JP2012052821A - 粉末試料の発光測定方法、および、発光測定に用いるホルダ - Google Patents
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【解決手段】粉末試料60に励起光を照射した際に生じる発光を測定する方法であって、励起光および発光を吸収しない材料からなる一組のプレート42を用いて、該一組のプレート42で粉末試料60を挟んで圧着し、一枚のプレート状のプレート化試料40を形成するプレート化工程と、プレート化試料40を着脱自在に保持するホルダを、励起光の光路上から外れた位置に設けて、プレート化試料40の圧着面に励起光の光軸が交差するように、該プレート化試料40を設置する設置工程とを備える。
【選択図】 図5
Description
分光蛍光光度計の一般的な構成は図1に示すとおりである(特許文献1参照)。光源12を出た光は励起側分光器14で単色の励起光となり、試料室16中の試料に照射される。試料から放射した蛍光は、蛍光側分光器18で目的の波長成分だけとなり、検出器20に入る。ここで電気信号に変換され、蛍光強度に応じた出力が指示計22に表示される。蛍光側分光器18の目的波長を変化させれば発光スペクトルが得られ、この発光スペクトルに対して所定のデータ解析を行うことができる。
f =S2/(S0−S1)
ここで、S0:入射光子数、
S1:試料に吸収されなかった光子数、
S2:発光した光子数、とする。
粉末試料60をセル62に収納して、上記の発光効率の測定を行う場合、図2(B)にて、粉末試料60に到達する前の励起光(S0)がセル62に吸収されると、粉末試料に到達する励起光の光子数が、別途測定された光子数S0よりも小さくなってしまう。同様に、粉末試料60に吸収されない励起光がセル62に吸収されると、実際に粉末試料60に吸収されなかった励起光の光子数よりも測定される励起光の光子数S1が小さくなってしまう。
このようにセルによる吸収の影響を受けることで、発光効率の測定値の誤差が大きくなっていた。積分球内で粉末試料を保持する方法を改善して、より正確な発光効率を取得できるようにすることが期待されていた。
本発明者等が鋭意検討した結果、検出対象である励起光および発光に対し透明な、つまり、これらの光を吸収しない材料で形成されたプレートで粉末試料を挟み、圧着させたものを専用ホルダで保持すれば、粉末試料を擬似的に浮かせた状態にできることを見出し、本発明を完成するに至った。
励起光および発光を吸収しない材料からなる一組のプレートを用いて、該一組のプレートで粉末試料を挟んで圧着し、一枚のプレート状のプレート化試料を形成するプレート化工程と、
前記プレート化試料を着脱自在に保持するホルダを、前記積分球内における励起光の光路上から外れた位置に設けて、前記プレート化試料の圧着面に前記励起光の光軸が交差するように、該プレート化試料を前記積分球内に設置する設置工程と
を備えることを特徴とする。
前記積分球は、測定対象の粉末試料が内部に配置され、粉末試料に照射される励起光を入射するための入射開口、及び粉末試料からの発光を出射するための出射開口を有する。
前記励起光源は、前記積分球内に入射開口から励起光を入射する。
前記分光手段は、前記出射開口から出射された発光を分光して、その発光スペクトルを取得する。
上記の発光測定方法を用いて粉末試料の発光効率を測定することが好ましい。
励起光および発光を吸収しない材料からなる一組のプレートを用いて、該一組のプレートで粉末試料を挟んで圧着し、一枚のプレート状のプレート化試料を形成するプレート化工程と、
前記プレート化試料を着脱自在に保持するホルダを、励起光の光路上から外れた位置に設けて、前記プレート化試料の圧着面に前記励起光の光軸が直交するように、該プレート化試料を設置する設置工程とを備えることを特徴とする。
ここで、前記励起光源は、測定対象の粉末試料に励起光を照射する。
前記分光手段は、粉末試料からの発光を分光して、その発光スペクトルを取得する。
前記粉末試料及び前記励起光源に対して前記分光手段は透過型に配置されている。
上記の発光測定方法を用いて粉末試料からの発光の左右円偏光強度を測定することが好ましい。
さらに、前記ホルダは、励起光および発光を吸収しない材料、または、励起光および発光を完全拡散反射する材料で形成されていることが好適である。
励起光の光路上から外れた位置に設けられるホルダ本体部、および、該ホルダ本体部の表面に形成された溝部を備え、前記溝部にプレート化試料の周縁部を嵌め込んで、前記プレート化試料の圧着面に前記励起光の光軸が交差するように該プレート化試料を保持することを特徴とする。
分光蛍光光度計
図4にプレート化試料40を用いた分光蛍光光度計10の基本的な実施形態を示す。
同図に示すとおり、分光蛍光光度計10は、励起光源12、励起側分光器14、積分球24、蛍光側分光器18、検出器20および表示計22を備えている。
積分球24内には、縦材28および横材26からなる台が設けられ、台上に本発明にかかるプレート化試料40用のホルダ50が載置されるようになっている。ホルダ50は、プレート化試料40を着脱自在に保持し、該プレート化試料40を励起光の光軸上に配置する。
蛍光測定時には入射開口30を通じてプレート化試料40に励起光を照射し、応じて粉末試料より発せられる蛍光ないしリン光を検知することができる。
本発明にかかるプレート化試料40は、粉末試料と2枚のプレートとから形成される。図5に基づき、プレート化試料40を形成する手順を説明する。まず同図(A)はハンドプレス機70の外観図であり、このプレス部(丸で囲む部分)に微量の粉末試料60と2枚のプレート42を配置する。すなわち、プレス部の拡大図を示す同図(B)のように、ハンドプレス機70のプレス台72に円柱状の鏡面部材74を置き、その上に粉末試料60を挟んだ状態の1組のプレート42を重ねて、別の鏡面部材74をその上に置く。そしてハンドプレス機70が上側の鏡面部材74を下方に押すことで、粉末試料60を挟持した2枚のプレート42が圧着される。プレス形成されたプレート化試料40を同図(C)に示す。
このようなプレート化試料40であれば、その縁から出る蛍光についてもプレート42で吸収されることがないため、粉末試料60から全方位に放出される蛍光を測定することができる。
図6、図7に、圧着形成されたプレート化試料40を保持するホルダ50の構造を示す。
ホルダ50として、図6に示すように所定の材質からなる直方体にV字の溝52が彫られたVブロックを用いる。V字溝52は、2つの傾斜する内側面(内壁)54を有し、内側面54同士が互いに直交するように形成されている。
一方、プレート化試料40の表裏面の形状は略正方形になっており、この正方形の各辺を含む4つの側面を40a〜40dとする。そして、プレート化試料40をホルダ50に保持させる際には、プレート化試料40の隣り合う側面40a、40bがVブロック50の2つの内側面54に接するように、プレート化試料40をV字溝52に当てて、立設させる。
なお、V字溝52は、プレート化試料40との接触部の面積が極力小さくなるように、溝深さの浅いものを選ぶ。ここで、V字溝52が浅いものとは、プレート化試料40のサイズに対して溝深さが相対的に浅いものを示す。
図4のように、ホルダ50を積分球24内で励起光S0の光路上から外れた位置に置いて、プレート化試料40を保持させる。そして、プレート化試料40の圧着面に対して励起光の光軸が直交するように、ホルダごとプレート化試料40の位置を調整する。本発明では、励起光S0が粉末試料60に到達する前に手前のプレート42を通るが、プレート42には吸収されない。また、粉末試料60に吸収されないで、これを透過した励起光S1は、裏側のプレート42を通るが、励起光S1は裏側のプレート42にも吸収されない。さらに、蛍光S2は粉末試料60から全方位に放射状に放出されるが、蛍光S2がプレート42およびホルダ50に吸収されることはない。
なお、本実施形態では、プレート化試料40の圧着面に対して励起光S0の光軸が直交するように、プレート化試料40がホルダ50に保持される場合について説明したが、本発明のホルダとしては、励起光の光軸がプレート化試料の圧着面に少なくとも交差するように、プレート化試料を保持できるものであればよい。
プレート化試料40の位置調整機構を設ければ、プレート42上のどの位置で粉末試料を挟持するかについて、粉末試料60を置く位置について厳密に管理する必要がなくなる。
位置調整機構として、例えばXYステージを用いる。図4にて積分球内の横材26の上にXYステージを置き、XYステージ上にホルダ50を載せる。粉末試料60の挟持位置がプレート42の中央からずれている場合に、ずれの分だけXYステージでホルダ50を移動させて、ホルダごとプレート化試料40の位置を微調整し、励起光が粉末試料60の挟持位置を照射できるようにする。
また、XYステージを用いる代わりに、励起光が粉末試料60の挟持位置に当たるように、励起光の光束に挿入するマスクの位置を調整する機構を設けてもよい。
また、本発明のプレート化試料40およびホルダ50を蛍光円二色性の測定に適用する場合について説明する。蛍光円二色性の測定は、キラルな化合物を自然光で励起させると放出される蛍光やリン光の左右円偏光強度に差が生じるという現象を利用するもので、蛍光性のキラル有機化合物、希土類のキラル錯体、タンパク質等のキラル解析を行うことができる。上記の現象は円偏光ルミネッセンス(CPL)と呼ばれている。
蛍光側分光器118は、粉末試料160から全方位に放射される蛍光のうち、励起光の進行方向と同一方向に進む蛍光S12を受光する。プレート化試料140から蛍光分光器118に向かう方向には、上記の蛍光S12の他に、粉末試料160に吸収されずに透過した励起光S11も進むため、励起光カットフィルタ134がその励起光S11を除去するようになっている。偏向解析手段136は、蛍光側分光器で選択された波長成分の蛍光S12の円偏光強度から、粉末試料160のキラリティを解析する。
12 励起光源
14 励起側分光器
18 蛍光側分光器
24 積分球
30 入射開口
32 照射開口
40 プレート化試料
42 KBrプレート
50 ホルダ
60 粉末試料
100 蛍光円二色性測定装置(発光測定装置)
134 励起光カットフィルタ
Claims (8)
- 測定対象の粉末試料が内部に配置され、粉末試料に照射される励起光を入射するための入射開口、及び粉末試料からの発光を出射するための出射開口を有する積分球と、前記積分球内に入射開口から励起光を入射する励起光源と、前記出射開口から出射された発光を分光して、その発光スペクトルを取得する分光手段とを備える発光測定装置を用いて、前記分光手段によって取得された発光スペクトルに対してデータ解析を行う発光測定方法であって、
励起光および発光を吸収しない材料からなる一組のプレートを用いて、該一組のプレートで粉末試料を挟んで圧着し、一枚のプレート状のプレート化試料を形成するプレート化工程と、
前記プレート化試料を着脱自在に保持するホルダを、前記積分球内における励起光の光路上から外れた位置に設けて、前記プレート化試料の圧着面に前記励起光の光軸が交差するように、該プレート化試料を前記積分球内に設置する設置工程と
を備えることを特徴とする発光測定方法。 - 請求項1記載の発光測定方法を用いて粉末試料の発光効率を測定する方法。
- 測定対象の粉末試料に励起光を照射する励起光源と、粉末試料からの発光を分光して、その発光スペクトルを取得する分光手段とを備え、粉末試料及び前記励起光源に対して前記分光手段を透過型に配置した発光測定装置を用いて、前記分光手段によって取得された発光スペクトルに対してデータ解析を行う発光測定方法であって、
励起光および発光を吸収しない材料からなる一組のプレートを用いて、該一組のプレートで粉末試料を挟んで圧着し、一枚のプレート状のプレート化試料を形成するプレート化工程と、
前記プレート化試料を着脱自在に保持するホルダを、励起光の光路上から外れた位置に設けて、前記プレート化試料の圧着面に前記励起光の光軸が直交するように、該プレート化試料を設置する設置工程と
を備えることを特徴とする発光測定方法。 - 請求項3記載の発光測定方法を用いて粉末試料からの発光の左右円偏光強度を測定する方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載の発光測定方法において、前記一組のプレートは、ハロゲン化アルカリ金属からなる材料で形成されていることを特徴とする発光測定方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の発光測定方法において、前記ホルダは、励起光および発光を吸収しない材料で形成されていることを特徴とする発光測定方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の発光測定方法において、前記ホルダは、励起光および発光を完全拡散反射する材料で形成されていることを特徴とする発光測定方法。
- 測定対象の粉末試料に励起光を照射する励起光源と、粉末試料からの発光を分光して、その発光スペクトルを取得する分光手段とを備える発光測定装置に用いられ、粉末試料を一組のプレートで挟んで圧着形成された一枚のプレート状のプレート化試料を着脱自在に保持するホルダであって、
励起光の光路上から外れた位置に設けられるホルダ本体部、および、該ホルダ本体部の表面に形成された溝部を備え、前記溝部にプレート化試料の周縁部を嵌め込んで、前記プレート化試料の圧着面に前記励起光の光軸が交差するように該プレート化試料を保持することを特徴とするホルダ。
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