JP2012048935A - 多孔質セパレーター、リチウムイオン二次電池及び多孔質セパレーターの製造方法 - Google Patents

多孔質セパレーター、リチウムイオン二次電池及び多孔質セパレーターの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高出力を維持し、耐熱性及び耐衝撃性に優れた二次電池に資する多孔質セパレーター、それを用いたリチウムイオン二次電池の提供。
【解決手段】スルホン酸基含有ポリマー、無機微粒子、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーを含有することを特徴とする多孔質セパレーター。
Figure 2012048935

(式中、Rは水素原子、メチル基を表し、Qは−C(=O)O−、−C(=O)NRa−を表す。Raは水素原子、アルキル基を表し,Aは置換或いは無置換のアルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質セパレーター、それを用いたリチウムイオン二次電池、及び多孔質セパレーターの製造方法に関する。
近年、リチウムイオン二次電池は電気自動車用として出力の増大が求められ、電池セルの大型化が望まれている。
大型化には出力だけでなく、特に電気自動車用途においては、運航時に様々な振動・衝撃・蓄熱を長時間に亘って受けることになり、電力貯蔵用等の定置用途よりも耐熱性及び安定性の高いものが要求されている。
セパレーターは電池を構成する正極と負極の短絡を防ぎ、かつ、電解質のイオン導電性を妨げないという高度な機能を要求される。特に蓄熱や衝撃により変形して電極間の短絡が起こることは致命的であり、近年様々な改良が施されてきている。
高出力と安全性の確保のために、絶縁性微粒子とバインダーからなる多孔質層を電極活物質層の表面に直接形成する技術(特許文献1参照)が開発されており、従来のポリオレフィン系樹脂多孔質膜からなるセパレーター(特許文献2参照)に対して大きく耐熱性や取り扱い性が改善されてきている。そして、50%以上セパレーター膜厚を薄くできるため、出力の大幅な向上が達成出来る利点も有していた。
しかしながら、車載用途では、300℃程度の高温に晒されても、或いは過激な振動・衝撃に晒されても容易に変形せず、セパレーターの機能を維持出来る部材が求められている中で、機能と耐熱性、耐衝撃性を両立出来る部材が存在しないのが実情であった。
特許第3253632号公報 特開平3−105851号公報
本発明の目的は、高出力を維持し、耐熱性及び耐衝撃性に優れた二次電池に資する多孔質セパレーター、それを用いたリチウムイオン二次電池及び塗布による多孔質セパレーターの製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の手段により達成される。
1.スルホン酸基含有ポリマー、無機微粒子、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーを含有することを特徴とする多孔質セパレーター。
Figure 2012048935
〔式中、Rは水素原子、メチル基を表し、Qは−C(=O)O−、−C(=O)NRa−を表す。Raは水素原子、アルキル基を表し、Aは置換或いは無置換のアルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基を表す。〕
2.前記1に記載の多孔質セパレーターを含むリチウムイオン二次電池であって、正極活物質層を有する正極、負極活物質層を有する負極およびリチウムイオンを含む非水系電解質を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
3.前記1に記載の多孔質セパレーターの製造方法であって、リチウムイオン二次電池の正極または負極の活物質層上に塗布し、次に加熱乾燥することにより形成することを特徴とする多孔質セパレーターの製造方法。
本発明により、高出力で、耐熱性、及び耐衝撃性に優れた二次電池に資する多孔質セパレーター、それを用いたリチウムイオン二次電池及び塗布による多孔質セパレーターの製造方法を提供することができた。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、スルホン酸基含有ポリマー、無機微粒子、及び水酸基含有ポリマーを含有し、かつ正極または負極の活物質層上に塗布により形成される多孔質セパレーターを用いることを特徴とし、高出力を維持し、300℃程度の高温下でも耐熱性と耐衝撃性に優れたリチウムイオン二次電池が得られる。
(多孔質セパレーター)
本発明の多孔質セパレーターは、少なくとも1層の無機微粒子集合体層を有し、該微粒子集合体が、該微粒子同士を結合する本発明のポリマーをバインダーとして含んでおり、且つ少なくとも1層の無機微粒子集合体層が3次元網目空隙構造を有しており、それにより、該多孔質セパレーターに、イオンが通過可能な孔が形成されてなるものである。
〈スルホン酸基含有ポリマー〉
本発明のスルホン酸基含有ポリマーとしては従来公知のものが好ましく用いられる。具体例としては、重合単位として、スルホン酸基含有モノマーを約50〜100質量%、好ましくは約80〜約100質量%含む。前記スルホン酸基含有モノマーの適当な例としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドエタンスルホン酸、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸、及び2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸等が挙げられる。
本発明のスルホン酸基含有ポリマーの好ましい数平均分子量は五千以上、五百万以下であり、より好ましくは七千以上、百万以下、特に好ましくは一万以上、三十万以下である。分子量はポリスチレンを標準物質として、一般的に知られているゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定、算出した。
本発明のスルホン酸基含有ポリマーの具体例を下記に示す。本発明はこれらに限定されない。
Figure 2012048935
(一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマー)
本発明の一般式(1)で表される繰り返し単位において、Rは水素原子、メチル基を表す。また、Qは−C(=O)O−、−C(=O)NRa−を表し、Raは水素原子、アルキル基を表す。アルキル基は、炭素原子数1〜5の直鎖、或いは分岐のアルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。また、これらのアルキル基はさらに置換基で置換されていてもよい。好ましい置換基としては、水酸基が挙げられる。
Aは置換或いは無置換のアルキレン基、またアルキレンオキシアルキレン基を表す。アルキレン基は、炭素原子数1〜5が好ましく、より好ましくはエチレン基、プロピレン基である。これらのアルキレン基はさらに置換基で置換されていてもよい。好ましい置換基としては水酸基が挙げられる。またアルキレンオキシアルキレン基においてはアルキレンオキシ単位を二個以上含んだものも含むものとする。
また、本発明の一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーは一般式(1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。
本発明の一般式(1)で表される繰り返し単位に対する一般式(1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位のモル比は、10〜100%が好ましく、より好ましくは30〜80%であり、特に好ましくは30〜70%である。
本発明の一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーは、水溶性であることが好ましく、特に水に対して10質量%以上溶解することが好ましい。
本発明の一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーは汎用的な重合触媒を用いたラジカル重合により得ることができる。重合様式としては、塊状重合、溶液重合、縣濁重合、乳化重合等が挙げられ、好ましくは溶液重合である。重合温度は、使用する開始剤によって異なるが、一般に−10〜250℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜100℃で実施される。
本発明の一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーの好ましい数平均分子量は三千以上、五百万以下であり、より好ましくは四千以上、五十万以下であり、特に好ましくは五千以上、十万以下である。分子量はポリスチレンを標準物質として一般的に知られているゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定、算出した。
次に、本発明の一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーの合成例を示す。
合成例1(P−1の合成):実施例
200ml三口フラスコにTHF(テトラヒドロフラン)100mlを加え10分間加熱還流させた後、窒素下で室温に冷却した。2−ヒドロキシエチルアクリレート(4.1g、35mmol、分子量:116.05)、ブレンマーPME−900(7.4g、15mmol、分子量496.29)、AIBN(0.8g、5mmol、分子量164.11)を加え、5時間加熱還流した。室温に冷却した後、3000mlのMEK(メチルエチルケトン)中に反応溶液を滴下し、1時間攪拌した。MEKをデカンテーション後、100mlのMEKで3回洗浄後、THFでポリマーを溶解し、100mlフラスコへ移した。THFをロータリーエバポレーターにより減圧留去後、50℃で3時間減圧乾燥した。その結果、数平均分子量33700、分子量分布2.4のP−1を10.3g(収率90%)得た。
分子量はGPC(Waters 2695,Waters社製)で測定した。また、分子量分布は、同じくGPCにより重量平均分子量を測定し、重量平均分子量÷数平均分子量により算出した。
〈GPC測定条件〉
装置:Waters 2695(Separations Module)
検出器:Waters 2414(Refractive Index Detector)
カラム:Shodex Asahipak GF−7M HQ
溶離液:ジメチルホルムアミド
流速:1.0ml/min
温度:40℃
合成例2(P−2の合成):実施例
モノマーとしてブレンマーAE−90(5.60g、35mmol、分子量160.07)、メトキシエチルアクリレート(1.95g、15mmol、分子量130.06)を用いた以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量29200、分子量分布2.6のP−2を6.64g(収率88%)得た。
合成例3(P−3の合成):実施例
モノマーとしてブレンマーAE−200(9.95g、35mmol、分子量284.16)、メトキシエトキシエチルアクリレート(2.61g、15mmol、分子量174.09)を用いた以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量31700、分子量分布2.1のP−3を10.6g(収率84%)得た。
合成例4(P−4の合成):実施例
モノマーとしてブレンマーPP−500(21.3g、35mmol、分子量608.41)、ブレンマーPME−200(4.14g、15mmol、分子量276.16)を用いた以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量33200、分子量分布2.7のP−4を22.1g(収率87%)得た。
合成例5(P−5の合成):実施例
モノマーとしてブレンマーGLM(5.11g、35mmol、分子量146.06)、メトキシエチルアクリレート(1.95g、15mmol、分子量130.06)を用いた以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量23100、分子量分布2.7のP−5を6.42g(収率91%)得た。
合成例6(P−6の合成):実施例
500ml三口フラスコにTHF(テトラヒドロフラン)200mlを加え10分間加熱還流させた後、窒素下で室温に冷却した。2−ヒドロキシエチルアクリレート(10.0g、86mmol、分子量:116.05)、AIBN(1.41g、8.5mmol、分子量164.11)を加え、5時間加熱還流した。室温に冷却した後、5000mlのMEK(メチルエチルケトン)中に反応溶液を滴下し、1時間攪拌した。MEKをデカンテーション後、200mlのMEKで3回洗浄後、THFでポリマーを溶解し、100mlフラスコへ移した。THFをロータリーエバポレーターにより減圧留去後、50℃で3時間減圧乾燥した。その結果、数平均分子量35700、分子量分布2.3のP−6を2.6g(収率87%)得た。
(無機微粒子)
本発明に係る無機微粒子としては、酸化物〔例えば、LiO、BeO、B、NaO、MgO、Al、SiO、P、CaO、Cr、Fe、ZnO、ZrO及びTiO等〕、ゼオライト〔M2/nO・Al・xSiO・yHO(式中、MはNa、K、Ca及びBa等の金属原子、nは金属陽イオンMn+の電荷に相当する数、x及びyはSiO及びHOのモル数であり2≦x≦10、2≦y≦10)〕、窒化物〔例えば、BN、AlN、Si及びBa等〕、炭化ケイ素(SiC)、ジルコン(ZrSiO)、炭酸塩〔例えば、MgCO及びCaCO等〕、硫酸塩〔例えば、CaSO及びBaSO等〕及びこれらの複合体〔例えば、磁器の一種である、ステアタイト(MgO・SiO)、フォルステライト(2MgO・SiO)及び、コージェライト(2MgO・2Al・5SiO)〕が挙げられる。
一般に、無機微粒子としては硬度の高いものを用いるのが好ましい。そのような粒子を用いると活物質層の体積が膨脹するなどしてセパレーターに圧力が加わっても粒子が変形しないためセパレーターの空隙が潰されるといった不利がない。そのため電解質が存在できる部分が常に確保されるためイオン伝導性が低下することがなく、電池の耐熱性が向上する。
上記無機微粒子の粒径としては、平均粒径が5nm〜100μmであることが好ましく、5nm〜10μmであることがより好ましく、5nm〜1μmであることが更に好ましい。
(多孔質セパレーターの製造方法)
本発明に係る多孔質セパレーターは、スルホン酸基含有ポリマー、無機微粒子、一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーを含有する分散液からなる塗布液(以下本発明の塗布液という)を、後述する電極の活物質層上に直接塗布乾燥して得られる。
本発明の塗布液を調製する方法に特に制限はなく、塗布液の物理的、化学的性質を考慮して公知の分散方法から適切な手法を選択すればよい。
例えば、分散液の粘度が高い場合は、攪拌時の泡の混入を防止するために、真空脱泡しながら攪拌することが好ましい。
分散塗布液中のスルホン酸基含有ポリマー、無機微粒子、一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーの配合総量は分散塗布液全体に対して5質量%〜50質量%が好ましく、特に10質量%〜40質量%が好ましい。
無機微粒子の配合量は分散塗布液全体に対して1質量%〜40質量%が好ましく、特に10質量%〜30質量%が好ましい。
スルホン酸基含有ポリマーの配合量は分散塗布液全体に対して1質量%〜10質量%が好ましく、特に5質量%〜10質量%が好ましい。
一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーの配合量は分散塗布液全体に対して1質量%〜10質量%が好ましく、特に5質量%〜10質量%が好ましい。
分散に用いる分散媒は分散液を調製できるものであれば特に制限はないが、水、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジオキソラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。この中で水が最も好ましい。
分散塗布液の塗布方法には特に制限はなく、従来公知の塗布方法を用いて、塗布し塗膜を形成すればよい。好ましく用いることができる塗布方法としては、ドクターブレードコート、ダイコート、グラビアコート、マイクログラビアコート、ロールコートなどが挙げられる。
塗膜の乾燥は、温風、赤外線、マイクロ波等を用いることができる。乾燥温度としては60℃以上、200℃以下が好ましい。その中でも赤外線の照射により加熱する方法が、耐熱性の面で、特に好ましい方法である。赤外線を照射する場所は分散塗布液を塗工した面からでも、裏面からでもよいが、裏面から赤外線照射すると集電体に吸収もしくは反射されてしまうため、好ましくは分散塗布液を塗工した面から赤外線照射によって乾燥することが好ましい。赤外線源の例としては、たとえば通常の赤外線ランプの他に、キセノンフラッシュランプ、キセノンランプ、キセノンショートアークランプ、近赤外線ハロゲンヒーター、赤外LED、赤外線レーザー等を挙げることができる。好ましくはキセノンフラッシュランプ、キセノンランプ、近赤外線ハロゲンヒーター、赤外LED、波長700から1500nmの赤外線を放射する固体レーザーまたは半導体レーザーである。さらに補助的に別の赤外線源を用いても良い。赤外線乾燥装置として用いられる遠赤外線ヒーターとしては、パネル状、管状、ランプ状のものが用いられる。
本発明に係る多孔質セパレーターが、特に良好な耐熱性と耐衝撃性を示す理由は明確ではないが、塗布された分散液が乾燥される過程で、特に赤外線の照射による乾燥の場合、厚み方向により均一に昇温されるためポリマーと無機微粒子分散液の粘度が全体にわたってより均一に上昇し、さらにポリマー間の脱水架橋反応が進行するため、無機微粒子同士がより密に絡み合い耐熱性を有する多孔質膜(多孔質セパレーター)が形成され、また活物質層との接着がより均一で強固となるためと推測される。
塗布する塗膜の厚さは、特に制限はなく、作製された多孔質膜である多孔質セパレーターが十分な機械的強度を有し、かつ、二次電池の電極として用いた際に良好なイオン伝導性を有していればよい。
好ましい多孔質セパレーターの厚みとしては、乾燥後に2μm〜40μmの範囲内にあることであり、より好ましくは4μm〜30μmである。上記の範囲内に入るように多孔質膜を形成することで、十分な機械的強度を有し、かつ、良好なイオン伝導性を有する多孔質セパレーターを形成することができる。
多孔質膜の平均空孔径は、出力と、耐熱性の面から10nm〜500nmであることが好ましく、より好ましくは50nm〜300nmである。
多孔質膜(多孔質セパレーター)の平均空孔径は窒素吸着法により孔径分布測定機(例えば、ベックマンコールター社製、OMNISORP 100CX)を用いて測定することができる。−196℃で窒素の吸着−脱離等温線を測定し、吸着等温線(脱離側)を用いて空孔径分布を求め、該吸着等温線から平均空孔径を算出できる。なお本発明では電極活物質自身も多孔質膜であるため、電極のみの測定も行い、両者の差分を取ることで平均空孔径が得られる。
平均空孔径は、用いるポリマー種と無機微粒子直径、分散液の濃度、及び下記するプレス加工などにより調整することができる。本発明においては、ロールプレス加工を施したものが好適に使用できる。
ロールプレス加工は、例えば、金属ロール、弾性ロール、加熱ロール等を用いて行なう。プレスを行う際には定位プレス、定圧プレスいずれを行っても良い。加圧の際の圧力は、多孔質膜(多孔質セパレーター)の均質性、機械的損傷防止の面から、線圧で100〜700kg/cmとすることが好ましく、特に好ましい圧力は、200〜550kg/cmである。
多孔質セパレーターを圧延する一対のプレスロールの間隙は、集電体厚さ以上、且つ、集電体厚さと電極活物質層、多孔質膜(多孔質セパレーター)の厚さとの和よりも小さい距離に調節することが好ましい。
多孔質セパレーターは、一回のプレスで所定の厚さにしてもよく、均質性を向上させる目的で数回に分けてプレスしてもよい。また、ロールの温度は、特に限定されるものではなく、室温から200℃までの温度に加温して使用される。プレス速度としては、0.1〜50m/分が好ましい。
本発明においては、上記の多孔質セパレーターの形成と、活物質層の形成とを同時に行なってもよい。例えば、所謂重層塗布により塗布膜を形成し、乾燥することにより多孔質セパレーターと活物質層とを同時に形成することができ、本発明においては好ましい態様である。
(リチウムイオン二次電池)
本発明で好ましく用いられるリチウムイオン二次電池は正極活物質を有する正極、負極活物質を有する負極、非水系電解質、及び本発明の多孔質セパレーターを含有することを特徴とする。
(正極及び負極)
本発明で好ましく用いられる正極は、集電体上に正極活物質を有し、負極は、集電体上に負極活物質を有する。
「集電体」
本発明で好ましく用いられる集電体としては、二次電池において化学的に安定な電子伝導体が用いられる。正極に用いることのできる集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの金属板などの他に、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させ、これを含有または被覆させた合金を好ましく用いることができる。その中でも、アルミニウム、およびアルミニウム合金がより好ましく用いることができる。
負極に用いられる集電体としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、銅あるいは銅合金がより好ましい。
集電体の形状としては、通常フィルムシート状のものが使用されるが、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。前記集電体の厚みとしては、特に限定されないが、1〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
(正極活物質)
正極活物質としては、無機系活物質、有機系活物質又は両者の複合体のいずれも好ましく用いることができる。無機系活物質、又は無機系活物質と有機系活物質の複合体を用いることで、電池のエネルギー密度が大きくなるため、特に好ましく用いることができる。
好ましく用いることの出来る無機系活物質としては、金属酸化物、複酸化物、リン酸物、ケイ酸物、ホウ酸物が挙げられる。
正極活物質として用いることのできる金属酸化物、複酸化物としては、Li0.3MnO、LiMn12、V、LiCoO、LiMn、LiNiO、LiFePO、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、Li1.2(Fe0.5Mn0.50.8、Li1.2(Fe0.4Mn0.4Ti0.20.8、Li1+x(Ni0.5Mn0.51−x、LiNi0.5Mn1.5、LiMnO、Li0.76Mn0.51Ti0.49、LiNi0.8Co0.15Al0.05、Feなどが挙げられる。これらの化学式中、xは0〜1の範囲である。
正極活物質として用いることのできるリン酸物、ケイ酸物、ホウ酸物としては、LiFePO、LiCoPO、LiMnPO、LiMPOF(M=Fe,Mn)、LiMn0.875Fe0.125PO、LiFeSiO、Li2−xMSi1−x(M=Fe,Mn)、LiMBO(M=Fe,Mn)などがあげられる。なお、これらの化学式中、xは0〜1の範囲である。さらに、FeF、LiFeF、LiTiFなどの金属フッ化物、LiFeS、TiS、MoS、FeS等の金属硫化物、およびこれらの化合物とリチウムの複合酸化物も正極活物質として用いることができる。
有機系活物質としては、導電性高分子、硫黄系正極材料、有機ラジカル化合物が挙げられる。
正極活物質として用いることのできる導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンが挙げられる。有機ジスルフィド化合物、有機イオウ化合物DMcT(2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール)、ベンゾキノン化合物PDBM(ポリ2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン−3,6−メチレン)、カーボンジスルフィド、活性硫黄等の硫黄系正極材料、有機ラジカル化合物等が用いられる。
正極活物質の表面は、無機酸化物によって被覆されていることが電池の寿命を延ばす点で好ましい。無機酸化物を被覆する方法としては、正極活物質の表面にコーティングする方法が好ましく、コーティングする方法としては、ハイブリタイザーなどの表面改質装置を用いてコーティングする方法などが挙げられる。表面被覆に用いることのできる無機酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、酸化チタンの酸化物、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸鉛、γ−LiAlO、LiTiO等が挙げられ、特に酸化ケイ素によって被覆することが好ましい。
(負極活物質)
負極活物質は、特に制限は無く公知の負極活物質が利用できる。本発明の二次電池に好ましく用いることのできる負極活物質としては、黒鉛やスズ合金と結着剤の混合物、シリコン薄膜、リチウム箔が挙げられる。
黒鉛やスズ合金と結着剤の負極活物質は、黒鉛やスズ合金などの粉末とスチレンブタジエンゴムやポリフッ化ビニリデンなどの結着剤と混合したペーストを乾燥させることにより得ることができる。シリコン薄膜の負極活物質は、集電体上にシリコン薄膜を物理蒸着(スパッタリング法や真空蒸着法など)することにより得ることができる。シリコン薄膜の負極活物質層の厚さに特に制限はないが、3〜5μm程度であることが好ましい。リチウム箔の負極活物質は、集電体に厚さ10〜30μmのリチウム箔を貼合させたものを用いることができる。高容量化が可能であり、電極合材を必須としないことから、シリコン系薄膜負極やリチウム金属負極からなる負極活物質を用いることが好ましい。
「活物質層添加剤」
活物質層は、上記正極活物質または負極活物質を含有するが、さらに導電剤および結着剤を含有することが好ましく、その他の材料として、フィラー、リチウム塩、非プロトン性有機溶媒等が添加されていても良い。
導電剤は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば、特に制限はない。本発明で好ましく用いることのできる導電剤としては、天然黒鉛、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体などから選ばれる1種の導電性材料、または2種以上の混合物があげられる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの混合物を用いることが特に好ましい。
導電剤の添加量としては、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2〜15質量%が特に好ましい。
結着剤は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない材料であれば特に制限はない。このような結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂およびゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、例えば、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンがあげられる。
これらの結着剤の中でも、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。本発明で用いることのできる結着剤は、一種単独または二種以上を混合して用いることができる。結着剤の添加量が少ないと、電極合剤の保持力・凝集力が弱くなる。多すぎると電極体積が増加し、電極単位体積あるいは単位質量あたりの容量が減少する。このような理由で、結着剤の添加量は1〜30質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
フィラーは、本発明の二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば、何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜30質量%が好ましい。
「電極の作製方法」
本発明の二次電池は、シート型、角型、シリンダー型などいずれの形状にも適用でき、電極の形状も用いられる二次電池の形状に合わせて、最適な形状を選択することができる。
正極活物質からなる層および負極活物質からなる層は、集電体の上に設けられる。正極活物質層および負極活物質層は、集電体の片面に設けても、両面に設けても良く、両面に設けた電極を用いることがより好ましい。
正極板に対する負極板の大きさの割合に特に制限はない。好ましい正極板の面積は、負極板の面積1に対し、0.9〜1.1が好ましく、0.95〜1.0が特に好ましい。
電極は、活物質を含有する塗布液を集電体表面に塗布し、乾燥し、さらにプレスして、活物質層を形成することで得られる。
塗布液としては、例えば、必要に応じ、上記導電助剤、バインダーおよびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、水、トルエンなどの分散媒を含むスラリー状の塗布液が用いられる。
塗布方法としては、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法およびスクイーズ法が挙げられる。その中でも、ブレード法、ナイフ法およびエクストルージョン法が好ましい。また、塗布速度は、0.1〜100m/分で行われることが好ましい。この際、塗布液の溶液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選定することにより、良好な塗布層の表面状態を得ることができる。塗布液の塗布は、片面ずつ逐時でも、両面同時に行ってもよい。
さらに、塗布液の塗布は、連続でも間欠でもストライプでもよい。活物質層の厚み、長さおよび巾は、電池の形状や大きさにより適宜決められる。好ましい活物質層の厚みは、乾燥後の片面膜厚が1〜2000μmの範囲にあることが好ましい。
塗布により形成された活物質層の乾燥および脱水方法としては特に制限はなく、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線および低湿風を、単独あるいは組み合わせた方法を用いることできる。乾燥温度は80〜350℃が好ましく、100〜250℃がより好ましい。また、形成された活物質層は圧着して、密着性および活物質層の密度を高めることが好ましい。活物質層の圧着方法は、一般に採用されている方法を用いることができるが、特にロールプレス法が好ましい。プレス圧は特に限定されないが、20〜300MPaが好ましい。プレス速度としては、0.1〜50m/分が好ましく、プレス時の温度は室温〜200℃が好ましい。
(非水系電解質)
本発明で好ましく用いられる非水系電解質とは、有機の媒質に溶けて、その溶液がイオン伝導性を示す物質をいう。
本発明ではLiイオンを含む電解質塩を含有する。Liイオン以外のカチオンとしては周期律表I族又はII族の金属イオンを含むことが可能であり、ナトリウム塩、カリウム塩が特に好ましく用いられる。
電解質塩のアニオンとしては、ハロゲン化物イオン(I、Cl、Br等)、SCN、BF 、PF 、ClO 、SbF 、(FSO、(CFSO、(CFCFSO、Ph、(C、(CFSO、CFCOO、CFSO 、CSO 等が挙げられる。これらのアニオンの中でも、SCN、BF 、PF 、ClO 、SbF 、(FSO、(CFSO、(CFCFSO、(CFSO、CFSO がより好ましい。
本発明で好ましく用いることのできる電解質塩としては、LiCFSO、LiPF、LiClO、LiI、LiBF、LiCFCO、LiSCN、LiN(SOCF、LiN(SOF)、NaI、NaCFSO、NaClO、NaBF、NaAsF、KCFSO、KSCN、KPF、KClO、KAsFなどが挙げられる。更に好ましくはLiCFSO、LiPF、LiPFn(C(2k+1)(6−n)(n=1〜5、k=1〜8の整数)、LiClO、LiI、LiBF、LiCFCO、LiSCN、LiN(SOCFおよびLiN(SOF)等のリチウム塩が挙げられ、最も好ましくは、LiPF、LiBF、LiPF(C(2k+1)(6−n)、LiN(SOCFおよびLiN(SOから選ばれるリチウム塩である。これらの電解質塩は一種または二種以上を混合してもよいが、少なくとも一種は、上述したイオン液体と同じアニオンを用いるのが好ましい。
「有機の媒質」
本発明で用いられる有機の媒質は、セパレーターを変形・溶解せず、電解質塩を溶解し、かつ電解質となりうる媒質であれば特に制限はない。
具体的には、カーボネート化合物、複素環化合物、エーテル化合物、鎖状エーテル類、ニトリル化合物、エステル類などが挙げられる。
カーボネート化合物としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートが挙げられる。複素環化合物としては、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどが挙げられる。エーテル化合物としては、ジオキサン、ジエチルエーテルが挙げられる。鎖状エーテル類としては、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。ニトリル化合物としては、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルが挙げられる。エステル類としては、カルボン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステルが挙げられる。また、これらの有機の媒質は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの有機の媒質の中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、3−メチル−2−オキサゾリジノン、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルが特に好しく用いることができる。
有機の媒質としては、耐揮発性による耐熱性向上の観点から、常圧(1気圧)における沸点が200℃以上のものが好ましく、250℃以上のものがより好ましく、270℃以上のものが更に好ましい。
本発明では、より安全性を高める目的でイオン液体を用いることができる。用いることのできるイオン液体は、塩化ナトリウムなどの通常の塩に比べ、非常に低い融点を有しているものであれば特に制限はない。本発明で用いられるイオン液体の融点は、80℃以下であることが好ましく、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは30℃以下のいわゆる常温溶融塩である。本発明で好ましく用いることのできるイオン液体としては、アルキルアンモニウム塩、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩などが挙げられる。特に好ましくは、下記一般式(2)で表されるイミダゾリウム塩が挙げられる。
Figure 2012048935
上記一般式(2)中、RおよびRは、それぞれ独立に、置換基を有していても良い炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、エーテル基、もしくはアルデヒド基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を示し、Xは一価のアニオンを表し、具体的には塩素、臭素、ヨウ素、BF 、BF 、PF ,NO 、CFCO 、CFSO 、(FSO、(CFSO、(CFSO、(CSO、AlCl 、AlCl などが挙げられる。
一般式(2)で示される化合物の具体例としては、例えば、1−イソプロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニル塩、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニル塩、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニル塩、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニル塩、1−オクチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニル塩、および、上記ビストリフルオロメタンスルホニルアニオン部分をそれぞれビスフルオロスルホニルアニオンにした塩等が挙げられ、中でもイオン導電率の点で1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニル塩が好ましく用いることができる。
本発明において、電解液中の支持電解質塩の存在量は、5〜40質量%とすることが好ましく、特に、10〜30質量%の範囲になるように調整することが好ましい。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明に係るセパレーターの一つの面に前記正極活物資層を有し、他の面に負極活物質層を有する積層体構造を有し、多孔質セパレーターは下述する支持電解質塩を含有する電解液を含浸する。積層体構造としては、単に一層積層された形態に限定されるものでなく、この積層体構造を複数有する多層積層体構造、集電体の両面に積層したものを組み合わせた形態、さらにこれらを巻回した形態が挙げられる。本発明の二次電池の用途は、特に限定されない。一例としては、電子機器としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどに用いることができる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
以下本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって、何ら限定されるものではない。尚、実施例において、「部」或いは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」或いは「質量%」を表す。
(セパレーター作成用分散液1の作成;特許第3253632号公報の実施例1)
〔使用材料〕
無機微粒子:平均粒径0.5μmのα−Al(粒子A)
樹脂バインダー:フッ素ゴム(商品名ミラフロン、旭化成工業(株)製)
溶媒:酢酸エチルとエチルセロソルブの体積比1:3の混合溶媒
上記のミラフロンを酢酸エチルとエチルセロソルブの混合溶媒に溶解させて4.3質量%のミラフロン溶液を調製し、このミラフロン溶液にα−Al粉体を混合して固形分率45.3質量%のスラリーを得た。
(セパレーター作成用分散液2の作成;特許第3253632号公報の実施例2)
〔使用材料〕
無機微粒子:平均粒径1.0μmのα−Al(粒子B)
樹脂バインダー:ポリフッ化ビニリデン(PVDA)KF#1100(呉羽化学工業(株)製)
溶媒:1−メチル−2−ピロリドン(NMP)
上記のα−Al粉体とPVDA粉体を質量比100:5で粉体状態のまま混合し、それにNMPを加えてさらに混合し、固形分率56.8質量%のスラリーを得た。
(セパレーター作成用分散液3の作成;特許第3253632号公報の実施例4)
〔使用材料〕
無機微粒子:SiO/Al=29の分子数比のゼオライト(粒子C)
樹脂バインダー:ポリフッ化ビニリデン(PVDA)KF#1100(呉羽化学工業(株)製)
溶媒:1−メチル−2−ピロリドン(NMP)
上記のゼオライト粉体とPVDA粉体を質量比100:5で粉体状態のまま混合し、それにNMPを加えてさらに混合し、固形分率55.0質量%のスラリーを得た。
(セパレーター作成用分散液4の作成;本発明)
〔使用材料〕
無機微粒子:平均粒径1.0μmのβ−Al(粒子D)
樹脂バインダー:SP−1、P−6
溶媒:1−メチル−2−ピロリドン(NMP)
上記のβ−Al、SP−1、及びP−6粉体を質量比80:5:5で粉体状態のまま混合し、それに水を加えてさらに混合し、固形分率56.8質量%のスラリーを得た。さらに、無機微粒子、樹脂バインダー、及び固形分比を表1に記載したものに変更した以外はセパレーター作成用分散液4と同様にして、セパレーター作成用分散液5〜15を作成した。
(電極の作成)
以下の方法に従って、正電極及び負電極を作成した。
(正電極の作成)
90部のリン酸鉄リチウム(LiFePO)と、6部のグラファイト粉末を混合した粉末に、4部のポリフッ化ビニリデン(PVDA)KF#1100(呉羽化学工業(株)製)と1−メチル−2−ピロリドンとを加え、スラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μmの銅箔の両面に乾燥後の厚みが100μmの厚さとなるように塗布した。この負電極前駆体を130℃で5分間乾燥後、ロールプレスすることにより負電極を作成した。
(負電極の作成)
96部のグラファイト、2部のスチレンブタジエン共重合体ラテックス、2部のカルボキシメチルセルロース及び水を混合し、スラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μmの銅箔の両面に乾燥後の厚みが100μmの厚みとなるように塗布した。この負電極前駆体を130℃で5分間温風乾燥後、ロールプレスすることにより負電極を作成した。
(リチウムイオン二次電池セル1〜15の作成)
負電極上の両面にセパレーター作成用分散液1を乾燥後の厚みが20μmになるようにダイコータにて塗布した後に、分散塗布液を塗工した面から遠赤外線ヒーターを用いて、表面温度130℃で30分間乾燥し、多孔質膜(多孔質セパレーター)を形成し、負電極のセパレーター付き二次電池用電極を得た。
続いて、正電極、前記負電極それぞれの未塗布部に電流端子(タブ)を超音波溶接した後に、正電極を該負電極上に重ね、巻回機にて巻き回してから円筒缶に入れた。これを120℃で減圧乾燥後、酸素濃度10ppm以下、露点−60℃以下の乾燥空気で満たされたドライブース内で、この円筒缶にエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)が体積比率3:7の混合溶媒にLiPFが1mol/Lの濃度で溶解された電解液を注入し、封口してリチウムイオン二次電池セル1を製造した。
リチウムイオン二次電池セル1の製造において、セパレーター作成用分散液1を2〜15に代えた以外は、リチウムイオン二次電池セル1と同様にして、表1に記載のリチウムイオン二次電池セル2〜15を作成した。
(出力特性の評価)
得られた二次電池セル23℃の環境下において、電圧2.0V〜4.0Vの範囲で、それぞれ理論容量に対して12分間で充電が終わるレートの電流(5C)で充放電をおこない、0.2Cで充放電を行ったときの容量保持率について以下のランクで評価した。
◎:95%以上の容量を保持
○:90%以上、95%未満の容量を保持
△:80%以上、90%未満の容量を保持
×:80%未満の容量を保持
(耐熱性の評価)
得られた二次電池セルを300℃の恒温槽にて1分間加熱し、自然放冷したのち、23℃の環境下において、電圧2.0V〜4.0Vの範囲で、それぞれ理論容量に対して12分間で充放電が終わるレートの電流(5C)で充放電を行い、0.2Cで充放電を行った時の容量保持率について以下のランクで評価した。
◎:90%以上の容量を保持
○:85%以上、90%未満の容量を保持
△:75%以上、85%未満の容量を保持
×:75%未満の容量を保持
(耐衝撃性の評価)
得られた二次電池セルを20Gで、50Hzのパルス幅の振動を10時間加える振動試験に供した。振動試験前の放電容量に対する振動試験後の放電容量の比を百分率値として表した値を放電容量比として以下のランクで評価した。
◎:95%以上の容量を保持
○:90%以上、95%未満の容量を保持
△:80%以上、90%未満の容量を保持
×:80%未満の容量を保持
評価結果を表1に示す。
Figure 2012048935
表1から、本発明の多孔質セパレーターを用いたリチウムイオン二次電池は高出力を維持し、耐熱性、及び耐衝撃性に優れていることがわかった。

Claims (3)

  1. スルホン酸基含有ポリマー、無機微粒子、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーを含有することを特徴とする多孔質セパレーター。
    Figure 2012048935
    〔式中、Rは水素原子、メチル基を表し、Qは−C(=O)O−、−C(=O)NRa−を表す。Raは水素原子、アルキル基を表し,Aは置換或いは無置換のアルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基を表す。〕
  2. 請求項1に記載の多孔質セパレーターを含むリチウムイオン二次電池であって、正極活物質層を有する正極、負極活物質層を有する負極およびリチウムイオンを含む非水系電解質を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  3. 請求項1に記載の多孔質セパレーターの製造方法であって、リチウムイオン二次電池の正極または負極の活物質層上に塗布し、次に加熱乾燥することにより形成することを特徴とする多孔質セパレーターの製造方法。
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