JP5760589B2 - 白色led装置用蛍光体の蛍光スペクトルの測定方法及び測定装置 - Google Patents

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本発明は、蛍光体の蛍光のスペクトルを測定する測定方法及び測定装置に関するものである。
白色LED(Light Emitting Diode)装置としては、赤色、緑色、青色に発光する三種類の発光素子を用いたものと、発光素子と蛍光体とを用いたものとがある。発光素子と蛍光体とを用いたものとしては、例えば、青色光を発する発光素子とその青色光によって励起され黄色光を発する蛍光体とを用いたものや、紫外光を発する発光素子とその紫外光によって励起され赤色光、緑色光、青色光等を発する蛍光体とを用いたもの等がある。
ところで、白色LED装置は、照明として用いられる他に、液晶ディスプレイのバックライトとしても用いられている。液晶ディスプレイのバックライトとして用いられるものは、カラーフィルターとのマッチング、即ち、カラーフィルターを透過する光を適切に発光させることが求められている。そのため、発光素子と蛍光体とを用いた白色LED装置については、蛍光体の選定が重要となっている。蛍光体の選定は、試行錯誤に依存しており、多くの時間や労力を費やしている。それを改善するために特許文献1に記載のように、個別に蛍光体が発する蛍光のスペクトルを測定し、その測定値を基に、複数の蛍光体の配合比や濃度を決定する方法が提案されている。
特開2010−93237号公報
ところで、従来、蛍光体が発する蛍光のスペクトルは、図3に示すように、積分球90の内部空間91にセットされた粉状の蛍光体sに光源部95からの照射光iを照射することで得られた反射蛍光fのスペクトルを検出器96で測定することで行われている。
しかしながら、白色LED装置等に用いられる蛍光体は、封止材(樹脂)中に分散された状態で使用されており、粉状のものに光を照射したときとは、励起発光条件が大きく異なっている。そのため、蛍光体の蛍光のスペクトルは、粉状のものに光を照射したときとLED装置に実装したときとでは相関をみるのが難しくなっている。それゆえ、蛍光体を用いた白色LED装置等の色度管理は低いものとなっていた。
そこで、本発明は、蛍光体を用いた発光装置(例えば白色LED装置)の色度管理が向上する蛍光体の蛍光スペクトルの測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の白色LED装置用蛍光体の蛍光スペクトルの測定方法は、封止材中に分散させて発光装置としての白色LED装置に用いられる蛍光体の蛍光スペクトルの測定方法であって、前記封止材中に前記蛍光体を分散させて板状に成形した板状試料を作製し、積分球の上部に設けられた平らな載置面に前記板状試料を載置し、光源部の光源である青色LED装置が発する光を分光することなく照射光として前記板状試料の上面に略直角に照射し、前記板状試料から前記照射光が透過した側へ放出される、前記蛍光体による蛍光を、前記載置面に形成された入射口を通して前記積分球の内部空間に導いて、前記内部空間における前記蛍光のスペクトルを測定することを特徴とする。
このように、蛍光を積分球の内部空間に導いてこの内部空間におけるスペクトルを測定することが好ましい。なぜなら、液晶のバックライトでは白色LED装置からの発光する光を導光板に入射させている。しかし、この入射させている光には白色LED装置の光軸方向の光だけでなくこの光軸方向からずれた方向の光も含まれている。そのため、蛍光を積分球の内部空間に導いてこの内部空間におけるスペクトルを測定することにより、照射光の光軸方向の蛍光だけでなく、この光軸方向から多少ずれた方向の蛍光も含めてたスペクトルを測定することができ、測定の精度を向上させることができる。
さらに、積分球の上部に設けられた平らな載置面に試料を載置し、この載置面に形成された入射口を通して蛍光を積分球の内部空間に導くことがより好ましい。
試料の形状としては、前記のとおり、板状に成形された板状試料とする
上記課題を解決するために、本発明の白色LED装置用蛍光体の蛍光スペクトルの測定装置は、封止材中に分散させて発光装置としての白色LED装置に用いられる蛍光体の蛍光スペクトルの測定装置であって、積分球と、前記封止材中に前記蛍光体を分散させて板状に成形した板状試料を載置するための、前記積分球の上部に設けられた平らな載置面と、光源である青色LED装置が発する光を分光することなく照射光として前記板状試料(11)の上面に略直角に照射する光源部と、前記板状試料から前記照射光が透過する側へ放出される、前記蛍光体による蛍光を通して前記積分球の内部空間に導くための、前記載置面に形成された入射口と、前記内部空間における前記蛍光のスペクトルを測定する検出器とを備えていることを特徴とする。
このように、蛍光体の蛍光スペクトルの測定装置は、蛍光を内部空間へと導く入射口が形成された積分球を備え、検出器は、積分球の内部空間におけるスペクトルを測定することが好ましい。なぜなら、液晶のバックライトでは白色LED装置からの発光する光を導光板に入射させている。しかし、この入射させている光には白色LED装置の光軸方向の光だけでなくこの光軸方向からずれた方向の光も含まれている。そのため、蛍光を内部空間へと導く入射口が形成された積分球を備え、検出器は、積分球の内部空間におけるスペクトルを測定することにより、照射光の光軸方向の蛍光だけでなく、この光軸方向から多少ずれた方向の蛍光も含めてたスペクトルを測定することができ、測定の精度を向上させることができる。
積分球の態様としては、前記のとおり、上部に試料を載置する平らな載置面が設けられ、この載置面に入射口が形成されている態様とする
試料の形状としては、前記のとおり、板状に成形された板状試料とする
本発明によれば、蛍光体を用いた発光装置としての白色LED装置の色度管理が向上する蛍光体の蛍光スペクトルの測定方法及び測定装置を提供することができる。
本発明の実施例の蛍光体の蛍光スペクトルの測定装置の概略図である。 同測定装置の要部の概略図である。 従来の蛍光体の蛍光スペクトルの測定装置の要部の概略図である。 本発明の実施例の蛍光体の蛍光スペクトルの測定方法により測定した蛍光体の蛍光のスペクトルのグラフである。 同スペクトルの520〜600nmの範囲を拡大したグラフである。 従来の蛍光体の蛍光スペクトルの測定方法により測定した蛍光体の蛍光のスペクトルのグラフである。 同スペクトルの520〜600nmの範囲を拡大したグラフである。 520〜600nmの範囲の白色LED装置の発光のスペクトルのグラフである。
本実施例の蛍光体の蛍光スペクトルの測定装置10について、図1、図2を用いて説明する。
蛍光体の蛍光スペクトルの測定装置10は、板状に成形された板状試料11の上面に真上から照射光iを照射する光源部16と、板状試料11の下面から放出される蛍光体による蛍光pを内部空間22に導く入射口21が形成された積分球20と、積分球20の内部空間22におけるスペクトルを測定する検出器26とを備えている。
光源部16は、光源としてのランプを内蔵するとともに、ランプの発光を分光する分光器を備えた光源本体部17と、照射光iによる照射範囲の大きさを変更するためのレンズを内蔵し、積分球20の上方に設けられたレンズ筒体18と、光源本体部17からレンズ筒体18まで延び、ランプの発光をレンズ筒体18へと導いてレンズ筒体18から照射光iとして照射するための光源ファイバー19とを備えている。また、光源部16の光源として青色LED装置を採用してもよい。キセノンランプは広い波長域の光を発するのに対し、青色LED装置は狭い波長域の光を発し、且つそのスペクトルを特定できる。そのため、光源として青色LED装置を採用することで、分光器を特に設けなくてもよくなる。
積分球20は、略立方体状の形状で、内部に略球状の内部空間22が形成されている。内部空間22の壁面は硫酸バリウムにより拡散反射コーティングが施されている。積分球20の上面23は、略平滑であり、その略中央には、入射口21が穿設されている。入射口21は、レンズ筒体18の直下に位置している。また、上面23は、板状試料11を載置する載置面23である。積分球20の側面の一つには、検出器26の受光部27を取着するための取着孔24がその側面25の略中央に穿設されている。
検出器26は、積分球20の側面25に穿設された取着孔24に嵌合して取着され、先端が内部空間22に露出している受光部27と、受光部27で捕捉した光のスペクトルを測定する検出本体部28と、受光部27から検出本体部28まで延び、受光部27で捕捉した光を検出本体部28へと導く受光ファイバー29とを備えている。
次に、蛍光体の蛍光スペクトルの測定装置10を用いた、本実施例の蛍光体の蛍光スペクトルの測定方法について説明する。
先ず、封止材中に蛍光体を分散させ、これを板状に成形して板状試料11を作製する。そして、この板状試料11を載置面23に載置してセットする。セットした後、板状試料11の上面に照射光iを略直角に照射する。そして、板状試料11の下面から放出される蛍光pを入射口21を通して内部空間22に導き、内部空間22における蛍光pのスペクトルを検出器26で測定する。
本発明の蛍光体の蛍光スペクトルの測定方法により、品番が異なる二種類の蛍光体(A、B)について、その蛍光スペクトルを測定し、そのグラフを図4、図5に示す。また、この二種類の蛍光体(A、B)について、従来の測定方法により、粉状の状態での蛍光(反射蛍光)のスペクトルを測定し、そのグラフを図6、図7に示す。
また、蛍光体として蛍光体A又は蛍光体Bを用いた白色LED装置の発光スペクトルを測定し、その測定結果を図8に示す。
各試料のスペクトルを測定した装置及び条件等を次に示す。
スペクトルの測定装置10には、大塚電子株式会社製の瞬間マルチ測定システム「MCPD−7000」を用いた。
ランプには、浜松ホトニクス株式会社製の150Wのキセノンランプ「L2274」を用いた。
分光器には、株式会社堀場ジョバンイボン製のモノクロメーター「H−10UV」を用いた。
封止材には、無色透明なシリコン樹脂を用いた。
上記の装置等により、440〜470μmの波長域の光を照射光にし、300〜800μmの各波長における光の強度を測定した。その後、感度補正等の信号処理を経て蛍光のスペクトルを得た。
図8に示すように、蛍光体として蛍光体A又は蛍光体Bを用いた白色LED装置は、主に蛍光体の蛍光による波長域(520〜600nm)の発光のスペクトルが略同じであった。従って、蛍光体Aと蛍光体Bとは、白色LED装置に実装した場合に、略同じように蛍光する。
次に、蛍光体Aと蛍光体Bの蛍光のスペクトルについては、図4、図5に示すように、本実施例の蛍光体の蛍光スペクトルの測定方法によって測定したときには略同じとなった。一方、図6、図7に示すように、従来の測定方法によって測定したときには互いに異なっていた。
以上より、本実施例の蛍光体の蛍光スペクトルの測定方法及び測定装置によれば、従来の測定方法より、白色LED装置に実装したときの蛍光体の励起発光条件に近くなる。そのため、白色LED装置に実装したときの蛍光体の蛍光を精度良く予見することができた。これにより、蛍光体を用いる白色LED装置の色度管理を向上させることができた。
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。例えば、白色以外の発光(例えばオレンジ色、黄色等の発光)をするLED装置等の発光装置に用いられる蛍光体を測定する等である。
10 測定装置
11 板状試料
16 光源部
20 積分球
21 入射口
22 内部空間
23 載置面
26 検出器
i 照射光
p 蛍光

Claims (2)

  1. 封止材中に分散させて発光装置としての白色LED装置に用いられる蛍光体の蛍光スペクトルの測定方法であって、
    前記封止材中に前記蛍光体を分散させて板状に成形した板状試料(11)を作製し、
    積分球(20)の上部に設けられた平らな載置面(23)に前記板状試料(11)を載置し、
    光源部(16)の光源である青色LED装置が発する光を分光することなく照射光(i)として前記板状試料(11)の上面に略直角に照射し、
    前記板状試料(11)から前記照射光(i)が透過した側へ放出される、前記蛍光体による蛍光(p)を、前記載置面(23)に形成された入射口(21)を通して前記積分球(20)の内部空間(22)に導いて、前記内部空間(22)における前記蛍光(p)のスペクトルを測定することを特徴とする白色LED装置用蛍光体の蛍光スペクトルの測定方法。
  2. 封止材中に分散させて発光装置としての白色LED装置に用いられる蛍光体の蛍光スペクトルの測定装置(10)であって、
    積分球(20)と、
    前記封止材中に前記蛍光体を分散させて板状に成形した板状試料(11)を載置するための、前記積分球(20)の上部に設けられた平らな載置面(23)と、
    光源である青色LED装置が発する光を分光することなく照射光(i)として前記板状試料(11)の上面に略直角に照射する光源部(16)と、
    前記板状試料(11)から前記照射光(i)が透過する側へ放出される、前記蛍光体による蛍光(p)を通して前記積分球(20)の内部空間(22)に導くための、前記載置面(23)に形成された入射口(21)と、
    前記内部空間(22)における前記蛍光(p)のスペクトルを測定する検出器(26)とを備えていることを特徴とする白色LED装置用蛍光体の蛍光スペクトルの測定装置。
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