以下、本発明における合成樹脂製パレットを具体化した一実施の形態について図を参照して説明する。合成樹脂製パレット1の全体構造について図1及び図2を参照して説明する。図1に示されるように、矩形状の載荷面1t及び接地面1g、並びに載荷面1t及び接地面1gを接続する外側面1sを備える合成樹脂製パレット1は、パレット形成部材たるデッキ部材2と連結部材3とが組み合わされることによって構成されている。具体的には、4つのデッキ部材2のそれぞれが合成樹脂製パレット1の四隅を構成している。そして一対のデッキ部材2の間には、連結部材3が配設されている。
図2に示されるように、デッキ部材2には、連結部材3と対向する対向面である連結部材対向面2fから突出するように、4本の第一の連結部2jが形成されている。第一の連結部2jは、その断面が矩形状である矩形筒部である。連結部材3には、デッキ部材2と対向する対向面であるデッキ部材対向面3fから突出するように、4本の第二の連結部3jが形成されている。第二の連結部3jは、その断面が矩形状である矩形筒部である。
4本の第一の連結部2jのうちの2本は、合成樹脂製パレット1の外側面1s寄りにこの外側面1sと平行に形成されている。4本の第二の連結部3jのうちの他の2本も、合成樹脂製パレット1の外側面1s寄りにこの外側面1sと平行に形成されている。また4
本の第一の連結部2jのうちの残りの2本は、合成樹脂製パレット1の中央寄りにおいて、外側面1s寄りに設けられた上記一対の第一の連結部2jと平行に形成されている。4本の第二の連結部3jのうちの残りの2本も、合成樹脂製パレット1の中央寄りにおいて、外側面1s寄りに設けられた上記一対の第二の連結部3jと平行に形成されている。
第二の連結部3jの断面形状は、第一の連結部2jの断面形状よりも小さく形成されている。第一の連結部2jの基部寄りの筒壁には、係合孔が形成されている。また第二の連結部3jの突端寄りの筒壁には、その筒壁の外面に突出する係合突起が形成されている。そして、上記係合孔が形成されている位置と上記係合突起が形成されている位置とは、第二の連結部3jが第一の連結部2j内に嵌め込まれた状態で一致するように形成されている。そして、第二の連結部3jが第一の連結部2jに嵌め込まれると、上記係合孔が上記突起と係合するようになっている。
ちなみに合成樹脂製パレット1には、外側面1sの中間部に中間桁1aと、四隅に隅桁1bと、中央部に中央桁1cとが形成されている。中間桁1aは、合成樹脂製パレット1の外側面1s寄りにおける連結部材3とともに、この外側面1s寄りに配設された一対の第一の連結部2jに一対の第二の連結部3jがそれぞれ挿入された一対の筒状体を含むかたちで構成される。このため、載荷面1tに荷物を搭載した際に、最も荷重応力がかかる合成樹脂製パレット1の外縁における剛性を高めることができる。ひいては合成樹脂製パレット1の剛性を高めることもできる。
中央桁1cは、合成樹脂製パレット1の中央部寄りにおける連結部材3とともに、この中央部寄りに配設された一対の第一の連結部2jに一対の第二の連結部3jがそれぞれ挿入された一対の筒状体を含むかたちで構成される。すなわち、連結部材3を介しつつ、合成樹脂製パレット1の中央部を二重に囲む筒状体によって、中央桁1cが構成されている。このため、デッキ部材2と連結部材3との連結をより強固にすることができるとともに、合成樹脂製パレット1の剛性を高めることもできる。
隅桁1bは、連結部材3を含みつつ構成される中間桁1a及び中央桁1cとは異なり、平面視矩形状たるデッキ部材2の四隅のうち、中間桁1a及び中央桁1cを構成しない唯一の隅部たる隅桁構成部2bによって構成されている。すなわち隅桁1bは、デッキ部材2の隅桁構成部2bとして一体成型されている。この一体成型により、合成樹脂製パレット1が外部からの衝撃力を最も頻繁に受ける隅桁1bの外側面1sの表面強度を高めることができる。
なお、外側面1sには、中間桁1aと隅桁1bとの間にフォーク挿入口2i(図1参照)が設けられている。すなわち載荷面1t及び接地面1g以外の四面を構成する合成樹脂製パレット1の外側面1sの各面において、フォーク挿入口2iが二箇所ずつ形成されているため、この合成樹脂製パレット1は、所謂四方差しのパレットである。また図1及び図2はいずれも載荷面側から見た斜視構造を示すため、これらの図には明示されていないが、載荷面1tの構成と接地面1gの構成とは同一となるように形成されている。すなわち、図1及び図2に示す合成樹脂製パレット1は、載荷面1tと接地面1gとの向きを考慮せずに用いることができるようになっている。
次に、デッキ部材2の構造について図3及び図4を参照して説明する。図3及び図4に示されるように、デッキ部材2の外側面は、フォーク挿入口2iが形成されている一対の面と、フォーク挿通孔2pが形成されている一対の面とから構成されている。フォーク挿入口2iは、上述の如く四方差したる合成樹脂製パレット1にフォークリフトのフォークが挿入される入り口となる部分である。そのため、フォーク挿入口2iが形成されている一対の面は、いずれも合成樹脂製パレット1の外側面1sを構成する。またフォーク挿通
孔2pは、フォーク挿入口2iから挿入されたフォークが合成樹脂製パレット1の内部においてデッキ部材2の外側面を貫通する孔となる部分である。そしてフォーク挿通孔2pを貫通したフォークは、デッキ部材2に連結されている連結部材3を貫通する。そのため、フォーク挿通孔2pが形成されている一対の面は、いずれも連結部材3と対向する連結部材対向面2fとなる。
一方の連結部材対向面2fからは、フォーク挿入口2iが設けられた外側面寄りに一対の第一の連結部2jが突出かつ該外側面と平行となるように設けられている。この一対の第一の連結部2jは、フォーク挿入口2iが設けられた外側面に沿うように突設された外側中間桁構成部2aaと、該外側中間桁構成部2aaと並ぶように突設された内側中間桁構成部2abとから構成される。また、この一方の連結部材対向面2fからは、フォーク挿入口2iが設けられた外側面と対向する面、すなわち他方の連結部材対向面2f寄りにも一対の第一の連結部2jが突出かつ他方の連結部材対向面2fと平行となるように設けられている。この一対の第一の連結部2jは、内側中間桁構成部2abとフォーク挿通孔2pを介して対向する外側中央桁構成部2caと、該外側中央桁構成部2caと並ぶように突設された内側中央桁構成部2cbとから構成される。
これらの第一の連結部2jはすべて断面が矩形状の筒状体として形成されており、上述の如く、断面矩形状の筒状体たる第二の連結部3jがそれぞれ挿入されるようになっている。換言すると、第二の連結部3jは第一の連結部2jに対して雄型筒部として機能し、第一の連結部2jは第二の連結部3jに対して雌型筒部として機能する。すなわち、第一の連結部2jは、雌型筒部20としてデッキ部材2に形成されている。
このような雌型筒部20の筒壁として、合成樹脂製パレット1の載荷面1tの一部分を構成する載荷面筒壁20tが形成されている。また雌型筒部20の筒壁として、載荷面筒壁20tと対向するとともに、合成樹脂製パレット1の接地面1gの一部分を構成する接地面筒壁20gが形成されている。そして雌型筒部20の筒壁として、第二の連結部3jが雌型筒部20の内部に挿入されたときに、該第二の連結部3jの被係合部(上記係合突起)と係合する部分が設けられる係合筒壁20jが形成されている。
この係合筒壁20jは、載荷面筒壁20t及び接地面筒壁20gと互いに直交する筒壁である。また、外側中間桁構成部2aaが備える係合筒壁20jと内側中間桁構成部2abが備える係合筒壁20jとは、互いに対向するようになっている。同様に、外側中央桁構成部2caが備える係合筒壁20jと内側中央桁構成部2cbが備える係合筒壁20jとは、互いに対向するようになっている。
係合筒壁20jには、上述の如く第二の連結部3jの被係合部(上記突起)と係合する部分として、係合筒壁20jを貫通する係合孔21が形成されている。詳述すると、係合孔21は、連結部材対向面2fから雌型筒部20が突設されている基部寄りの部分であって、載荷面筒壁20t寄りの部分と接地面筒壁20g寄りの部分との二箇所に形成されている。また、対向する一対の係合筒壁20jにそれぞれ形成されている係合孔21は、互いに対向するように形成されている。
載荷面筒壁20t及び接地面筒壁20gには、係合孔21と連通する連通孔22がそれぞれ形成されている。詳述すると、載荷面筒壁20tに形成される連通孔22は、載荷面筒壁20t寄りに形成される係合孔21と、載荷面筒壁20tと係合筒壁20jとの接続部分(角部)を介して連通するように形成される。同様に、接地面筒壁20gに形成される連通孔22は、接地面筒壁20g寄りに形成される係合孔21と、接地面筒壁20gと係合筒壁20jとの接続部分(角部)を介して連通するように形成される。
その結果、組み立てられた状態の合成樹脂製パレット1の載荷面1t及び接地面1gと対向する平面視方向において、係合孔21と第二の連結部3jの被係合部との係合状態が、連通孔22を介して視認され得るようになる。すなわち、連通孔22を介して第二の連結部3jの被係合部を操作することによって、該被係合部の位置を変位させることができるようになる。それゆえに、係合孔21と第二の連結部3jの被係合部との係合状態を解除することができるようになり、ひいてはデッキ部材2及び連結部材3の少なくとも一方を容易に換装することができるようになる。
また上述の如く、対向する一対の係合筒壁20jにおいて、係合孔21は互いに対向するようにそれぞれ形成されている。そのため、これらの係合孔21と連通する一対の連通孔22は、合成樹脂製パレット1の載荷面1t及び接地面1gと対向する平面視方向において、あたかも併設されているかの如く配設されることになる。
その結果、例えば図6に示されるような冶具等を用いることによって、対向する一対の係合筒壁20jにおける係合孔21と第二の連結部3jの被係合部との係合状態を一度に解除することができるようになる。それゆえに、デッキ部材2及び連結部材3の少なくとも一方をさらに容易に換装することができるようになる。
ちなみに、外側中間桁構成部2aa及び内側中間桁構成部2abは、デッキ部材2が合成樹脂製パレット1に組み込まれたときに、中間桁1aを構成する。また、外側中央桁構成部2ca及び内側中央桁構成部2cbは、デッキ部材2が合成樹脂製パレット1に組み込まれたときに、中央桁1cを構成する。なお、デッキ部材2は、図3及び図4に示すようにその表裏面が同一の構造となるように形成されている。そのため、このデッキ部材2は、表裏を考慮せずに連結部材3と連結させ、あるいは換装させることができる。
次に、連結部材3の構造について図5を参照して説明する。図5に示されるように、連結部材3は、フォーク挿通孔3pが形成されている一対の面を有している。フォーク挿通孔3pは、デッキ部材2が有するフォーク挿入口2iから挿入されたフォークが合成樹脂製パレット1の内部において連結部材3を貫通する孔となる部分である。そのため、フォーク挿通孔3pが形成されている一対の面は、いずれもデッキ部材2と対向するデッキ部材対向面3fとなる。
デッキ部材対向面3fからは、合成樹脂製パレット1の外側面1sとなる部分(図5の紙面左側)寄りに一対の第二の連結部3jが突出かつ該外側面1sとなる部分と平行となるように設けられている。この一対の第二の連結部3jは、外側面1sとなる部分に沿うように突設された外側中間桁構成部3aaと、該外側中間桁構成部3aaと並ぶように突設された内側中間桁構成部3abとから構成される。
また、デッキ部材対向面3fからは、合成樹脂製パレット1の中央部となる部分(図5の紙面右側)寄りにも、一対の第二の連結部3jが突出かつ上記外側面1sとなる部分と平行となるように設けられている。この一対の第二の連結部3jは、内側中間桁構成部3abとフォーク挿通孔3pを介して対向する外側中央桁構成部3caと、該外側中央桁構成部3caと並ぶように突設された内側中央桁構成部3cbとから構成される。
これらの第二の連結部3jでは、すべて断面が矩形状の筒状体として形成されており、上述の如く、断面矩形状の筒状体たる第一の連結部2jにそれぞれ挿入するようになっている。換言すると、第二の連結部3jは第一の連結部2jに対して雄型筒部として機能し、第一の連結部2jは第二の連結部3jに対して雌型筒部として機能する。すなわち、第二の連結部3jは、雄型筒部30として連結部材3に形成されている。
このような雄型筒部30の筒壁として、雄型筒部30が雌型筒部20の内部に挿入されて雄型筒部30と雌型筒部20とが互いに嵌合するときに、雌型筒部20の載荷面筒壁20tと対向する筒壁となる載荷面側筒壁30tが形成されている。また雄型筒部30の筒壁として、雄型筒部30が雌型筒部20の内部に挿入されて雄型筒部30と雌型筒部20とが互いに嵌合するときに、雌型筒部20の接地面筒壁20gと対向する筒壁となる接地面側筒壁30gが形成されている。載荷面側筒壁30tと接地面側筒壁30gとは、互いに対向するように形成されている。そして雄型筒部30の筒壁として、雄型筒部30が雌型筒部20の内部に挿入されて雄型筒部30と雌型筒部20とが互いに嵌合するときに、雌型筒部20の係合孔21によって係合される部分が設けられる被係合筒壁30jが形成されている。
この被係合筒壁30jは、載荷面側筒壁30t及び接地面側筒壁30gと互いに直交する筒壁である。また、外側中間桁構成部3aaが備える被係合筒壁30jと内側中間桁構成部3abが備える被係合筒壁30jとは、互いに対向するようになっている。同様に、外側中央桁構成部3caが備える被係合筒壁30jと内側中央桁構成部3cbが備える被係合筒壁30jとは、互いに対向するようになっている。
被係合筒壁30jには、雄型筒部30の突端が自由端となる片持ち梁31が、載荷面側筒壁30t寄りの部分と接地面側筒壁30g寄りの部分との二箇所に形成されている。またこれら二本の片持ち梁31の自由端寄りには、雌型筒部20の係合筒壁20jが備える係合孔21によって係合される部分として、雄型筒部30の外周面から突出する係合突起31pがそれぞれ形成されている。
係合突起31pは、片持ち梁31の自由端寄りの面において、片持ち梁31の自由端から基部に向かって徐々に突出量が増加するように形成されている。そして、雄型筒部30が雌型筒部20の内部に挿入されるときには、片持ち梁31が撓みつつ、係合筒壁20jの内面が係合突起31pを少しずつ雄型筒部30の内部に押し込むことができるようになる。それゆえに、デッキ部材2と連結部材3とを連結が滑らかとなる。また係合突起31pが係合孔21によって係合されるときには、片持ち梁31の撓みが解消されるため、片持ち梁31の弾性力によって係合突起31pと係合孔21との係合、すなわちデッキ部材2と連結部材3とを連結が強化されるようになる。
一方、係合突起31pは、片持ち梁31の基部寄りの面において、片持ち梁31の基部から自由端に向かって急激に突出量が増加するように形成されている。それゆえに、係合突起31pと係合孔21との係合が容易に外れないようにすることができる。それゆえに、デッキ部材2と連結部材3との連結を強固にすることができる。
また載荷面側筒壁30t寄りに設けられた係合突起31pは、載荷面側筒壁30t寄りの面において、載荷面側筒壁30t側から接地面側筒壁30g側に向かって徐々に突出量が増加するように形成されている。それゆえに、載荷面筒壁20tが備える連通孔22を介して、載荷面1tから接地面1gに向かう方向の力を係合突起31pに作用させることによって、片持ち梁31を撓ませつつ、係合突起31pを雄型筒部30の内部に押し込むことができるようになる。そのため、デッキ部材2と連結部材3との連結を容易に解除することができる。
また接地面側筒壁30g寄りに設けられた係合突起31pは、接地面側筒壁30g寄りの面において、接地面側筒壁30g側から載荷面側筒壁30t側に向かって徐々に突出量が増加するように形成されている。それゆえに、接地面筒壁20gが備える連通孔22を介して、接地面1gから載荷面1tに向かう方向の力を係合突起31pに作用させることによって、片持ち梁31を撓ませつつ、係合突起31pを雄型筒部30の内部に押し込む
ことができるようになる。そのため、デッキ部材2と連結部材3との連結を容易に解除することができる。
なお上述の如く、係合孔21は、対向する一対の被係合筒壁30jにおいて互いに対向するように形成されている。このため、このような係合孔21によって係合される係合突起31pは、対向する一対の被係合筒壁30jにおいて互いに対向するように形成される。すなわち、係合突起31pを備える片持ち梁31も、対向する一対の被係合筒壁30jにおいて互いに対向するように形成される。そのため、例えば図6に示されるような冶具等を用いることによって、対向する一対の係合筒壁20jにおける係合孔21と第二の連結部3jの被係合部との係合状態を一度に解除することができるようになる。それゆえに、デッキ部材2及び連結部材3の少なくとも一方を容易に換装することができるようになる。
また、このような片持ち梁31の梁の長さは、すべて同じ長さとなるように形成されている。それゆえに、例えば図6に示されるような冶具等を用いて係合孔21と係合突起31pとの係合状態を二箇所同時に解除するときであっても、一方の係合状態の解除に要する力と他方の係合状態の解除に要する力とを均一にすることができる。このため、例えば図6に示されるような冶具を図7及び図8に示されるような態様で使用するときであっても、冶具の左右両端における押し込み力が等しくなる。その結果、このような冶具が、例えば冶具の一方の側面が連通孔22の内面と接触しつつ操作されることがなくなるようになる。それゆえに、冶具を用いて行うデッキ部材2及び連結部材3の少なくとも一方を換装する作業をより効率的に行うことができるようになる。
ちなみに、雄型筒部30の外周面の表面粗さは、雄型筒部30の突端から基部に向かって徐々に密となるように形成されている。すなわち、雄型筒部30の基部寄りの外周面における表面粗さは、雄型筒部30の突端寄りの外周面における表面粗さよりも密となるように形成されている。
雄型筒部30は雌型筒部20の内部に挿入されるため、雄型筒部30の突端寄りの外周面の表面粗さを粗くしておけば、該外周面と雌型筒部20の内周面との貼り付きを防止することができるようになる。すなわち、閊えることなく雄型筒部30を雌型筒部20の内部に挿入することができるようになる。また雄型筒部30の基部寄りの外周面の表面粗さを突端寄りの外周面の表面粗さよりも密にすることによって、雄型筒部30の基部と雌型筒部20の突端において、雄型筒部30の外周面と雌型筒部20の内周面との密着度を上げることもできるようになる。それゆえに、雄型筒部30の突端と雌型筒部20の基端とにおいて係合突起31pと係合孔21とが係合することと相まって、デッキ部材2と連結部材3との連結をより強固にすることができるようになる。
また雄型筒部30の外周面には、雄型筒部30の基部から雄型筒部30の突端に向けて延びる複数の凸条32が添設されている。具体的には、載荷面側筒壁30tと接地面側筒壁30gの外面には、これらの壁面の略中央部にそれぞれ1本の凸条32が添設されている。被係合筒壁30jの外面には、2本の片持ち梁31の間の領域における略中央部に1本の凸条32が添設されている。被係合筒壁30jと対向する雄型筒部30の筒壁の外面には、その略中央部に添設された1本の凸条32を対称軸として線対称の位置関係にある2本の凸条32が、互いに平行となるように添設されている。凸条32の断面厚は、雄型筒部30の基部から雄型筒部30の突端に向かうにつれて徐々に薄くなるように形成されている。
このように雄型筒部30の断面積を突端から基部にかけて徐々に大きくなるようにするため、閊えることなく雄型筒部30を雌型筒部20の内部に挿入することができる。併せ
て、雄型筒部30が雌型筒部20の内部に挿入されたときの雄型筒部30の基部と雌型筒部20の突端における嵌合力を最も大きくすることができるようになる。それゆえに、雄型筒部30の突端と雌型筒部20の基端とにおいて係合突起31pと係合孔21とが係合することと相まって、デッキ部材2と連結部材3との連結をより強固にすることができるようになる。
ちなみに、外側中間桁構成部3aa及び内側中間桁構成部3abは、連結部材3が合成樹脂製パレット1に組み込まれたときに、中間桁1aを構成する。また、外側中央桁構成部3ca及び内側中央桁構成部3cbは、連結部材3が合成樹脂製パレット1に組み込まれたときに、中央桁1cを構成する。なお、連結部材3は、図5に示すようにその表裏面が同一の構造となるように形成されている。そのため、この連結部材3は、表裏を考慮せずにデッキ部材2と連結させ、あるいは換装させることができる。
次に、デッキ部材2と連結部材3との連結を解除するため、すなわち係合孔21と係合突起31pとの係合を解除するために用いられる係合解除冶具4の一例について図6を参照して説明する。
図6(a)に示されるように、係合解除冶具4は、上冶具4tと下冶具4bとから構成されている。上冶具4tは断面矩形状たる柱状の構造体であって、対向する一対の上冶具壁が上端面(図6(b)における紙面上側の面)から突設されている。なお上記上端面は、後述する下冶具4bの突端に形成される凸部4bjを係止する係止部4tjとなる。そして図6(b)に示されるように、上記対向する一対の上冶具壁には、後述する下冶具4bの突端の位置を規制するストッパ部4tsが、上冶具壁の内側面を抉るかたちに形成されている。また図6(b)に示されるように、上冶具4tには、上冶具4tの中央を貫く断面矩形状の挿入孔4tiが形成されている。具体的には、挿入孔4tiは、上冶具4tの下端面(図6(b)における紙面下側の面)から、ストッパ部4tsに至るかたちに形成されている。
また図6(b)に示されるように、上記上冶具壁の外側面及び該外側面に連なる上冶具4tの外側面において、該上冶具壁の突端から基部に向けて延びる係合突起押圧部4tpがそれぞれ添設されている。すなわち、係合突起押圧部4tpが添設される上冶具壁の外側面及び該外側面に連なる上冶具4tの外側面は、係止部4tjが設けられている上冶具4tの冶具壁と直交する外側面である。これらの係合突起押圧部4tpが、例えば載荷面筒壁20tに設けられた連通孔22を介して合成樹脂製パレット1の内部に押し込まれる。これにより、係合突起押圧部4tpが係合突起31pの面と接触するとともに、係合突起31pを雄型筒部30の内部に押し込むことができるようになる。
図6(c)に示されるように、下冶具4bは断面矩形状の柱状構造体であって、係合突起押圧部4bpを備える下冶具4b本体の上面から一回り細い断面矩形状の柱状構造体たる挿入部4biが突設されている。この挿入部4biの突端は、外面にそれぞれ凸部4bjを備える二股構造となっている。そのため、挿入部4biが挿入孔4tiに挿入され、挿入部4biの突端がストッパ部4tsと当たるまで押し込まれると、凸部4bjが係止部4tjに係止されるようになる。これにより上冶具4tと下冶具4bとは一体化される。
なお、上述の如く挿入部4biの突端は二股構造となっている。すなわち凸部4bjは片持ち梁の自由端寄りに形成されていることとなる。そのため、凸部4bjを互いが近づくように上記二股構造たる片持ち梁を変位させることによって、凸部4bjと係止部4tjとの係合を解除することができる。これにより、係合解除冶具4を上冶具4tと下冶具4bとに分離させることができる。
また係合突起押圧部4bpが、例えば接地面筒壁20gに設けられた連通孔22を介して合成樹脂製パレット1の内部に押し込まれる。これにより、係合突起押圧部4bpが係合突起31pの面と接触するとともに、係合突起31pを雄型筒部30の内部に押し込むことができるようになる。
ちなみに係合突起押圧部4bpは、下冶具4b本体の対向する一対の外側面上であって、凸部4bjが設けられている挿入部4biの外側面と直交する外側面上に、下冶具4b本体の下端(図6(b)における紙面下側)から上端に向けて添設されている。一方、上述の如く、係合突起押圧部4tpが添設される上冶具壁の外側面及び該外側面に連なる上冶具4tの外側面は、係止部4tjが設けられている上冶具4tの冶具壁と直交する外側面である。また上述如く、凸部4bjは係止部4tjによって係止される。そのため、係合突起押圧部4tp及び係合突起押圧部4bpは、上冶具4tと下冶具4bとが組み合わされた係合解除冶具4の対向する一対の同一外側面上に共に添設されるようになる。
この結果、雌型筒部20の載荷面筒壁20t及び接地面筒壁20gが有する連通孔22を介して係合突起押圧部4tp及び係合突起押圧部4bpを同時に合成樹脂製パレット1の内部に押し込むことができる。それゆえに、係合解除冶具4を用いてすべての係合突起31pを雄型筒部30の内部に押し込みつつ、すべての係合突起31pと係合孔21との係合を同時に解除することができるようになる。
係合解除冶具4によって係合突起31pと係合孔21との係合が解除される過程の一例について図7及び図8を参照して説明する。
図7(a)は、1個のデッキ部材2と1個の連結部材3とが連結された構造体に対し、上冶具4tと下冶具4bとがそれぞれ挿入されつつある様子を示す斜視図である。より具体的には、第一の連結部2jとしてデッキ部材2が有する雌型筒部20の載荷面筒壁20tに設けられた連通孔22を介して上冶具4tが上記構造体の内部に挿入されつつある様子を示している。また第一の連結部2jとしてデッキ部材2が有する雌型筒部20の接地面筒壁20gに設けられた連通孔22を介して下冶具4bが上記構造体の内部に挿入されつつある様子も示している。ちなみに、図7(b)は、図7(a)におけるA−A断面構造を示す断面図である。
図8(a)は、1個のデッキ部材2と1個の連結部材3とが連結された構造体に対し、上冶具4tと下冶具4bとがそれぞれ挿入された様子を示す斜視図である。より具体的には、載荷面筒壁20tに設けられた連通孔22を介して上冶具4tが上記構造体の内部に挿入されるとともに、接地面筒壁20gに設けられた連通孔22を介して下冶具4bが上記構造体の内部に挿入された様子も示している。ちなみに、図8(b)は、図8(a)におけるB−B断面構造を示す断面図である。
図7(a)(b)に示される状態は、上冶具4t及び下冶具4bは共に上記構造体の内部に挿入されつつある状態のため、図7(a)に示されるように、上冶具4tが載荷面1tから突出する量と下冶具4bが接地面1gから突出する量とは大きい。そのため、図7(b)に示されるように、上冶具4tの外側面上に添設された係合突起押圧部4tpは、雄型筒部30の載荷面側筒壁30t寄りに形成された片持ち梁31が備える係合突起31pと接触するまでには至っていない。同様に、下冶具4bの外側面上に添設された係合突起押圧部4bpも、雄型筒部30の接地面側筒壁30g寄りに形成された片持ち梁31が備える係合突起31pと接触するまでには至っていない。
その結果、係合突起押圧部4tp,4bpによって係合突起31pが未だ押圧されていないため、係合突起31pは雌型筒部20の係合筒壁20jの内面から外面に向けて係合
孔21を介して突出した状態が維持されている。すなわち、係合突起31pと係合孔21との係合が未だ解除されていない状態が維持されている。
一方、図8(a)(b)に示される状態は、上記構造体の内部において係合解除冶具4が組み立てられた状態であるため、図8(a)に示されるように、上冶具4tが載荷面1tから突出する量と下冶具4bが接地面1gから突出する量とは小さい。そのため、図8(b)に示されるように、上冶具4tの外側面上に添設された係合突起押圧部4tpは、雄型筒部30の載荷面側筒壁30t寄りに形成された片持ち梁31が備える係合突起31pと接触しつつ、該係合突起31pを雄型筒部30の内部に押し込む。同様に、下冶具4bの外側面上に添設された係合突起押圧部4bpも、雄型筒部30の接地面側筒壁30g寄りに形成された片持ち梁31が備える係合突起31pと接触しつつ、該係合突起31pを雄型筒部30の内部に押し込む。
具体的には、係合突起31pが係合突起押圧部4tp,4bpによって押圧される面の厚みは、係合突起押圧部4tp,4bpがそれぞれ挿入されていく方向に向かって徐々に厚くなるように形成されている。また、係合突起押圧部4tp,4bpが係合突起31pを押圧する面の厚みは、係合突起押圧部4tp,4bpがそれぞれ挿入されていく方向に向かって徐々に薄くなるように形成されている。そして、係合突起31pが片持ち梁31の自由端寄りの位置、すなわち最も小さい力で片持ち梁31を撓ませることができるとともに、片持ち梁31が最も大きく撓む部分に形成されている。
このため、係合突起押圧部4tp,4bpが挿入されるにつれて、係合突起31pを雄型筒部30の内部に押し込む力が係合突起31pに働く。そしてこのような力は片持ち梁31を雄型筒部30の内部に向かって撓ませる。その結果、係合突起31pは雌型筒部20の係合筒壁20jの内面から外面に向けて係合孔21を介して突出していない状態となる。すなわち、係合突起31pと係合孔21との係合が完全に解除されている状態となる。これにより、一旦互いに連結していたデッキ部材2と連結部材3との連結が解除され、デッキ部材2及び連結部材3の少なくとも一方を換装することができるようになる。
また、図7(b)及び図8(b)に示されるように、上冶具4t及び下冶具4bの外表面が雌型筒部20の係合筒壁20jの外表面によって案内されつつ、上冶具4t及び下冶具4bは上記構造体の内部に挿入される。それゆえに、係合突起押圧部4tp,4bpが上冶具4t及び下冶具4bの外表面から突出する量が係合筒壁20jの壁の厚みよりも大きくすることによって、係合突起31pと係合孔21との係合を完全に解除させることができる。
上述の如く、デッキ部材2と連結部材3との連結は、係合解除冶具4を用いることによって、解除することができる。すなわち、これらデッキ部材2と連結部材3とを用いて合成樹脂製パレット1を組み立てた後であっても、デッキ部材2及び連結部材3の少なくとも一方を換装することができる。
上記実施の形態の変形例として、連結部材3を換装した合成樹脂製パレット1を図9に示す。図9に示される合成樹脂製パレット1は、図1に示される合成樹脂製パレット1を構成していた一種類の連結部材3が、二種類の連結部材3a、3bに換装された状態を示す。一対の連結部材3aは、合成樹脂製パレット1の中央部を介して直線状となるように配設され、一対の連結部材3bも、合成樹脂製パレット1の中央部を介して直線状となるように配設されている。なお、合成樹脂製パレット1の四隅を構成するデッキ部材2はそのまま流用している。
そして、連結部材3aの幅たる部材幅3La、すなわち一対のデッキ部材対向面3fの
間の距離は、図5に示される連結部材3の幅たる部材幅3Lよりも狭く、連結部材3bの幅たる部材幅3Lbは、連結部材3の幅たる部材幅3Lよりも広い。なお、連結部材3a及び連結部材3bの構造は、上記部材幅3La及び部材幅3Lb以外すべて同じ構造となっている。
このように、デッキ部材2をすべて流用しつつ連結部材3を換装することによって、合成樹脂製パレット1の載荷面1t及び接地面1gの平面視形状を、正方形から長方形に適宜変更することができるようになる。また当然のことながら、連結部材3のみならずデッキ部材2も換装することができる。このため、例えば4個のうちのいずれか1個のデッキ部材2に不具合が発生した場合であっても、不具合を抱えたデッキ部材2のみを換装することができる。それゆえに、合成樹脂製パレット1の製品寿命を延ばすことができるため、経済的であるとともに環境負荷を低減させることもできるようになる。
以上説明したように、本実施の形態に係る合成樹脂製パレットによれば、以下列記するような効果が得られるようになる。
(1)片持ち梁31を雄型筒部30の内側に撓ませつつ雄型筒部30が雌型筒部20に嵌挿されるようにすれば、係合突起31pを係合孔21に係合させることが可能である。ひいては、合成樹脂製パレット1の組み立て性能の向上を図ることが可能である。そして、係合突起31pと係合孔21とが係合したときには、片持ち梁31の撓みは解消されるため、デッキ部材2と連結部材3との係合はより確実になる。それゆえに、組み立て式の合成樹脂製パレット1であっても、その剛性の低下を抑制することが可能である。
そのうえ、係合される係合突起31pが連通孔22を介して雄型筒部30の外側から内側に向けて押圧されることによって、片持ち梁31を容易に内側に撓ませることが可能である。それゆえに、連通孔22を介した操作によって、係合突起31p及び係合孔21の係合を容易に解除することが可能である。
(2)片持ち梁31が載荷面1t及び接地面1gと互いに直交する平面壁に形成されている。このため、例えば載荷面1t寄りに形成された係合孔21に係合されている係合突起31pに対して、連通孔22を介し、載荷面1tと直交する方向、すなわち鉛直下方への力を加えることが可能である。このとき、鉛直下方への操作を受ける係合突起31pが、鉛直下方に向かうにつれて係合孔21からの突出量を多くするような斜面形状を有しているため、係合突起31pが雄型筒部30の内側に円滑に押し込まれることとなる。それゆえに、上述の如く一対の連通孔22が載荷面1tにて併設されていれば、例えば係合突起31pと係合孔21との係合を解除させる解除冶具を用いて対向する二箇所の係合を同時に解除することが可能である。
(3)雄型筒部30及び雌型筒部20からなる連結機構が、合成樹脂製パレット1の各外縁辺中間部に一対、さらに中央部を二重に囲繞するように設けられており、これによって中間桁1a及び中央桁1cが形成されている。そのため、合成樹脂製パレット1の外側面1sの近傍に設けられている連結機構と協働して、合成樹脂製パレット1の剛性の低下を抑えることが可能である。
また一対の連通孔22が、載荷面1tあるいは接地面1gにおいて併設されているため、上述の如く係合突起31pと係合孔21との係合を解除させる係合解除冶具4を用いて対向する二箇所の係合を同時に解除することも可能である。
(4)係合突起31pを有する片持ち梁31が、合成樹脂製パレット1の載荷面1t及び接地面1gと互いに直交する平面壁たる雄型筒部30の被係合筒壁30jであって、載荷面1t及び接地面1gの少なくとも一方に寄った位置に形成されている。それゆえに、
載荷面1t及び接地面1gと係合孔21とがより近接するようになるため、連通孔22を介する操作によって係合孔21と係合している係合突起31pを操作しやすくすることが可能である。
(5)雄型筒部30の突端寄りの外周面の表面粗さが粗いため、突端付近の外周面と雌型筒部20の内周面との貼り付きを防止することが可能である。また、雄型筒部30の基部寄りの外周面の表面粗さが突端寄りの外周面の表面粗さよりも密であるため、雄型筒部30の基部と雌型筒部20の突端において、雄型筒部30の外周面と雌型筒部20の内周面との密着度を上げることも可能である。それゆえに、デッキ部材2と連結部材3との連結をより強固にすることが可能である。
(6)雄型筒部30の断面積を突端から基部にかけて徐々に大きくなるため、閊えることなく雄型筒部30を雌型筒部20に嵌挿することが可能である。またこれにより、雄型筒部30が雌型筒部20に嵌挿されたときの雄型筒部30の基部と雌型筒部20の突端における嵌合力を最も大きくすることが可能である。
なお、上記実施の形態は、以下のような態様をもって実施することもできる。
・上記実施の形態では、第一の連結部2jが雌型筒部20であって、第二の連結部3jが雄型筒部30であるとしたがこれに限られず、第一の連結部2jが雄型筒部30であって、第二の連結部3jが雌型筒部20であるとしてもよい。このとき、互いに隣接する第一の連結部2jは共に雄型筒部30であるとともに、互いに隣接する第二の連結部3jは共に雌型筒部20であることが望ましい。このような構成であっても、上記(1)〜(6)の効果を得ることはできる。
・上記実施の形態では、雌型筒部20及び雄型筒部30が、共に断面矩形状であるとしたがこれに限られない。係合突起31pを有する片持ち梁31が形成される被係合筒壁30jと、係合突起31pと係合する係合孔21が形成される係合筒壁20jとが、載荷面1t及び接地面1gと互いに直交するように形成されていればよい。加えて、連通孔22を介する操作によって、係合突起31pと係合孔21との係合を解除することができればよい。このような構成であっても、上記(1)〜(6)の効果を得ることはできる。
・凸条32は1本のみ添設されていてもよいし、2本または4本以上添設されていてもよく、あるいは凸条32を設けないとしてもよい。ただし、凸条32を設けるときには、凸条32は2本以上であって、少なくとも合成樹脂製パレット1の載荷面1t及び接地面1g寄りに設けられていることが望ましい。
また凸条32を雄型筒部30の外周面に添設するのに代えて、雌型筒部20の内周面において、凸条32の断面厚が雌型筒部20の基部から雌型筒部20の突端に向かうにつれて徐々に薄くなるように添設されるようにしてもよい。このような構成であっても、上記(1)〜(6)の効果を得ることはできる。
・雄型筒部30の外周面の表面粗さは、全面に渡って均一であってもよい。上記実施の形態では基部寄りの外周面の表面粗さは密とし、突端寄りの外周面の表面粗さは粗いとしたが、外周面の全面に渡って上記突端寄りの外周面の表面粗さと同程度の粗い表面としてもよい。このような構成であっても、上記(1)〜(5)に準じた効果を得ることはできる。
・上記実施の形態では、片持ち梁31が、合成樹脂製パレット1の載荷面1t及び接地面1gと直交する平面壁たる雄型筒部30の被係合筒壁30jにおける載荷面1t及び接地面1g寄りの部分に2本設けられているとしたがこれに限らない。1本の片持ち梁31
が、載荷面1t及び接地面1g寄りのいずれか一方の部分に設けられているとしても、中央部分に設けられているとしてもよい。また、上記2本の片持ち梁31を含め、3本以上の片持ち梁31が設けられているとしてもよい。このような構成であっても、上記(1)〜(4)に準じた効果を得ることはできる。このとき、例えば連通孔22を介して合成樹脂製パレット1の内部に挿入される係合解除冶具4と接触する係合突起31pの面の形状が、係合解除冶具4の挿入方向に向かうにつれて徐々に厚くなる形状となっていることが望ましい。このような構成とすることによって、係合突起31pを容易に雄型筒部30の内部に押し込むことができるようになる。
・合成樹脂製パレット1の中央部を囲繞する連結機構(中央桁1c)が一重のみ設けられるようにしてもよい。このとき、例えば載荷面1t及び接地面1gと互いに直交する雄型筒部30の平面壁であって、合成樹脂製パレット1の中央部に面する被係合筒壁30jには、片持ち梁31が形成されるようにすることが好ましい。そしてこれに伴い、片持ち梁31が有する係合突起31pと係合する係合孔21が、載荷面1t及び接地面1gと互いに直交する雌型筒部20の平面壁であって、合成樹脂製パレット1の中央部に面する係合筒壁20jに形成されるようにすることが好ましい。このような構成であっても、合成樹脂製パレット1の剛性の低下を抑えることができる。
また、合成樹脂製パレット1の中央部を囲繞する連結機構が三重以上設けられていても、合成樹脂製パレットの外側面近傍に設けられた連結機構(中央桁1c)が、三重以上設けられているとしてもよい。このようにすれば、合成樹脂製パレット1の剛性の低下をさらに抑えることができる。
・上記実施の形態では、互いに隣接する第一の連結部2jは共に雌型筒部20であるとともに、互いに隣接する第二の連結部3jは共に雄型筒部30であるとしたがこれに限られない。互いに隣接する第一の連結部2jの一方が雌型筒部20であって、該雌型筒部20に嵌挿される雄型筒部30が第二の連結部3jの一方であればよい。これに併せて、互いに隣接する第一の連結部2jの他方が雄型筒部30であって、該雄型筒部30を嵌挿する雌型筒部20が第二の連結部3jの他方であればよい。このような構造であれば、係合解除冶具4を使用し難くなるものの、上記(1)の効果を得ることはできる。
・片持ち梁31は、載荷面1tと平行に設けられた雄型筒部30の載荷面側筒壁30t及び、接地面1gと平行に設けられた雄型筒部30の接地面側筒壁30gの少なくとも一方に形成されていてもよい。これにともない、片持ち梁31が備える係合突起31pを係合する係合孔21が、雌型筒部20の載荷面筒壁20t及び接地面筒壁20gの少なくとも一方に形成されていればよい。すなわち連通孔22を設けなくてもよい。
このとき、載荷面1t及び接地面1gと平行な平面壁以外の雄型筒部30における筒壁の断面形状は任意の形状でよく、例えば、円弧状の曲面壁であっても、雄型筒部30の断面形状を多角形状とする平面壁でもよい。そして、雄型筒部30が嵌挿される雌型筒部20の断面形状も、該雄型筒部30の断面形状に倣う形状であればよい。このような構成にすれば、連通孔22を介さずに係合突起31pを直接的に雄型筒部30の内部に押し込むことができる。
・上記実施の形態では、デッキ部材2と連結部材3との連結を、係合突起31pを係合孔21に係合させることで実現していたがこれに限られず、例えば雄型筒部30と雌型筒部20とのねじ止めによって連結してもよい。このような構造であっても、デッキ部材2及び連結部材3の少なくとも一方を換装することによって、載荷面1tの広さを変更することができる。
・デッキ部材2及び連結部材3を構成する樹脂材料には、ポリプロピレンや高密度ポリエチレンの他、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィンが用いられる。しかし、デッキ部材2と連結部材3との成形材料を異なる材料とし、例えばデッキ部材2よりも連結部材3の剛性が高い物性を有する材料を使用してもよい。このようにすれば、連結部材3の剛性を高めることができるため、合成樹脂製パレット1の骨組みの強化を図ることができる。
・上記実施の形態では、デッキ部材2の二組の対向する外側面に各々フォークリフトのフォーク挿入口2iが設けられており、合成樹脂製パレット1が四方差しであるとしたがこれに限られない。所謂二方差しの合成樹脂製パレット1としてもよい。このとき、デッキ部材2の一組の対向する外側面にのみフォーク挿入口2iが設けられることとなる。
・上記実施の形態では、載荷面1tと接地面1gとが同一の構造となっているデッキ部材2としたがこれに限られない。例えば載荷面1tは平板とし、さらに該平板にフォークリフトのフォーク挿入時の滑り止めとなるゴム製のグロメットを嵌挿させる係合孔等や、載荷物の滑落を防止する滑り止めテープを設けてもよい。そして接地面1gには、パレットトラックの車輪を逃がす逃げ窓たる開口部を設けるようにしてもよい。このような構造とすれば、表裏区別なく使用することはできなくなるものの、フォークリフトのみならず、パレットトラックを用いて合成樹脂製パレット1を搬送することができるようになる。
・接地面1gを削除したデッキ部材2を使用して、合成樹脂製パレット1を所謂スキッドパレットとして使用してもよい。このとき、接地面1gとなる部分を除いた連結部材3を使用して上記デッキ部材2を連結させるとしてもよい。
・デッキ部材2と連結部材3との色を別々の色にすべく、例えばこれらの成形材料に添加する着色剤の色を異ならせるようにしてもよい。これにより、合成樹脂製パレット1が上記実施の形態に記載したような組み立て式のパレットであるか否かを容易に区別することができるようになる。
・デッキ部材2及び連結部材3を組み替えるときに、都度、載荷物の識別に使用されるICタグを、例えば4本の連結部材3に囲まれた合成樹脂製パレット1の中央部(中央桁1c)に貼り付けてもよい。これにより、上記ICタグが合成樹脂製パレット1から離脱したときであっても、上記中央部に形成された閉空間に残留させることができるため、載荷物の搬送中にICタグが紛失し難くすることができるようになる。
・合成樹脂製パレット1の載荷面1t及び接地面1gの平面形状は共に同一であれば、矩形形状でなくてもよい。このとき、例えば載荷面1t及び接地面1gの平面形状が略円形であれば、合成樹脂製パレット1の四隅を構成するデッキ部材2の載荷面1tの平面視方向における形状は、1/4に等分した円弧となる。