JP2012057082A - ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリフェニレンエーテル系樹脂中に含有する導電材料を低減させ、高い導電性及び良成型性を発現させることができる材料を提供すること。
【解決手段】 ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)とカーボンナノチューブを含有するスチレン系樹脂(マスターバッチ)(B)とを含有する樹脂組成物であって、前記スチレン系樹脂(B)が、カーボンナノチューブをモノマー段階で高分散させて重合して得られたことを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物及びこれを用いて得られる成形体を提供することにより、良成型性かつ少量含有量の導電材料で高導電性が発現する材料を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂と、カーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂とを含有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物、及び該樹脂組成物を成形してなる成形体に関する。
ポリフェニレンエーテル系樹脂は、その高い耐熱性や難燃性、優れた電気的性質等により、従来、電気機器関係の分野で多く使用されてきた。ポリフェニレンエーテル系樹脂は一般に成形加工性に若干劣る点から、ポリスチレン系樹脂を混合した「変性ポリフェニレンエーテル系樹脂」として市販され、各種用途に展開されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有する組成物に導電性材料を混合することにより、導電性を付与した樹脂組成物として利用できることも報告されている(例えば特許文献2参照)。また、導電材料として、カーボンナノチューブを使用し、少量添加で成形体の導電性の改良や導電材料の脱離の低減を試みているが、カーボンナノチューブの分散が不十分であるため、上記改善を共に満足させる充分な効果があげられていない(例えば特許文献3参照)。
特開2002−097362号公報 特開昭58−79050号公報 特開2008−231426号公報
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、ポリフェニレンエーテル系樹脂中に含有する導電材料を低減させ、高い導電性及び良成型性を発現させることができる材料を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、難分散のカーボンナノチューブをスチレン系単量体を含む単量体混合物に機械分散させて重合し(マスターバッチ)、ポリフェニレンエーテル系樹脂と上記マスターバッチを熱溶融機械分散し、成形することによって、良成型性かつ少量含有量の導電材料で高導電性が発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)とカーボンナノチューブを含有するスチレン系樹脂(マスターバッチ)(B)とを含有する樹脂組成物であって、前記スチレン系樹脂(B)が、カーボンナノチューブをモノマー段階で高分散させて重合して得られたことを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物及びこれを用いて得られる成形体を提供するものである。
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、導電性に優れ、導電材料の添加量を低減させることが可能である。よって、導電材料の脱離低減や加工性に優れ、射出成形等で成形体を得る場合においても型再現性が良く、特に高集積化に伴って小型化する電気・電子用部品用途等にも好適に用いることができる。又、難燃剤やその他の添加剤等を併用する場合であっても均一分散性に優れる点からその使用割合を削減することができ、環境対応型であり、回収・リサイクル等を行なう成形体としても好適である。
以下に本発明を詳細に説明する。
〔ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)〕
本発明で用いるポリフェニレンエーテル系樹脂(以下、PPE樹脂と略記する。)(A)は下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなる単独重合体、或いは共重合体であり、1種類からなるものであっても、置換基の異なる2種以上の樹脂の混合物であっても良い。
Figure 2012057082
[式(1)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していても良いアルキル基、アルコキシ基又は置換基を有していても良いアリール基であり、nは繰り返し数である。]
上記一般式(1)で表される単独重合体としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。
又、共重合体としては、例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体等が挙げられる。
これらの中でも特に好ましいPPE樹脂(A)としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、またはこれらの混合物である。
本発明で用いるPPE樹脂(A)の製造方法としては、特に限定されるものではなく、種々の方法で得られるものであり、例えば、米国特許第3306874号明細書、同第3306875号明細書、同第3257357号明細書、同第3257358号明細書、特開昭50−51197号公報、特公昭52−17880号公報、及び同63−152628号公報等に記載された製造方法等が挙げられる。
本発明で用いるPPE樹脂(A)中には、本発明の効果を損なわない範囲において、他の種々のフェニレンエーテルユニットを部分構造として含んでいてもよい。前記フェニレンエーテルユニットとしては、例えば、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等が挙げられる。また、PPE樹脂の主鎖中にジフェノキノン等が少量結合したものであっても良い。更には、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びこれらの酸無水物等やこれら不飽和ジカルボン酸の2個のカルボキシル基のうちの1個または2個がエステルになっているもの、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、エポキシ化天然油脂等、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1,4−ペンタジエン−3−オールなどの一般式C2n−3OH(nは正の整数)の不飽和アルコール、一般式C2n−5OH、C2n−7OH(nは正の整数)等の不飽和アルコール等によって変性されているPPE樹脂であっても良い。これらの変性PPE樹脂は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明で用いるPPE樹脂(A)の分子量(ゲル透過クロマトグラフィーで決定された数平均分子量)としては、通常1,000〜100,000、好ましくは6,000〜60,000である。また、PPE樹脂(A)の還元粘度(0.5g/dlクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ型粘度管で測定)は、通常0.35dl/g〜0.55dl/gの範囲内であり、好ましくは、0.40dl/g〜0.50dl/gの範囲である。尚、本発明において、2種以上の還元粘度の異なるPPE樹脂(A)をブレンドしたものであっても使用することができる。
〔カーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(マスターバッチ)(B)〕
本発明で用いるカーボナノチューブ含有スチレン系樹脂は、樹脂原料であるスチレン系単量体を含む単量体混合物とカーボンナノチューブを混合し、強力な機械分散を加えて、相互作用の高い(凝集し易い)カーボンナノチューブをほどよく単量体混合物中に分散させた混合液を重合させて得られる。このとき、スチレン系単量体を含む単量体混合物は、スチレン系単量体1種類のみを使用してもかまわない。
本発明で用いることのできるスチレン系単量体としては、例えば以下の物が挙げられる。スチレン及びその誘導体;例えばスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレンの如きアルキルスチレン、フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレンの如きハロゲン化スチレン、更にニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン等がある。
また、本発明の効果を損なわない範囲において、スチレン系単量体と共重合可能なその他の単量体を併用して、単量体混合物としても良い。併用できる単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル等のアクリル酸アクリルエステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸アクリルエステル、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの重合性不飽和脂肪酸、ビニルシアン化合物類、不飽和カルボン酸無水物類、アミノ基含有不飽和化合物等が挙げられ、これらの2種以上を同時に用いても良い。
〔多分岐状マクロモノマー〕
また、高分子量化、高分岐化、物性改良などを容易に行うために、多分岐状マクロモノマーを使用することもできる。
本発明で使用する多分岐状マクロモノマーとしては、複数の分岐を有し、且つ複数の重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマーが好ましく、特に多分岐状マクロモノマーを併用して得られる多分岐状樹脂の重量平均分子量を1000万以下に制御する観点から、複数の分岐を有し、且つ複数の重合性二重結合を有する、重量平均分子量(Mw)が、好ましくは1,000〜15,000、より好ましくは2,000〜8,000のマクロモノマーである。
前記分岐構造としては、特に制限はないが、電子吸引基と、該電子吸引基に結合する結合手以外の3つの結合手すべてが炭素原子に結合している4級炭素原子によって枝分かれしているもの、及びエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有する構造単位の繰り返しによって分岐構造を形成するものが好ましい。
前記多分岐状樹脂が前述の4級炭素によって分岐構造を形成するものである場合、前記電子吸引基含有量としては、多分岐状樹脂1g当たり2.5×10−4mmol〜5.0×10−1mmolの範囲であることが好ましく、更に好ましくは5.0×10−4mmol〜5.0×10−2mmolの範囲である。
前記多分岐状マクロモノマーには1分子あたり2個以上の重合性二重結合を有していることを必須とする。前記重合性二重結合の含有量としては、該マクロモノマー1g当たり0.1〜5.5mmolの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5mmolの範囲である。0.1mmolより少ない場合は、高分子量の多分岐状樹脂が得られにくくなり、5.5mmolを超える場合は、多分岐状樹脂の分子量が過度に増大する傾向がある。
本発明において使用できる多分岐状マクロモノマーとしては、エステル結合、エーテル結合又はアミド結合を有する構造単位を繰り返すことによって形成する分岐構造と、分岐末端に1分子中2個以上の重合性二重結合とを有する多分岐状マクロモノマーを挙げることができる。
エステル結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状マクロモノマーは、分子鎖を形成するエステル結合のカルボニル基に隣接する炭素原子が4級の炭素原子である多分岐状ポリエステルポリオールに、ビニル基またはイソプロペニル基などの重合性二重結合を導入したものを好ましい態様として挙げることができる。多分岐状ポリエステルポリオールに重合性二重結合を導入するには、エステル化反応や付加反応によって行なうことができる。
前記多分岐状ポリエステルポリオールは、そのヒドロキシ基の一部にあらかじめエーテル結合やその他の結合によって置換基が導入されていてもよいし、また、そのヒドロキシ基の一部が酸化反応やその他の反応で変性されていてもよい。また、多分岐状ポリエステルポリオールは、そのヒドロキシ基の一部が、あらかじめエステル化されていてもよい。
前記多分岐状マクロモノマーとしては、例えばヒドロキシ基を1個以上有する化合物に、カルボキシ基に隣接する炭素原子が4級の炭素原子であり、且つヒドロキシ基を2個以上有するモノカルボン酸を反応させて多分岐状のポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基であるヒドロキシ基にアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物などを反応させて得られるものが挙げられる。尚、エステル結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状ポリマーについては、タマリア(Tamalia)氏等による「Angew.Chem.Int.Ed.Engl.29」p138〜177(1990)に記載されている。
前記ヒドロキシ基を1個以上有する化合物としては、a)脂肪族ジオール、脂環式ジオール、又は芳香族ジオール、b)トリオール、c)テトラオール、d)ソルビトール及びマンニトール等の糖アルコール、e)アンヒドロエンネア−ヘプチトール又はジペンタエリトリトール、f)α−メチルグリコシド等のα−アルキルグルコシド、g)エタノール、ヘキサノールなどの一官能性アルコール、h)重量平均分子量が多くとも8,000であるアルキレンオキシド或いはその誘導体と、上記a)〜g)のいずれかから選択された1種以上の化合物中のヒドロキシ基とを反応させることにより生成されたヒドロキシ基含有ポリマーなどを挙げることができる。
前記a)肪族ジオール、脂環式ジオール及び芳香族ジオールとしては、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリテトラヒドロフラン、ジメチロールプロパン、ネオペンチルプロパン、2−プロピル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール;1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどが挙げられる。前記b)トリオールとしては、例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、グリセロール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。前記c)テトラオールとしては、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロール、ジトリメチロールエタンなどを挙げることができる。
前記カルボキシル基に隣接する炭素原子が4級の炭素原子であり、且つヒドロキシ基を2個以上有するモノカルボン酸としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、α,α,α−トリス(ヒドロキシメチル)酢酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸などがあげられる。前記モノカルボン酸を使用することにより、エステル分解反応が抑制され、多分岐状ポリエステルポリオールを形成することができる。
また、前記多分岐状ポリエステルポリオールを製造する際に、触媒を使用するのが好ましく、前記触媒としては、例えば、ジアルキルスズオキシド、ハロゲン化ジアルキルスズ、ジアルキルスズビスカルボキシレート、あるいはスタノキサンなどの有機錫化合物、テトラブチルチタネートなどのチタネート、ルイス酸、パラトルエンスルホン酸などの有機スルホン酸などが挙げられる。
エーテル結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状マクロモノマーとしては、例えば、ヒドロキシ基を1個以上有する化合物に、ヒドロキシ基を1個以上有する環状エーテル化合物を反応させることにより多分岐状のポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基であるヒドロキシ基にアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物、4−クロロメチルスチレンなどのハロゲン化メチルスチレンを反応させて得られるものが挙げられる。また、該多分岐状ポリマーの製法としては、Williamsonのエーテル合成法に基づいて、ヒドロキシ基を1個以上有する化合物と、2個以上のヒドロキシ基とハロゲン原子、−OSOOCH又は−OSOCHを含有する化合物とを反応する方法も有用である。
ヒドロキシ基を1個以上有する化合物としては、前記で挙げたものを何れも使用することができ、ヒドロキシ基を1個以上有する環状エーテル化合物としては、例えば、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、2,3−エポキシ−1−プロパノール、2,3−エポキシ−1−ブタノール、3,4−エポキシ−1−ブタノールなどが挙げられる。Williamsonのエーテル合成法に於いて使用されるヒドロキシ基を1個以上有する化合物としても、前記したものでよいが、芳香環に結合したヒドロキシ基を2個以上有する芳香族化合物が好ましい。前記化合物としては、例えば、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどが挙げられる。また、2個以上のヒドロキシ基とハロゲン原子、−OSOOCH又は−OSOCHを含有する化合物としては、例えば、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−エチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2−(ブロモメチル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。なお、上記多分岐状のポリマーを製造する際には、通常触媒を使用することが好ましく、前記触媒としては、例えば、BFジエチルエーテル、FSOH、ClSOH、HClOなどを挙げることができる。
また、アミド結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状マクロモノマーとしては、例えば、分子中に窒素原子を介してアミド結合を繰り返し構造に有するものがあり、Dentoritech社製のゼネレーション2.0(PAMAMデントリマー)が代表的なものである。
〔カーボンナノチューブ〕
本発明で使用するカーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて円筒状にした形状を有しており、そのグラファイト層の1層で巻いた構造を持つ単層カーボンナノチューブ、2層以上で巻いた多層カーボンナノチューブのいずれでも良い。
上述したカーボンナノチューブの特性は、樹脂に配合した場合の樹脂特性の改良効果という両特性を具備するものとして、多層カーボンナノチューブの中で、2〜50層のカーボンナノチューブが好ましく、具体的には、直径20nm以下の多層カーボンナノチューブが好ましい。
本発明で用いる好ましい多層カーボンナノチューブは、2〜50層のカーボンナノチューブが全カーボンナノチューブ中に50質量%以上含まれるものである。その同定方法としては、カーボンナノチューブやカーボンナノチューブを含む樹脂組成物の超薄切片を20万倍以上の透過型電子顕微鏡で観察した際に、その顕微鏡の視野中に見られる繊維状のナノチューブの本数の中で2〜50層のカーボンナノチューブが50%以上あれば良い。
カーボンナノチューブの特徴である円筒状のグラファイト構造は、高分解能透過型電子顕微鏡で調べることが可能である。グラファイト層は、透過型顕微鏡でまっすぐにはっきりと見えるほど好ましいが、グラファイト層は乱れていても構わない。グラファイト層が乱れたものは、カーボンナノファイバーと定義することがあるが、このようなカーボンナノファイバーも本発明においては、カーボンナノチューブに含むものとする。
本発明で用いるカーボンナノチューブは、一般にレーザーアブレーション法、アーク放電、熱CVD法、プラズマCVD法、気相法、燃焼法などで製造できるが、どのような方法で製造したカーボンナノチューブでも構わない。
カーボンナノチューブを樹脂中に分散させる方法として、カーボンナノチューブをカップリング剤で予備処理して使用することも好ましい。かかるカップリング剤としては、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
前記カーボンナノチューブの使用量としては、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と、カーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)とを含有する樹脂組成物において、全体量を100質量部としたときに、通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜3質量部の範囲である。
〔カーボンナノチューブの分散方法〕
単量体混合物及びカーボンナノチューブを混合した後の機械的分散方法としては、単量体中に微分散できる手段であれば、特に限定されるものではないが、短時間で微分散できるものが好ましい。例えば、高速攪拌型分散機、間隙せん断型ミキサー(ニーダー)、ロールミル、ボールミル、サンドミル、超音波ホモジナイザー、ナノマイザー、ビーズミルなどが挙げられ、特に作業性の問題から超音波ホモジナイザーがより好ましい。
カーボンナノチューブの微分散をより効率的に行うため、微分散装置と攪拌装置の併用がより好ましい。さらに、微分散時に発熱する場合は、単量体による自己ラジカル重合を抑制するため、冷却装置を付設することが好ましい。
〔重合方法〕
重合反応には種々の汎用されているスチレン系単量体の重合方法を応用することができる。重合方式には特に限定はないが、塊状重合、あるいは溶液重合が好ましい。
重合反応での反応物の粘性を低下させるために、反応系に有機溶剤を添加してもよく、その有機溶剤としては、例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アセトニトリル、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、シアノベンゼン、ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン等が挙げられる。特に多分岐状マクロモノマーの添加量を多くしたい場合には、ゲル化を抑制する観点からも有機溶剤を使用することが好ましい。これにより、先に示した多分岐状マクロモノマーの添加量を飛躍的に増量させ分岐構造を多く導入することができ、且つ、ゲル化が生じにくくなる。
重合反応を行う際、効率よく重合を行うために、ラジカル重合開始剤を使用することも可能である。
前記ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール類、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ジシナモイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシイシプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル類、N,N’−アゾビスイソブチルニトリル、N,N’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、N,N’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、N,N’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、N,N’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
更に、得られるカーボナノチューブ含有スチレン系樹脂の分子量が過度に大きくなりすぎないように連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、連鎖移動基を1つ有する単官能連鎖移動剤でも連鎖移動基を複数有する多官能連鎖移動剤でも使用できる。単官能連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類、チオグリコール酸エステル類等が挙げられる。多官能連鎖移動剤としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール中のヒドロキシ基をチオグリコール酸または3−メルカプトプロピオン酸でエステル化したもの等が挙げられる。
〔多分岐状マクロモノマーを用いた重合方法〕
前記多分岐状マクロモノマーとスチレン系単量体と、必要に応じて併用されるその他の単量体とを共重合させることにより、多分岐状の樹脂と、重合条件により同時に生成する線状の樹脂及び低分岐樹脂との混合物である樹脂混合物が得られる。この時、前述の多分岐状マクロモノマーを、スチレン系単量体に対して好ましくは50ppm〜1%、より好ましくは100ppm〜2000ppm(質量基準)の比率で用いることにより、多分岐状の樹脂の生成が容易であり、ゲル化の抑止をすることが簡便であると共に、本発明で用いるカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)を効率よく得ることができる。
〔ガラスファイバー〕
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物(以下、PPE樹脂組成物と称する)には、強度補強として用いられる他、カーボンナノチューブの分散性改良による導電性の向上を目的として、ガラスファイバーを添加することが可能である。ガラスファイバーの種類としては、特に限定されるものではないが、平均繊維系が5μm〜30μmのものが好ましい。また、添加量としては、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と、カーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)とを含有する樹脂組成物全体を100質量部としたときに好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜40質量部である。5質量部よりも少ないとガラスファイバーの添加効果が小さく、また、50質量部よりも多いと加工性が低下してしまうため好ましくない。
〔その他の添加剤等〕
本発明のPPE樹脂組成物は、難燃性を大きく損なわないものであるが、より高レベルの難燃性を成形体に付与するために難燃剤を配合してもよい。
前記難燃剤の種類としては特に限定されるものではなく、従来PPE樹脂とポリスチレン系樹脂との樹脂組成物に対して汎用または特開2008−037970号公報等で提供されている特定の難燃剤を用いることができる。
前記難燃剤としては、例えば、赤リンなどの赤リン系;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ノゾルシノール−ビス−(ジフェニルホスフェート)、2−エチレルヘキシルジフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスフォネート、トリアリルホスフェートなどのリン酸エステル;トリクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリス−β−クロロプロピルホスフェートなどの含ハロゲンリン酸エステル;芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステルなどの縮合リン酸エステル;ポリリン酸アンモニウム、ポリクロロホスファイトなどのポリリン酸塩系などが挙げられる。
これらのうち、燃焼時の有害ガスの発生を回避する点からは、ハロゲンを含まないものが好ましく、この点から赤リン系のものを使用することが好ましい。なお、赤リンは、フェノール樹脂でコーティングされていたり、水酸化マグネシウムや酸化チタンが配合されたりしたものであっても、使用することができる。
また、難燃剤としては、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化マグネシウムなどの無機系難燃剤なども使用することが可能である。
一般的には、前記難燃剤の使用量としては、樹脂成分の合計量100質量部に対して、通常0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部の範囲である。
本発明のPPE樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない限りにおいてステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの助剤を併用することもできる。また、必要に応じて種々の添加剤を配合してもよい。このような添加剤として、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料、架橋剤、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤、可塑剤、燐酸エステル系化合物やシリカ、タルク、ワラストナイト、ケイ酸カルシウム、カオリン、マイカ、クレイ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ガラスファイバーなどの無機物などを挙げることができる。
さらに、本発明のPPE樹脂組成物に、本発明の効果を阻害しない範囲において、他の樹脂を適宜配合が可能である。他の樹脂としては、例えば、ゴム含有ポリスチレン(HIPS)や、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−メタクリル系樹脂などが挙げられる。また、スチレン系エラストマーの配合により、得られる成形体に可撓性が付与される。スチレン系エラストマーはポリフェニレンエーテル系樹脂と相溶性が高く、低誘電率及び低誘電正接のエラストマーとして選択されたものである。スチレン系エラストマーはスチレン−ポリオレフィン系共重合体であり、スチレン比が質量比で50%以上、さらに好ましくは50〜80%のものである。ポリオレフィン相としては、ポリ(ポリエチレン−プロピレン)、ポリエチレン−ポリブチレンランダムコポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどが挙げられるスチレン系エラストマーは、1種又は2種以上を用いることができる。
〔カーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)の分子量〕
本発明で用いるカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)は、PPE樹脂(A)と混合し組成物としたときの成形加工性と、得られる成形体の耐熱性・機械的強度・耐油性等のバランスにおいてRI−GPCから求められる重量平均分子量は15万〜40万が必須であり、より好ましくは20万〜35万である。重量平均分子量が15万未満では強度が低下する傾向があり、成形不良が生じやすい。40万より大きい場合は樹脂の流動性が低下する上、低温時にひずみなどが生ずる為、目的の形状に成形するのが困難である。
〔PPE樹脂(A)とカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)との混合〕
本発明のPPE樹脂組成物は、前述のPPE樹脂(A)とカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)を混合したものであればよく、その混合割合は所望の成形加工性と得られる成形体の応用分野に応じた物性によって適宜選択するものである。本願で使用するカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)は、一般的なスチレン系樹脂とカーボンナノチューブを各々で混合した系と比較した場合、事前にカーボンナノチューブが樹脂内に微分散しているため、PPE樹脂の成形加工性及び導電性の改良としてスチレン系樹脂が使用される場面においては、従来の使用割合よりもその配合比率を下げること及びカーボンナノチューブの配合比率も低下させることが可能である。このため、本来PPE樹脂(A)が有する高い耐熱性や難燃性を大きく損なうことがなく、又、機械的強度や耐油性の劣化を抑制しながら、成形加工性及び導電性を付与することができるものである。
一般的な用途においてPPE樹脂(A)とカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)との混合割合は、通常PPE樹脂(A)10〜80質量部、カーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)20〜90質量部であり、好ましくは、PPE樹脂(A)20〜80質量部、カーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)20〜80質量部である。
〔成形体の製造方法〕
本発明のPPE樹脂組成物は、PPE樹脂(A)、カーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)、および任意成分であるガラスファイバー及び前記各種添加剤を、通常の混練装置、たとえばスクリュー押出機、加圧ニーダー、バンバリーミキサーなどを用い、180〜300℃程度の温度で溶融混練することにより得ることができる。なお、本発明において上記樹脂組成物は、具体的な用途に応じた成形体を得るための成形加工装置に供給される供給原料として一般的に広く用いられる形状を有していてもよい。具体的には、たとえば、板状、棒状、円筒状、円錐状、繊維状などの1次成形品といわれるものが挙げられる。
また、本発明のPPE樹脂組成物をキャスト押出、押出成形、射出成形等によって加工することで目的とする形状の成形体を作製することができるが、加工方法については、歩留まりが良好な点で射出成形法が好ましい。
〔射出成形方法〕
前記射出成形方法としては、なんら制限されるものではないが、溶融した樹脂組成物を均一に流動させ、バランスよく成形できる点で多点のピンゲート、サイドゲート等を有する金型を用いることが好ましい。また、寸法精度が良好でガスによる曇りの無い成形品を得るために、溶融した樹脂組成物の射出時に、金型キャビティを減圧にできるよう真空引き孔を設けた金型が好ましい。さらには、端材が発生せず生産時のロスが少ないことからホットランナーを有する金型が好ましい。ホットランナーを用いる場合は、ゲート跡を発生させないよう、溶融した樹脂組成物の金型キャビティへの流入終了後にゲートを閉鎖するニードルバルブも好適に用いられる。
〔成形体の用途〕
本発明の成形体の用途としては、なんら制限されるものではなく、家電製品部品、電気・電子部品、自動車部品、機械・機構部品、化粧品容器などの種々の成形品を成形する材料として有用である。例えば、ホース、チューブなどのパイプ材;人工芝、マット、トンネルシート、止水シート、ルーフィングなどの土木材料;家具、床材、発泡シートなどの建材;カーペットの裏打ち材、ドアパネル防水シート、泥よけ、モールなどの自動車内外装部品;パッキン、制振シートなどの家電製品;ブレーカー部品、スイッチ部品、モーター部品、イグニッションコイルケース、電源プラグ、電源コンセント、コイルボビン、コネクター、リレーケース、ヒューズケース、フライバクトランス部品、フォーカスブロック部品、ディストリビューターキャップ、ハーネスコネクター、ICトレイ、キャリアーテープ、クリーンルーム用パーテーションなどに好適に用いることができる。さらに、薄肉化の進むハウジング、ケーシングまたはシャーシ、例えば、電子・電気製品(例えば電話機、パソコン、プリンター、ファックス、コピー機、テレビ、ビデオデッキ、オーディオ機器などの家電・OA機器またはそれらの部品など)のハウジング、ケーシングまたはシャーシに有用である。特に優れた耐熱性、難燃性が要求されるプリンターの筐体、定着ユニット部品、ファックスなど家電・OA製品の機械・機構部品などとしても有用である。
以下に実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。本発明はもとより、これらの実施例の範囲に限定されるべきものではない。以下、「部」「%」は特に断りのない限り、質量基準である。
用いた測定方法について説明する。
〔カーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)分子量のGPC測定条件〕
カーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)の分子量測定は、高速液体クロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8220GPC)、RI検出器、TSK gel G6000H×1+G5000H×1+G4000H×1+G3000H×1+TSK guard column H×1、溶媒THF、流速1.0ml/分、温度40℃の条件にて行った。サンプルの調整は、カーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂500mgをTHF30mlに溶解し、ろ紙(No.2)及び0.5μmシリンジフィルターでろ過後、ろ液をTHFで10倍希釈した。
〔メルトマスフローレイト測定法〕
JIS K7210に準拠して測定した。なお測定条件は、PPE樹脂については、温度290℃、荷重49N、カーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂については、温度200℃、荷重49Nである。
〔樹脂及び添加剤〕
PPE樹脂(A)としては、0.5g/100mlクロロホルムでの還元粘度が30℃で0.53dl/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニルエーテル)を使用した。
カーボンナノチューブとしては、ベルギーのNanocyl製の多層カーボンナノチューブ(9.5nm×1.5μm、嵩密度0.06g/cm)を使用した。
ガラスファイバーとしては、日東紡(株)製CSF−3PE293を使用した。
〔成形方法〕
PPE樹脂(A)及びカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)及び添加剤を二軸押出機(280℃)にてコンパウンドし、そのコンパウンドを280℃の条件で熱プレス化し、3mm厚のシートを得た。
〔導電性の測定〕
上記条件で得られたサンプルについて、三菱化学製LorBta‐EP MCP‐T360(10Ω・cm以下)、シムコ製ST‐3 (10Ω・cm以上)を用いて測定した。
〔成形性について〕
コンパウンドして得られたPPE樹脂組成物のサンプルを射出成形機(溶融温度280℃)で評価用成形品(ダンベル片)を得、外観について目視により判断した。(外観良好○、やや不良△、不良×)
〔重合前予備分散〕
単量体混合物とカーボンナノチューブを2Lのフラスコに入れ、氷浴中で、超音波ホモジナイザー(出力300W、日本精機製作所 US−300T)と攪拌装置を用いて120分間処理を行った。
〔重合装置・方法〕
3LのSUS304の釜にダブルヘリカル翼を備え、ガラスの表蓋にリーディッヒ冷却管を付設した装置を用いて重合した。
〔重合率確認〕
反応重合物を取り出し、重クロロホルムに溶解し、ろ過したサンプルをH‐NMRのスチレンの二重結合ピークの減少から確認した。
〔乾燥方法〕
箱型真空乾燥機に重合サンプルを入れ、真空乾燥機と真空ポンプとのラインの間にトラップ(ドライアイスメタノール冷却)を接続し、80℃、フル真空で重合サンプルを48時間乾燥した。
(カーボンナノチューブ分散スチレン系樹脂(B)の合成)
調製例1
フラスコにNanocyl(株)製多層カーボンナノチューブ(9.5nm×1.5μm、嵩密度0.06g/cm)を50gとスチレンモノマーを950g加え5分攪拌した。その後、フラスコを氷浴及び攪拌しながら、120分間、超音波ホモジナイザー(300w)で分散させた。分散モノマーを重合装置に仕込み、エチルベンゼンを100g加え、138℃、7時間反応させた。反応後の重合率は98%であった。反応後の重合物を取り出し、80℃、フル真空で48時間乾燥させて、重合物を得た。得られた重合物の重量平均分子量は、15万となった。
調製例2
実施例1において、重合装置に更に触媒として2,2ビス(4,4ジ,ターシャリブチルぺルオキシシクロヘキシル)プロパンを0.5g加えた以外は同様の操作を行い、反応後の重合率が99%の重合物を得た。得られた重合物の重量平均分子量は20万となった。
調製例3
フラスコにNanocyl(株)製多層カーボンナノチューブ(9.5nm×1.5μm、嵩密度0.06g/cm)を50gとスチレンモノマーを950g加え5分攪拌した。その後、フラスコを氷浴及び攪拌しながら、120分間、超音波ホモジナイザー(300w)で分散させた。分散モノマーを重合装置に仕込み、エチルベンゼンを50gと触媒として2,2ビス(4,4ジ,ターシャリブチルぺルオキシシクロヘキシル)プロパンを0.3g加え、120℃、24時間反応させた。反応後の重合率は97%であった。反応後の重合物を取り出し、80℃、フル真空で48時間乾燥させて、重合物を得た。得られた重合物の重量平均分子量は、40万となった。
(参考例1)多分岐状マクロモノマー(Mm−1)の合成
<多分岐ポリエーテルポリオール1の合成>
攪拌機、温度計、滴下ロート及びコンデンサーを備えた2リットルフラスコに、室温下、エトキシ化ペンタエリスリトール(5モル−エチレンオキシド付加ペンタエリスリトール)50.5g、BFジエチルエーテル溶液(50%)1gを加え、110℃に加熱した。これに3―エチル−3―(ヒドロキシメチル)オキセタン450gを、反応による発熱を制御しつつ、25分間でゆっくり加えた。発熱が収まったところで、反応混合物をさらに120℃で3時間撹拌し、その後、室温に冷却した。得られた多分岐ポリエーテルポリオールの重量平均分子量は3,000、水酸基価は530であった。
<メタクリロイル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテル1の合成>
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えたディーンスタークデカンター及び気体導入管を備えた反応器に、上述の<多分岐ポリエーテルポリオール1の合成>で得られた多分岐ポリエーテルポリオール50g、メタアクリル酸13.8g、トルエン150g、ヒドロキノン0.06g、パラトルエンスルホン酸1gを加え、混合溶液中に3ミリリットル/分の速度で7%酸素含有窒素(v/v)を吹き込みながら、常圧下で撹拌し、加熱した。デカンターへの留出液量が1時間あたり30gになるように加熱量を調節し、脱水量が2.9gに到達するまで加熱を続けた。反応終了後、一度冷却し、無水酢酸36g、スルファミン酸5.7gを加え、60℃で10時間撹拌した。その後、残っている酢酸及びヒドロキノンを除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液50gで4回洗浄し、さらに1%硫酸水溶液50gで1回、水50gで2回洗浄した。得られた有機層にメトキノン0.02gを加え、減圧下、7%酸素含有窒素(v/v)を導入しながら溶媒を留去し、イソプロペニル基およびアセチル基を有する多分岐ポリエーテル60gを得た。得られた多分岐ポリエーテルの質量平均分子量は3,900であり、多分岐ポリエーテルポリオールへのイソプロペニル基およびアセチル基導入率は、それぞれ30モル%および62モル%であった。
(参考例2)多分岐状マクロモノマー(Mm−2)の合成
<スチリル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテル1の合成>
攪拌機、乾燥管を備えたコンデンサー、滴下ロート及び温度計を備えた反応器に、上述の<多分岐ポリエーテルポリオール1の合成>で得られた多分岐ポリエーテルポリオール50g、テトラヒドロフラン100g及び水素化ナトリウム4.3gを加え、室温下、撹拌した。これに4−クロロメチルスチレン26.7gを1時間かけて滴下し、得られた反応混合物を50℃でさらに4時間撹拌した。反応終了後、一度冷却し、無水酢酸34g、スルファミン酸5.4gを加え、60℃で10時間撹拌した。その後、減圧下でテトラヒドロフランを留去し、得られた混合物をトルエン150gで溶解させ、残っている酢酸を除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液50gで4回洗浄し、さらに1%硫酸水溶液50gで1回、水50gで2回洗浄した。得られた有機層から減圧下で溶媒を留去し、スチリル基およびアセチル基を有する多分岐ポリエーテル70gを得た。得られた多分岐ポリエーテルの質量平均分子量は4,800であり、多分岐ポリエーテルポリオールへのスチリル基およびアセチル基導入率は、それぞれ38モル%および57モル%であった。
(参考例3)多分岐状マクロモノマー(Mm−3)の合成
<メタクリロイル基及びアセチル基を有する多分岐状マクロモノマーの合成>
4口フラスコにスターラー、圧力計、冷却器及び受け皿を取り付け、これに308.9gのエトキシル化ペンタエリスリトールと0.46gの硫酸を加えた。その後、140℃まで加温し、460.5gの2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を10分間で加えた。2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピオン酸が完全に溶解して、透明溶液になってから、30〜40mmHgに減圧し、攪拌しながら、酸価が7.0mgKOH/gになるまで4時間反応させた。その後、この反応液に921gの2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピオン酸と0.92gの硫酸を15分かけて加え、透明溶液になってから、30〜40mmHgに減圧し、攪拌しながら3時間反応させて、ポリエステルポリオールを得た。7%酸素導入管、温度計、コンデンサーを備えたディーンスタークデカンター、および攪拌機を備えた反応容器に、上記で生成したポリエステルポリオールを10g、ジブチル錫オキシド1.25g、イソプロペニル基を有するメチルメタクリレート100g、およびヒドロキノン0.05gを加え、混合溶液中に3ml/分の速度で7%酸素を吹き込みながら、撹拌下に加熱した。デカンターへの留出液量が1時間あたり15〜20gになるように加熱量を調節し、1時間ごとにデカンター内の留出液を取り出し、これに相当する量のメチルメタクリレートを加えながら4時間反応させた。反応終了後、メチルメタクリレートを減圧下で留去し、残っているヒドロキシ基をキャッピングするために無水酢酸10g、スルファミン酸2gを加えて室温下、10時間撹拌した。濾過でスルファミン酸を除去し、減圧下で無水酢酸および酢酸を留去した後に、残留物を酢酸エチル70gに溶解し、ヒドロキノンを除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液20gで4回洗浄した。さらに7%硫酸水溶液20gで2回、水20gで2回洗浄した。得られた有機層にメトキノン0.0045gを加え、減圧下、7%酸素を導入しながら溶媒を留去し、イソプロペニル基およびアセチル基を有する多分岐状マクロモノマー(Mm−3)11gを得た。得られた多分岐状マクロモノマー(Mm−3)の重量平均分子量は3,000、数平均分子量は2,100、二重結合導入量は2.00mmol/gであり、イソプロペニル基およびアセチル基導入率は、それぞれ55モル%および36モル%であった。
(参考例4)多分岐状マクロモノマー(Mm−4)の合成
<スチリル基を有するPAMAMデンドリマーの合成>
攪拌機、乾燥管を備えたコンデンサー、滴下ロート及び温度計を備えた反応器にPAMAMデンドリマー(ゼネレーション2.0:Dentritech社製)のメタノール溶液(20%)50gを加え、減圧下、撹拌しながらメタノールを留去した。続いて、テトラヒドロフラン50g及び微粉化した水酸化カリウム3.0gを加え、室温下、撹拌した。これに4−クロロメチルスチレン7.0gを10分間かけて滴下し、得られた反応混合物を50℃でさらに3時間撹拌した。反応終了後、冷却し、固体を濾過した後に、テトラヒドロフランを減圧下、留去し、スチリル基を有するPAMAMデンドリマー13gを得た。得られたデンドリマーのスチリル基含有率は2.7ミリモル/グラムであった。
(参考例5)多分岐状マクロモノマー(Mm−5)の合成
<スチリル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテルポリオール2>
攪拌機、コンデンサー、遮光性滴下ロート及び温度計を備え、窒素シールが可能な遮光性反応容器に、窒素気流下、無水1,3,5−トリヒドロキシベンゼン0.5g、炭酸カリウム29g、18−クラウン−6 2.7g及びアセトン180gを加え、撹拌しながら、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン21.7gとアセトン180gからなる溶液を2時間かけて滴下、加えた。その後、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼンが消失するまで、撹拌下、加熱、還流させた。その後、4−クロロメチルスチレン9.0gを加え、これが消失するまで、さらに撹拌下、加熱、還流させた。その後、反応混合物に無水酢酸4g、スルファミン酸0.6gを加え、室温下、一晩撹拌した。冷却後、反応混合物中の固体を濾過で除き、溶媒を減圧下で留去した。得られた混合物をジクロロメタンに溶解し、水で3回洗浄した後、ジクロロメタン溶液をヘキサンに滴下し、多分岐ポリエーテルを沈殿させた。これを濾過し、乾燥させて、スチリル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテルポリオール12gを得た。質量平均分子量は3,200で、スチリル基の含有率は3.5ミリモル/グラムであった。
調製例4
調製例1において、参考例1のマクロモノマー(Mm−1)をスチレン系モノマーに200ppm加えた以外は同様の操作を行い、反応後の重合率が98%の重合物を得た。得られた重合物の重量平均分子量は25万となった。
調製例5
調製例1において、参考例2のマクロモノマー(Mm−2)をスチレン系モノマーに200ppm加えた以外は同様の操作を行い、反応後の重合率が98%の重合物を得た。得られた重合物の重量平均分子量は26万となった。
調製例6
調製例1において、参考例3のマクロモノマー(Mm−3)をスチレン系モノマーに200ppm加えた以外は同様の操作を行い、反応後の重合率が98%の重合物を得た。得られた重合物の重量平均分子量は25万となった。
調製例7
調製例1において、参考例4のマクロモノマー(Mm−4)をスチレン系モノマーに400ppm加えた以外は同様の操作を行い、反応後の重合率が98%の重合物を得た。得られた重合物の重量平均分子量は35万となった。
調製例8
調製例1において、参考例5のマクロモノマー(Mm−5)をスチレン系モノマーに400ppm加えた以外は同様の操作を行い、反応後の重合率が98%の重合物を得た。得られた重合物の重量平均分子量は35万となった。
実施例1
調製例1で得られたカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂20部と、PPE樹脂80部を二軸押出機を用いて280℃溶融混合し、スチールベルトを通してストランドカットをしてリペレットをした。リペレットしたサンプルを用いて、上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、1×10Ω・cmであった。
実施例2
調製例1で得られたカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂のかわりに、調製例2に変えた以外は実施例1と同様にして、サンプルを得た。上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、3×10Ω・cmであった。
実施例3
調製例1で得られたカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂のかわりに、調製例3に変えた以外は実施例1と同様にして、サンプルを得た。上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、5×10Ω・cmであった。
実施例4
調製例1で得られたカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂のかわりに、調製例4に変えた以外は実施例1と同様にして、サンプルを得た。上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、1×10Ω・cmであった。
実施例5
調製例1で得られたカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂のかわりに、調製例5に変えた以外は実施例1と同様にして、サンプルを得た。上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、9×10Ω・cmであった。
実施例6
調製例1で得られたカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂のかわりに、調製例6に変えた以外は実施例1と同様にして、サンプルを得た。上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、1×10Ω・cmであった。
実施例7
調製例1で得られたカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂のかわりに、調製例7に変えた以外は実施例1と同様にして、サンプルを得た。上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、2×10Ω・cmであった。
実施例8
調製例1で得られたカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂のかわりに、調製例8に変えた以外は実施例1と同様にして、サンプルを得た。上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、2×10Ω・cmであった。
比較例1
直鎖状の重量平均分子量15万のポリスチレン19部、PPE樹脂80部、カーボンナノチューブ1部を二軸押出機を用いて280℃溶融混合し、スチールベルトを通してストランドカットをしてリペレットをした。リペレットしたサンプルを用いて、上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、5×10Ω・cmであった。
比較例2
比較例1のポリスチレンの変わりに重量平均分子量40万のポリスチレンを用いた以外は同様にして、サンプルを得た。上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、8×10Ω・cmであった。
比較例3
比較例1のポリスチレンかわりに、参考例1の多分岐状マクロモノマー(Mm−1)をスチレンモノマーに対して200ppm導入して得られた重量平均分子量25万のポリスチレンを用いた以外は同様にして、サンプルを得た。上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、4×104Ω・cmであった。
比較例4
フラスコにNanocyl(株)製多層カーボンナノチューブ(9.5nm×1.5μm、嵩密度0.06g/cm)を50gとスチレンモノマーを950g加え5分攪拌した。その後、フラスコを氷浴及び攪拌しながら、120分間、超音波ホモジナイザー(300w)で分散させた。分散モノマーを重合装置に仕込み、エチルベンゼンを100g加え、重合開始剤t−ブチルパーオキシベンゾエートを0.3g、138℃、7時間反応させた。反応後の重合率は98%であった。反応後の重合物を取り出し、80℃、フル真空で48時間乾燥させて、重合物を得た。得られた重合物の重量平均分子量は、10万となった。得られたカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂20部、PPE樹脂80部を二軸押出機を用いて280℃溶融混合し、スチールベルトを通してストランドカットをしてリペレットをした。リペレットしたサンプルを用いて、上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、1×10Ω・cmであった。
実施例9
調製例1で得られたカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂30部、PPE樹脂50部、ガラスファイバー20部を二軸押出機を用いて280℃溶融混合し、スチールベルトを通してストランドカットをしてリペレットをした。リペレットしたサンプルを用いて、上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、8×10Ω・cmであった。
実施例10
調製例1で得られたカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂20部、PPE樹脂60部、ガラスファイバー20部を二軸押出機を用いて280℃溶融混合し、スチールベルトを通してストランドカットをしてリペレットをした。リペレットしたサンプルを用いて、上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、5×10Ω・cmであった。
比較例5
比較例1で使用のポリスチレン28.5部、PPE樹脂50部、ガラスファイバー20部、カーボンナノチューブを1.5部を二軸押出機を用いて280℃溶融混合し、スチールベルトを通してストランドカットをしてリペレットをした。リペレットしたサンプルを用いて、上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、3×103Ω・cmであった。
比較例6
比較例1で使用のポリスチレン19部、PPE樹脂60部、ガラスファイバー20部、カーボンナノチューブを1部を二軸押出機を用いて280℃溶融混合し、スチールベルトを通してストランドカットをしてリペレットをした。リペレットしたサンプルを用いて、上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、7×10Ω・cmであった。
調製例9
フラスコにNanocyl(株)製多層カーボンナノチューブ(9.5nm×1.5μm、嵩密度0.06g/cm)を50gとスチレンモノマーを900g、メチルメタクリレート50g、参考例1のマクロモノマー(Mm−1)をモノマー比で100ppm加え、5分攪拌した。その後、フラスコを氷浴及び攪拌しながら、120分間、超音波ホモジナイザー(300w)で分散させた。分散モノマーを重合装置に仕込み、エチルベンゼンを100g加え、138℃、7時間反応させた。反応後の重合率は98%であった。反応後の重合物を取り出し、80℃、フル真空で48時間乾燥させて、重合物を得た。得られた重合物の組成比はスチレン/メチルメタクリレート=95/5であり、重量平均分子量は27万となった。
実施例11
調製例9で得られたカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂20部と、PPE樹脂80部を二軸押出機を用いて280℃溶融混合し、スチールベルトを通してストランドカットをしてリペレットをした。リペレットしたサンプルを用いて、上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、1×10Ω・cmであった。
調製例10
フラスコにNanocyl(株)製多層カーボンナノチューブ(9.5nm×1.5μm、嵩密度0.06g/cm3)を50gとスチレンモノマーを900g、ブチルアクリレート50g、参考例1のマクロモノマー(Mm−1)をモノマーに対して100ppm加え、5分攪拌した。その後、フラスコを氷浴及び攪拌しながら、120分間、超音波ホモジナイザー(300w)で分散させた。分散モノマーを重合装置に仕込み、エチルベンゼンを100g加え、138℃、7時間反応させた。反応後の重合率は98%であった。反応後の重合物を取り出し、80℃、フル真空で48時間乾燥させて、重合物を得た。得られた重合物の組成比はスチレン/ブチルアクリレート=94/6であり、重量平均分子量は28万となった。
実施例12
調製例10で得られたカーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂20部と、PPE樹脂80部を二軸押出機を用いて280℃溶融混合し、スチールベルトを通してストランドカットをしてリペレットをした。リペレットしたサンプルを用いて、上記された条件で熱プレス成形し、導電性を測定したところ、9×10Ω・cmであった。
評価結果を表1〜6に示す。尚、表中のカーボンナノチューブ量について、カーボンナノチューブ含有ポリスチレンの場合は、カッコ表記とした。
Figure 2012057082
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以上より、PPE樹脂と、カーボンナノチューブをスチレン系単量体を含む単量体混合物に機械分散させて重合した特定のマスタバッチとを含有した樹脂組成物が、導電性及び成型性に改善を齎すことが明白である。

Claims (8)

  1. ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と、
    カーボンナノチューブを、スチレン系単量体を含む単量体混合物に分散させた後、これを重合することで得られるRI−GPC法による重量平均分子量が15万〜40万の、カーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)
    とを含有することを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  2. 前記スチレン系単量体を含む単量体混合物が、多分岐状マクロモノマーを含有するものである請求項1に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  3. 前記多分岐状マクロモノマーの重量平均分子量が2,000〜8,000である請求項2に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  4. 前記スチレン系単量体を含む単量体混合物において、スチレン系単量体に対する多分岐状マクロモノマーの配合率が質量基準で100ppm〜2000ppmである請求項2から3のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  5. 前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と、カーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)とを含有する樹脂組成物において、全体量を100質量部としたときに、
    ガラスファイバーの含有量が10〜40質量部である請求項1から4のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  6. 前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と、カーボンナノチューブ含有スチレン系樹脂(B)とを含有する樹脂組成物において、全体量を100質量部としたときに、
    カーボンナノチューブの含有量が0.5〜3質量部である請求項1から5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである請求項1から6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を用いて得られることを特徴とする成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024053535A1 (ja) * 2022-09-08 2024-03-14 Dic株式会社 導電性樹脂組成物、マスターバッチ、成形体及びそれらの製造方法

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