JP2012042009A - クラッチカバー組立体 - Google Patents

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Abstract

【課題】クラッチカバー組立体において、摩耗量検出機構の作動を安定化させ、常に正確な摩耗補償を行うことができるようにする。
【解決手段】本クラッチカバー組立体1は、フライホイールに固定されるクラッチカバー2と、プレッシャプレート3と、ダイヤフラムスプリング5と、摩耗量検出機構6と、摩耗追従機構7と、を備えている。摩耗量検知機構6は、当接部材14と、対向部材16と、くさび部材15とを、有している。当接部材14は、プレッシャプレート3に装着され、フライホイールに当接する。対向部材16は、当接部材14に装着され、プレッシャプレート3に対向する。くさび部材15は、対向部材16とプレッシャプレート3との間に嵌り込み、摩擦部材の摩耗量に応じて円周方向に移動する。摩耗追従機構7は、くさび部材15の移動量に応じて、押圧部材5を初期姿勢側に移動させる。
【選択図】図5

Description

本発明は、クラッチカバー組立体、特に、エンジンのフライホイールにクラッチディスク組立体の摩擦部材を押し付け及び押し付け解除するためのクラッチカバー組立体に関する。
クラッチカバー組立体は、一般に、エンジンのフライホイールに装着され、エンジンの駆動力をトランスミッション側に伝達するために用いられている。このようなクラッチカバー組立体は、主に、クラッチカバー、プレッシャプレート及びダイヤフラムスプリングを備えている。クラッチカバーはフライホイールに固定される。プレッシャプレートは、ダイヤフラムスプリングによってフライホイール側に押圧され、クラッチディスク組立体の摩擦部材をフライホイールとの間に挟持する。ダイヤフラムスプリングは、プレッシャプレートを押圧する機能とともに、プレッシャプレートへの押圧を解除するためのレバー機能も有している。
ここで、ダイヤフラムスプリングの荷重特性に起因して、クラッチディスク組立体の摩擦部材の摩耗が進むと摩擦部材への押付荷重が大きくなる。このため、摩擦部材が摩耗すると、レリーズ操作をするために大きな荷重が必要となり、クラッチペダル踏力が大きくなってしまう。
そこで、例えば特許文献1に示されるように、摩擦部材が摩耗した場合でも、ダイヤフラムスプリングの姿勢を初期状態に戻すことによって、押付荷重が大きくなるのを抑えるようにした摩耗補償機構が提供されている。この摩耗補償機構は、主に、プレッシャプレートとダイヤフラムスプリングとの間に配置されたファルクラムリングと、ファルクラムリングをプレッシャプレートから離れる方向に付勢する付勢機構と、摩擦部材の摩耗量を検出する摩耗量検出機構と、を有している。ここでは、ダイヤフラムスプリングはファルクラムリングを介してプレッシャプレートを押圧可能になっており、摩擦部材の摩耗量に応じて、ファルクラムリングをプレッシャプレートから離れる側に移動させることにより、ダイヤフラムスプリングが初期のセット姿勢に維持される。
また、振動による摩耗量検出機構の作動の不安定さを改善するために、特許文献2に示される摩耗補償機構も提供されている。ここでは、振動を吸収するためのコーンスプリングを摩耗量検出機構に設け、摩耗補償のための作動の安定化を図るようにしている。
特開平10−227317号公報 特開2003−28193号公報
以上のような摩耗補償機構においては、摩耗量を精度良く検出することが重要である。特許文献1及び2では、ブシュ及びこのブシュを貫通するボルトによって摩耗量検出機構が構成されており、摩耗に応じて生じる両者の隙間によって摩耗量が検出されるようになっている。しかし、以上のような従来の構成では、エンジン振動等に伴う各部の振動によって摩耗量を示す隙間が変化するおそれがあり、安定して正確な摩耗補償を行うことは困難である。
本発明の課題は、摩耗量検出機構の作動を安定化させ、常に正確な摩耗補償を行うことができるようにすることにある。
請求項1に係るクラッチカバー組立体は、エンジンのフライホイールにクラッチディスク組立体の摩擦部材を押し付け及び押し付け解除するためのものである。
このクラッチカバー組立体は、フライホイールに固定されるクラッチカバーと、プレッシャプレートと、押圧部材と、摩耗量検知機構と、摩耗追従機構とを、備えている。プレッシャプレートは、フライホイールに摩擦部材を押圧するための部材であり、クラッチカバーに相対回転不能に連結される。押圧部材は、プレッシャプレートをフライホイール側に押圧するための部材であり、クラッチカバーに支持される。摩耗量検知機構は、当接部材と、対向部材と、くさび部材とを、有している。当接部材は、プレッシャプレートに装着され、フライホイールに当接する。対向部材は、当接部材に装着され、プレッシャプレートに対向する。くさび部材は、対向部材とプレッシャプレートとの間に嵌り込み、摩擦部材の摩耗量に応じて円周方向に移動する。摩耗追従機構は、くさび部材の移動量に応じて、押圧部材を初期姿勢側に移動させる。
このクラッチカバー組立体では、摩擦部材の摩耗量は摩耗量検出機構によって検出される。摩耗量検出機構では、プレッシャプレートに装着された当接部材が、フライホイールに当接した状態において、くさび部材が、当接部材に装着された対向部材と、プレッシャプレートとの間に嵌り込んでいる。そして、このくさび部材は、摩擦部材の摩耗量に応じて、円周方向に移動する。すなわち、くさび部材は、摩擦部材の摩耗量に応じて円周方向に移動するとともに、対向部材とプレッシャプレートとの間に嵌り込んだ状態で保持される。このように、本発明では、くさび部材が、対向部材とプレッシャプレートとの間に嵌り込んだ状態で保持されるので、振動等が発生しても摩耗量を正確に検出することができる。すなわち、摩耗量検出機構を安定的に作動させ、常に正確な摩耗補償を行うことができる。
請求項2に係るクラッチカバー組立体では、請求項1のクラッチカバー組立体において、摩耗量検知機構が、くさび部材を円周方向に付勢する第1付勢部材を、さらに有している。対向部材及びくさび部材それぞれには、互いに当接して摺動する第1摺動部が形成されている。第1摺動部には、円周方向に沿って傾斜する第1傾斜面が形成されている。第1付勢部材の付勢力によってくさび部材の第1傾斜面を対向部材の第1傾斜面に当接させた状態において、摩擦部材の摩耗量に応じて、第1付勢部材は、くさび部材を円周方向に移動させる。
このクラッチカバー組立体では、第1付勢部材の付勢力によって、くさび部材の第1傾斜面を、対向部材の第1傾斜面に当接させている。また、この状態において、摩擦部材の摩耗量に応じて、第1付勢部材は、くさび部材を円周方向に移動させる。このように、本発明では、第1付勢部材によって、くさび部材を、対向部材とプレッシャプレートとの間で確実に保持することができる。これにより、振動等によってくさび部材がズレにくくなるので、摩耗量検出機構を安定的に作動させ、常に正確な摩耗補償を行うことができる。
請求項3に係るクラッチカバー組立体では、請求項2に記載のクラッチカバー組立体において、くさび部材が、摩擦部材の摩耗量に応じて、プレッシャプレートとともに対向部材から離れる方向に移動し、且つ第1付勢部材によって円周方向に移動することによって、対向部材との嵌り込みを維持する。
このクラッチカバー組立体では、摩擦部材が摩耗すると、プレッシャプレートが対向部材から離れる方向に移動する。すると、くさび部材は、プレッシャプレートとともに対向部材から離れる方向に移動しながら、第1付勢部材の付勢力によって円周方向にも移動する。このように、本発明では、摩擦部材が摩耗し、くさび部材と対向部材との間に隙間が発生すると、この隙間を埋めるように、くさび部材が対向部材とプレッシャプレートとの間に即座に嵌り込むので、振動等の影響を受けづらくなり、摩耗量を正確に検知することができる。すなわち、摩耗量検出機構を安定的に作動させ、常に正確な摩耗補償を行うことができる。
請求項4に係るクラッチカバー組立体では、請求項1から3のいずれかに記載のクラッチカバー組立体において、摩耗追従機構が、ファルクラムリングと、第2摺動部と、第2付勢部材とを、有している。ファルクラムリングは、プレッシャプレートに軸方向に移動自在に支持され、押圧部材によってプレッシャプレート側に押圧される。第2摺動部は、プレッシャプレート及びファルクラムリングそれぞれに形成され、互いに当接して摺動する。第2付勢部材は、ファルクラムリングを円周方向に付勢して、ファルクラムリングをプレッシャプレートに対して相対回転させる。このような摩耗追従機構では、第2摺動部には、円周方向に沿って傾斜する第2傾斜面が形成されている。また、第2付勢部材が、くさび部材の移動量に応じてファルクラムリングを回転させることによって、ファルクラムリングを、プレッシャプレートから離れる方向に移動させる。
このクラッチカバー組立体では、ファルクラムリングは、くさび部材の移動量、すなわち摩擦部材の摩耗量に応じた分だけ、第2付勢部材によって、プレッシャプレートに対して相対回転させられる。ファルクラムリングとプレッシャプレートとは第2傾斜面からなる第2摺動部で当接しているので、ファルクラムリングがプレッシャプレートに対して回転させられると、ファルクラムリングはプレッシャプレートから離れる側に移動する。これにより、摩擦部材が摩耗しても、ファルクラムリングが押圧部材を支持する位置は初期の姿勢と変化しない。このため、押圧荷重特性、ひいてはレリーズ荷重特性を、初期状態のまま維持することができる。
請求項5に係るクラッチカバー組立体では、請求項4に記載のクラッチカバー組立体において、第2摺動部における第2傾斜面の傾斜角度が、第1摺動部における第1傾斜面の傾斜角度より大きくなるように、第2摺動部の第2傾斜面は形成されている。なお、第1摺動部は、対向部材及びくさび部材それぞれに形成され、互いに当接して摺動する部分である。第2摺動部は、プレッシャプレート及びファルクラムリングそれぞれに形成され、互いに当接して摺動する部分である。
このクラッチカバー組立体では、プレッシャプレート及びファルクラムリングそれぞれに形成された第2摺動部における第2傾斜面の傾斜角度が、対向部材及びくさび部材それぞれに形成された第1傾斜面の傾斜角度より大きいので、振動等によってファルクラムリングが元の方向に移動することを規制することができる。これにより、ファルクラムリングのアンダーアジャストを、確実に防止することができる。
請求項6に係るクラッチカバー組立体では、請求項1から5のいずれかに記載のクラッチカバー組立体において、くさび部材及びプレッシャプレートそれぞれには、互いに係合する凹凸部が形成されている。そして、摩擦部材の摩耗量が所定の摩耗量に到達したときに、くさび部材の凹凸部とプレッシャプレートの凹凸部との係合が解除され、くさび部材の凹凸部は、円周方向に隣接するプレッシャプレートの凹凸部に係合する。
このクラッチカバー組立体では、摩擦部材の摩耗量が所定の摩耗量に到達したときに、くさび部材の凹凸部が、円周方向に隣接するプレッシャプレートの凹凸部に係合するので、くさび部材を対向部材とプレッシャプレートとの間で保持することができるとともに、振動等によってくさび部材が元の方向に移動しないように、規制することできる。このように、本発明では、摩耗量検出機構を安定的に作動させ、常に正確な摩耗補償を行うことができる。
本発明では、摩耗量検出機構において、くさび部材が、摩擦部材の摩耗量に応じて円周方向に移動するとともに、対向部材とプレッシャプレートとの間に嵌り込んだ状態で保持されるので、摩耗量検出機構を安定的に作動させ、常に正確な摩耗補償を行うことができる。
本発明の一実施形態によるクラッチカバー組立体の正面図。 前記クラッチカバー組立体の分解斜視図。 プレッシャプレートとファルクラムリングの一部拡大図。 ダイヤフラムスプリングの支持構造を示す部分断面斜視図。 摩耗量検出機構の拡大斜視図。 対向部材を除いた摩耗量検出機構の拡大斜視図。 摩耗量検出機構の構成を示す図。 摩耗量検出機構及び摩耗追従機構の動作を説明するための図。 摩耗量検出機構及び摩耗追従機構の動作を説明するための図。 対向部材を除いた摩耗量検出機構の拡大斜視図(他の実施形態)。
[全体構成]
図1に本発明の一実施形態によるクラッチカバー組立体1の正面図を示す。また、図2にクラッチカバー組立体1の一部を省略した外観斜視図を示す。このクラッチカバー組立体1は、クラッチオン(動力伝達)時には、エンジンのフライホイールに対してクラッチディスク組立体の摩擦部材を押し付け、またクラッチオフ(動力伝達遮断)時にはその押し付けを解除するための装置である。なお、ここでは、フライホイール及びクラッチディスク組立体は省略している。
クラッチカバー組立体1は、主に、クラッチカバー2と、プレッシャプレート3と、複数のファルクラムリング4と、ダイヤフラムスプリング5と、摩耗量検出機構6と、複数のファルクラムリング4を含む摩耗追従機構7と、から構成されている。
[クラッチカバー]
クラッチカバー2は、概ね皿形状のプレート部材であり、外周部が例えばボルトによりフライホイールに固定される。クラッチカバー2は、環状のクラッチカバー本体2aと、外周側の円板状部2bと、内周側の平坦部2cと、を有している。円板状部2bは、クラッチカバー本体2aの外周側に形成され、フライホイールの外周部に固定される。平坦部2cは、クラッチカバー本体2aの内周部から半径方向内側へ延びる平坦な部分である。この平坦部2cには、軸方向に貫通する複数の孔2dが形成されている。
[プレッシャプレート]
プレッシャプレート3は、環状の部材であって、クラッチカバー2のクラッチカバー本体2a内部に配置されている。プレッシャプレート3のフライホイール側(図2において裏側)の面には、クラッチディスク組立体の摩擦部材と摺接する摩擦面(図示しない)が形成されている。また、プレッシャプレート3は、複数のストラッププレート80(図2を参照、図2では1つのみ図示)によって、クラッチカバー2に連結されており、クラッチカバー2に対して、軸方向には移動可能であり、円周方向には相対回転不能である。なお、クラッチ連結状態では、ストラッププレートは軸方向にたわんでおり、このストラッププレートのたわみ(復元力)によって、プレッシャプレート3はフライホイールから離れる側に付勢されている。
また、プレッシャプレート3のトランスミッション側(図2において表側)の面には、図3に示すように、外周側において、円周方向の複数の箇所に、摺動部10が形成されている。詳細には、各摺動部10は、後述する段差部25の底部25aから軸方向外方に突出して形成されている。各摺動部10は、第1円周方向(図3のR1方向)に向かってその高さがより高くなるように傾斜する傾斜面10aを有している。また、図4に示すように、プレッシャプレート3のトランスミッション側の面には、外周側において、段差部25が、円周方向に形成されている。また、プレッシャプレート3のトランスミッション側の面には、外周側において、円周方向の複数の箇所において、ガイド部26が形成されている(図2を参照)。ガイド部26は、段差部25の壁部25bに対向するように、プレッシャプレート3に形成されている。
さらに、プレッシャプレート3には、図5及び図6に示すように、複数のレール部たとえば2組のレール部27が、設けられている。各組のレール部27は、互いに対向して形成された2つの突出部27a,27bを、有している。2つの突出部27a,27bそれぞれは、互いに所定の間隔を隔てた位置において、プレッシャプレート3に設けられている。これら2つの突出部27a,27bの間に、後述するくさび部材15が配置される。
[ファルクラムリング]
複数のファルクラムリング4は、それぞれ円弧状の部材、すなわち、環状の部材を円周方向に分割して形成された部材である。複数のファルクラムリング4は、図3及び図4に示すように、軸方向の第1端側4a(フライホイール側)が、プレッシャプレート3の段差部25の底部25aに配置されている。より具体的には、複数のファルクラムリング4は、プレッシャプレート3の段差部25の壁部25bと、ガイド部26との間において、段差部25の底部25aに配置されている。
また、ファルクラムリング4の第1端4aには、図3から明らかなように、円周方向の複数個所において摺動部11が形成されている。摺動部11は、傾斜面11aを、有している。傾斜面11aは、プレッシャプレート3の段差部25の底部25aに形成された摺動部10の傾斜面10aに当接し、且つ第1円周方向(図3のR1方向)に向かってその高さがより低くなるように傾斜している。また、ファルクラムリング4には、図5に示すように、後述するくさび部材15が係合する係合凹部4cが、形成されている。詳細には、係合凹部4cは、ファルクラムリング4の第1端4aにおいて、半径方向に溝状に切り欠かれた部分である。係合凹部4cは、円周方向に幅W1を有している。
ここでは、複数のファルクラムリング4(円弧状の部材)を連ねることによって、環状の部材を形成しているが、1つの環状の部材を、ファルクラムリングとして用いるようにしても良い。
[ダイヤフラムスプリング]
ダイヤフラムスプリング5は、図1及び図4に示しすように、プレッシャプレート3とクラッチカバー2との間に配置された円板状部材である。このダイヤフラムスプリング5は、環状弾性部5aと、環状弾性部4aの内周部から径方向内側に延びる複数のレバー部5bとから構成されている。環状弾性部5aの外周端はファルクラムリング4の第2端4bに支持されている。また、ダイヤフラムスプリング5のレバー部5b間には、スリットが形成されており、スリットの外周部には小判状の孔5cが形成されている。
なお、ダイヤフラムスプリング5のレバー部5bの先端にはプッシュタイプのレリーズ装置(図示せず)が当接している。このレリーズ装置は、ダイヤフラムスプリング5のレバー部5bの先端を軸方向へ移動させ、ダイヤフラムスプリング5によるプレッシャプレート3への付勢力を解除するための装置である。
また、ダイヤフラムスプリング5は、図4に示すように、支持部材12によってクラッチカバー2に支持されている。支持部材12は、クラッチカバー2の平坦部2cのトランスミッション側の面に配置されるリング状のプレート部材である。この支持部材12の内周部には、径方向内側に延びる複数の支持用突起12aが形成されている。複数の支持用突起12aは、プレッシャプレート3側に折り曲げられ、この折り曲げ部がクラッチカバー2の平坦部2cに形成された複数の貫通孔2dに挿通されている。また、貫通孔2dに挿通された折り曲げ部は、さらにダイヤフラムスプリング5の小判状の孔5cに挿通されている。そして、支持用突起12aの先端は外周側に折り曲げられて、ダイヤフラムスプリング5を、クラッチカバー2に対して支持している。
[摩耗量検出機構]
摩耗量検出機構6は、図2、図5−図7に示すように、ファルクラムリング4の外周部に配置されている。摩耗量検出機構6は、クラッチディスク組立体を構成する摩擦部材の摩耗量を検出する機構である。摩耗量検知機構6は、ロールピン14と、対向部材16と、くさび部材15と、第1コイルスプリング17と、を有している。
ロールピン14は、フライホイールに当接する部材である。ロールピン14は、図7に示すように、プレッシャプレート3に形成された装着孔に、摺動自在に装着されている。ロールピン14の第1端14aは、フライホイールに当接し(図7を参照)、ロールピン14の第2端14bは、対向部材16に圧入して装着される(図5を参照)。ロールピン14は、第1端14aをフライホイールに当接させることによって、対向部材16とフライホイールとの間の距離を常に一定に保っている。なお、フライホイール面は、図7では三角記号(▼記号)で示している。
対向部材16は、図5および図7に示すように、ロールピン14を装着するための装着部19と、摩擦部材の摩耗量を検出するときの基準となりくさび部材15の摺動部21(後述する)に当接して摺動する対向部材用の摺動部20(第1摺動部)とを、有している。装着部19たとえばボス部には、ロールピン14の第2端14bが圧入され装着される。また、ロールピン14の第2端14bがボス部19に装着され、ロールピン14の第1端14aがフライホイールに当接した状態において、摺動部20は、プレッシャプレート3に対向して配置される。このようにして、対向部材16の位置が、フライホイールに当接するロールピン14によって、常に一定に保たれている。この摺動部20は、第1円周方向(図3のR1方向)に向かってその高さがより高くなるように傾斜する傾斜面20aを、有している。
くさび部材15は、対向部材16とプレッシャプレート3との間に嵌り込む部材であり(図7を参照)、摩擦部材の摩耗量に応じて第1円周方向(図3および図6のR1方向)に移動する。詳細には、くさび部材15は、摩擦部材の摩耗量に応じて、プレッシャプレート3とともに対向部材16から離れる方向に移動しながら、第1コイルスプリング17によって第1円周方向に移動する。これにより、くさび部材15は、プレッシャプレート3と対向部材16との間に嵌り込み、第1円周方向への移動を停止する。
くさび部材15は、図6および図7に示すように、本体部15aと、本体部15aと一体に形成されファルクラムリングに係合する係合部15bとを、有している。本体部15aは、棒状に形成された部分であり、プレッシャプレート3に形成された2つのレール部27に配置される。詳細には、本体部15aは、2つの突出部27a,27bの間において、円周方向に移動自在に配置される。本体部15aには、対向部材16の摺動部20に当接して摺動する摺動部21(第1摺動部)が、形成されている。このくさび部材用の摺動部21は、第1円周方向(図3のR1方向)に向かってその高さがより低くなるように傾斜する傾斜面21aを、有している。
ここで、対向部材16及びくさび部材15それぞれに形成された傾斜面20a,21aの傾斜角度が、プレッシャプレート及びファルクラムリング4それぞれに形成された傾斜面10a,11aの傾斜角度より小さくなるように、対向部材16の傾斜面20a及びくさび部材15の傾斜面21aは形成されている。言い換えると、プレッシャプレート及びファルクラムリング4それぞれに形成された傾斜面10a,11aの傾斜角度が、対向部材16及びくさび部材15それぞれに形成された傾斜面20a,21aの傾斜角度より大きくなるように、プレッシャプレートの傾斜面10a及びファルクラムリング4の傾斜面11aは形成されている。
なお、プレッシャプレート及びファルクラムリング4それぞれの傾斜面10a,11aの傾斜角度は、たとえば、6.0度未満に設定されることが望ましい。ここでは、これら傾斜面10a,11aの傾斜角度は、たとえば、5.6度に設定されている。また、対向部材16及びくさび部材15それぞれの傾斜面20a,21aの傾斜角度は、たとえば、5.6度未満に設定されることが望ましい。ここでは、これら傾斜面20a,21aの傾斜角度は、たとえば、5.5度に設定されている。
係合部15bは、図6に示すように、本体部15aの長手方向に交差する方向に突出して一体に形成されている。係合部15bは、L字状に形成されており、先端部がファルクラムリング4の係合凹部4cに係合する。詳細には、係合部15bの先端部は、ファルクラムリング4の係合凹部4cに挿入され、本体部15aがレール部27に装着される。係合部15bの先端部は、円周方向に幅W2を有している。図8及び図9に示すように、係合部15bの先端部の幅W2は、係合凹部4cの幅W1より小さい。係合部15bすなわちくさび部材15は、(W1−W2)の範囲で円周方向に移動可能である。たとえば、係合凹部4cの幅W1と係合部15bの先端部の幅W2との差が、所定の値たとえば2.0mmとなるように、係合凹部4c及び係合部15bは形成されている。
第1コイルスプリング17は、くさび部材15を第1円周方向に付勢する部材である。言い換えると、第1コイルスプリング17は、第2円周方向(R1方向とは反対の方向)へのくさび部材15の移動を規制する部材である。第1コイルスプリング17は、図5に示すように、一端がくさび部材15の係合部15bに装着され、他端がファルクラムリング4に装着されている。この第1コイルスプリング17は、プレッシャプレート3と対向部材16との間に配置されたくさび部材15を、第1円周方向(図6のR1方向)に付勢している。これにより、くさび部材15は、プレッシャプレート3と対向部材16との間に嵌め込まれた状態で維持されている。そして、摩擦部材が摩耗したときには、摩擦部材の摩耗量に応じて、第1コイルスプリング17が、くさび部材15を第1円周方向に移動させ、くさび部材15をプレッシャプレート3と対向部材16との間に食い込ませる。
[摩耗追従機構]
摩耗追従機構7は、摩擦部材の摩耗量、すなわちくさび部材15の移動量に追従させて、ダイヤフラムスプリング5の姿勢を初期の姿勢に保つための機構である。この摩耗追従機構7は、複数のファルクラムリング4に加えて、前述のプレッシャプレート3及びファルクラムリング4のそれぞれに形成された摺動部10,11と、第2コイルスプリング28(図2を参照)と、を有している。
複数のファルクラムリング4は、プレッシャプレート3の段差部25の壁部25bと、ガイド部26との間において、プレッシャプレート3に対して相対回転可能に配置されている。また、複数のファルクラムリング4は、ダイヤフラムスプリング5によってプレッシャプレート3側に押圧されている。また、図9の状態においては、複数のファルクラムリング4それぞれの摺動部11の傾斜面11aが、プレッシャプレート3の摺動部10の傾斜面10aに当接しており、複数のファルクラムリング4は、くさび部材15の移動量分だけ、第1円周方向(図6のR1方向)に移動可能である。なお、ここでは、くさび部材15の移動量の最大値が、(W1−W2)となっている。
第2コイルスプリング28は、ファルクラムリング4を第1円周方向に付勢する部材である。言い換えると、第2コイルスプリング28は、第2円周方向(R1方向とは反対の方向)へのファルクラムリング4の移動を規制する部材である。この第2コイルスプリング28は、プレッシャプレートに対して、ファルクラムリング4を第1円周方向に相対回転させる。第2コイルスプリング28は、図2に示すように、ファルクラムリング4の内周部に沿うように、ファルクラムリング4とプレッシャプレート3とに装着されている。詳細には、第2コイルスプリング28は、一端がファルクラムリング4に装着されており、他端がプレッシャプレート3に装着されている。
以上のような構成では、摩擦部材の摩耗量に応じてくさび部材15が円周方向(R1方向)に移動した場合、このくさび部材15の移動量だけ、ファルクラムリング4は回転移動が可能である。そして、ファルクラムリング4がプレッシャプレート3に対して回転すると、両部材4,3は摺動部10,11の傾斜面によって互いに当接しているので、ファルクラムリング4は、軸方向にプレッシャプレート3から離れる側に、移動する。
[摩耗量検出動作及び摩耗追従動作]
クラッチオン(連結)状態では、ダイヤフラムスプリング5の押圧荷重は、ファルクラムリング4を介してプレッシャプレート3に作用し、これによりクラッチディスク組立体の摩擦部材はプレッシャプレート3とフライホイールとの間に挟持されている。このとき、図7に示すように、くさび部材15は、プレッシャプレート3と対向部材16との間に嵌め込まれている。
摩擦部材が摩耗すると、摩擦部材の厚みが薄くなるので、プレッシャプレート3はフライホイール側(図7及び図8において下側)に移動することになる。また、くさび部材15は、プレッシャプレート3に支持されているので、プレッシャプレート3の移動に伴って、プレッシャプレート3とともにフライホイール側に移動することになる。すると、くさび部材15とプレッシャプレート3との間に、摩擦部材の摩耗量に相当する隙間W0(図8を参照)が、発生する。すると、くさび部材15は、第1コイルスプリング17の付勢力によって、この隙間W0を埋める方向、すなわち図8のR1方向に移動する。
このように、摩擦部材の摩耗量に応じて、くさび部材15は、R1方向に移動し、図9に示すように、プレッシャプレート3と対向部材16との間に嵌め込まれる。すなわち、くさび部材15は、摩擦部材の摩耗によって、対向部材16との係合がいったん解除されるが、第1コイルスプリング17の付勢力によって移動し、再び対向部材16と係合する。これにより、摩擦部材が摩耗したとしても、プレッシャプレート3と対向部材16との間隔は、くさび部材15の移動によって、常に一定に保たれる。
なお、図9では、くさび部材15の係合部15bの側端面が係合凹部4cの一方側の壁面に衝突している場合の例、すなわちくさび部材15の移動量の最大値(W1−W2)だけ移動して停止している場合の例が、示されている。しかしながら、摩擦部材の摩耗量が小さい場合は、図8と図9との中間の状態、すなわちくさび部材15の係合部15bが係合凹部4cの壁面に未当接である状態で、くさび部材15が、プレッシャプレート3と対向部材16との間に嵌め込まれ、プレッシャプレート3と対向部材16との間隔が、一定に保たれる。言い換えると、くさび部材15の係合部15bが、係合凹部4cの対向する壁面の間に位置した状態で、くさび部材15が、プレッシャプレート3と対向部材16との間に嵌め込まれ、プレッシャプレート3と対向部材16との間隔が、一定に保たれる。
次に、くさび部材15が移動した後、クラッチのレリーズ操作がなされて、クラッチオフ(非連結)状態になると、ダイヤフラムスプリング5のファルクラムリング4への押圧が解除される。ここで、ファルクラムリング4は、第2コイルスプリング28によってR1方向に付勢されているので、ファルクラムリング4はプレッシャプレート3に対してR1方向に回転する。このファルクラムリング4の回転は、ファルクラムリング4の係合凹部4cの壁面が、くさび部材15の係合部15bの側端面に当接することによって停止させられる。図7および図8の状態が、この状態に相当する。
このように、クラッチのレリーズ操作が行われる前に、摩擦部材の摩耗に対応するくさび部材15の移動を行っておき、クラッチのレリーズ操作が行われたときに、ファルクラムリング4の移動が行われる。すなわち、クラッチオン状態(フライホイールに摩擦部材が押し付けられた状態)において、ファルクラムリング4の移動前の準備すなわち摩擦部材の摩耗検出を行っておき、クラッチオフ状態(フライホイールから摩擦部材の押し付けが解除された状態)で、ファルクラムリング4の移動すなわち摩耗追従が行われる。
なお、ここでは、説明を容易にするために、摩擦部材の摩耗量W0に応じて、くさび部材が移動する場合の例が示されている。しかしながら、これは、くさび部材15が段階的に移動することを意味するものではなく、本実施形態では、摩擦部材の摩耗に追従して、くさび部材15が連続的に移動する。
続いて、ファルクラムリング4とプレッシャプレート3とは、互いの摺動部10,11(傾斜面)が当接しているので、前述のようにしてファルクラムリング4が回転すると、ファルクラムリング4はプレッシャプレート3から離れる方向に移動する。すなわち、摩擦部材の摩耗量分だけ、ファルクラムリング4はトランスミッション側に移動する。この移動によって、ファルクラムリング4は、摩擦部材が摩耗する前の初期位置に戻ることになる。
[特徴]
(1)本摩耗量検出機構6では、プレッシャプレート3に装着されたロールピン14が、フライホイールに当接した状態において、くさび部材15が、ロールピン14に装着された対向部材16と、プレッシャプレート3との間に嵌り込んでいる。そして、摩擦部材が摩耗すると、くさび部材15は、摩擦部材の摩耗量に応じて、第1円周方向に移動する。すなわち、摩擦部材が摩耗すると、くさび部材15は、第1円周方向に移動するとともに、対向部材16とプレッシャプレート3との間に嵌り込んだ状態で保持される。このように、本摩耗量検出機構6では、くさび部材15を、対向部材16とプレッシャプレート3との間に嵌り込んで、振動等によってズレにくく保持することができるので、摩耗量検出機構6を安定的に作動させ、常に正確な摩耗補償を行うことができる。
(2)本摩耗量検出機構6では、摩擦部材が摩耗すると、プレッシャプレート3が対向部材16から離れる方向に移動する。すると、くさび部材15は、プレッシャプレート3とともに対向部材16から離れる方向に移動しながら、第1コイルスプリング17の付勢力によって第1円周方向にも移動する。このように、摩擦部材が摩耗し、くさび部材15と対向部材16との間に隙間W0が発生すると、この隙間W0がなくなるように、くさび部材15が対向部材16とプレッシャプレート3との間に即座に嵌り込むので、振動等の影響を受けづらくなり、摩耗量を正確に検知することができる。
(3)本摩耗追従機構7では、ファルクラムリング4は、くさび部材15の移動量、すなわち摩擦部材の摩耗量に応じた分だけ、第2コイルスプリング28によって、プレッシャプレート3に対して相対回転させられる。ファルクラムリング4とプレッシャプレート3とは、傾斜面10a,11aからなる摺動部10,11で当接しているので、ファルクラムリング4がプレッシャプレート3に対して回転させられると、ファルクラムリング4はプレッシャプレート3から離れる側に移動する。これにより、摩擦部材が摩耗しても、ファルクラムリング4がダイヤフラムスプリング5を支持する位置は初期の姿勢と変化しない。このため、押圧荷重特性、ひいてはレリーズ荷重特性を、初期状態のまま維持することができる。
(4)クラッチカバー組立体1では、プレッシャプレート3及びファルクラムリング4それぞれに形成された摺動部10,11における傾斜面10a,11aの傾斜角度が、くさび部材15及び対向部材16それぞれに形成された摺動部20,21における傾斜面20a,21aの傾斜角度より大きいので、振動等によってファルクラムリング4が元の方向に移動することを確実に規制することができる。これにより、ファルクラムリング4のアンダーアジャストを、確実に防止することができる。
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
(a)前記実施形態では、くさび部材115が、摩擦部材の摩耗に追従して移動する場合の例を示したが、摩擦部材の摩耗量が所定の摩耗量に到達したときに、図10に示すように、くさび部材115が段階的に移動するようにしても良い。たとえば、図10に示すように、くさび部材115及びプレッシャプレート103それぞれに、互いに係合する凹凸部115a,103aを設けることによって、摩擦部材の摩耗量が所定の摩耗量に到達したときに、くさび部材115が移動するようにしても良い。
この場合、摩擦部材の摩耗量が、所定の摩耗量たとえば凹凸部115a,103aの高さに到達したときに、くさび部材115の凹凸部115aとプレッシャプレート103の凹凸部103aとの係合が解除され、くさび部材115の凹凸部115aは、第1円周方向(R1方向)に隣接するプレッシャプレート103の凹凸部103aに係合する。このように、この実施形態では、くさび部材115の凹凸部115aが、第1円周方向に隣接するプレッシャプレート103の凹凸部103aに係合するので、くさび部材115を対向部材(図10には図示しない)とプレッシャプレート103との間で保持することができるとともに、振動等によってくさび部材115が元の方向に移動しないように、規制することできる。
なお、ここでは、前記実施形態と構成が同じ部分の説明は省略し、前記実施形態と構成が異なる部分の説明のみを行った。このため、前記実施形態と構成が同じ部分については、上記の効果と同様の効果を得ることができる。
(b)摩耗追従機構の構成は、ダイヤフラムスプリングの初期姿勢を維持するように作用する構成であればどのような構成でもよく、前記実施形態に限定されない。
1 クラッチカバー組立体
2 クラッチカバー
3 プレッシャプレート
4 ファルクラムリング
5 ダイヤフラムスプリング(押圧部材)
6 摩耗量検出機構
7 摩耗追従機構
10,11 摺動部(第1摺動部)
10a,11a 傾斜面(第1傾斜面)
20,21 摺動部(第2摺動部)
20a,21a 傾斜面(第2傾斜面)
14 ロールピン(当接部材)
15 くさび部材
16 対向部材
17 第1コイルスプリング(第1付勢部材)
28 第2コイルスプリング(第2付勢部材)
本発明は、クラッチカバー組立体、特に、エンジンのフライホイールにクラッチディスク組立体の摩擦部材を押し付け及び押し付け解除するためのクラッチカバー組立体に関する。
クラッチカバー組立体は、一般に、エンジンのフライホイールに装着され、エンジンの駆動力をトランスミッション側に伝達するために用いられている。このようなクラッチカバー組立体は、主に、クラッチカバー、プレッシャプレート及びダイヤフラムスプリングを備えている。クラッチカバーはフライホイールに固定される。プレッシャプレートは、ダイヤフラムスプリングによってフライホイール側に押圧され、クラッチディスク組立体の摩擦部材をフライホイールとの間に挟持する。ダイヤフラムスプリングは、プレッシャプレートを押圧する機能とともに、プレッシャプレートへの押圧を解除するためのレバー機能も有している。
ここで、ダイヤフラムスプリングの荷重特性に起因して、クラッチディスク組立体の摩擦部材の摩耗が進むと摩擦部材への押付荷重が大きくなる。このため、摩擦部材が摩耗すると、レリーズ操作をするために大きな荷重が必要となり、クラッチペダル踏力が大きくなってしまう。
そこで、例えば特許文献1に示されるように、摩擦部材が摩耗した場合でも、ダイヤフラムスプリングの姿勢を初期状態に戻すことによって、押付荷重が大きくなるのを抑えるようにした摩耗補償機構が提供されている。この摩耗補償機構は、主に、プレッシャプレートとダイヤフラムスプリングとの間に配置されたファルクラムリングと、ファルクラムリングをプレッシャプレートから離れる方向に付勢する付勢機構と、摩擦部材の摩耗量を検出する摩耗量検出機構と、を有している。ここでは、ダイヤフラムスプリングはファルクラムリングを介してプレッシャプレートを押圧可能になっており、摩擦部材の摩耗量に応じて、ファルクラムリングをプレッシャプレートから離れる側に移動させることにより、ダイヤフラムスプリングが初期のセット姿勢に維持される。
また、振動による摩耗量検出機構の作動の不安定さを改善するために、特許文献2に示される摩耗補償機構も提供されている。ここでは、振動を吸収するためのコーンスプリングを摩耗量検出機構に設け、摩耗補償のための作動の安定化を図るようにしている。
特開平10−227317号公報 特開2003−28193号公報
以上のような摩耗補償機構においては、摩耗量を精度良く検出することが重要である。特許文献1及び2では、ブシュ及びこのブシュを貫通するボルトによって摩耗量検出機構が構成されており、摩耗に応じて生じる両者の隙間によって摩耗量が検出されるようになっている。しかし、以上のような従来の構成では、エンジン振動等に伴う各部の振動によって摩耗量を示す隙間が変化するおそれがあり、安定して正確な摩耗補償を行うことは困難である。
本発明の課題は、摩耗量検出機構の作動を安定化させ、常に正確な摩耗補償を行うことができるようにすることにある。
請求項1に係るクラッチカバー組立体は、エンジンのフライホイールにクラッチディスク組立体の摩擦部材を押し付け及び押し付け解除するためのものである。
このクラッチカバー組立体は、フライホイールに固定されるクラッチカバーと、プレッシャプレートと、押圧部材と、摩耗量検知機構と、摩耗追従機構とを、備えている。プレッシャプレートは、フライホイールに摩擦部材を押圧するための部材であり、クラッチカバーに相対回転不能に連結される。押圧部材は、プレッシャプレートをフライホイール側に押圧するための部材であり、クラッチカバーに支持される。摩耗量検知機構は、当接部材と、対向部材と、くさび部材とを、有している。当接部材は、プレッシャプレートに装着され、フライホイールに当接する。対向部材は、当接部材に装着され、プレッシャプレートに対向する。くさび部材は、対向部材とプレッシャプレートとの間に嵌り込み、摩擦部材の摩耗量に応じて円周方向に移動する。
摩耗追従機構は、ファルクラムリングと、摩耗追従用の付勢部材とを、有している。ファルクラムリングは、プレッシャプレートに軸方向に移動自在に支持され、押圧部材によってプレッシャプレート側に押圧される。摩耗追従用の付勢部材は、ファルクラムリングを円周方向に付勢して、ファルクラムリングをプレッシャプレートに対して相対回転させる。このような摩耗追従機構では、摩耗追従用の付勢部材が、ファルクラムリングを、くさび部材の移動量に応じて回転させ、ファルクラムリングを、プレッシャプレートから離れる方向に移動させることによって、押圧部材を初期姿勢側に移動させる。
このクラッチカバー組立体では、摩擦部材の摩耗量は摩耗量検出機構によって検出される。摩耗量検出機構では、プレッシャプレートに装着された当接部材が、フライホイールに当接した状態において、くさび部材が、当接部材に装着された対向部材と、プレッシャプレートとの間に嵌り込んでいる。そして、このくさび部材は、摩擦部材の摩耗量に応じて、円周方向に移動する。すなわち、くさび部材は、摩擦部材の摩耗量に応じて円周方向に移動するとともに、対向部材とプレッシャプレートとの間に嵌り込んだ状態で保持される。このように、本発明では、くさび部材が、対向部材とプレッシャプレートとの間に嵌り込んだ状態で保持されるので、振動等が発生しても摩耗量を正確に検出することができる。すなわち、摩耗量検出機構を安定的に作動させ、常に正確な摩耗補償を行うことができる。
また、このクラッチカバー組立体では、ファルクラムリングは、くさび部材の移動量、すなわち摩擦部材の摩耗量に応じた分だけ、摩耗追従用の付勢部材によって、プレッシャプレートに対して相対回転させられる。そして、ファルクラムリングがプレッシャプレートに対して回転させられると、ファルクラムリングはプレッシャプレートから離れる側に移動する。これにより、摩擦部材が摩耗しても、ファルクラムリングが押圧部材を支持する位置は初期の姿勢と変化しない。このため、押圧荷重特性、ひいてはレリーズ荷重特性を、初期状態のまま維持することができる。
請求項2に係るクラッチカバー組立体では、請求項1のクラッチカバー組立体において、摩耗量検知機構が、摩耗検知用の付勢部材を、さらに有している。摩耗検知用の付勢部材は、ファルクラムリングとくさび部材とを連結し、くさび部材を円周方向に付勢する。対向部材及びくさび部材それぞれには、互いに当接して摺動する摩耗検知用の摺動部が形成されている。摩耗検知用の摺動部には、円周方向に沿って傾斜する第1傾斜面が形成されている。摩耗検知用の付勢部材の付勢力によってくさび部材の第1傾斜面を対向部材の第1傾斜面に当接させた状態において、摩擦部材の摩耗量に応じて、摩耗検知用の付勢部材は、くさび部材を円周方向に移動させる。
このクラッチカバー組立体では、摩耗検知用の付勢部材の付勢力によって、くさび部材の第1傾斜面を、対向部材の第1傾斜面に当接させている。また、この状態において、摩擦部材の摩耗量に応じて、摩耗検知用の付勢部材は、くさび部材を円周方向に移動させる。このように、本発明では、摩耗検知用の付勢部材によって、くさび部材を、対向部材とプレッシャプレートとの間で確実に保持することができる。これにより、振動等によってくさび部材がズレにくくなるので、摩耗量検出機構を安定的に作動させ、常に正確な摩耗補償を行うことができる。
請求項3に係るクラッチカバー組立体では、請求項2に記載のクラッチカバー組立体において、くさび部材が、摩擦部材の摩耗量に応じて、プレッシャプレートとともに対向部材から離れる方向に移動し、且つ摩耗検知用の付勢部材によって円周方向に移動することによって、対向部材との嵌り込みを維持する。
このクラッチカバー組立体では、摩擦部材が摩耗すると、プレッシャプレートが対向部材から離れる方向に移動する。すると、くさび部材は、プレッシャプレートとともに対向部材から離れる方向に移動しながら、摩耗検知用の付勢部材の付勢力によって円周方向にも移動する。このように、本発明では、摩擦部材が摩耗し、くさび部材と対向部材との間に隙間が発生すると、この隙間を埋めるように、くさび部材が対向部材とプレッシャプレートとの間に即座に嵌り込むので、振動等の影響を受けづらくなり、摩耗量を正確に検知することができる。すなわち、摩耗量検出機構を安定的に作動させ、常に正確な摩耗補償を行うことができる。
請求項4に係るクラッチカバー組立体では、請求項1から3のいずれかに記載のクラッチカバー組立体において、摩耗追従機構が、摩耗追従用の摺動部を、有している。摩耗追従用の摺動部は、プレッシャプレート及びファルクラムリングそれぞれに形成され、互いに当接して摺動する。このような摩耗追従機構では、摩耗追従用の摺動部には、円周方向に沿って傾斜する第2傾斜面が形成されている。また、摩耗追従用の付勢部材が、くさび部材の移動量に応じてファルクラムリングを回転させることによって、ファルクラムリングを、プレッシャプレートから離れる方向に移動させる。
このクラッチカバー組立体では、ファルクラムリングは、くさび部材の移動量、すなわち摩擦部材の摩耗量に応じた分だけ、摩耗追従用の付勢部材によって、プレッシャプレートに対して相対回転させられる。ファルクラムリングとプレッシャプレートとは第2傾斜面からなる摩耗追従用の摺動部で当接しているので、ファルクラムリングがプレッシャプレートに対して回転させられると、ファルクラムリングはプレッシャプレートから離れる側に移動する。これにより、摩擦部材が摩耗しても、ファルクラムリングが押圧部材を支持する位置は初期の姿勢と変化しない。このため、押圧荷重特性、ひいてはレリーズ荷重特性を、初期状態のまま維持することができる。
請求項5に係るクラッチカバー組立体では、請求項4に記載のクラッチカバー組立体において、摩耗追従用の摺動部における第2傾斜面の傾斜角度が、摩耗検知用の摺動部における第1傾斜面の傾斜角度より大きくなるように、摩耗追従用の摺動部の第2傾斜面は形成されている。なお、摩耗検知用の摺動部は、対向部材及びくさび部材それぞれに形成され、互いに当接して摺動する部分である。摩耗追従用の摺動部は、プレッシャプレート及びファルクラムリングそれぞれに形成され、互いに当接して摺動する部分である。
このクラッチカバー組立体では、プレッシャプレート及びファルクラムリングそれぞれに形成された摩耗追従用の摺動部における第2傾斜面の傾斜角度が、対向部材及びくさび部材それぞれに形成された第1傾斜面の傾斜角度より大きいので、振動等によってファルクラムリングが元の方向に移動することを規制することができる。これにより、ファルクラムリングのアンダーアジャストを、確実に防止することができる。
請求項6に係るクラッチカバー組立体では、請求項1から5のいずれかに記載のクラッチカバー組立体において、くさび部材及びプレッシャプレートそれぞれには、互いに係合する凹凸部が形成されている。そして、摩擦部材の摩耗量が所定の摩耗量に到達したときに、くさび部材の凹凸部とプレッシャプレートの凹凸部との係合が解除され、くさび部材の凹凸部は、円周方向に隣接するプレッシャプレートの凹凸部に係合する。
このクラッチカバー組立体では、摩擦部材の摩耗量が所定の摩耗量に到達したときに、くさび部材の凹凸部が、円周方向に隣接するプレッシャプレートの凹凸部に係合するので、くさび部材を対向部材とプレッシャプレートとの間で保持することができるとともに、振動等によってくさび部材が元の方向に移動しないように、規制することできる。このように、本発明では、摩耗量検出機構を安定的に作動させ、常に正確な摩耗補償を行うことができる。
本発明では、摩耗量検出機構において、くさび部材が、摩擦部材の摩耗量に応じて円周方向に移動するとともに、対向部材とプレッシャプレートとの間に嵌り込んだ状態で保持されるので、摩耗量検出機構を安定的に作動させ、常に正確な摩耗補償を行うことができる。
本発明の一実施形態によるクラッチカバー組立体の正面図。 前記クラッチカバー組立体の分解斜視図。 プレッシャプレートとファルクラムリングの一部拡大図。 ダイヤフラムスプリングの支持構造を示す部分断面斜視図。 摩耗量検出機構の拡大斜視図。 対向部材を除いた摩耗量検出機構の拡大斜視図。 摩耗量検出機構の構成を示す図。 摩耗量検出機構及び摩耗追従機構の動作を説明するための図。 摩耗量検出機構及び摩耗追従機構の動作を説明するための図。 対向部材を除いた摩耗量検出機構の拡大斜視図(他の実施形態)。
[全体構成]
図1に本発明の一実施形態によるクラッチカバー組立体1の正面図を示す。また、図2にクラッチカバー組立体1の一部を省略した外観斜視図を示す。このクラッチカバー組立体1は、クラッチオン(動力伝達)時には、エンジンのフライホイールに対してクラッチディスク組立体の摩擦部材を押し付け、またクラッチオフ(動力伝達遮断)時にはその押し付けを解除するための装置である。なお、ここでは、フライホイール及びクラッチディスク組立体は省略している。
クラッチカバー組立体1は、主に、クラッチカバー2と、プレッシャプレート3と、複数のファルクラムリング4と、ダイヤフラムスプリング5と、摩耗量検出機構6と、複数のファルクラムリング4を含む摩耗追従機構7と、から構成されている。
[クラッチカバー]
クラッチカバー2は、概ね皿形状のプレート部材であり、外周部が例えばボルトによりフライホイールに固定される。クラッチカバー2は、環状のクラッチカバー本体2aと、外周側の円板状部2bと、内周側の平坦部2cと、を有している。円板状部2bは、クラッチカバー本体2aの外周側に形成され、フライホイールの外周部に固定される。平坦部2cは、クラッチカバー本体2aの内周部から半径方向内側へ延びる平坦な部分である。この平坦部2cには、軸方向に貫通する複数の孔2dが形成されている。
[プレッシャプレート]
プレッシャプレート3は、環状の部材であって、クラッチカバー2のクラッチカバー本体2a内部に配置されている。プレッシャプレート3のフライホイール側(図2において裏側)の面には、クラッチディスク組立体の摩擦部材と摺接する摩擦面(図示しない)が形成されている。また、プレッシャプレート3は、複数のストラッププレート80(図2を参照、図2では1つのみ図示)によって、クラッチカバー2に連結されており、クラッチカバー2に対して、軸方向には移動可能であり、円周方向には相対回転不能である。なお、クラッチ連結状態では、ストラッププレートは軸方向にたわんでおり、このストラッププレートのたわみ(復元力)によって、プレッシャプレート3はフライホイールから離れる側に付勢されている。
また、プレッシャプレート3のトランスミッション側(図2において表側)の面には、図3に示すように、外周側において、円周方向の複数の箇所に、摺動部10が形成されている。詳細には、各摺動部10は、後述する段差部25の底部25aから軸方向外方に突出して形成されている。各摺動部10は、第1円周方向(図3のR1方向)に向かってその高さがより高くなるように傾斜する傾斜面10aを有している。また、図4に示すように、プレッシャプレート3のトランスミッション側の面には、外周側において、段差部25が、円周方向に形成されている。また、プレッシャプレート3のトランスミッション側の面には、外周側において、円周方向の複数の箇所において、ガイド部26が形成されている(図2を参照)。ガイド部26は、段差部25の壁部25bに対向するように、プレッシャプレート3に形成されている。
さらに、プレッシャプレート3には、図5及び図6に示すように、複数のレール部たとえば2組のレール部27が、設けられている。各組のレール部27は、互いに対向して形成された2つの突出部27a,27bを、有している。2つの突出部27a,27bそれぞれは、互いに所定の間隔を隔てた位置において、プレッシャプレート3に設けられている。これら2つの突出部27a,27bの間に、後述するくさび部材15が配置される。
[ファルクラムリング]
複数のファルクラムリング4は、それぞれ円弧状の部材、すなわち、環状の部材を円周方向に分割して形成された部材である。複数のファルクラムリング4は、図3及び図4に示すように、軸方向の第1端側4a(フライホイール側)が、プレッシャプレート3の段差部25の底部25aに配置されている。より具体的には、複数のファルクラムリング4は、プレッシャプレート3の段差部25の壁部25bと、ガイド部26との間において、段差部25の底部25aに配置されている。
また、ファルクラムリング4の第1端4aには、図3から明らかなように、円周方向の複数個所において摺動部11が形成されている。摺動部11は、傾斜面11aを、有している。傾斜面11aは、プレッシャプレート3の段差部25の底部25aに形成された摺動部10の傾斜面10aに当接し、且つ第1円周方向(図3のR1方向)に向かってその高さがより低くなるように傾斜している。また、ファルクラムリング4には、図5に示すように、後述するくさび部材15が係合する係合凹部4cが、形成されている。詳細には、係合凹部4cは、ファルクラムリング4の第1端4aにおいて、半径方向に溝状に切り欠かれた部分である。係合凹部4cは、円周方向に幅W1を有している。
ここでは、複数のファルクラムリング4(円弧状の部材)を連ねることによって、環状の部材を形成しているが、1つの環状の部材を、ファルクラムリングとして用いるようにしても良い。
[ダイヤフラムスプリング]
ダイヤフラムスプリング5は、図1及び図4に示すように、プレッシャプレート3とクラッチカバー2との間に配置された円板状部材である。このダイヤフラムスプリング5は、環状弾性部5aと、環状弾性部4aの内周部から径方向内側に延びる複数のレバー部5bとから構成されている。環状弾性部5aの外周端はファルクラムリング4の第2端4bに支持されている。また、ダイヤフラムスプリング5のレバー部5b間には、スリットが形成されており、スリットの外周部には小判状の孔5cが形成されている。
なお、ダイヤフラムスプリング5のレバー部5bの先端にはプッシュタイプのレリーズ装置(図示せず)が当接している。このレリーズ装置は、ダイヤフラムスプリング5のレバー部5bの先端を軸方向へ移動させ、ダイヤフラムスプリング5によるプレッシャプレート3への付勢力を解除するための装置である。
また、ダイヤフラムスプリング5は、図4に示すように、支持部材12によってクラッチカバー2に支持されている。支持部材12は、クラッチカバー2の平坦部2cのトランスミッション側の面に配置されるリング状のプレート部材である。この支持部材12の内周部には、径方向内側に延びる複数の支持用突起12aが形成されている。複数の支持用突起12aは、プレッシャプレート3側に折り曲げられ、この折り曲げ部がクラッチカバー2の平坦部2cに形成された複数の貫通孔2dに挿通されている。また、貫通孔2dに挿通された折り曲げ部は、さらにダイヤフラムスプリング5の小判状の孔5cに挿通されている。そして、支持用突起12aの先端は外周側に折り曲げられて、ダイヤフラムスプリング5を、クラッチカバー2に対して支持している。
[摩耗量検出機構]
摩耗量検出機構6は、図2、図5−図7に示すように、ファルクラムリング4の外周部に配置されている。摩耗量検出機構6は、クラッチディスク組立体を構成する摩擦部材の摩耗量を検出する機構である。摩耗量検知機構6は、ロールピン14と、対向部材16と、くさび部材15と、第1コイルスプリング17と、を有している。
ロールピン14は、フライホイールに当接する部材である。ロールピン14は、図7に示すように、プレッシャプレート3に形成された装着孔に、摺動自在に装着されている。ロールピン14の第1端14aは、フライホイールに当接し(図7を参照)、ロールピン14の第2端14bは、対向部材16に圧入して装着される(図5を参照)。ロールピン14は、第1端14aをフライホイールに当接させることによって、対向部材16とフライホイールとの間の距離を常に一定に保っている。なお、フライホイール面は、図7では三角記号(▼記号)で示している。
対向部材16は、図5および図7に示すように、ロールピン14を装着するための装着部19と、摩擦部材の摩耗量を検出するときの基準となりくさび部材15の摺動部21(後述する)に当接して摺動する対向部材用の摺動部20(第1摺動部)とを、有している。装着部19たとえばボス部には、ロールピン14の第2端14bが圧入され装着される。また、ロールピン14の第2端14bがボス部19に装着され、ロールピン14の第1端14aがフライホイールに当接した状態において、摺動部20は、プレッシャプレート3に対向して配置される。このようにして、対向部材16の位置が、フライホイールに当接するロールピン14によって、常に一定に保たれている。この摺動部20は、第1円周方向(図3のR1方向)に向かってその高さがより高くなるように傾斜する傾斜面20aを、有している。
くさび部材15は、対向部材16とプレッシャプレート3との間に嵌り込む部材であり(図7を参照)、摩擦部材の摩耗量に応じて第1円周方向(図3および図6のR1方向)に移動する。詳細には、くさび部材15は、摩擦部材の摩耗量に応じて、プレッシャプレート3とともに対向部材16から離れる方向に移動しながら、第1コイルスプリング17によって第1円周方向に移動する。これにより、くさび部材15は、プレッシャプレート3と対向部材16との間に嵌り込み、第1円周方向への移動を停止する。
くさび部材15は、図6および図7に示すように、本体部15aと、本体部15aと一体に形成されファルクラムリングに係合する係合部15bとを、有している。本体部15aは、棒状に形成された部分であり、プレッシャプレート3に形成された2つのレール部27に配置される。詳細には、本体部15aは、2つの突出部27a,27bの間において、円周方向に移動自在に配置される。本体部15aには、対向部材16の摺動部20に当接して摺動する摺動部21(第1摺動部)が、形成されている。このくさび部材用の摺動部21は、第1円周方向(図3のR1方向)に向かってその高さがより低くなるように傾斜する傾斜面21aを、有している。
ここで、対向部材16及びくさび部材15それぞれに形成された傾斜面20a,21aの傾斜角度が、プレッシャプレート及びファルクラムリング4それぞれに形成された傾斜面10a,11aの傾斜角度より小さくなるように、対向部材16の傾斜面20a及びくさび部材15の傾斜面21aは形成されている。言い換えると、プレッシャプレート及びファルクラムリング4それぞれに形成された傾斜面10a,11aの傾斜角度が、対向部材16及びくさび部材15それぞれに形成された傾斜面20a,21aの傾斜角度より大きくなるように、プレッシャプレートの傾斜面10a及びファルクラムリング4の傾斜面11aは形成されている。
なお、プレッシャプレート及びファルクラムリング4それぞれの傾斜面10a,11aの傾斜角度は、たとえば、6.0度未満に設定されることが望ましい。ここでは、これら傾斜面10a,11aの傾斜角度は、たとえば、5.6度に設定されている。また、対向部材16及びくさび部材15それぞれの傾斜面20a,21aの傾斜角度は、たとえば、5.6度未満に設定されることが望ましい。ここでは、これら傾斜面20a,21aの傾斜角度は、たとえば、5.5度に設定されている。
係合部15bは、図6に示すように、本体部15aの長手方向に交差する方向に突出して一体に形成されている。係合部15bは、L字状に形成されており、先端部がファルクラムリング4の係合凹部4cに係合する。詳細には、係合部15bの先端部は、ファルクラムリング4の係合凹部4cに挿入され、本体部15aがレール部27に装着される。係合部15bの先端部は、円周方向に幅W2を有している。図8及び図9に示すように、係合部15bの先端部の幅W2は、係合凹部4cの幅W1より小さい。係合部15bすなわちくさび部材15は、(W1−W2)の範囲で円周方向に移動可能である。たとえば、係合凹部4cの幅W1と係合部15bの先端部の幅W2との差が、所定の値たとえば2.0mmとなるように、係合凹部4c及び係合部15bは形成されている。
第1コイルスプリング17は、くさび部材15を第1円周方向に付勢する部材である。言い換えると、第1コイルスプリング17は、第2円周方向(R1方向とは反対の方向)へのくさび部材15の移動を規制する部材である。第1コイルスプリング17は、図5に示すように、一端がくさび部材15の係合部15bに装着され、他端がファルクラムリング4に装着されている。この第1コイルスプリング17は、プレッシャプレート3と対向部材16との間に配置されたくさび部材15を、第1円周方向(図6のR1方向)に付勢している。これにより、くさび部材15は、プレッシャプレート3と対向部材16との間に嵌め込まれた状態で維持されている。そして、摩擦部材が摩耗したときには、摩擦部材の摩耗量に応じて、第1コイルスプリング17が、くさび部材15を第1円周方向に移動させ、くさび部材15をプレッシャプレート3と対向部材16との間に食い込ませる。
[摩耗追従機構]
摩耗追従機構7は、摩擦部材の摩耗量、すなわちくさび部材15の移動量に追従させて、ダイヤフラムスプリング5の姿勢を初期の姿勢に保つための機構である。この摩耗追従機構7は、複数のファルクラムリング4に加えて、前述のプレッシャプレート3及びファルクラムリング4のそれぞれに形成された摺動部10,11と、第2コイルスプリング28(図2を参照)と、を有している。
複数のファルクラムリング4は、プレッシャプレート3の段差部25の壁部25bと、ガイド部26との間において、プレッシャプレート3に対して相対回転可能に配置されている。また、複数のファルクラムリング4は、ダイヤフラムスプリング5によってプレッシャプレート3側に押圧されている。また、図9の状態においては、複数のファルクラムリング4それぞれの摺動部11の傾斜面11aが、プレッシャプレート3の摺動部10の傾斜面10aに当接しており、複数のファルクラムリング4は、くさび部材15の移動量分だけ、第1円周方向(図6のR1方向)に移動可能である。なお、ここでは、くさび部材15の移動量の最大値が、(W1−W2)となっている。
第2コイルスプリング28は、ファルクラムリング4を第1円周方向に付勢する部材である。言い換えると、第2コイルスプリング28は、第2円周方向(R1方向とは反対の方向)へのファルクラムリング4の移動を規制する部材である。この第2コイルスプリング28は、プレッシャプレートに対して、ファルクラムリング4を第1円周方向に相対回転させる。第2コイルスプリング28は、図2に示すように、ファルクラムリング4の内周部に沿うように、ファルクラムリング4とプレッシャプレート3とに装着されている。詳細には、第2コイルスプリング28は、一端がファルクラムリング4に装着されており、他端がプレッシャプレート3に装着されている。
以上のような構成では、摩擦部材の摩耗量に応じてくさび部材15が円周方向(R1方向)に移動した場合、このくさび部材15の移動量だけ、ファルクラムリング4は回転移動が可能である。そして、ファルクラムリング4がプレッシャプレート3に対して回転すると、両部材4,3は摺動部10,11の傾斜面によって互いに当接しているので、ファルクラムリング4は、軸方向にプレッシャプレート3から離れる側に、移動する。
[摩耗量検出動作及び摩耗追従動作]
クラッチオン(連結)状態では、ダイヤフラムスプリング5の押圧荷重は、ファルクラムリング4を介してプレッシャプレート3に作用し、これによりクラッチディスク組立体の摩擦部材はプレッシャプレート3とフライホイールとの間に挟持されている。このとき、図7に示すように、くさび部材15は、プレッシャプレート3と対向部材16との間に嵌め込まれている。
摩擦部材が摩耗すると、摩擦部材の厚みが薄くなるので、プレッシャプレート3はフライホイール側(図7及び図8において下側)に移動することになる。また、くさび部材15は、プレッシャプレート3に支持されているので、プレッシャプレート3の移動に伴って、プレッシャプレート3とともにフライホイール側に移動することになる。すると、くさび部材15とプレッシャプレート3との間に、摩擦部材の摩耗量に相当する隙間W0(図8を参照)が、発生する。すると、くさび部材15は、第1コイルスプリング17の付勢力によって、この隙間W0を埋める方向、すなわち図8のR1方向に移動する。
このように、摩擦部材の摩耗量に応じて、くさび部材15は、R1方向に移動し、図9に示すように、プレッシャプレート3と対向部材16との間に嵌め込まれる。すなわち、くさび部材15は、摩擦部材の摩耗によって、対向部材16との係合がいったん解除されるが、第1コイルスプリング17の付勢力によって移動し、再び対向部材16と係合する。これにより、摩擦部材が摩耗したとしても、プレッシャプレート3と対向部材16との間隔は、くさび部材15の移動によって、常に一定に保たれる。
なお、図9では、くさび部材15の係合部15bの側端面が係合凹部4cの一方側の壁面に衝突している場合の例、すなわちくさび部材15の移動量の最大値(W1−W2)だけ移動して停止している場合の例が、示されている。しかしながら、摩擦部材の摩耗量が小さい場合は、図8と図9との中間の状態、すなわちくさび部材15の係合部15bが係合凹部4cの壁面に未当接である状態で、くさび部材15が、プレッシャプレート3と対向部材16との間に嵌め込まれ、プレッシャプレート3と対向部材16との間隔が、一定に保たれる。言い換えると、くさび部材15の係合部15bが、係合凹部4cの対向する壁面の間に位置した状態で、くさび部材15が、プレッシャプレート3と対向部材16との間に嵌め込まれ、プレッシャプレート3と対向部材16との間隔が、一定に保たれる。
次に、くさび部材15が移動した後、クラッチのレリーズ操作がなされて、クラッチオフ(非連結)状態になると、ダイヤフラムスプリング5のファルクラムリング4への押圧が解除される。ここで、ファルクラムリング4は、第2コイルスプリング28によってR1方向に付勢されているので、ファルクラムリング4はプレッシャプレート3に対してR1方向に回転する。このファルクラムリング4の回転は、ファルクラムリング4の係合凹部4cの壁面が、くさび部材15の係合部15bの側端面に当接することによって停止させられる。図7および図8の状態が、この状態に相当する。
このように、クラッチのレリーズ操作が行われる前に、摩擦部材の摩耗に対応するくさび部材15の移動を行っておき、クラッチのレリーズ操作が行われたときに、ファルクラムリング4の移動が行われる。すなわち、クラッチオン状態(フライホイールに摩擦部材が押し付けられた状態)において、ファルクラムリング4の移動前の準備すなわち摩擦部材の摩耗検出を行っておき、クラッチオフ状態(フライホイールから摩擦部材の押し付けが解除された状態)で、ファルクラムリング4の移動すなわち摩耗追従が行われる。
なお、ここでは、説明を容易にするために、摩擦部材の摩耗量W0に応じて、くさび部材が移動する場合の例が示されている。しかしながら、これは、くさび部材15が段階的に移動することを意味するものではなく、本実施形態では、摩擦部材の摩耗に追従して、くさび部材15が連続的に移動する。
続いて、ファルクラムリング4とプレッシャプレート3とは、互いの摺動部10,11(傾斜面)が当接しているので、前述のようにしてファルクラムリング4が回転すると、ファルクラムリング4はプレッシャプレート3から離れる方向に移動する。すなわち、摩擦部材の摩耗量分だけ、ファルクラムリング4はトランスミッション側に移動する。この移動によって、ファルクラムリング4は、摩擦部材が摩耗する前の初期位置に戻ることになる。
[特徴]
(1)本摩耗量検出機構6では、プレッシャプレート3に装着されたロールピン14が、フライホイールに当接した状態において、くさび部材15が、ロールピン14に装着された対向部材16と、プレッシャプレート3との間に嵌り込んでいる。そして、摩擦部材が摩耗すると、くさび部材15は、摩擦部材の摩耗量に応じて、第1円周方向に移動する。すなわち、摩擦部材が摩耗すると、くさび部材15は、第1円周方向に移動するとともに、対向部材16とプレッシャプレート3との間に嵌り込んだ状態で保持される。このように、本摩耗量検出機構6では、くさび部材15を、対向部材16とプレッシャプレート3との間に嵌り込んで、振動等によってズレにくく保持することができるので、摩耗量検出機構6を安定的に作動させ、常に正確な摩耗補償を行うことができる。
(2)本摩耗量検出機構6では、摩擦部材が摩耗すると、プレッシャプレート3が対向部材16から離れる方向に移動する。すると、くさび部材15は、プレッシャプレート3とともに対向部材16から離れる方向に移動しながら、第1コイルスプリング17の付勢力によって第1円周方向にも移動する。このように、摩擦部材が摩耗し、くさび部材15と対向部材16との間に隙間W0が発生すると、この隙間W0がなくなるように、くさび部材15が対向部材16とプレッシャプレート3との間に即座に嵌り込むので、振動等の影響を受けづらくなり、摩耗量を正確に検知することができる。
(3)本摩耗追従機構7では、ファルクラムリング4は、くさび部材15の移動量、すなわち摩擦部材の摩耗量に応じた分だけ、第2コイルスプリング28によって、プレッシャプレート3に対して相対回転させられる。ファルクラムリング4とプレッシャプレート3とは、傾斜面10a,11aからなる摺動部10,11で当接しているので、ファルクラムリング4がプレッシャプレート3に対して回転させられると、ファルクラムリング4はプレッシャプレート3から離れる側に移動する。これにより、摩擦部材が摩耗しても、ファルクラムリング4がダイヤフラムスプリング5を支持する位置は初期の姿勢と変化しない。このため、押圧荷重特性、ひいてはレリーズ荷重特性を、初期状態のまま維持することができる。
(4)クラッチカバー組立体1では、プレッシャプレート3及びファルクラムリング4それぞれに形成された摺動部10,11における傾斜面10a,11aの傾斜角度が、くさび部材15及び対向部材16それぞれに形成された摺動部20,21における傾斜面20a,21aの傾斜角度より大きいので、振動等によってファルクラムリング4が元の方向に移動することを確実に規制することができる。これにより、ファルクラムリング4のアンダーアジャストを、確実に防止することができる。
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
(a)前記実施形態では、くさび部材115が、摩擦部材の摩耗に追従して移動する場合の例を示したが、摩擦部材の摩耗量が所定の摩耗量に到達したときに、図10に示すように、くさび部材115が段階的に移動するようにしても良い。たとえば、図10に示すように、くさび部材115及びプレッシャプレート103それぞれに、互いに係合する凹凸部115a,103aを設けることによって、摩擦部材の摩耗量が所定の摩耗量に到達したときに、くさび部材115が移動するようにしても良い。
この場合、摩擦部材の摩耗量が、所定の摩耗量たとえば凹凸部115a,103aの高さに到達したときに、くさび部材115の凹凸部115aとプレッシャプレート103の凹凸部103aとの係合が解除され、くさび部材115の凹凸部115aは、第1円周方向(R1方向)に隣接するプレッシャプレート103の凹凸部103aに係合する。このように、この実施形態では、くさび部材115の凹凸部115aが、第1円周方向に隣接するプレッシャプレート103の凹凸部103aに係合するので、くさび部材115を対向部材(図10には図示しない)とプレッシャプレート103との間で保持することができるとともに、振動等によってくさび部材115が元の方向に移動しないように、規制することできる。
なお、ここでは、前記実施形態と構成が同じ部分の説明は省略し、前記実施形態と構成が異なる部分の説明のみを行った。このため、前記実施形態と構成が同じ部分については、上記の効果と同様の効果を得ることができる。
(b)摩耗追従機構の構成は、ダイヤフラムスプリングの初期姿勢を維持するように作用する構成であればどのような構成でもよく、前記実施形態に限定されない。
1 クラッチカバー組立体
2 クラッチカバー
3 プレッシャプレート
4 ファルクラムリング
5 ダイヤフラムスプリング(押圧部材)
6 摩耗量検出機構
7 摩耗追従機構
10,11 摺動部(摩耗検知用の摺動部
10a,11a 傾斜面(第1傾斜面)
20,21 摺動部(摩耗追従用の摺動部
20a,21a 傾斜面(第2傾斜面)
14 ロールピン(当接部材)
15 くさび部材
16 対向部材
17 第1コイルスプリング(摩耗検知用の付勢部材
28 第2コイルスプリング(摩耗追従用の付勢部材

Claims (6)

  1. エンジンのフライホイールにクラッチディスク組立体の摩擦部材を押し付け及び押し付け解除するためのクラッチカバー組立体であって、
    前記フライホイールに固定されるクラッチカバーと、
    前記クラッチカバーに相対回転不能に連結され、前記フライホイールに前記摩擦部材を押圧するためのプレッシャプレートと、
    前記クラッチカバーに支持されるとともに、前記プレッシャプレートを前記フライホイール側に押圧するための押圧部材と、
    前記プレッシャプレートに装着され前記フライホイールに当接する当接部材と、前記当接部材に装着され前記プレッシャプレートに対向する対向部材と、前記対向部材と前記プレッシャプレートとの間に嵌り込み、前記摩擦部材の摩耗量に応じて円周方向に移動するくさび部材とを、有する摩耗量検知機構と、
    前記くさび部材の移動量に応じて、前記押圧部材を初期姿勢側に移動させる摩耗追従機構と、
    を備えるクラッチカバー組立体。
  2. 前記摩耗量検知機構は、前記くさび部材を前記円周方向に付勢する第1付勢部材を、さらに有し、
    前記対向部材及び前記くさび部材それぞれには、互いに当接して摺動する第1摺動部が形成され、
    前記第1摺動部には、前記円周方向に沿って傾斜する第1傾斜面が形成されており、
    前記第1付勢部材の付勢力によって前記くさび部材の第1傾斜面を前記対向部材の第1傾斜面に当接させた状態において、前記摩擦部材の摩耗量に応じて、前記第1付勢部材は、前記くさび部材を前記円周方向に移動させる、
    請求項1に記載のクラッチカバー組立体。
  3. 前記くさび部材は、前記摩擦部材の摩耗量に応じて、前記プレッシャプレートとともに前記対向部材から離れる方向に移動し、且つ前記第1付勢部材によって前記円周方向に移動することによって、前記対向部材との嵌り込みを維持する、
    請求項2に記載のクラッチカバー組立体。
  4. 前記摩耗追従機構は、
    前記プレッシャプレートに軸方向に移動自在に支持され、前記押圧部材によって前記プレッシャプレート側に押圧されるファルクラムリングと、
    前記プレッシャプレート及び前記ファルクラムリングそれぞれに形成され、互いに当接して摺動する第2摺動部と、
    前記ファルクラムリングを前記円周方向に付勢して前記ファルクラムリングを前記プレッシャプレートに対して相対回転させる第2付勢部材と、
    を有し、
    前記第2摺動部には、前記円周方向に沿って傾斜する第2傾斜面が形成されており、
    前記第2付勢部材が、前記ファルクラムリングを、前記くさび部材の移動量に応じて回転させることによって、前記ファルクラムリングを、前記プレッシャプレートから離れる方向に移動させる、
    請求項1から3のいずれかに記載のクラッチカバー組立体。
  5. 前記プレッシャプレート及び前記ファルクラムリングそれぞれに形成され互いに当接して摺動する第2摺動部における第2傾斜面の傾斜角度が、前記対向部材及び前記くさび部材それぞれに形成され互いに当接して摺動する第1摺動部における第1傾斜面の傾斜角度より大きくなるように、前記第2摺動部の前記第2傾斜面は形成されている、
    請求項4に記載のクラッチカバー組立体。
  6. 前記くさび部材及び前記プレッシャプレートそれぞれには、互いに係合する凹凸部が形成されており、
    前記摩擦部材の摩耗量が所定の摩耗量に到達したときに、前記くさび部材の凹凸部と前記プレッシャプレートの凹凸部との係合が解除され、前記くさび部材の凹凸部は、前記円周方向に隣接する前記プレッシャプレートの凹凸部に係合する、
    請求項1から5のいずれかに記載のクラッチカバー組立体。
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