JP2012040016A - エタノール生産用の不活性化乳酸デヒドロゲナーゼ(ldh)遺伝子を有する好熱性微生物 - Google Patents

エタノール生産用の不活性化乳酸デヒドロゲナーゼ(ldh)遺伝子を有する好熱性微生物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の解決すべき課題は、エタノール産生について改善された微生物を取得することである。
【解決手段】野生型微生物の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を不活性化するように改変された突然変異好熱性微生物を製造することによる。当該突然変異微生物は、エタノール生産において使用され、C3、C5又はC6糖を基質として利用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、細菌発酵産物としてのエタノール生産に関する。特に、本発明は好熱細菌によるエタノール生産に関する。
細菌の代謝は、細菌の種及び環境条件に依存して様々な異なるメカニズムを通して起こりうる。全ての病原菌を含む従属栄養細菌は、有機化合物の酸化からエネルギーを獲得し、最も一般的に、炭水化物(特にグルコース)、脂質、及びタンパク質が酸化される化合物である。細菌によるこれらの有機化合物の生体酸化は、化学エネルギー源としてATPの合成をもたらす。当該過程はまた、生体合成反応用の細菌細胞により必要とされるより単純な有機化合物の生成を可能にする。細菌が適切な基質を代謝することによる一般的な方法は、解糖であり、解糖はグルコースをピルビン酸へと変換してATPの生成をもたらす一連の反応である。代謝エネルギーの生成においてピルビン酸の運命は、細菌及び周囲条件に依存して変化する。ピルビン酸の三つの主な反応が存在する。
第一に、好気条件下では、多くの微生物は、クエン酸回路を用いてエネルギーを生成し、そしてピルビン酸のアセチル補酵素Aへの変換は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)により触媒される。
第二に、嫌気条件下では、エタノール生産生物は、ピルビン酸デカルボキシラーゼにより触媒されるピルビン酸のアセトアルデヒドへの脱炭酸、そして続いて、アルコールデヒドロゲナーゼにより触媒されるNADHによるアセトアルデヒドのエタノールへの還元によって、アルコール発酵を行うことができる。
第三に、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)による触媒反応を通して生じるピルビン酸の乳酸への変換である。
天然に嫌気発酵を行うか、又はピルビン酸デカルボキシラーゼ及びアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子を取り込んだ組換え微生物の使用を通して嫌気発酵を行ういずれかの微生物を用いてエタノールを生産するために微生物を使用することにかなりの関心がある。これらの微生物を用いてエタノール生産することにいくらか成功したが、特に微生物が低レベルのエタノール抵抗性しか有さない場合、高濃度のエタノールによって発酵にしばしば障害が生じる。
好熱性細菌はエタノール生産に推奨されており、そして好熱性細菌の使用は、高温で発酵が行われうるという利点を有する。高温での発酵は、産生されたエタノールが50℃より高い温度において蒸気として取り除かれることを可能にする。これは、高い糖濃度を用いて発酵を行うことを可能にする。しかしながら、エタノールを効率よく産生できる適切な好熱性細菌を発見することが問題である。
WO01/49865号は、ピルビン酸デカルボキシラーゼをコードする異種遺伝子で形質転換され、かつ野生型のアルコールデヒドロゲナーゼ機能を有するエタノール生産用のグラム陽性細菌を開示する。細菌は、好熱性バチルスであり、そして当該細菌は、トランスポゾン挿入を用いて、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を不活性化することにより改変されうる。WO01/49865号に開示される細菌は、すべてバチルスLLD-R株、つまり培養から自然発生的に生じる胞子形成欠損株に由来し、そしてここでldh遺伝子は、自然発生突然変異により又は化学的突然変異誘導により不活性化された。LN株及びTN株が、LLD−R株の改変された誘導株として開示される。しかしながら、全ての株は、HaeIII型制限システムを含み、これは、プラスミド形質転換を妨げ、その結果、非メチル化DNA内への形質転換を妨げる。
WO01/85966は、制限問題を克服するために、in vivoメチル化により調製される微生物を開示する。これは、ヘモフィルス・アエジプチウス(Haemophilus aegyptius)由来のHaeIIIメチルトランスフェラーゼを、LLD-R、LN、及びTN株へと形質転換することを必要とする。しかしながら、LLD-R、LN、及びTN株は、不安定な突然変異であり、そして、特に低pH及び高い糖濃度において、乳酸産生野生型株へと自然発生的に戻る。これにより、発酵産物がエタノールから乳酸へと変化し、当該株はエタノール生産に適さなくなる。
WO02/29030は、LLD-R及びその誘導株が、ldh遺伝子のコード領域において天然の挿入エレメント(IE)を含むということを開示する。IEのldh遺伝子への(そして当該遺伝子からの)転移、及びそれに続く遺伝子不活性化は不安定であり、復帰が生じる。これについての提案される解決法は、プラスミドDNAをIE配列に組込むことであった。
その結果、当該技術分野において、エタノール生産用の微生物の生産は、実験室で生産された化学的に突然変異を誘導されたバチルス微生物を改変すること、これらの微生物をin vivoメチル化方法で処理すること、そしてさらに、プラスミドDNAをIE配列へと組込むように当該微生物を改変することに依存している。当該方法は複雑であり、不確かであり、そして当該株がどのように使用できるかについての調節の問題がある。
その結果、エタノール生産用の改良微生物についての必要性が存在する。
本発明の第一態様では、好熱性微生物は、高いエタノール生産を可能にするように改変され、この改変は、野生型好熱性微生物の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の不活性化である。
本発明の第二態様では、微生物は、NCIMB寄託番号41275号として寄託された微生物である。
本発明の第三態様では、エタノール生産用の方法は、C3、C5、又はC6糖の存在する適切な条件下で、上で与えられた定義に従った微生物を培養することを含む。
本発明の第四態様では、プラスミドは、(NCIMB寄託番号第41276号として寄託された)pUB190-ldhとして本明細書に定義されるプラスミドである。
本発明の第五態様では、好熱性微生物は、本明細書中でpUB190として定義されるプラスミドを含む(図4)。
本発明は添付の図面を参照して記載される。
図1は、異なる基質を用いた本発明の微生物(ldh35)のエタノール生産を示すグラフである。 図2は、異なる基質を用いた本発明の微生物(ldh58)のエタノール生産を示すグラフである。 図3は、LDHノックアウト突然変異体、11955によるエタノール生産を示すグラフである。 図4及び図5は、本発明で使用されるpUBプラスミドの模式図である;図4は、本発明に従ったldh突然変異である。 図4及び図5は、本発明で使用されるpUBプラスミドの模式図である;図4は、本発明に従ったldh突然変異である。 図6は、異なる培養条件下でのLDHノックアウト突然変異体の安定性を示すグラフである。
本発明は、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を妨げるために、野生型好熱性微生物を改変することに基づく。
乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を不活性化することは、ピルビン酸を乳酸へと分解することを妨げるために役立ち、その結果、(適切な条件下で)ピルビン酸デカルボキシラーゼとアルコールデヒドロゲナーゼを用いてピルビン酸をエタノールへと分解することを促進する。乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、当該遺伝子中における欠失又は当該遺伝子の欠失により妨げられる場合が好ましい。
野生型の微生物は、任意の好熱性微生物であってもよいが、当該微生物がバチルスspp.の微生物である場合が好ましい。特に、当該微生物が、ゲオバチルス種、特にゲオバチルス サーモグルコシダシス(Geobacillus thermoglucosidasius)である場合が好ましい。
改変用に選択された微生物は、「野生型」と呼ばれており、つまり、当該微生物は、実験室で生産された突然変異体ではない。微生物は、好熱菌を含むと予測される環境サンプルから単離されてもよい。単離された野生型微生物は、エタノールを生産する能力を有するが、改変されていないと、乳酸が主要な発酵産物となるようである。単離株は、高温でヘキソース及び/又はペントース糖、並びにそれらのオリゴマー上での増殖能力について選択される。
本発明の微生物を発酵過程において使用することを可能にするある望ましい特性を、当該微生物が有するということが好ましい。当該微生物は、好ましくは、制限系を有すべきではなく、それによりin vivoメチル化についての必要性を避ける。さらに、当該微生物は、少なくとも3%エタノールで安定であるべきであり、そして基質として、セルビオース及びスターチを含むC3、C5、及びC6糖(またはそれらのオリゴマー)を利用する能力を有するべきである。当該微生物が高頻度で形質転換可能である場合が好ましい。さらに、当該微生物は、0.3h-1及びそれより高い希釈割合を支える連続培養における増殖割合(典型的に0.3OD600)を有するべきである。
当該微生物は好熱性であり、そして40℃〜85℃の温度範囲で増殖する。好ましくは、当該微生物は、50℃〜70℃の温度範囲で増殖する。さらに、当該微生物が、pH7.2以下の条件、特にpH6.9〜pH4.5の条件で増殖する。
当該微生物は胞子形成体であってもよいし、又は胞子形成できなくともよい。発酵過程の成功は、必ずしも微生物の胞子形成能に依存することはないが、特定の状況では、発酵過程の最後において当該微生物を動物飼料として使用することが望まれる場合、胞子形成菌を用いることが好ましい。これは、動物飼料として使用される場合に、胞子形成菌が良好な免疫刺激を提供するという能力のためである。胞子形成微生物はまた、発酵の間に胞子形成を開始する能力を有し、その結果遠心を必要とすることなく単離できる。したがって、微生物は、複雑又は高価な分離方法を必要とすることなく、動物飼料に使用できる。
乳酸デヒドロゲナーゼの核酸配列が現在知られている。当該配列を用いて、当業者は、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を標的として、様々なメカニズムを介して当該遺伝子の不活性化を達成することができる。乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、トランスポゾンの挿入により、又は好ましくは、遺伝子配列、又は遺伝子配列の一部が欠失することにより不活性化される場合が好ましい。欠失が好ましい。なぜなら、欠失は、遺伝子配列の再活性化についての問題を避けることができ、この問題はトランスポゾンによる不活性化が使用される場合にしばしば生じるからである。好ましい実施態様では、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は、温度感受性プラスミド(プラスミドpUB190-ldh)の組込みにより不活性化され、当該プラスミドは、プラスミドと微生物染色体との自然の相同組換え又は組込みを達成する。染色体組込み体は、抗菌剤(例えばカナマイシン)への組込み体の抵抗性に基づいて選択できる。乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子への組込みは、一重交差相同組換え(single crossover recombinant)又は二重(又はそれより多くの)交差組換え(double (or more) cross recombinant)により生じてもよい。
好ましい実施態様では、微生物は、異種アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子及び異種ピルビン酸デカルボキシラーゼ遺伝子を含む。これらの異種遺伝子の発現は、エタノールが主な発酵産物となるように代謝を仕向ける酵素群の生産をもたらす。これらの遺伝子は、典型的に嫌気発酵をもたらす微生物、例えば、ジモモナス種(zymomonnas species)、例えばジモモナス モビリス(zymomonas mobilis)から得られてもよい。
これらの遺伝子を微生物へと取り込ませる方法が知られており、例えば、Ingramら、Biotech & BioEng, 1998; 58 (2+3): 204-214及びUS5916787に知られており、これらの内容は、本明細書に援用される。遺伝子は、当業者により認められるように、プラスミド中に導入されてもよいし、又は、染色体中に組込まれてもよい。
本発明の微生物は、選択された好熱性微生物にしたがって、慣用される培地条件下で培養されてもよい。基質、温度、pH、及びほかの増殖条件の選択は、既知の培地要件に基づいて選択できる。例えば、WO01/49865及びWO01/85966を参照のこと。それぞれの内容は、本明細書に援用される。
本発明は、一例として、添付の図面を参照して以下の実施例に記載される。
LDH遺伝子の不活性化
実施例1-一重交差突然変異誘導
LDHノックアウトベクターの開発
約800bpのldh遺伝子断片の一部を、HindIII及びXbaIを用いて温度感受性デリバリーベクターpUB190(配列番号1)にサブクローニングして、7.7kbのpUB190-ldhプラスミド(図4及び配列番号2)を得た。pUB190プラスミドは、以下に記載されるようにNCIMBに寄託された。10個の推定の大腸菌JM109(pUB190-ldh)形質転換体を制限酵素分析により確認し、そして2個の培養物を用いて形質転換用のプラスミドDNAを得た。pUB190ldhをHindIII及びXbaIで切断することにより、予期されたldh断片が放出される。
ゲオバチルス サーモグルコシダシウス(Geobacillus thermoglucosidasius)11955をpUB190-ldhで形質転換した
カナマイシン選別を用いて、54℃で24〜48時間後に、3個全ての被験プラスミドを有する形質転換体を得た。ldh形質転換体を、ゲオバチルス サーモグルコシダシス(Gt)11955から単離し、そしてHindIII及びXbaIを用いて制限酵素分析により確かめた。
LDH遺伝子ノックアウト
温度感受性プラスミドを染色体上のldh遺伝子中に組込むことにより、遺伝子ノックアウトを行った。
プラスミドpUB190-ldhは、Gt11955において54℃で複製されるが、65℃では複製されなかった。選別を、カナマイシン(kan)(12μg/ml)を用いて維持した。次に増殖温度を65℃に増加させた(プラスミドはもはや複製されなかった)。自然の組替え又は組込みは、プラスミドと染色体との間で生じる。染色体への組込み体をカナマイシンに対する組込み体の抵抗性について選別した。相同配列がプラスミド上に存在するので、組込みがldh遺伝子に対してされる。ldh遺伝子への標的組込みは、一重交差組換えとして知られる方法により生じた。プラスミドは、ldh遺伝子に取込まれて、不活性ldh遺伝子をもたらす。タンデムの繰り返しは、数コピーのプラスミドが組み込まれる場合に生じうる。
方法論及び結果
2個の異なる方法が組込み体を得るために試みられた:
方法1:
4×50mlのTGP(kan)培養物を54℃で12〜18時間増殖させた。細胞を遠心によりペレット化し、そして1mlのTGPに懸濁する。懸濁液をTGP(kan)プレート上に撒き(5×200ml)そして一晩68℃でインキュベートした。組込み体を取り、そして新たなTGP(kan)プレート上の50平方グリッド上に撒き、そして68℃で一晩インキュベートした。
方法2:1×50mlのTGP(km)培養物を54℃で12〜18時間増殖させた。1mlの培養物を用いて、50mlの新たなTGP(kan)培養物へと植菌し、当該培養物を68℃で12〜18時間増殖させた。次の日当該培養物を50mlの新たなTGP(kan)培養液上で前培養し、そして68℃でさらに12〜18時間増殖させた。培養物をTGP(Km)プレート上に撒き、そして68℃で一晩インキュベートした。プレート上でコンフルエントにまで増殖させた。単一のコロニーを、新たなTGP(kan)プレートの50平方グリッド上に撒き、そして一晩68℃でインキュベートした。
スクリーニング
推定の組込み体を、以下のアッセイを用いて、ldh遺伝子ノックアウトについてスクリーニングした。
1)プレート選別
68℃で、SAM2プレート(kanを伴う)上に数百の組込み体をレプリカプレートする。乳酸陰性細胞は、少ない酸しか産生せず、そして緩衝液を伴わない発酵培地中で野生型に対して増殖利得を有するであろう。
2)PCR選別
コロニーPCRを用いて、プラスミドがldh遺伝子中に組み込まれたかを決定する。組込み部位に隣接するプライマーを選択することにより、ldh遺伝子組込みが生じたかを決定することができる(インサートについてのPCR断片が増幅されない)。
3)乳酸アッセイ
このアッセイは、組込み体が、68℃でSAM2(kan)中で一晩増殖したときに、乳酸を産生するかを決定する。この培養上清を、乳酸決定用のSigma乳酸試薬を用いて乳酸濃度を試験した。乳酸陰性組込み体をさらに、PCRにより特徴決定し、そして発酵容器内での安定性について評価した。
ゲオバチルス サーモグルコシダシス NCIMB 11955についての電気穿孔プロトコル
TGP培地中で一晩培養物を増殖させ、等量の20%グリセロールを加え、そして1mlの一定量へと分け、そして-80℃でクリオチューブ中で貯蔵することにより、NCIMB11955の凍結ストックを作成した。250mlのコニカルフラスコ中の50mlのTGPに植菌するために、1mlの当該ストックを使用し、培養物がOD6001.4に達するまで、55℃250rpmでインキュベートした。
フラスコを氷上で10分間インキュベートし、次に培養物を20分間4℃4000rpmで遠心した。ペレットを50ml氷冷電気穿孔培地中に懸濁し、そして20分間4000rpmで遠心した。さらに3回洗浄を行い(1×25ml及び2×10ml)、次にペレットを1.5ml氷冷電気穿孔培地中に懸濁し、そして60μlの一定量に分ける。
電気穿孔のために、1〜2μlのDNAを、氷上に維持されたエッペンドルフチューブ中の60μlのエレクトロコンピテント細胞に加え、そしてゆっくり混合した。この懸濁液をあらかじめ冷却された電気穿孔キュベット(1mm間隙)に移し、そして2500V、10μF容量及び600Ωの抵抗で電気穿孔した。
パルスをかけたすぐ後に、1mlのTGPを加え、混合し、そして懸濁液をスクリュー式の蓋のチューブに移し、そして52℃で1時間、振盪水浴中でインキュベートした。インキュベート後、懸濁液は、直接撒かれるか(例えば2×0.5ml)又は4000rpmで20分間遠心され、200μl〜500μlのTGPで懸濁し、そして適切な抗生物質を含むTGPアガー上に撒かれた。
Figure 2012040016
LDH遺伝子の不活性化
二重交差突然変異
利用可能な11955LDH配列に基づきプライマーを設計した。ノックアウト戦略は、2つのアプローチによりLDH遺伝子内で内部欠失を作成することに基づく。
戦略1:LDHコード配列の中間付近の2個の固有制限部位を、欠失を作り出すために用いた。利用可能なLDH配列の大部分をカバーするゲノムDNAから1の大きいPCR産物を作成し、そしてpUC19のマルチプルクローニングサイトのSmaI部位にクローニングした。次にpUC19クローンをBstEII及びBsrGIで順次切断し、そしてクレノー切断後に再ライゲーションして、LDH遺伝子内にBstEIIとBsrGIとの間の内部欠失を作成した。
戦略2(実施例2を参照のこと):LDH遺伝子を2個のPCR産物としてクローニングし、オリゴプライマーにNotI部位を導入して、2個のPCR産物が一緒にpUC19にライゲーションすることを可能にし、LDH配列の中間に欠失を作り出した。内部欠失を有する2個のLDH遺伝子を、ゲオバチルス用の潜在的な3個のデリバリーシステムにサブクローニングした。
Figure 2012040016
デリバリーベクターは、電気穿孔により11955に形質転換された。
遺伝的戦略情報:相同組替えについてのデリバリーシステムの開発
ノックアウトを作成するために、突然変異された遺伝子を標的生物へとデリバリーし、そして標的「野生型」遺伝子と相同組換えをすることによりゲノムへと組込むように選択される効率的なシステムが必要とされる。原理的に、当該効率的なシステムは、グラム陽性レプリコンを伴わないが、グラム陽性選択可能マーカーを有する大腸菌ベクター上に当該DNAを導入することによって達成できる。これは、高い形質転換効率を必要とする。ゲオバチルス11955用に開発された電気穿孔方法は、pNW33Nを用いて、1μgのDNAあたり3×104形質転換体を作成する。グラム陽性レプリコンは、BGSCカタログのpBC1から得られ、そして配列データベース中のpTHT15から得られる。
pNW33N上のcat遺伝子は、大腸菌とゲオバチルスの両方において選別のために使用される。プラスミドをStratagene XL1r ed 突然変異誘発株を通して継代することにより、pNW33Nの温度感受性突然変異体を作成した。
実施例2
遺伝子置換によるLDH突然変異体の作成
遺伝子置換により、ゲオバチルス サーモグルコシダシウスNCIMB 1955において、LDH遺伝子の安定した突然変異を作成するためにさらなる戦略を設計した。当該戦略は、コード配列の中央部付近の42bp欠失を作成し、そしてこの位置に新規のNot1制限酵素切断部位を導入する7bpを挿入することに関した。この挿入された配列は、下流のフレームシフト突然変異を引き起こすことを意図した。当該戦略は、2個のPCR断片を用い、新規のNotI部位を導入するオリゴプライマーを用いて、欠失を作成することに関した。プライマーは、11955由来のLDHコード領域の部分配列上に基づくように設計された。使用されるプライマーの配列は以下に示される。
Figure 2012040016
ゲノムDNAの調製
ゲノムDNAを11955から調製して、PCRについてのテンプレートとして用いた。52℃でTGP培地中で増殖した11955の20mlの一晩培養した培養物から得た細胞を、4000rpmで20分間遠心することにより回収した。細菌ペレットを5mlのSTE緩衝液0.3Mスクロース、25mMトリス塩酸及び25mMEDTA中で懸濁し、2.6mgのライソザイム及び50μlの1mg/mlリボヌクレアーゼAを含有するpH8.0に調節した。これを、30℃で1時間インキュベートし、次に5mgのプロテイナーゼKを加え、そして50μlの10%SDSを加え、1時間37℃でインキュベートした。溶解した培養物を次に連続的に等体積のフェノール/クロロホルムで抽出し、続いてクロロホルムで抽出し、次にイソプロパノールで沈殿した。氷冷70%エタノールで2回洗浄した後に、DNAペレットを0.5mlTE緩衝液中に再溶解した。
LDH欠失コンストラクトの作成
Robocycler Gradient96(Stratagene)を用いてPCRを行った。そして反応条件は以下のとおりである:サイクル1;95℃で5分間変性、47℃で1分間アニーリング、72℃で2分間伸張、サイクル2-30回;95℃で1分間変性、47℃で1分間アニール、72℃で2分間伸張、そしてさらに72℃で5分間インキュベート。使用される酵素は、Pfuポリメラーゼ(Promega)及びTaqポリメラーゼ(New England Biolabs, NEB)の等量混合物であった。使用される緩衝液及びdNTP組成及び濃度は、販売元によりPfuについて推奨されているものであった。NCIMB11955由来のゲノムDNAをテンプレートとして用いて得られたPCR産物は、アガロースゲル電気泳動により精製され、そして、QIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen)を用いることによりアガロースゲルから溶出される。精製されたPCR産物を、前もってSmaIで切断されたpUC19(New England Biolabs)にライゲーションし、そしてライゲーション混合物を、大腸菌DH10B(Invitrogen)を形質転換するために使用した。アンピシリン耐性のコロニーを選別し、そして含まれたプラスミドが単離され、そして制限酵素分析により特徴付けられ、そしてインサートの向きを確認した。
pUC19に挿入された断片2を有するプラスミド(pTM002)(pUC19のマルティプルクローニングサイト(mcs)中のPstI部位の最も近くにプライマー4上に導入された新規のPstI部位を有する)をNotI及びPstIで切断した。得られた断片(約0.4kb)を、プラスミドを直線化するためにNotI及びPstIで切断された断片1を有するpUC19プラスミド(pTM001)にライゲーションした。このライゲーション混合物を大腸菌DH10Bを形質転換するために使用した。アンピシリン抵抗性のコロニーを選択し、そして含まれるプラスミドを単離し、そして制限酵素分析により特徴決定した。所望されるコンストラクト(LDHコード領域は欠失と導入されたNotI部位有する)についての予期される制限酵素パターンを有するプラスミド(pTM003)を同定し、そしてM13mp18リバース及びフォワードプライマーを用いて配列決定することにより確かめた。
突然変異されたLDH遺伝子を、HindIII及びEcoRIでの切断により、pTM003から切り出し、そしてアガロースゲル電気泳動により精製し、続いてQIAquickゲル切り出しキットを用いてアガロースから(約0.8kb断片として)溶出した。当該断片を、クレノーポリメラーゼ(NEB、製品説明書に従う)で処理して、平滑末端を作成し、そしてpUB190ベクターに導入した。これは、XbaIで切断し、次にクレノー処理し、続いて上で記載されるようにゲル精製することにより直線化されたpUB190と平滑末端ライゲーションすることにより達成された。ライゲーション混合物は、大腸菌SCS110(Stratagene)を形質転換するために使用した。アンピシリン耐性コロニーを選別し、そして含まれるプラスミドを単離し、そして制限酵素分析により特徴決定した。切断コンストラクトについて予期される制限酵素パターンを有するプラスミド(pTM014)を同定し、そして実施例1に記載されるように電気穿孔プロトコルを用いて電気穿孔することにより、NCIMB11955を形質転換するために使用した。
二重交差による遺伝子置換LDH突然変異体の作成と特徴決定
この様式で得られたpTM014の推定の第一組込み体(primary integrant)を用いて二重組換え体を得た(遺伝子置換)。これは、TM15をカナマイシンを含まないTGP培地中で連続的に継代することにより達成された。5回の継代振盪培養物を用い、54℃で8時間から52℃で16時間に変更し、250rpmで5mlのTGPを入れた50mlチューブ(Falcon)を用い、各段階で1%のトランスファーを用いた。これらの5回の継代の後に、得られた培養物をTGP中で連続的に希釈し、そして54℃でのインキュベートのために100μlのサンプルをTGPアガープレートに撒いた。12μg/mlのカナマイシンを含むTGPアガー上に得られたコロニーをレプリカ-プレートを用いて、カナマイシン感受性のコロニーを同定した。精製するためにアガー上に単一のコロニーをストリーキングしたのちに、これらのカナマイシン感受性誘導株を、乳酸産生について試験し、そして予期されるように、LDH+及びLDH-の混合物であることが証明された。1のLDH-誘導株であるTM89は、さらにPCR及びサザンブロットにより特徴付けられた。
ゲノムDNAをTM15(第一組込み体)及びTM89(推定の二重組換え体LDH-)から製造し、そして上で記載される条件を用いて、プライマー1及び4を使用してPCR用のテンプレートとして使用した。11955由来のゲノムDNAを対照として用いた。PCR産物(約0.8kbバンドを全ての3個のテンプレートから得た)をアガロースゲル電気泳動により精製し、そしてQIAquickゲル抽出キットを用いてアガロースゲルから溶出した。サンプルをNotIで切断し、そして0.7%アガロースゲル上で電気泳動して生成物を可視化した。11955のPCR産物は、予期される様にNotI切断の証拠を示さない一方、TM89のPCR産物は、0.4kb付近の2個のバンドを与え、突然変異されたアレルを有する野生型の遺伝子の置換を指す。第一の組み込み体であるTM15のPCR産物のNotI切断は、主に、TM89で見られる2個のバンドと、微量の未切断バンド(0.8kb)について、2個のバンドを与える。これは、TM15ゲノムDNAのサザンロットで得られる結果により説明できる。
11955のゲノムDNA、TM15及びTN89をNotI、PstI及びNotI、並びにHindIII及びNotIで切断し、そしてアガロースゲル電気泳動にかけた。DNAを正に荷電されたナイロン膜(Roche)に転写し、そしてDIG標識プローブとハイブリダイズさせた。当該DIG標識プローブは、製品説明書(Roche Molecular Biochemicals DIG 増幅マニュアル)に従ってプライマー1及び4をDIG標識dNTPと供に用いて11955LDH遺伝子をPCRすることにより作成された。ハイブリッドを形成したバンドを、市販される検出キットを用いて可視化した(Roche)。サザンブロットにより、TM15のNotI切断における約7.5kbの多く増幅されたバンド、HindIII/NotI及びPstI/NotIのTM15切断における約7及び0.4kbの同様に増幅されたバンドの証拠を示し、第一組込み体におけるLDH位で組み込まれたpTM014の複数のタンデムコピーの組込みを指し示す。3個全ての制限酵素切断について、TM89は、11955に比較して追加されたハイブリダイズしているバンドを示す異なる制限酵素パターンの証拠を示し、遺伝子置換と一致した。TM89は、以下に記載されるように寄託番号第41275号で寄託された。
実施例3
野生型好熱菌によるエタノール生産
再現性のある増殖及び生成物の生産は、野生型好熱菌について、流加培養(fed batch)及び連続培養で達成された。表1、2、及び3は、発酵過程において使用される条件を示す。
Figure 2012040016
Figure 2012040016
Figure 2012040016
Figure 2012040016
実施例4
好熱菌によるエタノール生産の増加
標的であるエタノール収率及び生産力を達成するために、ldh遺伝子の不活性化によりL-乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のノックアウトを通して乳酸産生は最小化された。ldh遺伝子を不活性化するために2つのアプローチが取られた:マーカーDNAの染色体のldh領域への一重交差組換えをして転写を防止すること、又は当該遺伝子領域内に突然変異体を作り出すためのDNAのldh遺伝子への相同領域への二重組換えをして遺伝子を機能しないものとすることである。
一重交差アプローチは、野生型株(NCIMB11955)と比べた場合、エタノール生産の増加を示すLDH陰性突然変異体を迅速に作成した。
LDH突然変異体によるエタノール生産の改善
LDH活性のノックアウトから得られるエタノール生産の増加を計測するために作られた最小培地中で、LDH陰性突然変異体を流加培養で増殖させた。LDH突然変異体の代謝プロファイルの変化が表5に示され、野生型株の最適エタノール生産と比較される。2つのLDH突然変異株の代謝産生プロファイルが図1及び図2において示される。表6は、LDH活性のノックアウトにより引き起こされるエタノール生産の増加を示す。
Figure 2012040016
Figure 2012040016
LDH突然変異は、野生型に比べて有意に高いエタノール収量を産生し、これらの好熱菌の代謝をうまく経路変更したことを示す。LDH突然変異株についての培養条件と培地内容物の更なる最適化は、高いエタノール収率をもたらす。
連続培養におけるLDH突然変異体によるエタノール生産
最も安定な一重交差乳酸突然変異体は、連続培養において増殖して、エタノール生産菌としてのその長期間の安定性を評価する。当該株をグルコースを炭酸源として有する最小培地中で培養した。乳酸産生への逆戻りをするまでに、定常培養が約290時間観測された。
実施例5
二重交差突然変異体TM89(実施例2)を、実施例4に記載されるエタノール生産についてアッセイした。結果を表8に示し、そして突然変異体が、かなりのレベルのエタノール生産を達成したということを示す(200mM超)。突然変異体は、グルコース又はキシロースを炭素源として使用するエタノール生産について評価される。結果を表7に示す。
Figure 2012040016
グルコースは、最良の炭素源として示されたが、当該微生物がさらなる改変をすることなく、キシロースを発酵できるということがこの結果により明らかに示される。
乳酸デヒドロゲナーゼ陰性突然変異体の安定性は、1500時間の期間にわたり連続培養において様様な条件下で試験された。結果を図6に示し、そして、乳酸デヒドロゲナーゼ陰性表現型が、培養物へのかなりのチャレンジにもかかわらず、安定なままであり、そして当該表現型に留めるために抗生物質選別に依存していないということを示す。この連続的な実行の間に、希釈率は、0.1hr-1〜0.5hr-1で変わり、そして培養を有酸素(空気)及び無酸素(N2)条件との間で変化させたが、乳酸濃度において変化がなかった。さらに重要なことに、培養物のpHを変化させ、そして野生型生物の増殖の通常のpH範囲から外れているpHであるpH4.4に低下させたが、培養物は、表現型において何ら変化を示さずすぐに正常な状態に戻った。つまり乳酸濃度は変化しなかった。
本明細書にTM89と定義される微生物及びプラスミドpUB190ldhは、それぞれNCIMB寄託番号第41275号及び41276号で寄託された。寄託機関は、NCIMB Ltd, Ferguson Building, Craibstone Estate, Bucksburn, Aberdeen, AB21 9YA, United Kingdomである。
Figure 2012040016

Claims (21)

  1. 高いエタノール生産を可能にするように改変された好熱性微生物であって、当該改変が野生型好熱性微生物の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の不活性化である、前記微生物。
  2. 前記微生物が、制限系を含まない、請求項1に記載の微生物。
  3. 前記微生物がゲオバチルス種である、請求項1又は2に記載の微生物。
  4. 前記微生物がゲオバチルス・サーモグルコシダシウス(geobacillus thermoglucosidasius)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の微生物。
  5. 前記微生物が、胞子形成菌である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の微生物。
  6. 前記微生物が、最大30%(w/v)エタノールを含む培養培地中で安定である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の微生物。
  7. 前記微生物が、セロビオース及び/又はスターチ、又はそれらのオリゴマーを代謝できる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の微生物。
  8. 前記微生物が、高頻度で形質転換される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の微生物。
  9. 前記微生物が、40℃〜85℃、好ましくは50℃〜70℃の温度で増殖する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の微生物。
  10. 前記微生物が、非天然pdc遺伝子を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の微生物。
  11. 前記微生物が、非天然adh遺伝子を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の微生物。
  12. 前記天然乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子又はその一部が欠失された、請求項1〜11のいずれか一項に記載の微生物。
  13. 前記微生物が、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子において組込み要素を含まない、請求項1〜12のいずれか一項に記載の微生物。
  14. NCIMB寄託番号第41275号として寄託された微生物。
  15. 3、C5、又はC6の糖、又はそれらのオリゴマーが存在する適切な状況の下で、請求項1〜14のいずれか一項に記載の微生物を培養することを含む、エタノールの生産方法。
  16. 前記方法が、40℃〜70℃の温度で行われる、請求項15に記載の方法。
  17. 前記温度が、52℃〜65℃である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記微生物が、4〜7.5のpHの培養物中に維持される、請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. pUB190-ldhとして本明細書中に定義されるプラスミド。
  20. 請求項19に記載のプラスミドを含む好熱性微生物。
  21. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の微生物を含む動物飼料。
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