JP2012062390A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒステリシスロスが大幅に低下すると共に、耐摩耗性が大幅に向上したゴム組成物を用いたタイヤを提供する。
【解決手段】湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を含む充填剤を分散させてなるスラリーとゴム成分を分散又は溶解させてなるゴム液とを混合する工程を有する方法により製造されたゴムウェットマスターバッチと、分子内に、窒素原子(N)及びケイ素原子(Si)を含む環状構造と、一つ以上の硫黄原子(S)とを有し、且つ立体障害の小さな基が一つ以上ケイ素原子(Si)に結合している部位を有する有機ケイ素化合物と、無機充填剤とを配合してなるゴム組成物を用いたタイヤである。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤに関し、特には、カーボンブラック含有ウェットマスターバッチと有機ケイ素化合物と無機充填剤とを配合してなるゴム組成物を用いたタイヤに関するものである。
昨今、車両の安全性の観点から、タイヤの湿潤路面における安全性を向上させることが求められている。また、環境問題への関心の高まりに伴う二酸化炭素の排出量の削減の観点から、車両を更に低燃費化することも求められている。
これらの要求に対し、従来、タイヤの湿潤路面における性能の向上と転がり抵抗の低減とを両立する技術として、タイヤのトレッドに用いるゴム組成物の充填剤としてシリカ等の無機充填剤を用いる手法が有効であることが知られている。しかしながら、シリカ等の無機充填剤を配合したゴム組成物は、タイヤの転がり抵抗を低減し、湿潤路面における制動性を向上させ、操縦安定性を向上させるものの、未加硫粘度が高く、多段練り等を要するため、作業性に問題がある。そのため、シリカ等の無機充填剤を配合したゴム組成物においては、破壊強力及び耐摩耗性が大幅に低下し、加硫遅延や充填剤の分散不良等の問題を生じる。
そこで、トレッド用ゴム組成物にシリカ等の無機充填剤を配合した場合、ゴム組成物の未加硫粘度を低下させ、モジュラスや耐摩耗性を確保し、また、ヒステリシスロスを更に低下させるためには、シランカップリング剤を添加することが必須となっている(例えば、特許文献1及び2参照)。
ところで、低発熱性や耐摩耗性、耐亀裂性成長性に優れたゴムの製造方法としてウェットマスターバッチ法が一般に知られている。これは、カーボンブラック、シリカ等の充填剤と水とをあらかじめ一定の割合で混合し機械的な力で充填剤を水中に微分散させたスラリーとゴムラテックスを混合し、その後、酸・無機塩・アミン等の凝固剤を加えて凝固させたものを、回収、乾燥するものである(例えば、特許文献3、4及び5参照)。しかしながら、このウェットマスターバッチの製造に用いられるカーボンブラックは、市販の造粒乾燥品であって、このような造粒乾燥品においてはカーボンブラック自体の表面活性が低下するため、ゴムの補強性や耐摩耗性は、必ずしも充分に満足し得るとはいえなかった。
そこで、未造粒のカーボンブラックをウェットマスターバッチに適用する技術が特許文献6に開示されている。この技術においては、未造粒のカーボンブラックがカーボンブラックの製造ラインから直接マスターバッチ製造工程へ導入される。この場合、カーボンブラックまわりの雰囲気には酸素が存在しないためカーボンブラックの表面は酸化を受けず、その表面活性は高く維持されるというメリットがある。
米国特許第3,842,111号 米国特許第3,873,489号 特公昭51−438571号公報 特公昭54−10576号公報 特開2004−99625号公報 ヨーロッパ公開特許第1362880A号
前述したシランカップリング剤を用いる技術においては、シランカップリング剤は高価であるため、シランカップリング剤の配合によって、配合コストが上昇してしまう。また、分散改良剤の添加によっても、ゴム組成物の未加硫粘度が低下し、作業性が向上するが、耐摩耗性が低下してしまう。更に、分散改良剤がイオン性の高い化合物の場合には、ロール密着等の加工性の低下も見られる。また更に、本発明者らが検討したところ、充填剤としてシリカ等の無機充填剤を配合しつつ、従来のシランカップリング剤を添加しても、ゴム組成物のヒステリシスロスの低減と耐摩耗性の向上とを十分満足できるレベルにすることができず、依然として改良の余地が有ることが分かった。
また、前述した未造粒のカーボンブラックをウェットマスターバッチに適用する技術においては、カーボンブラックは未造粒であるためハンドリング性が悪く、飛散などによりマスターバッチ製造工程におけるカーボンブラック収率が低下しやすいという問題があり、また、マスターバッチの製造においては、未造粒のカーボンブラックを単にアジテーターを用いてゴムラテックス中に分散させるため、カーボンブラックの分散性が必ずしも充分ではないという問題もあった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、ヒステリシスロスが大幅に低下すると共に、耐摩耗性が大幅に向上したゴム組成物を用いたタイヤを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を含む充填剤を分散させてなるスラリーとゴム液とを混合して得られたカーボンブラック含有ゴムウェットマスターバッチと、シリカ等の無機充填剤との反応速度が高い、分子内に窒素原子(N)とケイ素原子(Si)を含む環状構造を有し、かつ、一つ以上の硫黄原子(S)を有し、かつ、立体障害の小さな基が一つ以上ケイ素原子(Si)に結合している部位を有する有機ケイ素化合物を、無機充填剤と共に配合することで、カーボンブラックの分散性が改良され、高い表面活性が維持され、カップリング反応の効率が向上して、タイヤに用いるゴム組成物のヒステリシスロスを大幅に低下させつつ、耐摩耗性を大幅に向上させられることを見出した。
即ち、本発明のタイヤは、湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を含む充填剤を分散させてなるスラリーとゴム成分を分散又は溶解させてなるゴム液とを混合する工程を有する方法により製造されたゴムウェットマスターバッチと、分子内に、窒素原子(N)及びケイ素原子(Si)を含む環状構造と、一つ以上の硫黄原子(S)とを有し、且つ立体障害の小さな基が一つ以上ケイ素原子(Si)に結合している部位を有する有機ケイ素化合物と、無機充填剤とを配合してなるゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明のタイヤの好適例においては、前記未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の含水率が30〜70質量%である。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の直径が0.1〜10mmである。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の硬さが1.0〜100cNである。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の熱重量分析(TGA)による150℃〜900℃までのカーボンブラックの加熱減量が0.87〜1.5質量%であり、かつトルエン着色透過度が90%以上である。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記スラリー中の充填剤の粒度分布が、体積平均粒径(mv)25μm以下で、90%体積%粒径(D90)30μm以下であり、かつ当該スラリーから回収した乾燥充填剤の24M4DBP吸油量が、分散媒に分散させる前の乾燥状態の充填剤の24M4DBP吸油量の93%以上を保持する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記スラリーの分散媒が水である。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記スラリーが、前記未乾燥状態のカーボンブラック造粒物と、前記無機充填剤を含む。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記ゴム液におけるゴム成分が天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムである。ここで、前記ゴム液が天然ゴムラテックス及び/又はジエン系合成ゴムラテックスであるのが好ましい。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記ゴムウェットマスターバッチを製造する方法が、(a)スラリーとゴム液とを混合する工程、(b)得られた混合液を化学的及び/又は物理的に凝固処理し、生成した凝固物を取り出す工程を有する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記ゴムウェットマスターバッチを製造する方法が、さらに、(c)取り出された凝固物を乾燥処理する工程を有する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記ゴムウェットマスターバッチが、老化防止、可塑化、しゃっ解、加工性改良、分散改良、カップリング、架橋速度調整又は架橋密度調製のうち、少なくとも一種の効果を有するゴム用添加剤を含む。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記有機ケイ素化合物において、前記立体障害の小さな基が、水素原子、メチル基及びヒドロキシル基からなる群から選択される少なくとも一種である。
上記有機ケイ素化合物としては、下記一般式(I):
[式中、Aは硫黄原子(S)を含み且つゴム成分と反応する基であり、
Wは−NR−、−O−又は−CR−(ここで、Rは−R又は−C2m−Rであり、但し、Rは−NR、−NR−NR又は−N=NRであり、Rは−C2n+1で、Rは−C2q+1で、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜10である)で表わされ、
及びRはそれぞれ独立して−M−C2l−(ここで、Mは−O−又は−CH−で、lは0〜10である)で表わされ、但し、R及びRの一つ以上は、Mが−O−であり、
は水素原子、メチル基又はヒドロキシル基である]で表わされる有機ケイ素化合物が好ましい。
ここで、前記硫黄原子(S)を含み且つポリマーと反応する基は、ポリサルファイド基、チオエステル基、チオール基、ジチオカーボネート基、ジチオアセタール基、ヘミチオアセタール基、ビニルチオ基、α−チオカルボニル基、β−チオカルボニル基、S−CO−CH−O部分、S−CO−CO部分、及びS−CH−Si部分からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、ポリサルファイド基及びチオエステル基の少なくとも一方を含むことが特に好ましい。
また、前記一般式(I)中のAは、下記一般式(II)又は式(III):
[式(II)中のW、R、R及びRは上記と同義であり、
式(II)及び式(III)中のRは、下記一般式(IV)又は式(V):
(式中、M、l及びmは上記と同義であり、X及びYはそれぞれ独立して−O−、−NR−又は−CH−で、R10は−OR、−NR又は−Rで、R11は−NR−、−NR−NR−又は−N=N−であり、但し、R及びRは上記と同義である)或いは−M−C2l−(ここで、M及びlは上記と同義である)で表わされ、
式(III)中のRは下記一般式(VI)又は式(VII):
(式中、M、X、Y、R10、R、l及びmは上記と同義である)或いは−C2l−R12(ここで、R12は−NR、−NR−NR、−N=NR又は−M−C2m+1或いは炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、但し、R、R、M、l及びmは上記と同義である)で表わされ、
式(II)及び式(III)中のxは1〜10である]で表わされることが好ましい。
上記好適な有機ケイ素化合物において、前記Mは−O−であることが好ましい。
上記一般式(I)で表わされる有機ケイ素化合物においては、
前記Wが−NR−(ここで、Rは上記と同義である)で表わされ、
前記R及びRがそれぞれ独立して−O−C2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが水素原子、メチル基又はヒドロキシル基であって、
前記Rが−C2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが−C2l+1(ここで、lは上記と同義である)で表わされる直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
また、上記一般式(I)で表わされる有機ケイ素化合物においては、
前記Wが−O−又は−CR−(ここで、R及びRは上記と同義である)で表わされ、
前記R及びRがそれぞれ独立して−O−C2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが水素原子、メチル基又はヒドロキシル基であって、
前記Rが−C2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
前記Rが−C2l+1(ここで、lは上記と同義である)で表わされることも好ましい。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記無機充填剤が、シリカ及び一般式(IX)
nM・xSiO・zHO ・・・(IX)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムからなる群より選択される金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩からなる群より選択される少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
で表される無機充填剤からなる群より選択される少なくとも一種である。ここで、前記無機充填剤がシリカ又は水酸化アルミニウムであることが好ましい。また、前記シリカのBET表面積が40〜350m/gであることが好ましい。
本発明のタイヤは、前記ゴム成分100質量部に対して、前記無機充填剤5〜140質量部を配合してなり、
更に、前記有機ケイ素化合物を、前記無機充填剤の配合量の1〜20質量%含むことが好ましい。
本発明によれば、ヒステリシスロスが大幅に低下すると共に、耐摩耗性が大幅に向上したゴム組成物を用いたタイヤを提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のタイヤは、湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を含む充填剤を分散させてなるスラリーとゴム成分を分散又は溶解させてなるゴム液とを混合する工程を有する方法により製造されたゴムウェットマスターバッチと、分子内に、窒素原子(N)及びケイ素原子(Si)を含む環状構造と、一つ以上の硫黄原子(S)とを有し、且つ立体障害の小さな基が一つ以上ケイ素原子(Si)に結合している部位を有する有機ケイ素化合物と、無機充填剤とを配合してなるゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明のタイヤに用いるゴム組成物においては、カーボンブラックとして、湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を用いて調製した充填剤スラリーとゴム液とを混合してなるゴムウェットマスターバッチが配合されている。このようなゴムウェットマスターバッチの製造においては、カーボンブラックのハンドリング性がよく、飛散などを抑制することができ、カーボンブラック含有充填剤スラリーの調製が容易である。さらに、通常の湿式法によるカーボンブラック造粒乾燥物や未造粒カーボンブラックを用いたものよりも、マスターバッチにおけるカーボンブラックの収率が落ちることはない。加えて、当該マスターバッチの製造における全所要エネルギーが少ない。
また、湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物は、通常乾燥工程で与えられるような酸化的高温条件で処理されていないため表面活性が高く、当該カーボンブラック造粒物を用いたマスターバッチをゴム組成物に配合することによって、ゴム組成物における低発熱性を向上させるとともに、補強性や耐摩耗性なども向上させることができる。また、カーボンブラック含有充填剤スラリーとゴム液とを混合してマスターバッチを製造するので、マスターバッチ中のカーボンブラックの分散性が良好である。
また、上記ゴム組成物に配合される上記有機ケイ素化合物は、窒素原子(N)とケイ素原子(Si)とを含む環状構造を有し、該環状構造は、ケイ素−酸素結合(Si−O)を含む場合であっても、安定である。そのため、ケイ素−酸素結合(Si−O)が加水分解してアルコール成分が発生することがなく、使用中の揮発性有機化合物(VOC)ガスを低減できる。
さらに、上記有機ケイ素化合物は、シリカ等の無機充填剤の表面との親和性が高いアミノ基、イミノ基、置換アミノ基、置換イミノ基等の含窒素官能基を含むため、窒素原子の非共有電子対が、有機ケイ素化合物と無機充填剤の反応に関与でき、カップリング反応の速度が速い。但し、窒素原子(N)とケイ素原子(Si)とを含む環状構造が二環性の構造の場合、ケイ素原子(Si)周辺の立体障害が大きいため、無機充填剤との反応性が低く、カップリング効率が大幅に低下してしまう。これに対して、上記有機ケイ素化合物は、立体障害の小さな基が一つ以上ケイ素原子に結合している部位を有するため、シリカ等の無機充填剤との反応性が高い。そのため、従来のシランカップリング剤に代えて、上記有機ケイ素化合物を無機充填剤配合ゴム組成物に添加することで、カップリング効率が向上し、その結果として、ゴム組成物のヒステリシスロスを大幅に低下させつつ、耐摩耗性を大幅に向上させることが可能となる。また、上記有機ケイ素化合物は、添加効率が高いため、少量でも高い効果が得られ、配合コストの低減にも寄与する。
上述したような、湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を適用したゴムウェットマスターバッチと、有機ケイ素化合物とを、無機充填剤と共に配合することによって、それらの相乗効果によって、ゴム組成物のヒステリシスロスを大幅に低下させつつ、耐摩耗性を大幅に向上させることが可能となる。
以下に、本発明のタイヤに用いるゴム組成物を構成する成分について、更に詳細に説明する。
<ゴムウェットマスターバッチ>
本発明に用いるゴム組成物に用いられるゴムウェットマスターバッチ(以下、単にウェットマスターバッチと称することがある)は、湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を含む充填剤を分散させてなるスラリーと、ゴム成分を分散又は溶解させてなるゴム液とを混合することによって製造される。
<<スラリー>>
スラリーは、前記未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を含む充填剤を分散媒に分散させてなるスラリーである。
<<カーボンブラック>>
本発明に用いるゴムウェットマスターバッチにおいて、上記スラリーの調製に用いるカーボンブラックとして、湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を使用する。湿式法によるカーボンブラックの造粒方法については特に制限はなく、従来公知の方法、例えばカーボンブラックの塑性限界より若干低い含水率に相当する造粒水を加え攪拌転道する方法などを採用することができる。なお、前記造粒水には、所望により、造粒助剤、例えば糖蜜、リグニンスルホン酸マグネシウム、リグニンスルホン酸カリウムなどを含有させることができる。
未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の製造に用いるカーボンブラックのグレードとしては、通常ゴム工業に用いられるもの、例えばSAF、HAF、ISAF、FEF、GPF及びこれらのグレードの混合物などを挙げることができる。
本発明においては、未乾燥状態のカーボンブラック造粒物として、含水率が30〜70質量%の範囲にあるものが、ビード状になり、分散の観点から好ましい。より好ましい含水率は、55〜65質量%である。
また、当該カーボンブラック造粒物の熱重量分析(TGA)による150℃〜900℃までのカーボンブラックの加熱減量が0.87〜1.5質量%であることが好ましい。加熱減量を0.87質量%以上にすると、タイヤの転がり抵抗がさらに良好となる。一方、加熱減量を1.5質量%以下にすると、カーボンブラック製造条件の制御がしやすくなる。この観点から、加熱減量が0.88〜1.4質量%であることがより好ましく、0.89〜1.2質量%であることが更に好ましい。
さらに、当該カーボンブラック造粒物の直径は、取扱い性やスラリー中の分散性などの観点から、0.1〜10mm程度が好ましく、0.5〜5mmがより好ましい。
さらにまた、当該カーボンブラック造粒物の硬さは、取扱い性及びスラリー中の分散性などの観点から、1.0〜100cNが好ましく、10〜50cNがより好ましい。
また、当該カーボンブラック造粒物のトルエン着色透過度が90%以上であることが好ましい。トルエン着色透過度が90%以上であれば、補強性の阻害となるタール分が少なくなるため望ましい。
このような未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を用いることにより、ハンドリング性がよく、飛散などを抑制することができ、かつスラリー中の分散性が良好となり、しかもカーボンブラックの表面活性が高いので、ゴムの補強性や耐摩耗性などの向上を図ることができる。
<<スラリーの調製>>
本発明においては、スラリーは、未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を含む充填剤を、高速せん断ミキサーを用いて分散媒中に分散させてなるものが好ましい。ここで、スラリーに分散させる充填剤として、上記未乾燥状態のカーボンブラック造粒物以外にも、本発明に用いるゴム組成物に配合する後述する無機充填剤を用いてもよい。
本発明において、スラリーの調製に用いられる高速せん断ミキサーとは、ローターとステーター部からなる高速せん断ミキサーであって、高速で回転するローターと、固定されたステーターが狭いクリアランスで設置され、ローターの回転によって高いせん断速度を生み出す。
高速せん断とは、せん断速度が、通常2000/s以上、好ましくは400/s以上であることを意味する。
高速せん断ミキサーは、市販品としては、例えば特殊機化工業社製ホモミキサー、独PUC社製コロイドミル、独キャビトロン社製キャビトロン、英シルバーソン社製ハイシアーミキサーなどが挙げられる。
本発明におけるスラリーの特性としては、(i)スラリー液中の充填剤の粒度分布が、体積平均粒径(mv)25μm以下で、90%体積%粒径(D90)30μm以下であり、かつ(ii)当該スラリーから回収した乾燥充填剤の24M4DBP吸油量が、分散媒に分散させる前の乾燥状態の充填剤の24M4DBP吸油量の93%以上を保持することが好ましい。ここで、24M4DBP吸油量は、ISO 6894に準拠して測定される値である。
さらに好ましくは、体積平均粒径(mv)が20μm以下で、90%体積%粒径(D90)が25μm以下である。体積平均粒径(mv)を20μm以下及び90%体積%粒径(D90)を25μm以下にすることにより、ゴム中の充填剤分散がさらに良好となり、ゴム組成物の補強性、耐摩耗性がさらに向上することになる。
他方、体積平均粒径(mv)及び90%体積%粒径(D90)を小さくするためにスラリーに過度のせん断力をかけると、充填剤のストラクチャーが破壊され、スラリーから回収乾燥した充填剤の24M4DBP吸油量が低下することがある。スラリーから回収乾燥した充填剤の24M4DBP吸油量が分散媒に分散させる前の充填剤の24M4DBP吸油量の93%以上であることが、ゴム組成物の補強性を良好にする観点から望ましい。さらに好ましくは96%以上である。
スラリーにおいて、前記充填剤の濃度を1〜15質量%とするのが好ましく、特に2〜10質量%の範囲であることが好ましい。充填剤の濃度が1質量%以上であれば、必要とするスラリー容量を少なくできるので好ましい。また、15質量%以下であれば、スラリーの粘度を低くすることができるので、作業性が向上し好ましい。
本発明においては、このスラリーとしては、分散媒として水を用いる水分散スラリーであることが、特に後述のゴム液として天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスを用いる場合に、混合性の観点から好ましい。
<<ゴム液>>
本発明におけるゴム液は、ゴム成分を溶解又は分散させてなるものであって、ゴム成分として、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムを用いることができる。当該ゴム液としては、天然ゴムラテックス及び/又はジエン系合成ゴムラテックス、あるいは溶液重合によるジエン系合成ゴムの有機溶媒溶液などを挙げることができるが、これらの中で、得られるウェットマスターバッチの性能や製造しやすさなどの観点から、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスが好適である。
天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、酵素処理やケン化処理などによって得られる脱蛋白ラテックス、化学変性ラテックス、前記のものを組み合わせたものなど、いずれも使用することができる。
ジエン系合成ゴムラテックスとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ニトリルゴム、ポリクロロプレンゴムなどのラテックスを使用することができる。なお、ゴム成分は、後述する有機ケイ素化合物と反応するために、分子内に炭素−炭素二重結合を有することが好ましい。これらゴム成分(ラテックス)は、一種単独で用いても、二種以上をブレンドして用いてもよい。
<<ゴムウェットマスターバッチの製造方法>>
上記ゴムウェットマスターバッチは、(a)前記スラリーと前記ゴム液とを混合する工程、(b)得られた混合液を化学的及び/又は物理的に凝固処理し、生成した凝固物を取り出す工程、及びさらに必要に応じ(c)取り出された凝固物を乾燥処理する工程を含む方法によって製造されたものであることが好ましい。
<<<(a)工程>>>
(a)工程は、前記のスラリーとゴム液とを混合する工程である。カーボンブラック含有充填剤スラリーとゴム液との混合は、例えばホモミキサー中に該スラリーを入れ、攪拌しながら、ゴム液を滴下する方法や、逆にゴム液を攪拌しながら、これに該スラリーを滴下する方法がある。また、一定の流量割合をもったスラリー流とゴム液流とを激しい水力攪拌の条件下で混合する方法などを用いることができる。このようにして、カーボンブラック含有充填剤スラリーとゴム成分を含むゴム液との混合液が調製される。
<<<(b)工程>>>
(b)工程は、前記(a)工程で得られた混合液を、化学的及び/又は物理的に凝固処理し、生成した凝固物を取り出す工程である。化学的凝固処理方法は、従来公知の方法、例えば蟻酸、硝酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩を加えることによって行われる。一方、物理的凝固処理方法としては、スチーム加熱や凍結など温度を変化させることによって凝固を促進させる方法や、強いせん断力を加えて凝固する方法が挙げられる。これらの化学的、物理的凝固法は、単独でも複数の方法を組み合わせて用いてもよい。この凝固処理により生成した凝固物は、従来公知の固液分離手段を用いて取り出され、好ましくは充分に洗浄される。洗浄は、通常水洗法が採用される。
<<<(c)工程>>>
(c)工程は、前記(b)工程で取り出され、好ましくは洗浄された凝固物を、好ましくは脱水した後、乾燥処理する工程である。脱水の手段としては、遠心脱水、圧搾脱水、単軸又は複軸スクリューを用いたスクイザなど、また乾燥の手段としては熱風乾燥機、減圧乾燥機、凍結乾燥機などの公知の手段を用いることができる。
また、機械的せん断力をかけながら、脱水乾燥処理する方法も好ましい方法である。この場合、工業的生産性の観点から、連続混練機又は連続多軸混練押出機を用いることが好ましい。さらには、同方向回転、あるいは異方向回転の連続多軸混練押出機を用いることが好ましく、特に連続二軸混練押出機を用いることが好ましい。
このようにして、本発明に用いるゴム組成物に用いるゴムウェットマスターバッチを効率よく製造することができる。このようなゴムウェットマスターバッチの製造方法によれば、前述のように、湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を用いてカーボンブラック含有充填剤分散スラリーを調製することにより、通常のカーボンブラック造粒物や、未造粒のカーボンブラックを用いたものに比べて、ゴム中のカーボンブラックの分散性が改良され、しかも表面活性が高いカーボンを用いることができるため、ゴムの補強性や耐摩耗性などの向上を図ることができ、かつ得られたウェットマスターバッチ中のカーボンブラックの収率が落ちることがなく、その上、カーボンブラックのハンドリング性がよいゴムウェットマスターバッチを効率よく提供することができる。
<<カーボンブラック含有ゴムウェットマスターバッチ>>
上記カーボンブラック含有ゴムウェットマスターバッチは、前述した製造方法で得られたマスターバッチであって、後述するゴム組成物の調製に用いられるが、当該ウェットマスターバッチの保管中の劣化などを防止するために、各種ゴム添加剤を含むものが好ましく、老化防止、可塑化、しゃっ解、加工性改良、分散改良、カップリング、架橋速度調整又は架橋密度調製のうち、少なくとも一種の効果を有するゴム用添加剤を含むものが特に好ましい。
<<<老化防止剤>>>
本発明で使用される老化防止剤としては、アミン系、キノリン系、フェノール系、有機ホスファイト系あるいはチオエーテル系などの老化防止剤が挙げられるが、これらの中でもアミン系及びキノリン系老化防止剤が好ましい。
アミン系老化防止剤としては、例えば、N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、アルキル化ジフェニルアミン、4,4′−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N′−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミンとその誘導体、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられ、キノリン系老化防止剤としては、例えば2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが挙げられる。これらの老化防止剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの老化防止助剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記カーボンブラック含有ゴムウェットマスターバッチに、前記の老化防止剤、又は老化防止剤と老化防止助剤とを含有させる方法としては、前述したゴムウェットマスターバッチの製造方法において説明したスラリーの調製時、ゴム液の調製時、スラリー及びゴム液の混合生成物であるウェットマスターバッチ調製時、脱水乾燥時のいずれであってもよく、また、乾燥後のマスターバッチと添加剤とを、攪拌機等を用いて混合する方法が好適である。上述の可塑化、しゃっ解、加工性改良、分散改良、カップリング、架橋速度調整又は架橋密度調製のうち、少なくとも一種の効果を有するゴム用添加剤を含有させる方法も上記の老化防止剤及び/又は老化防止助剤を含有させる方法のいずれかを用いることが好ましい。
また、加硫ゴムとして好ましい性能を発揮することを目的として、各種ゴム薬品を含むことができる。その成分としては、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、プロセス油、亜鉛華、スコーチ防止剤、分散助剤、ステアリン酸等の通常ゴム業界で用いられる各種薬品等を挙げることができる。
<有機ケイ素化合物>
本発明に用いるゴム組成物に用いられる上記有機ケイ素化合物において、立体障害の小さな基としては、水素原子(−H)、メチル基(−CH)及びヒドロキシル基(−OH)が好ましい。水素原子、メチル基又はヒドロキシル基がケイ素原子(Si)に結合している場合、有機ケイ素化合物と無機充填剤との反応性が特に高く、カップリング効率を大幅に向上させることができる。また、上記有機ケイ素化合物は、ケイ素−酸素結合(Si−O)を1〜6個有することが好ましい。有機ケイ素化合物がケイ素−酸素結合(Si−O)を1〜6個有する場合、シリカ等の無機充填剤との反応性が高く、カップリング効率が更に向上する。
上記有機ケイ素化合物として、より具体的には、上記一般式(I)で表わされる化合物が好ましい。該有機ケイ素化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
<<式(I)の化合物>>
上記一般式(I)において、Aは、硫黄原子(S)を含み且つゴム成分と反応する基である。式(I)で表わされる有機ケイ素化合物は、環状構造部分がシリカ等の無機充填剤と反応するため、分子内に更にゴム成分と反応する基を有することで、ゴム成分と無機充填剤とのカップリング能力を有することとなる。ここで、硫黄原子(S)を含み且つゴム成分と反応する基は、ポリサルファイド基、チオエステル基、チオール基、ジチオカーボネート基、ジチオアセタール基、ヘミチオアセタール基、ビニルチオ基、α−チオカルボニル基、β−チオカルボニル基、S−CO−CH−O部分、S−CO−CO部分(チオジケトン基)、及びS−CH−Si部分からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、ポリサルファイド基及びチオエステル基の少なくとも一方を含むことが特に好ましい。
上記一般式(I)において、Wは、−NR−、−O−又は−CR−で表わされ、ここで、Rは−R又は−C2m−Rであり、但し、Rは−NR、−NR−NR又は−N=NRであり、Rは−C2n+1で、Rは−C2q+1で、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜10である。なお、−C2m−は、mが0〜10であるため、単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基である。ここで、炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が挙げられ、該アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。また、−C2n+1及び−C2q+1は、n及びqが0〜10であるため、水素又は炭素数1〜10のアルキル基である。ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
上記一般式(I)において、R及びRはそれぞれ独立して−M−C2l−で表わされ、ここで、Mは−O−又は−CH−であり、lは0〜10である。但し、R及びRの一つ以上は、Mが−O−である。なお、−C2l−は、lが0〜10であるため、単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基であり、ここで、炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が挙げられ、該アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。
上記一般式(I)において、Rは、水素原子、メチル基又はヒドロキシル基である。該Rは、立体障害が小さいため、ゴム成分と無機充填剤とのカップリング反応の向上に大きく寄与する。
上記一般式(I)中のAは、上記一般式(II)又は式(III)で表わされことが好ましい。ここで、式(II)中のW、R、R及びRは上記と同義であり、式(II)及び式(III)中のRは、上記一般式(IV)又は式(V)或いは−M−C2l−で表わされ、式(III)中のRは、上記一般式(VI)又は式(VII)或いは−C2l−R12で表わされ、式(II)及び式(III)中のxは1〜10であり、好ましくは2〜4である。ここで、Mは−O−又は−CH−であり、lは0〜10である。なお、−C2l−については、上述の通りである。
上記式(IV)及び(V)において、Mは−O−又は−CH−であり、l及びmは0〜10である。また、上記式(IV)において、X及びYはそれぞれ独立して−O−、−NR−又は−CH−であり、R10は−OR、−NR又は−Rであり、ここで、Rは−C2n+1で、Rは−C2q+1である。更に、上記式(V)において、R11は、−NR−、−NR−NR−又は−N=N−であり、ここで、Rは−C2n+1である。なお、−C2n+1及び−C2q+1については、上述の通りである。
また、上記式(III)中のR9は、上記一般式(VI)又は式(VII)、或いは−C2l−R12で表わされ、特には−C2l+1で表わされることが好ましく、但し、M、X、Y、R10、R、l及びmは上記と同義である。ここで、R12は、−NR、−NR−NR、−N=NR又は−M−C2m+1或いは炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、但し、R、R、M、l及びmは上記と同義である。なお、−C2l−については、上述の通りであり、また、−C2m+1は、mが0〜10であるため、水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。また、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチレン基、トリレン基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられる。
上記式(I)の化合物において、Mは−O−(酸素)であることが好ましい。この場合、Mが−CH−である化合物と比べてシリカ等の無機充填剤との反応性が高い。
また、上記Wが−NR−で表わされる場合、上記R及びRはそれぞれ独立して−O−C2l−で表わされることが好ましく、上記Rは水素原子、メチル基又はヒドロキシル基であり、上記Rは−C2l−で表わされることが好ましく、上記Rは−C2l+1で表わされる直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
一方、上記Wが−O−又は−CR−で表わされる場合、上記R及びRはそれぞれ独立して−O−C2l−で表わされることが好ましく、上記Rは水素原子、メチル基又はヒドロキシル基であり、上記Rは−C2l−で表わされることが好ましく、上記Rは−C2l+1で表わされることが好ましい。
<<有機ケイ素化合物の合成方法>>
上記有機ケイ素化合物は、例えば、(C2l+1O)Si−A[式中、l、R及びAは上記と同義である]で表わされる化合物に対し、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等のアミン化合物を加え、更に触媒としてp−トルエンスルホン酸、塩酸等の酸や、チタンテトラn−ブトキシド等チタンアルコキシドを添加し、加熱して、2つのC2l+1O−を−R−W−R−で表わされる二価の基で置換することで合成できる。
<<有機ケイ素化合物の具体例>>
上記有機ケイ素化合物として、具体的には、3−オクタノイルチオ−プロピル(メチル)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン、ビス(3−(メチル)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクチル−プロピル)ジスルフィド、3−オクタノイルチオ−プロピル(ヒドロキシ)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン、ビス(3−(ヒドロキシ)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクチル−プロピル)ジスルフィド、3−オクタノイルチオ−プロピル(ヒドロ)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン、ビス(3−(ヒドロ)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクチル−プロピル)ジスルフィド、3−オクタノイルチオ−プロピル(メチル)1,3−ジオキサ−6−ブチルアザ−2−シラシクロオクタン、ビス(3−(メチル)1,3−ジオキサ−6−ブチルアザ−2−シラシクロオクチル−プロピル)ジスルフィド等が挙げられる。
<無機充填剤>
本発明に用いるゴム組成物に用いられる無機充填剤としては、シリカ及び一般式(IX)
nM・xSiOy・zHO ・・・(IX)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]
で表される無機充填剤からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
前記シリカは特に限定されないが、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、コロイダルシリカ等を使用することができ、これらは単独に又は混合して使用することができる。
前記一般式(I)で表わされる無機充填材は、具体的には、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al・HO)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)]、炭酸アルミニウム[Al(CO]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO・9HO)、チタン白(TiO)、チタン黒(TiO2n−1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al)、クレー(Al・2SiO)、カオリン(Al・2SiO・2HO)、パイロフィライト(Al・4SiO・HO)、ベントナイト(Al・4SiO・2HO)、ケイ酸アルミニウム(AlSiO、Al・3SiO・5HO等)、ケイ酸マグネシウム(MgSiO、MgSiO等)、ケイ酸カルシウム(Ca・SiO等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al・CaO・2SiO等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)・nHO]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが使用できる。また、一般式(I)で表される無機充填材としては、Mがアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及びアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一種のものが好ましい。
上述した無機充填剤の中でも、補強性の観点から、シリカ又は水酸化アルミニウムが好ましく、シリカが特に好ましい。無機充填剤がシリカの場合は、有機ケイ素化合物は、シリカ表面のシラノール基との親和力の高い官能基及び/又はケイ素原子(Si)との親和性が高い官能基を有するため、カップリング効率が大幅に向上して、ゴム組成物のヒステリシスロスを低下させ、耐摩耗性を向上させる効果が一層顕著になる。なお、水酸化アルミニウムとしては、ハイジライト(登録商標、昭和電工製)を用いることが好ましい。
上記シリカは、BET表面積が40〜350m/gであることが好ましい。シリカのBET表面積が40m/g以下の場合、該シリカの粒子径が大きすぎるために耐摩耗性が大きく低下してしまい、また、シリカのBET表面積が350m/g以上の場合、該シリカの粒子径が小さすぎるためにヒステリシスロスが大きく増加してしまう。
<ゴム組成物>
本発明に用いるゴム組成物は、上述したカーボンブラック含有ゴムウェットマスターバッチと、上述の有機ケイ素化合物と、上述の無機充填剤とを配合してなることを特徴とし、好ましくは、上述のゴムウェットマスターバッチのゴム成分100質量部に対して、上述の無機充填剤5〜140質量部を配合し、更に、上述の有機ケイ素化合物を、前記無機充填剤の配合量の1〜20質量%配合してなる。
ここで、無機充填剤の配合量が上記ゴム成分100質量部に対して5質量部未満では、ヒステリシスを低下させる効果が不充分であり、一方、140質量部を越えると、作業性が著しく悪化する。また、有機ケイ素化合物の含有量が無機充填剤の配合量の1質量%未満では、ゴム組成物のヒステリシスロスを低下させる効果、並びに耐摩耗性を向上させる効果が不十分であり、一方、20質量%を超えると、効果が飽和してしまう。
<<他のゴム成分>>
本発明に用いるゴム組成物においては、ゴム成分の全体に対してカーボンブラック含有ゴムウェットマスターバッチにおけるゴム成分を30質量%以上含むことが好ましい。上記ウェットマスターバッチに追加して用いられる他のゴム成分としては、通常の天然ゴム及びジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。なお、該ゴム成分は、上述の有機ケイ素化合物と反応するために、分子内に炭素−炭素二重結合を有することが好ましい。これらゴム成分は、一種単独で用いても、二種以上をブレンドして用いてもよい。
<<配合成分>>
本発明に用いるゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、上記ゴムウェットマスターバッチ、有機ケイ素化合物、無機充填剤の他に、ゴム業界で通常使用される配合剤、例えば、軟化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、亜鉛華、スコーチ防止剤、分散助剤、ステアリン酸等の通常ゴム業界で用いられる各種薬品を目的に応じて適宜配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、0.5〜5.0質量部がより好ましい。
本発明に用いるゴム組成物で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、NS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3.0質量部である。
また、本発明に用いるゴム組成物で使用できる軟化剤として用いるプロセス油としては、例えばパラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部以下であれば加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)を良好にすることができる。
更に、本発明に用いるゴム組成物で使用できる老化防止剤としては、例えば3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6C[N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン]、AW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物などを挙げることができる。その使用量は、ゴム分100質量部に対して、0.1〜6.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.3〜5.0質量部である。
<<ゴム組成物の調製、用途>>
本発明に用いるゴム組成物は、上述のカーボンブラック含有ゴムウェットマスターバッチ、上述の有機ケイ素化合物、上述の無機充填剤、及び所望により用いられる他のゴム成分や各種配合成分を配合して、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサーなどの混練り機を用いた混練り、熱入れ、押出等することによって製造することができる。
本発明に用いるゴム組成物は、タイヤ用ゴムとして使用され、例えばトレッドゴム、サイドゴム、プライコーティングゴム、ビードフィラーゴム、ベルトコーティングゴムなどあらゆるタイヤ部材に適用することができる。
<タイヤ>
また、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物を用いたことを特徴とし、上述のゴム組成物がトレッドに用いられていることが好ましい。本発明のタイヤは、転がり抵抗が大幅に低減され、耐摩耗性も大幅に向上しており、補強性などに優れている。なお、本発明のタイヤは、従来公知の構造で、特に限定はなく、通常の方法で製造できる。すなわち、ウェットマスターバッチと共に必要に応じて、上記のように、他のゴム成分や各種薬品を含有させたゴム組成物が未加硫の段階で、例えばタイヤトレッドに加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。また、本発明のタイヤが空気入りタイヤの場合、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
各実施例、比較例における各種測定は下記の方法により行った。
<未乾燥カーボンブラック造粒物>
(1)平均含水率
るつぼ中約1gサンプルについて、乾燥前及び105℃で5時間乾燥後の重量を測定し、以下の計算式に従って算出した。これを5回繰り返しその平均値を平均含水率とした。
含水率(%)=(乾燥前重量(g)−乾燥後重量(g))/乾燥前重量(g)×100
(2)加熱減量
通常の熱重量分析(TGA)を用い、窒素雰囲気下で昇温速度15℃/minにて150℃から900℃まで昇温したときの供試カーボンブラック質量の減少分を質量%で表した。
(3)トルエン着色透過度
トルエン着色透過度(%)は、JIS K6218:1997の第8項B法に記載の方法により測定され、純粋なトルエンとの百分率で表示される。
(4)平均直径
光学顕微鏡を用い倍率30倍にて1000個の粒子直径を測定し、その平均値を平均直径とした。
(5)平均硬さ
JIS K 6219−3に準拠して測定した。
<充填剤スラリー>
(6)スラリー液中の充填剤の粒度分布測定(体積平均粒径(mv)、90体積%累積粒径(D90))
レーザ回析型粒度分布計(MICROTRAC FRA型)を使用し、水溶媒(屈折率1.33)を用いて測定した。粒子屈折率(Particle refractive index)は全ての測定において1.57を用いた。また、充填剤の再凝集を防ぐため、分散後直ちに測定を行った。
(7)充填剤の24MDBP吸油量
ISO 6894に準拠して測定した。
(8)スラリー化エネルギー指数
スラリー化に要した電力量を測定し、後述するゴムウェットマスターバッチの製造例7を基準として指数化した。数値が小さいほどエネルギー消費量が小さく、好ましい。
<ゴム組成物>
(9)動的粘弾性
上島製作所製スペクトロメーター(動的粘弾性測定試験機)を用い、周波数52Hz、初期歪10%、測定温度60℃、動歪1%で、加硫ゴムのtanδを測定し、比較例1のtanδの値を100として指数表示し、た。指数値が小さい程、tanδが低く、ゴム組成物が低発熱性であることを示す。
(10)耐摩耗性試験
JIS K 6264−2:2005に準拠し、ランボーン型摩耗試験機を用いて、室温、スリップ率25%の条件で試験を行い、比較例1の摩耗量の逆数を100として指数表示した。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れることを示す。
<ゴムウェットマスターバッチの製造例1>
(1)カーボンブラックスラリー液の調製
水中に、平均含水率52質量%の湿式造粒後未乾燥状態のカーボンブラック(N220:平均直径1.7mm、平均硬さ21.5cN、カーボンブラックの製造時に湿式造粒機の出口より取り出したもの)をドライ換算で22.5質量部入れ、シルバーソン社製ハイシアーミキサーにて、4800rpmの回転速度で30分間スラリー化処理を行い、スラリー濃度約2.5質量%のカーボンブラック含有スラリーを作製した。なお、カーボンブラックスラリーの調製は、スラリー20kgスケールで実施した。ここで得られたスラリーのカーボンブラックの粒度分布は体積平均粒径mv=4.9μm、D90(90体積%粒径)=8.3μmであった。また、分散前のカーボンブラック(CB)の24M4DBP吸油量は99mL/100g、スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量は96mL/100gであり、DBP吸油量の保持率([スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量/分散前CBの24M4DBP吸油量]×100)は97%であった。さらに、スラリー化エネルギー指数は60であった。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で作製したカーボンブラック含有スラリー3kgと、10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを攪拌しながら混合したのち、これに蟻酸を添加してPH4.7に調整して凝固させた。次いで、この凝固物をこの凝固物を充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。その後、計量カップに60g(固形分30g)ずつ量り取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入して、ウェットマスターバッチを作製した。このウェットマスターバッチ中のカーボンブラックの含有量(質量%)を求めた。測定結果を表1に示す。
<ゴムウェットマスターバッチの製造例2>
(1)カーボンブラックスラリー液の調製
製造例1(1)において、スラリー化処理時間を20分間に変更した以外は製造例1(1)と同様にして、スラリー濃度約2.5質量%のカーボンブラック含有スラリーを作製した。ここで得られたスラリーのカーボンブラックの粒度分布は体積平均粒径mv=5.1μm、D90(90体積%粒径)=8.4μmであった。また、分散前のカーボンブラック(CB)の24M4DBP吸油量は99mL/100g、スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量は97mL/100gであり、DBP吸油量の保持率([スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量/分散前CBの24M4DBP吸油量]×100)は98%であった。さらに、スラリー化エネルギー指数は53であった。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で作製したカーボンブラック含有スラリー3kgを用い、製造例1(2)と同様にして、ウェットマスターバッチを製造し、評価を行った。その結果を表1に示す。
<ゴムウェットマスターバッチの製造例3>
(1)カーボンブラックスラリー液の調製
製造例1(1)において、スラリー化処理時間を15分間に変更した以外は製造例1(1)と同様にして、スラリー濃度約2.5質量%のカーボンブラック含有スラリーを作製した。ここで得られたスラリーのカーボンブラックの粒度分布は体積平均粒径mv=5.3μm、D90(90体積%粒径)=8.5μmであった。また、分散前のカーボンブラック(CB)の24M4DBP吸油量は99mL/100g、スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量は98mL/100gであり、DBP吸油量の保持率([スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量/分散前CBの24M4DBP吸油量]×100)は99%であった。さらに、スラリー化エネルギー指数は43であった。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で作製したカーボンブラック含有スラリー3kgを用い、製造例1(2)と同様にして、ウェットマスターバッチを製造し、評価を行った。その結果を表1に示す。
<ゴムウェットマスターバッチの製造例4>
(1)カーボンブラックスラリー液の調製
製造例1(1)において、未乾燥状態の熱重量分析(TGA)による150℃〜900℃までのカーボンブラックの加熱減量を1.1質量%に変更した以外は、製造例1(1)と同様にして、スラリー濃度約2.5質量%のカーボンブラック含有スラリーを作製した。ここで得られたスラリーのカーボンブラックの粒度分布は体積平均粒径mv=4.8μm、D90(90体積%粒径)=8.2μmであった。また、分散前のカーボンブラック(CB)の24M4DBP吸油量は98mL/100g、スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量は98mL/100gであり、DBP吸油量の保持率([スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量/分散前CBの24M4DBP吸油量]×100)は100%であった。さらに、スラリー化エネルギー指数は60であった。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で作製したカーボンブラック含有スラリー3kgを用い、製造例1(2)と同様にして、ウェットマスターバッチを製造し、評価を行った。その結果を表1に示す。
<ゴムウェットマスターバッチの製造例5>
(1)カーボンブラックスラリー液の調製
製造例1(1)において、未乾燥状態の熱重量分析(TGA)による150℃〜900℃までのカーボンブラックの加熱減量を1.4質量%に変更した以外は、製造例1(1)と同様にして、スラリー濃度約2.5質量%のカーボンブラック含有スラリーを作製した。ここで得られたスラリーのカーボンブラックの粒度分布は体積平均粒径mv=5.0μm、D90(90体積%粒径)=8.4μmであった。また、分散前のカーボンブラック(CB)の24M4DBP吸油量は99mL/100g、スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量は97mL/100gであり、DBP吸油量の保持率([スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量/分散前CBの24M4DBP吸油量]×100)は98%であった。さらに、スラリー化エネルギー指数は60であった。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で作製したカーボンブラック含有スラリー3kgを用い、製造例1(2)と同様にして、ウェットマスターバッチを製造し、評価を行った。その結果を表1に示す。
<ゴムウェットマスターバッチの製造例6>
(1)カーボンブラックスラリー液の調製
製造例1(1)において、未乾燥カーボンブラック造粒物の代わりに、フラッフィ状のカーボンブラック(N220:カーボンブラックの製造時、バグフィルタ後の粉砕機出口より取り出したもの)を用いた以外は、製造例1(1)と同様にして、スラリー濃度約2.5質量%のカーボンブラック含有スラリーを作製した。ここで得られたスラリーのカーボンブラックの粒度分布は体積平均粒径mv=5.6μm、D90(90体積%粒径)=8.7μmであった。また、分散前のカーボンブラック(CB)の24M4DBP吸油量は99mL/100g、スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量は98mL/100gであり、DBP吸油量の保持率([スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量/分散前CBの24M4DBP吸油量]×100)は99%であった。さらに、スラリー化エネルギー指数は56であった。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で作製したカーボンブラック含有スラリー3kgを用い、製造例1(2)と同様にして、ウェットマスターバッチを製造し、評価を行った。その結果を表1に示す。
<ゴムウェットマスターバッチの製造例7>
(1)カーボンブラックスラリー液の調製
製造例1(1)において、未乾燥カーボンブラック造粒物の代わりに、湿式造粒後乾燥したカーボンブラック(N220:平均直径1.0mm、平均硬さ7.7cN)を用いた以外は、製造例1(1)と同様にして、スラリー濃度約2.5質量%のカーボンブラック含有スラリーを作製した。ここで得られたスラリーのカーボンブラックの粒度分布は体積平均粒径mv=5.4μm、D90(90体積%粒径)=8.9μmであった。また、分散前のカーボンブラック(CB)の24M4DBP吸油量は99mL/100g、スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量は97mL/100gであり、DBP吸油量の保持率([スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量/分散前CBの24M4DBP吸油量]×100)は98%であった。さらに、スラリー化エネルギー指数は100であった。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で作製したカーボンブラック含有スラリー3kgを用い、製造例1(2)と同様にして、ウェットマスターバッチを製造し、評価を行った。その結果を表1に示す。
表1から分かるように、製造例1〜5のスラリーの調製においては、カーボンブラックの飛散がないなど、ハンドリング性がよく、マスターバッチにおけるカーボンブラックの収率が高い。これに対し、製造例6は、カーボンブラックの飛散が顕著であって、マスターバッチにおけるカーボンブラックの収率が低い。また、製造例7においても、カーボンブラックの若干の飛散が認められた。
<有機ケイ素化合物の製造例1>
500mLの4ツ口フラスコに、3−オクタノイルチオ−プロピルジエトキシメチルシラン60g、N−メチルジエタノールアミン20g(1.02eq)、チタンテトラ−n−ブトキシド0.8g、トルエン220mLを計量する。メカニカルスターラーで攪拌しながら、乾燥窒素を流しつつ(0.2L/min)フラスコをオイルバスで過熱し、ジムロートコンデンサーを取り付け、11時間還流を行った。その後、20hPa/40℃にてロータリーエバポレーターにより溶媒を除去、続いて、ロータリーポンプ(10Pa)とコールドトラップ(ドライアイス+エタノール)にて残存する揮発分を除去し、70gの黄色透明の液体[有機ケイ素化合物(C−1)]を得た。ガスクロマトグラフィー(GC)による分析結果で得られた液体は10%の原料と90%の目的物からなることを確認した。また、得られた液体を1H−NMRで分析したところ、1H−NMR(CDCl3, 700MHz, δ;ppm) = 3.8(m;4H), 2.8(t;2H), 2.5(m;6H), 2.4(m;3H), 1.6(m;4H), 1.3(m;8H), 0.8(t;3H), 0.7(t;2H), 0.1(s;3H)であり、式(I)で表わされ、Aが式(III)であり、Wが−N(CH)−で、Rが−O−CHCH−で(但し、O側がSiに連結)、Rが−O−CHCH−で(但し、O側がSiに連結)、Rが−CHで、Rが−CHCHCH−で、Rが−C15であり、xが1である化合物[即ち、3−オクタノイルチオ−プロピル(メチル)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン]であることが分かった。
<有機ケイ素化合物の製造例2>
500mLの4ツ口フラスコに、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド40g、N−メチルジエタノールアミン20g(1.02eq)、チタンテトラ−n−ブトキシド0.8g、トルエン220mLを計量する。メカニカルスターラーで攪拌しながら、乾燥窒素を流しつつ(0.2L/min)フラスコをオイルバスで過熱し、ジムロートコンデンサーを取り付け、11時間還流を行った。その後、20hPa/40℃にてロータリーエバポレーターにより溶媒を除去、続いて、ロータリーポンプ(10Pa)とコールドトラップ(ドライアイス+エタノール)にて残存する揮発分を除去し、50gの黄色透明の液体[有機ケイ素化合物(C−2)]を得た。ガスクロマトグラフィー(GC)による分析結果で得られた液体は10%の原料と90%の目的物からなることを確認した。また、得られた液体をH−NMRで分析したところ、1H−NMR(CDCl3, 700MHz, δ;ppm) = 3.8(m;8H), 2.7(t;4H), 2.5(m;8H), 2.4(m;6H), 1.8(m;4H), 0.7(t;4H), 0.1(s;6H)であり、式(I)で表わされ、Aが式(II)であり、Wが−N(CH3)−で、Rが−O−CHCH−で(但し、O側がSiに連結)、Rが−O−CHCH−で(但し、O側がSiに連結)、Rが−CHで、Rが−CHCHCH−で、xが2である化合物[即ち、ビス(3−(メチル)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクチル−プロピル)ジスルフィド]であることが分かった。
<有機ケイ素化合物の製造例3>
500 mLの四つ口ナスフラスコに、窒素雰囲気下3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン 18.0g、N-メチルジエタノールアミン 11.9g、チタンテトラn-ブトキシド0.05gをキシレン200 mL中に溶解した。150℃まで昇温し、6時間攪拌した。その後、20 hPa/40℃にてロータリーエバポレーターにより溶媒を除去し、続いて、ロータリーポンプ(10 Pa)とコールドトラップ(ドライアイス+エタノール)にて残存する揮発分を除去し、下記化学式:
で表わされる3−メルカプトプロピル(メチル)1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン[有機ケイ素化合物(C−3)]21.5gを得た。生成物の1H−NMRでの分析結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3, 700MHz, δ;ppm)= 3.7(m;4H), 2.6(t;4H), 2.5(m;2H), 2.4(s;3H), 1.6(m;2H), 0.6(t;2H), 0.1(s;3H)
<ゴム組成物の調製>
ウェットマスターバッチの製造例1〜7を用い、バンバリーミキサーを使用し、表2〜5に示す配合組成の実施例1〜15、比較例5〜17のゴム組成物を調製した。また、比較例1〜4は、マスターバッチを用いず、表2に示す配合組成の各成分をバンバリーミキサーで混練して、ゴム組成物を調製した。次に、各ゴム組成物を150℃で30分間加硫処理して、試験用サンプルを作製し、加硫ゴム物性を評価した。結果を表2〜5に示す。
*1 旭カーボン製, #80
*2 日本シリカ工業(株)製, ニップシールAQ, BET表面積=220m/g
*3 ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド
*4 N−(1.3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
*5 三新化学工業製, サンセラーD
*6 三新化学工業製, サンセラーDM
*7 三新化学工業製, サンセラーNS
表2〜5から、湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラックを含有するゴムウェットマスターバッチを用い、従来のシランカップリング剤に代えて、上記有機ケイ素化合物を配合することで、ゴム組成物のtanδを大幅に低減、即ち、ヒステリシスロスを大幅に低減して、低発熱性にしつつ、耐摩耗性を大幅に改善できることが分かる。一方、有機ケイ素化合物を配合したが、ゴムウェットマスターバッチを用いなかった比較例2〜4、及び前記未乾燥カーボンブラック造粒物を含有するゴムウェットマスターバッチと従来のシランカップリング剤を配合した比較例5〜9は、実施例よりも低発熱性及び耐摩耗性の向上効果が小さかった。また、未乾燥カーボンブラック造粒物の代わりに、フラッフィ状のカーボンブラックを含有するゴムウェットマスターバッチを配合した比較例10〜13、湿式造粒後乾燥したカーボンブラックを含有するゴムウェットマスターバッチを配合した比較例14〜17では、低発熱性の向上が見られるものの、耐摩耗性は劣化するか、向上しないか、又は向上するものの、その向上効果が実施例よりも小さかった。

Claims (25)

  1. 湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を含む充填剤を分散させてなるスラリーとゴム成分を分散又は溶解させてなるゴム液とを混合する工程を有する方法により製造されたゴムウェットマスターバッチと、分子内に、窒素原子(N)及びケイ素原子(Si)を含む環状構造と、一つ以上の硫黄原子(S)とを有し、且つ立体障害の小さな基が一つ以上ケイ素原子(Si)に結合している部位を有する有機ケイ素化合物と、無機充填剤とを配合してなるゴム組成物を用いたタイヤ。
  2. 前記未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の含水率が30〜70質量%であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  3. 前記未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の直径が0.1〜10mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  4. 前記未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の硬さが1.0〜100cNであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  5. 前記未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の熱重量分析(TGA)による150℃〜900℃までのカーボンブラックの加熱減量が0.87〜1.5質量%であり、かつトルエン着色透過度が90%以上でであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  6. 前記スラリー中の充填剤の粒度分布が、体積平均粒径(mv)25μm以下で、90%体積%粒径(D90)30μm以下であり、かつ当該スラリーから回収した乾燥充填剤の24M4DBP吸油量が、分散媒に分散させる前の乾燥状態の充填剤の24M4DBP吸油量の93%以上を保持することを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  7. 前記スラリーの分散媒が水であることを特徴とする請求項1又は6に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  8. 前記スラリーが、前記未乾燥状態のカーボンブラック造粒物と、前記無機充填剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  9. 前記ゴム液におけるゴム成分が天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムであることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  10. 前記ゴム液が天然ゴムラテックス及び/又はジエン系合成ゴムラテックスであることを特徴とする請求項9記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  11. 前記ゴムウェットマスターバッチを製造する方法が、(a)スラリーとゴム液とを混合する工程、(b)得られた混合液を化学的及び/又は物理的に凝固処理し、生成した凝固物を取り出す工程を有することを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  12. 前記ゴムウェットマスターバッチを製造する方法が、さらに、(c)取り出された凝固物を乾燥処理する工程を有することを特徴とする請求項11に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  13. 前記ゴムウェットマスターバッチが、老化防止、可塑化、しゃっ解、加工性改良、分散改良、カップリング、架橋速度調整又は架橋密度調製のうち、少なくとも一種の効果を有するゴム用添加剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  14. 前記有機ケイ素化合物において、前記立体障害の小さな基が、水素原子、メチル基及びヒドロキシル基からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  15. 前記有機ケイ素化合物が、下記一般式(I):
    [式中、Aは硫黄原子を含み且つゴム成分と反応する基であり、
    Wは−NR4−、−O−又は−CR45−(ここで、R5は−R6又は−Cm2m−R7であり、但し、R7は−NR46、−NR4−NR46又は−N=NR4であり、R4は−Cn2n+1で、R6は−Cq2q+1で、m、n及びqはそれぞれ独立して0〜10である)で表わされ、
    1及びR2はそれぞれ独立して−M−Cl2l−(ここで、Mは−O−又は−CH2−で、lは0〜10である)で表わされ、但し、R1及びR2の一つ以上は、Mが−O−であり、
    3は水素原子、メチル基又はヒドロキシル基である]で表わされることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  16. 前記硫黄原子を含み且つゴム成分と反応する基が、ポリサルファイド基、チオエステル基、チオール基、ジチオカーボネート基、ジチオアセタール基、ヘミチオアセタール基、ビニルチオ基、α−チオカルボニル基、β−チオカルボニル基、S−CO−CH2−O部分、S−CO−CO部分、及びS−CH2−Si部分からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項15に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  17. 前記硫黄原子を含み且つポリマーと反応する基が、ポリサルファイド基及びチオエステル基の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項16に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  18. 前記一般式(I)中のAが、下記一般式(II)又は式(III):
    [式(II)中のW、R1、R2及びR3は上記と同義であり、
    式(II)及び式(III)中のR8は、下記一般式(IV)又は式(V):
    (式中、M、l及びmは上記と同義であり、X及びYはそれぞれ独立して−O−、−NR4−又は−CH2−で、R10は−OR4、−NR46又は−R4で、R11は−NR4−、−NR4−NR4−又は−N=N−であり、但し、R4及びR6は上記と同義である)或いは−M−Cl2l−(ここで、M及びlは上記と同義である)で表わされ、
    式(III)中のR9は下記一般式(VI)又は式(VII):
    (式中、M、X、Y、R10、R7、l及びmは上記と同義である)或いは−Cl2l−R12(ここで、R12は−NR46、−NR4−NR46、−N=NR4又は−M−Cm2m+1或いは炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、但し、R4、R6、M、l及びmは上記と同義である)で表わされ、
    式(II)及び式(III)中のxは1〜10である]で表わされることを特徴とする請求項15に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  19. 前記Mが−O−であることを特徴とする請求項15又は18に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  20. 前記Wが−NR4−(ここで、R4は上記と同義である)で表わされ、
    前記R1及びR2がそれぞれ独立して−O−Cl2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
    前記R3が水素原子、メチル基又はヒドロキシル基であって、
    前記R8が−Cl2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
    前記R9が−Cl2l+1(ここで、lは上記と同義である)で表わされる直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であることを特徴とする請求項18又は19に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  21. 前記Wが−O−又は−CR46−(ここで、R4及びR6は上記と同義である)で表わされ、
    前記R1及びR2がそれぞれ独立して−O−Cl2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
    前記R3が水素原子、メチル基又はヒドロキシル基であって、
    前記R8が−Cl2l−(ここで、lは上記と同義である)で表わされ、
    前記R9が−Cl2l+1(ここで、lは上記と同義である)で表わされることを特徴とする請求項18又は19に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  22. 前記無機充填剤が、シリカ及び一般式(IX)
    nM・xSiO・zHO ・・・(IX)
    [式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムからなる群より選択される金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩からなる群より選択される少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
    で表される無機充填剤からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1又は8記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  23. 前記無機充填剤がシリカ又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項22に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  24. 前記シリカのBET表面積が40〜350m/gであることを特徴とする請求項22又は23に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  25. 前記ゴム成分100質量部に対して、前記無機充填剤5〜140質量部を配合してなり、
    更に、前記有機ケイ素化合物を、前記無機充填剤の配合量の1〜20質量%含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109400998A (zh) * 2018-11-07 2019-03-01 益凯新材料有限公司 一种合成橡胶湿法混炼工艺

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