JP5559643B2 - 粉末試料の発光測定方法 - Google Patents

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粉末試料の発光測定方法に関し、特に粉末試料を保持する方法の改善に関する。
物質に可視、紫外領域の光を照射すると、物質の種類によっては、照射した光の波長よりも長波長の光を放射することがある。物質を構成する分子は光を吸収して電子的に励起されるが、励起状態に遷移した電子は非常に不安定であるため、極めて短時間のうちに安定した基底状態へ戻る。前記した長波長の光は、励起状態から基底状態に戻る際に失うエネルギーが光として放射されたものであり、励起状態のうち励起一重項状態から基底状態へ失活する際の発光が蛍光、励起三重項状態からの失活がリン光である。これらをまとめて発光と呼ぶ。
蛍光とリン光の波長、強度、偏光性や寿命は電子的に励起されている分子の性質とその環境とに深く関連しているため、蛍光・リン光の測定、すなわち蛍光・リン光分光法は、物質の定性・定量分析の手段として不可欠である。
分光蛍光光度計の一般的な構成は図1に示すとおりである(特許文献1参照)。光源12を出た光は励起側分光器14で単色の励起光となり、試料室16中の試料に照射される。試料から放射した蛍光は、蛍光側分光器18で目的の波長成分だけとなり、検出器20に入る。ここで電気信号に変換され、蛍光強度に応じた出力が指示計22に表示される。蛍光側分光器18の目的波長を変化させれば発光スペクトルが得られ、この発光スペクトルに対して所定のデータ解析を行うことができる。
特開2010−169563号公報(図1)
一般的に試料からの発光はごく微量で弱いことが多く、そのことが発光測定そのものを困難にする要因となっていた。また、試料用のセル(粉末セルや段差セル等)を用いた測定では、セルによって励起光や蛍光が吸収されてしまい、セルの吸収が測定結果を大きく左右する。試料の発光効率(量子収率)を測定して発光材料の性能評価を行う場合を例に、セルの吸収が測定結果に与える影響を説明する。発光効率の測定では積分球を備えた分光蛍光光度計を用いる。図2のように、積分球24は、測定対象の試料60が内部に配置され、試料60に照射される励起光を入射するための入射開口30、及び試料34からの蛍光を出射するための出射開口32を有する。発光効率 f は次式で得られるため、積分球を備えた分光蛍光光度計を用いて式中の光子数S0〜S2を測定する。
(数1)
f =S2/(S0−S1)
ここで、S0:入射光子数、
S1:試料に吸収されなかった光子数、
S2:発光した光子数、とする。
まず、図2(A)のように積分球24内に試料60を入れない状態で励起光を入射して測定すると、図3のグラフ中の破線で示す波長スペクトルが得られる。この波長スペクトルより、入射光子数S0を取得する。次に、図2(B)のように積分球24内にセル62に入った試料60を置いて、励起光を入射すると、試料60が励起光の一部を吸収して蛍光を放出し、励起光の残りは試料60を透過する。蛍光の波長と励起光の波長は異なるため、図3のグラフ中の実線で示すような発光スペクトルが得られる。これより各光子数S1、S2を取得する。
<測定誤差について>
粉末試料60をセル62に収納して、上記の発光効率の測定を行う場合、図2(B)にて、粉末試料60に到達する前の励起光(S0)がセル62に吸収されると、粉末試料に到達する励起光の光子数が、別途測定された光子数S0よりも小さくなってしまう。同様に、粉末試料60に吸収されない励起光がセル62に吸収されると、実際に粉末試料60に吸収されなかった励起光の光子数よりも測定される励起光の光子数S1が小さくなってしまう。
また、粉末試料60から全方位に放射される蛍光がセル62に吸収されると、実際に放出された蛍光の光子数よりも測定される蛍光の光子数S2が小さくなってしまう。
このようにセルによる吸収の影響を受けることで、発光効率の測定値の誤差が大きくなっていた。積分球内で粉末試料を保持する方法を改善して、より正確な発光効率を取得できるようにすることが期待されていた。
また、セルを用いた粉末試料の蛍光測定では、ある程度まとまった量の粉末試料をセルに入れなければならず、粉末試料の消費量が多くなるという問題もあった。さらに、同測定では、セルの洗浄作業や詰め替え作業を要し、粉末試料を測定可能な状態で設置するまでの段取りが煩雑となっていた。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、粉末試料の発光測定において、第1に優れた測定精度が得られ、第2に極微量の粉末試料での発光測定が可能で、第3に粉末試料を測定可能な状態にする作業が簡便に行える、以上の3つのことを可能とする粉末試料の発光測定方法、及び、発光測定に用いるホルダを提供することを目的とする。
励起光および発光が何らかの物質に吸収されることで生じる測定誤差を排除するには、粉末試料の周囲に何も置かないで測定することが理想的であるが、粉末試料を単独で空間中に浮かせることは現実的ではない。
本発明者等が鋭意検討した結果、検出対象である励起光および発光に対し透明な、つまり、これらの光を吸収しない材料で形成されたプレートで粉末試料を挟み、圧着させたものを専用ホルダで保持すれば、粉末試料を擬似的に浮かせた状態にできることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる粉末試料の発光測定方法は、励起光源と積分球と分光手段とを備える発光測定装置を用いて、前記分光手段によって取得された発光スペクトルに対してデータ解析を行う発光測定方法であって、
励起光および発光を透過する材料からなる一組のプレートを用いて、該一組のプレートで粉末試料を挟んで圧着し、圧着面を有する一枚のプレート状のプレート化試料を形成するプレート化工程と、
前記プレート化試料を着脱自在に保持するホルダを、前記積分球内における励起光の光路上から外れた位置に設けて、前記圧着面に前記励起光の光軸が交差するように、前記圧着面の縁部分を前記ホルダに保持させる設置工程と
を備えることを特徴とする。
前記積分球は、測定対象の粉末試料が内部に配置され、粉末試料に照射される励起光を入射するための入射開口、及び粉末試料からの発光を出射するための出射開口を有する。
前記励起光源は、前記積分球内に入射開口から励起光を入射する。
前記分光手段は、前記出射開口から出射された発光を分光して、その発光スペクトルを取得する。
上記の発光測定方法を用いて粉末試料の発光効率を測定することが好ましい。
ここで、プレート化試料とは、粉末試料を2枚のプレート間に封じ込めた状態で一体化させて、粉末試料を一枚のプレートとして取り扱うことができるようにしたものである。プレートの材質は、励起光および発光を吸収しない材質であればよく、例えば紫外域から赤外域の光を透過する材質でもよい。なお、本発明のプレートの材質には、励起光または発光の吸収が完全に零ではないとしても、その吸収量が発光測定に影響を与えない程度の極微量であれば、そのような材質が含まれるものとする。プレート化工程で粉末試料をプレートで挟む場合、一方のプレート上に極微量の粉末試料を置いて、その上に他方のプレートを被せるように重ね合わせればよい。粉末試料はできるだけプレートの中央部分に置くことが望ましいが、中央部分からずれた位置でも構わない。また、プレート上に粉末試料を均一に置く必要はなく、不均一になっても構わない。プレート同士を圧着する際には、例えばハンドプレス機を用いて、2枚の鏡面板の間において通常の室内雰囲気下でハンドプレスする方法等を採用できる。
また、本発明にかかる粉末試料の発光測定方法は、励起光源と、分光手段とを備える発光測定装置を用いて、前記分光手段によって取得された発光スペクトルに対してデータ解析を行う発光測定方法であって、
励起光および発光を透過する材料からなる一組のプレートを用いて、該一組のプレートで粉末試料を挟んで圧着し、圧着面を有する一枚のプレート状のプレート化試料を形成するプレート化工程と、
前記プレート化試料を着脱自在に保持するホルダを、励起光の光路上から外れた位置に設けて、前記圧着面に前記励起光の光軸が直交するように、前記圧着面の縁部分を前記ホルダに保持させる設置工程とを備えることを特徴とする。
ここで、前記励起光源は、測定対象の粉末試料に励起光を照射する。
前記分光手段は、粉末試料からの発光を分光して、その発光スペクトルを取得する。
前記粉末試料及び前記励起光源に対して前記分光手段は透過型に配置されている。
上記の発光測定方法を用いて粉末試料からの発光の左右円偏光強度を測定することが好ましい。
また、前記一組のプレートは、ハロゲン化アルカリ金属からなる材料で形成されていることが好ましい。ハロゲン化アルカリ金属は加圧によって可塑性を示すため、本発明のようにハンドプレス等で圧着させる場合に最適である。
さらに、前記ホルダは、励起光および発光に対する透過性を有する材料、または、励起光および発光を完全拡散反射する材料で形成されていることが好適である。
また、本発明にかかるホルダに設けられた溝部に前記プレート化試料の前記圧着面の縁部分を差し込んで、前記プレート化試料を立設させることが好適である
本発明によれば、励起光及び発光を吸収しない一組のプレートを用いて、これに粉末試料を挟んで圧着することでプレート化試料を形成し、ホルダでプレート化試料を保持するので、粉末試料が擬似的に空間内で浮いた状態で、粉末試料に励起光を照射することができる。従来のセルは、励起光および発光を吸収するため、測定精度を低下させていたが、本発明では吸収の影響を受けないため、粉末試料から放射される全方位の発光を測定でき、測定精度が向上して安定した測定を行なうことができる。粉末試料から所定方向への発光のみを測定する場合においても、従来のセルによる吸収の影響がなくなった分、測定精度が向上する。
また、測定精度が向上するので、極微量の粉末試料であっても測定が可能になる。さらにプレート化試料自体がコンパクトになるので取り扱いが容易となり、作業効率が向上する。例えば、プレート化試料をそのまま液体窒素等に漬けて極低温下における発光測定を行うことが可能となる。また、コンパクトなプレート化試料を使い捨てにすれば、セルを用いる場合に煩雑となった洗浄作業や、詰め替え作業を省くことができて、測定作業効率が向上する。
分光蛍光光度計の一般的な構成を示す図である。 前記分光蛍光光度計で発光効率を測定する方法を説明する図である。 前記発光効率についての説明図である。 本発明にかかる分光蛍光光度計の構造を示す図である。 本発明にかかるプレート化試料を形成する手順を示す図である。 本発明にかかるホルダの構造を示す図である。 本発明にかかるホルダの別の構造を示す図である。 本発明にかかる蛍光円二色性測定装置の構造を示す図である。 変形例としてのばね式ホルダの構造を示す図である。
以下、本発明にかかる発光測定装置について分光蛍光光度計および蛍光円二色性測定装置を例に詳細に説明する。
分光蛍光光度計
図4にプレート化試料40を用いた分光蛍光光度計10の基本的な実施形態を示す。
同図に示すとおり、分光蛍光光度計10は、励起光源12、励起側分光器14、積分球24、蛍光側分光器18、検出器20および表示計22を備えている。
積分球24は、入射開口30および出射開口32を有し、内部にプレート化試料40を収納可能に構成されている。励起光は入射開口30から積分球内に入射されプレート化試料40を照射する。粉末試料から放出される蛍光は、出射開口32につながる通路を通って蛍光側分光器18へ導光される。
積分球24内には、縦材28および横材26からなる台が設けられ、台上に本発明にかかるプレート化試料40用のホルダ50が載置されるようになっている。ホルダ50は、プレート化試料40を着脱自在に保持し、該プレート化試料40を励起光の光軸上に配置する。
蛍光測定時には入射開口30を通じてプレート化試料40に励起光を照射し、応じて粉末試料より発せられる蛍光ないしリン光を検知することができる。
<プレート化試料>
本発明にかかるプレート化試料40は、粉末試料と2枚のプレートとから形成される。図5に基づき、プレート化試料40を形成する手順を説明する。まず同図(A)はハンドプレス機70の外観図であり、このプレス部(丸で囲む部分)に微量の粉末試料60と2枚のプレート42を配置する。すなわち、プレス部の拡大図を示す同図(B)のように、ハンドプレス機70のプレス台72に円柱状の鏡面部材74を置き、その上に粉末試料60を挟んだ状態の1組のプレート42を重ねて、別の鏡面部材74をその上に置く。そしてハンドプレス機70が上側の鏡面部材74を下方に押すことで、粉末試料60を挟持した2枚のプレート42が圧着される。プレス形成されたプレート化試料40を同図(C)に示す。
このようなプレート化試料40であれば、その縁から出る蛍光についてもプレート42で吸収されることがないため、粉末試料60から全方位に放出される蛍光を測定することができる。
プレート42は、2mm〜10mm角の正方形の板材で、数mmの厚さ寸法を有する。その材質は励起光や蛍光を吸収しない材質であればよい。特にハロゲン化アルカリ金属で形成されたプレートが好ましい。ハロゲン化アルカリ金属としては、一般に臭化カリウム(KBr)、塩化ナトリウム(NaCl)、ヨウ化セシウム(CsI)等を使用できる。ハロゲン化アルカリ金属は加圧可塑性を示し、ハンドプレス機などの加圧により容易に圧着する。よって、プレート42間に粉末試料60を容易に封じ込めることができる。
また、プレート化する粉末試料60の量についてはプレートサイズに応じて決定されるが、極微量の粉末試料60で充分である。発明者らは、5mm角のKBrプレートで0.5mgの粉末試料60を挟んで一体化したものをプレート化試料として蛍光測定したところ、従来の角型セルや分解セルに粉末試料を詰めて蛍光測定した場合と、測定された発光効率(量子収率)が一致することを確認した。
<プレート化試料用のホルダ>
図6、図7に、圧着形成されたプレート化試料40を保持するホルダ50の構造を示す。
ホルダ50として、図6に示すように所定の材質からなる直方体にV字の溝52が彫られたVブロックを用いる。V字溝52は、2つの傾斜する内側面(内壁)54を有し、内側面54同士が互いに直交するように形成されている。
一方、プレート化試料40の表裏面の形状は略正方形になっており、この正方形の各辺を含む4つの側面を40a〜40dとする。そして、プレート化試料40をホルダ50に保持させる際には、プレート化試料40の隣り合う側面40a、40bがVブロック50の2つの内側面54に接するように、プレート化試料40をV字溝52に当てて、立設させる。
なお、V字溝52は、プレート化試料40との接触部の面積が極力小さくなるように、溝深さの浅いものを選ぶ。ここで、V字溝52が浅いものとは、プレート化試料40のサイズに対して溝深さが相対的に浅いものを示す。
図7には図6と同様にVブロックからなるホルダであるが、細溝56を有したホルダ150を示す。すなわち、ホルダ150のV字溝52の内側面54には、プレート化試料40の2つの側面40a、40bと接触する部分に、嵌め込み用の細溝56が彫られている。この細溝56もV字形の溝であり、細溝56の溝幅はプレート化試料40の厚さよりも幾分か広くなっている。従って、細溝56にプレート化試料40の2つの側面44a、44bを差し込むことで、プレート化試料40がその厚さに応じた深さ位置で細溝56に嵌め込まれることになり、ホルダ50にしっかりと保持される。
KBrプレート42をプレスすると大きく変形するため、プレート化工程で形成されたプレート化試料40は、少しずつ異なった大きさや厚みを有する。このため、大きさや厚みの異なるプレート化試料40を保持できるホルダ50が望ましい。本発明に係るホルダ50は、プレート化試料40を嵌め込む細溝56の断面形状がV字形である。すなわち、細溝56は、溝の延びる方向に直交する断面がV字形となるように形成されているから、厚みが異なるプレート化試料40を同じホルダ50で保持することができる。また、大きさが異なるプレート化試料40であっても、表裏面の形状が略正方形状を保っていれば、ホルダのV字溝52に立てることができるので、同じホルダ50を使用できる。従って、プレス形成されたプレート化試料40の厚みや大きさに応じてホルダを変更する必要がない。
ホルダ50の材質は、粉末試料から全方位に放出された蛍光を吸収しない材質であればよい。特に、紫外光から可視光を透過する性質を有する石英ガラス製のホルダが好ましい。なお、ホルダ50の材質としては石英ガラスの他に、完全拡散反射体を用いてもよい。完全拡散反射体の種類は特に制限されないが、一般にテフロン(登録商標)、スペクトラロン等が好ましく、あるいは完全拡散反射体として金属に硫酸バリウムを塗布したものでもよい。
<測定精度の向上>
図4のように、ホルダ50を積分球24内で励起光S0の光路上から外れた位置に置いて、プレート化試料40を保持させる。そして、プレート化試料40の圧着面に対して励起光の光軸が直交するように、ホルダごとプレート化試料40の位置を調整する。本発明では、励起光S0が粉末試料60に到達する前に手前のプレート42を通るが、プレート42には吸収されない。また、粉末試料60に吸収されないで、これを透過した励起光S1は、裏側のプレート42を通るが、励起光S1は裏側のプレート42にも吸収されない。さらに、蛍光S2は粉末試料60から全方位に放射状に放出されるが、蛍光S2がプレート42およびホルダ50に吸収されることはない。
このように、KBrプレート42と一体化した粉末試料60が擬似的に空間内で浮いた状態になっているため、従来のセルによる吸収の影響がなくなって測定精度が向上する。
なお、本実施形態では、プレート化試料40の圧着面に対して励起光S0の光軸が直交するように、プレート化試料40がホルダ50に保持される場合について説明したが、本発明のホルダとしては、励起光の光軸がプレート化試料の圧着面に少なくとも交差するように、プレート化試料を保持できるものであればよい。
<プレート化試料の位置調整機構>
プレート化試料40の位置調整機構を設ければ、プレート42上のどの位置で粉末試料を挟持するかについて、粉末試料60を置く位置について厳密に管理する必要がなくなる。
位置調整機構として、例えばXYステージを用いる。図4にて積分球内の横材26の上にXYステージを置き、XYステージ上にホルダ50を載せる。粉末試料60の挟持位置がプレート42の中央からずれている場合に、ずれの分だけXYステージでホルダ50を移動させて、ホルダごとプレート化試料40の位置を微調整し、励起光が粉末試料60の挟持位置を照射できるようにする。
また、XYステージを用いる代わりに、励起光が粉末試料60の挟持位置に当たるように、励起光の光束に挿入するマスクの位置を調整する機構を設けてもよい。
また、従来のセルによる吸収に起因するような測定誤差が無くせるので、極微量な試料でも精度よく測定できるようになる。また、プレート化試料40に封じ込められた粉末試料60に関して、圧着面上で粉末試料60の配置にばらつきがあっても構わない。発光効率を測定する場合には、前述の式から分かるように、(S0−S1)が分母となっているから、仮に粉末試料がほとんど配置されていない部分を励起光が通ったとしても、ほとんど吸収されずに透過するだけで、(S0−S1)の値は小さくなる。吸収分がほとんどないため、発光の値S2も小さくなるので、結果的に発光効率には大きな影響を与えない。つまり、実際に粉末試料60で吸収された分の光子量に応じて、発光する光子量が決まるから、プレート42の圧着面に粉末試料60が不均一に配置されていたとしても、発光効率への影響はほとんどないと言える。
極微量の粉末試料で済むので、プレート化試料がコンパクトになる。よって、プレート化試料を極低温の状態にして測定する場合には、プレート化試料をそのまま液体窒素等に入れて粉末試料を冷却することができるので、プレート化試料の取り扱いが容易となる。
蛍光円二色性測定装置
また、本発明のプレート化試料40およびホルダ50を蛍光円二色性の測定に適用する場合について説明する。蛍光円二色性の測定は、キラルな化合物を自然光で励起させると放出される蛍光やリン光の左右円偏光強度に差が生じるという現象を利用するもので、蛍光性のキラル有機化合物、希土類のキラル錯体、タンパク質等のキラル解析を行うことができる。上記の現象は円偏光ルミネッセンス(CPL)と呼ばれている。
図8は、粉末試料からの発光の左右円偏光強度を測定するための蛍光円二色性測定装置100の概略構成を示す図である。同図のように、測定装置は、励起光源112と、ホルダ150で保持されたプレート化試料140と、励起光カットフィルタ134と、蛍光側分光器136とを備える。
励起光源112とプレート化試料140に対して蛍光側分光器118は透過型に配置され、プレート化試料140と蛍光側分光器118との間に励起光カットフィルタ134が配置されている。
蛍光側分光器118は、粉末試料160から全方位に放射される蛍光のうち、励起光の進行方向と同一方向に進む蛍光S12を受光する。プレート化試料140から蛍光分光器118に向かう方向には、上記の蛍光S12の他に、粉末試料160に吸収されずに透過した励起光S11も進むため、励起光カットフィルタ134がその励起光S11を除去するようになっている。偏向解析手段136は、蛍光側分光器で選択された波長成分の蛍光S12の円偏光強度から、粉末試料160のキラリティを解析する。
蛍光円二色性測定装置100に本発明のプレート化試料140およびホルダ150を用いることで、前述の分光蛍光光度計と同様の効果が得られる。例えば、粉末試料60が擬似的に空間内で浮いた状態で、粉末試料60に励起光S10を照射できるから、従来のセルを用いた測定のような励起光および発光の吸収による測定精度への影響を受けることなく、粉末試料60から放射される発光を精度よく測定できる。
なお、本実施形態では、Vブロックからなるホルダ50を用いてプレート化試料140の保持方法を説明したが、これに限らず、ばね式でプレート化試料140を保持するホルダであってもよい。ばね式ホルダ250の例を図9に示す。ばね式ホルダ250は、断面コ字形の溝部を有するホルダ本体252と、溝部の側面に固定された板バネ254とを備える。溝部の溝幅は、プレート化試料240の厚みと板バネ254の厚みとの合計よりも僅かに狭くなるように形成されている。よって、溝部にプレート化試料240を差し込むと、板バネ254が弾性変形してプレート化試料240に反発力を加える。よって、プレート化試料240をホルダ250にしっかりと固定することができる。
同図(B)に示すように、プレート化試料240の表裏面は略正方形であるので、その正方形の一頂点部分に相当する縁部分を溝部に差し込むとよい。すなわち、プレート化試料240を励起光の進行方向から見た場合に、正方形ではなく、ひし形となるようにプレート化試料240を保持する。このようにプレート化試料240とホルダ250との接触部の面積を小さくすることで、粉末試料260から全方向に放射される蛍光を精度よく測定できる。
10 分光蛍光光度計(発光測定装置)
12 励起光源
14 励起側分光器
18 蛍光側分光器
24 積分球
30 入射開口
32 照射開口
40 プレート化試料
42 KBrプレート
50 ホルダ
60 粉末試料
100 蛍光円二色性測定装置(発光測定装置)
134 励起光カットフィルタ

Claims (8)

  1. 測定対象の粉末試料が内部に配置され、粉末試料に照射される励起光を入射するための入射開口、及び粉末試料からの発光を出射するための出射開口を有する積分球と、前記積分球内に入射開口から励起光を入射する励起光源と、前記出射開口から出射された発光を分光して、その発光スペクトルを取得する分光手段とを備える発光測定装置を用いて、前記分光手段によって取得された発光スペクトルに対してデータ解析を行う発光測定方法であって、
    励起光および発光を透過する材料からなる一組のプレートを用いて、該一組のプレートで粉末試料を挟んで圧着し、圧着面を有する一枚のプレート状のプレート化試料を形成するプレート化工程と、
    前記プレート化試料を着脱自在に保持するホルダを、前記積分球内における励起光の光路上から外れた位置に設けて、前記圧着面に前記励起光の光軸が交差するように、前記圧着面の縁部分を前記ホルダに保持させる設置工程と
    を備えることを特徴とする発光測定方法。
  2. 末試料の発光効率を測定することを特徴とする請求項1記載の発光測定方法。
  3. 測定対象の粉末試料に励起光を照射する励起光源と、粉末試料からの発光を分光して、その発光スペクトルを取得する分光手段とを備え、粉末試料及び前記励起光源に対して前記分光手段を透過型に配置した発光測定装置を用いて、前記分光手段によって取得された発光スペクトルに対してデータ解析を行う発光測定方法であって、
    励起光および発光を透過する材料からなる一組のプレートを用いて、該一組のプレートで粉末試料を挟んで圧着し、圧着面を有する一枚のプレート状のプレート化試料を形成するプレート化工程と、
    前記プレート化試料を着脱自在に保持するホルダを、励起光の光路上から外れた位置に設けて、前記圧着面に前記励起光の光軸が直交するように、前記圧着面の縁部分を前記ホルダに保持させる設置工程と
    を備えることを特徴とする発光測定方法。
  4. 末試料からの発光の左右円偏光強度を測定することを特徴とする請求項3記載の発光測定方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の発光測定方法において、前記ホルダに設けられた溝部に前記プレート化試料の前記圧着面の縁部分を差し込んで、前記プレート化試料を立設させることを特徴とする発光測定方法。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の発光測定方法において、前記一組のプレートは、ハロゲン化アルカリ金属からなる材料で形成されていることを特徴とする発光測定方法。
  7. 請求項1からのいずれかに記載の発光測定方法において、前記ホルダは、励起光および発光に対する透過性を有する材料で形成されていることを特徴とする発光測定方法。
  8. 請求項1からのいずれかに記載の発光測定方法において、前記ホルダは、励起光および発光を完全拡散反射する材料で形成されていることを特徴とする発光測定方法。
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