JP2012057322A - フラップゲート - Google Patents

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OMOTE TEKKOSHO KK
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Abstract

【課題】
水路の開口端に内外水圧差により揺動する扉体を備えるフラップゲートにおいて、ゲート全体のモーメントのバランスを微調整でき、扉体が開口端との間に十分な隙間を持つように支持され、低水位の状態でも水位の変動への反応の良好なフラップゲートを提供する。
【解決手段】
フラップゲート10に備えられた扉体20は、回転軸21に設けられた揺動アーム22に対し所定の角度を持つよう傾いて取り付けられ、バランスウェイト30は、その重心位置が回転軸21をはさんで扉体20の反対側に設けられ、調整ウェイト40は、回転軸21の本川側に設けられたアーム41に移動可能に取り付けられ、フロート50は扉体20の支川側の側壁下部に設けられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、支川と本川の合流点に設けられた排水樋門において、確実な逆流防止性と良好な内水排除性とを持ち、かつ調整が容易なフラップゲートに関するものである。
従来のフラップゲートでは、扉体と水路の開口端との隙間が確保されておらず、本川から支川への逆流防止は確実であるものの、支川の内水排除がスムーズに行われない問題があった。
これに対して、特許文献1のフラップゲートのように、扉体の回動の支点となる回転軸が開口端の直上になく本川よりに配置されていて、扉体が開口端を常時軽く密閉、又はわずかに開放するような構成を持つものがある。このわずかな隙間から支川の内水排除が行われる。
扉体はバランス状態を維持するためにバランスウェイトを搭載している。バランスウェイトは扉体の開放角度(開度)によって開く回転モーメントを与えたり、閉める回転モーメントを与えたりする。また、扉体支川側(内側)側壁上部にはフロートが取り付けられ、扉体の内側の水位変動に応答することができる。
特開2000−328545号公報
上記特許文献1のフラップゲートの据付けにおいて、扉体と開口端との間に僅かな隙間を設けるための調整では、バランスウェイトと同軸上に設けられた円盤状の調整用ウェイトを用いるが、調整用ウェイトのサイズは通常数種類備えられ追加するウェイトの枚数で調整するので微調整は難しい。また、調整用ウェイトはバランスウェイトと同軸上に設けられているので、その作用はバランスウェイトと同じく扉体の開度によって開くモーメントを与えたり、閉めるモーメントを与えたりする。調整用ウェイトはあくまでバランスを微調整するためだけに使用される。
また、扉体はバランスウェイトによって扉体が流出口を常時軽く密閉、又はわずかに開放するようにバランスされているので、ゴミや砂の堆積等の要因により内水排除がスムーズに行われない場合がある。
さらに、据付け後の経年変化等によりバランスが崩れた場合、排水樋門としての機能を損ないやすい欠点も併せ持っている。
また、特許文献1のフラップゲートは、扉体の支川側(内側)側壁上部にフロートが取り付けられているが、フロート位置が高いため、特に支川側の水位(内水位)が高い状態でしか効果を得られないので低水位時の水位変動への反応が遅れ、逆流防止機能を損なう可能性がある。
本発明は上記を鑑みてなされたものであって、ゲート全体のモーメントのバランスを微調整でき、扉体が開口端との間に十分な隙間を持つように支持され、低水位の状態でも水位の変動への反応の良好なフラップゲートを提供することにある。
本願請求項1に記載の発明は、支川と本川の合流点の水路の開口端に内外水圧差により揺動する扉体を備えるフラップゲートにおいて、前記フラップゲートは、前記開口端の外側上部に設けられた回転軸と、前記回転軸の下部に設けられた揺動アームと、前記揺動アームに対して所定の角度を持って傾いて該揺動アームに取り付けられた前記扉体と、前記回転軸を挟んで扉体の反対側に設けられ、前記扉体の揺動を調整するためのバランスウェイトと、前記回転軸の本川側に設けられた調整アームと、前記調整アームに移動可能に設けられ、前記扉体の回転モーメントを調整するための調整ウェイトと、前記扉体の内側下部に設けられ、浮心が該扉体の重心に対して内側となるフロートとからなることを特徴としている。
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフラップゲートにおいて、前記調整アームは、前記扉体に水圧がかからず該扉体がバランス状態のときに水平方向となるように設けられたことを特徴としている。
本願請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のフラップゲートにおいて、前記調整アームは、前記扉体が前記開口端を全閉した状態のときに水平方向となるように設けられたことを特徴としている。
本願請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフラップゲートにおいて、前記回転軸は前記扉体を強制開閉するための駆動手段に連動して回動することを特徴としている。
扉体は予め角度を持って揺動アームを介して回転軸に取り付けられており、水圧がかからない状態で水路の開口端との間に十分な隙間を保っているため、支川側からの水流が扉体を十分に押し開けるほどの流量が無くとも内水排除が確実に行われる利点がある。
フラップゲートの据付けは、水路によって開口端の傾斜角や通常時の水量等がまちまちなので、据付け都度調整が必要となり煩雑である。ところが、調整ウェイトは回転軸の本川側に設けられた調整アーム上を移動できるので回転トルクを調整でき、ゲート全体のモーメントバランスを微調整できるので、現場での据付け時のバランス取りが非常に簡便である。
また、調整用ウェイトは扉体と開口部の隙間の量(開度)も簡単に調整することができるので、水路の水量等に合った開度を設定することができるという優れた利点もある。
調整アームは、扉体との角度を任意に設定して取り付けることができる。そのため、たとえば、扉体が開口端との間に十分な隙間を保ってバランス状態のときに調整アームが水平方向になるように設けると、据付け時の微調整において、調整ウェイトを略水平方向に移動して調整することになるので調整しやすくなる。
また、扉体が全閉状態のときに調整アームが水平になるように設けると、全閉時に調整ウェイトの回転するモーメントの効果が最大となるように設定できるので、より確実に密閉したい状況に適している。
扉体の内側下部にフロートが取り付けられると、フロートの浮心は扉体の重心よりも支川側(内側)になるような構造となっているので、フロートが水没すると扉体には閉じる方向にモーメントが働く。このため、水位が比較的低いときでも、扉体が確実に閉じることができ、本川から支川への逆流を防ぐことができる。
フラップゲートに強制開閉用の駆動手段を設けると、ゲートや水路のメンテナンス時に扉体を大きく開くことができるのでメンテナンスがし易くなる。また、駆動手段によって強制的に開口端を閉じることもできるので本川と支川を強制的に分離することもできる。
本発明に係るフラップゲートの第1の実施形態の全体図を示す。(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は開度・モーメントグラフを示す。 扉体のみで構成されたフラップゲートを示す。(a)は側面図、(b)は開度・モーメントグラフを示す。 扉体とフロートで構成されたフラップゲートを示す。(a)は側面図、(b)は開度・モーメントグラフ、(c)は扉体の開度が大きいときの重心と浮心の位置関係の図を示す。 扉体とフロートと調整ウェイトで構成されたフラップゲートを示す。(a)は側面図、(b)は開度・モーメントグラフを示す。 本発明に係るフラップゲートの第2の実施形態を示す。
本発明に係るフラップゲートを図1の第1の実施形態を参照して説明する。
フラップゲート10に備えられた扉体20は、水圧のかからない状態で、回転軸21を通る垂線に対して所定の角度を持つよう傾いて取り付けられた状態でバランスして、扉体20と開口端60の間に隙間を確保する。
本実施例では取付角度αを10度に設定したが、その他内水排除を良好に行え、開口端60との密閉状態を保てる範囲において角度を任意に設定できる。
バランスウェイト30は、その重心位置が回転軸21を通る垂線上、回転軸21をはさんで扉体20の反対側にあるようにし、主に扉体20の揺動を調整する働きがある。ただし完全にはバランスさせていない。
調整ウェイト40は、回転軸21の軸方向に対して直交して設けられたアーム41に移動可能に取り付けられている。調整ウェイト40の重心位置は回転軸21を通る垂線上から離れており、扉体20を閉じようとするモーメントを持つほか、調整アーム41上の配置位置の調整により、扉体20全体のモーメントバランスを調整する働きを持つ。
フロート50は扉体20の支川側の側壁下部に設けられ、その浮心Fは扉体20の重心Gよりも支川側にあるため、水没時には扉体20を閉じようとするモーメントを発生する。また内水排除を妨げないよう、滑らかな形状を持つ。
次に、扉体20に働くモーメントに着目し、図2〜図4を参照して各構成要素の機能を説明する。
フラップゲート10は排水樋門であるから、扉体20が水没している場合、すべての開度において扉体20を閉じようとするモーメントが働く必要がある。
まずはじめに、フラップゲート10が図2(a)のように扉体20のみで構成された場合、つまりバランスウェイトと調整ウェイトとフロートを設けない場合のモーメントについて説明する。図2(b)に扉体20の開度と閉モーメント曲線の例を示す。図(b)のグラフの横軸は扉体20と水路の開口端60との開度θ(度)を示し、縦軸は扉体20が閉じる方向のモーメント(閉モーメントM)(kN・m)を示している。
図2(a)のように、フラップゲート10に水圧が働いていない場合、扉体10と水路の開口端60との開度θは、回転軸21の中心からの垂線と扉体20の中心軸線とがなす角(取付角)に等しい。本願実施例のフラップゲート10では、内水排除を良好に行うため取付角を10度とし、開度を確保している。
開度θが10度では、扉体20が閉じる方向のモーメント(閉モーメントM)は0である。開度θが10度を超えると扉体20を閉じようとするモーメントが働くが、0度以上10度未満の範囲では、扉体20を開こうとするモーメントが働く。このため、扉体20単独では排水樋門として機能しない。
そこで次に、図3(a)に示すように、フラップゲート10にフロート50を取り付けた場合を説明する。フロート50の浮心Fは、扉体20の重心Gよりも支川側になるよう配置する。ここで、閉モーメントMは、フロート50の浮心Fにかかる浮力と、回転軸21とフロート50の浮心Fの水平距離Lfとの積により求められる(M=F×Lf)。
そこで、フロート50が水没したときの扉体20の閉モーメントMを、扉体20が開こうとするモーメントよりも大きくすると、扉体20を閉鎖することができる。そのときの開度・モーメント曲線の例を図3(b)に示す。図にみられるように、開度θ=0〜50度の範囲で扉体20に働く閉モーメントMは正になる。
開度θが50度以上では閉モーメントMが負になっており、扉体20には開く方向のモーメントが働くことがわかる。これは、図3(c)に示すように開度θの増加によりフロート50の浮心Fの位置が回転中心から離れ、フロート50の浮力により扉体20を開こうとするモーメントが大きくなるためである。
この時、同時に扉体20の重心Gも回転中心から離れており、扉体20を閉じようとするモーメントも増加している。しかし図3(c)のようにフロート50の浮心Fの回転半径Rfのほうが扉体20の重心Gの回転半径Rgより大きいため、回転軸21とフロート50の浮心Fの水平距離Lfと、回転軸21と扉体20の重心Gまでの水平距離Lgも同様にLf>Lgであり、開モーメント増加の方が影響が大きい。
なお、開度θが大きいときに閉モーメントMが負になる現象は、フロート50の浮心Fの回転半径RfがRf<Rgとなるようフロート50を扉体20の上側に取り付けることにより回避可能である。しかし外水位上昇によりフラップゲート10が自動的に閉鎖する場合、フロート50の位置が高いために開度が小さい場合は水位変動への反応が遅れ、逆流防止機能を損なう恐れがある。このため本発明ではフロート50を扉体20の上側に取り付けない。
そこで、開度θが大きいときの開モーメントを打ち消すため、図4(a)のように、図3(a)の構成に加え、扉体20に閉モーメントMを与える調整ウェイト40を調整アーム41を介して取り付ける。その時の開度・モーメント曲線の例を図4(b)に示す
調整ウェイト40の閉方向のモーメントが追加されることによって、扉体20の開度θは全域にわたって閉モーメントMが正になっており、扉体20がどのような姿勢になっても、常に全閉することが保証される。
なお、調整ウェイト40及びアーム41の取付位置は、閉モーメントMが正になる範囲内で変更可能である。図4(a)では扉体20の開度θが大きいときにもっとも調整ウェイト40の効果がでるよう調整アーム41を配置した例である。
また、フラップゲート10全体のモーメントバランスを、据え付け現場で調整するような場合、調整ウェイト40は調整アーム41上を移動することにより回転トルクを変化させてフラップゲート10全体のモーメントを調整できるので非常に簡便に調整できる。
特に、図1のように扉体20が水圧のかからない状態で、扉体20と開口端60との間に十分な開度θを保ってバランス状態のときに調整アーム41が水平方向になるように設けられると、調整ウェイト40の移動方向はおおむね水平方向であり、重力の影響を受けにくく移動しやすいので微調整がしやすいといった利点もある。
また、図1のようにバランスウェイト30を配置することにより、図1(c)のグラフのように、より扉体20の閉モーメントMをより均一化させることができる。これにより扉体20の開度θによらずに、どの開度においても水位変動や水流に対して即座に扉体が反応し、内水排除と逆流防止の両面においてフラップゲート10の特性を向上することができる。
さらに、図5のように、扉体20が全閉したときにもっとも調整ウェイト40の閉モーメントの効果がでるよう調整アーム41を設けても良い。この場合、より確実に密閉したい状況に適している。
また、フラップゲート10に図示しない強制開閉用の駆動手段を設けると、ゲートや水路のメンテナンス時に駆動手段によって回転軸21を回動し、揺動アーム22を介して連結されている扉体20を大きく開くことができるのでメンテナンスがし易くなる。また、駆動手段によって強制的に開口端60を閉じることもできるので本川と支川を強制的に分離することもできる。
本発明のフラップゲートは、河川の排水樋門に使用できるだけでなく、工場等での配管の導出口に使用することもできる。
10 フラップゲート
20 扉体
21 回転軸
22 揺動アーム
30 バランスウェイト
40 調整ウェイト
41 調整アーム
50 フロート
60 開口端
M 閉モーメント
F フロートの浮心
G 扉体の重心

Claims (4)

  1. 支川と本川の合流点の水路の開口端に内外水圧差により揺動する扉体を備えるフラップゲートにおいて、前記フラップゲートは、
    前記開口端の外側上部に設けられた回転軸と、
    前記回転軸の下部に設けられた揺動アームと、
    前記揺動アームに対して所定の角度を持って傾いて該揺動アームに取り付けられた前記扉体と、
    前記回転軸を挟んで扉体の反対側に設けられ、前記扉体の揺動を調整するためのバランスウェイトと、
    前記回転軸の本川側に設けられた調整アームと、
    前記調整アームに移動可能に設けられ、前記扉体の回転モーメントを調整するための調整ウェイトと、
    前記扉体の内側下部に設けられ、浮心が該扉体の重心に対して内側となるフロートと
    からなることを特徴としたフラップゲート。
  2. 請求項1に記載のフラップゲートにおいて、
    前記調整アームは、前記扉体に水圧がかからず該扉体がバランス状態のときに水平方向となるように設けられたことを特徴としたフラップゲート。
  3. 請求項1に記載のフラップゲートにおいて、
    前記調整アームは、前記扉体が前記開口端を全閉した状態のときに水平方向となるように設けられたことを特徴としたフラップゲート。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフラップゲートにおいて、
    前記回転軸は前記扉体を強制開閉するための駆動手段に連動して回動することを特徴としたフラップゲート。
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