JP2012062585A - オフセット編成用糸ガイド装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オフセット給糸であっても編針が編成点で確実に糸を構成する全ての繊維を受けることができ、かつ編組織の変化等によって糸が編成点から外れるといったことなく安定して給糸することができるオフセット編成用の糸ガイド装置を提供する。
【解決手段】編機において編針の動作線より外れたオフセット位置から編針へ給糸する糸ガイド装置であって、糸入口2及び糸出口を備えた糸ガイド装置本体3と、この糸ガイド装置本体の下方側部に設けたガイドプレート1を有し、編針の内側まで押し込まれた糸がガイドプレートにより編成点5の直前まで案内される。
【選択図】図3
【解決手段】編機において編針の動作線より外れたオフセット位置から編針へ給糸する糸ガイド装置であって、糸入口2及び糸出口を備えた糸ガイド装置本体3と、この糸ガイド装置本体の下方側部に設けたガイドプレート1を有し、編針の内側まで押し込まれた糸がガイドプレートにより編成点5の直前まで案内される。
【選択図】図3
Description
本発明は、編機において編針の動作線より外れたオフセット位置から編針へ給糸する糸ガイド装置に関するものである。
一般的に、編機には糸を編針へ供給するための糸ガイド装置が設置されている。編針は、糸を受けるために上昇しその後下降する動きを繰り返す動作線に沿って移動する。糸ガイド装置は、編針が糸を確実に受けることができるようその動作線内に設置されている。
それとは異なる糸ガイド装置の形式の一つとして、編針の動作線より外れたオフセット位置から編針へ糸をガイドするオフセット編成用糸ガイド装置が公知である(たとえば、特開平4-316649、特開昭60-52660参照)。
このオフセット給糸では、編針と糸ガイド装置が接触することがあり得ないので、それに起因する磨耗や破損等の不具合を引き起こすことがない。また、糸切れ等でラッチが閉じたとき、通常編成であれば、それ以降編針は糸を受けることができなくなってラッチが閉じたままとなり、編地の欠陥発生の、もしくは生地落ちの原因となるので、ラッチを開放する人為的な作業が必要になる。しかし、オフセット給糸の場合はガイドした糸が上昇した編針のラッチに作用してラッチを開放させるためそういった作業が必要なく、生地落ちの確率も格段に低くなる。さらに、オフセット編成用糸ガイド装置は編針との接触について考えなくてよいため構造的に単純であり、従来の糸ガイド装置よりも安価に製作可能である。
また、編針の動作線が小さい編機等は、糸ガイド装置が編針の動作線内にあると編針のラッチが糸ガイド装置の糸出口に入り込み破損等を引き起こすことが多いため、オフセット給糸が行われている。また、例えば糸ガイド装置が完全固定であるため糸ガイド装置に糸を通すのが困難である場合等、編機の構成上オフセット給糸をせざるを得ない場合にも行われている。
オフセット給糸では糸ガイド装置の糸出口から編針が糸を受ける編成点までの距離が長く、その間において糸は特に制御されない。そのため、例えばフィラメント数の多い長繊維糸など糸の性質によっては糸を構成する繊維が糸ガイド装置の糸出口付近では纏まっているが編成点に近づくにつれてばらけて拡がるフィラメント割れ(filamentation)を生じさせやすい。そうなると、編針は糸を構成する全ての繊維を受けることができなくなって編地に欠陥が発生する場合がある。
また、編組織の変化等によって給糸経路が移動したり編針が傾いたりすることによって編針が糸を受け逃がすことがあり、そういう場合には糸が編成点から外れてしまう。編成点から外れた糸は自然には戻らないため、欠陥のある編地が多量に生産されることがあり、さらに糸を編成点に戻す人為的な作業が必要となる。
これらの問題が発生した場合は通常位置からの給糸に切り替えれば、糸ガイド装置の糸出口と編成点の距離が近くなるため糸がばらけることなく給糸することができ、編組織の変化等にかかわらず安定して給糸することができるようになって一応解決する。しかし、前述のように通常位置に糸ガイド装置が設置できない種類の編機もあり、このような場合は欠陥のある編地しか生産できないため、問題となる。
従って、本発明は、オフセット給糸であっても編針が編成点で確実に糸を構成する全ての繊維を受けることができ、かつ編組織の変化等によって糸が編成点から外れるといったことなく安定して給糸することができるオフセット編成用の糸ガイド装置を提供することを主な目的とする。
前記問題を解決する本発明は、編機において編針の動作線より外れたオフセット位置から編針へ給糸する糸ガイド装置であって、糸入口及び糸出口を備えた糸ガイド装置本体と、この糸ガイド装置本体の下方側部に設けたガイドプレートを有し、前記ガイドプレートにより、編針の内側まで押し込まれた糸が編成点の直前まで案内されることを特徴とする(請求項1)。
好ましくは、前記ガイドプレート下方側部に張出し部分が形成されていて、この張出し部分が給糸方向に向かうにつれて背面方向に徐々に高く突き出していることである(請求項2)
好ましくは、前記ガイドプレート側部の垂直部分が、編針のラッチが閉じ始める位置にある(請求項3)。
好ましくは、前記ガイドプレート底部が、先端になるほど下方に向かって傾斜する傾斜部分を有している(請求項4)。
前記糸ガイド装置本体は、閉じたラッチに接触しないようにするため、前記編針と前記ガイドプレートが接近する上昇部分において、前記編針のラッチが開くことを妨げないような形状の前記ガイドプレートを使用することもできる(請求項5)。
前記ガイドプレートと前記糸ガイド装置本体は一体型でもよいし、固定部材によって脱着自在としてもよい(請求項6,7)。
前記ガイドプレートの張出し部分の幅は前記糸出口に近づくにつれて広くなるよう張出し部分の上端曲面が形成されている(請求項8)。
各請求項の発明により、糸を構成する繊維がばらけ易い糸を使用したオフセット編成においてその繊維全てを編針が逃さず受けられることで、それに起因する欠陥が発生することなく編地を生産することができる。また、ガイドプレートが編成点付近まで糸をガイドすることで編組織の変化等による影響を受けず安定した給糸を続けることができる。
請求項2〜4の発明によれば、ガイドプレートと編成点を至近距離まで安定して近づけられるので糸を編成点付近までガイドする精度が高まる。
請求項5の発明によれば、糸ガイド装置が、ラッチの開閉を妨げないようにすることができる。
請求項7のようにガイドプレートと糸ガイド装置本体を脱着自在とすることにより、分離時には従来のオフセット編成用糸ガイド装置として使用することが可能となる。
請求項8の発明によれば、糸経路が張出し部分の上部を通る場合でも糸が張出し部分から外れにくく、外れても自然に戻りやすいようにすることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
図1、図2は本実施例におけるオフセット編成用糸ガイド装置を示している。糸入口2及び糸出口4を備えた糸ガイド装置本体3の下方側部にガイドプレート1が一体的に設けられている。
ガイドプレート1側部の垂直部分12は、編針のラッチが閉じ始める位置にある。
ガイドプレート1下方側部の張出し部分15は、編針やそのラッチをかわすため、ガイド部分が高く張り出す形状になっている。張出し部分15の肉厚の高さ及び幅、糸ガイド装置の端で一番出ている部分である張出し部分先端16の肉厚の幅はこれらをかわせる限界まで広げるのが好ましい。
前記張出し部分15の上面が直線であると、糸の経路が上方へ移動することによって糸の位置が張出し部分の上端部を通るような場合に、糸が張出し部分15から外れ、その後糸の経路が下方へ移動してもそのまま糸が張出し部分15に戻らないことがある。このため糸が張出し部分から外れにくく、外れても戻りやすいよう、張出し部分15の上端曲面17が形成されていることが好ましい。
ガイドプレート1側部の底部は、編針をかわしつつラッチを開けるための工具を挿入しやすい形状として、先端になるほど下方に向かって傾斜する傾斜部分13を有しており、ガイドプレート1全体は、上部の平坦部分と底部の傾斜部分13を有する台形板状である。
図3に示すように、糸入口2に入った糸は糸ガイド装置本体3内部を通過し、糸出口4から出てガイドプレート1を伝い、編成点5に到達する。このようにガイドプレート1が編成点5付近まで糸をガイドしているため、糸は編組織の変化の影響を受けることなく、安定して編成点5へ給糸される。
また、ガイドプレート1によって図5のAのように編針6の内側まで押し込まれた糸は編成点5の直前まで拘束されるので、編針6が下降して糸を受ける動作線7の下降部分72において、糸を構成する繊維9は図6(X)のようにガイドプレート1のある外側方向にばらけにくい。これにより糸を構成する繊維9がばらけたとしても編針6は全ての繊維9を受けることができる。
一方、図4に示す従来の糸ガイド装置を使用した場合の糸は、図6(Y)のように糸を構成する繊維9が拘束を受けることなくばらけるため、当然外側方向にもばらけることになる。このため編針6は、糸を受けることができる範囲を超えてばらけた繊維9を受けることができない。
本実施例の糸ガイド装置本体3は、閉じたラッチ8に接触しないように編針6とガイドプレート1が接近する動作線7の上昇部分71において糸の経路を編針6から少し離すように形成されている。通常のオフセット編成では編針6が上昇するときに糸が編針6に接近していると閉じたラッチ8を開放する働きがあるが、本実施例の糸ガイド装置3はラッチが開く過程でガイドプレート1がラッチ8と接触し部品の破損等の不具合の原因となるおそれがあるためである。
オフセット給糸特有のラッチ8を開放する働きを得る別の方法として、編針6とガイドプレート1が接近する前記上昇部分71において編針6のラッチ8が開くことを妨げないような形状のガイドプレート1を使用してもよい。
また、別の実施例として図7のようにガイドプレート1と糸ガイド装置本体3をねじ等の固定部材18によって脱着自在とすることによってフィラメント割れが発生しない糸を使用する場合、ガイドプレート1を取り外したオフセット給糸による編針6のラッチ8の開放が可能となるよう調整することができるようにしてもよい。
1 ガイドプレート
12 垂直部分
13 傾斜部分
15 張出し部分
16 張出し部分先端
17 上端曲面
18 固定部材
2 糸入口
3 糸ガイド装置本体
4 糸出口
5 編成点
6 編針
7 編針の動作線
71 上昇部分
72 下降部分
8 ラッチ
9 繊維
A 本発明の糸ガイド装置を使用した場合の糸経路
B 従来の糸ガイド装置を使用した場合の糸経路
12 垂直部分
13 傾斜部分
15 張出し部分
16 張出し部分先端
17 上端曲面
18 固定部材
2 糸入口
3 糸ガイド装置本体
4 糸出口
5 編成点
6 編針
7 編針の動作線
71 上昇部分
72 下降部分
8 ラッチ
9 繊維
A 本発明の糸ガイド装置を使用した場合の糸経路
B 従来の糸ガイド装置を使用した場合の糸経路
Claims (8)
- 編機において編針の動作線より外れたオフセット位置から編針へ給糸する糸ガイド装置であって、
糸入口(2)及び糸出口(4)を備えた糸ガイド装置本体(3)と、この糸ガイド装置本体(3)の下方側部に設けたガイドプレート(1)を有し、
前記ガイドプレート(1)により、編針(6)の内側まで押し込まれた糸が編成点(5)の直前まで案内されることを特徴とするオフセット編成用糸ガイド装置。 - 前記ガイドプレート(1)下方側部に張出し部分(15)が形成されていて、この張出し部分(15)が給糸方向に向かうにつれて背面方向に徐々に高く突き出している請求項1記載の装置。
- 前記ガイドプレート(1)側部の垂直部分(12)が、編針のラッチが閉じ始める位置にある請求項1又は2記載の装置。
- 前記ガイドプレート(1)底部が、先端になるほど下方に向かって傾斜する傾斜部分(13)を有している請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
- 前記編針(6)と前記ガイドプレート(1)が接近する上昇部分(71)において、前記編針(6)のラッチが開くことを妨げないような形状の前記ガイドプレート(1)を使用する請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
- 前記ガイドプレート(1)と前記糸ガイド装置本体(3)が一体化されて形成されたものである請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
- 前記ガイドプレート(1)と前記糸ガイド装置本体(3)が固定部材(18)によって脱着自在である請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
- 前記ガイドプレート(1)の張出し部分(15)の幅は前記糸出口(4)に近づくにつれて広くなるよう張出し部分(15)の上端曲面(17)が形成されている請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
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