JP2011040173A - 有機エレクトロルミネセンス装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】封止膜を必要以上に厚くしなくても、上部電極のパッシベーション性能を向上させて工程の複雑化やコストの増大を解消できるとともに、設計の自由度を向上できるトップエミッション構造の有機EL装置を提供する。
【解決手段】トップエミッション構造の有機EL表示装置1において、光透過性を有する陰極5を、有機層4上に積層され仕事関数の小さな材料を含む内側電極10と、内側電極10上に積層され光透過率の高い材料からなる外側電極11とで構成する。外側電極11の膜密度を、外側電極11を構成する材料の真密度に対し85%〜95%に設定する。
【選択図】図1

Description

この発明は、上部電極側から光を取り出すトップエミッション構造の有機エレクトロルミネセンス(EL:Electro Luminescence)装置の改良に関するものである。
トップエミッション構造の有機EL表示装置や有機EL照明装置は、支持基板上に陽極、有機層及び陰極(透明電極)が順に積層された有機EL素子を備え、上記透明電極は、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)やIZO(Indium Zinc Oxide:インジウム亜鉛酸化物)等の透明導電膜で構成されて有機EL素子の光取出し側最表面に位置し、SiON(シリコンオキシナイトライド)、SiN(窒化ケイ素)等のシリコン系の封止膜で覆われている。これにより、有機層への水分の浸入を防止している。
一方、特許文献1には、有機EL素子の上部電極であるAl電極の欠陥部をレーザーで選択的に修復し、Al陰極に封止性能を持たせるようにした有機EL表示装置が開示されている。
また、特許文献2には、有機EL素子の上部電極を緻密度が互いに異なる2層のAl電極で構成することで、酸素又は水分に対するパッシベーション機能を向上させるようにした有機EL表示装置が開示されている。
特開2003−257634号公報(段落0038欄〜段落0041欄、図2) 特開2004−356095号公報(段落0014欄、段落0017欄、図1)
しかし、ITOやIZO等の透明導電膜は、一般に膜欠陥や低密度のために、それ自体での封止性能が低く、したがって、素子全体としての封止性能を確保するためには、封止膜を厚膜化せざるを得ず、少なくとも500nm程度、一般的には1μm以上の膜厚が必要と言われている。しかし、封止膜を厚膜化すると、工程の複雑化及びコストの増大を招くばかりか、設計の自由度が低下する。
一方、上記特許文献1,2は、下部電極側(基板側)から光を取り出すボトムエミッション構造の有機EL表示装置であり、Al電極で構成された上部電極は透明電極ではなく不透明であるため、上部電極側から光を取り出すトップエミッション構造の有機EL表示装置や有機EL照明装置には適用することができない。
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、封止膜を必要以上に厚くしなくても、上部電極のパッシベーション性能を向上させて工程の複雑化やコストの増大を解消できるとともに、設計の自由度を向上できるトップエミッション構造の有機EL装置を提供することである。
上記の目的を達成するため、この発明は、上部電極の膜密度を適正な値に設定するとともに、その成膜条件を適正に設定することを特徴とする。
具体的には、この発明は、支持基板上に反射電極としての陽極、有機層及び光透過性を有する陰極が順に積層された有機エレクトロルミネセンス素子を備え、かつ該有機エレクトロルミネセンス素子が光透過性を有する封止膜で覆われ、上記陰極側から光を取り出すトップエミッション構造の有機エレクトロルミネセンス装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
すなわち、第1の発明は、上記陰極は、上記有機層上に積層され仕事関数の小さな材料を含む内側電極と、該内側電極上に積層され光透過率の高い材料からなる外側電極とからなり、上記外側電極の膜密度は、当該外側電極を構成する材料の真密度に対し85%〜95%に設定されていることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、上記外側電極の膜厚は、50nm〜300nmに設定されていることを特徴とする。
第3の発明は、第1又は2の発明において、上記有機層及び封止膜の屈折率は、1.80〜2.05であり、上記外側電極の屈折率も、1.80〜2.05に設定されていることを特徴とする。
第4の発明は、第1〜3のいずれか1つの発明において、上記内側電極は、仕事関数の小さな材料からなり上記有機層に電子を注入する電子注入用電極と、該電子注入用電極上に積層され当該電極を保護する保護電極とからなることを特徴とする。
第5の発明は、第1〜4のいずれか1つの発明において、上記外側電極は、ターゲットに照射されるイオンビームのエネルギー密度が2W/cm〜7W/cmに設定されたイオンビームスパッタリング成膜法により成膜されたものであることを特徴とする。
第6の発明は、第1〜4のいずれか1つの発明において、上記外側電極は、ソースに照射されるイオンビームのエネルギー密度が200W/cm〜500W/cmに設定されたイオンプレーティング成膜法により成膜されたものであることを特徴とする。
第1の発明によれば、光透過性を有する陰極を構成する外側電極の膜密度を、当該外側電極を構成する材料の真密度に対し85%〜95%に設定したので、欠陥がなく封止性能の高い膜を実現でき、よって、封止膜を必要以上に厚膜化せずに済み、工程及びコストを低減できるとともに、設計の自由度を向上できる。
第2の発明によれば、外側電極の膜厚が50nm〜300nmの範囲にあることで、外側電極そのものの封止性能及び光透過率を適正に確保できる。
第3の発明によれば、一般に、有機層及び封止膜の屈折率が1.80〜2.05であり、外側電極の屈折率もこの範囲内にあって上記有機層や封止膜の屈折率と大きな差がなく、界面反射率の低下や光の閉じこもりを防止でき、光取出し効率及び視野角特性の向上、ひいては消費電力の低減ができる。
第4の発明によれば、仕事関数の小さな材料からなる電子注入用電極により、有機層に効率良く電子を注入でき、保護電極により上記電子注入用電極の酸化を抑制して有機層からの光取出し効率の低下を抑制できる。
第5,6の発明によれば、外側電極成膜時のイオンビームのエネルギー密度を、イオンビームスパッタリング成膜法では2W/cm〜7W/cmに、イオンプレーティング成膜法では200W/cm〜500W/cmにそれぞれ設定することで、外側電極の膜密度を当該外側電極を構成する材料の真密度に対し85%〜95%に確実に設定することができる。
実施形態1に係る有機エレクトロルミネセンス表示装置を模式的に示す断面図である。 実施形態1に係る有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造工程図である。 実施形態1で用いたイオンビームスパッタリング成膜装置の構成図である。 実施形態1においてイオンビームパワーを変えて外側電極を成膜したときの印加電圧と電流密度との関係を示す片対数グラフである。 実施形態1においてイオンビームパワーを変えて外側電極を成膜したときの印加電圧と輝度との関係を示す片対数グラフである。 実施形態1においてイオンビームパワーを変えて得た各種のデータ表である。 実施形態2で用いたイオンプレーティング成膜装置の構成図である。 実施形態2においてプラズマビームパワーを変えて得た各種のデータ表である。
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る有機EL装置としての有機EL表示装置1を模式的に示す断面図である。
同図において、2は支持基板であり、該支持基板2上に光反射電極としての陽極3、有機層4及び光透過性を有する陰極5が順に積層され、これら陽極3、有機層4及び陰極5により有機EL素子6が構成されている。この有機EL素子6は、光透過性を有する封止膜7で覆われ、上記支持基板2とその上方に配置された封止基板8との間に充填された透明接着樹脂9に埋設されている。これにより、図1矢印のように上記陰極5側から光を取り出すトップエミッション構造の有機EL表示装置1が構成されている。なお、ここでは、有機EL表示装置1を挙げるが、有機EL照明装置にも適用することができる。
上記支持基板2としては、例えば、厚さ0.7mmのガラス基板であるが、これ以外に、PEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)等のプラスチック基板、SUS(ステンレス)やAl(アルミニウム)等の金属基板等を用いることができる。また、これらの基板上にコート層を事前に設けたものであってもよい。
上記陽極3は、有機層4に正孔を注入する機能を有し、正孔注入効率向上の観点から仕事関数の大きな材料で構成することが好ましく、また、有機層4から陽極3側に向けて出射された光を陰極5側に反射する機能をも有するものである。例えば、Ag(銀)を100nmの厚さに成膜した上に、ITOを100nm成膜した後、一般的なパターニング手法(スパッタリング成膜法等)を用いて陽極3とするが、単層であってもよい。なお、陽極材料としては、その上面に成膜される有機層4に正孔を効果的に注入できれば、上記以外の材料であってもかまわず、成膜手法もスパッタリング成膜法以外の手段を用いてもかまわない。
上記有機層4は、図示しないが、発光層を含む有機積層構造であり、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層を蒸着により順に積層して形成される。正孔注入層は、発光層への正孔注入効率を高めるためのものである。正孔輸送層は、発光層への正孔輸送効率を高めるためのものである。発光層は、陽極3から注入された正孔と陰極5から注入された電子とを再結合させて発光する機能を有する。電子輸送層は、発光層への電子輸送効率を高めるためのものである。各々の層厚は数10nmであり、総膜厚としては、概ね100〜300nm程度である。各層厚は、電気的、光学的な設計手法を用いて決定される。また、有機層4の屈折率は、材料的な観点からして、一般には、1.8〜2.0に設定されている。封止膜7の屈折率も同様に、1.8〜2.0に設定されている。
上記陰極5は、上記有機層4上に積層された内側電極10と、該内側電極10上に積層され光透過率の高い材料からなる外側電極11とからなる。上記内側電極10は、図示しないが、上記有機層4に電子を注入する電子注入用電極と、該電子注入用電極上に積層され当該電極を保護する保護電極とからなり、上記電子注入用電極は、電子注入効率向上の観点から仕事関数の小さな材料からなる。上記電子注入用電極は、例えば、Li(リチウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)等のアルカリ土類金属と、F(フッ素)、Cl(塩素)等のハロゲンとの化合物を用い、膜厚は数nm程度である。また、保護電極はAl、Ag等の合金であり、概ね数10nm程度のごく薄い金属電極である。この場合、保護電極は透過率が数十%で半透明電極であり、よって光は上方へ透過する。膜厚、材料は電気的、光学的な設計手法を用いて決定される。したがって、仕事関数の小さな材料からなる電子注入用電極により、有機層4に効率良く電子を注入でき、保護電極により上記電子注入用電極の酸化を抑制して有機層4からの光取出し効率の低下を抑制できる。
上記外側電極11は、ITO、IZO、IWO(酸化インジウムタングステン)、GZO(酸化ガリウム亜鉛)、AZO(酸化アルミニウム亜鉛)等の透明な金属酸化物からなる透明導電膜であり、上記保護電極では十分な導電率を得られないために使用される。外側電極11の形成法としては、実施形態1ではイオンビームスパッタリング成膜法を用いたが、後述の実施形態2ではイオンプレーティング成膜法を用いている。
この発明の特徴として、上記外側電極11の膜密度は、当該外側電極11を構成する材料の真密度に対し85%〜95%に設定されている。この数値範囲内では、欠陥がなく緻密な膜となって良好な封止性能を有するため、封止膜7を必要以上に厚膜化せずに済み、工程及びコストを低減できるとともに、設計の自由度を向上できるからである。
また、外側電極11の膜厚は、50nm〜300nmに設定されている。50nm未満では封止性能が十分に得られず、300nmを超えると光透過率が低下するからである。
さらに、上記外側電極の屈折率は、1.80〜2.05に設定されている。このように設定したのは、一般に、有機層4及び封止膜7の屈折率が1.80〜2.05であり、この範囲に外側電極11の屈折率を合わせることで、有機層4や封止膜7との間に屈折率に大きな差が生じず、これにより、界面反射率の低下や光の閉じこもりを防止でき、光取出し効率及び視野角特性の向上、ひいては消費電力の低減ができるからである。
また、外側電極11の成膜法であるイオンビームスパッタリング成膜法では、ターゲットに照射されるイオンビームのエネルギー密度を2W/cm〜7W/cmに設定している。これにより、外側電極11の膜密度を当該外側電極11を構成する材料の真密度に対し85%〜95%に確実に設定することができる。
上記封止膜7としては、例えば、SiN、SiON、SiO等が一般的であるが、アルミナ、酸化チタン等を用いることもできる。膜厚が厚い方が、また層数を増やした方が、封止性能は上昇するが、光透過率の低下や、プロセスコストの上昇等のデメリットも生じるため、例えば、膜厚200nmの単層膜が好ましい。成膜法としては、イオンビームスパッタリング成膜法以外の物理蒸着手法、化学蒸着手法を用いてもよいが、工程の安定化及びコスト低減を図る観点から、外側電極11と同じイオンビームスパッタリング成膜法を用いることが望ましい。
上記封止基板8としては、透明で光を透過することができるものであり、かつ水分や酸素の透過率が低いものであればよく、例えば、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板を挙げることができる。
上記透明接着樹脂9としては、封止基板8を支持基板2に確実に固定できるものであり、かつ水分や酸素の透過率が低いものであればよく、例えば、エポキシ系やアクリル系の透明樹脂である。なお、本例では、固体封止手法を挙げたが、この他に、封止ガラスの枠部にのみ接着剤を塗布して貼り合せる缶封止であってもよい。
なお、有機層4の形成から以降の工程においては、通常、水分及び酸素のない雰囲気で行う必要がある。これは、水分や酸素により、有機EL素子6の劣化が起こるためである。一般的には、例えば、真空チャンバー内で一貫して有機EL素子6を形成し、または、厳密に露点を管理された窒素雰囲気化のグローブボックス内で有機EL素子6を形成する。
次に、実施形態1に係る有機EL表示装置1の製造要領について図2の工程図を参照しつつ説明する。
まず、厚さ0.7mmのガラス製の支持基板2を用意し(ステップST1)、この支持基板2上にAgを100nm、ITOを100nm、順に成膜した後、一般的なパターニング手法を用いて陽極3を形成する(ステップST2)。
次いで、上記陽極3上に有機層4を蒸着により形成する。正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層を順に数10nmずつ積層し、総膜厚を概ね100〜300nm程度とする(ステップST3)。
その後、上記有機層4上に内側電極10を成形する(ステップST4)。具体的には、まず、Li等のアルカリ土類金属とF等のハロゲンとの化合物を用いて膜厚数nm程度の電子注入用電極を有機層4上に形成した後、さらにその上にAl等を用いて概ね数10nm程度でごく薄く透過率が数十%の保護電極(半透明電極)を形成する。
しかる後、上記内側電極10上にITOを用いて膜厚100nmの外側電極(透明電極)11を形成する。これにより、有機EL素子6が形成される(ステップST5)。外側電極11の形成法としては、以下に述べるイオンビームスパッタリング成膜法を用いる。
次に、上記構造上にSiONを用いて膜厚200nmの封止膜7を形成し、有機EL素子6を封止膜7で覆う(ステップST6)。封止膜7の形成法としては、上記外側電極11と同じイオンビームスパッタリング成膜法を用いる。
その後、ガラス製の封止基板8を上方にセットして支持基板2と封止基板8との間にエポキシ系の透明接着樹脂9を充填し、有機EL素子6を透明接着樹脂9に埋設する(ステップST7)。これにより、有機EL表示装置1が形成される。
なお、本例にでは、有機EL表示装置1を図1に示すように模式的に示しているが、例えば、アクティブマトリクス型の有機EL表示装置の場合には、ガラス基板にTFT回路と配線が事前に形成されており、絶縁膜を通して有機EL素子と接続される。
つまり、まず、ガラス基板上にTFT回路と配線を形成した後、例えばアクリル系やイミド系よりなる絶縁膜を全体に塗布してから、陽極及び陰極とTFT回路・配線とを接続するスルーホールを形成する。次いで、先に述べたように、陽極を成膜し、パターニングした後、各画素間の間に位置して陽極のエッジ部を覆うように絶縁膜を形成する。その後、既に述べたような手順によって有機EL表示装置を形成する。その際、各端子取出部は貼合せ基板よりも外側に露出するようにしておく。設計に応じては、この後さらに、カラーフィルターや偏光板等を貼り合せてもよい。また、有機EL照明装置等のデバイスであれば、陽極、陰極に取出部が形成される。
上記外側電極11は、図3に示すイオンビームスパッタリング成膜装置101を用いて形成される。
<イオンビームスパッタリング成膜装置101の構成>
図3中、102は成膜チャンバであり、該成膜チャンバ102内の下方には、成膜材料であるターゲット(成膜材料源)Tがセットされるホルダ103と、ターゲットTをスパッタするイオンビームガン(イオンビーム源)104とが配置されている。また、成膜チャンバ102内の上方には、上記ステップST4で内側電極10(電子注入用電極10a、保護電極10b)が形成された支持基板2をセットする基板ホルダ105が配置されている。このイオンビームスパッタリング成膜装置101を用いることで、コンベンショナルなDCやRFスパッタと比べ、より高真空での成膜が可能となり、かつより高エネルギーのビームによるスパッタリングが可能となる。また、ターゲットT、支持基板2、イオンビームガン104の構成が独立しているために多彩な配置での成膜が可能となる。したがって、高い品質の成膜が可能な装置である。
<イオンビームスパッタリング成膜法による外側電極11の形成>
上記ターゲットTとしては、本例ではITO焼結体を用いる。また、上記イオンビームガン104内にはAr及びOガスが導入され、内部でそれらのプラズマを発生させてArとOイオンとを引き出すことで、イオンビームBを生成する。このイオンビームBがターゲットTに照射されてターゲット材料がスパッタされ、支持基板2上へ到達することによって成膜される。
<成膜条件>
イオンビームパワー:2.2kW
ビーム断面積SB1:340cm
ビームエネルギー密度:5.3W/cm
成膜膜厚:100nm
成膜ガス流量としてAr:20sccm、O:10sccmを導入
ターゲット材質:ITO(SnOが10wt%)の焼結体
ターゲット密度:相対密度99%以上品
このようにしてITO膜(外側電極11)が成膜された有機EL素子6のデータを、イオンビーム源のパワーを変えてITO膜を成膜したときのデータと共に図4〜図6に示す。図4は印加電圧と電流密度との関係を示すグラフである。図5は印加電圧と輝度との関係を示すグラフである。図6はイオンビーム源のパワーを変えて得た各種のデータ表である。
これらのデータによると、上述の如くイオンビームパワーが2.2kWでITOが成膜された有機EL素子6は、ITOを成膜しない素子に比べ、電圧印加時の初期におけるリーク電流の発生や、同一印加電圧に対する電流密度の減少が見られなかった。したがって、ITO成膜時のスパッタ粒子の到達による有機層4へのダメージはないと考えられる。
また、発光効率に関しては、非成膜状態よりも、約1.1倍の上昇が見られた。これは、有機層4の屈折率(約1.8)に対し、本例でのITO膜の屈折率が1.85とほぼ等しく、さらに上層の封止膜7であるSiONの屈折率もほぼ等しく1.8であることから、光取出し方向において大きな屈折率段差がないために、ITO膜中に光が閉じ込められることがなくなり、全体としての光取出し効率が上昇したためである。
また、保管試験においては、本素子を雰囲気温度:60℃、湿度:90%の環境で保存したところ、1000時間以上、発光部に暗部が生じるダークスポットの発生が見られなかった。これは、ITO膜に欠陥がなく、有機層4への水分の浸入が効果的に抑制されているためである。
また、図4の片対数グラフに示すように、イオンビームパワーが2.2kWを超えると、同一印加電圧値に対する電流密度の減少が見られる。これはITO成膜時において、有機層4へのスパッタ粒子の到達エネルギーが高すぎるため、有機層4へダメージを加えてしまったためと考えられる。
また、図5の片対数グラフに示すように、イオンビームパワーが2.2kWのときに最大の発光効率が得られているが、逆にイオンビームパワーが0.4kW、0.8kWと低い場合には、輝度がかえって低下している。これは、低エネルギー領域においては、ITO膜の屈折率が2.1近辺と高くなり、光取出し方向に屈折率段差が生じてしまうために、ITO膜内に光が閉じ込められてしまい、光取出し効率が低下するためである。
また、図6のデータ表に示すように、雰囲気温度:60℃、湿度:90%の高温高湿保管試験の結果、イオンビームパワーが2.6kW品において、400時間でダークスポットの発生が見られた。これは、ITO膜の相対密度が約84%で、膜欠陥が多い膜であり、そこを通して水分の浸入が生じたためと考えられる。しかし、有機層4へのダメージ及び光取出し効率は、イオンビームパワーが1.8kW品及び2.2kW品に比べて劣るものの、0.4kW品よりも良い結果が得られた。
また、イオンビームパワーが0.4kW時にかえって信頼性の低下が見られたのは、膜欠陥によるものでなく、イオンビームパワーが低いために密着性が低下して微小な膜剥がれが発生し、それによる信頼性の低下等の要因が考えられる。
以上のことから、次のことがいえる。
<形成されるITO膜の膜密度について>
ITO膜の膜密度は材料の真密度に対し85〜95%の範囲内が好ましく、このときイオンビームパワーにして0.8〜2.6kWの範囲内である。このときのITO膜の膜密度は材料の真密度に対し85〜95%の範囲内である。膜密度が材料の真密度に対し85〜95%であれば、ITO膜は欠陥がなく緻密な膜となり、有機EL表示装置1の封止膜として十分な性能を発揮することができる。この効果により、本実施形態においては、別途、200nmという比較的薄い封止膜7を加えるだけで、全体として十分な封止性能を発揮することが可能となっている。この効果により、プロセス工程数の低減、コストの大幅な低減が可能となる。
また、上記範囲内であれば、ITO等の外側電極(透明導電膜)11の屈折率が1.80から2.05となり、トップエミッション型に代表されるような、上方から光を取り出す構造の有機EL表示装置1に対しては、光取出し効率の観点からは、最も適した値となる。つまり、有機層4や最も一般的に使用されるSiON系封止膜の屈折率が1.80〜2.05であり、これらと外側電極11の屈折率との間に光取出し方向に亘って屈折率に大きな段差が生じず、界面反射率の低減と、特定の層内への光の閉じこもりを防ぐことができ、ひいては光取出し効率の向上、視野角特性の向上、ひいては消費電流の低減が可能となる。
なお、ITO膜の真密度の求め方を以下に示す。
2種類材料の密度は単純には、nA*αA+nB*αBとなる。
nA、nB:材料A、Bの密度
αA、αB:それぞれの体積分率
例えば、SnOが10wt%のITOの真密度は、Inの真密度が7.18g/cm、SnOの真密度が6.95g/cmであるから、7.156g/cmとなる。
したがって、ITO膜の膜密度が材料の真密度に対し85〜95%の範囲内であるということは、ITO膜の膜密度がほぼ6.0〜6.8の範囲内であることを意味し、図6のデータ表中、イオンビームパワーにして0.8〜2.6kWの範囲が該当する。
<イオンビームのエネルギー密度とターゲット密度について>
上記密度範囲の膜を得るために、イオンビームスパッタ法を用いる場合、ターゲットに照射されるイオンビームのエネルギー密度を2〜7W/cmに設定すればよい。この範囲内において、上記の膜密度が実現できるものである。
(実施形態2)
実施形態1では、外側電極11をイオンビームスパッタリング成膜法により形成したが、この実施形態2では、外側電極11をイオンプレーティング成膜法により形成している点が実施形態1と異なっている。その他は実施形態1と同様であり、有機EL表示装置1及びその製造方法で実施形態1と共通している点は実施形態1の説明に譲ることとし、以下、異なる点のみ説明する。
上記外側電極11は、図7に示すイオンプレーティング成膜装置201を用いて形成される。
<イオンイオンプレーティング成膜装置201の構成>
図7中、202は成膜チャンバであり、該成膜チャンバ202内の下方には、成膜材料であるソース(成膜材料源)Sがセットされるハース203が配置され、成膜チャンバ202の側壁下方寄りには、ソースSを加熱するプラズマビームガン(プラズマビーム源)204が配置されている。また、成膜チャンバ202内の上方には、上記ステップST4で内側電極10(電子注入用電極、保護電極)が形成された支持基板2をセットする基板ホルダ205が配置されている。
<イオンビームスパッタリング成膜法による外側電極11の形成>
上記ソースSとしては、本例ではIZO焼結体を用いる。また、上記プラズマビームガン204は、内部でArプラズマを発生させ、Arイオンを引き出してやることにより、Arビーム(イオンビーム)Bを生成するものである。支持基板2上への成膜は、このArビームが照射されることによって、ソースSが加熱昇華され、材料が支持基板2上へ飛散することによって成膜される。この間、飛散する材料はプラズマビーム領域を一部通過することになるので、イオン化され、これが支持基板2上に堆積することで強固な膜を形成する。
<成膜条件>
プラズマビームパワー:4.0kW
ビーム断面積SB2:12.56cm
ビームエネルギー密度:319W/cm
成膜膜厚:200nm、
成膜ガスとして、Ar:20sccm、O:10sccmを導入、
ソース材質:IZO(ZnOが10wt%)の焼結体
ソース密度:相対密度99%以上品
この材料の真密度は、Inの真密度が7.18g/cm、SnOの真密度が6.95g/cmであるから、7.156g/cmとなる。
実施形態2においても、比較のためにプラズマビームパワーをいくつかの条件に亘って振りながら同様の素子を作成した。その結果をまとめたものが図8のデータ表である。
これによれば、プラズマビームパワーにして3.0〜6.0kWの範囲が好ましく、このときのIZO膜の膜密度は材料の真密度に対し85〜95%の範囲内であり、この範囲内において、良好な光取出し効率と高温高湿保管試験特性を実現している。また、このときのソースSに照射されるプラズマビームのエネルギー密度は、200〜500W/cmである。
効果に関しては、実施形態1で述べたことと同様であり、成膜密度において、光取出し効率と高温高湿保管特性(封止性能)を両立している。
また、実施形態2においては、実施形態1とエネルギー密度が大きく異なっているが、これは手法の違いによるものであり、実施形態1では粒子を高エネルギーで叩き出すスパッタリング成膜法であり、良好な膜特性を実現できるのであるが、下地膜へのダメージは根本的に大きく、そのために有機層上へ成膜する場合には、低いエネルギー密度が必須条件となっている。
これに対して、イオンプレーティング成膜法は、根本的にはソースを発熱・昇華させて材料を成膜するものであるから、下地膜へのダメージは少ない手法である。しかしながら、逆に上記のように、ソースを昇華させるためには、大電流が必要となり、結果的に高いエネルギー密度が必須条件となる。
また、実施形態2においては、実施形態1と透明導電膜材料が異なっているが、一般的な透明導電膜材料は、複数の酸化物半導体が混合されたものであるという点は同じであり、特に本論で述べられているような、成膜中の膜欠陥の多少による膜密度変動という観点に立てば、ほぼ同じ議論が成り立つものと考えられる。
この発明は、上部電極側から光を取り出すトップエミッション構造の有機エレクトロルミネセンス装置及びその製造方法について有用である。
1 有機EL表示装置(有機エレクトロルミネセンス装置)
2 支持基板
3 陽極
4 有機層
5 陰極
6 有機EL素子(有機エレクトロルミネセンス素子)
7 封止膜
10 内側電極
10a 電子注入用電極
10b 保護電極
11 外側電極
101 イオンビームスパッタリング成膜装置
201 イオンプレーティング成膜装置
B イオンビーム
S ソース
T ターゲット

Claims (6)

  1. 支持基板上に光反射電極としての陽極、有機層及び光透過性を有する陰極が順に積層された有機エレクトロルミネセンス素子を備え、かつ該有機エレクトロルミネセンス素子が光透過性を有する封止膜で覆われ、上記陰極側から光を取り出すトップエミッション構造の有機エレクトロルミネセンス装置であって、
    上記陰極は、上記有機層上に積層され仕事関数の小さな材料を含む内側電極と、該内側電極上に積層され光透過率の高い材料からなる外側電極とからなり、
    上記外側電極の膜密度は、当該外側電極を構成する材料の真密度に対し85%〜95%に設定されていることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス装置。
  2. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置において、
    上記外側電極の膜厚は、50nm〜300nmに設定されていることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス装置。
  3. 請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネセンス装置において、
    上記有機層及び封止膜の屈折率は、1.80〜2.05であり、
    上記外側電極の屈折率も、1.80〜2.05に設定されていることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス装置において、
    上記内側電極は、仕事関数の小さな材料からなり上記有機層に電子を注入する電子注入用電極と、該電子注入用電極上に積層され当該電極を保護する保護電極とからなることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス装置において、
    上記外側電極は、ターゲットに照射されるイオンビームのエネルギー密度が2W/cm〜7W/cmに設定されたイオンビームスパッタリング成膜法により成膜されたものであることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス装置。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス装置において、
    上記外側電極は、ソースに照射されるイオンビームのエネルギー密度が200W/cm〜500W/cmに設定されたイオンプレーティング成膜法により成膜されたものであることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス装置。
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