JP2012059404A5 - - Google Patents

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非水電解液電池
本発明は、非水電解液に難燃化剤が添加されている非水電解液電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池等の非水電解液を用いた非水電解液電池は、高電圧でエネルギー密度が高く、小型化・軽量化が図れることから、パソコンや携帯電話等の情報端末等の電源を中心に広く一般に普及している。非水電解液電池で用いる非水電解液としては、エステル化合物及びエーテル化合物等の非プロトン性有機溶媒にLiPF等の支持塩を溶解させた溶液が用いられる。しかしながら、非プロトン性有機溶媒は可燃性であるため、電池の異常発熱時に電池が発火または膨張する等の問題がある。そのため、このような非水電解液電池の分野では、電池の発火または破裂を抑制して、安全性の高い非水電解液電池を製造することが要求される
た最近では、非水電解電池を電力貯蔵用電源や電気自動車用電源等の大型機器の電源用途に拡大する検討が進められている。そのため、このような大型機器の電源用途においても、電池の発火または破裂を抑制して、安全性の高い非水電解液電池を提供する必要がある。
特許文献1〜5には、非水電解液電池の安全性を高める技術として、難燃化材料を非水電解液に添加することにより、電池の発火または破裂を抑制する技術が開示されている。これらの技術では、いずれも難燃化剤としてホスファゼン化合物が用いられている。
特開平6−13108号公報 特開平11−144757号公報 特開2000−30740号公報 特開2001−23687号公報 特開2000−173619号公報
従来の非水電解液電池で用いられているホスファゼン化合物の化学構造は、非水電解液に対して高い難燃性を付与するために、ハロゲン元素(特にフッ素)を多く含む構造になっている。そのため、これらのホスファゼン化合物は、化学構造上、いずれも沸点が低く、常温で液体である。
特許文献1〜4に記載された技術のように、常温で液体のホスファゼン化合物を非水電解液の難燃化剤として添加すると、常温では難燃化剤が非水電解液電池に溶解または分散し、非水電解液の粘度が増加してイオン伝導性が低下する。その結果、電池内部の温度上昇がないとき電池特性(高電圧性能、高放電容量、大電流放電性など)が低下する問題がある。また、電池内部の温度上昇が起こると、非水電解液から液体の難燃化剤が揮発して、非水電解液中に存在する難燃化剤の量が減少し、非水電解液に対する難燃化の効果が低下する問題がある。さらに、特許文献5に記載された技術のように、ホスファゼンモノマーからなる難燃化剤で負極表面を被覆すると、液体のホスファゼン化合物が温度上昇時に気化する問題がある上に、負極表面に形成された難燃化剤の皮膜によりイオン透過性が悪くなって電池の内部抵抗が増大し、電池特性が低下する問題がある。
本発明の目的は、電池特性を低下させることなく、電池の発火または破裂を防ぐことができる非水電解液電池を提供することにある。
本発明の他の目的は、電池の異常発熱時に非水電解液に対して難燃性を確実に発揮することができる非水電解液電池を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、非水電解液を難燃化するのに十分な量の難燃化剤を非水電解液に添加することができる非水電解液電池を提供することにある。
本発明は、電池内部の温度上昇によって非水電解液が発火(combustion)することを抑制する難燃化剤が非水電解液に添加されている非水電解液電池を改良の対象とする。本発明の非水電解液電池では、難燃化剤として多数の難燃化剤粒子が非水電解液に添加されている。この難燃化剤粒子は、非水電解液の温度が、非水電解液が発火する可能性が高くなる基準温度以下では固体として存在して燃焼抑制機能を発揮せず、非水電解液の温度が基準温度を超えると少なくとも一部が液化して燃焼抑制機能を発揮する材料が粒子化されたものである。すなわち本発明で用いる難燃化剤粒子は、電池の正常時(非水電解液の発火を抑制する機能を発揮する必要がない場合)には、非水電解液中で固体として存在することができ、電池の異常発熱時(非水電解液の発火を抑制する機能を発揮する必要がある場合)には、非水電解液中で少なくとも一部が液体として存在する。
本発明によれば、電池内部の温度上昇が小さい正常時には、固体の難燃化剤粒子が非水電解液電池に溶解(または分散)しないため、電池の正常時において非水電解液の粘度が高くなることはなく、電池特性低下する問題は生じない。電池内部の温度が、非水電解液が発火するほどに上昇すると、難燃化剤粒子の全部又は一部が液体となって非水電解液電池に溶解(または分散)するため、電池の異常発熱時には非水電解液の発火を抑制する機能を発揮する。電池内部の温度上昇により一部が液化する難燃化剤粒子は、液化した後直ちに非水電解液から揮発(または気化)することはない。そのため、電池の異常発熱時において、非水電解液の発火を抑制するために必要な量の難燃化剤を非水電解液中に存在させることができる。
本発明で用いる難燃化剤粒子は、非水電解液電池の内部温度が90℃以下で非水電解液中に固体として存在するものを用いるのが好ましい。これは90℃以下で発火する非水電解液が使用されることはないからである。また、難燃化剤粒子としては、90〜120℃の範囲の融点をもつものを用いるのが好ましい。一般的に使用される非水電解液の熱分解温度は120℃より高い150℃である。したがって難燃化剤粒子の融点が90〜120℃であれば、非水電解液の温度が熱分解温度に達する前に、難燃化剤粒子の多くが液化して、発火抑制機能を発揮する状態になる。
難燃化剤粒子としては、ホスファゼン化合物の粒子を用いるのが好ましい。ホスファゼン化合物は、その構造から非水電解液内の酸素(例えば、電池の異常発熱時に正極で放出する酸素ラジカル)を捕獲(トラップ)する性質がある。この性質を利用すれば、ホスファゼン化合物の粒子を非水電解液に添加することにより、電池の熱暴走反応を抑制することができる。
本発明で用いるのに適したホスファゼン化合物としては、下記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物を用いることができる。
(NPR2)n ・・・ (I)
なお、上記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物としては、nが3または4の整数であり、Rが、それぞれ独立してハロゲン、アルコキシ基、アリールオキシ基またはアミノ基から構成された環状ホスファゼン化合物を用いるのが好ましい。上記一般式(I)で示される環状ホスファゼン化合物としては、例えば、nが3の整数であり、かつ、Rのうち4つがクロロ基、残りの2つがアミノメチル基であるものを用いることができる。また、上記一般式(I)で示されるその他の環状ホスファゼン化合物としては、nが3の整数であり、Rが全てフェノキシ基であるものを用いることができる。このようなホスファゼン化合物を用いると、非水電解液電池の内部温度が90℃以下では、ホスファゼン化合物の粒子が非水電解液電池に溶解(または分散)し難く、非水電解液電池の内部温度が90℃を超えたときに、ホスファゼン化合物の粒子の少なくとも一部が液化して非水電解液に溶解(または分散)することができる。
上記のホスファゼン化合物を用いる場合には、非水電解液100重量%に対して、ホスファゼン化合物の粒子を3.5重量%以上を添加するのが好ましい。ホスファゼン化合物の添加量が、非水電解液100重量%に対して、3.5重量%未満では、非水電解液の燃焼を十分に抑制することができない。なおホスファゼン化合物の添加量の上限は、必要とされる電池の特性と価格に応じて定められることになる。ホスファゼン化合物(難燃化剤)の添加による非水電解液の難燃化性能の向上と電池の製造コストを考慮すれば、ホスファゼン化合物の添加量は、非水電解液100重量%に対して、14.0重量%未満とするのが好ましい。
さらに、ホスファゼン化合物の粒子は、20μm以下の平均粒子径を有するものを用いるのが好ましい。平均粒子径が20μm以下のホスファゼン化合物は、非水電解液電池の内部温度が上昇した際に、固体から液体への変化する速度(液化する速度)が速くなる。ホスファゼン化合物(難燃化剤)の液化が速く進む分だけ、さらに液化したホスファゼン化合物(難燃化剤)が非水電解液に溶解または分散する速度も速くなる。その結果、非水電解液電池の内部温度の上昇に対応して非水電解液の発火を抑制する機能を発揮することができる。なお、平均粒子径が20μmを超えるホスファゼン化合物は、非水電解液電池の内部温度が上昇した際に、固体から液体へ変化する速度(液化する速度)が遅くなる。なお、ホスファゼン化合物の粒子の平均粒子径の下限値は特に限定されるものではない。しかしながら、現状では、平均粒子径が5μm未満のホスファゼン化合物の粒子を製造するのは実際上困難であるため、ホスファゼン化合物の粒子の平均粒子径の下限値は5μmと定めることができる。
(A)は本発明の非水電解液電池として用いるリチウムイオン二次電池の内部を透視した状態で示した概略図であり、(B)は(A)のIB−IB線断面図である。 本発明の非水電解液電池の内部短絡時におけるホスファゼン化合物の添加量と電池の難燃性および電池特性との関係を示す図である。 本発明の非水電解液電池の内部短絡時における他のホスファゼン化合物の添加量と電池の難燃性との関係を示す図である。 本発明で用いる難燃化剤粒子(ホスファゼン化合物の粒子)の平均粒子径と電池の難燃性との関係を示す図である。 本発明で用いる難燃化剤粒子(ホスファゼン化合物の粒子)の融点と電池の難燃性および電池特性との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1(A)は、本発明の非水電解液電池の実施の形態であるリチウムイオン二次電池の内部を透視状態で示した概略図であり、図1(B)は、図1(A)のIB−IBの断面図である。このリチウムイオン二次電池1は、正極リード端子3aを備える正極板3と、負極リード端子5aを備える負極板5と、正極板3と負極板5との間に配置されたセパレータ7と、リチウム塩を有機溶媒に溶解させた非水電解液9とを備える。正極板3、負極板5およびセパレータ7は、積層されて積層体11を構成する。積層体11は、正極リード端子3aおよび負極リード端子5aが外部に接続可能な状態でケース13内に収納されている。ケース13内は、非水電解液9が充填された状態で真空になっている。本例では、このようなリチウムイオン二次電池1を、以下のように作製した。
(正極板の作製)
まず、正極板の正極活物質として、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を用意する。このリチウムコバルト複合酸化物と、導電剤であるアセチレンブラックと、結着剤であるポリフッ化ビニリデンとを、質量比90:5:5で混合し、これをN−メチルピロリドンの溶媒に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体としてのアルミニウム箔に塗布して乾燥した後、プレス加工を施して、正極シートを作製した。この正極シートを10cm×20cmに切り取り、アルミニウム箔の集電タブを溶接して正極板3を作製した。
(負極板の作製)
まず、負極活物質として、人造黒鉛を用意する。この人造黒鉛と、結着剤であるポリフッ化ビニリデンとを、質量比90:10で混合し、これをN−メチルピロリドンの溶媒に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、銅箔の負極集電体に塗布して乾燥した後、プレス加工を施して、負極シートを作製した。この負極シートを10cm×20cmに切り取り、切り取ったシートにニッケル箔の集電タブを溶接して負極板5を作製した。
(積層体の作製)
このように作製した正極板と負極板との間に、ポリエチレンからなるセパレータシートを挟んで、正極板、負極板およびセパレータシートを積層して電池容量が8Ahになるように積層体11を作製した。
(非水電解液の調製)
まず、エチレンカーボネート50体積%とジメチルカーボネート50体積%とからなる混合溶媒を調製した。この混合溶媒に、濃度が1mol/LになるようにLiPF6 を溶解させて電解質溶液を調製した。調製した電解質溶液に、難燃化剤として以下に示す環状ホスファゼン化合物を適宜添加して、非水電解液9を調製した。
(難燃化剤の成分および融点)
本例では、難燃化剤として、以下の環状ホスファゼン化合物(ホスファゼン化合物A〜G)を用いた。ホスファゼン化合物Aは、上記一般式(I)においてnが3であって、全Rのうち4つがクロロ基で、2つがアミノメチル基の環状ホスファゼン化合物(融点は99℃)である。ホスファゼン化合物Bは、上記の一般式(I)において、nが3であって、6つのRが全てフェノキシ基の環状ホスファゼン化合物(融点は110〜111℃)である。ホスファゼン化合物Cは、上記の一般式(I)において、nが3であって、全Rのうち5つがクロロ基で、1つがフェノキシ基の環状ホスファゼン化合物(融点は20℃)である。ホスファゼン化合物Dは、上記の一般式(I)において、nが3であって、6つのRが全てアミノプロピル基の環状ホスファゼン化合物(融点は90℃)である。ホスファゼン化合物Eは、上記の一般式(I)において、nが3であって、6つのRが全てアミノエチル基の環状ホスファゼン化合物(融点は120℃)である。ホスファゼン化合物Fは、上記の一般式(I)において、nが3であって、全Rのうち2つがクロロ基で、2つがフェニル基、2つがアミノメチル基の環状ホスファゼン化合物(融点は132℃)である。ホスファゼン化合物Gは、上記の一般式(I)において、nが3であって、6つのRが全てアミノエチル基の環状ホスファゼン化合物(融点は145℃)である。
(電池の組立)
熱融着フィルム(アルミラミネートフィルム)からなる一端が開口した外装材(後にケース13となる)の中に、作製した積層体11を挿入し、さらに調製した非水電解液9を外装材中に注入した。その後、外装材中を真空にして、すばやく外装材の開口部をヒートシールして、平板状ラミネート電池の構造を有する非水電解液電池(リチウムイオン二次電池1)を作製した。
(難燃性の評価/釘刺し試験)
上記のように作製した非水電解液電池(ラミネート電池)について、難燃性(電池の安全性)を評価した。難燃性の評価は、釘刺し試験により行った。釘刺し試験では、まず、25℃の環境下で、4.2〜3.0Vの電圧範囲で、0.1mA/cmの電流密度による充放電サイクルを2回繰り返し、さらに4.2Vまで電池の充電を行った。その後、同じ25℃の温度条件下で、軸部の直径が3mmのステンレス鋼製の釘を、速度0.5cm/sで電池の側面の中心に垂直に突き刺すことにより、電池の発火・発煙の有無および電池の破裂・膨張の有無を確認した。
(電池特性の評価/高率放電試験)
作製した非水電解液電池(ラミネート電池)について、電池特性を評価した。電池特性の評価は、高率放電試験により行った。高率放電試験では、まず、上記の釘刺し試験と同じ条件で充放電サイクルを繰り返して4.2Vまで電池の充電を行った。充電した後、電流24A、終止電圧3.0Vの定電流放電を行った。これにより得られた放電容量を高率放電容量とした。
非水電解液に難燃化剤(難燃化剤粒子)として上記の環状ホスファゼン化合物の粒子を添加した場合に、環状ホスファゼン化合物の添加量と電池の難燃性との関係を確認した。本例ではまず、環状ホスファゼン化合物としてホスファゼン化合物Aを用いて、ホスファゼン化合物Aの添加量を変化させた実験例1〜8について、難燃性の評価を行った。なお、ホスファゼン化合物Aの添加量は、非水電解液100重量%に対するホスファゼン化合物Aの重量%とした。難燃性の評価結果は表1及び図2に示すとおりである。
Figure 2012059404
表1及び図2に示すように、ホスファゼン化合物Aを添加しない例(実験例1)では電池の発煙が確認され、ホスファゼン化合物Aを添加しない例(実験例1)および1.0重量%添加した例(実験例2)では電池の膨張が確認された。これに対して、ホスファゼン化合物Aを3.5〜20.0重量%添加した例(実験例3〜8)では、電池の発火・発煙および電池の破裂・膨張は確認されなかった。これらの結果から、ホスファゼン化合物Aを3.5〜20.0重量%添加した非水電解液電池では、内部短絡時の熱暴走を抑えることができ、非水電解液電池の安全性が高まることが分かった。すなわち、ホスファゼン化合物Aの添加量が3.5重量%未満では、電池の熱暴走を抑える効果が不十分であることが分かった。したがって、ホスファゼン化合物Aの添加量は、非水電解液100重量%に対して少なくとも3.5重量%とするのが好ましい。なお、ホスファゼン化合物Aの添加量の上限は定めなくてもよい。しかしながら、表1および図2から、ホスファゼン化合物Aの添加量が3.5〜14重量%では内部短絡時の電池温度に顕著な変化が認められるものの、ホスファゼン化合物Aの添加量が14〜20重量では内部短絡時の電池温度に大きな変化は認められない。したがって、難燃化剤の添加量に対する難燃化効果および電池の製造コストを考慮して、ホスファゼン化合物Aの添加量の上限を14重量%とすることができる。
また、環状ホスファゼン化合物としてホスファゼン化合物Bを用いて、ホスファゼン化合物Bの添加量を変化させた実験例9〜16についても、難燃性の評価を行った。なお、ホスファゼン化合物Bの添加量は、非水電解液100重量%に対するホスファゼン化合物Bの重量%とした。難燃性の評価結果は表2及び図3に示すとおりである。
Figure 2012059404
表2及び図3に示すように、ホスファゼン化合物Bを添加しない例(実験例9)では電池の発煙が確認された。また、ホスファゼン化合物Bを添加しない例(実験例9)および1.0重量%添加した例(実験例10)では、電池の膨張が確認された。これに対して、ホスファゼン化合物Bを3.5〜20.0重量%添加した例(実験例11〜16)では、電池の発火・発煙および電池の破裂・膨張は確認されなかった。これらの結果から、ホスファゼン化合物Bを添加した場合も、添加量を3.5〜20.0重量%とした非水電解液電池が、内部短絡時の熱暴走を抑えることができ、非水電解液電池の安全性が高まることが分かった。すなわち、ホスファゼン化合物Aの添加量が3.5重量%未満では、電池の熱暴走を抑える効果が不十分であることが分かった。したがって、ホスファゼン化合物Bの添加量も、非水電解液100重量%に対して少なくとも3.5重量%とするのが好ましい。
次に、非水電解液に難燃化剤粒子として環状ホスファゼン化合物の粒子を添加した場合に、環状ホスファゼン化合物の添加量と電池特性との関係を確認した。本例では、環状ホスファゼン化合物としてホスファゼン化合物Aを用いて、ホスファゼン化合物Aの添加量を変化させた実験例17〜24について、電池特性の評価(高率放電試験)を行った。この場合もホスファゼン化合物Aの添加量は、非水電解液100重量%に対するホスファゼン化合物Aの重量%とした。また、電池特性は、ホスファゼン化合物Aを添加しない例(実験例17)の高率放電容量を100%として、これと比較したホスファゼン化合物Aを1.0〜20.0重量%添加した例(実験例1824)の高率放電容量(%)で示した。難燃性の評価結果は表3及び図2に示すとおりである。
Figure 2012059404
表3及び図2に示すように、ホスファゼン化合物Aを添加しない例(実験例17)の高率放電容量を100%とすると、ホスファゼン化合物Aの添加量が1.0〜3.5重量%の例(実験例18及び19)では100%の高率放電容量が維持され、ホスファゼン化合物Aの添加量が5.0〜20.0重量%の例(実験例20〜24)でも99%以上の高率放電容量であった。これらの結果は、ホスファゼン化合物Aの添加量が増加しても、電池特性にほとんど影響を与えないことを示している。すなわち、使用環境に応じてホスファゼン化合物Aの添加量を増加させれば、電池特性を低下させることなく、電池の難燃性を向上させることができる。
さらに、非水電解液に難燃化剤粒子として環状ホスファゼン化合物の粒子を添加した場合に、環状ホスファゼン化合物の粒子の平均粒子径と電池の難燃性との関係を確認した。本例では、環状ホスファゼン化合物としてホスファゼン化合物Aを用いて、ホスファゼン化合物Aの粒子の平均粒子径を変化させた実験例25〜29について、難燃性の評価(釘刺し試験)を行った。なお、ホスファゼン化合物Aの添加量は、非水電解液100重量%に対して3.5重量%(電池の難燃性を発揮する最小限の添加量)に定めた。難燃性の評価結果は表4及び図4に示すとおりである。
Figure 2012059404
表4及び図4に示すように、ホスファゼン化合物A粒子の平均粒子径が40μm(実験例25)及び30μm(実験例26)では、電池の膨張が確認された。これに対して、ホスファゼン化合物A粒子の平均粒子径が5.0〜20μm(実験例27〜29)では、電池の発火・発煙及び電池の破裂・膨張は確認されなかった。これらの結果から、平均粒子径が5.0〜20μmのホスファゼン化合物A粒子を添加した非水電解液電池は、内部短絡時の熱暴走を抑えることができ、非水電解液電池の安全性が高まることが分かった。すなわち、平均粒子径が5.0〜20μmのホスファゼン化合物A粒子を添加した非水電解液電池は、電池の熱暴走を抑える効果が不十分であることが分かった。この結果は、平均粒子径が20μm以下のホスファゼン化合物A粒子は、電池の異常発熱時になるとホスファゼン化合物Aの一部が固体から液体に変化する速度(液化速度)が速くなることを示している。言い換えると、平均粒子径が20μm以下のホスファゼン化合物A粒子を添加した非水電解液電池では、ホスファゼン化合物A粒子の液化速度が速くなることにより、液化したホスファゼン化合物Aが非水電解液に溶解または分散する速度も速くなって、電池の熱暴走を抑える効果が向上したものと考えられる。一方、平均粒子径が20μmを超えるホスファゼン化合物A粒子は、異常発熱時になってもホスファゼン化合物Aの液化速度が遅いため、電池の熱暴走を抑える効果が阻害されたものと考えられる。このように、難燃化剤の平均粒子径と難燃化効果との関係から、ホスファゼン化合物A粒子の平均粒子径は、20μm以下であることが好ましい。なお、実際に製造可能なホスファゼン化合物A粒子を考慮して、ホスファゼン化合物A粒子の平均粒子径は、5〜20μmの範囲であることが好ましい。
また、非水電解液に難燃化剤粒子として環状ホスファゼン化合物の粒子を添加した場合に、環状ホスファゼン化合物の粒子の融点と電池の難燃性との関係を確認した。本例では、環状ホスファゼン化合物として融点が異なるホスファゼン化合物A〜G(実験例30〜36)について、難燃性の評価(釘刺し試験)および電池特性の評価(高率放電試験)を行った。なお、ホスファゼン化合物A〜のいずれの添加量も、非水電解液100重量%に対して3.5重量%(電池の難燃性を発揮する最小限の添加量)に定めた。また、電池特性は、上述の表3及び図2で示した電池特性が良好なホスファゼン化合物A(実験例32)の高率放電容量を100%として、これと比較した各ホスファゼン化合物の高率放電容量(%)で示した。難燃性及び電池特性の評価結果は表5及び図5に示すとおりである。
Figure 2012059404
表5及び図5に示すように、融点が20℃のホスファゼン化合物C(実験例30)、融点が132℃のホスファゼン化合物F(実験例35)及び融点が145℃のホスファゼン化合物G(実験例36)では、電池の膨張が確認された。また、融点が20℃のホスファゼン化合物C(実験例30)では、高率放電容量が著しく低下した。これに対して、融点が90〜120℃のホスファゼン化合物A、B、D及びE(実験例31〜34)では、電池の発火・発煙、電池の破裂・膨張、および高率放電容量の低下は確認されなかった。これらの結果から、融点が90〜120℃のホスファゼン化合物を添加した非水電解液電池は、電池特性が低下することなく、内部短絡時の熱暴走を抑えられる(電池の安全性が高くなる)ことが分かった。すなわち、融点が90℃未満(常温で液体)または120℃を超えるホスファゼン化合物を添加した非水電解液電池では、電池特性もしくは電池の熱暴走を抑える効果が不十分であることが分かった。融点が90℃未満(常温で液体)のホスファゼン化合物の場合、電解液中に溶解した状態存在することにより電解液の粘度が上昇する。このため、電解液中でのリチウムイオンの移動が阻害され高率放電特性が低下する。また、融点が90℃未満のホスファゼン化合物は、電池の異常発熱時(電池の難燃性を発揮する必要がある場合)になると、液化してさらに揮発(または気化)し易くなるため、また、融点が120℃を超えるホスファゼン化合物は、電池の異常発熱時(電池の難燃性を発揮する必要がある場合)になっても、液化し難く固体の状態が保持され易く、非水電解液に溶解(または分散)し難いため、いずれの場合も内部短絡時の熱暴走を抑える効果が低下したものと考えられる。さらに、融点が90℃未満(常温で液体)のホスファゼン化合物は、電池の正常時(電池の難燃性を発揮する必要がない場合)でも、非水電解液に溶解(または分散)して非水電解液の粘度を増加させる等により、電池特性が低下したものと考えられる。したがって、難燃化剤として用いる環状ホスファゼンとしては、融点が90〜120℃のホスファゼン化合物を用いるのが好ましい。
以上、本発明の実施の形態および実施例について具体的に説明した。しかしながら、本発明は、これらの実施の形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく変更が可能であるのは勿論である。
本発明によれば、非水電解液の温度が非水電解液が燃焼を開始する可能性が高くなる基準温度以下では固体として存在して燃焼抑制機能を発揮せず、非水電解液の温度が基準温度を超えると少なくとも一部が液化して燃焼抑制機能を発揮する材料からなる多数の難燃化剤粒子を非水電解液に添加するため、電池特性の低下が小さく、電池内部の温度上昇があった場合にだけ非水電解液の発火・破裂を抑制する機能を発揮する非水電解液電池を提供することができる。
1 リチウムイオン二次電池
3 正極板
5 負極板
7 セパレータ
9 非水電解液
11 積層体
13 ケース
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