JP2012061745A - 発泡積層シート - Google Patents

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Abstract

【課題】熱分解型発泡剤を含有する発泡剤含有樹脂層を形成し、更に発泡剤含有樹脂層を発泡させて発泡樹脂層を形成することにより得られる発泡積層シートであって、発泡後の発泡樹脂層の経時変色が低減された発泡積層シートを提供する。
【解決手段】基材1上に少なくとも発泡樹脂層3を有する発泡積層シートであって、(1)前記発泡樹脂層3は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成され、(2)前記発泡剤含有樹脂層は、ポリエチレン及びエチレン−αオレフィン共重合体、アゾ系熱分解型発泡剤、並びにペンタエリスリトールを含有する樹脂組成物を製膜することにより形成される、ことを特徴とする発泡積層シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、発泡後の発泡樹脂層の変色が低減された発泡積層シートに関する。
従来、発泡積層シート(発泡化粧シート)としては、基材(例えば、裏打紙)に塩化ビニル樹脂の発泡樹脂層を形成したものが知られている。近年では、環境に配慮して、発泡樹脂層には、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−αオレフィン共重合体などのハロゲンを含有しない樹脂が用いられてきている(特許文献1〜3等)。特に、ポリエチレン及びエチレン−αオレフィン共重合体の混合樹脂は、カール性に優れ、発泡層強度に優れる。
このような発泡積層シートは、例えば、発泡剤含有樹脂層及び非発泡樹脂層を同時溶融押出しにより基材上に積層後、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより作製する。発泡剤としては、発生ガス量が多く、発泡温度をコントロールしやすい等の理由からアゾ系熱分解型発泡剤が使用される。
しかしながら、前記アゾ系熱分解型発泡剤は元々黄色であって、発泡時には分解して、本来無色となるものであるが、発泡残渣により黄色が発泡樹脂層に残るという問題がある。また、上記黄色は製品を使用する過程で、紫外線などの照射により白色に変化するという問題がある。
従って、発泡後の発泡樹脂層の変色が低減された発泡積層シートの開発が望まれている。
特開平6−47875号公報 特開2000−255011号公報 特開2001−347611号公報
本発明は、アゾ系熱分解型発泡剤を含有する発泡剤含有樹脂層を形成し、更に発泡剤含有樹脂層を発泡させて発泡樹脂層を形成することにより得られる発泡積層シートであって、発泡後の発泡樹脂層の変色が低減された発泡積層シートを提供する。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、発泡剤含有樹脂層に特定の化合物を含む場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の発泡積層シートに関する。
1. 基材上に少なくとも発泡樹脂層を有する発泡積層シートであって、
(1)前記発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成され、
(2)前記発泡剤含有樹脂層は、ポリエチレン及びエチレン−αオレフィン共重合体、アゾ系熱分解型発泡剤、並びにペンタエリスリトールを含有する樹脂組成物を製膜することにより形成される、
ことを特徴とする発泡積層シート。
2. 前記発泡剤含有樹脂層は、金属系化合物からなる発泡助剤を含有する、上記項1に記載の発泡積層シート。
3. 発泡樹脂層のおもて面に更に、(メタ)アクリル酸を共重合体成分として有しないエチレン系重合体又は共重合体からなる非発泡樹脂層Aが形成される、上記項1又は2に記載の発泡積層シート。
4. 前記非発泡樹脂層Aは、ポリエチレン、炭素数が4以上のαオレフィンの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分を含有する、上記項3に記載の発泡積層シート。
5. 前記発泡剤含有樹脂層を構成する樹脂組成物は、樹脂成分100重量部に対して、ペンタエリスリトールを0.01〜10重量部含有する、上記項1〜4のいずれかに記載の発泡積層シート。
6. 前記アゾ系熱分解型発泡剤が、アゾジカルボンアミドである上記項1〜5のいずれかに記載の発泡積層シート。
7. 基材と発泡樹脂層との間に更に非発泡樹脂層Bが形成されている、上記項1〜6のいずれかに記載の発泡積層シート。
8. 発泡積層シートの最表面層の上からエンボス加工が施されている、上記項1〜7のいずれかに記載の発泡積層シート。
9. 前記基材が繊維質シートからなる上記項1〜8のいずれかに記載の発泡積層シート。
以下、本発明の発泡積層シートについて詳細に説明する。
1.発泡積層シート
本発明の発泡積層シートは、基材上に少なくとも発泡樹脂層を有する発泡積層シートであって、
(1)前記発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成され、
(2)前記発泡剤含有樹脂層は、ポリエチレン及びエチレン−αオレフィン共重合体、アゾ系熱分解型発泡剤、並びにペンタエリスリトールを含有する樹脂組成物を製膜することにより形成されることを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の発泡積層シートは、発泡剤含有樹脂層に添加剤としてペンタエリスリトールを使用する。そのため、本発明の発泡積層シートは、発泡後の発泡樹脂層の変色が低減される。
基材
基材は、積層シート基材として適した機械強度、耐熱性等を有する限り特に限定されず、例えば、樹脂シート、繊維質シート(例えば、紙、不織布等。単に繊維質ともいう。)などが一般に使用できる。
上記の中でも紙等の繊維質シートが好ましく、具体的には、難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの)、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙、上質紙、薄用紙などが挙げられる。
基材の坪量は限定的ではないが、50〜300g/m程度が好ましく、50〜80g/m程度がより好ましい。
非発泡樹脂層B
本発明では、必要に応じて基材と発泡樹脂層との間に非発泡樹脂層(非発泡樹脂層B)が形成されていてもよい。特に、非発泡樹脂層Bが接着剤層として形成される場合は、基材と発泡樹脂層との優れた密着性が得られる。
非発泡樹脂層Bとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等を好適に用いることができる。非発泡樹脂層Bは樹脂成分以外に公知の添加剤を含んでもよいが、樹脂成分の含有量が70〜100重量%となるように配合することが好ましい。
非発泡樹脂層Bの厚みは限定的ではないが、5〜50μm程度が好ましく、特に8〜20μm程度がより好ましい。
発泡樹脂層
発泡樹脂層は、一般に発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成される。
(樹脂成分)
発泡剤含有樹脂層の樹脂成分として、ポリエチレン及びエチレン−αオレフィン共重合体を必須成分とする。各成分の混合割合は限定的ではないが、例えば、ポリエチレン100重量部に対してエチレン−αオレフィン共重合体を1〜150重量部含有することが好ましく、10〜100重量部含有することがより好ましい。ポリエチレン及びエチレン−αオレフィン共重合体は、MFRが10〜40g/10minであることが好ましい。ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体のMFRが上記範囲内であると、発泡剤を含有した樹脂組成物の押し出し製膜時の温度上昇が少なく、非発泡状態で製膜できるため、後工程の印刷工程において、平滑な面に印刷処理をすることができ、柄抜け等が少ない、意匠性に優れた印刷物を得ることができる。MFRが大きすぎる場合は、樹脂が軟らかすぎることにより、形成される発泡体の耐スクラッチ性が不十分となるおそれがある。
発泡剤含有樹脂層の樹脂成分には、上記ポリエチレン及びエチレン−αオレフィン共重合体以外に他の樹脂を含有することもできる。例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)などのポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、ナイロン、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂単体及び共重合体、あるいは、これらの混合樹脂を挙げることができる。これらの樹脂を添加する場合には、発泡剤含有樹脂層の樹脂成分中におけるポリエチレン及びエチレン−αオレフィン共重合体の含有量(2成分の合算量)が60重量%以上、好ましくは70重量%以上となるように設定することが好ましい。
なお、本明細書のMFRは、JIS K 7210(熱可塑性プラスチックの流れ試験方法)記載の試験方法により測定した値である。試験条件は、JIS K 6760記載の「190℃、21.18N(2.16kgf)」を採用したものである。
発泡樹脂層の発泡状態(例えば、発泡セルの大きさ、発泡セル密度等)は限定されず、発泡積層シートの種類、用途等に応じて適宜設計することができる。
本発明では、少なくともポリエチレン及びエチレン−αオレフィン共重合体、アゾ系熱分解型発泡剤、並びにペンタエリスリトールを含む樹脂組成物によって発泡剤含有樹脂層を形成する。その他、発泡助剤、無機充填剤、顔料、安定剤、滑剤等を適宜使用することができる。
(発泡剤)
本発明の発泡剤含有樹脂層は、発泡剤として、少なくともアゾ系熱分解型発泡剤を含有する。例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系熱分解型発泡剤が挙げられる。なかでも、樹脂加工中の耐熱安定性、発泡時における発生ガス量の観点から、アゾジカルボンアミドが好ましい。アゾ系熱分解型発泡剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アゾ系熱分解型発泡剤の含有量は、発泡剤の種類、発泡倍率等に応じて適宜設定できる。発泡倍率の観点からは、1.5倍以上、好ましくは3〜7倍程度であり、熱分解型発泡剤は、樹脂成分100重量部に対して、1〜20重量部程度とすることが好ましい。
本発明の発泡剤には、前記アゾ系熱分解型発泡剤以外に、必要に応じて他の熱分解型発泡剤を併用してもよい。例えば、オキシベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド等のヒドラジド系熱分解型発泡剤;などが挙げられる。前記他の熱分解型発泡剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。前記他の熱分解型発泡剤の含有量は、通常、全熱分解型発泡剤中、0.5〜30重量%程度である。
(ペンタエリスリトール)
本発明では、発泡剤含有樹脂層にペンタエリスリトールを含有する。ペンタエリスリトールを含有することによって、アゾ系熱分解型発泡剤によって発生する発泡後の発泡樹脂層の黄変色が低減され、さらに経時変色が低減された発泡積層シートを提供することができる。ペンタエリスリトールの含有量は、樹脂組成物に含まれる樹脂成分100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、0.05〜3重量部がより好ましい。
(発泡助剤)
本発明では、必要に応じて、発泡助剤を使用することができる。発泡助剤としては、特に限定されないが、発泡剤としてアゾ系熱分解型発泡剤を使用する場合には、金属系化合物からなる発泡助剤が好適に使用される。金属系化合物からなる発泡助剤として、亜鉛系発泡助剤を使用する場合、上記アゾ系熱分解型発泡剤の発泡温度の低下に寄与し、発泡温度を有意に低減することができる。このことは、発泡積層シートの生産性向上に寄与する。
亜鉛系発泡助剤としては、金属安定剤、亜鉛の水酸化物、炭酸塩、塩基性炭酸塩、硫酸塩、亜鉛の水酸化物、炭酸塩、塩基性炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、亜燐酸塩、カルボン酸塩等を使用することができる。上記金属安定剤としては、例えば、バリウム−亜鉛(Ba−Zn)系、カルシウム−亜鉛(Ca−Zn)系、マグネシウム−亜鉛(Mg−Zn)系等が挙げられる。上記カルボン酸塩としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、ネオデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ベヘニン酸等の脂肪族酸や、安息香酸、p−第三ブチル安息香酸、トルイル酸、サリチル酸、ナフテン酸等の芳香族酸等が挙げられる。なお、これらのカルボン酸を用いた亜鉛のカルボン酸塩は正塩、酸性塩、塩基性塩のいずれの形態であってもよい。
発泡助剤は、上記亜鉛系以外の発泡助剤を使用してもよい。例えば、酸化カルシウム、酸化アルミニウムなどの金属酸化物;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸アルミニウムなどの脂肪族塩等が挙げられる。
なお、発泡助剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(無機充填剤)
本発明では、必要に応じて、発泡剤含有樹脂層に無機充填剤を含有しても良い。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物等が挙げられる。無機充填剤を含むことにより、目透き抑制効果、表面特性向上効果等が得られる。無機充填剤の含有量は、樹脂成分100重量部に対して0〜100重量部程度が好ましく、20〜70重量部程度がより好ましい。なお、無機充填剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(顔料)
本発明では、必要に応じて、発泡剤含有樹脂層に顔料を含有しても良い。顔料については、例えば酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム、コバルトグリーン、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン、硫化亜鉛等の無機顔料;例えば、アニリンブラック、ペリレンブラック、アゾ系(アゾレーキ、不溶性アゾ、縮合アゾ)、多環式(イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ジブロムアンザントロン、ジオキサジン、チオインジゴ、フタロシアニン、インダントロン、ハロゲン化フタロシアニン)等の有機顔料が挙げられる。顔料の含有量は、樹脂成分100重量部に対して10〜50重量部程度が好ましく、15〜30重量部程度がより好ましい。なお、顔料は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
発泡剤含有樹脂層を発泡させる方法としては、後記の製造方法に記載された方法に従って実施すれば良い。
非発泡樹脂層A
発泡樹脂層のおもて面には、必要に応じて、非発泡樹脂層(非発泡樹脂層A)を形成することができる。
非発泡樹脂層Aは、主として発泡樹脂層を保護するものである。本発明では、非発泡樹脂層Aの樹脂成分に関して、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸を共重合体成分として有しないエチレン系重合体又は共重合体を、樹脂成分として含む樹脂組成物により形成された層を非発泡樹脂層とすることが好ましい。発泡樹脂層中に金属系化合物からなる発泡助剤が含まれている場合、非発泡樹脂層Aに(メタ)アクリル酸を共重合成分として含むと、(メタ)アクリル酸と発泡助剤中の金属イオンとが反応し樹脂層を変色させる問題がある。そのため、発泡樹脂層中に金属系化合物からなる発泡助剤が含まれている場合には、非発泡樹脂層Aに(メタ)アクリル酸を共重合成分として含まないようにすることによって、発泡後の変色が抑えられ、経時変色がより低減した発泡積層シートを提供することができる。
前記樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、炭素数が4以上のαオレフィンの共重合体(線状低密度ポリエチレン)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種を樹脂成分として好適に用いることができる。特に、ポリエチレンであることが好ましい。このような樹脂も市販品を使用することができる。前記樹脂組成物には、公知の添加剤を配合することもできる。
非発泡樹脂層の厚みは限定的ではないが、5〜50μm程度が好ましく、特に8〜20μm程度がより好ましい。
また、樹脂組成物中の前記樹脂成分の含有量は限定的ではないが、通常70〜100重量%の範囲内で適宜設定することが好ましい。
絵柄模様層
本発明では、非発泡樹脂層Aのおもて面に必要に応じて絵柄模様層を有してもよい。
絵柄模様層は、発泡積層シートに意匠性を付与する。絵柄模様としては、例えば木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。絵柄模様は、発泡積層シートの種類に応じて選択できる。
絵柄模様層は、例えば、非発泡樹脂層Aのおもて面に絵柄模様を印刷することで形成できる。なお、絵柄模様層を形成する際には、必要に応じてあらかじめプライマー層を形成しても良い。印刷手法としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。印刷インキとしては、着色剤、結着材樹脂、溶剤(又は分散媒)を含む印刷インキが使用できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用しても良い。
着色剤としては、例えば、前記の発泡剤含有樹脂層で使用されるような顔料を適宜使用することができる。
結着材樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水などが挙げられる。
絵柄模様層の厚みは、絵柄模様の種類より異なるが、一般には0.1〜10μm程度とすることが好ましい。
表面保護層(オーバーコート層)
本発明では、絵柄模様層の表面に艶調整及び/又は絵柄模様層の保護を意図して表面保護層を有してもよい。表面保護層の種類は限定的ではない。艶調整を目的とする表面保護層であれば、例えば、シリカなどの既知フィラーを含む表面保護層がある。表面保護層の形成方法としては、グラビア印刷などの公知の方法が採用できる。なお、絵柄模様層と表面保護層との密着性が十分に得られない場合には、絵柄模様層の表面を易接着処理(プライマー処理)した後に表面保護層を設けることもできる。
発泡積層シートの表面強度(耐スクラッチ性など)、耐汚染性、絵柄模様層の保護等を目的として表面保護層を形成する場合には、電離放射線硬化型樹脂を樹脂成分として含有するものが好適である。電離放射線硬化型樹脂としては、電子線照射によってラジカル重合(硬化)するものが好ましい。
表面保護層の厚みは限定的ではないが、0.1〜15μm程度が好ましい。
エンボス
本発明では、適宜エンボス模様を付してもよい。この場合、発泡積層シートの最表面層(基材と反対側)の上からエンボス加工すれば良い。エンボス加工は、エンボス版の押圧等、公知の手段により実施することができる。例えば、最表面層が表面保護層である場合は、そのおもて面を加熱軟化後、エンボス版を押圧することにより所望のエンボス模様を賦型できる。エンボス模様としては、例えば木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
2.発泡積層シートの製造方法
発泡積層シートの製造方法は特に限定されない。例えば、基材上に発泡樹脂層と非発泡樹脂層Aとを有する発泡積層シートは、基材上に発泡剤含有樹脂層と非発泡樹脂層Aとを同時溶融押出しにより製膜後、加熱により発泡剤含有樹脂層を発泡樹脂層とすることにより得られる。
同時溶融押出しには、複数層の同時成膜が可能なマルチマニホールドタイプのTダイを用いることができる。この場合、発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物及び非発泡樹脂層を形成するための樹脂組成物をそれぞれ別個のシリンダー中に入れ、多種多層を同時に押出し成膜・積層すればよい。なお、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に無機充填剤が含まれる場合であって、発泡剤含有樹脂層を押出し成形により形成する場合には、押出し成形機の押出し口(いわゆるダイス)に無機充填剤の残渣(いわゆる目やに)が発生し易く、これがシート表面の異物となり易い。そのため、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に無機充填剤が含まれる場合には、上記非発泡樹脂層A及び非発泡樹脂層Bを、発泡剤含有樹脂層とともに同時押出し成形することが好ましい。このように発泡剤含有樹脂層を非発泡樹脂層によって挟み込んだ態様で同時押出し成形することにより、前記目やにの発生を抑制することができる。この方法では、同時押出し積層体は、基材上に同時積層(成膜)する。基材上に押出しと同時に積層された樹脂層は、熱溶融により接着性を有するため基材と接着される。
なお、予め多層を同時成膜した積層体を用意して、それを基材上に載せて、熱ラミネートすることにより基材と接着してもよい。
基材上に同時積層後は、発泡剤含有樹脂層を加熱することにより発泡樹脂層を形成する。加熱条件は、発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件ならば限定されない。加熱温度は200〜220℃程度、加熱時間は30〜45秒程度である。
前記加熱処理の前に、電子線照射を行ってもよい。これにより樹脂成分を架橋できるため、発泡積層シートの表面強度、発泡程度等を制御することができる。電子線のエネルギーは、150〜250kV程度が好ましい。照射量は、1〜7Mrad程度が好ましい。電子線源としては、公知の電子線照射装置が使用できる。
樹脂成分の架橋は、化学架橋剤(架橋剤又は架橋助剤ともいう。)を用いて実施することもできる。例えば、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の多官能性モノマー、オリゴマーなどが挙げられる。架橋剤は、樹脂成分100重量部に対して0〜10重量部程度とすることが好ましく、1〜4重量部とすることがより好ましい。なお、電子線照射と前記架橋剤を併用することにより、電子線照射による架橋を促進させることも可能である。
電離放射線硬化型樹脂を含有する表面保護層を形成した場合には、電子線照射によって表面保護層を硬化させることができる。このような電子線照射は、発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂を架橋させるために行う電子線照射と同時(同処理)とできる。つまり、発泡剤含有樹脂層、非発泡樹脂層、絵柄模様層及び電離放射線硬化型樹脂を含有する表面保護層を順に形成後、電子線照射を行って、発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂を架橋するとともに表面保護層に含まれる樹脂を硬化させることができる。
絵柄模様層を有する発泡積層シートを製造する場合には、上記加熱処理前に非発泡樹脂層の表面に絵柄模様層を形成することが好ましい。絵柄模様層の形成方法は、前記の通りとすれば良い。
発泡積層シートは、発泡壁紙、ラミネート化粧板用表皮材、クッション性床材、断熱化粧材等を用途として使用することができる。
本発明の発泡積層シートは、発泡剤含有樹脂層に添加剤としてペンタエリスリトールを使用する。そのため、本発明の発泡積層シートは、発泡後の発泡樹脂層の変色が低減される。
本発明の発泡積層シートの層構成を例示する模式図である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
3種3層マルチマニホールドTダイ押出し機を用いて、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bの順に厚み10μm/60μm/10μmになるように裏打紙に押出し製膜した。これにより、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層B/裏打紙からなる積層体を得た。
裏打紙としては、「WK−665DO((株)興人製)」を用意し、これを90℃に加熱した後、上記3層を押出し製膜した。
押出し条件は、非発泡樹脂層Aを形成するための樹脂を収容したシリンダー温度は115℃とし、発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物を収容したシリンダー温度は110℃とし、非発泡樹脂層Bを形成するための樹脂を収容したシリンダー温度は100℃とした。また、ダイス温度はいずれも110℃とした。
上記積層体に対して、非発泡樹脂層Aの側から電子線(200KV,30kGy)を照射して、特に発泡剤含有樹脂層と非発泡樹脂層Aとを樹脂架橋した。また、非発泡樹脂層A上にコロナ放電処理を行った。更に水性インキ「ハイドリック」(大日精化工業(株)製)により布目絵柄を印刷した。
次に、布目絵柄を印刷した積層体をギアオーブンで加熱(220℃で35秒)し、発泡剤含有樹脂層を発泡させた。
最後に、上記発泡体に対して布目パターンの凹凸エンボスを施して発泡積層シートを得た。
各層は、それぞれ以下の成分を用いて形成した。
非発泡樹脂層Aは、ポリエチレン樹脂「ペトロセン350、東ソー(株)製」により形成した。
発泡剤含有樹脂層は、
ポリエチレン樹脂「ペトロセン208、東ソー(株)製」50重量部、エチレン−αオレフィン共重合樹脂「LUMITAC54−1、東ソー(株)製」50重量部、二酸化チタン「タイペークCR−63、石原産業(株)製」30重量部、ADCA発泡剤「ユニフォームウルトラAZ3050I、大塚化学(株)製」6重量部、発泡助剤「MFX50J−3、大協化成工業(株)製」5.3重量部及びペンタエリスリトール0.4重量部からなる樹脂組成物により形成した。
非発泡樹脂層Bは、EVA「エバフレックスEV150、三井・デュポン ポリケミカル(株)製」により形成した。
実施例2
非発泡樹脂層Aをポリエチレン樹脂「ペトロセン349、東ソー(株)製」とした以外は、実施例1と同様にして発泡積層シートを得た。
比較例1
非発泡樹脂層AをEMAA樹脂「N1035、三井・デュポン ポリケミカル(株)製」とし、発泡剤含有樹脂層にペンタエリスリトールを使用しない以外は、実施例1と同様にして発泡積層シートを得た。
比較例2
非発泡樹脂層Aをポリエチレン樹脂「ペトロセン349、東ソー(株)製」とし、発泡剤含有樹脂層にペンタエリスリトールを使用しない以外は、実施例1と同様にして発泡積層シートを得た。
試験例1
実施例及び比較例で作製した発泡積層シートに関して、1)発泡積層シートの発泡による黄変色、2)発泡積層シートの耐候変色を評価した。結果を下記表1に示す。
1)発泡積層シートの発泡による黄変色は次の基準で評価した。即ち、発泡前後の発泡積層シート表面の色差を測色装置「色彩色差計CR−300、コニカミノルタ(株)製」により発泡樹脂層を測色した。
2)耐候変色は次の基準で評価した。先ず、フェードメーター「紫外線フェードメーターU48AU、スガ試験機(株)製」により加速試験(40時間)を行った。次に発泡積層シート表面の耐候試験前後の色差を測色装置「色彩色差計CR−300、コニカミノルタ製」により測定した。変色の程度は、(△Eが)△E≦1.9のものを○、△E>1.9のものを×として評価した。
Figure 2012061745
表1から明らかなように、発泡剤含有樹脂層中にペンタエリスリトールが存在すると、b値が低減、すなわち発泡後の黄変色が低減され、耐候変色を低減することができる。
これは発泡助剤の添加成分であるペンタエリスリトールにより、発泡後の黄変色が低減され、経時変色の低減に効果を発揮しているためである。
1.裏打紙
2.非発泡樹脂層B
3.発泡樹脂層
4.非発泡樹脂層A
5.絵柄模様層

Claims (9)

  1. 基材上に少なくとも発泡樹脂層を有する発泡積層シートであって、
    (1)前記発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成され、
    (2)前記発泡剤含有樹脂層は、ポリエチレン及びエチレン−αオレフィン共重合体、アゾ系熱分解型発泡剤、並びにペンタエリスリトールを含有する樹脂組成物を製膜することにより形成される、
    ことを特徴とする発泡積層シート。
  2. 前記発泡剤含有樹脂層は、金属系化合物からなる発泡助剤を含有する、請求項1に記載の発泡積層シート。
  3. 発泡樹脂層のおもて面に更に、(メタ)アクリル酸を共重合体成分として有しないエチレン系重合体又は共重合体からなる非発泡樹脂層Aが形成される、請求項1又は2に記載の発泡積層シート。
  4. 前記非発泡樹脂層Aは、ポリエチレン、炭素数が4以上のαオレフィンの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分を含有する、請求項3に記載の発泡積層シート。
  5. 前記発泡剤含有樹脂層を構成する樹脂組成物は、樹脂成分100重量部に対して、ペンタエリスリトールを0.01〜10重量部含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の発泡積層シート。
  6. 前記アゾ系熱分解型発泡剤が、アゾジカルボンアミドである請求項1〜5のいずれかに記載の発泡積層シート。
  7. 基材と発泡樹脂層との間に更に非発泡樹脂層Bが形成されている、請求項1〜6のいずれかに記載の発泡積層シート。
  8. 発泡積層シートの最表面層の上からエンボス加工が施されている、請求項1〜7のいずれかに記載の発泡積層シート。
  9. 前記基材が繊維質シートからなる請求項1〜8のいずれかに記載の発泡積層シート。
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