JP2012058124A - レーザ測距装置 - Google Patents

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一弘 柴谷
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Abstract

【課題】簡単な測定作業で任意の2点間距離を非接触で測定することができるレーザ測距装置を提供する。
【解決手段】レーザ測距装置1は、測定対象物10上の任意の2点A,B間距離LABを非接触で測定するレーザレーダ方式の測距装置である。レーザダイオード2はレーザ光を射出し、スキャナ3はレーザダイオード2からのレーザ光を偏向させて2点A,Bに対して順に照射する。フォトダイオード6は、2点A,Bで反射したレーザ光をそれぞれ受光して信号を出力する。演算制御部7は、フォトダイオード6からの出力信号とスキャナ3の動作情報を用いて2点A,B間距離LABを算出する。スキャナ3は、2点A,Bを含む直線上での1次元走査が可能であり、2点A,B間の線分ABをレーザ光の1次元走査により描画表示する。
【選択図】図3

Description

本発明はレーザ測距装置に関するものであり、例えば、建造物の壁面,柱等における2点間の直線距離を測定するレーザレーダ方式の測距装置に関するものである。
従来より、任意の2点間距離を非接触で測定したいという要望がある。これに応えるため様々なレーザ測距装置が提案されており、既に製品化されているものもある。例えば非特許文献1に記載されているように、ピタゴラスの定理を利用した測定モード(シングルピタゴラス,ダブルピタゴラス,コンビネーションピタゴラス等)で2点間距離の測定を行うレーザ距離計が知られている。また特許文献1では、測距動作を2回行って、1回目の測距動作時には測定対象の2点方向の成す角度を計測することにより、2点間距離を測定するレーザ測距装置が提案されている。なお、任意の2点間距離を測定するものではないが、レーザ光を利用した寸法測定システム(特許文献2)も従来より知られている。
特開2005−156203号公報 特開2002−328008号公報
Press Release(ボッシュ レーザー距離計2機種を発表) March 2010(ボッシュ)、インターネット<URL:http://www.bosch.co.jp/jp/press/pdf/rbjp-100301-01.pdf>
しかし、従来より提案されているレーザ測距装置では、煩雑な測定作業が必要である。例えば、非特許文献1に記載のレーザ距離計では、直角三角形を形成することが必要であり、非接触で任意の2点間距離を測定するには複数の距離測定を行う必要がある。また、特許文献1に記載のレーザ測距装置では、角度計測の際に手作業が介在し、2点間距離の測定に手間がかかるという問題がある。特許文献2に記載されているようなレーザ光を利用した寸法測定システムでは、任意の2点間距離を測定することができず、寸法を得るための処理に長時間を要してしまう。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡単な測定作業で任意の2点間距離を非接触で測定することができるレーザ測距装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明のレーザ測距装置は、測定対象物上の任意の2点間距離を非接触で測定するレーザレーダ方式の測距装置であって、レーザ光を射出する投光部と、前記投光部からのレーザ光を偏向させて前記測定対象物上の任意の2点に対して順に照射し、かつ、前記任意の2点を含む直線上での1次元走査が可能なスキャナと、前記任意の2点で反射したレーザ光をそれぞれ受光して信号を出力する受光部と、前記受光部からの出力信号と前記スキャナの動作情報を用いて前記任意の2点間距離を算出する演算制御部と、を有することを特徴とする。
第2の発明のレーザ測距装置は、上記第1の発明において、前記演算制御部が、レーザ光の偏向位置から前記任意の2点までの距離と、レーザ光の偏向位置と前記任意の2点とを結ぶ線分により挟まれた角度と、から前記任意の2点間距離を算出することを特徴とする。
第3の発明のレーザ測距装置は、上記第2の発明において、前記演算制御部が、前記レーザ光の偏向位置から前記任意の2点までの距離をTOF方式で測定し、前記線分により挟まれた角度を前記スキャナの振り角度から検出することを特徴とする。
第4の発明のレーザ測距装置は、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記投光部がレーザ光として可視光を射出するレーザダイオードから成り、前記スキャナが前記任意の2点又はその2点間の線分を前記可視光の1次元走査により測定対象物上に描画表示することを特徴とする。
第5の発明のレーザ測距装置は、上記第4の発明において、前記描画表示を行うために、前記レーザダイオードの発光タイミングと、前記スキャナの振り角度と、のうちの少なくとも一方を前記演算制御部が制御することを特徴とする。
第6の発明のレーザ測距装置は、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記投光部が、レーザ光として赤外光を射出する赤外レーザダイオードと、レーザ光として可視光を射出する可視光レーザダイオードと、から成り、前記スキャナが前記任意の2点又はその2点間の線分を前記可視光の1次元走査により測定対象物上に描画表示することを特徴とする。
第7の発明のレーザ測距装置は、上記第6の発明において、前記描画表示を行うために、前記可視光レーザダイオードの発光タイミングと、前記スキャナの振り角度と、のうちの少なくとも一方を前記演算制御部が制御することを特徴とする。
第8の発明のレーザ測距装置は、上記第1〜第7のいずれか1つの発明において、前記スキャナがミラーでレーザ光を偏向反射させる1次元スキャナであることを特徴とする。
第9の発明のレーザ測距装置は、上記第1〜第7のいずれか1つの発明において、前記スキャナがミラーでレーザ光を偏向反射させる2次元スキャナであり、1走査方向にのみレーザ光を偏向させて前記任意の2点に対する照射を行うことを特徴とする。
本発明によれば、1次元走査が可能なスキャナで測定対象物上の任意の2点に対して順に照射する構成になっているため、煩雑な測定作業が不要である。したがって、簡単な測定作業で任意の2点間距離を非接触で測定することができる。また、測定したい2点間距離に関して、その両端点である2点又はその2点間の線分を可視光の1次元走査により測定対象物上に描画表示する構成にすれば、測定したい箇所を目視確認しながら測定することができる。
レーザ測距装置の概略構成例を模式的に示す断面図。 レーザ測距装置から測定対象物までの距離の測定を説明するための模式図。 測定対象物上の任意の2点間距離の測定状態を模式的に示す断面図。 レーザ測距装置に用いられるスキャナの第1の具体例を示す斜視図。 レーザ測距装置に用いられるスキャナの第2の具体例を示す斜視図。 レーザ測距装置の外観を示す平面図。 レーザ測距装置による2点間距離の指示を説明するための模式図。 2点間の線分をレーザ走査により描画表示している状態を示す模式図。 レーザ測距装置の使用例を示す模式図。 レーザ測距装置の測定モード切り替え動作の制御を示すフローチャート。 レーザ測距装置の2点間距離の測定動作の制御を示すフローチャート。
以下、本発明を実施したレーザ測距装置等を、図面を参照しつつ説明する。なお、各具体例等の相互で同一の部分や相当する部分には同一の符号を付して重複説明を適宜省略する。
図1に、スキャナ3を内蔵したレーザ測距装置1の概略図を示す。このレーザ測距装置1は、測定対象物10上の任意の2点間距離を非接触で測定するレーザレーダ方式の測距装置であり、レーザダイオード(LD)2,スキャナ3,照射窓4,受光レンズ5,フォトダイオード(PD)6,演算制御部7等を有している。
レーザダイオード2は、レーザ光を射出する投光部であり、ここでは、レーザ光として可視光を射出する可視光レーザダイオードを想定している。ただし、レーザ光として赤外光を射出する赤外レーザダイオードと、レーザ光として可視光を射出する可視光レーザダイオードと、で投光部を構成し、赤外光を測距用とし、可視光を描画表示用としてもよい。
スキャナ3は、レーザダイオード2からのレーザ光をミラー3aで反射させてレーザ光の偏向を行い、測定対象物10上でレーザ光の1次元走査を行うことが可能に構成されている。ここで想定しているスキャナ3は、ミラー3aでレーザ光を偏向反射させる1次元スキャナである。ただし、ミラー3aでレーザ光を偏向反射させる2次元スキャナをスキャナ3として用いてもよく、その場合、1走査方向にレーザ光を偏向させて前記任意の2点に対する照射を行うようにすればよい。なお、スキャナ3の具体的な構成については後で詳述する。
フォトダイオード6は、測定対象物10で反射したレーザ光(反射光Lr)を受光して信号を出力する受光部である。また、演算制御部7は、フォトダイオード6等からの出力信号やスキャナ等の動作情報を用いて所定の演算を行ったり、スキャナ3等の駆動,制御等を行ったりする部分である。
レーザダイオード2から出射したレーザ光は、スキャナ3のミラー3aで反射され、照射窓4から照射光Liとして出射して、測定対象物10を照射する。測定対象物10で反射したレーザ光(反射光Lr)は、受光レンズ5で集光されてフォトダイオード6により検出される。フォトダイオード6で検出された信号は演算制御部7に送られて、レーザ測距装置1から測定対象物10までの距離等が演算制御部7により算出される。
測定対象物10上の任意の2点間距離の測定には、レーザ測距装置1から測定対象物10までの距離が用いられる。そして、レーザ測距装置1から測定対象物10までの距離の測定には、TOF(Time of flight)方式が用いられる。図2に示すように、レーザダイオード2とフォトダイオード6とを等価位置に設定し、レーザ測距装置1から測定対象物10までの距離をLとし、レーザダイオード2から出射したレーザ光が測定対象物10で反射されてフォトダイオード6に戻ってくるまでの時間(レーザ測距装置1と測定対象物10との間の往復時間)を△tとする。距離Lは式:L=△t/2×cで表されるので(ここで、cは光速である。)、時間△tを計測すれば、距離Lを算出することできる。TOF方式に用いる時間△tは、レーザダイオード2の発光時とフォトダイオード6での受光時との差であるため、演算制御部7により算出可能である。
さらに、測定対象物10上の任意の2点間距離の測定には、レーザ光の偏向位置と前記任意の2点とを結ぶ線分により挟まれた角度が用いられる。スキャナ3は、図3に示すように、レーザダイオード2からのレーザ光を偏向させて測定対象物10上の任意の2点A,Bに対して順に照射するとともに、その2点A,Bを含む直線上での1次元走査が可能に構成されている。したがって、レーザ光Liの偏向位置Oと任意の2点A,Bとを結ぶ線分OA,OBにより挟まれた角度θは、スキャナ3の振り角度から検出することができる。
図3に示すように、任意の点Aと任意の点Bとの間の距離(線分ABの長さ)をLABとし、レーザ光Liの偏向位置Oから点Aまでの距離(線分OAの長さ)をL1とし、レーザ光Liの偏向位置Oから点Bまでの距離(線分OBの長さ)をL2とする。距離L1,L2はTOF方式による測定結果から算出することができ(レーザダイオード2から偏向位置Oまでの距離を距離Lから引くと距離L1,L2になる。)、角度θはスキャナ3の振り角度から検出することができる。これらの情報から、距離LABは余弦定理の式:LAB=√(L12+L22−2×L1L2cosθ)を用いて算出することが可能である。
図4に、1次元スキャナ3Aを示す。この1次元スキャナ3Aは、スキャナ3の第1の具体例であり、ミラー3a,モータ3j,エンコーダ3k等で構成されている。そして、前述したように、レーザダイオード2からのレーザ光を偏向反射させて測定対象物10上の2点A,Bに対して順に照射し、かつ、2点A,Bを含む直線上での1次元走査が可能に構成されている。モータ3jの具体例としては、ガルバノモータ,ステッピングモータ,超音波モータ等が挙げられる。
図5に、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナ3Bを示す。このMEMSスキャナ3Bは、スキャナ3の第2の具体例である。MEMSミラーとしては、電磁式,静電式,圧電式が知られているが、ここでの例は圧電式である。MEMSスキャナ3Bは、シリコンをエッチング加工した基板で構成されており、圧電素子として4枚のPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)3eが基板に貼り付けられることにより、固定枠3dから延びた4枚のユニモルフを構成している。4枚のユニモルフにはミラー保持枠3cがX軸部で連結しており、ミラー保持枠3c内にはトーションバー3bを介してミラー3aが設けられている。
このMEMSスキャナ3Bは、ミラー3aでレーザ光を偏向反射させる2次元スキャナとしての機能を有しており、4枚のPZT3eを変位させることで、ミラー保持枠3cをX軸回りに回転させて、ラスタスキャンの垂直方向(縦方向)の走査を実現する(60Hz)。また同時に、ミラー3aとトーションバー3bによる振動部の共振周波数(30KHz)で加振することにより、Y軸回りに共振振動を起こし、ラスタスキャンの水平方向(横方向)の走査を実現する。ただし、ここでは縦方向の走査を行わず(0Hz)、横方向にのみレーザ光を偏向反射させて測定対象物10上の2点A,Bに対して順に照射し、かつ、2点A,Bを含む直線上での1次元走査を可能としている。
圧電式のMEMSスキャナ3Bの駆動方法には、共振周波数で駆動する方法と、電圧制御(低周波数)で駆動する方法とがある。電圧制御で駆動する場合、その印加電圧により振り角度を検出することが可能である。また、MEMSスキャナ3Bの振り角度は線分OA,OBにより挟まれた角度θに相当するので、共振周波数で駆動する場合、振り角度θは式:θ=αsinωΔtで算出される。ここで、αは共振時の振り角度振幅であり(既知である。)、ωは共振周波数である。印加電圧は正弦波電圧であり、印加電圧のタイミングより振り角度θを求めることができる。また、印加電圧より振り角度θを算出することも可能である。
図6に、レーザ測距装置1の外観を示す。レーザ測距装置1の筐体表面には、表示部8,操作部9等が設けられている。表示部8は、2点間距離LAB(図3)の測定値等を表示する部分である。操作部9は、レーザ光Li(図1〜図3)の照射位置を変化させて測定したい2点間距離LABの位置を指定する部分であり、位置指定が完了すれば操作部9で測定開始が指示される。そのための操作に用いるボタンとして、決定ボタン9a,右シフトボタン9b,左シフトボタン9c,伸長ボタン9d,短縮ボタン9eが操作部9に配置されている。
次に、操作部9で2点間距離LAB(図3)を指示する方法を説明する。レーザ測距装置1の測定開始スイッチ(不図示)をONすると、点Aの位置決めモードに入る。点Aの位置決めモードに入ると、図7(A)に示すように、測定対象物10(図3)上にレーザ光が投射されて1点目のレーザ表示が行われる。レーザ測距装置1を動かして、点Aにそのレーザ表示位置を合わせる。点Aに1点目のレーザ表示位置を合わせたら、決定ボタン9aを押して点Bの位置決めモードに移行する。
点Bの位置決めモードに入ると、1点目のレーザ表示に重なるようにして2点目のレーザ表示が行われる。2点目のレーザ表示位置を点Bに合わせるには、右シフトボタン9b,左シフトボタン9c,伸長ボタン9d,短縮ボタン9eを用いる。例えば、2点目のレーザ表示位置を右に動かしたければ、図7(B)に示すように、右シフトボタン9bを押してレーザ表示位置を移動させる。2点目のレーザ表示位置を左に動かしたければ、図7(C)に示すように、左シフトボタン9cを押してレーザ表示位置を移動させる。
1点目と2点目のレーザ表示位置の間隔を広げたい場合には、図7(D)に示すように、伸長ボタン9dを押して間隔を広げる。逆に、1点目と2点目のレーザ表示位置の間隔を狭めたい場合には、短縮ボタン9e(図6)を押して間隔を狭める。1点目と2点目のレーザ表示位置を点A,Bに合わせたら、決定ボタン9aを押して点A,Bの測距位置を決定する。点A,Bの測距位置が決定した段階で、測距動作が開始される。
レーザダイオード2から射出するレーザ光は可視光であるため、スキャナ3でその1次元走査を行うことにより、2点A,B又はその2点A,B間の線分ABを測定対象物10上に描画表示することができる。例えば、2点A,Bを図7(B)〜(D)に示すように描画表示することによって、現在測定している2点間距離LABをその両端点として示すことが可能である。また、図8に示すように線分ABを描画表示することによって、現在測定している2点間距離LABをその線分ABとして示すことも可能である。
前述の描画表示は、レーザダイオード2の発光タイミングで制御することにより行われる。ただし、スキャナ3の振り角度θで制御することにより行ってもよい。つまり、レーザダイオード2の発光タイミングと、スキャナ3の振り角度θと、のうちの少なくとも一方を、演算制御部7(図1,図3)で制御することにより描画表示を行えばよい。
レーザダイオード2の発光タイミングで描画表示の制御を行う場合、スキャナ3の動作中、ミラー3aは一定の回転角度Θで振動しており(Θ>θ)、エンコーダ3kで振り角度θが検出されて、所定のタイミングでレーザダイオード2の発光が行われる。一方、スキャナ3の振り角度θで描画表示の制御を行う場合、スキャナ3の動作中、エンコーダ3kで振り角度θが検出されて、レーザダイオード2の発光と対応した回転角度Θでミラー3aが振動する(Θ=θ)。したがって、例えば図7(A)の状態ではΘ=0°である。
図9に、レーザ測距装置1の使用例を示す。図9では、測定対象物10としてビルを示しており、レーザ測距装置1でビルの壁面上の2点間距離LABを非接触で測定するとともに、線分ABを測定対象物10上に描画表示する状態を示している。レーザ測距装置1は、このように建造物の壁面,柱等における2点間の直線距離を測定する場合に限らず、他の用途にも応用可能である。例えば、レーザ強度を上げて視認性を高めれば、土地計測にも応用することができ、山や丘の傾斜面の測定にも応用することができる。
次に、図10のフローチャートを用いて、レーザ測距装置1の測定モード切り替えの動作制御を説明する。レーザ測距装置1は、「1点距離測定」と「2点間距離測定」の2つの測定モードを有している。レーザ測距装置1の測定開始スイッチ(不図示)をONすると、前述したように点Aの位置決めモードに入り、図7(A)に示すように、測定対象物10上にレーザ光が投射されて1点目のレーザ表示が行われる(#10)。そして、測定モードが1点距離測定モードであるか否かを判定し(#20)、1点距離測定モードであれば1点距離測定を行って(#50)、測定モードを抜けると(#70)、制御動作を終了する。
ステップ#20で1点距離測定モードでないと判定した場合、前述した2点A,B間の指定(図7)を行う(#30)。そして、測定モードが2点間距離測定モードであるか否かを判定し(#40)、2点間距離測定モードになれば2点間距離測定を行って(#60)、測定モードを抜けると(#70)、制御動作を終了する。2点間距離測定(#60)では、2点A,Bで反射したレーザ光Lrをそれぞれフォトダイオード6が受光して信号を出力し、その出力信号とスキャナ3の動作情報を用いて演算制御部7が2点A,B間の距離LABを算出する。
次に、図11のフローチャートを用いて、上記2点間距離測定(#60)の動作制御を更に詳しく説明する。スキャナ3のレーザスキャン(連続照射)により2点間描画された状態で(#110)、スキャナ3によるレーザ表示位置がA点に来たか否かを判定する(#120)。レーザ表示位置がA点に来たところで、パルス照射によるTOF測定を行って距離L1の値を得る(#130)。この実施の形態では可視光を測距と描画表示に共用する構成になっているので、レーザダイオード2の連続照射をパルス照射に切り替えてTOF測定を行うことになる。なお、赤外線等の他の波長のレーザ光を測距に用いる場合には、パルス照射用のレーザダイオード(例えば赤外レーザダイオード)を発光させてTOF測定を行えばよい。
距離L1の測定が完了したら、スキャナ3によるレーザ表示位置がB点に来たか否かを判定する(#140)。レーザ表示位置がB点に来たところで、上記距離L1の測定と同様に、パルス照射によるTOF測定を行って距離L2の値を得る(#150)。スキャナ3によるレーザ表示位置の点A,B間の角度を、スキャナ3の種類に応じた検出手段(例えばエンコーダ3k)で検出する(#160)。必要なデータ、つまり三角形の2辺OA,OBの長さL1,L2とその挟む角度θはこの段階で揃うので(図3等)、残る1辺である2点間距離LABを余弦定理により算出する(#170)。算出した2点間距離LABを表示部8(図6)に表示し、レーザ光による2点間描画は次の指示があるまで継続して描画状態とする(#180)。
以上説明したように、このレーザ測距装置1は、1次元走査が可能なスキャナ3で測定対象物10上の任意の2点A,Bに対して順に照射する構成になっているため、煩雑な測定作業が不要である。したがって、簡単な測定作業で任意の2点間距離LABを非接触で測定することができる。また、測定したい2点間距離LABに関して、その両端点である2点A,B又はその2点間の線分ABを可視光の1次元走査により測定対象物10上に描画表示する構成になっているため、測定したい箇所を目視確認しながら測定することができる。なお、スキャナ3として2次元スキャナ(例えば図5のMEMSスキャナ3B)を用いれば、測定したい箇所の描画表示(2点A,B又は線分ABの描画表示)とともに、数値(例えば距離等のデータ),文字,記号等の描画表示も可能である。
1 レーザ測距装置
2 レーザダイオード(投光部)
3 スキャナ
3A 1次元スキャナ
3B MEMSスキャナ
3a ミラー
3j モータ
3k エンコーダ
4 照射窓
5 受光レンズ
6 フォトダイオード(受光部)
7 演算制御部
8 表示部
9 操作部
9a 決定ボタン
9b 右シフトボタン
9c 左シフトボタン
9d 伸長ボタン
9e 短縮ボタン
10 測定対象物
Li 照射光(レーザ光)
Lr 反射光(レーザ光)

Claims (9)

  1. 測定対象物上の任意の2点間距離を非接触で測定するレーザレーダ方式の測距装置であって、
    レーザ光を射出する投光部と、前記投光部からのレーザ光を偏向させて前記測定対象物上の任意の2点に対して順に照射し、かつ、前記任意の2点を含む直線上での1次元走査が可能なスキャナと、前記任意の2点で反射したレーザ光をそれぞれ受光して信号を出力する受光部と、前記受光部からの出力信号と前記スキャナの動作情報を用いて前記任意の2点間距離を算出する演算制御部と、を有することを特徴とするレーザ測距装置。
  2. 前記演算制御部が、レーザ光の偏向位置から前記任意の2点までの距離と、レーザ光の偏向位置と前記任意の2点とを結ぶ線分により挟まれた角度と、から前記任意の2点間距離を算出することを特徴とする請求項1記載のレーザ測距装置。
  3. 前記演算制御部が、前記レーザ光の偏向位置から前記任意の2点までの距離をTOF方式で測定し、前記線分により挟まれた角度を前記スキャナの振り角度から検出することを特徴とする請求項2記載のレーザ測距装置。
  4. 前記投光部がレーザ光として可視光を射出するレーザダイオードから成り、前記スキャナが前記任意の2点又はその2点間の線分を前記可視光の1次元走査により測定対象物上に描画表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ測距装置。
  5. 前記描画表示を行うために、前記レーザダイオードの発光タイミングと、前記スキャナの振り角度と、のうちの少なくとも一方を前記演算制御部が制御することを特徴とする請求項4記載のレーザ測距装置。
  6. 前記投光部が、レーザ光として赤外光を射出する赤外レーザダイオードと、レーザ光として可視光を射出する可視光レーザダイオードと、から成り、前記スキャナが前記任意の2点又はその2点間の線分を前記可視光の1次元走査により測定対象物上に描画表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ測距装置。
  7. 前記描画表示を行うために、前記可視光レーザダイオードの発光タイミングと、前記スキャナの振り角度と、のうちの少なくとも一方を前記演算制御部が制御することを特徴とする請求項6記載のレーザ測距装置。
  8. 前記スキャナがミラーでレーザ光を偏向反射させる1次元スキャナであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザ測距装置。
  9. 前記スキャナがミラーでレーザ光を偏向反射させる2次元スキャナであり、1走査方向にのみレーザ光を偏向させて前記任意の2点に対する照射を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザ測距装置。
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