JP2012039896A - 揚げ物用衣材の製造方法、揚げ物用衣材及び揚げ物食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の方法は、揚げ物用衣材原料を準備する工程(A)、穀物パフを製造するために、衣材原料を膨化する工程(B)、得られた穀物パフを乾燥し、複数の穀物パフを連続的に移動搬送しうる移動面を有する搬送手段と、該移動面との間隔を保持して搬送手段の上方に設けた押圧手段とを備えたプレス装置を用いて粉砕する工程(C)とを含み、工程(B)により穀物パフを特定の形態にし、工程(C)の粉砕を、穀物パフを穀物パフの大きさより狭い所定間隔を通過させることにより行う。
【選択図】なし
Description
このようにして得られる粉砕物は、パリパリ感を有し、揚げ物用衣材として使用することができる。特許文献1〜5に記載された製造方法においては、粉砕工程についての詳細な記載は少なく公知の粉砕機を用いて行われているものと推測される。また、得られた粉砕物の粒度についても様々であり、分級により選別されている。
しかし、上記穀物パフを公知の粉砕機、特に、パン粉粉砕機等を用いて粉砕した場合、微粉の割合が多く、揚げ物食品における衣材のクリスピー感等を強調しうる1.18mm以上の粉砕物の割合を高くすることが困難であった。このような現象は、例えば、特許文献2に記載されるような、穀物パフを膨化処理にて製造した後、圧延・乾燥したものを粉砕する場合には特に顕著である。
また、工場における、衣材の製造から中種への衣付け工程を連続に行う場合には、微粉率の高い衣材を用いて生産スピードを速めると、衣付け装置において該微粉が舞い上がり、歩留りが悪化し、更には衣付け装置の動作不良や衛生上の問題が生じる恐れがある。
本発明の別の目的は、上記揚げ物用衣材を、穀物パフの製造からその粉砕までを連続に行うことが可能な工業的にも有利な揚げ物用衣材の製造方法、該方法により得られた揚げ物用衣材及び該衣材を利用した揚げ物食品を提供することにある。
また本発明によれば、上記製造方法により得られた、揚げ物用衣材が提供される。
更に本発明によれば、中種と、該中種を被覆した前記揚げ物用衣材とを含むことを特徴とする油ちょう前の揚げ物食品及び、該油ちょう前の揚げ物食品を油ちょうした揚げ物食品が提供される。
従って、本発明の製造方法により得られる揚げ物用衣材は、コロッケ、各種カツ類、各種フライ類等の揚げ物食品の衣材として有用であり、工業的生産における工場での衣付け工程において、微粉な衣材の舞い上がり、衣付け装置の動作不良や衛生上の問題を防止でき、衣材の歩留りを向上させて揚げ物食品を製造することができる。
本発明の製造方法は、穀物粉及び/又は穀物砕物を含む揚げ物用衣材原料を準備する工程(A)を含む。
穀物粉及び穀物砕物の穀物としては、例えば、米、麦、トウモロコシ、蕎麦が挙げられ、特に米の使用が、本発明の所望の効果をより効果的に得られ易い点で好ましい。この点において、穀物粉及び/又は穀物砕物として米粉及び/又は米破砕物を用いる場合は、その含有割合が50〜100質量%、好ましくは70〜100質量%とすることが好ましい。
工程(A)において揚げ物用衣材原料は、公知の混合機を用いて各成分が均一になるように混合することができる。
穀物パフの形態が略球状態で無く、棒状や板状等の場合には、(C)工程における粉砕の際に所望の粒度範囲とすることが困難となり、更には、後述するプレス装置において穀物パフの詰まり等が生じる可能性が高くなる。
前記穀物パフの最大径は、所望の粒度分布の衣材をより得易くするために、好ましくは3〜30mm、特に好ましくは3〜20mmに調整することができる。
ここで、穀物パフの最大径は、後述する乾燥工程後の穀物パフの最も長い箇所をノギスで測定することにより測定した値である。
また、実質的に略球状体とは、穀物パフのような食品における膨化物を真球状にすることは不可能であって、楕円状や表面がいびつな状態の球状様のものを含む意味である。
工程(B)において、穀物パフを、上記略球状体にするには、例えば、エクストルーダーにおける出口ノズルから排出される衣材原料の加工物を、略球状体となるような長さに連続的に切断することにより行うことができる。具体的には、例えば、エクストルーダーにおけるダイに取り付ける出口ノズルの口径を、好ましくは2〜4.2mmとし、該ダイに回転式カッターを取り付けて、排出される衣材原料の加工物を、該回転式カッターでそのカット長さを制御して連続的に切断する方法によって行うことができる。
工程(C)の粉砕は、前記プレス装置における移動面と押圧手段との間隔の少なくとも一部を、穀物パフの大きさより狭い所定間隔とし、穀物パフを移動させながら、前記所定間隔箇所を通過させることにより行う必要がある。
本発明の製造方法においては、工程(B)で調製した前記特定形態の穀物パフを利用して、前記プレス装置により穀物パフを移動させながら、前記所定間隔を通過させるという方法でプレス粉砕するので、微細な粉砕物の発生率を低くすることが可能であり、また、移動面における穀物パフの重なりを抑制でき、穀物パフやその粉砕物によるプレス装置の動作不良、例えば、前記所定間隔箇所を通過させる際に詰まり等が生じるのを抑制することができる。
上記両ローラの回転速度は、粉砕の制御がし易い点からは、なるべくせん断力が生じないように同一速度にすることが好ましい。
このような装置において、第2のベルトコンベアーが複数設置される場合には、複数の第2のベルトコンベアーは、第1のベルトコンベアーの長手方向に、直列に間隔をおいて設置される。
ここで、第2のベルトコンベアーは、穀物パフの移動方向側に向かってテーパをなすように設置されているので、移動している穀物パフは、第2のベルトコンベアーの上記所定間隔箇所に到達するまで、第2のベルトコンベアーの無端ベルトにより、重ならないようにガイドされ、重なるおそれが生じた場合には、その穀物パフが、第2のベルトコンベアーの上記所定間隔箇所に到達するまでの無端ベルトに接触してそれが防止される。
上記第1のベルトコンベアーの無端ベルトと第2のベルトコンベアーの無端ベルトとを回転させる速度は、粉砕の制御がし易い点からは、なるべくせん断力が生じないように同一速度にすることが好ましい。
本発明の製造方法においては、上記無端ベルトを回転させる速度を制御することで、工程(C)の粉砕の程度を調整することが可能であって、このような調整により、所望粒度の穀物パフの粉砕物をより効率良く得ることができる。
また本発明の製造方法において上記乾燥工程は、例えば、前記工程(B)で得られた穀物パフを、工程(C)に用いるプレス装置の移動面に連続的に供給し、該移動面上において粉砕前に行うことができる。また、工程(C)に用いるプレス装置の搬送手段の前に、適宜別のコンベアー等の搬送手段を設けて穀物パフを搬送することでその間に乾燥させることもできる。
上記のような乾燥工程の方法は、工程(B)と工程(C)とを実質的に連続して行うことができ、工業生産に有利である。この際、乾燥は、穀物パフが粉砕されるまでの移動距離やその雰囲気温度並びに湿度等を調整する方法等により行うことができる。
乾燥工程における乾燥は、穀物パフの水分量が15%以下となるように行うことが好ましい。
乾燥工程を行わない場合は、膨化直後の穀物パフがやわらかいため、粉砕工程において潰れて変形するのみで、所望の粉砕ができない。
本発明の製造方法において、工程(A)に用いる揚げ物用衣材原料として、上述の米粉及び/又は米粉砕物を用いた場合には、上述の工程(C)により、穀物パフの粉砕物が、長径1.18mm未満の含有量が50質量%以下、好ましくは30質量%以下、長径1.18mm〜5.6mmの含有量が50質量%以上、好ましくは70質量%以上の粉砕物を得ることができる。このような米粉及び/又は米粉砕物を用いた長径1.18mm〜5.6mmの含有量が多い粉砕物は、例えば、コロッケ、トンカツ、アジフライ、イカリングフライ等の揚げ物食品の衣材として用いた場合、香ばしい風味、独特のカリッとした食感を演出でき、かつ微粉が舞い上がらないという工業的生産におけるライン適性を持つ点で好ましい。
中種は、揚げ物食品に用いられる公知の中種を使用することができる。該中種を本発明の製造方法により得られた揚げ物用衣材により被覆するには、通常、中種の外表面にバッターを付け、本発明の製造方法により得られた揚げ物用衣材を付着させることにより行うことができる。
バッターは、揚げ物食品に用いられる公知のバッターを用いることができる。例えば、水、各種穀物粉、各種タンパク質素材、油脂、粉末油脂、油脂粉末、各種澱粉類、各種増粘剤、各種乳化剤等を適宜組み合わせた公知のバッターを用いることができる。
また、上記油ちょう前の揚げ物食品を油ちょうして、揚げ物食品として流通させることもできる他、油ちょう後に冷蔵又は冷凍し、冷蔵製品又は冷凍製品として流通させることができる。
前記冷凍及び油ちょうは、中種の種類や揚げ物食品の種類等に応じて公知の条件で行うことができる。
実施例1
米粉砕物(商品名「米グリッツ」、熊本製粉株式会社製)80kg、水2.7kg及び粉末醤油(商品名「粉末しょうゆKS」、キッコーマン食品株式会社製)1.6kgを撹拌混合機(商品名「大竹式渦巻麺捏機」、株式会社大竹麺機製)で均一混合した。得られた混合物を、出口ノズル径2.0mmのダイ(24穴)及び回転式カッターを備えた一軸型エクストルーダー(商品名「P7型パフマシン」、株式会社オオヤマフーズマシナリー製)を用いて、本体スクリュー280rpm、バンド温度130℃の条件で、加熱加圧処理を行い、該処理物をエクストルーダーの出口ノズルから連続的に排出させ、取り付けた回転カッターで、得られる米パフが略球状体となる長さにカットして、略球状の米パフを得た。
得られた米パフを、後述するプレス装置とは別に準備した乾燥用ベルトコンベアー上を移動させることにより乾燥させ、その平均の最大径を測定した。該測定は、無作為に10個の米パフの最も長い箇所をノギスで測定し、平均値を算出することにより求めた。その結果、平均の最大径は約8.5mmであった。
得られた粉砕物の粒度分布を目開き1.18mm、5.6mmのふるいで分級後、各質量を測定し、1.18mm未満、1.18〜5.6mm、5.6mmを超える質量割合を求めた。結果を表1に示す。
得られたアジフライの吸油割合は、酸分解法により、脂質量を定量することにより行った。結果を表1に示す。
一軸型エクストルーダーの出口ノズル径を2.4mmとした以外は、実施例1と同様にの米パフ、その粉砕物、アジフライを調製し、各測定を行った。結果を表1に示す。
一軸型エクストルーダーの出口ノズル径を4.2mmとし、プレス装置における第2のベルトコンベアーの、第1のベルトコンベアーとテーパをなした先端側のローラ部分におけるベルト間隔を6mm、及び3mmにそれぞれ設定を変更した以外は、実施例1と同様にの米パフ、その粉砕物、アジフライを調製し、各測定を行った。結果を表1に示す。
一軸型エクストルーダーの出口ノズルから連続的に排出される処理物を、回転カッターにより、実施例1より約3倍の長さにカットして、棒状の米パフを得た以外は、実施例1と同様にプレス粉砕を行った。
その結果、棒状の米パフが第1のベルトコンベアーによる搬送中に立ち上がりや、重なりが生じ、粉砕箇所における詰まりが生じてプレス装置が動作不良となったので衣材の製造を中止した。
プレス装置の代わりに、パン粉粉砕機(型式「81SFN」、株式会社ミカワ電機製作所製)を用いた以外は、実施例3と同様に衣材を調製し、その粒度を測定した。結果を表1に示す。
衣材として、業務用のパン粉(粒度約10mm、主原料:小麦粉)を用いた以外は実施例1と同様にアジフライを調製し、吸油割合を測定した。結果を表1に示す。
Claims (13)
- 穀物粉及び/又は穀物砕物を含む揚げ物用衣材原料を準備する工程(A)と、
穀物パフを製造するために、工程(A)で準備した衣材原料を膨化する工程(B)と、
複数の穀物パフを連続的に移動搬送しうる移動面を有する搬送手段と、該移動面との間隔を保持して搬送手段の上方に設けた押圧手段とを備えたプレス装置を用いて、穀物パフを粉砕する工程(C)とを含み、
工程(B)の膨化を、得られる穀物パフが、実質的に略球状体になるようにエクストルーダーを用いて行い、
工程(B)で得られる穀物パフを、工程(C)における粉砕前に乾燥させる乾燥工程を行い、
工程(C)の粉砕を、前記プレス装置における移動面と押圧手段との間隔の少なくとも一部を、穀物パフの大きさより狭い所定間隔とし、穀物パフを移動させながら、前記所定間隔箇所を通過させることにより行い、
工程(C)により、長径1.18mm未満の穀物パフの粉砕物量が50質量%以下である穀物パフの粉砕物を得ることを特徴とする揚げ物用衣材の製造方法。 - 工程(B)において、エクストルーダーにおける出口ノズルから排出される衣材原料の加工物を、得られる穀物パフが実質的に略球状体となるような長さに連続的に切断することを特徴とする請求項1記載の揚げ物用衣材の製造方法。
- 工程(B)で得られた穀物パフを、工程(C)に用いるプレス装置の移動面に連続的に供給し、前記乾燥工程を該移動面上において粉砕前に行い、工程(B)と工程(C)とを実質的に連続して行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の揚げ物用衣材の製造方法。
- 工程(C)に用いるプレス装置における前記所定間隔の箇所を複数設け、該箇所を穀物パフが通過する順に、所定間隔を狭くしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の揚げ物用衣材の製造方法。
- 前記プレス装置における、搬送手段の移動面が無端ベルトで構成され、該搬送手段が、該無端ベルトを回転させる複数のローラを備えたベルトコンベアーであり、押圧手段が、前記無端ベルトの幅方向の長さと略同一幅のローラであって、該押圧手段のローラが、ベルトコンベアーのローラの少なくとも1つの上方に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の揚げ物用衣材の製造方法。
- 前記プレス装置における、搬送手段の移動面が無端ベルトで構成され、該搬送手段が、該無端ベルトを回転させる複数のローラを備えた第1のベルトコンベアーであり、押圧手段が、無端ベルトと複数のローラとを備えた、第1のベルトコンベアーの長手方向の長さより短い第2のベルトコンベアーであって、該第2のベルトコンベアーが、第1のベルトコンベアーと、穀物パフの移動方向側に向かってテーパをなすように、且つ該テーパの先端側のローラ部分の間隔が、前記所定間隔となるように設置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の揚げ物用衣材の製造方法。
- 複数の第2のベルトコンベアーを、第1のベルトコンベアーの長手方向に、直列に間隔をおいて設置したことを特徴とする請求項6記載の揚げ物用衣材の製造方法。
- 工程(A)に用いる穀物粉及び/又は穀物砕物が、米粉及び/又は米破砕物を50質量%以上含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の揚げ物用衣材の製造方法。
- 工程(C)により得られる穀物パフの粉砕物が、長径1.18mm未満の含有量が50質量%以下、長径1.18mm〜5.6mmの含有量が50質量%以上であることを特徴とする請求項8記載の揚げ物用衣材の製造方法。
- 工程(A)に用いる揚げ物用衣材原料が、調味料を含む請求項1〜9のいずれかに記載の揚げ物用衣材の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法により得られた、揚げ物用衣材。
- 中種と、該中種を被覆した請求項11記載の揚げ物用衣材とを含むことを特徴とする油ちょう前の揚げ物食品。
- 請求項12記載の油ちょう前の揚げ物食品を油ちょうした揚げ物食品。
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