JP2012062591A - カチオン可染性複合繊維及びその製造方法と、同複合繊維を含む繊維製品 - Google Patents

カチオン可染性複合繊維及びその製造方法と、同複合繊維を含む繊維製品 Download PDF

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Abstract

【課題】常圧染色が可能で、かつ鮮明性に優れたカチオン染料可染性で、強伸度特性に優れ、かつ耐久性に富み、ソフト風合いを有するカチオン可染性複合繊維及びその製造方法と、同繊維を含む繊維製品を提供する。
【解決手段】単繊維繊度が0.5〜2.0dtex、破断強度が3.0cN/dtex以上、破断伸度が25%以上、紫外線照射300hr後の強度保持率が40%以上であるカチオン可染性複合繊維である。特に、同繊維の鞘部が、主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレートから構成され、ジカルボン酸成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸が1.0〜3.0mol%、及びアジピン酸が3.0〜10.0mol%共重合された変性ポリエステルからなる。また芯部は、高分子量型ヒンダードアミン系安定剤を0.3〜5.0質量%含有したポリアミドで、芯部の比率が33〜66体積%であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、カチオン可染性を保持し、風合いと耐久性に優れた複合繊維と、その繊維を含んだ繊維製品に関する。
近年、スポーツ衣料分野において、密着性の高い素材を機能インナーとして着用する機会が増えてきている。機能インナーはその使用する環境から、高い耐光性としなやかな風合い、鮮やかな染色性が要求されることから、これらを兼ね備えた常圧可染性のカチオン可染ポリエステル繊維がこの分野に広く活用されている。
しかしながら、常圧可染性を有するカチオン可染ポリエステル繊維は、通常のポリエステル繊維と比較すると強伸度特性が低く、脱着時に製品が破れやすいため、その強伸度特性の改善が望まれている。
常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の物性を改善するため、過去も様々な手法が提案されている。例えば、特開平6−166910号公報(特許文献1)には、その対策として、鞘部に、主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレートから構成され、ジカルボン酸成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸が1.0〜3.0mol%、及びアジピン酸が3.0〜10.0mol%共重合された変性ポリエステルを配し、芯部に、95.0mol%以上がエチレンテレフタレートの繰り返し単位から構成されるポリエステルを配しており、その繊維断面に占める芯部と鞘部の面積比が4/1〜1/4の範囲であり、繊度が3デニール以下、破断強度が4.0g/d以上、破断伸度が30%以上であるポリエステル複合繊維を開示している。
また、例えば特開2008−156769号公報(特許文献2)には、染色性に優れたカチオン染料可染性で、かつ常圧染色が可能であり、同時に強伸度特性に優れ、かつソフト風合いを有し、破断強度(DS)が4.0cN/dtex以上、破断伸度(DE)が40%以上、かつDS×(DE)1/2が27以上であるカチオン可染性複合繊維が開示されている。この強伸度を得るため、鞘部に主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレートから構成され、ジカルボン酸成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸単位が1.0〜3.0mol%、及びアジピン酸単位が3.0〜10.0mol%含まれる変性ポリエステルを配し、芯部にポリアミドを配し、芯部/鞘部の体積比を1/1〜4/1としている。
特開平6−166910号公報 特開2008−156769号公報
しかしながら、特許文献1のようなカチオン可染性ポリエステル繊維では繊維の風合いが硬すぎることとなり、その用途上好ましくない。また、特許文献2のポリアミドを芯部に配置したカチオン可染性ポリエステル繊維では風合いはソフトなものが得られるが、耐光性が十分でないため耐久性に劣るようになり製品として使用することができない。
本発明の目的は、常圧染色が可能で、かつ鮮明性に優れたカチオン染料可染性で、同時
に強伸度特性に優れ、また耐久性に富み、ソフト風合いを有するカチオン可染性複合繊維及びその製造方法を提供すると共に、同繊維を含むスポーツ用インナーを含む繊維製品を提供することにある。
本件第1発明の基本構成は、単繊維繊度が0.5〜2.0dtex、破断強度が3.0cN/dtex以上、破断伸度が25%以上、紫外線照射300hr後の強度保持率が40%以上であるカチオン可染性複合繊維である。
前記カチオン可染性複合繊維の好ましい態様は、鞘部が、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成され、ジカルボン酸成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸が1.0〜3.0mol%及び、アジピン酸が3.0〜10.0mol%共重合された変性ポリエステルであり、芯部が、高分子量型ヒンダードアミン系安定剤を0.3〜5.0質量%含有したポリアミドであり、芯部の比率が33〜66体積%である。より好ましくは、前記ポリアミドが前記高分子量型ヒンダードアミン系安定剤を0.3〜2.0質量%含有する。
一方、本件第2発明の基本構成は、複合紡糸にて、鞘部が、主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレートから構成され、ジカルボン酸成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸が1.0〜3.0mol%、及びアジピン酸が3.0〜10.0mol%共重合された変性ポリエステルを配し、芯部にポリアミドを配した芯鞘型のカチオン可染性複合繊維の製造方法であって、前記ポリアミドが、高分子量型ヒンダードアミン系安定剤を0.3〜5.0質量%含有すること、前記カチオン可染性複合繊維からなる未延伸糸を、第1段延伸域において1倍を越え、1.2倍未満の延伸倍率にて加熱延伸すること、及び次いで第2段延伸域において、70℃のときの最大延伸倍率を0.6倍を越え、0.8倍未満として延伸し熱セットすること、を含んでいる。
この第2発明にあって、好ましくは前記第1段延伸域における引取りローラーの表面温度を60〜90℃とし、前記第2段延伸域における熱セット温度を100〜170℃とする。また、前記芯部の体積比は33〜66体積%であることが望ましい。
また、本件の第3発明の基本構成は、上記記載のカチオン可染性複合繊維を含む繊維製品にある。
第1発明に係るカチオン可染性複合繊維は、上記構成を採用することにより、常圧染色が可能なカチオン染料可染性で、同時に強伸度特性に優れ、かつ耐久性良好な、ソフトな風合いを有しており、第2発明に係る前記複合繊維の製造方法によって、特に芯部に配されるポリアミドに高分子量型ヒンダードアミン系安定剤を0.3〜5.0質量%含有させることと、所定の加熱温度にて2段延伸を施すことにより、耐光性が充分に得られるだけでなく、経済性でも好ましく、上記複合繊維の製糸安定性に優れるようになる。しかも、ヒンダードアミン系化合物が高分子量型であるため、洗濯などにより水中に溶出しづらく、長期間にわたって効果を持続できる。
また、第1段延伸の延伸倍率を、1倍以上、1.2倍以下とすることにより、糸弛みが発生せず、引取ローラーへの巻き付きが発生しないし、延伸斑も発生せず、染色後の品位が安定する。さらに、第1段延伸域にある引取ロ−ラ−の表面温度を、鞘成分の変成ポリエステルのガラス転移温度ないしガラス転移温度+30℃までの範囲とすれば、より延伸斑の発生を抑え、染色後の品位を低下させることもない。
第2段延伸の最大延伸倍率を0.6倍以上0.8倍未満に設定することにより、繊維の
破断強度を3.0cN/dtex以上を維持できるとともに、破断伸度を25%以上が維持できる。第2段延伸域の熱板の表面温度を、100〜170℃とすると、織編物の風合いがしなやかで、延撚工程における糸切れの発生がなくなる。
このようなカチオン可染性複合繊維を用いた、スポーツインナー、ランジェリー、ファンデーション、サポーター等の繊維製品は、鮮やかな染色性と良好な強伸度特性、及びソフト風合いを有したものとなる。特に、該繊維を用いたスポーツインナーは耐久性に優れた製品となる。
以下、本発明の複合繊維について詳細に説明する。
本発明のカチオン可染性複合繊維の強伸度特性は、破断強度が3.0cN/dtex以上、破断伸度が25%以上を満たす必要がある。破断強度が3.0cN/dtex未満である場合や破断伸度が25%未満である場合は、衣料などの繊維製品としたとき、それを脱着する際に破れなどを発生させる原因となり、実用的な繊維製品を提供することができなくなり、好ましくない。なお、破断強度の上限に関しては、特に制限するものではないが、一般的に5.0cN/dtex以上の破断強度を得るには、ポリマー及び製糸の段階で特別な改良が必要となり、高コストとなる上に風合いも硬くなりやすいため好ましくない。
単繊維繊度が2.0dtexを超えるときは、繊維の剛性が高くなりすぎ、繊維製品としたときに十分なソフト風合いを得ることができないため、好ましくない。単繊維繊度が0.5dtex未満である場合は、製糸性が低下するとともに、均一な芯鞘複合断面が得られにくくなるだけでなく、鞘部の厚みが薄くなるため摩擦による鞘部の破れが生じやすくなり、製品として十分な耐磨耗性を確保することが困難となる。
また、紫外線カーボンアーク灯を63℃の雰囲気下において300hr照射後の強度保持率が40%未満である場合、繊維製品の耐久性が十分でないため、実用的な繊維製品を提供することができなくなり、好ましくない。
本発明において鞘部に配する変性ポリエステルは、カチオン染料で染色可能であり、かつ常圧可染色性を示すものであり、主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレートから構成され、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が1.0〜3.0mol%およびアジピン酸が3.0〜10.0mol%共重合されたものである。
5−ナトリウムスルホイソフタル酸が1.0〜3.0mol%の範囲でアジピン酸の共重合が3.0mol%未満であると、常圧染色における染色性が低下する。10.0mol%を超えると融点が低下し、加工工程での200℃程度の熱セットに耐えられなくなり、穴あきが発生する。
また、固有粘度については、0.46〜0.63程度が好ましく、0.46未満での場合は、芯成分との粘度差が大きくなりすぎ、均一な芯鞘複合断面が安定して得られにくくなる。固有粘度が0.63を超えると、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の増粘作用により溶融粘度が高くなり過ぎて、製糸性が悪化する。
芯部に配するポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン4、ナイロン7、ナイロン11、ナイロン12など従来から知られているものが利用可能である。中でも、汎用性からナイロン6またはナイロン66の使用が好ましい。
芯部に配するポリアミドには、耐光安定剤として高分子量型ヒンダードアミン系安定剤
を0.3質量%以上5.0質量%以下で含むことが好ましい。0.3質量%より少ない場合、耐光性の効果が充分得られ難い。一方、5.0質量%を超えると、高分子量型ヒンダードアミン系化合物の添加量が過剰となる場合があり、経済性の点から好ましくない上に、カチオン可染性複合繊維の製糸安定性も低下しやすい。特に、高分子量型ヒンダードアミン系安定剤の添加量は、0.3質量%以上2.0質量%以下の範囲がより好ましい。
さらに、高分子量型ヒンダードアミン系化合物を添加することにより、この化合物が安定剤として働き、常圧カチオン可染性複合繊維の耐光性を高めることもできる。しかも、本発明で用いるヒンダードアミン系化合物は高分子量型であるため、洗濯などにより水中に溶出しづらく、長期間にわたって効果を持続できる。
本発明でいう高分子量型とは数平均分子量が1000以上であることが好ましい。特に、数平均分子量が2000以上であると常圧カチオン可染性複合繊維から水中への溶出を抑制することができるのでさらに好ましい。
高分子量型ヒンダードアミン系化合物の例としては、例えば、N,N’,N" ,N"'−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合体などが挙げられる。
芯鞘型繊維断面に対する、芯部の体積比は、33〜66体積%にする必要がある。芯部の体積比が33体積%より低下すると、繊維の強伸度特性が低下し、繊維製品としたときの破裂強力が不足することとなる。逆に、芯部の体積比が66体積%を超えると、均一な芯鞘複合断面を安定して得られにくくなり、また、繊維の常圧カチオン可染性が低下する。
次に、本発明のカチオン可染性複合繊維の製造方法ついて、一例を挙げて詳細に説明する。まず、複合紡糸法にて、鞘部に、主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレートから構成され、ジカルボン酸成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸が1.0〜3.0mol%、及びアジピン酸が3.0〜10.0mol%共重合された変性ポリエステルを配し、芯部に、高分子量型ヒンダードアミン系安定剤を0.3〜5.0質量%含有したポリアミドを配し、芯部の体積比を33〜66体積%とした芯鞘型の複合繊維を得る。
次いで、延撚機を用い、未延伸糸を次のように2段延伸する。まず、第1段延伸域での延伸倍率を、糸がたるまない程度の倍率、すなわち、1倍を超え、1.2倍未満の範囲とする。次に、第1段延伸糸を60〜90℃に加熱した第1段延伸域の引取ローラーで加熱したのち、第2段延伸域で最大延伸倍率(以下、MDRと標記する。)の0.6倍を超え、0.8倍未満の範囲の倍率で延伸しながら、第2段延伸域に配した100〜170℃に加熱した熱板で熱セットする。
第1段延伸域の延伸倍率が、1倍以下であると、糸弛みが発生して、引取ローラーへの巻き付きが発生する。また、1.2倍以上であると、延伸斑が発生して染色後の品位が低下する。第1段延伸域の引取ロ−ラ−の表面温度は、ポリマーのガラス転移温度が比較的高い鞘成分のポリエステルのガラス転移温度から(ガラス転移温度+30℃)までの範囲、すなわち、60℃以上、90℃以下程度とする。第1段延伸域の引取ロ−ラ−の表面温度が前記範囲を外れると、延伸斑が発生して染色後の品位が低下する。
第2段延伸域の延伸倍率がMDRの0.6倍以下であると、繊維の破断強度が過度に低下し、破断強度3.0cN/dtex以上を維持できない。逆に、MDRの0.8倍以上であると、繊維の破断伸度が過度に低下し、破断伸度25%以上を維持できなくなる。第2段延伸域の熱板の表面温度は、100〜170℃が好ましい。100℃未満であると繊維の収縮率が高くなり、織編物の風合いが硬くなりやすい。170℃を超えると、延撚工程において、糸切れが発生しやすくなる。
また、本発明のカチオン可染性複合繊維を含む水着、スポーツインナー、ランジェリー、ファンデーション、エンブロイダリーレース等の繊維製品は、本発明のカチオン可染性複合繊維を単独で用いても、また他繊維を含んでいても良いが、基布の破裂強度を高め、染め品位を良好にするためには、繊維製品を構成する基布中に本発明のカチオン可染性複合繊維を、50質量%以上含んでいることが好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明する。なお各評価は以下の方法に従った。
(変性ポリエステルの固有粘度[η])
ポリマー0.25gを粉砕し、フェノール/テトラクロルエタン(50/50)の混合溶媒50mlに溶解させ、25℃に温調した自動粘度計(サン電子工業株式会社製、製品名: AVL−4型)で測定した。なお、変性ポリエステルの固有粘度[η]は以下の計算式、
[η]={(1+1.04ηsp)1/2−1}/0.26
を使った。
(ナイロンの溶融粘度 [Pa・秒] )
ポリマーを窒素雰囲気下で、温度280℃で溶融させ、シェアレート2.43×103秒−1としたときの溶融粘度をキャピログラフ(株式会社東洋精機製作所製、製品名:キャピログラフ1B)を用いて、測定を3回行い、平均値を溶融粘度とした。
(ポリマーの融点)
セイコー電子工業株式会社製DSC220を用いて、昇温速度10℃/分で測定した。
(繊維の破断強度 [DS] 、および破断伸度 [DE] )
株式会社島津製作所製オートグラフSD−100−Cを用いて、試長200mm、引張速度200mm/分で応力伸長曲線を測定し、繊維の破断点の強度および伸度を求めた。
(カチオン染色による染色性評価)
カチオン染料(保土ケ谷化学株式会社製、製品名:AIZEN CATHILON MARINEBLUE GPLH)を濃度1.5%owf、温度98℃で、60分間染色を施し、鮮明性、均染性に優れるものを、○○、○、×の順で3段階に評価した。
(風合い評価)
手触りによる官能検査で行い、非常にソフトであるものを○○、ソフトであるものを○、ソフトさに欠けるものを×と評価した。
(耐光強度保持率)
スガ試験機製カーボンアーク耐光試験機FAL−53を用いて、試験温度63℃にて繊維1本に300hr光照射した。光照射後の繊維の破断強度を前出の方法にて求め、光照射前の繊維の強度を100%として耐光強度保持率を算出した。
以下、実施例1〜4及び比較例1〜6を挙げて本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
高分子量型ヒンダードアミン系安定剤(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、CHIMASSORB 2020 以下、HALSと標記する。)を0.4質量%含むナイロン6(融点224℃、溶融粘度170Pa・秒)を260℃に溶融し、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(以下DMSと標記する。)を2.25mol%、及びアジピン酸(以下ADEと標記する。)5.0mol%を共重合した融点242℃、固有粘度0.55の変性ポリエステルを275℃で溶融した後に、24ホールの芯鞘複合紡糸ノズルの芯部にナイロン6を配し、鞘部に前記変性ポリエステルを配して芯部比率55体積%とし、紡糸温度278℃、巻取速度1400m/分にて芯鞘型複合紡糸を行なって未延伸糸を得た。
次いで、前記未延伸糸を、以下に挙げる条件で延伸し、40.0dtex/24f、単繊維繊度1.67dtexの延伸糸を得た。得られた延伸糸の強伸度特性は、破断強度4.49cN/dtex、破断伸度34.2%であり、常圧カチオン可染性繊維としては非常に高い強伸度特性を有する原糸を得た。この原糸の300hrカーボンアーク耐光試験後の強度保持率は60%であり耐光性も良好であった。
延伸条件は次のとおりである。
DR1=1.011
HR=70℃
DR2=2.460(MDR×0.7)
HP=160℃
ここで、
DR1:第1段延伸域での延伸倍率、
MDR:予熱温度70℃で測定した最大延伸倍率、
HR :第1段延伸域の引取ロ−ラ−の表面温度(℃)、
DR2:第2段延伸域での延伸倍率、
HP :第2段延伸域の熱板の表面温度(℃)
を表す。
さらに、得られた延伸糸の筒編地をカチオン染料(保土ケ谷化学株式会社製AIZEN
CATHILON MARINEBLUE GPLH)にて濃度1.5%owf、温度98℃、60分間で染色を施した結果、鮮明性および均染性に優れ、かつ非常にソフトな風合いが得られた。以上の結果を表1に示す。
(実施例2)
HALSの添加量を0.3%とした以外は、実施例1と同様のポリマーを使用して延伸糸を得た。得られた延伸糸の強伸度、耐光性、風合いは表1に示すように常圧カチオン可染性繊維としては高いレベルであった。結果を表1に示す。
(実施例3)
芯部の体積比率を40%に変更した以外は、実施例1と同様のポリマーを使用して延伸糸を得た。得られた延伸糸の強伸度、耐光性、風合いは表1に示すように常圧カチオン可染性繊維としては高いレベルであった。
(実施例4)
36Hの紡糸ノズルを用いた以外は、実施例1と同様のポリマーを使用して、40.0dtex/36f、単繊維繊度1.11dtexの延伸糸を得た。得られた延伸糸の強伸
度、耐光性、風合いは表1に示すように常圧カチオン可染性繊維としては高いレベルであった。
(比較例1、2)
HALSの添加量を0%、0.2%とした以外は、実施例1と同様のポリマーを使用して複合紡糸し、同様の延伸条件にて延伸糸を得た。得られた延伸糸の強伸度特性は高いレベルであったが、耐光性が悪く衣料用として不充分なレベルであった。
(比較例3)
16Hの紡糸ノズルを用いた以外は実施例1と同様のポリマーを使用して、40.0dtex/16f、単繊維繊度2.5dtexの延伸糸を得た。得られた延伸糸の強伸度、耐光性は表1に示すように常圧カチオン可染性繊維としては高いレベルであった。得られた延伸糸の強伸度、耐光性は、表1に示すように、従来のカチオン可染性繊維と比較すると高かったが、ソフトな風合いが得られなかった。
(比較例4)
鞘成分である変性ポリエステルを、DMSの変性量を5.0mol%、融点237℃、固有粘度0.41のポリマーに変更した以外は、実施例1と同様にして延伸糸を得たが、得られた延伸糸の強伸度特性は、低いレベルであり、かつ衣料用としても不充分なレベルであった。結果を表1に示す。
(比較例5)
鞘成分である変性ポリエステルを、ADEの変性量を5.0mol%、融点245℃、固有粘度0.75のポリマーに変更した以外は、実施例1と同様にして延伸糸を得た。得られた延伸糸の強伸度、耐光性は、表1に示すように、常圧カチオン可染性繊維としては高いレベルであったが、筒編地を作成し、染色したところ、染色性が極めて低かった。
(比較例6)
芯成分を、ポリエチレンテレフタレート(融点255℃、固有粘度0.83、溶融粘度201Pa・秒)に変更し、芯成分の溶融温度、および紡糸温度を290℃とした以外は、実施例1と同様にして延伸糸を得た。得られた延伸糸の破断強度は、表1にしめすとおり、従来のカチオン可染性繊維と比較するとやや高かったが不十分なレベルにあり、ソフト風合いも不十分であった。
Figure 2012062591

Claims (7)

  1. 単繊維繊度が0.5〜2.0dtex、破断強度が3.0cN/dtex以上、破断伸度が25%以上、紫外線照射300hr後の強度保持率が40%以上であるカチオン可染性複合繊維。
  2. 鞘部が主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成され、ジカルボン酸成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸が1.0〜3.0mol%及び、アジピン酸が3.0〜10.0mol%共重合された変性ポリエステルであり、芯部が高分子量型ヒンダードアミン系安定剤を0.3〜5.0質量%含有したポリアミドであり、芯部の比率が33〜66体積%である請求項1記載のカチオン可染性複合繊維。
  3. 前記ポリアミドが、前記高分子量型ヒンダードアミン系安定剤を0.3〜2.0質量%含有してなる請求項2記載のカチオン可染性複合繊維。
  4. 複合紡糸にて、鞘部に主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレートから構成され、ジカルボン酸成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸が1.0〜3.0mol%、及びアジピン酸が3.0〜10.0mol%共重合された変性ポリエステルを配し、芯部にポリアミドを配した芯鞘型のカチオン可染性複合繊維の製造方法であって、
    前記ポリアミドが、高分子量型ヒンダードアミン系安定剤を0.3〜5.0質量%含有すること、
    前記カチオン可染性複合繊維からなる未延伸糸を、第1段延伸域において1倍を越え、1.2倍未満の延伸倍率にて加熱延伸し、
    次いで第2段延伸域において、70℃のときの最大延伸倍率を0.6倍を越え、0.8倍未満として延伸し熱セットすること、
    を含んでなるカチオン可染性複合繊維の製造方法。
  5. 前記第1段延伸域における引取りローラーの表面温度を60〜90℃とし、前記第2段延伸域における熱セット温度を100〜170℃とすること、を含んでなる請求項4記載の製造方法。
  6. 前記芯部の体積比が33〜66体積%である、請求項4又は5に記載の製造方法。
  7. 請求項1又は2に記載されたカチオン可染性複合繊維を含んでなる繊維製品。
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