JP2012059576A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Hitoshi Yoshikawa
仁 吉川
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良平 垣内
Shigenori Morita
成紀 森田
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Abstract

【課題】反射電極の光反射率と耐腐食性とを、高いレベルで両立でき、高効率で長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】本発明の有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、基板11上にこの順で積層された反射電極1,有機発光層2,透明電極3からなり、有機発光層2から発せられる光を、透明電極3を介して上方に出射する有機EL素子であって、上記反射電極1が、基板11に接して設けられた基板密着層1Aと、その上に積層された銀系合金からなる反射層1Bと、この反射層1Bの上に形成された仕事関数調整層1Cとから構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機発光層の発光を、透明電極を通して上方に出射する有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
電極間に発光層を設け、電気的に発光を得る電界発光(エレクトロルミネッセンス)素子は、発光表示装置や、平面型照明,光ファイバー用光源,液晶ディスプレイ用バックライト,液晶プロジェクタ用バックライト等の各種発光装置の光源としても、利用が進んでいる。特に、発光層に有機薄膜を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)は、発光効率,低電圧駆動,軽量,フレキシブル性の点から注目されており、上記発光装置や発光表示装置等への利用も拡大している。
上記有機EL素子の概略構成を図3に示す。図3は、基板の上方から発光を取り出すトップエミッション型の有機EL素子の構成を示す模式図である。なお、素子の実装(電気的接続)に用いられる導電性ペースト,ボンディングワイヤや、封止樹脂等は図示を省略している。
上記有機EL素子は、図3に示すように、基板11上に、反射電極(光反射性導電層)10と、有機発光層(有機半導体薄膜)2と、透明電極(透光性導電層)3とを、この順に積層(成膜)した構成になっており、上記透明電極3側の表面(図示上側)が、光を取り出すための発光面3aとなっている。
このようなトップエミッション型の有機EL素子では、基板11と反対側の面(トップ側)より発光を取り出すため、基板11側に形成される反射電極10は、高い光反射性を有している方が、光の取り出し効率が向上する。すなわち、上記有機EL素子に通電した場合、素子の有機発光層2からは、図3のように、この有機発光層2の周囲(上下)に向かって光が発せられる。そして、有機発光層2の透明電極3側界面から上方(トップ側)に発せられた光(上面発光:図中実線矢印で表示)は、そのまま透明電極3を透過して、上記発光面3aから出射される。また、有機発光層2から、反対側(ボトム側)に向けて発せられた光(下面発光:図中点線矢印で表示)は、上記反射電極10で反射されて上方に向かい、上記有機発光層2を透過して、先の上面発光と同様、有機EL素子の発光面3aから出射されるようになっている。
上記反射電極10を構成する材料には、高光反射率の金属や合金が用いられる。上記高光反射率の金属としては、アルミニウム(Al),銀(Ag),モリブデン(Mo),タングステン(W),ニッケル(Ni),クロム(Cr)などがあげられる。なかでも、コストの観点から、アルミニウムが多用される。
なお、上記反射電極10を陽極として用いる場合は、この反射電極10の最上層に、例えば酸化インジウム錫(ITO),酸化インジウム亜鉛(IZO)やSnO2,In23等、反射電極10を構成する材料より仕事関数の高い導電性金属酸化物が積層され、この層が、有機発光層2に対する正孔の注入効率を高める正孔注入層(仕事関数調整層)として機能する(特許文献1,2を参照)。また、上記反射電極10を陰極として用いる場合も同様に、上記反射電極10の最上層に、有機発光層2に対する電子の注入効率を高める電子注入層(仕事関数調整層)が設けられる。
特開2006−4721号公報 特開2005−327535号公報
ところで、上記のような有機EL素子においては、反射電極にアルミニウム(Al)等を用いると、この反射電極が腐食したり、上記反射電極が基板と密着不良を起こしたりして、素子が早期に劣化する場合があり、その対策が検討されている。
この解決策として、例えば、上記反射電極の上下に、ガスバリア性を有する被膜(バリア層)を設ける提案がなされている。しかしながら、バリア層を設けると、素子内での光の反射率や透過率が下がり、発光層(発光面)からの光の取り出し効率が低下してしまうため、異なったアプローチによる解決が望まれている。
また、別の解決策として、金属のうちで最も光反射率の高い銀(Ag)を反射性被膜に用いる提案がなされている。しかしながら、銀は、反応性に富んでいるため酸化され易く、かつ、他の材料との密着性に乏しいという性質を有しているため、耐久性のある安定した反射電極を得ることができていないのが実情である。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、反射電極の光反射率と耐腐食性とを、高いレベルで両立でき、高効率で長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板上にこの順で積層された反射電極,有機発光層,透明電極からなり、上記有機発光層から発せられる光を、上記透明電極を介して上方に出射する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、上記反射電極が、上記基板に接して設けられた基板密着層と、その上に積層された銀系合金からなる反射層と、この反射層の上に形成された仕事関数調整層とから構成されていることを要旨とする。
すなわち、本発明者らは、有機EL素子の反射電極(光反射性導電層)を形成する材料として、安価ではあるが性能に劣るアルミニウムに代えて、耐久性が高く、素子の効率と寿命を向上させることのできる材料がないか研究を重ね、耐腐食性と光反射率に優れる銀系合金を反射層として利用することを着想した。しかしながら、上記銀系合金は、先に述べたように、特性的には優れるものの、基板との密着性が低い等の欠点を有するため、そのままでは使用できなかった。そこで、本発明者らは、基板との密着性に着目してさらに工夫を重ね、その結果、銀系合金からなる反射層と基板との間に、両者との密着性(親和性)に富み、銀系合金の特性を損なわない基板密着層を介在させ、かつ、上記銀系合金からなる反射層の上に仕事関数調整層を形成することによって、実用的な反射電極を構成できることを見出し、本発明に到達した。
本発明の有機EL素子は、基板寄りの反射電極(無機材料部分)が、上記基板に接して設けられた基板密着層と、その上に積層された銀系合金からなる反射層と、この反射層の上に形成された仕事関数調整層とから構成されている。そのため、上記銀系合金製反射層が基板から剥離することが防止され、剥離部分から腐食や変質が発生するおそれがなくなる。さらに、上記銀系合金製反射層の基板側下面が上記基板密着層で保護され、この反射層の有機発光層側上面が上記仕事関数調整層で保護されるため、上記銀系合金の備える耐腐食性と相俟って、反射電極の耐久性を向上させることができる。しかも、上記銀系合金製反射層は、銀に由来する高光反射率を備えている。したがって、本発明の有機EL素子は、光の取り出し効率に優れ、反射電極の耐久性も高い、長寿命な有機EL素子とすることができる。
また、上記反射電極の基板密着層を構成する材料が、金属酸化物である有機EL素子は、上記銀系合金からなる反射層の備える耐腐食性能を維持した状態で、この銀系合金製反射層の基板に対する密着性を、より向上させることができる。
そして、本発明の有機EL素子において、上記反射電極の反射層を構成する材料が、パラジウムおよび銅を含有する銀系合金であり、上記基板密着層を構成する材料が、インジウム酸化物系化合物であるものは、反射電極の光反射率と耐腐食性、および、基板に対する密着性が、より向上する。これにより、高効率かつ長寿命で、信頼性の高い有機EL素子とすることができる。
本発明の第1実施形態における有機EL素子の構成を模式的に示す図である。 本発明の第2実施形態における有機EL素子の構成を模式的に示す図である。 従来の有機EL素子の構成を模式的に示す図である。
つぎに、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて詳しく説明する。
図1は、本発明の第1実施形態における有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の構成を模式的に示す断面図である。この第1実施形態における有機EL素子も、従来例(図3)と同様、基板11の反対側(上方)から発光を取り出すトップエミッション型の有機EL素子である。なお、この実施形態においては、基板11の導電層(反射電極1)を陽極として、発光側(上方)の導電層(透明電極3)を陰極として用いる例について説明する。また、本実施形態における発光層(有機発光層2)とは、発光層単独のほか、正孔輸送層,電子注入層,電子輸送層(電子輸送性発光層),電子ブロック層,や正孔ブロック層などを含む各種の有機薄膜層を、総称して表現したものである。
本実施形態の有機EL素子は、図1に示すように、基板11上に、反射電極(光反射性導電層)1と、有機発光層(有機半導体薄膜)2と、透明電極(透光性導電層)3とを、この順に積層(成膜)した構成であり、上記透明電極3側の表面(図示上側)が、光を取り出すための発光面3aとなっている。そして、上記反射電極1が、基板11に接して設けられた基板密着層1Aと、その上に積層された銀系合金製の反射層1Bと、この反射層1Bの上にさらに積層された正孔注入層(仕事関数調整層)1Cとから構成されている。これが、本実施形態における有機EL素子の特徴である。
上記有機EL素子の構造について、より詳しく説明すると、上記反射電極1は、スパッタリング法等、真空条件下で一貫して行われる連続工程により、基板11の一方の面側に順次積層(成膜)された、基板密着層1A,反射層1B,正孔注入層1Cから構成されている。
上記基板密着層1Aの材料には、クロム(Cr),ニッケルクロム(NiCr)等の金属や、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物などが用いられ、より好ましくは、酸化インジウム錫(ITO),酸化インジウム亜鉛(IZO)等のインジウム酸化物系化合物が、単独でもしくは2種以上併せて使用される。基板密着層1Aの好ましい膜厚は、密着性を考慮すると10nm以上、より好ましくは10〜50nmである。
上記反射層1Bには、450〜800nmの範囲の光に対して反射率が60%以上、より好ましくは80%以上を有する銀系合金が用いられる。具体的には、耐食性・耐熱性に優れ、上記光に対する反射率の高い、パラジウムおよび銅を含有する銀系合金が好適に用いられる。銀系合金製反射層1Bの好ましい膜厚は、基板との密着性および450〜800nmの範囲の光に対する反射率を考慮すると50nm以上、より好ましくは50〜300nmである。
また、上記正孔注入層1Cを構成する材料は、上記有機発光層2の種類や構成に応じて選択され、その仕事関数が上記反射層1Bの材料を上回る物質が用いられる。具体的には、上記基板密着層1Aと同様、ITO,IZO等のインジウム酸化物系化合物が好適に使用される。なお、反射層1Bによる有機発光層2の発光の反射を阻害しないように、上記正孔注入層1Cは、450〜800nmの範囲の光に対する透過率が50%以上、好ましくは80%以上となるように、膜厚が調整される。その好適な膜厚は20nm以上であり、より好ましくは50〜200nmである。上記膜厚がこの範囲内であれば、上記反射層1Bによる高効率な発光の反射と、前記有機発光層2に対する効率的な電子の注入とを、よりバランスよく両立することができる。また、膜厚が厚ければ、反射層1Bを構成する銀系合金が空気中の酸素あるいは水分等と接触するのを防止するバリア層を兼用させることもできる。
そして、上記反射電極1の上に成膜される有機発光層(有機半導体薄膜)2は、低分子系の材料を真空蒸着して形成してもよいし、高分子系の材料を塗布法などにより形成してもよい。例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム錯体(Alq3)、ビスジフェニルビニルビフェニル(BDPVBi)、1,3−ビス(p−t−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾールイル)フェニル(OXD−7)、N,N’−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(BPPC)、1,4−ビス〔N−p−トリル−N−4−(4−メチルスチリル)フェニルアミノ〕ナフタレンなどの低分子発光材料や、ポリフェニレンビニレン系ポリマーなどの高分子系発光材料などを、単独でもしくは2種以上併せて使用することができる。
上記有機発光層2の上に形成される透明電極3材料としては、可視光領域に充分な透明性があり、電極として必要な電気伝導性を持ち合わせている物質が使用できる。通常、上記基板密着層1Aや正孔注入層1Cと同様の、ITOやIZO等が用いられる。その他、酸化錫、酸化錫にアンチモンやフッ素などをドープしたもの、酸化亜鉛にガリウムをドープしたものなどがあげられる。また、有機発光層2の界面から厚さ数nm〜十数nmの透光性を維持できる薄さの金属電極を形成し、その上にITOを形成するなどして、透明電極としてもよい。
上記有機EL素子を支持する基板11には、ガスバリア性(例えば、酸素遮断性,水蒸気遮断性等)を有するアルミニウム(Al),銅(Cu),ステンレススチール(SUS)などの金属箔や、極薄のガラス板等を使用できる。ただし、上記基板11の表面(有機EL素子形成側表面)の最大粗さRmaxが20nm以上の場合は、低アウトガス性の材料を、スリットコート法やスプレー法などの湿式法で塗工することにより、上記表面の最大粗さRmaxを、20nm以下になるよう平坦化する必要がある。この基板11表面に平坦化用の被膜を形成した例は、後記の第2実施形態で説明する。
これらの構成により、本実施形態における有機EL素子は、基板密着層1Aにより、銀系合金製反射層1Bが基板11から剥離することが防止される。そのため、反射層1Bの剥離に起因する腐食や変質の発生が抑えられる。さらに、銀系合金製反射層1Bの基板11側の下面が基板密着層1Aで保護され、この反射層1Bの有機発光層2側の上面が正孔注入層1C(仕事関数調整層)で保護されるため、上記銀系合金の備える耐腐食性と相俟って、反射電極1の耐久性を向上させることができる。
しかも、上記銀系合金製反射層1Bは、450〜800nmの範囲の光に対して高い光反射率を備えている。その結果、本実施形態の有機EL素子は、光の取り出し効率に優れ、反射電極の耐久性も高い、長寿命な有機EL素子とすることができる。
そして、本実施形態の有機EL素子において、上記反射電極1の反射層1Bをパラジウムおよび銅を含有する銀系合金で形成し、上記反射電極1の基板密着層1AをIZO等のインジウム酸化物系化合物で形成したものは、反射電極1の光反射率と耐腐食性、および、基板11に対する密着性が、従来品に比べ最も向上する。これにより、本実施形態の有機EL素子は、高効率かつ長寿命で、かつ、信頼性の高い有機EL素子とすることができる。
つぎに、上記有機EL素子を、表面に被膜が形成された基板を用いて形成した例について説明する。図2は、本発明の第2実施形態における有機EL素子の構成を模式的に示す断面図である。なお、平滑化層12より上側の有機EL素子の部分は、前記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
先に述べたように、有機EL素子を形成するのに用いる基板は、素子の発光効率を高めたり、各素子の膜厚を揃えて輝度等を均一化するために、有機EL素子の形成前に予め、その表面を平坦化する処理を施す場合がある。第2実施形態の有機EL素子は、このような基板を用いて形成されたものであり、図2のように、基板11の表面には、樹脂等からなる平滑化層(下地層)12が設けられており、その上に、第1実施形態と同様の構成の有機EL素子が形成されている。
上記平滑化層12を構成する、低アウトガス性の材料としては、アクリル樹脂,ポリイミド樹脂,ノボラック樹脂,フェノール樹脂をあげることができ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。また、シリカナノペーストやアルミナナノペースト等を用いることもできる。これら平滑化層12の材料は、スリットコート法やスプレー法等の湿式法で、基板11表面に塗工される。
このような構成によっても、この実施形態の有機EL素子は、基板密着層1Aにより、銀系合金製反射層1Bが平滑化層12(および基板11)から剥離することが防止される。そのため、第1実施形態同様、反射層1Bの剥離に起因する腐食や変質の発生が抑えられる。また、反射層1Bの下面および上面が、基板密着層1Aと正孔注入層1C(仕事関数調整層)とで保護され、上記銀系合金の備える耐腐食性と相俟って、反射電極1の耐久性が向上する。
しかも、この実施形態の有機EL素子は、上記基板11上の平滑化層12の存在により、上記反射電極の耐久性が高く長寿命な有機EL素子を、精度よく製造することができる。したがって、本実施形態の有機EL素子は、各素子間の品質差が少ない、高品質な素子を量産することが可能である。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例においては、各種の基板上に有機EL素子の反射電極のみを作製し、金属製反射層の種類と基板密着層の有無とによる腐食性,密着性への影響を調べた。
[基板]
供試用の基板には、以下の3種類を用いた。
・アルミニウム箔(厚さ:0.1mm)
・銅箔(厚さ:0.1mm)
・ガラス板(厚さ:0.7mm)
なお、上記ガラス板は、その表面を平坦にするために、液体レジスト(フェノールノボラック樹脂系:日本ゼオン社製 ZWD6216−6)をスピンコート法で塗布し、乾燥させて、平滑化層(膜厚800nm,図2の符号12を参照)を形成している。
[反射電極の基板密着層の材料]
基板密着層の材料として、酸化インジウム亜鉛(IZO)と、クロム(Cr)とを準備した。なお、基板密着層を形成しない比較例もある。
[反射電極の反射層]
反射層の材料として、銀系合金(フルヤ金属製 APC−TR,パラジウムおよび銅を含有する銀系合金)と、アルミニウムとを準備した。
[反射電極の仕事関数調整層の材料]
仕事関数調整層(正孔注入層)の材料として、上記基板密着層の材料と同じ、酸化インジウム亜鉛(IZO)を準備した。
〔反射電極の作製〕
反射電極は、バッチ式のスパッタリング装置を用いて、上記基板のうちの1つの上に、真空条件下で、基板密着層,反射層,仕事関数調整層をこの順に、装置から基板を取り出さずに連続して(真空一貫)成膜した。なお、各層の層厚(膜厚)は、得られた反射電極(サンプル)をエポキシ樹脂で包埋した後、研磨,イオンポリッシングした断面を、導電性粘着テープで固定し、その断面にOsコートを20秒間施したものを、FE−SEM(日本電子社製)で観察し、測定した。
(実施例1)
上記バッチ式スパッタリング装置内に、基板(アルミニウム箔)を封入し、この基板上に、基板密着層(IZO:20nm厚),反射層(銀系合金:100nm厚),仕事関数調整層(IZO:100nm厚)を、この順に真空一貫で成膜して、実施例1の反射電極を作製した。なお、各IZOの成膜は、投入電力 RF:200W,反応ガス圧:0.5Pa,Arガス流量:1.69×10-2Pa・m3/sec,成膜速度:20nm/分の条件で行った。また、銀系合金の成膜は、投入電力 RF:200W,反応ガス圧:0.5Pa,Arガス流量:1.69×10-2Pa・m3/sec,成膜速度:27nm/分の条件で行った。
(実施例2)
基板を銅箔に変更したこと以外、上記実施例1と同様にして、実施例2の反射電極を作製した。
(実施例3)
基板をガラス板(平滑化層が形成されたもの)に変更したこと以外、上記実施例1と同様にして、実施例3の反射電極を作製した。
(実施例4)
基板密着層の材料をクロム(Cr:100nm厚)としたこと以外、上記実施例1と同様にして、実施例4の反射電極を作製した。なお、クロムの成膜は、投入電力 RF:200W,反応ガス圧:0.5Pa,Arガス流量:1.69×10-2Pa・m3/sec,成膜速度:20nm/分の条件で行った。
(実施例5)
基板を銅箔に変更し、基板密着層の材料をクロムとしたこと以外、上記実施例1(実施例4)と同様にして、実施例5の反射電極を作製した。
つぎに、以下のようにして、比較例を作製した。
(比較例1)
基板密着層(IZO)を形成しなかったこと以外、上記実施例1と同様にして、比較例1の反射電極を作製した。すなわち、上記バッチ式スパッタリング装置内に、基板(アルミニウム箔)を封入し、この基板上に、反射層(銀系合金:100nm厚),仕事関数調整層(IZO:100nm厚)を、この順に真空一貫で成膜して、比較例1の反射電極を作製した。なお、銀系合金の成膜は、投入電力 RF:200W,反応ガス圧:0.5Pa,Arガス流量:1.69×10-2Pa・m3/sec,成膜速度:27nm/分の条件で行った。また、仕事関数調整層としてのIZOの成膜は、投入電力 RF:200W,反応ガス圧:0.5Pa,Arガス流量:1.69×10-2Pa・m3/sec,成膜速度:20nm/分の条件で行った。
(比較例2)
基板を銅箔に変更したこと以外、上記比較例1と同様(基板密着層を形成せず)にして、比較例2の反射電極を作製した。
(比較例3)
基板をガラス板(平滑化層が形成されたもの)に変更したこと以外、上記比較例1と同様(基板密着層を形成せず)にして、比較例3の反射電極を作製した。
つぎに、腐食試験のブランク用に、従来の反射電極と同様、反射層をアルミニウムから形成した比較例を作製した。
(比較例4)
反射層の材料をアルミニウムとしたこと以外、上記実施例1と同様にして、比較例4の反射電極を作製した。すなわち、上記バッチ式スパッタリング装置内に、基板(アルミニウム箔)を封入し、この基板上に、基板密着層(IZO:20nm厚),反射層(アルミニウム:100nm厚),仕事関数調整層(IZO:100nm厚)を、この順に真空一貫で成膜して、比較例4の反射電極を作製した。なお、各IZOの成膜は、投入電力 RF:200W,反応ガス圧:0.5Pa,Arガス流量:1.69×10-2Pa・m3/sec,成膜速度:20nm/分の条件で行った。また、アルミニウムの成膜は、投入電力 RF:200W,反応ガス圧:0.5Pa,Arガス流量:1.69×10-2Pa・m3/sec,成膜速度:20nm/分の条件で行った。
(比較例5)
基板密着層の材料をクロム(Cr:100nm厚)としたこと以外、上記比較例4と同様にして、比較例5の反射電極を作製した。
上記実施例1〜5および比較例1〜5の反射電極(サンプル)を用いて、耐腐食性と、基板への密着性とを評価した。評価に用いた試験方法および評価基準を以下に示す。
〈耐腐食性試験〉
小型環境試験器SH−221(エスペック社製)を用い、サンプルを85℃×85%RH環境下で12時間保持した後、その表面および断面に変質などがないかを、目視で観察した。評価は、変質が見られないものを「○」、変質が見られるものを「×」とする。
〈密着性試験(碁盤目試験)〉
JISに規定の碁盤目試験(JIS G 3312)に準じて行った。数値は、碁盤目100升のうち、剥離せずに残留している升目の数を表し、その数値(剥がれずに残る数)が多い方を良好とする。評価は良好を「○」、不良を「×」で表示する。
〈密着性試験(超音波密着成試験)〉
超音波洗浄器US−1R(アズワン社製)を用い、サンプルをイオン交換水に浸漬した状態で、超音波を15分間照射(洗浄)した後、剥離や変質などがないかを、目視で観察した。評価は、剥離や変質が見られないものを「○」、剥離や変質が見られるものを「×」とする。
上記実施例1〜5の評価結果を「表1」に、上記比較例1〜5の評価結果を「表2」に示す。
Figure 2012059576
Figure 2012059576
上記比較例4,5の結果から分かるように、反射層にアルミニウムを用いた(従来例)反射電極の場合、基板側に基板密着層を形成しても効果はなく、反射層が腐食している。また、比較例1〜3の反射電極ように、反射層を銀系合金とすれば、反射層の腐食は防止できるものの、基板への密着不良により、実用的な反射電極を得ることができない。
これに対して、反射層を銀系合金とし、基板密着層にIZOを用いた実施例1,2の反射電極と、基板密着層にCrを用いた実施例4,5の反射電極とは、アルミニウム箔,銅箔等の金属製基板に対し、充分な密着性を示しており、実用上、問題のないレベルにある。なお、基板の表面粗さ調整用に平滑化層(樹脂層)が形成されたガラス基板を用いた実施例3の反射電極においても、基板密着層にIZOを用いることにより、製品上問題のない基板密着性を発揮できることが分かった。
ちなみに、実施例1〜3の反射電極と、比較例4,5の反射電極に関し、分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジー社製)を用いて、5度正反射絶対反射率測定を行ってみたところ、上記比較例4,5の反射電極は、450nmの光に対して反射率約41%、550nmの光に対して反射率約48%、800nmの光に対して反射率約28%であった。これに対して、実施例1〜3の反射電極は、450nmの光に対して反射率約70%、550nmの光に対して反射率約81%、800nmの光に対して反射率約70%であり、反射層に銀系合金を使用することによる、450〜800nmの範囲の光に対する反射率の向上が確認できた。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、高発光効率を長期にわたって維持することができる。そのため、発光表示装置や、液晶ディスプレイ用バックライト,液晶プロジェクタ用バックライトなどの各種発光装置の光源等、長寿命が要求される発光装置に適する。
1 反射電極
1A 基板密着層
1B 反射層
1C 仕事関数調整層
2 有機発光層
3 透明電極
11 基板

Claims (3)

  1. 基板上にこの順で積層された反射電極,有機発光層,透明電極からなり、上記有機発光層から発せられる光を、上記透明電極を介して上方に出射する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、上記反射電極が、上記基板に接して設けられた基板密着層と、その上に積層された銀系合金からなる反射層と、この反射層の上に形成された仕事関数調整層とから構成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 上記反射電極の基板密着層を構成する材料が、金属酸化物である請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 上記反射電極の反射層を構成する材料が、パラジウムおよび銅を含有する銀系合金であり、上記基板密着層を構成する材料が、インジウム酸化物系化合物である請求項1または2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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