号としてAFE104に出力される。そして、白色光遮光期間から白色光照射期間に切り替わったときに、再度、白色光を光電変換して信号電荷を蓄積するステップが行なわれる。以上の一連の動作は、自家蛍光観察モードに設定されている間、繰り返し行なわれる。
図2に示すように、プロセッサ装置15は、電子内視鏡11、白色光の光源装置16、励起光の光源装置17、モニタ18、キーボード(図示省略)、プリンタ(図示省略)等と電気的に接続され、電子内視鏡システム10全体の動作を統括的に制御する。プロセッサ装置15は、信号処理部110と、フレームメモリ112と、コントローラ113とを備えている。
信号処理部110は、電子内視鏡11のAFE104から出力される撮像信号に対して、A/D変換部115、色調補正部116、及び画像処理部117で各種処理を施すことによって、モニタ18に表示可能な映像信号を生成する。そして、この映像信号に基づいて、各種画像がモニタ18に表示される。なお、色調補正部116および画像処理部117は、例えば、それぞれ対応する処理を行なうソフトウエアと、このソフトウエアを格納するEPROM(書き換え可能型ROM)等の記憶装置等によって構成される。また、A/D変換後のデジタルの画像データや画像処理部において画像処理された後の映像信号は、一時的にまたは処理が施される毎に、フレームメモリ112に記憶される。
A/D変換部115は、AFE104からの撮像信号をデジタルの画像データに変換する。画像データには、CCD100のB画素から出力された撮像信号から得られるB画像、G画素から出力された撮像信号から得られるG画像、R画素から出力された撮像信号から得られるR画像が含まれている。また、A/D変換後の画像データには、通常光観察モード時または自家蛍光観察モード時に取得する白色光画像の画像データと、自家蛍光観察モード時に取得する自家蛍光画像の画像データとがある。
色調補正部116および画像処理部117は、図11に示すようなフローに従って処理を行なう。色調補正部116は、白色光画像のうち励起光カットフィルタ32によってカットまたは減光されたB画像の成分を補う。図3に示すように、電子内視鏡11は415nm以下の波長帯域の成分をカットまたは減光する励起光カットフィルタ32を通して撮像を行なうため、白色光画像及び自家蛍光画像のB画像のうちの低波長側の一部がカットされている。したがって、このカットされた部分の画像を色調補正部116によって補正する。
白色光画像のB画像の補正は、以下のようにして行われる。まず、内視鏡使用前に、以下の補正式(1)、(2)を求めておく。ここで、励起光カットフィルタを装着しない場合における白色光画像のB画像の光量をB´とし、励起光カットフィルタを装着した場合における白色光画像のB´画像の光量をBとした場合には、BとB´との関係は次式(1)で表される。
B=B´×α ・・・(1)
ここで、αは励起光カットフィルタによる光量カット率である。したがって、B´は、次式(2)で求めることができる。
B´=B/α ・・・(2)
式(2)に示すように、BとB´との関係が線形の関係にある場合には、励起光カットフィルタを装着したときに得られる白色光画像のB画像の光量Bを係数αで除算することで、励起光カットフィルタによりカットされた部分の光量B´が求まる。そして、白色光のB画像のうちカットされた部分の光量Bを光量B´に置き換えることで、励起光カットフィルタを装着しない場合と同様の白色光画像を得ることができる。
なお、BとB´との関係が線形の関係にない場合には、例えば、乗算、加算、マトリックス変換等の演算処理によって、B画像のカットされた部分に相当する光量を増加させることができる。また、B画像のカットされた成分に相当する成分だけG画像およびR画像の成分を減少させてもよい。さらに、励起光カットフィルタによってG画像のうち低周波側の一部の成分がカットされた場合には、B画像の場合と同様にして、色調補正を行うことが好ましい。
図2に示す画像処理部117は、バランス調整部120、高感度化処理部121、表示階調処理部122を備えている。バランス調整部120は、自家蛍光観察モードに設定されている場合に、較正データを用いて、白色光画像と自家蛍光画像とのバランス調整を行なう。較正データは、不特定の被写体の病変部(早期ガン等の発生部)および正常部について、予め撮像した白色光画像および自家蛍光画像から得られる。
較正データを用いてバランス調整を行なうことで、例えば、白色光画像における病変部と正常部のコントラストと、自家蛍光画像における病変部と正常部とのコントラストとが、等しくなる。例えば、白色光画像のコントラストに対して自家蛍光画像のコントラストが1/5であった場合には、色調補正部116は、較正データに基づいて、自家蛍光画像のコントラストを5倍にするバランス調整を行なう。なお、上述したように、白色光と励起光の光量比は一定に保持されていることにより、バランス調整はより精度良く行なわれる。
白色光画像と自家蛍光画像のバランスは、CCD等の特性に依存するため、バランス調整は、電子内視鏡システムの工場出荷前、もしくは、電子内視鏡システムを初めて使用する前等に、少なくとも1回実施することが好ましい。
高感度化処理部121では、自家蛍光画像に対してフレーム加算とソフトウエアビニングを施すことによって、自家蛍光画像の高感度化する。フレーム加算は、複数フレームの自家蛍光画像の画像データを加算して、1フレームの高画質な自家蛍光画像を生成する処理である。ソフトウエアビニングは、自家蛍光画像において隣接する複数の画素を1つの画素群として再構成するとともに、各画素群内における画素の輝度値を加算したものを各画素群の輝度値とする処理である。なお、高感度化処理は自家蛍光画像だけでなく白色光画像にも施してもよい。
以下の説明においては、フレーム加算において、1フレームの高画質な自家蛍光画像の生成に用いられる自家蛍光画像のフレーム数を、フレーム加算数という。また、ソフトウエアビニングにおいて、画素群内における画素数をビニング数という。なお、ビニング数は、垂直方向に沿って配置された画素数と水平方向に沿って配置された画素数との掛け合わせ、例えば2×2のように表される。
フレーム加算およびソフトウエアビニングは、共に、自家蛍光画像における輝度値を向上を図ること、即ち高感度化を図ることができる。その一方で、フレーム加算は、フレーム加算数の増加によって、フレームレートが落ちるとともに像にブレが生ずるようになる。また、ソフトウエアビニングは、ビニング数の増加によってを大きくことで、自家蛍光画像の解像度が落ちてしまう。
したがって、高感度化処理を行う際には、体腔内の撮影状況に応じた適切なフレーム加算とソフトウエアビニングを行なう必要がある。本実施形態においては、まず、自家蛍光観察モードに切り替えた直後に、自家蛍光の蛍光強度からフレーム加算数とビニング数の初期設定値を決める。蛍光強度は自家蛍光画像から算出される。
そして、算出された蛍光強度が大ききければ、フレーム加算およびソフトウエアビニングの必要性が低いため、初期設定値はフレーム加算数を小さくするともに、ビニング数も小さくする。したがって、このときの初期設定値Pa1は、図12に示すグラフ上で左下部分にプロットされる。一方、算出された蛍光強度が小さければ、フレーム加算およびソフトウエアビニングの必要性は高いため、初期設定値は、フレーム加算数を大きくするとともに、ビニング数も大きくする。したがって、このときの初期設定値Pa2は、図12に示すグラフ上で右上部分にプロットされる。
初期設定値が決定された後は、像をブレなく且つ解像度を低下させることなく自家蛍光画像の高感度化を図ることができるように、フレーム加算数とビニング数を変化させる。ここで、フレーム加算数とビニング数は、観察対象の像サイズと観察対象の動き量に応じて変化させる。観察対象のサイズは、白色光画像または自家蛍光画像から取得するか、またはプロセッサ装置15に接続されたサイズ入力部125(図2参照)から取得する。ここで、観察対象のサイズが大きければ初期設定値からビニング数を増やし、観察対象のサイズが小さければ初期設定値を維持する。なお、サイズ入力部125には倍率や観察対象と先端部との距離を入力してもよい。
一方、観察対象の動き量は、白色光画像から取得する。白色光画像は自家蛍光画像と比べて全体的に輝度値が高いため、観察対象の動き量の取得は白色光画像からのほうが容易である。ここで、動き量が「0」であるとき、即ち静止状態のときには、時間の経過とともに初期設定値からフレーム加算数を増やす。このような静止状態でフレーム加算数を増加させることで、自家蛍光画像が高感度化する。その一方で、動き量が生じたときには、その動き量に従ってフレーム加算数を減少させる。これにより、観察対象の像ブレの発生を防ぐことができる。
次に、高感度化処理部における処理の具体例を、(A)観察対象に動きが無く、静止状態が継続する場合と、(B)一定時間経過後に、静止状態から、観察対象に動きが生じる動き状態に変化する場合とに分けて説明する。
(A)の場合の処理は、図13のグラフ130〜132に従って行なわれる。これらグラフ130〜132はそれぞれ観察対象のサイズに対応しており、観察対象のサイズが大きいものが右側に位置するように、配置されている。したがって、グラフ130〜132の中で、グラフ132は一番大きいサイズに対応しており、グラフ131は中間のサイズに対応しており、グラフ132は一番小さいサイズに対応している。そして、フレーム加算およびソフトウエアビニングを行なう際には、これらグラフ130〜132の中から観察対象のサイズに対応したグラフを1つ選択する。
また、図13において、Paは初期設定値におけるフレーム加算数とビニング数を示している。Pxは所定時間におけるフレーム加算数とビニング数を示しており、このPxは、時間の経過とともに、グラフ130〜132に沿って右上に移動する。そして、Pxは一定時間経過後に定常値Pbに到達する。一定時間経過後は観察対象のサイズおよび動きに変化がなければ、この定常値Pbおけるフレーム加算数とビニング数とが維持される。定常値Pbは、観察対象のサイズが大きいものほど、大きくなるように設定されている。このようなグラフ130〜132に従ってフレーム加算数とビニング数を変化させることで、観察対象のサイズに応じた適切な感度を確保することとができるとともに、時間の経過によりフレーム加算数を増加させることで高画質化を図ることができる。
なお、(A)の場合の処理においては、観察対象のサイズが大きくなければ、図14のグラフ133〜135に示すように、時間の経過とともに、フレーム加算数を増やす一方で、ビニング数を減らしてもよい。この場合には、フレーム加算およびソフトウエアビニングを行なう際に、図14に示すグラフ133〜135の中から観察対象のサイズその他の条件に対応したグラフを1つ選択する。なお、図14で示すPa、Pb、Pxは図13と同様である。
(B)の場合の処理は、図15のグラフ136〜138に従って行なわれる。これらグラフ136〜138は観察対象のサイズに対応しており、これらグラフの配置順序は、図13の場合と同様である。一方、図15のグラフ136〜138では、静止状態においては、所定時間におけるフレーム加算数とビニング数を示すPxは、定常値Pbに既に達している。そして、観察対象に動きが生じたときには、その動き量に応じてPxが、グラフに沿って右下に移動する。
ここで、動き量が小さいときにはPxの移動量は小さく、動き量が大きいときにはPxの移動量も大きくなる。そして、このPxが示すフレーム加算数とビニング数とに基づいて、フレーム加算およびソフトウエアビニングが行なわれる。また、観察対象の動き量の検出は一定時間毎に行われ、それに従って、Pxも移動させる。したがって、Pxは観察対象の動き量によってグラフ136〜138上を右下または左上に移動する。以上のように、フレーム加算数とビニング数を変化させることで、観察対象のサイズに応じた適切な感度を確保することとができるとともに、観察対象の動き量に応じてフレーム加算数を増減しているため、観察対象の像ブレの発生を防止することができる。
なお、フレーム加算数およびビニング数を図13〜図15に示すようなグラフに従って変化させたが、これに代えて、図16に示すような、観察対象の動き量とこの動き量のときに用いるフレーム加算数およびビニング数を記憶したLUT140に従って、フレーム加算数およびビニング数を変化させてもよい。また、高感度化処理部においては、観察対象内に高周波構造を多く含む場合にはビニング数を減らし、観察対象内において高周波構造が少ない場合にはビニング数を増やしてもよい。また、ビニング数が大きくなる場合には、高周波強調信号処理を行なってもよい。
表示階調処理部122では、白色光画像または自家蛍光画像をモニタに表示可能な映像信号に変換する表示階調処理を行なう。この表示階調処理には、モニタに対応したγ補正処理や階調補正処理が含まれる。この表示階調処理においては、通常光観察モードに設定されている場合には、白色光画像のうち、B画像が映像信号のBチャンネル信号に、G画像が映像信号のGチャンネル信号に、R画像がRチャンネル信号に割り当てられる。
一方、自家蛍光観察モードに設定されている場合には、白色光画像のB画像が映像信号のBチャンネル信号に、白色光画像のR画像が映像信号のRチャンネル信号に割り当てられ、自家蛍光画像のG画像が映像信号のGチャンネル信号に割り当てられる。これにより、白色光画像と自家蛍光画像とが合成された合成画像が得られる。このような合成画像をモニタ18に表示することで、正常部は緑色で、病変部はマゼンダ色で表示される。
なお、自家蛍光の輝度レベルが低くなるのは、病変部が原因である他に、撮像距離が遠くなることも原因の一つにある。そこで、画像処理部は、モニタにマゼンダ色を表示する前には、白色光画像のG画像と自家蛍光画像のG画像の輝度レベルを比較する。その比較の結果、両者がともに低い場合には、病変部ではなく、単に撮像距離が遠くて輝度レベルが低くなっているだけと判断し、マゼンダ色ではなく緑色で表示する。一方、白色光画像のG画像の輝度レベルが高く、自家蛍光画像の輝度レベルが低い場合には、病変部であると判断し、マゼンダ色で表示する。
次に、本発明の作用について説明する。まず、観察モード切替ボタン28により、自家蛍光観察モードに設定される。自家蛍光観察モードでは、白色光照射期間に白色光と励起光が体腔内に照射され、白色光遮光期間には励起光のみが体腔内に照射される。励起光は白色光照射期間および白色光遮光期間の両方で照射されるため、体腔内の生体組織からは自家蛍光が常時発せられる。そして、電子内視鏡11は、CCD100を用いて、白色光照射期間のときには白色光画像を撮像し、白色光遮光期間のときには、自家蛍光画像を撮像する。これら撮像によって取得した撮像信号はプロセッサ装置15に送られる。
プロセッサ装置15では、A/D変換部115によって、撮像信号をデジタルの画像データに変換する。そして、得られた画像データに基づき色調補正部116で色調補正がされた後、画像処理部117のバランス調整部120で較正データを用いたバランス調整が、高感度化処理部121で高感度化処理が、表示階調処理部122で表示階調処理が行なわれる。これら処理を経て、白色光画像と自家蛍光画像とを合成した合成画像が得られる。そして、この合成画像がモニタ18に表示される。
画像処理部117のうち高感度化処理部121では、自家蛍光画像に対してフレーム加算とソフトウエアビニングを施すことによって、自家蛍光画像の高感度化を行なう。フレーム加算およびソフトウエアビニングを行なう際には、まず、自家蛍光画像から蛍光強度が検出される。そして、この蛍光強度に従って、フレーム加算数とビニング数の初期設定値を決定する。
初期設定値が決定された後は、像をブレなく且つ解像度を低下させることなく自家蛍光画像の高感度化を図ることができるように、フレーム加算数とビニング数を変化させる。ここで、フレーム加算数とビニング数は、観察対象の像サイズと観察対象の動き量に応じて変化させる。観察対象の像サイズは、白色光画像または自家蛍光画像から取得するか、またはサイズ入力部125から取得する。一方、観察対象の動き量は、白色光画像から取得する。
例えば、観察対象の像サイズが大きい場合には初期設定値からビニング数を増加させて、観察対象のサイズに応じた適切な感度を確保する。一方、観察対象の動きが「0」のとき、即ち静止状態のときには、時間の経過とともに初期設定値からフレーム加算数を増加させることによって、自家蛍光画像を高感度化させる。そして、観察対象に動きが生じたときには、フレーム加算数を減少させることで、観察対象の像ブレの発生を抑える。
なお、上記実施形態では、電子内視鏡からプロセッサ装置に送られた自家蛍光画像に対してビニング処理するソフトウエアビニングを行なったが、これに代えて、電子内視鏡内のCCDで撮像したときにビニング処理するハードウエアビニングを行なってもよい。ハードウエアビニングは、CCDにおいて隣接する複数の画素からなる画素群単位で1つの撮像信号を出力する処理をいう。したがって、観察対象の動き量が小さいときには、画素群内の画素数を減らす一方で、動き量が大きいときには、画素群内の画素数を増やす。
なお、上記実施形態では、観察対象のサイズおよび動き量に応じてフレーム加算数とビニング数の両方を変化させたが、ソフトウエアビニングやハードウエアビニングなどのビニング処理を備えていない電子内視鏡システムにおいては、観察対象の動き量に応じてフレーム加算数のみを変化させてもよい。この場合には、図17に示すようなグラフ142に従ってフレーム加算数を変化させることが好ましい。なお、初期設定値Paは、上記実施形態と同じように、自家蛍光画像の蛍光強度に基づいて決定される。また、観察対象の動き量についても、上記実施形態と同様に、白色光画像から検出される。
静止状態においては、上述したように、時間の経過とともに初期設定値Pbからフレーム加算数を増加させることによって、自家蛍光画像の高感度化を図る。そして、静止状態から、観察対象が動き出した直後など動き量が「0」に近い準静止状態に変化したときに、フレーム加算数の増加を停止する。このときのフレーム加算数をPxとする。そして、グラフ143に示すように、準静止状態におけるフレーム加算数を、静止状態から準静止状態に変わったときのフレーム加算数Pxを維持する。
準静止状態においては、動き量がほぼ「0」に近いため、フレーム加算数Pxでフレーム加算を行ったとしても、像ブレが発生するおそれはない。したがって、準静止状態においても、静止状態の場合と同様の高感度化を図ることができる。そして、動き量が大きくなり準静止状態を抜け出した場合には、動き量に応じてフレーム加算数を減少させる。ここで、フレーム加算数の減少は、グラフ143に示すように、動き量が大きくなるほど大きくなるようにする。
なお、上記実施形態では、体腔内に白色光をそのまま照射したが、これに代えて、R色の光、G色の光、B色の光からなる面順次光を体腔内に照射してもよい。面順次光を照射するためには、図6A及びBに示すロータリシャッタ48に代えて、図18に示すようなロータリフィルタ220が用いられる。ロータリフィルタ220には、ロータリシャッタ48の遮光部48bと同様の遮光部221と、白色光光源45からの白色光のうちR色の光を透過させるR色カラーフィルタ223rと、白色光光源45からの白色光のうちG色の光を透過させるG色カラーフィルタ223gと、白色光光源45からの白色光のうちB色の光を透過させるB色カラーフィルタ223bとが、周方向に沿って設けられている。このロータリフィルタ220が回転軸220aを中心に回転することで、白色光照射期間に、R色の光、G色の光、B色の光がこの順で体腔内に照射される。
また、上記実施形態では、体腔内に照射する白色光を白色光の光源装置内の白色光光源で発生させているが、これに代えて、図19の電子内視鏡システム300に示すように、白色光の光源装置内の青色レーザ光源304と電子内視鏡の先端部24a内に設けられた投光ユニット306,307とによって白色光を発生させてもよい。青色レーザ光源304は、中心波長445nmを有する青色レーザ光を発する。発せられた青色レーザ光は、ライトガイド55,56を介して、投光ユニット306,307から体腔内に向けて照射される。なお、青色レーザ光源304は、ドライバ305aを介して、青色レーザ光制御部305によって制御される。
図20に示すように、投光ユニット306は、第1および第2投光ユニット41,42において、光拡散部材の代わりに蛍光体310を備える以外は、同一の構成を備えている。蛍光体310は、ライトガイド55からの青色レーザ光の一部を吸収して緑色〜黄色に励起発光する複数種の蛍光体物質(例えばYAG系蛍光体、あるいはBAM(BaMgAl10O17)等の蛍光体)を含んで構成される。これにより、青色レーザ光を励起光とする緑色〜黄色の励起発光光と、蛍光体310により吸収されず透過した青色レーザ光とが合わされて、白色光が生成される。なお、投光ユニット307も、投光ユニット306と同様であるので、説明を省略する。
また、上記実施形態では、フード14に固着された第1および第2投光ユニット41,42から励起光を照射したが、これに代えて、図21に示すように、挿入部20の鉗子チャンネル20aに挿通させた励起光用プローブ400をフード402のプローブ保持部403から突出させ、その励起光用プローブ400の照射部400aから励起光を照射してもよい。なお、励起光用プローブ400は、上記実施形態と同様のレーザ光源72,73を有する励起光の光源装置401に接続されている。
フード402は、励起光カットフィルタ32を備えている点は上記実施形態のフード14と同様であるが、プローブ保持部403と、第1および第2照明窓57,59用の開口405,406と形成されている点がフードと異なる。したがって、プローブ保持部403に保持された励起光用プローブ400の照射部400aは体腔内に向けられ、また第1および第2照明窓57,59は、開口405,406から露呈しているため、フード402の装着が、励起光や白色光の照射を妨げることはない。
また、上記実施形態では、励起光の照射によって生体組織内の内因性蛍光物質から発せられる自家蛍光を観察するAFIを本発明に適用した場合について説明したが、本発明は、蛍光薬剤を用いるPDD(Photo Dynamic Diagnosis)や近赤外蛍光観察においても適用することができる。
PDDでは、患者に投与する蛍光薬剤によって、蛍光の波長が異なっている。例えば、薬剤として「フォトフィリン」、「レザフィリン」、「ビスダイン」を投与したときには、中心波長405nmの励起光を体腔内の生体組織に照射することで、生体組織からは中心波長660nmの蛍光が発せられる。また、薬剤として「5−ALA(アミノアレブミン)」を投与したときには、中心波長405nmの励起光を体腔内の生体組織に照射することで、生体組織からは波長635nm、670nmの2つのピークを有する蛍光が発せられる。一方、近赤外蛍光観察においては、薬剤としてICG(Indocyanine Green)が用いられる。このICGを患者に投与して、800nm前後の励起光を体腔内の生体組織に照射することによって、生体組織からはピーク波長845nmを有する近赤外域の蛍光が発せられる。
以上のようなPDDや近赤外蛍光観察で観察される薬剤蛍光は、AFIで観察される自家蛍光よりも光量は大きいが、蛍光薬剤が生体組織に十分に蓄積しない等その他の要因によって、光量不足となることがある。このような場合には、薬剤蛍光の撮像により得られる薬剤蛍光画像に対して、上記実施形態のようなフレーム加算およびビニング処理を施す。そして、それらフレーム加算およびビニング処理を、観察対象の動きに応じて変化させる。これにより、薬剤蛍光画像の高感度化を図ることができる。