JP2002062258A - 赤外分光光度計用試料温度制御装置及び該試料温度制御装置を備えた赤外分光光度計 - Google Patents

赤外分光光度計用試料温度制御装置及び該試料温度制御装置を備えた赤外分光光度計

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JP2002062258A
JP2002062258A JP2000252501A JP2000252501A JP2002062258A JP 2002062258 A JP2002062258 A JP 2002062258A JP 2000252501 A JP2000252501 A JP 2000252501A JP 2000252501 A JP2000252501 A JP 2000252501A JP 2002062258 A JP2002062258 A JP 2002062258A
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Yuji Fujioka
裕二 藤岡
Kouji Saito
公児 齋藤
Masayuki Nishifuji
将之 西藤
Koji Kanehashi
康二 金橋
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料を加熱または冷却する試料温度制御部
と、観察および測定に用いる窓を有する試料室からなる
赤外分光光度計用試料温度制御装置において、窓材によ
る赤外光の損失を抑制し、有機化合物、高分子化合物、
触媒、無機化合物などの温度変化に対する構造変化をよ
り正確に解析できる赤外吸収(反射)スペクトルを得る
ことができる赤外分光光度計用試料温度制御装置を提供
する。 【解決手段】 可視光領域で透明で、屈折率が波長10
μmで1.6以下であり、かつ、30℃の水100gに
対する溶解度が1g以下であり、厚さが1mm以下であ
る窓材によって、試料を加熱または冷却する赤外分光光
度計用試料温度制御装置の試料室の窓を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機化合物、高分
子化合物、触媒、無機化合物などの温度変化に対する構
造変化をより正確に解析する赤外分光光度計用試料温度
制御装置と、該試料温度制御装置を備えた赤外分光光度
計に関する。
【0002】
【従来の技術】赤外分光分析法は、試料に赤外光をあ
て、分子振動のうち、双極子能率の変化を起こす振動に
起因する吸収を測定する方法で、有機化合物に対する官
能基の分析法として、定性、定量、芳香族置換体の分
析、高分子化合物の分析、一部無機化合物の分析に広く
用いられている。使用される赤外分光光度計において
は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)の開発
によって感度が飛躍的に向上し、最近では、FT−IR
から出射された赤外光を多数の反射鏡を用いて試料に集
光・照射して、赤外透過吸収、あるいは、反射吸収スペ
クトルを測定する顕微赤外分光計も市販され、普及して
いる。
【0003】一方、材料開発においては、材料の温度変
化に対する構造変化の解析が重要で、高分子材料、触媒
などの温度変化に対する材料の構造変化の解析装置とし
て、顕微赤外分光計と示差走査熱量計(DSC)を組合
せ、DSCの加熱炉内の試料に、FT−IRからの干渉
光(顕微鏡により集光したもの)を照射し、その反射光
を赤外線検出器に導いて、DSCによる熱量と赤外吸収
(反射)スペクトルを同時に測定するようにしたものが
知られている。
【0004】また、光学顕微鏡に使用される試料加熱装
置を顕微赤外分光計に取り付け、試料を加熱または冷却
しながら赤外吸収(反射)スペクトルを測定できるよう
にした試料加熱(冷却)装置(高温ステージ)も知られ
ている。何れの場合も、加熱部分を小さくすることによ
って試料温度の制御を容易としているため、測定には顕
微赤外分光計が必要となる。
【0005】このような試料加熱装置には、赤外線を試
料に照射し、透過または反射してくる赤外線を検出器に
導くため、赤外線の透過性のある窓材を取り付けた窓部
が、1ないし2箇所必要となる。赤外線の透過性のある
窓材としては、臭化カリウム(KBr)、塩化カリウム
(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)などのアルカ
リハライド、セレン化亜鉛(ZnSe)、シリコン(S
i)、ゲルマニウム(Ge)などの半導体材料、臭沃化
タリウム(TlBr(45.7%)+TlI(54.8
%)の混晶;KRS−5)、臭塩化タリウム(TlBr
(29.8%)+TlCl(70.2%)の混晶;KR
S−6)などが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】DSC、高温ステージ
の何れも、赤外光を集光して試料に照射する集光器、ま
たは、顕微赤外分光計と組合せて使用される。顕微赤外
分光計を例にとると、顕微赤外分光計は、FT−IRか
ら出射された赤外光を多数の反射鏡を用いて試料に集光
・照射するために、通常のFT−IRの場合よりも検出
器に到達する光量(エネルギー)が低下する。従って、
S/Nの良いスペクトルを得るためには、検出器に到達
するエネルギーの低下を抑える必要があり、そのために
は、赤外線の透過性の優れた窓材を用いる必要がある。
【0007】また、顕微赤外分光計では、赤外光を集光
して試料に照射するため、赤外光は窓材に対して入射角
を持って入射される。従って、屈折率が大きく、また、
窓材の厚さが厚いと、屈折によって焦点位置が変化し、
最終的には、検出器に到達するエネルギーが低下すると
いう問題がある。
【0008】赤外線の透過性能の優れた、屈折率の小さ
い窓材としては、KBr、KCl、NaClなどが知ら
れているが、これらは潮解性があり、耐久性に劣るとい
う問題がある。一方、水に不溶のSi、Geは可視光線
を透過しないために、試料の測定箇所を特定するための
目視観測ができないという問題がある。
【0009】さらに、Si、Geは赤外線領域の屈折率
が3.4〜4と大きいため、赤外光の反射損失が大き
く、また、入射光の屈折による焦点位置の変化も大きい
という問題がある。ZnSe、KRS−5、KRS−6
も、屈折率が2〜2.5とアルカリハライドよりも大き
く、反射損失および焦点位置の変化による検出器への到
達エネルギーが低下するという問題がある。特に、KR
S−5、KRS−6は、融点または軟化点がアルカリハ
ライドよりも低く、毒性も高いために、取り扱いが難し
いという欠点がある。
【0010】つまり、従来の窓材には一長一短があり、
これらの特性を全て備えた窓材は知られていなかった。
従って、本発明の目的は、試料を加熱または冷却する試
料温度制御部と、観察および測定に用いる窓を有する試
料室からなる試料温度制御装置において、窓材による赤
外光の損失を抑制し、有機化合物、高分子化合物、触
媒、無機化合物などの温度変化に対する構造変化をより
正確に解析できる赤外吸収(反射)スペクトルを得るた
めの赤外分光光度計用試料温度制御装置と、それを備え
た赤外分光光度計を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
を解決するために鋭意検討した結果、試料を加熱または
冷却する試料温度制御部と、観察および測定に用いる窓
を有する試料室からなる赤外分光光度計用試料温度制御
装置において、可視光領域で透明で、屈折率が波長10
μmで1.6以下であり、かつ、20℃の水100gに
対する溶解度が1g以下である窓材が、窓材による赤外
光の損失を抑制し、有機化合物、高分子化合物、触媒、
無機化合物などの温度変化に対する構造変化をより正確
に解析できる赤外吸収(反射)スペクトルを得るのに適
していることを突き止め、本発明を完成した。
【0012】すなわち、試料を加熱または冷却する試料
温度制御部と、観察及び測定に用いる窓を有する試料室
を備えた試料温度制御装置において、窓材が、可視光領
域で透明で、屈折率が波長10μmで1.6以下であ
り、かつ、20℃の水100gに対する溶解度が1g以
下であること、及び、このことに加え、その窓材の厚さ
が1mm以下であること、及び/または、その窓材がふ
っ化バリウムであることにより、前記課題を解決するこ
とができることを見い出し、さらに、また赤外線光源
と、赤外線を分光する分光器と、分光された赤外線を集
光して試料に照射する集光器または赤外線顕微鏡と、可
視光領域で透明で、屈折率が波長10μmで1.6以下
であり、かつ、20℃の水100gに対する溶解度が1
g以下であり、厚さが1mm以下であるふっ化バリウム
を窓材とする試料温度制御装置と、赤外線検出器を備え
た赤外分光光度計により、前記課題を解決することがで
きることを見い出した。
【0013】
【発明の実施の形態】顕微赤外分光計は、FT−IRか
ら出射された赤外光を多数の反射鏡用いて試料に集光・
照射するので、通常のFT−IRの場合よりも、検出器
に到達するエネルギーが低下する。そのために、検出器
として感度の高い半導体(Hg1-x Cdx Te;MC
T)検出器を用いるのが一般的である。
【0014】DSCあるいは高温ステージを使用して試
料温度を変化させながら赤外吸収(反射)スペクトルを
測定する場合、試料温度を制御するため、試料から
の熱分解物の飛散を防ぎ、顕微鏡の光学系を保護するた
め、及び/または、試料反応場の雰囲気ガス種あるい
は圧力を変えるために、試料温度制御装置には試料室を
設け、赤外線を入出射する窓が必要となる。この窓に取
り付ける窓材の材質について、赤外線の透過特性や機械
強度を試験した結果、以下の特性が求められることを見
い出した。
【0015】(1)赤外線の透過性が高く、かつ、板厚
を薄く加工できる強度を有すること。 (2)赤外線の透過領域が広いこと(可視光線の透過性
も高いこと)。 (3)耐久性が高いこと。特に水分による影響を受けに
くいこと。 赤外線の透過性は、フレネルの公式(r={(n2 −n
1 )/(n2 +n1 )}2 ;rは反射損失)により、屈
折率から算出され、吸収が無い限りは屈折率が小さいほ
ど透過率が高い。平行平板には入射面と出射面の二つの
界面があるので、1枚の平板を光が1回通過するだけで
も反射損失は2面で起こる。
【0016】実際には、窓材を通して試料に照射した赤
外光は、試料面を透過または反射して、再度、窓材を通
過するので、実質的に検出器に到達するエネルギーは、
単一面透過率の4乗となる。すなわち、屈折率1.6で
は、検出器に到達するエネルギーは約80%で、屈折率
1.7では、それが約75%まで減少する。また、光が
媒質1から媒質2に入射する場合、スネルの法則(n1
・sinθ 1 =n2 ・sinθ2 、n1 ;媒質1の屈折
率、θ1 ;媒質1側の入射角、n2;媒質2の屈折率、
θ2 ;媒質2側の出射角)により、光は屈折する。
【0017】ここで、大気中に屈折率2、厚さ2mmの
透過材に、入射光を、法線から45°の入射角で、入射
面が直径10mmとなるように入射したとする。透過材
の屈折率が大気と同じ場合は屈折が起こらないので、入
射面から5mmのところに焦点を結ぶが、屈折率が2と
なると、焦点位置は入射面から約6.2mmとなり、透
過材が無い場合と大きく異なる。この窓材を、屈折率
1.6、厚さ1mmのものにすると、焦点位置は約5.
5mm、屈折率はそのまま、厚さを0.5mmとする
と、焦点位置は約5.2mmとなり、焦点位置のズレを
小さくすることができる。
【0018】顕微赤外分光計では、試料を透過(または
反射)してきた光を検出器の検知部に集光するので、測
定部の焦点位置が異なると、結果的に検出器に到達する
エネルギーが小さくなる。従って、窓材は、屈折率が小
さく、また、厚さは薄くする必要がある。一方、窓材を
薄くするためには、窓材の機械的強度が問題となる。窓
を介して内外で圧力差が生ずる場合、例えば、試料雰囲
気を真空とすると、窓材には、約1kg/cm2 の圧力
がかかる。この時の窓材の耐圧性は以下の式より求めら
れる。
【0019】 t/D=0.866(P/Fa)1/2 (安全係数4) …(1) ここで、tは窓材の厚さ(cm)、Pは単位面積当たり
の圧力(kg/cm2)、Faは見掛けの弾性限界(k
g/cm2 )、Dは窓材開口部の直径(cm)であり、
見掛けの弾性限界が大きいほど窓材の厚さを薄くするこ
とができるので、見掛けの弾性限界としては、200k
g/cm2 以上が望ましい。
【0020】分析化学的な赤外線(中赤外線)の波長領
域は2.5〜25μmである。この内、特に重要な波長
範囲は2.5〜15μmであり、顕微赤外分光計でよく
用いられる感度の高いMCT検出器の使用波長範囲も、
15μm程度までである。すなわち、15μm程度まで
の赤外光を透過する窓材であれば、試料室の窓として好
適に使用できる。
【0021】また、顕微赤外分光計では、試料の測定箇
所を特定するために、測定箇所を目視で観測する必要が
ある。そのために、窓材は可視光線の透過率も高くなく
てはならない。一方、試料を加熱測定する際には、試料
から熱分解生成物が発生しやすく、これらが窓材に付着
することも多い。この様な場合、溶剤などで簡単に洗浄
できればよいが、吸湿しやすい窓材の場合は、溶剤の種
類が限定され、また、溶剤に含まれる水分、あるいは、
溶剤を揮散するときの結露による影響を受ける。
【0022】また、反応時に生成する水や、低温で測定
する場合には、大気中の水分の結露によって窓材が吸湿
し、失透したり、面形状を損なうという問題を招くこと
から、水への溶解度が高い窓材は、繰り返し使用ができ
にくくなる。水への溶解度は20℃の水100gに対し
1g以下が好ましい。1g/100g−H2 O以上で
は、容易に面形状が損なわれてしまう。
【0023】また、窓材は試料加熱部分近傍に設置され
ることから、窓材の耐熱性も重要である。窓材の軟化点
または融点としては、600℃以上が望ましい。600
℃以下では、窓材が加熱部分と接触した際に、分解した
り、軟化溶融して他の部分に付着する恐れがある。以上
のような試験・調査結果を基に、赤外分光光度計用試料
温度制御装置に適する窓材を鋭意検討した。その結果、
窓材が、可視光領域で透明で、屈折率が波長10μmで
1.6以下であり、かつ、20℃の水100gに対する
溶解度が1g以下であり、好ましくは、厚さが1mm以
下である窓材、特にBaF2 を使用すると、赤外光の損
失を抑制し、有機化合物、高分子化合物、触媒、無機化
合物などの温度変化に対する構造変化をより正確に解析
できる赤外吸収(反射)スペクトルを得ることができる
という事実を見い出した。
【0024】BaF2 は、可視光領域(波長0.38〜
0.75μm)で透明で、屈折率が波長10μmで1.
4と小さく、赤外線の透過が高い。赤外線の波長範囲は
15μmまででやや狭いが、MCT検出器を使用するな
らば、BaF2 の適用にはまったく問題がない。水に対
する溶解度も0.162g/100g−H2 Oと小さ
く、水で直接洗浄しても問題がない。有機溶剤にも不溶
で、窓が汚染した際の洗浄に使用できる溶剤の種類も多
い。
【0025】また、機械強度についても、例えば、窓材
内部を真空にして開口部を10mm(1cm)確保する
場合、(1)式を用いて計算すると、KBrでは厚さ
2.6mmが必要であるが、BaF2 では0.5mmで
十分となる。さらに、耐熱性も高く、熱膨張係数も小さ
いことから、温度制御装置の窓材には好適である。表1
に、種々の材料を検討した結果を示す。BaF2 の外観
は、一般的なガラス状で、ガラス同様の取り扱いができ
る。
【0026】
【表1】
【0027】次に、顕微赤外分光計を用いた測定方法を
例に説明する。図1は、温度制御装置の一例を示した概
略図である。図1の温度制御装置は、2枚の窓材1を取
りつけた筐体5の内部にヒーター4と温度センサー6を
埋め込んだ試料温度制御部3からなり、試料温度制御部
3には、冷却もできるように試料温度冷却用冷媒入口7
と試料温度冷却用冷媒出口8が取りつけられている。筐
体5には、筐体の温度を制御できるように、筐体温度制
御用冷媒入口9と筐体温度制御用冷媒出口10及び、雰
囲気ガス入口11と雰囲気ガス出口12が取りつけられ
ている。
【0028】雰囲気ガスの入出口の一方を閉じ、残りの
一方を真空ポンプに取り付けると、真空中での測定が可
能となる。顕微赤外分光計による測定は、透過測定の場
合は、透過測定用入射光13を測定試料2に照射し、透
過光14を検出器に導く。反射測定の場合は、反射測定
入射光15を測定試料2に照射し、反射光16を検出器
に導く。測定試料2は透過測定の場合、ごく薄い薄膜
で、変形、分解などが起こらない条件であれば、試料温
度制御部上に直接載せてもよいが、粉末、あるいは変
形、分解などが起こる条件で測定するときは、1mm以
下の薄い赤外透過窓材上に載せて測定する。
【0029】また、KBrなどは比較的延性を有するの
で、例えば、市販されている数mm角の結晶から、厚さ
1mm程度の平板を切り出し、この上に試料を載せて、
金型を使って数百〜2千kg/cm2 の圧力で圧縮する
と、KBr平板が圧縮されて厚さが薄くなり、その中に
試料が埋め込まれた状態になる。この状態で測定に供し
てもよい。また、2枚のKBr平板に試料を挟んで圧縮
してもよい。KBr平板を圧縮して成形するときは、K
Br平板の大きさと厚さ、金型の大きさ、圧縮する圧力
によって厚さを制御することもできる。
【0030】このような方法で調製された測定試料は、
通常、固体粉末の赤外吸収スペクトル測定で用いられる
KBr錠剤法のような水分の吸収の影響を受けにくいの
で、試料中の水酸基などの解析に有効である。反射測定
の場合は、測定試料を金属板などの反射板上に載せて測
定する。図2は顕微赤外分光計の概略図である。通常の
フーリエ変換型赤外分光計17は、光源19から発せら
れた赤外光を干渉計20で干渉光とし、試料室21に設
置された測定試料に照射して、透過してきた光を検出器
22で検出する。顕微赤外分光計は、試料室21を通っ
てきた光を検出器22に導かず、そのまま顕微鏡部18
に導入する。顕微鏡部で集光された光は、顕微試料室2
3を通って顕微検出器24で検出される。この顕微試料
室23に図1に示す温度制御装置を組み込むと、測定試
料の温度を変化させながら、試料の赤外透過吸収、また
は、反射吸収スペクトルを測定することができる。
【0031】
【実施例】(実施例1)図2に示す顕微赤外分光計に、
図1に示す試料温度制御装置を用いて、石炭の加熱時の
変化測定を行った。窓材には、1mm厚のKBrと0.
5mm厚のBaF2 を用いて比較した。測定試料が無い
状態での赤外線の透過エネルギーは、1mmのKBrに
比べて0.5mmのBaF2 は約2倍であった。
【0032】測定試料は次のように調製した。石炭を1
00mesh以下に粉砕したものを7×7×1mmのK
Brの結晶板に載せ、800kg/cm2 の圧力をかけ
て約12mmφの円形に圧縮した。圧縮後のKBr円盤
の厚さは約0.5mmであった。このKBr円盤試料を
試料温度制御部上に載せ、300〜600℃まで加熱し
ながら赤外吸収スペクトルの測定を行った。
【0033】図3に、1mmのKBrと0.5mmのB
aF2 を用いた時の、300℃における透過法での赤外
吸収スペクトルを示す。1mmのKBrを用いたとき
は、透過光のエネルギーが低いので、同じ積算回数で
は、吸収スペクトルのS/Nが悪くなる。特に、エネル
ギーが低い4000〜3000cm-1では、大気の湿度
の影響を受け、微小なピークの判断が難しくなる。0.
5mmのBaF2 はS/Nは良好で、水酸基の現れる領
域においても良く解析できる。
【0034】また、石炭を加熱するとタールが発生し、
一部窓材に付着した。このタールはクロロホルムで洗浄
できるが、測定と洗浄を繰り返し行ったところ、KBr
は10回の操作で曇りが生じ、3000cm-1の窓材の
透過率が、当初の92%から83%に低下した。一方、
BaF2 は20回以上操作しても、窓材の透過率の低下
は見られなかった。 (実施例2)酸化マグネシウムの試薬を60〜600℃
まで加熱しながら、赤外吸収スペクトルの測定を行っ
た。試料の調製は実施例1の石炭の場合と同じである。
酸化マグネシウムは、大気中の水分を吸収して一部水酸
化マグネシウムを形成し、また、この水酸化マグネシウ
ムが炭酸ガスを吸収して、塩基性炭酸マグネシウムとな
る。
【0035】この塩基性炭酸マグネシウムが含まれた酸
化マグネシウムを加熱しながら測定すると、低温で吸着
水が脱離し、さらに温度が高くなると、水酸化マグネシ
ウムから脱水が始まる。図4に、測定開始時の60℃
と、試料の変化がほぼ終了した500℃のスペクトルの
変化を示す。3600cm-1付近の吸収が、水酸化マグ
ネシウムの水酸基の吸収であり、加熱時に脱水が起こ
り、500℃で、この吸収が完全に消失していることが
わかる。このような測定において、KBrを窓材に用い
ると、測定試料から放出された水分により失透し、繰り
返し使用が困難となったが、BaF2は水分の影響を受
けないので、繰り返し使用が可能となった。
【0036】
【発明の効果】本発明の窓材を用いた試料温度制御装置
によれば、窓材による赤外光の損失を抑制し、S/Nの
優れた赤外吸収(反射)スペクトルを得ることができ、
有機化合物、高分子化合物、触媒、無機化合物などの温
度変化に対する構造変化の解析に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】温度制御装置の概略図である。
【図2】顕微赤外分光計の概略図である。
【図3】発明例と比較例における石炭の赤外吸収スペク
トルを示す図である。
【図4】塩基性炭酸マグネシウムを含む酸化マグネシウ
ムの加熱下での赤外吸収スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1…窓材 2…測定試料 3…試料温度制御部 4…ヒーター 5…筐体 6…温度センサー 7…試料温度冷却用冷媒入口 8…試料温度冷却用冷媒出口 9…筐体温度制御用冷媒入口 10…筐体温度制御用冷媒出口 11…雰囲気ガス入口 12…雰囲気ガス出口 13…透過測定用入射光 14…透過光 15…反射測定入射光 16…反射光 17…フーリエ変換型赤外分光計 18…顕微鏡部 19…光源 20…干渉計 21…試料室 22…検出器 23…顕微試料室 24…顕微鏡検出器
フロントページの続き (72)発明者 西藤 将之 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 金橋 康二 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 2G057 AA01 AB02 AC05 BA01 BB10 DA08 DB05 EA01 EA06 2G059 AA01 AA03 BB08 CC01 CC12 DD16 EE01 EE02 EE10 EE12 FF03 HH01 KK01 LL02 NN07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料を加熱または冷却する試料温度制御
    部と、観察及び測定に用いる窓を有する試料室を備えた
    赤外分光光度計用試料温度制御装置において、窓材が、
    可視光領域で透明で、屈折率が波長10μmで1.6以
    下であり、かつ、20℃の水100gに対する溶解度が
    1g以下であることを特徴とする赤外分光光度計用試料
    温度制御装置。
  2. 【請求項2】 窓材の厚さが1mm以下であることを特
    徴とする請求項1記載の赤外分光光度計用試料温度制御
    装置。
  3. 【請求項3】 窓材がふっ化バリウムであることを特徴
    とする請求項1または2記載の赤外分光光度計用試料温
    度制御装置。
  4. 【請求項4】 赤外線光源と、赤外線を分光する分光器
    と、分光された赤外線を集光して試料に照射する集光器
    または赤外線顕微鏡と、請求項1、2または3の何れか
    に記載の赤外分光光度計用試料温度制御装置と、赤外線
    検出器を備えた赤外分光光度計。
JP2000252501A 2000-08-23 2000-08-23 赤外分光光度計用試料温度制御装置及び該試料温度制御装置を備えた赤外分光光度計 Withdrawn JP2002062258A (ja)

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