JP2003287057A - クラッチ装置 - Google Patents

クラッチ装置

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JP2003287057A
JP2003287057A JP2002092236A JP2002092236A JP2003287057A JP 2003287057 A JP2003287057 A JP 2003287057A JP 2002092236 A JP2002092236 A JP 2002092236A JP 2002092236 A JP2002092236 A JP 2002092236A JP 2003287057 A JP2003287057 A JP 2003287057A
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clutch
wear
clutch disc
release
axial
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JP2002092236A
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Norihisa Uenohara
範久 植之原
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Exedy Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価な構成で、摩耗補償機構を用いたクラッ
チカバー組立体においてクラッチディスクの摩耗限界を
運転者に知らせる。 【解決手段】 摩耗補償機構29は、クラッチディスク
4の摩耗が所定量に達するまではクラッチディスク4の
摩耗にかかわらずダイヤフラムスプリング27の姿勢を
一定に維持し、クラッチディスク4の摩耗が所定量に達
すると以降はダイヤフラムスプリング27の姿勢変化を
許容する。レリーズ機構28は、クラッチカバー組立体
1に係合しており、軸方向に移動してダイヤフラムスプ
リング27の押圧力を解除することでクラッチをレリー
ズする。摩耗限界警報装置71は、レリーズ機構28の
近傍に設けられクラッチディスク4の摩耗によるレリー
ズ機構28の軸方向位置を検出するセンサ73と、その
検出結果に基づいて摩耗限界警報を発生する警告ランプ
76とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラッチ装置、特
に、クラッチディスク摩耗限界警報装置の他に摩耗補償
機構も有するクラッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】クラッチカバー組立体は、エンジンのフ
ライホイールに装着され、フライホイールとの間でクラ
ッチディスクを挟持してエンジンの駆動力をトランスミ
ッション側に伝達するために用いられている。このよう
なクラッチカバー組立体及びクラッチディスクでは長寿
命化の要請が従来からある。
【0003】そこで、クラッチディスクにおいては、リ
ベット等を用いずにフェーシングをクッショニングプレ
ートに固定することによりフェーシングの有効使用厚み
を増加させている。また、クラッチカバー組立体におい
ては摩耗補償機構が設けられている。摩耗補償機構は、
フェーシングが摩耗した場合において例えばプレッシャ
ープレート側でダイヤフラムスプリングを支持する部分
を摩耗量だけトランスミッション側に移動させること
で、ダイヤフラムスプリングの姿勢を初期の姿勢に保
つ。この結果、ダイヤフラムスプリングのセット荷重は
常に初期荷重に自動的に復帰する。
【0004】前記従来の摩耗補償機構を用いたクラッチ
カバー組立体では、運転者は摩擦フェーシングの摩耗量
が限界に近づいたことを気付かない場合がある。これ
は、摩擦フェーシングが摩耗しても摩耗補償機構によっ
て摩耗が補償されてしまい、ペダル踏力が変化しないか
らである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、摩耗補償機構
を有するクラッチカバー組立体においても、運転者にク
ラッチディスクの摩耗限界を確実に知らせるための機構
が従来より開発されている。例えば、特開2000−3
20570号では、摩耗補償機構は、クラッチディスク
の摩耗が所定量に達するまではクラッチディスクの摩耗
にかかわらずダイヤフラムスプリングの姿勢を一定に維
持し、クラッチディスクの摩耗が所定量に達すると以降
はダイヤフラムスプリングの姿勢変化を許容する。さら
に、この装置は、摩耗補償機構が摩耗調整を停止した後
にダイヤフラムスプリングの姿勢変化に伴いオンされる
スイッチを、オペレーティングシリンダ内に配置してい
る。
【0006】しかし、上記の構造では、スイッチ付きの
特別なオペレーティングシリンダを用意しなければなら
ないため、コストが高くなってしまう。本発明の課題
は、安価な構成で、摩耗補償機構を用いたクラッチカバ
ー組立体においてクラッチディスクの摩耗限界を運転者
に知らせることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のクラッ
チ装置は、車両のフライホイールからのトルクを断接す
るためのものであって、クラッチディスク組立体と、ク
ラッチカバー組立体と、摩耗補償機構と、レリーズ部材
と、摩耗限界警報装置とを備えている。クラッチディス
ク組立体は、フライホイールに近接したクラッチディス
クを有する。クラッチカバー組立体は、クラッチディス
クをフライホイールに押し付けることでクラッチ連結を
行うためのものであって、フライホイールに装着された
クラッチカバーと、クラッチカバーに一体回転するよう
にかつ軸方向に移動可能に連結されクラッチディスクに
対向するプレッシャープレートと、クラッチカバーに支
持され前記プレッシャープレートに押圧力を付与するた
めの押圧部材とを有する。摩耗補償機構は、クラッチデ
ィスクの摩耗が所定量に達するまではクラッチディスク
の摩耗にかかわらず押圧部材の姿勢を一定に維持し、ク
ラッチディスクの摩耗が所定量に達すると以降は押圧部
材の姿勢変化を許容する。レリーズ部材は、クラッチカ
バー組立体に係合しており、軸方向に移動して押圧部材
の押圧力を解除することでクラッチをレリーズする。摩
耗限界警報装置は、レリーズ部材の近傍に設けられクラ
ッチディスクの摩耗によるレリーズ部材の軸方向位置を
検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて摩耗限
界警報を発生する警報部とを有する。
【0008】このクラッチ装置では、摩耗補償機構が付
勢部材の姿勢変化を許容すると、その姿勢変化から検出
機構がクラッチディスクの摩耗量を検出する。このよう
に摩耗補償機構が途中から押圧部材の姿勢変化を許容す
ることによって、クラッチディスクの摩耗限界を運転者
に知らせることができる。特に、このクラッチディスク
摩耗検出装置では、摩耗警報装置の検出部は、レリーズ
部材の近傍に設けられてレリーズ部材の軸方向位置を検
出することでクラッチディスクの摩耗量を測定している
ため、構造が簡単になり、安価になる。
【0009】請求項2に記載のクラッチ装置では、請求
項1において、検出部は、レリーズ部材に対して軸方向
に対向して配置され、レリーズ部材との軸方向距離を測
定することによってクラッチディスクの摩耗によるレリ
ーズ部材の軸方向位置変化を検出する。請求項3に記載
のクラッチ装置は、請求項1において、レリーズ部材を
駆動するために回動自在に支持されたレリーズフォーク
をさらに備えている。検出部は、レリーズフォークの回
動角度を測定することによって、クラッチディスクの摩
耗によるレリーズ部材の軸方向位置変化を検出する。
【0010】このクラッチ装置では、検出部の取り付け
が容易であり、故障時の点検がしやすい。
【0011】
【発明の実施の形態】1.第1実施形態 (1)構成 図1及び図2は、本発明の一実施形態が採用されたクラ
ッチカバー組立体1を示している。図1において、左側
に図示しないエンジンが配置され、右側に図示しないト
ランスミッションが配置されている。図1における直線
O−Oがクラッチの回転軸線である。また、図2におけ
る矢印R1がクラッチの回転方向であり、矢印R2が後
述する回転プレート32の摩耗調整時における回転方向
である。
【0012】クラッチカバー組立体1は、車両のエンジ
ンのフライホイール2から伝達されたトルクを、クラッ
チディスク組立体3に伝達または遮断するための装置で
あり、フライホイール2に取り付けられる。このクラッ
チカバー組立体1は、いわゆるプルタイプ式(ダイヤフ
ラムスプリングの内周縁を軸方向トランスミッション側
に引き出すことでクラッチレリーズを行う形式)であ
る。
【0013】クラッチディスク組立体3は、クラッチデ
ィスク4と、クラッチディスク4にコイルスプリング6
を介して連結されたハブ7とから主に構成されている。
クラッチディスク4は、1対の円板状摩擦フェーシング
11と、その間に配置されたクッショニングプレート1
2と、両者を互いに固定するリベット13とから構成さ
れている。クラッチディスク4はフライホイール2の摩
擦面2aに近接して配置されている。
【0014】クラッチカバー組立体1は、主に、クラッ
チカバー21と、プレッシャープレート22と、フルク
ラムリング23と、ダイヤフラムスプリング27と、ス
トラッププレート26と、レリーズ機構28と、摩耗補
償機構29(付勢機構24、規制機構25)とから構成
されている。クラッチカバー21は、フライホイール2
に取り付けられる皿形状の部材である。クラッチカバー
21は、クラッチディスク組立体3のトランスミッショ
ン側に対向する円板状部材であり、内周側部21aと、
外周側部21bとを有している。外周側部21bは図示
しない部材を介してフライホイール2の外周部に固定さ
れている。さらに、外周側部21bの外周部には、図1
0に示すように、円周方向に等間隔で並んだ複数の(4
つの)第1軸方向孔21dと、その回転方向R2側に並
んだ第2軸方向孔21eが形成されている。
【0015】プレッシャープレート22は、クラッチデ
ィスク4とクラッチカバー21の円板状部分との間でク
ラッチディスク4に近接して配置されている。プレッシ
ャープレート22は環状の部材であり、鋳鉄などから作
られている。プレッシャープレート22は、クラッチデ
ィスク4に対向する摩擦面22aと、クラッチカバー2
1に対向する第2側面22bとを有している。プレッシ
ャープレート22の第2側面22bにおいて、半径方向
中間部分には環状に延びる細い溝22cが形成されてい
る。この溝22c内に、後述する付勢機構24が設けら
れている。さらに、プレッシャープレート22の外周面
には、さらに半径方向外側に延びる複数の(4つの)突
出部22dが形成されている。突出部22dは、クラッ
チカバー21の軸方向孔21d,21eに対応してい
る。
【0016】ストラッププレート26は、プレッシャー
プレート22をクラッチカバー21に対して連結するた
めの部材である。各ストラッププレート26は、軸方向
に重ねて並べられた複数の細長い板状弾性部材からな
り、円周方向に等間隔で4箇所に設けられている。各ス
トラッププレート26は、図9に示すように、回転方向
R1側端がリベット42によってクラッチカバー21の
端部に固定されており、回転方向R2側端がボルト43
によってプレッシャープレート22の突出部22dに固
定されている。これにより、プレッシャープレート22
は、クラッチカバー21に対して軸方向に移動可能であ
るが、一体回転するようになっている。なお、クラッチ
連結中には、ストラッププレート26は、プレッシャー
プレート22に対してフライホイール2側から離れるよ
うに付勢力を与えている。なお、ボルト43は、突出部
22dの第1ボルト孔22eに螺合し、さらにクラッチ
カバー21の第1軸方向孔21dを通って軸方向トラン
スミッション側に延びている。ボルト43の軸方向トラ
ンスミッション側端には、頭部43aが形成されてい
る。頭部43aは、第1軸方向孔21dより径が大き
く、さらにクラッチカバー21の軸方向トランスミッシ
ョン側面から所定距離だけ軸方向に離れている。
【0017】クラッチディスク4の摩耗量が所定量に達
するとフルクラムリング23の移動を停止するための摩
耗補償動作停止機構90として、図4に示すように、板
部材91が設けられている。板部材91は、一端がボル
ト92によってプレッシャープレート22の第2側面2
2bに固定されており、他方の端部91aがファルクラ
ムリング23のダイヤフラムスプリング27側に形成さ
れた切り欠き隙間内に延びている。板部材91の端部9
1aとファルクラムリング23の切り欠き隙間の底面2
3dとの軸方向間は、距離Aとなっている。この距離A
がフルクラムリング23がプレッシャープレート22に
対して軸方向に移動可能な量であり、これ以上クラッチ
ディスク4が摩耗した場合にはダイヤフラムスプリング
27の姿勢が変化することを意味する。隙間の距離Aの
大きさは、クラッチディスク4の全摩耗量より小さくな
っている。例えば、全摩耗量が5mmであれば隙間の距
離Aは4mmである。
【0018】フルクラムリング23は、ダイヤフラムス
プリング27からの荷重を受け、プレッシャープレート
22とともにフライホイール2側に移動するための部材
である。フルクラムリング23は、半径方向幅が短い筒
状の部材であり、プレッシャープレート22の第2側面
22bに形成された溝22c内に配置されている。フル
クラムリング23とプレッシャープレート22の溝22
cとの軸方向間には所定の間隔が確保されている。フル
クラムリング23の軸方向トランスミッション側の側面
は平坦な形状であるが、図5に示すように、円周方向に
等間隔で4カ所にわずかに凹んだ凹部23bが形成され
ている。
【0019】摩耗補償機構29は、摩擦フェーシング1
1の摩耗量に応じてフルクラムリング23をプレッシャ
ープレート22に対して軸方向トランスミッション側に
移動させて、ダイヤフラムスプリング27の姿勢を維持
するための機構であり、付勢機構24と、規制機構25
とを備えている。付勢機構24は、プレッシャープレー
ト22の溝22cとフルクラムリング23との間に配置
されている。付勢機構24は、フルクラムリング23に
対してプレッシャープレート22から離れる方向(軸方
向トランスミッション側)にオフセット加重を与えるた
めの機構である。付勢機構24は、主に、フルクラムリ
ング23と回転プレート32と複数のリターンスプリン
グ33とから構成されている。フルクラムリング23の
軸方向エンジン側面には、円周方向に所定距離だけ延び
る複数の第1傾斜面23aが形成されている。図14に
示すように、フルクラムリング23の第1傾斜面23a
はR2方向端が高くなっており(エンジン側に突出して
いる)、R1方向端が低くなっている。回転プレート3
2は、筒状の部材であり、溝22c内で円周方向に移動
自在に配置されている。回転プレート32の軸方向エン
ジン側の側面は平坦な形状であり、溝22cの底面に当
接している。回転プレート32の軸方向トランスミッシ
ョン側の側面には、円周方向に所定距離だけ延びる複数
の第2傾斜面32aが軸方向トランスミッション側面に
形成されている。回転プレート32の第2傾斜面32a
は第1傾斜面23aに対して相補的に当接するように形
成・配置されており、両者によってくさび機構を構成し
ている。
【0020】リターンスプリング33は、引っ張りコイ
ルばねであって、回転プレート32をフルクラムリング
23に対して回転方向R2側に引っ張っている。この結
果、回転プレート32にはリターンスプリング33から
回転方向R2側への荷重を与えられている。この結果、
フルクラムリング23は、回転プレート32から軸方向
トランスミッション側すなわち回転プレート32から軸
方向に離れる側に荷重(付勢機構24のオフセット荷
重)を与えられている。後述するクラッチ摩耗補償時に
おいてダイヤラムスプリング27がフルクラムリング2
3から離れていくときには、図15に示すように、回転
プレート32はプレッシャープレート22及びフルクラ
ムリング23に対して回転方向R2側に移動し、フルク
ラムリング23はプレッシャープレート22及び回転プ
レート32に対して軸方向トランスミッション側に移動
する。
【0021】なお、以上に述べた付勢機構24を摩耗補
償動作停止機構93として機能させてもよい。例えば、
図14に示すように、回転プレート32には、各傾斜面
32aの回転方向R1側に回転方向R2側を向く当接面
32cが形成されている。また、ファルクラムリング2
3の各傾斜面23aの回転方向R2側に回転方向R1側
を向く当接面23cが形成されている。各当接面23c
と各当接面32cは回転方向に対向しており、回転プレ
ート32の回転が進行するとやがて当接するようになっ
ている。この当接後は、回転プレート32は回転不能と
なるため、ファルクラムリング23は軸方向に移動しな
い。
【0022】規制機構25は、摩擦フェーシング11に
摩耗がないときはフルクラムリング23が軸方向に移動
するのを禁じ、摩擦フェーシング11が摩耗するとその
摩耗量を検出し、摩耗量に応じてフルクラムリング23
が軸方向に移動するのを許す。より具体的には、規制機
構25は、プレッシャープレート22の切れ制限機構で
あって、クラッチレリーズ時にプレッシャープレート2
2がクラッチディスク4の摩擦フェーシングから離れる
方向に移動するのを制限する。規制機構25は、プレッ
シャープレート22の突出部22dに設けられている。
規制機構25は、ボルト45と、ブッシュ46とから構
成されている。ボルト45は突出部22dの第2ボルト
孔22fに螺合している。ボルト45は、クラッチカバ
ー21の外周側部21bの第2軸方向孔21eを軸方向
トランスミッション側に延びている。ブッシュ46は、
ボルト45の胴部の外周面に摩擦係合するともに、クラ
ッチカバー21の第2軸方向孔21eに対して所定距離
だけ軸方向に移動可能に係合する筒状の部材である。ブ
ッシュ46の軸方向トランスミッション側端にはスナッ
プリング47が固定されている。スナップリング47の
径は第2軸方向孔21eの径より大きく、さらにスナッ
プリング47はクラッチカバー21の軸方向トランスミ
ッション側面に当接している。ブッシュ46の軸方向エ
ンジン側端には、外周側に延びるフランジ48が形成さ
れている。フランジ48は円板状部分48aと、その外
周縁から軸方向トランスミッション側に延びる筒状部4
8bとから構成されている。フランジ48とクラッチカ
バー21の軸方向エンジン側面との間には所定の隙間が
確保されている。この隙間の軸方向長さが、プレッシャ
ープレート22がクラッチ連結状態とクラッチレリーズ
状態との間でクラッチカバー21に対して移動可能な距
離(切れ代)となっている。また、このフランジ48の
軸方向エンジン側面にはコーンスプリング49が配置さ
れている。コーンスプリング49の外周縁は、筒状部4
8bの内周面に固定されたスナップリング50によって
円板状部分48aに固定されている。コーンスプリング
49の内周縁は、円板状部分48aから軸方向に離れた
位置にあり、ボルト45の胴部に当接している。ボルト
45がブッシュ46に対して軸方向エンジン側に移動し
ようとする場合(クラッチ連結時に摩擦フェーシング1
1に摩耗が生じた場合)は、ボルト45に対してブッシ
ュ46からスライド荷重が作用する。また、ボルト45
がブッシュ46に対して軸方向トランスミッション側に
移動しようとする場合(クラッチレリーズ時においてブ
ッシュ46がクラッチカバー21に当接した以降)は、
ボルト45に対してブッシュ46からスライド荷重が作
用し、さらにコーンスプリング49は内周縁がボルト4
5に対して食い込む。このため、後者の場合にボルト4
5に作用するロック荷重は、前者のスライド荷重より大
幅に大きくなっている。このように、ボルト45とブッ
シュ46は、コーンスプリング49によって、軸方向移
動向きによってプレッシャープレート22に対してクラ
ッチカバー21から作用する抵抗が変化するワンウェイ
ロック機構を構成している。なお、ボルト45の先端に
は頭部45aが形成されており、頭部45aはブッシュ
46の軸方向トランスミッション側面から所定距離だけ
離れている。
【0023】ダイヤフラムスプリング27は、クラッチ
カバー21に支持され、フルクラムリング23を介して
プレッシャープレート22をフライホイール2側に押圧
するための部材である。ダイヤフラムスプリング27は
概ね円板形状である。ダイヤフラムスプリング27は、
外周側に環状の弾性部27aを有し、弾性部27aから
は内周側に多数のレバー部27bが延びている。すなわ
ち、ダイヤフラムスプリング27には大径の中心孔が形
成されその内周縁から放射状に延びる複数のスリット2
7cが形成されている。スリット27cの半径方向外側
端すなわちレバー部27bの根元部分には、スリット2
7cより円周方向幅の広い小判孔27dが形成されてい
る。ダイヤフラムスプリング27の外周部はクラッチカ
バー21に支持されている。より具体的には、弾性部2
7aの外周縁部分の軸方向トランスミッション側面はク
ラッチカバー21の支持部21fによって支持され、弾
性部27aの内周縁部分の軸方向エンジン側面はフルク
ラムリング23の軸方向トランスミッション側の面に支
持されている。このようにして、ダイヤフラムスプリン
グ27は、クラッチカバー21に支持されて、フルクラ
ムリング23及びプレッシャープレート22に対して軸
方向エンジン側にセット荷重を与えている。さらに、ダ
イヤフラムスプリング27の小判孔27d内には、クラ
ッチカバー21の内周縁から軸方向エンジン側に延びる
複数の係合突起21cが挿入されている。この係合によ
って、ダイヤフラムスプリング27はクラッチカバー2
1と一体回転するようになっている。
【0024】レリーズ機構28は、ダイヤフラムスプリ
ング27によるプレッシャープレート22への押圧力を
解除してクラッチのレリーズを行うための装置である。
レリーズ機構28は、レリーズベアリング53等から構
成されている。レリーズベアリング53は、メインドラ
イブシャフト(図示せず)の回りに軸方向に移動自在に
配置され、インナーレースとアウターレースと両レース
間に配置された複数の転動体とから構成されている。レ
リーズベアリング53のインナーレースは、図1示すよ
うに、ダイヤフラムスプリング27の内周端に軸方向エ
ンジン側から当接している。
【0025】ダイヤフラムスプリング27は、図1の実
線で示すクラッチ連結状態と、図1の2点鎖線で示すよ
うにレバー部27bの先端がレリーズベアリング53に
よって軸方向トランスミッション側に引き出されたクラ
ッチレリーズ状態との間で姿勢を変化させることができ
る。レリーズベアリング53が最も軸方向エンジン側に
移動した状態を最大レリーズ状態といい、このときにダ
イヤフラムスプリング27の先端は最大ストローク点
(フライホイール2の摩擦面から一定距離のポイント又
はトランスミッション壁より一定距離のポイント)まで
移動している。この最大レリーズ状態となる瞬間に、図
11に示すように規制機構25のブッシュ46がクラッ
チカバー21に当接してプレッシャープレート22は移
動を停止させられる。したがって、最大レリーズ状態に
おいては、フルクラムリング23の軸方向トランスミッ
ション側の面はダイヤフラムスプリング27に当接して
いる。
【0026】リーフスプリング35は、プレッシャープ
レート22及びフルクラムリング23を互いに軸方向に
接近するように付勢するための薄板状の弾性部材であ
る。リーフスプリング35は、プレッシャープレート2
2の凹部22gにそれぞれ配置されている。すなわち、
4枚のリーフスプリング35が、プレッシャープレート
22上に円周方向等間隔で配置されている。各凹部22
gは、突出部22dの回転方向R1側に近接して形成さ
れており、溝22cから外周縁まで連続している。各凹
部22gは、円周方向に一定の幅を有しており、しかも
摩擦面22aに平行な平坦な形状になっている。リーフ
スプリング35は、図5に示すように、平坦な固定部3
5aと、その半径方向内側から軸方向トランスミッショ
ン側に逆Sの字状に湾曲して延びる第1湾曲部35b
と、その端部から半径方向内側に直線状に延びるストレ
ート部35cと、その先端から軸方向トランスミッショ
ン側でかつ半径方向外方に湾曲して延びる第2湾曲部3
5dとから構成されている。リーフスプリング35の固
定部35aは、ボルト36によってプレッシャープレー
ト22の第2側面22bの凹部22gに固定されてい
る。固定部35a及び第1湾曲部35bは円周方向両側
縁が平行に延びているが、ストレート部35cは、図1
6に示すように、半径方向内側に向かって円周方向両側
縁が接近するようになっている。すなわち、ストレート
部35cは半径方向内側にいくにしたがって円周方向幅
が短くなっている。ストレート部35cの先端は、フル
クラムリング23の軸方向トランスミッション側の側面
に形成された凹部23b内を延び、フルクラムリング2
3の半径方向内側まで延びている。第2湾曲部35dは
ダイヤフラムスプリング27の小判孔27d内を軸方向
トランスミッション側に延びており、その先端はダイヤ
フラムスプリング27の弾性部27aの内周縁の軸方向
トランスミッション側面(すなわち弾性部27aがフル
クラムリング23を押圧している部分の反対側面)に当
接している。この状態で、リーフスプリング35は、プ
レッシャープレート22とフルクラムリング23に対し
て軸方向に互いに近づくようにプリロードを与えてい
る。特に、リーフスプリング35は、フルクラムリング
23に対して、ダイヤフラムスプリング27を介して付
勢力を与えている。なお、フルクラムリング23は、凹
部23bにリーフスプリング35が係合することで、プ
レッシャープレート22と一体回転するようになってい
る。
【0027】レリーズ機構28は運転席のペダル操作に
よってフライホイール2からの動力伝達を遮断するため
の機構である。具体的には、レリーズ機構28はダイヤ
フラムスプリング27の内周部を軸方向トランスミッシ
ョン側に引き出すことでレリーズを行う。レリーズ機構
28はレリーズベアリング53と、スリーブケース54
と、レリーズフォーク(図示せず)とから構成されてい
る。レリーズベアリング53は、インナーレースと、ア
ウターレースと、複数の球状の転動体とから構成されて
いる。インナーレースは軸方向に長く延びる筒状部材で
あり、その軸方向エンジン端には、ダイヤフラムスプリ
ング27の内周縁の軸方向エンジン側面に当接する環状
部材が固定されている。スリーブケース54は、レリー
ズベアリング53を収納するベアリングハウジングとし
て機能する部材であり、アウターレースに固定されてい
る。また、スリーブケース54は、図示しないレリーズ
フォークに係合しており、レリーズフォークが回動する
とそれに伴い軸方向トランスミッション側に移動し、ダ
イヤフラムスプリング27の内周縁を軸方向トランスミ
ッション側に引き出す。
【0028】図17を用いて、本発明に係る磨耗限界警
報装置71について説明する。摩耗限界警報装置71
は、レリーズ機構28の軸方向位置の変化に基づいて摩
耗限界を検出し、さらに警報を運転者に知らせるための
装置である。磨耗限界警報装置71は、検出器であるセ
ンサ73と、アンプユニット74と、CPU75と、警
告ランプ76とから構成されている。
【0029】センサ73は、スリーブケース54との軸
方向の距離を検出するためのものであり、例えばレーザ
ーを発射し、スリーブケース54からの反射によって軸
方向距離を検出するセンサである。なお、センサ73の
種類としては、レーザーセンサに限定されず、超音波セ
ンサや渦電流センサであっても良い。センサ73は、ク
ラッチ装置の外周側及び軸方向トランスミッション側を
覆うハウジング78に固定されている。より正確には、
センサ73は、ハウジング78の中心付近において、ス
リーブケース54の外周部に対向する位置に固定されて
いる。
【0030】アンプユニット74は、センサ73からの
検出信号をCPU75に送信し、またCPU75からの
指令に基づいてセンサ73を駆動するための装置であ
る。CPU75は、検出結果に基づいて磨耗限界に達し
たと判断すると、警告ランプ76を点灯させる。 (2)動作 〔クラッチ連結〕クラッチ連結状態では、ダイヤフラム
スプリング27がフルクラムリング23をエンジン側に
付勢している。これにより、図5及び図10に示すよう
に、プレッシャープレート22はフライホイール2との
間にクラッチディスク組立体3のクラッチディスク4を
挟持している。
【0031】〔クラッチレリーズ〕クラッチレリーズ時
には、レリーズ機構28を軸方向トランスミッション側
に移動する。すると、ダイヤフラムスプリング27のレ
バー部27bの先端が軸方向トランスミッション側に引
き出され、弾性部27aからフルクラムリング23への
押圧力が解除される。
【0032】すると、ストラッププレート26の反力に
より、図6に示すように、プレッシャープレート22及
びフルクラムリング23が軸方向トランスミッション側
に移動する。この結果、プレッシャープレート22から
クラッチディスク組立体3のクラッチディスク4に対す
る押圧力が解除される。さらにダイヤフラムスプリング
27の姿勢が変化し最大レリーズ状態になると、図11
に示すように、規制機構25のブッシュ46のフランジ
48がクラッチカバー21に当接し、プレッシャープレ
ート22の軸方向移動は停止する。
【0033】〔磨耗発生〕クラッチ連結時に摩擦フェー
シング11が摩耗すると、図7及び図12に示すよう
に、プレッシャープレート22及びフルクラムリング2
3が摩耗量だけフライホイール2側に移動する。このと
き、規制機構25のボルト45はプレッシャープレート
22とともに軸方向エンジン側に移動する。しかし、ブ
ッシュ46は、スナップリング47がクラッチカバー2
1に当接しているため、軸方向エンジン側に移動不能で
ある。そのため、ボルト45はブッシュ46に対して摺
動しながら軸方向に移動する。
【0034】次にクラッチレリーズ動作を行うと、スト
ラッププレート26の反力によって、プレッシャープレ
ート22とフルクラムリング23はともに軸方向トラン
スミッション側に移動する。ブッシュ46のフランジ4
8がクラッチカバー21に当接すると、プレッシャープ
レート22の軸方向移動は停止する。この動作において
プレッシャープレート22のクラッチカバー21に対す
る軸方向移動量は非摩耗動作時と同一であるが、プレッ
シャープレート22のクラッチカバー21に対する軸方
向移動停止位置は摩耗量だけ軸方向エンジン側にずれて
いる。以上より、プレッシャープレート22の軸方向移
動停止時においてクラッチは最大レリーズ状態になって
おらず、それ以降さらにダイヤフラムスプリング27は
レリーズ機構28によって姿勢を変化させられていく。
このとき、ダイヤフラムスプリング27がリーフスプリ
ング35の一端を軸方向エンジン側に引き上げていき、
これにより、リーフスプリング35からフルクラムリン
グ23に付与されるクリップ荷重が解除される。この結
果、フルクラムリング23が付勢機構24からのオフセ
ット荷重によってプレッシャープレート22から離れて
いく。このとき、フルクラムリング23は軸方向トラン
スミッション側面がダイヤフラムスプリング27に当接
した状態を続けており、両者の間に隙間は形成されな
い。ダイヤフラムスプリング27の先端が最大ストロー
ク点まで移動すると(最大レリーズ時)、フルクラムリ
ング23の分離移動は停止する。
【0035】次にクラッチ連結動作を行うと、フルクラ
ムリング23は摩耗前と同じ軸方向位置に復帰してお
り、その結果、ダイヤフラムスプリング27の押圧姿勢
も変化せず、押圧荷重の変化もない。このようにフルク
ラムリング23はダイヤフラムスプリング27によって
軸方向の移動を制限されている。したがって、摩擦フェ
ーシング11の摩耗のみならず、各部の支点摩耗まで含
めて摩耗調整が行わることになり、その結果、各部の支
点摩耗が生じてもダイヤフラムスプリング27の姿勢・
位置が一定に保たれる。
【0036】また、クラッチレリーズ状態でクラッチカ
バー組立体1に軸方向に振動が入力された場合に、リー
フスプリング35がプレッシャープレート22とフルク
ラムリング23とを軸方向に互いに接近するように付勢
しているため、プレッシャープレート22がフルクラム
リング23から離れにくい。したがって、摩耗量のオー
バーアジャストが生じにくい。
【0037】以上の構造において、クラッチディスク4
に摩耗が生じても摩耗補償機構29によって、ダイヤフ
ラムスプリング27の内周縁の軸方向位置は変化せず、
すなわちレリーズ機構28のレリーズベアリング53や
スリーブケース54の軸方向位置が変化しない。しか
し、ファルクラムリング23の底部23dが板部材91
の端部91aに当接して摩耗補償機構29の動作を停止
させ、それ以降にクラッチディスク4における磨耗量が
増大していくと、クラッチ連結時におけるレリーズ機構
28つまりスリーブケース54の軸方向位置は軸方向エ
ンジン側に変化していく。センサ73はスリーブケース
54の軸方向位置の検出を続け、磨耗量が磨耗限界に達
するとCPU75は警告ランプ76を点灯させる。この
警告ランプ76を見ることで、運転者はクラッチディス
ク4が摩耗限界に達したことを知ることができる。以上
の結果、摩耗補償機構29によって長期間にわたってダ
イヤフラムスプリング27の姿勢が変化しない構造にお
いても、運転者が容易にクラッチディスク4の交換時期
を知ることができる。
【0038】ダイヤフラムスプリング27のレバー比を
5とすると、摩耗追従停止後のクラッチディスク4の摩
耗量が1mmであるとダイヤフラムスプリング27のレ
バー高さの変化は5mmとなる。したがってレリーズ機
構28の移動量も5mmであり、確実にクラッチディス
ク4の摩耗を検出できる。この実施形態では、摩耗限界
警報装置71のセンサ73は、レリーズ機構28のスリ
ーブケース54の近傍に設けられてスリーブケース54
の軸方向位置を検出することでクラッチディスク4の摩
耗量を測定しているため、構造が簡単になり、安価にな
る。これとは異なり、従来のようにオペレーティングシ
リンダ内にスイッチを設ける構造では、特別なシリンダ
を用意しなければならないため、高価になってしまう。
【0039】(3)軸方向の荷重関係 以下に、クラッチカバー組立体1における各部分に軸方
向に作用する荷重について詳細に説明する。なお、説明
における実際の数字は、実現可能な一例における荷重の
大きさ関係の理解を容易にするために用いられるのであ
って、それらに本発明が限定されるものではない。
【0040】ダイヤフラムスプリング27によるセット
荷重は30000Nであって、これは初期状態でも全摩
耗状態でも変化しない。ストラッププレート26のオフ
セット荷重(最大レリーズ時)は、初期状態において1
25N×4箇所=500Nであり、全摩耗状態において
375N×4箇所=1500Nである。リーフスプリン
グ35によるクリップ荷重(レリーズ量無関係)は、初
期状態において450N×4箇所=1800Nであり、
全摩耗状態において1100N×4箇所=4400Nで
ある。付勢機構24によるオフセット荷重は、初期状態
において500Nであり、全摩耗状態において250N
である。
【0041】規制機構25において、クラッチ連結中に
摩耗によってボルト45がブッシュ46に対して軸方向
エンジン側に移動する際にブッシュ46から作用するス
ライド荷重は、セット荷重のロスとなるので小さいほど
いいが、振動で容易にずれることがないようにある程度
の大きさは必要であり、1箇所当たりは250Nであ
る。
【0042】規制機構25において、クラッチレリーズ
中にブッシュ46がクラッチカバー21に対して当接し
た後に、ボルト45に対して作用するロック荷重は、コ
ーンスプリング49がボルト45の胴部に食い込んでい
るため、1箇所当たり2000N以上と大変大きくなっ
ている。これに対して、最大レリーズ時においてワンウ
ェイロック1箇所にかかる最大荷重は、1100N(リ
ーフスプリング35によるクリップ荷重)+375N
(ストラッププレート26によるオフセット荷重)=1
475Nである。このようにロック荷重がワンウェイロ
ックにかかる最大荷重よりも十分大きいために、リーフ
スプリング35を用いることでワンウェイロックに作用
する最大荷重が従来よりも大きくなっているにもかかわ
らず、ワンウェイロックは正常に機能する。
【0043】プレッシャープレート22とフルクラムリ
ング23の分離を防ぐ荷重は、450N×4箇所(リー
フスプリング35によるクリップ荷重)+125N×4
箇所(ストラッププレート26によるオフセット荷重)
=2300Nである。一方、付勢機構24によるオフセ
ット荷重500Nはプレッシャープレート22とフルク
ラムリング23の分離を促進する方向に作用するため、
最終的にプレッシャープレート22とフルクラムリング
23の分離を防ぐ荷重の大きさは、2300N−500
N=1800Nである。このことから、仮にプレッシャ
ープレート22の質量を22.5kgとすると、プレッ
シャープレート22に作用しても分離が生じない最大加
速度は、1800N÷(22.5kg×9.81)=
8.2Gとなる。以上に述べたように、リーフスプリン
グ35によってクリップ荷重を新たに発生させることに
よって、クラッチレリーズ時にプレッシャープレート2
2がフルクラムリング23から分離しにくくなってい
る。
【0044】リーフスプリング35のクリップ荷重は、
プレッシャープレート22とフルクラムリング23の分
離防止という観点から大きければ大きい方がよい。しか
し、クリップ荷重は、ワンウェイロックの耐荷重能力や
クリップ応力の点から制限される必要がある。また、ク
リップ荷重はレリーズ荷重を増加させてしまう。レリー
ズ荷重の増加分は、クラッチレバー比を4.34とする
と、1100N(リーフスプリング35のクリップ荷
重)×4÷4.34=1014Nとなる。ただし、レリ
ーズ荷重の増加分は、摩耗調整が完了した直後にはほと
んど感じられない。
【0045】2.第2実施形態 図18〜図23を用いて、本発明に係るクラッチ装置の
第2実施形態について説明する。クラッチカバー組立体
1、フライホイール2、クラッチディスク組立体3、レ
レリーズ機構28等の基本的な構造は前記実施形態と同
様であるため、詳細な説明を省略する。
【0046】レリーズフォーク81は、レリーズ機構2
8を軸方向に移動させるための機構である。レリーズフ
ォーク81は、一対のアーム81aと、その一端が固定
された筒状部81bとから構成されている。一対のアー
ム81aは、筒状部81bから半径方向内側に延び、レ
リーズ機構28のスリーブケース54(レリーズハウジ
ング)の外周側突起54aに対して軸方向エンジン側か
ら当接している。レリーズフォーク81の筒状部81b
内には、クロスシャフト82が挿通状態で固定されてい
る。クロスシャフト82は、ハウジング88の前壁部に
形成された支持部よって回動自在に支持されている。ク
ロスシャフト82の一端にはレバー83が固定されてい
る。レバー83は、図20及び図21に示すように、ク
ロスシャフト82から半径方向外方に延びる板状部材で
あり、例えばクラッチケーブル等に連結されている。
【0047】クロスシャフト82の他端には、図22に
示すようなロータリースイッチ84が装着されている。
ロータリースイッチ84は、レリーズフォーク81の回
動を介してレリーズ機構28の軸方向位置を検出するこ
とで、クラッチディスク4の摩耗限界を検出するための
センサである。ロータリースイッチ84は、後述する接
点同士が接続されると、図示しない警告ランプを点灯さ
せるようになっている。ロータリースイッチ84は、外
側部材85と、内側部材86と、駆動部材87とから構
成されている。外側部材85は筒状の部材であり、その
内周縁に半径方向に対向する2つの第1接点85aを有
している。外側部材85は図示しない構造によってハウ
ジング88に固定され、回転不能となっている。内側部
材86は、円柱形状の部材であり、外側部材85の内部
に配置されている。内側部材86の外周面は外側部材8
5の内周面に当接しており、摩擦によって係止されてい
るが、相対回転可能である。内側部材86は、その外周
面に、半径方向に対向する2つの第2接点86aを有し
ている。第2接点86aは第1接点85aに対応するよ
うに配置され各対を構成しているが、それぞれ図22に
おいて時計回り側に同じ角度だけずれている。内側部材
86には、中心部を貫通する孔86bが形成されてい
る。孔86bの形状は、中心から半径方向両側に長く延
びる形状であり、延びている各部分は両端が半径方向外
側にいくにしたがって間隔が広くなる縁面を形成してい
る。駆動部材87は、内側部材86の孔86b内に配置
されている。駆動部材87は、クロスシャフト82の端
部に一体に固定された部材であり、クロスシャフト82
の回動によって内側部材86を駆動する機能を有してい
る。駆動部材87は、孔86b内で孔86bに沿って半
径方向に延びる形状を有している。ただし、駆動部材8
7は両縁間の幅が均一であり、かつ、両縁は孔86bの
両縁から離れているため、駆動部材87は内側部材86
に対して所定角度内で回動自在になっている。なお、駆
動部材87が内側部材86に対して回転方向のいずれ側
に捩じれたとしても、駆動部材87の縁が孔86bの縁
に対して比較的広い面積で当接するようになっている。
【0048】駆動部材87の回転方向は以下のように設
定されている。クラッチ最大レリーズ時には、駆動部材
87は、レリーズフォーク81及びクロスシャフト82
の回動に伴って、図22において最も時計回り側に回動
している。クラッチ連結時には、駆動部材87は、レリ
ーズフォーク81及びクロスシャフト82の回動に伴っ
て、図22において最も反時計回り側に回動しており、
駆動部材87の各縁は孔86bの各縁に当接している。
【0049】以上の構造において、クラッチディスク4
に摩耗が生じても摩耗補償機構29によって、ダイヤフ
ラムスプリング27の内周縁の軸方向位置は変化せず、
すなわちレリーズ機構28のレリーズベアリング53や
スリーブケース54の軸方向位置が変化しない。しか
し、ファルクラムリング23の底部23dが板部材91
の端部91aに当接して摩耗補償機構29の動作を停止
させ、それ以降にクラッチディスク4における磨耗量が
増大していくと、クラッチ連結時におけるレリーズ機構
28つまりスリーブケース54の軸方向位置は軸方向エ
ンジン側に変化していく。それに伴い、クラッチ連結時
におけるレリーズフォーク81の回転角度は大きくなっ
ていく。
【0050】この結果、クラッチディスク4に摩耗が発
生するにつれて、ロータリースイッチ84では駆動部材
87が内側部材86を図22において反時計回り方向に
回転させていく。やがて、クラッチディスク4が摩耗限
界に達すると、外側部材85の第1接点85aに対して
内側部材86の第2接点86aが接続され、この結果図
示しない警告ランプが点灯される。この警告ランプを見
ることで運転者はクラッチディスク4が摩耗限界に達し
たことを知ることができる。
【0051】以上の結果、摩耗補償機構29によって長
期間にわたってダイヤフラムスプリング27の姿勢が変
化しない構造においても、運転者が容易にクラッチディ
スク4の交換時期を知ることができる。この実施形態で
は、摩耗限界警報装置のロータリースイッチ84は、レ
リーズ機構28のスリーブケース54の近傍に設けられ
てスリーブケース54の軸方向位置を検出することでク
ラッチディスク4の摩耗量を測定しているため、構造が
簡単になり、安価になる。これとは異なり、従来のよう
にオペレーティングシリンダ内にスイッチを設ける構造
では、特別なシリンダを用意しなければならないため、
高価になってしまう。
【0052】本発明は前記実施形態に限定されない。特
に、本発明は、前記実施形態で説明したクラッチカバー
組立体、クラッチディスク組立体、レリーズ機構等に限
定されない。
【0053】
【発明の効果】本発明に係るクラッチ装置では、摩耗補
償機構が付勢部材の姿勢変化を許容すると、その姿勢変
化から検出機構がクラッチディスクの摩耗量を検出す
る。このように摩耗補償機構が途中から押圧部材の姿勢
変化を許容することによってクラッチディスクの摩耗限
界を運転者に知らせることができる。このため、運手者
は摩耗による悪影響は受けずに摩耗限界を知ることがで
きる。
【0054】特に、このクラッチディスク摩耗検出装置
では、摩耗警報装置の検出部は、レリーズ部材の近傍に
設けられてレリーズ部材の軸方向位置を検出することで
クラッチディスクの摩耗量を測定しているため、構造が
簡単になり、安価になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態が採用されたクラッチ装
置の縦断面概略図であり、図2のI-I'断面図。
【図2】本発明の第1実施形態としてのクラッチカバー
組立体の平面図。
【図3】クラッチカバー組立体の部分縦断面概略図であ
り、図2のI-O断面図。
【図4】クラッチカバー組立体の部分縦断面概略図であ
り、図16のIV-IV断面図。
【図5】クラッチカバー組立体の部分縦断面概略図であ
り、図16のV-V断面図。
【図6】図5に対応する図であり、クラッチレリーズ動
作を説明するための図。
【図7】図5に対応する図であり、クラッチ連結時に摩
耗が生じた場合を示す図。
【図8】図5に対応する図であり、摩耗発生後のクラッ
チレリーズ動作を説明するための図。
【図9】規制機構の縦断面概略図であり、図16のIX-I
X断面図。
【図10】図9の部分拡大図。
【図11】図10に対応する図であり、クラッチレリー
ズ動作を説明するための図。
【図12】図10に対応する図であり、クラッチ連結時
に摩耗が生じた場合を説明するための図。
【図13】図10に対応する図であり、摩耗発生後のク
ラッチレリーズ動作を説明するための図。
【図14】付勢機構の概略側面図。
【図15】図14に対応する図であり、摩耗補償動作を
説明するための図。
【図16】クラッチカバー組立体の部分平面図であり、
図2の部分拡大図。
【図17】本発明の第2実施形態における摩耗限界警報
装置の縦断面概略図。
【図18】本発明の第3実施形態におけるクラッチ装置
の縦断面概略図。
【図19】ハウジングの平面図。
【図20】クロスシャフトの平面図。
【図21】ロータリースイッチの断面図。
【図22】ロータリースイッチの断面図であり、スイッ
チがオンされた状態を示す図。
【符号の説明】
1 クラッチカバー組立体 2 フライホイール 3 クラッチディスク組立体 4 クラッチディスク 21 クラッチカバー 22 プレッシャープレート 23 フルクラムリング 27 ダイヤフラムスプリング 28 レリーズ機構 29 摩耗補償機構 71 摩耗限界警報装置 84 ロータリースイッチ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両のフライホイールからのトルクを断接
    するためのクラッチ装置であって、 前記フライホイールに近接したクラッチディスクを有す
    るクラッチディスク組立体と、 前記クラッチディスクを前記フライホイールに押し付け
    ることでクラッチ連結を行うためのものであって、前記
    フライホイールに装着されたクラッチカバーと、前記ク
    ラッチカバーに一体回転するようにかつ軸方向に移動可
    能に連結され、前記クラッチディスクに対向するプレッ
    シャープレートと、前記クラッチカバーに支持され、前
    記プレッシャープレートに押圧力を付与するための押圧
    部材とを有するクラッチカバー組立体と、 前記クラッチディスクの摩耗が所定量に達するまでは前
    記クラッチディスクの摩耗にかかわらず前記押圧部材の
    姿勢を一定に維持し、前記クラッチディスクの摩耗が前
    記所定量に達すると以降は前記押圧部材の姿勢変化を許
    容する摩耗補償機構と、 前記クラッチカバー組立体に係合しており、軸方向に移
    動して前記押圧部材の押圧力を解除することでクラッチ
    をレリーズするレリーズ部材と、 前記レリーズ部材の近傍に設けられ前記クラッチディス
    クの摩耗による前記レリーズ部材の軸方向位置を検出す
    る検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて摩耗限界
    警報を発生する警報部とを有する摩耗限界警報装置と、
    を備えたクラッチ装置。
  2. 【請求項2】前記検出部は、前記レリーズ部材に対して
    軸方向に対向して配置され、前記レリーズ部材との軸方
    向距離を測定することによって前記クラッチディスクの
    摩耗による前記レリーズ部材の軸方向位置変化を検出す
    る、請求項1に記載のクラッチ装置。
  3. 【請求項3】前記レリーズ部材を駆動するために回動自
    在に支持されたレリーズフォークをさらに備え、 前記検出部は、前記レリーズフォークの回動角度を測定
    することによって、前記クラッチディスクの摩耗による
    前記レリーズ部材の軸方向位置変化を検出する、請求項
    1に記載のクラッチ装置。
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