以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態の保守作業支援システム構成例を示す図である。同図には、保守管理サーバ50、画像形成装置10、及び保守員端末20等が示されている。
保守管理サーバ50は、例えば、画像形成装置10の販売者又は製造者等、画像形成装置10の保守サービスの提供者側(保守管理環境5)に設置されているコンピュータである。保守管理サーバ50は、保守契約の対象(保守対象)とされている全ての画像形成装置10に関して、保守作業情報の履歴を含め、保守作業に関する各種の情報を管理する。
画像形成装置10は、印刷、スキャン、コピー、及びFAX送受信等の機能を一台の筐体によって実現する複合機である。画像形成装置10は、本実施の形態において、保守対象の機器として位置付けられる。画像形成装置10は、顧客環境1に設置されている。顧客環境1は、画像形成装置10のユーザのオフィス等におけるコンピュータシステムである。すななち、本実施の形態において、顧客とは、画像形成装置10のユーザをいう。一つの顧客環境1において複数の画像形成装置10が設置されうる。なお、画像形成装置10は、外部のネットワークからは隠蔽されている。したがって、保守管理サーバ50は、画像形成装置10と通信を行うことはできない。
保守員端末20は、保守管理環境5に属する保守員が利用するノートPC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistance)、又は携帯電話等の携帯型(可搬性の有る)のコンピュータである。保守員端末20は、保守作業支援装置の一例である。保守員端末20は、保守管理環境5において、LAN(Local Area Network)等のネットワーク60(有線又は無線の別は問わない。)を介して保守管理サーバ50に接続される。保守員端末20は、保守管理サーバ50と接続された状態において、画像形成装置10に関する保守作業情報の履歴を保守管理サーバ50よりダウンロードする。保守作業情報とは、保守作業の内容を示す情報をいい、例えば、保守作業を行った時期(日付又は日時等)を示す時間情報、及び交換された部品や清掃箇所等を示す情報等を含む。保守作業情報は、定期的又は非定期な保守作業を終えた保守員によって、例えば、保守員端末20に入力される。保守員端末20に入力された保守作業情報は、保守員端末20がネットワーク60に接続された際に、保守管理サーバ50に転送され、保守作業情報の新たな履歴として蓄積される。
画像形成装置10において、例えば、画像不良障害等の異常が発生すると、保守員は、保守作業情報の履歴がダウンロードされた保守員端末20を、顧客環境1へ持参する。画像不良障害とは、不良画像が出力(印刷)される現象をいう。不良画像とは、黒い帯又はスジ等の不要な描画が行われている画像や、画像形成装置10の本来の性能に比して画質が劣化している画像をいう。
顧客環境1において、保守員端末20は、LAN等のネットワーク40(有線又は無線の別は問わない。)を介して画像形成装置10に接続される。保守員端末20は、画像形成装置10と接続された状態において、画像形成装置10に記録されている、画像制御電圧情報の履歴を画像形成装置10よりダウンロードする。画像制御電圧とは、例えば、トナー濃度センサの電圧やドラムの表面上のベース電圧等、画像形成に関する各種の部品ごとの電圧(画像制御電圧)の値をいう。画像制御電圧情報とは、画像制御電圧が計測された時期(日付又は日時等)を示す時間情報、部品の識別子、及び電圧値等を含む情報をいう。画像形成装置10は、予め設定された周期で各部品の画像制御電圧を計測し、該計測値に係る画像制御電圧情報を当該画像形成装置10の記憶装置内に記録する。当該周期は、時間又は稼動量(例えば、印刷枚数)等によって規定される。画像形成装置10には、予め設定された周期数分の画像制御電圧情報の履歴が蓄積される。
画像制御電圧情報の履歴が保守員端末20にダウンロードされるのは、画像制御電圧の時系列における推移が、異常の発生した画像形成装置10における異常(特に、画像不良障害)の発生時期の推定に非常に有効な情報だからである。すなわち、画像制御電圧の時間の経過に応じた推移(変動)が特定のパターンに当てはまる場合、画像形成装置10に異常が発生した時期を推定することができる。
画像制御電圧情報の履歴のダウンロード後、保守員端末20は、保守管理サーバ50より予めダウンロードされている保守作業情報の履歴と、画像形成装置10よりダウンロードされた各画像制御電圧情報の履歴と合成する。より詳しくは、保守員端末20は、保守作業情報及び各画像制御電圧情報の双方に含まれている時間情報に基づいて、各履歴を同期させた上で双方の履歴を合成する。保守員端末20は、合成された状態で、各履歴を表示させる。保守員は、時間軸上において同期された保守作業情報及び各画像制御電圧情報を参照して、例えば、画像不良障害の原因を推定する。すなわち、保守員は、画像制御電圧の推移によって、画像不良障害の発生時期を推定する。画像制御電圧情報と保守作業情報とは、時間軸上で同期されているため、保守員は、当該発生時期付近(特に前)に行われた保守作業を容易に特定することができる。保守員は、特定された保守作業において行われた作業内容(例えば、交換された部品)等を確認することにより、画像不良障害の原因を絞り込むことができる。すなわち、保守員は、当該保守作業において交換された部品、又は作業対象とされた部品と、画像形成装置10の動作メカニズムを考慮して、異常の原因となっている箇所を推定することができる。
なお、画像不良障害の再現性の状況や、不良画像原稿も、原因特定の有効な資料として扱われる。
但し、上記の作業では原因を特定出来ない場合もある。非常に再現性が低い場合や再現性に規則性が無い場合等は、原因の特定は特に困難である。このようなケースでは、画像制御電圧情報の履歴が上記特定のパターンに当てはまらないことが多いことも、当該原因の特定が困難となる理由である。
このような場合、保守員は、保守管理環境5のヘルプデスク等の専門度が更に高い部署へ電話し、ヘルプデスクの担当者の指示にしたがって復旧作業を継続する。しかし、再現性が低いケースの場合、電話中に再現するとは限らない。また、不良画像原稿の状態を口頭でヘルプデスクの担当者に説明したとしても、実際に不良画像原稿を見る場合に比べて、説明による情報量は限られてしまう。
そこで、保守員が、不良画像原稿又はそのコピーを保守管理環境5に持ち帰り、他の保守員又はヘルプデスクの担当者等に当該不良画像原稿を直接見せることができれば、原因特定のために非常に有効である。
但し、不良画像原稿に機密事項等が記載されている場合がある。また、機密事項が記載されていない場合であっても、不良画像原稿に記載されている内容は顧客の資産である。したがって、顧客の許可を得ないで、不良画像原稿を持ち出すことはできない。
保守員端末20は、画像形成装置10と連携して、保守員が不良画像原稿を持ち帰るための顧客による許可の獲得、及び不良画像原稿の保存等に関する処理も実行する。すなわち、不良画像原稿の持ち出しの許可が顧客より得られた場合、画像形成装置10においてスキャンされた不良画像原稿のスキャン画像(以下、「不良画像データ」という。)が、保守員端末20に転送(ダウンロード)される。
その後、保守員は、画像制御電圧情報及び不良画像データ等がダウンロードされた保守員端末20を保守管理環境5に持ち帰る。保守管理環境5において、保守員端末20は、再び保守管理サーバ50に接続される。保守管理サーバ50に接続された状態において、保守員端末20は、画像制御電圧情報及び不良画像データ等を保守管理サーバ50にアップロードする。保守管理環境5では、保守管理サーバ50にアップロードされた不良画像データ等を用いて、原因の特定が行われる。
このように、保守員端末20が保守管理サーバ50と画像形成装置10との媒介となることにより、保守管理サーバ50と画像形成装置10とがネットワークを介して通信可能でない状態でも、保守員は、顧客環境1において保守作業情報の履歴を参照することができる。また、画像形成装置10において蓄積されている画像制御電圧情報等や、不良画像データ等を保守管理サーバ50において管理することが可能となる。
続いて、各装置のハードウェア構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。図2において、画像形成装置10は、コントローラ11、スキャナ12、プリンタ13、モデム14、操作パネル15、ネットワークインタフェース16、及びSDカードスロット17等のハードウェアを有する。
コントローラ11は、CPU111、RAM112、ROM113、及びHDD114等を有する。ROM113には、各種のプログラム(ファームウェア等)やプログラムによって利用されるデータ等が記録されている。なお、本実施の形態において、ROM113は、フラッシュROM等、書き換え可能な不揮発性のメモリである。RAM112は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU111は、RAM112にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。HDD114には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記録される。
スキャナ12は、原稿より画像データを読み取るためのハードウェア(画像読取手段)である。プリンタ13は、印刷データを印刷用紙に印刷するためのハードウェア(印刷手段)である。モデム14は、電話回線に接続するためのハードウェアであり、FAX通信による画像データの送受信を実行するために用いられる。操作パネル15は、操作者からの入力の受け付けを行うためのボタン等の入力手段や、液晶パネル等の表示手段を備えたハードウェアである。ネットワークインタフェース16は、LAN等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)に接続するためのハードウェアである。SDカードスロット17は、SDカード80に記録されたプログラムを読み取るために利用される。すなわち、画像形成装置10では、ROM113に記録されたプログラムだけでなく、SDカード80に記録されたプログラムもRAM112にロードされ、実行されうる。
図3は、本発明の実施の形態における保守員端末のハードウェア構成例を示す図である。図3の保守員端末20は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置200と、補助記憶装置202と、メモリ装置203と、CPU204と、インタフェース装置205と、表示装置206と、入力装置207とを有する。
保守員端末20での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体201によって提供される。プログラムを記録した記録媒体201がドライブ装置200にセットされると、プログラムが記録媒体201からドライブ装置200を介して補助記憶装置202にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体201より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置202は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ装置203は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置202からプログラムを読み出して格納する。CPU204は、メモリ装置203に格納されたプログラムに従って保守員端末20に係る機能を実現する。インタフェース装置205は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置206はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置207はキーボード及びマウス等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。
なお、保守管理サーバ50は、図3に示されるハードウェアを有していればよい。但し、表示装置206及び入力装置207は、保守管理サーバ50には必ずしも必要ではない。
続いて、各装置のソフトウェア構成例について説明する。図4は、本発明の実施の形態における保守管理サーバ及び保守員端末のソフトウェア構成例を示す図である。同図に示される各ブロックは、当該ブロックが属する装置のCPUに処理を実行させることによりその機能を実現する。
同図において、保守管理サーバ50は、保守管理部51及び保守作業情報記憶部52等を有する。保守管理部51は、各保守員の保守作業の支援等を行う。保守作業情報記憶部52は、保守管理サーバ50の記憶装置を用いて、保守対象とされている全ての顧客の全ての画像形成装置10に関する保守作業情報の履歴を記憶する。
保守員端末20は、保守作業支援ウィジェット21a、ウィジェットマネージャ22、及び機器操作ライブラリ25等を有する。
保守作業支援ウィジェット21aは、本実施の形態において、「ウィジェット」として総称されるアプリケーションプログラムの一つの具体例である。すなわち、同図には、ウィジェットとして、保守作業支援ウィジェット21aのみが示されているが、他の機能を有する各種にウィジェットも存在しうる。近年では、ウィジェット(Widget)又はガジェット(Gadget)とよばれる手軽なアプリケーションが流通している。本実施の形態では、手軽にインストールして利用可能なアプリケーションという程度の意味においてこれらのアプリケーションをウィジェットと呼ぶ(すなわち、技術的な意義において限定する趣旨ではない)。但し、本実施の形態において、各ウィジェットは、画像形成装置10の機能を利用して所定の処理フロー(例えば、ワークフロー等の一連の処理フロー)を実現するという点において共通する。
保守作業支援ウィジェット21aは、保守作業の支援を行うウィジェットである。例えば、保守作業支援ウィジェット21aは、保守管理サーバ50から保守員端末20への保守作業情報の履歴のダウンロード、画像形成装置10から保守員端末20への画像制御電圧情報の履歴及び不良画像データのダウンロード、保守作業情報の履歴と画像制御電圧情報の履歴との同期及び合成、並びに合成結果の表示制御等を行う。保守作業支援ウィジェット21aは、また、画像形成装置10から保守員端末20にダウンロードされた、画像制御電圧情報の履歴及び不良画像データを保守管理サーバ50へアップロードする。
ウィジェットマネージャ22は、ウィジェットと画像形成装置10との間の通信の仲介等を行う。各ウィジェットは、ウィジェットマネージャ22によって規定されるインタフェース及び処理手順を備える必要がある。換言すれば、ウィジェットマネージャ22と協調して動作するアプリケーションが、本実施の形態におけるウィジェットである。
機器操作ライブラリ25は、画像形成装置10を遠隔的に操作するための各種API(Application Program Interface)を備えたライブラリ(例えば、DLL(Dynamic Link Library))である。機器操作ライブラリ25は、例えば、画像形成装置10に関する各種の情報を取得するためのAPIや、画像形成装置10の設定情報の値を設定するためのAPI等を含む。保守作業支援ウィジェット21aは、機器操作ライブラリ25のAPIを利用して、画像形成装置10より画像制御電圧情報の履歴を取得する。なお、機器操作ライブラリ25は、汎用的に作成されており、非図示の他の一般的な機器管理用アプリケーションからも共用されうる。
図5は、ウィジェット及びウィジェットマネージャの機能構成例及び画像形成装置のソフトウェア構成例を示す図である。
同図に示されるように、本実施の形態における保守作業支援ウィジェット21aは、ウィジェットUI部211、ウィジェット情報送信部212、連携部213、スキャン画像処理部214、画像制御電圧履歴取得部215、保守支援情報表示部216、保守履歴ダウンロード部217、障害関連情報アップロード部218、履歴記録方法設定部219、属性情報管理ファイル231、保守履歴記憶部232、及び障害関連情報記憶部233等を有する。
ウィジェットUI部211は、保守作業支援ウィジェット21aに関する各種の表示制御及び入力制御等を行う。ウィジェット情報送信部212は、保守作業支援ウィジェット21aが起動されたとき等に、ウィジェット情報(ウィジェット21の属性情報)の登録要求をウィジェットマネージャ22に送信する。連携部213は、ウィジェットマネージャ22を介した画像形成装置10との連携のための通信(情報のやりとり等)を制御する。例えば、連携部213によって、画像形成装置10においてスキャンされた画像データ(以下、「スキャン画像データ」という。)がウィジェットマネージャ22を介して受信される。スキャン画像データには、不良画像原稿がスキャンされることにより生成される不良画像データも含まれうる。
スキャン画像処理部214は、連携部213によって受信されるスキャン画像データに基づいて処理制御を行う。例えば、スキャン画像データ処理部214は、スキャン画像データの一部として受信される不良画像データを、障害関連情報記憶部233に記録する。
画像制御電圧履歴取得部215は、機器操作ライブラリ25を利用して、画像形成装置10より画像制御電圧情報の履歴を取得する。保守支援情報表示部216は、画像制御電圧履歴取得部215によって取得された画像制御電圧情報の履歴と、保守履歴記憶部232に記録されている保守作業情報の履歴とを合成し、合成結果を表示させる。保守履歴ダウンロード部217は、保守管理サーバ50より保守作業情報の履歴をダウンロードする。障害関連情報アップロード部218は、障害関連情報記憶部233に記録されている画像制御電圧情報の履歴及び不良画像データ等を保守管理サーバ50にアップロードする。履歴記録方法設定部219は、画像制御電圧情報の履歴の記録方法を遠隔的に画像形成装置10に対して設定する。
属性情報管理ファイル231は、保守作業支援ウィジェット21a対する属性情報を格納するファイルである。保守履歴記憶部232は、保守履歴ダウンロード部217によってダウンロードされた保守作業情報の履歴を補助記憶装置202を用いて記憶する。障害関連情報記憶部233は、画像制御電圧履歴取得部215によって取得される画像制御電圧情報や、連携部213によって受信される不良画像データ等を補助記憶装置202を用いて記憶する。
ウィジェットマネージャ22は、ウィジェット情報登録部221、広告部222、ウィジェット情報提供部223、仲介部224、及びウィジェット情報管理テーブル225等を有する。
ウィジェット情報登録部221は、ウィジェットより送信されるウィジェット情報の登録要求を受信し、当該ウィジェット情報をウィジェット情報管理テーブル225に保存する。ウィジェット情報管理テーブル225には、保守員端末20において起動されている各ウィジェットのウィジェット情報が登録されるテーブルであり、保守員端末20の補助記憶装置202に記録される。
広告部222は、ウィジェットマネージャ22の起動に応じ、保守員端末20のログインユーザのユーザID等をネットワーク上に広告(ブロードキャスト又はマルチキャスト等)する。広告は、ウィジェットを利用するユーザがネットワーク上において新たに発生したことを当該ネットワークに属する各画像形成装置10に通知するための情報である。なお、本実施の形態において、ウィジェットを利用するユーザは、保守員である。したがって、ここでいう、ユーザIDは、保守員の識別子である。
ウィジェット情報提供部223は、画像形成装置10からの要求に応じ、ウィジェット情報管理テーブル225に登録されているウィジェット情報を画像形成装置10に提供(送信)する。仲介部224は、ウィジェットと画像形成装置10との通信を仲介又は中継する。
画像形成装置10は、ユーザ検知部121、UI制御部122、ウィジェット情報取得部123、ウィジェット連携部124、ジョブ実行制御部125、ユーザ管理テーブル126、画像制御電圧履歴記録部127、画像制御電圧履歴記憶部128、及び機器操作要求応答部129等を有する。これら各部は、画像形成装置10にインストールされたプログラムが、画像形成装置10のCPU111に実行させる処理により実現される。
ユーザ検知部121は、ウィジェットマネージャ22より発行される広告に基づいて、ウィジェット21を利用可能なユーザ(保守員)の存在を検知し、広告に含まれているユーザID等をユーザ管理テーブル126に登録する。ユーザ管理テーブル126は、ネットワーク40上においてウィジェット21を起動させているユーザの一覧を管理するテーブルである。UI制御部122は、保守員よりウィジェット21の操作指示等の入力を受け付ける。すなわち、ウィジェットは、保守員端末20に配置されているが、画像形成装置10の操作パネルからも操作されうる。ウィジェット情報取得部123は、画像形成装置10を操作する保守員に係るウィジェット情報(すなわち、画像形成装置10の操作者と同一のユーザIDに係るユーザによって起動されたウィジェット21のウィジェット情報)をウィジェットマネージャ22より取得する。ウィジェット連携部124は、ウィジェット21との通信を制御する。ジョブ実行制御部125は、ウィジェット21から要求された機能に係るジョブの実行を制御する。例えば、ジョブ実行制御部125の制御によりスキャン等が実行される。
画像制御電圧履歴記録部127は、予め設定された周期で、画像形成装置10内の各種部品の画像制御電圧を取得し、各画像制御電圧に係る画像制御電圧情報を画像制御電圧履歴記憶部128に記録する。画像制御電圧履歴記憶部128は、HDD114を用いて、予め設定された周期数分の画像制御電圧情報の履歴を記憶する。機器操作要求応答部129は、機器操作ライブラリ25に対するサーバ機能である。すなわち、機器操作要求応答部192は、機器操作ライブラリ25より送信される要求に応じた処理を実行する。例えば、機器操作要求応答部129は、機器操作ライブラリ25からの画像制御電圧情報の履歴の取得要求に応じ、画像制御電圧履歴記憶部128に記録されている画像制御電圧情報の履歴を返信する。
以下、処理手順について説明する。図6は、保守管理サーバからの保守作業情報の履歴のダウンロード処理の処理手順を説明するためのシーケンス図である。なお、同図の前提として、保守員端末20は、保守管理環境5において、ネットワーク60を介して保守管理サーバ50と通信可能な状態であるとする。また、同図の処理は、保守員によって定期的に行われる。または、例えば、コールセンタより、顧客環境1における画像不良障害等の発生の通知を受けた際に実行されてもよい。
ステップS11において、保守作業支援ウィジェット21aが起動されると、保守作業支援ウィジェット21aのウィジェットUI部211は、保守作業支援ウィジェット21aのアイコンを表示装置206に表示させる。続いて、ウィジェットUI部211は、保守員より、顧客IDの入力を受け付ける(S12)。顧客IDの入力の受け付けの具体例としては次のようなものが挙げられる。ウィジェットUI部211は、保守作業支援ウィジェットのアイコンに対する右クリックを検知すると、コンテキストメニューを表示させる。当該コンテキストメニューに含まれているメニュー項目群の中から保守作業情報の履歴のダウンロード指示に対応するメニュー項目が選択されると、ウィジェットUI部211は、顧客IDの入力を受け付けるための画面(ダイアログ)を表示装置206に表示させる。保守員は、当該画面を介して、自らが担当している一以上の顧客の顧客IDを入力する。なお、ステップS12が、定期的な作業としてではなく、障害発生の通知を受けた際に行われる場合、当該通知に係る顧客の顧客IDが入力されればよい。本実施の形態では、説明の便宜上一つの顧客IDが入力されることとする。
顧客IDの入力に応じ、保守作業支援ウィジェット21aの保守履歴ダウンロード部217は、予め設定されている保守管理サーバ50の識別情報(IPアドレス又はURL(Uniform Resource Locator)等)宛に、保守作業情報の履歴のダウンロード要求を送信する(S13)。当該ダウンロード要求は、保守員によって入力された顧客IDを含む。保守管理サーバ50の保守管理部51は、当該ダウンロード要求に含まれている顧客IDに関連付けられている各画像形成装置10の保守作業情報の履歴を保守作業情報記憶部52より取得する(S14)。すなわち、保守作業情報記憶部52には、顧客IDごと、かつ、当該顧客が所有する保守対象の全ての画像形成装置10の識別子(機番)ごとに、保守作業情報の履歴が記録されている。したがって、保守対象の画像形成装置10を複数台所有する顧客に関しては、複数の機番のそれぞれに係る保守作業情報の履歴が取得される。なお、機番とは、画像形成装置10の筐体ごとに一意な識別子である。
図7は、保守作業情報の履歴の一例を示す図である。同図に示されるように、保守作業情報の各履歴は、顧客ID、機種番号、機番、保守年月日、訪問区分、トータルカウンタ情報、交換部品、ROM情報、及び作業内容等の情報を含む。
顧客ID及び機番については上述した通りである。機種番号は、保守作業の対象となった画像形成装置10の機種の識別番号である。保守年月日は、保守作業が行われた時期(年月日)である。したがって、保守年月日は、保守作業情報における時間情報に相当する。訪問区分は、保守員が顧客環境1を訪問した理由の区分である。訪問区分には、例えば、予防保全、緊急障害、定期保全等が有る。トータルカウンタ情報は、保守作業の対象とされた画像形成装置10のトータルカウンタ(総印刷枚数)である。交換部品は、保守作業時に交換された部品である。ROM情報は、保守作業において、ROM113の内容が交換(更新)された場合における、交換後のROM113の内容(ファームウェア等)に関する情報である。作業内容は、保守作業の内容である。
S14では、同図に示されるような履歴の中から、指定された顧客IDに係る履歴が取得(抽出)される。
続いて、保守管理部51は、取得された保守作業情報の履歴を返信する(S15)。保守履歴ダウンロード部217は、保守作業情報の履歴を受信すると、受信された履歴を保守履歴記憶部232に記録する(S16)。
以上で、保守作業情報の履歴のダウンロードは完了する。その後、保守員は、画像不良障害の発生の通知に応じ、当該画像不良障害の発生した画像形成装置10が設置されている顧客環境1を訪問する。訪問に際し、保守員は、保守作業情報の履歴がダウンロードされている保守員端末20を携帯する。
当該顧客環境1において、保守員によって、障害の原因を推定又は特定するために様々な作業が行われる。ここでは、保身端末20を用いて行われる作業に限定して説明する。保守端末20を用いて行われる作業とは、画像制御電圧情報の履歴のダウンロード、画像制御電圧情報の履歴と保守作業情報の履歴との合成表示、及び不良画像データの取得等である。
まず、顧客環境1における作業の開始にあたり、保守員は、自らが持参した保守員端末20を、ネットワーク40を介して各画像形成装置10と通信可能な状態とする。続いて、保守員は、保守員端末20において、ウィジェットマネージャ22及び保守作業支援ウィジェット21aを起動させる。
図8は、ウィジェットマネージャ及び保守作業支援ウィジェットの起動時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
保守員によってウィジェットマネージャ22の起動指示が入力されると、ウィジェットマネージャ22の広告部222は、ログインユーザ(保守員)のユーザIDとウィジェット情報取得用URLとを含むユーザ情報の広告をネットワーク40上に送信する(S101)。
続いて、各画像形成装置10のユーザ検知部121は、広告を受信すると、当該広告に含まれているユーザID及びウィジェット情報取得用URLをユーザ管理テーブル126に登録する(S102)。
図9は、ユーザ管理テーブルの構成例を示す図である。同図に示されるように、ユーザ管理テーブル126は、ユーザIDとウィジェット情報取得用URLとの組(ペア)を管理する。ウィジェット情報取得用URLは、ウィジェットマネージャ22ごとに一意なURLである。ウィジェットマネージャ22は、一台の保守員端末20において一つ起動されればよい。すなわち、ウィジェットマネージャ22は、同一の保守員端末20において起動される複数のウィジェット21から共用される。同図では、ユーザA及びユーザBについてレコードが登録されている例が示されている。ユーザ管理テーブル126は、例えば、HDD114に記憶されている。
続いて、保守員は、保守員端末20において、保守作業支援ウィジェット21aを起動させる。保守員端末20において保守員によって入力される保守作業支援ウィジェット21aの起動指示に応じ、ウィジェット情報送信部212は属性情報管理ファイル231を参照してウィジェット情報を生成し、当該ウィジェット情報の登録要求をウィジェットマネージャ22に送信する(S103)。
図10は、保守作業支援ウィジェットのウィジェット情報の例を示す図である。同図において、保守作業支援ウィジェット21aのウィジェット情報は、ウィジェットID、ユーザID、連携機能識別子、ウィジェットアドレス、及び表示名等を含む。
ウィジェットIDは、各ウィジェットを一意に識別する識別情報である。ユーザIDは、保守作業支援ウィジェット21aの所有者である保守員の識別情報である。連携機能識別子は、保守作業支援ウィジェット21aと連携する画像形成装置10が有している必要のある機能(換言すれば、ウィジェットが利用する機能)を識別するための情報である。連携機能識別子の一例として「print」、「scan」等が挙げられる。「print」は、印刷機能を示す。「scan」は、スキャン機能を示す。後述されるように、保守作業支援ウィジェット21aは、画像形成装置10のスキャン機能を利用する。したがって、図10の例では、「scan」が連携機能識別子とされている。ウィジェットアドレスは、ネットワーク通信において各ウィジェットを一意に識別するための識別情報(例えば、URL等)である。表示名は、保守作業支援ウィジェット21aの表示用の文字列である。なお、ウィジェットID、ユーザID、連携機能識別子、ウィジェットアドレス、及び表示名は、例えば、属性情報管理ファイル231より取得される。
ステップS103においてウィジェット情報送信部212より送信されたウィジェット情報は、ウィジェットマネージャ22のウィジェット情報登録部221によって受信される。ウィジェット情報登録部221は、受信されたウィジェット情報をウィジェット情報管理テーブル225に登録する(S104)。
保守作業支援ウィジェット21aは、ウィジェット情報の送信後、画像形成装置10において画像データがスキャンされたことを確認するためのポーリングを行い、スキャン画像データの転送(返信)を待機する。具体的には、保守作業支援ウィジェット21aの連携部213は、スキャン画像データの取得要求をウィジェットマネージャ22の仲介部224に送信する(S105)。仲介部224は、当該取得要求に対する応答を行う(S106)。この段階では、画像データはスキャンされていないため、スキャン画像データは無いことを示す応答が返信される。その後もスキャン画像データの取得要求(S105)は一定間隔ごとに繰り返し行われる。スキャン画像データの取得要求には、ウィジェットIDが含められてもよい。
保守作業支援ウィジェット21aの起動後、保守員は、保守作業支援ウィジェット21aを実行するために画像形成装置10の設置場所へ移動する。複数の画像形成装置10がネットワーク40に接続されている場合、同一の広告が各画像形成装置10のユーザ検知部121によって受信され、それぞれの画像形成装置10のユーザ管理テーブル126にユーザID及びウィジェット情報取得用URLが登録されている。したがって、保守員は、複数の画像形成装置10のいずれを操作対象としても保守作業支援ウィジェット21aに係るジョブを実行させることができる。ここでは、画像不良障害の発生している画像形成装置10が操作対象とされる。
操作対象とされた画像形成装置10における保守員による操作に応じて実行される処理について説明する。図11は、実行可能なウィジェットの一覧の表示処理の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
保守員によって操作パネル15を介してウィジェット21の利用指示が入力されると(S201)、画像形成装置10のUI制御部122は、ユーザ管理テーブル126に登録されている情報に基づいてユーザ選択画面を操作パネル15に表示させる(S202)。
図12は、ユーザ選択画面の表示例を示す図である。同図に示されるユーザ選択画面610には、ネットワーク40上において、ウィジェットマネージャ22を起動させている保守員に対応するボタンが表示されている。同図では、「ユーザA」をユーザIDとする保守員に対応するボタン611が表示されている。
続いて、保守員は、ユーザ選択画面610において自らのユーザIDに対応するボタンを押下する(S203)。ボタンの押下に応じ、ウィジェット情報取得部123は、選択されたボタンに対応するユーザIDに関連付けられているウィジェット情報取得用URLをユーザ管理テーブル126より取得する。なお、ユーザIDに対応するボタンの押下に応じ、保守員の認証を行い、保守員が認証された場合にのみ、以降の処理が実行されるようにしてもよい。
続いて、ウィジェット情報取得部123は、ウィジェット情報取得用URL宛に、ウィジェット情報の取得要求を送信する(S204)。ウィジェット情報の取得要求は、当該ウィジェット情報取得用URLに対応するウィジェットマネージャ22のウィジェット情報提供部223によって受信される。ウィジェット情報提供部223は、ウィジェット情報管理テーブル225に登録されている全てのウィジェット情報を取得し、取得されたウィジェット情報の一覧を画像形成装置10に送信する(S205)。ウィジェット情報の一覧の送信に際し、ウィジェット情報提供部223は、画像形成装置10と各ウィジェット21との通信を中継するためのURL(以下、「ウィジェット中継用URL」という。)をウィジェットごと(ウィジェット情報ごと)に一意に生成する。ウィジェット情報提供部223は、ウィジェットごとに生成されたウィジェット中継用URLを、各ウィジェット情報に付加し、ウィジェット中継用URLが付加されたウィジェット情報の一覧を画像形成装置10に送信する。したがって、ステップS205において送信されるウィジェット情報は、例えば、図13に示されるような構成を有する。
図13は、ウィジェットマネージャから画像形成装置に送信される保守作業支援ウィジェットのウィジェット情報の構成例を示す図である。
図13に示されるウィジェット情報は、図10のウィジェット情報に対してウィジェット中継用URLが付加されたものである。ステップS205では、同図に示されるようなウィジェット情報の一覧が送信される。ここでは、ウィジェット情報が一つしか含まれないものもウィジェット情報の一覧という。
続いて、画像形成装置10のUI制御部122は、受信されたウィジェット情報の一覧をRAM112に記録しておき、当該ウィジェット情報の一覧に基づいて、実行可能なウィジェットの一覧を含む画面(ウィジェット選択画面)を表示させる(S206)。
図14は、ウィジェット選択画面の表示例を示す図である。ウィジェット選択画面620には、ウィジェット21ごとにボタン(表示部品)が表示される。同図では、保守作業支援ウィジェット21aのボタン621が表示された例が示されている。すなわち、同図は、保守作業支援ウィジェット21aのウィジェット情報のみがステップS205において受信された場合のウィジェット選択画面620の表示例である。なお、保守員端末20において、他のウィジェットが起動されている場合、当該他のウィジェットのウィジェット情報に基づいて、当該他のウィジェットに対応するボタンも表示される。
続いて、保守員又は顧客は、保守作業支援ウィジェットに処理させるための原稿を画像形成装置10のスキャナ12にセットする。セットされる原稿は、画像形成装置10に蓄積されている、画像制御電圧情報の履歴のうち、取得対象とする履歴を限定するための情報が指定されたマークシート(以下、「画像制御電圧マークシートm1」という。)である。
図15は、画像制御電圧マークシートの一例を示す図である。同図において、画像制御電圧マークシートm1は、情報取得サイクル選択領域m11、情報蓄積回数選択領域m12、及び画像制御電圧種別選択領域m13等を含む。
情報取得サイクル選択領域m11は、画像形成装置10に蓄積されている画像制御電圧情報の履歴のうち、ダウンロード対象とする履歴の周期(間隔)を選択(マーク)させるための領域である。同図では、「1000枚」が選択されている例が示されている。この場合、1000枚ごとの履歴がダウンロード対象とされる。なお、本実施の形態では、画像形成装置10における、画像制御電圧情報の記録周期は、印刷枚数によって設定されることとする。したがって、予め、記録周期が1000枚ごとに設定されている場合において、1000枚ごとの履歴がダウンロード対象とされた場合、全ての履歴がダウンロード対象となりうる。
情報蓄積回数選択領域m12は、ダウンロード対象とする履歴の上限数を選択(マーク)させるための領域である。同図では「20回以内」が選択されている例が示されている。したがって、20回分の履歴がダウンロード対象とされる。
画像制御電圧種別選択領域m13は、各種の部品ごとに記録されている画像制御電圧情報のうち、ダウンロード対象とする画像制御電圧情報を選択(マーク)させるための領域である。すなわち、「Vsp、Vsg、Vd、・・・」等は、それぞれ、画像制御電圧情報の種別を示す。同図では、Vsp及びVdが選択された例が示されている。Vspは、トナー濃度センサの電圧を示す。Vdは、ドラムの表面上のベース電圧を示す。
情報取取得サイクル選択領域m11、情報蓄積回数選択領域m12、及び画像制御電圧種別選択領域m13における選択結果は、論理積の関係にある。したがって、同図の場合、1000枚ごとにVsp及びVdに関する20回分以内の履歴を取得対象とすることが設定されたことになる。すなわち、取得対象が当該履歴に限定されたことになる。
なお、画像制御電圧マークシートm1を画像形成装置10に印刷させるようにしてもよい。すなわち、画像形成装置10は、操作パネル15を介した操作モードとして、保守員モードを有する。保守員モードでは、画像形成装置10の状態や設定値の一覧等を印刷させるためのメニューが提供される。例えば、当該メニューの中に、画像制御電圧マークシートm1の印刷ボタンが含まれている。保守員によって、当該印刷ボタンが押下されると、画像形成装置10は、未記入状態の画像制御電圧マークシートm1を出力(印刷)する。
画像制御電圧マークシートm1に対する記入は、例えば、保守員によって行われる。もちろん、顧客によって記入が行われてもよい。但し、顧客では、今回の障害の調査のために、どの画像制御電圧情報を取得するのが有効であるかについて判断するのは困難であると考えられる。保守員によって記入が行われた場合、保守員は、記入後の画像制御電圧マークシートm1を顧客に提示して、記入内容に係る情報のダウンロードについて、顧客の了承(許可)を得る。すなわち、顧客環境1は、画像形成装置10における情報が自動的に保守管理サーバ50に転送されるのを拒否している顧客の環境である。したがって、予め、顧客の了承を得ておくのが得策である。
一方、保守員が、不良画像原稿を持ち帰ることを希望し、そのことが顧客によって許可された場合、不良画像原稿も画像制御電圧マークシートm1と共にスキャナ12にセットされる。すなわち、画像制御電圧マークシートm1と不良画像原稿とが重ねられた状態で、これらの原稿がスキャナ12のADF(Auto Document Feeder)にセットされる。
なお、画像制御電圧マークシートm1及び不良画像原稿は、それぞれ複数枚によって構成されてもよい。
原稿のセットが完了すると、図16に示される処理が開始される。図16は、保守作業支援ウィジェットの実行時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
画像形成装置10に上記原稿がセットされた状態で、保守員又は顧客は、ウィジェット選択画面620に表示されている、保守作業支援ウィジェット21aに対応するボタン621を選択する(S201)。保守員によってボタン621が選択される場合、顧客が同伴していることが望ましい。本実施の形態では、ボタン621の選択という行為を、画像形成装置10からの情報のダウンロードに関する顧客による承諾(許可)の意思表示としてみなすからである。すなわち、顧客の認識の下でボタン621が選択され場合、画像形成装置10からの情報のダウンロードに関して、顧客による承諾(許可)が得られたものと解するのは、十分妥当性が認められる解釈であると考えるからである。
続いて、画像形成装置10のウィジェット連携部124は、押下されたボタン621に対応する、保守作業支援ウィジェット21aのウィジェット情報(以下、「カレントウィジェット情報」という。)に含まれている連携機能識別子(「scan」)に基づいて、スキャン(画像データの読み取り)を実行すべきことを認識する。そこで、ウィジェット連携部124は、スキャンジョブの実行をジョブ制御部125に要求する。
ジョブ制御部125は、原稿からの画像データの読み取りを制御する(S202)。より詳しくは、ジョブ制御部125は、画像形成装置10にセットされた原稿に対するスキャンをスキャナ12に実行させ、その結果得られるスキャン画像データをウィジェット連携部124に出力する。スキャン画像データは、例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)、又はPDF(Portable Document Format)等の形式で生成される。
続いて、ウィジェット連携部124は、スキャン画像データをカレントウィジェット情報に含まれているウィジェット中継用URL宛に送信する(S203)。ウィジェット中継用URL宛に送信されたスキャン画像データは、ウィジェットマネージャ22の仲介部224によって受信される。続いて、仲介部224は、定期的に行われている、当該ウィジェット中継用URLに対応する保守作業支援ウィジェット21aからのスキャン画像データの取得要求を受信すると(S105)、画像形成装置10より受信したスキャン画像データを含む応答を返信する(S211)。
保守作業支援ウィジェット21aの連携部213は、スキャン画像データを受信すると、当該スキャン画像データをスキャン画像処理部214に入力する。スキャン画像処理部214は、スキャン画像データに不良画像データが含まれている場合は、当該不良画像データを障害関連情報記憶部233に保存(記録)する(S212)。スキャン画像データ内における、画像制御電圧マークシートm1より読み取られた画像データ(以下、「マークシートデータ」という。)と、不良画像データとの区別は、所定の規則に基づいて行われてもよいし、公知の画像処理を用いて行われてもよい。所定の規則とは、例えば最初又は最後のNペーは、マークシートデータであり、残りは不良画像データであるという規則である。当該規則(例えば、Nの値)は、例えば、保守作業支援ウィジェット21aの属性情報管理ファイル231内に設定されていればよい。または、ウィジェット選択画面620においてボタン621が選択された際に、画像形成装置10のUI制御部122が、保守作業支援ウィジェット21a用の設定画面を表示させ、当該設定画面において当該規則(例えば、Nの値)が設定されてもよい。この場合、Nの値もスキャン画像データと共に転送対象とされる。
公知の画像処理を用いる場合は、例えば、画像制御電圧マークシートm1に、当該マークシートを識別するための記号、図形、又はバーコード等が記録しておけばよい。この場合、スキャン画像処理部214は、当該記号、図形、又はバーコード等が抽出される画像データをマークシート画像データであると認識し、それ以外を不良画像データであると認識する。
続いて、スキャン画像処理部214は、スキャン画像データに含まれているマークシートデータに対してOMR(Optical Mark Reader)処理を実行し、画像制御電圧マークシートm1に対する記入内容を抽出する(S213)。したがって、情報取得サイクル(取得(ダウンロード)対象とする履歴の周期)、情報蓄積回数(取得対象とする履歴数)、及び取得対象とする画像制御電圧情報の種別が抽出される。
続いて、画像制御電圧情報取得部215は、機器操作ライブラリ25を用いて、画像制御電圧情報の履歴の取得(ダウンロード)要求を画像形成装置10に送信する(S214)。当該取得要求には、取得対象とする履歴の周期、取得対象とする履歴数、及び取得対象とする画像制御電圧情報の種別等がパラメータとして指定される。すなわち、画像制御電圧情報取得部215は、マークシートデータm1より抽出された情報に基づいて、取得対象とする画像制電圧情報の履歴を限定する。
当該取得要求を受信した機器操作要求応答部129は、当該取得要求において指定されたパラメータによって限定される範囲に属する画像制御電圧情報の履歴を画像制御電圧履歴記憶部128より取得する。機器操作要求応答部129は、取得された画像制御電圧情報の履歴を返信する(S215)。なお、画像制御電圧情報の履歴と共に、当該画像形成装置10の機番も返信される。
保守作業支援ウィジェット21aの画像制御電圧情報取得部215は、画像制御電圧情報の履歴を受信すると、当該履歴を障害関連記憶部233に記録する。この際、当該履歴は、当該履歴と共に受信された機番に関連付けられて記録される。また、不良画像データが既に記録されている場合は、当該不良画像データも、当該機番に関連付けられる。
続いて、保守支援情報表示部216は、ステップS215において受信された機番に係る保守作業情報の履歴を保守履歴記憶部232により取得し、当該履歴と、ステップS215において受信された画像制御電圧情報の履歴とを、双方の履歴に係る情報に含まれている時間情報に基づいて同期させて合成する。この際、合成対象とされる期間は、双方の履歴の期間が重複する期間に限定される。すなわち、当該重複する期間に係る履歴について合成が行われる。
続いて、保守作業支援情報表示部216は、同期結果を表現する図形(例えば、グラフ)を含む表示データを生成し、当該表示データを表示装置206に表示させる(S218)。
図17は、保守作業情報の履歴と画像制御電圧情報の履歴との合成結果の表示例を示す図である。同図には、横軸は印刷枚数及び時間(月日)、縦軸は画像制御電圧値である。曲線L1及び曲線L2は、Vsp、Vdの履歴に基づいて生成されたグラフである。一方、履歴r1、r2、及びr3は、保守作業情報の履歴である。
画像制御電圧は、画像形成装置10による画像形成を正常に保つために値が制御される。その際、各画像制御電圧の相互関係が維持されるように制御される。例えば、各画像制御電圧は、その推移について略平行性が維持されるように制御される。したがって、図17の例の場合、1月10日までは、画像形成は正常に行われていたものと推測することができる。そうすると、1月10日における履歴r2に係る保守作業が、画像不良の原因に関係している可能性が高いことを推測することができる。
このように、画像制御電圧情報の推移を示す曲線と、保守作業情報の履歴とが時間軸上で同期されて表示されることにより、保守員は、保守作業による画像制御電圧への影響を容易に把握することができる。
すなわち、従来(すなわち、図17に示されるような表示が行われない状態において)、保守員は、各履歴の生データをそれぞれ比較する必要があった。しかし、画像制御電圧情報の履歴の量は膨大であり、そのうちの所望の画像制御電圧情報の履歴同士を頭の中で合成させるのすら非常に困難な作業である。具体的には、二つの画像制御電圧情報の履歴の略平行性が失われた時点の特定を行うのは非常に困難な作業である。更に、保守作業の情報を合成させるのも非常に困難な作業である。その結果、保守員による判断に誤りが生じる可能性が高くなり、適切な障害対応が遅延してしまう可能性が高くなる。
一方、本実施の形態のように、保守作業情報の履歴と画像制御電圧情報の履歴とが自動的に合成され、表示されることで、保守員は、膨大な量の履歴の内容を参照せずとも、画像不良の原因に関して或る程度の推測を行うことが可能となる。
上記の作業の完了後、保守員は、保守管理環境5に戻り、顧客環境1において収集された障害関連情報(画像制御電圧情報の履歴及び不良画像データ等)を保守管理サーバ50にアップロード(登録)する。
図18は、保守管理サーバへの障害関連情報のアップロード処理の処理手順を説明するためのシーケンス図である。同図の前提として、保守員端末20は、保守管理環境5において、ネットワーク60を介して保守管理サーバ50と通信可能な状態であるとする。
ステップS401において、保守作業支援ウィジェット21aが起動されると、保守作業支援ウィジェット21aのウィジェットUI部211は、保守作業支援ウィジェット21aのアイコンを表示装置206に表示させる。続いて、ウィジェットUI部211は、保守員より、障害関連情報のアップロード指示の入力を受け付ける(S402)。アップロード指示の入力は、例えば、保守作業支援ウィジェット21aのアイコンに対する右クリックによって表示されるコンテキストメニューに含まれているメニュー項目を選択することにより行われる。
続いて、障害関連情報アップロード部218は、障害関連情報記憶部233に記録されている画像制御電圧情報の履歴を障害関連情報として、機番に関連付けられた状態で保守管理サーバ50に送信(アップロード)する(S403)。また、不良画像データが障害関連情報記憶部233に記録されている場合は、当該不良画像データも、障害関連情報の構成情報として保守管理サーバ50に送信される。
保守管理サーバ50の保守管理部51は、受信された障害関連情報を保守作業情報記憶部52に記録する(S404)。具体的には、機番に関連付けられて障害関連情報が保守作業情報記憶部52に記録される。
その後、保守管理環境5では、保守管理サーバ50にアップロードされた障害関連情報に基づいて、画像不良障害の原因の推定又は特定作業が行われる。
続いて、画像形成装置10に対する、画像制御電圧情報の履歴の記録方法の設定について説明する。画像制御電圧情報の履歴の記録方法は、例えば、画像形成装置10の画像制御電圧記録部127が操作パネル15に表示させる履歴記録方法設定画面を用いて行われる。
図19は、履歴記録方法設定画面の表示例を示す図である。同図において、履歴記録方法選択画面510は、情報取得サイクル設定領域511、情報蓄積回数設定領域512、及び画像制御電圧種別設定領域513等を含む。
情報取得サイクル設定領域511は、画像制御電圧情報の履歴の記録周期(何枚おきに記録するか)を選択させるための領域である。同図では、「1000枚」が設定されている例が示されている。情報蓄積回数設定領域512は、蓄積する履歴の上限数を設定させるための領域である。同図では「20回以内」が設定されている例が示されている。画像制御電圧種別設定領域513は、履歴の記録対象とする画像制御電圧情報の種別を選択させるための領域である。同図では、Vsp及びVdが選択された例が示されている。
画像制御電圧履歴記録部127は、履歴記録方法設定画面510の設定内容を、例えば、HDD114に記録(保存)し、当該設定内容に基づいて、画像制御電圧情報の履歴を記録する。例えば、図19に示される設定内容の場合、画像制御電圧履歴記録部127は、1000枚印刷が行われるごとに、そのときの画像制御電圧を計測し、計測値及び時間情報を画像制御電圧履歴記憶部128に記録する。この際、計測対象とされる画像制御電圧は、選択された種別に係るものに限定される。また、画像制御電圧履歴記憶部128に記録された履歴数は、設定さえた蓄積回数の上限値に達した場合、画像制御電圧履歴記録部127は、最も古い履歴を削除し、新たな履歴を追加する。
また、図15において説明した、画像制御電圧マークシートm1を用いて、画像制御電圧情報の履歴方法が設定されてもよい。すなわち、図16では、画像制御電圧マークシートm1を、保守員端末20へのダウンロード対象とする履歴を指定させるためのマークシートとして用いたが、本来、画像制御電圧マークシートm1は、履歴の記録方法を設定させるためのマークシートなのである。すなわち、図16では、設定用のマークシートを、ダウンロード対象の選択用のマークシートとして流用したのでる。但し、画像制御電圧マークシートm1の本来の目的はいずれであってもよい。
具体的な処理手順としては、画像制御電圧マークシートm1を画像形成装置10にスキャンさせる。スキャン結果に対してOMR(Optical Mark Reader)処理を実行することにより、画像制御電圧マークシートm1に対する記入内容を抽出する。画像制御電圧履歴記録部127は、抽出結果に基づいて、画像制御電圧情報の履歴の記録方法をHDD114に記録する。
上記処理は、画像形成装置10内に閉じて行われてもよいし、保守作業支援ウィジェット21aを利用して実行されてもよい。保守作業支援ウィジェット21aを利用する場合、まず、図8に示される処理手順及び図12に示される処理手順が実行される。この際、保守作業支援ウィジェット21aは、「設定モード」を動作モードとして起動される。すなわち、保守作業支援ウィジェット21aは、「ダウンロードモード」と「設定モード」という動作モードを有する。ダウンロードモード時において、保守作業支援ウィジェット21aは、図16において説明した処理を実行する。設定モード時において、保守作業支援ウィジェット21aは、図20においてこれから説明される処理を実行する。なお、動作モードの設定は、例えば、保守作業支援ウィジェット21aの属性情報設定ファイル213に対して、所望する動作モードを示す値を記録することにより行えばよい。又は、保守支援ウィジェット21aのコンテキストメニューにおいて、動作モードの設定変更を可能としてもよい。
図20は、画像制御電圧マークシートを用いた履歴の記録方法の設定処理の処理手順を説明するためのシーケンス図である。図20中、図16と同一ステップには同一符号を付与し、その説明は省略する。
ステップS201〜S213の処理の流れは、図16において説明したものと同様である。但し、図20においてスキャナ12にセットされるのは、履歴の記録方法が記入された画像制御電圧マークシートm1である。この際においても、画像制御電圧マークシートm1に対する記入は、顧客の許可の下、保守員によって行われるのが妥当であると考える。
したがって、スキャン画像データとして保守作業支援ウィジェット21aに転送されるのは、履歴の記録方法が記入されたマークシートm1のスキャン画像データ(マークシートデータ)である。
ステップS213において、スキャン画像処理部214は、スキャン画像データに含まれているマークシートデータに対してOMR(Optical Mark Reader)処理を実行し、画像制御電圧マークシートm1に対する記入内容を抽出する。したがって、情報取得サイクル(履歴の記録周期)、情報蓄積回数(蓄積する履歴の上限数)、及び履歴の記録対象とする画像制御電圧情報の種別が抽出される。
続いて、履歴記録方法設定部219は、抽出された各パラメータを指定して、機器操作ライブラリ25のAPIを呼び出す。機器操作ライブラリ25は、APIの呼び出しに応じ、画像制御電圧情報の履歴の記録方法の設定要求を画像形成装置10に送信する(S221)。画像形成装置10の機器操作要求応答部129は、当該設定要求を受信すると、当該設定要求おいてパラメータとして指定されている、履歴の記録周期、蓄積する履歴の上限数、及び履歴の記録対象とする画像制御電圧情報の種別等をHDD114に保存(記録)する(S222)。
なお、保守支援ウィジェット21aの設定モード時の処理手順を実行するための専用のウィジェットが、保守支援ウィジェット21aとは別に作成されてもよい。この場合、当該ウィジェットは、ウィジェットUI部211、ウィジェット情報送信部212、連携部213、スキャン画像処理部214、履歴記録方法設定部219、及び属性情報管理ファイル231等を有していればよい。一方、保守作業支援ウィジェット21aは、履歴記録方法設定部219を有さなくてもよい。
ところで、保守員による、定期的な又は緊急時における保守作業の内容についても、図21に示されるようなマークシート(保守作業マークシート)を用いて、画像形成装置10に通知されてもよい。ここでいう、緊急時における保守作業には、画像不良障害の発生時における保守作業も含まれる。
図21は、保守作業マークシートの一例を示す図である。同図において、保守作業マークシートm2は、交換部品選択領域m21等を含む。交換部品選択領域m21は、保守作業によって交換された部品を選択(マーク)させるための領域である。なお、同図では、交換部品選択領域m21において、部品ごとに現在値が記録された例が示されている。同図の保守作業マークシートm2は、画像形成装置10に印刷された例を示すからである。すなわち、画像制御電圧マークシートm1と同様、保守作業マークシートm2についても、画像形成装置10によって印刷されてもよい。この場合、画像形成装置10は、各部品のトータルカウンタ値を取得し、当該トータルカウンタ値を「現在値」として、保守作業マークシートm2に印字する。トータルカウンタ値とは、当該部品が何枚分の印刷に使用されたかを示す値である。
保守員は、保守作業マークシートm2において、保守作業によって交換された部品に対してマークを記入する。その後、保守作業マークシートm2を画像形成装置10にスキャンさせる。画像形成装置10は、スキャンされた画像データに対してOMR(Optical Mark Reader)処理を実行することにより、交換された部品を認識する。画像形成装置10は、交換された部品のトータルカウンタ値を0に初期化する。
なお、上記処理は、ウィジェットを用いて行われてもよい。この場合の処理手順の詳細は、設定モードにおける保守作業支援ウィジェット21aが実行するもの(図20)より自明であるため、ここでの説明は省略する。
上述したように、本実施の形態によれば、保守対象の画像形成装置10が外部のネットワークから隠蔽された状態であっても、画像形成装置10における異常発生時(特に、画像不良障害の発生時)における、保守作業を適切に支援することができる。
なお、上記では、画像制御電圧マークシートm1や保守作業マークシートm2を、OMR用の用紙として形成した例を説明した。但し、これらのシート(用紙)は、OCR(Optical Character Recognition)用の用紙として形成されてもよい。すなわち、各選択項目を、文字列によって記入させるようにしてもよい。この場合、保守作業支援ウィジェット21aのスキャン画像処理部214は、マークシートデータに対してOCR処理を実行することにより、各シートに指定された情報を抽出(認識)するようにすればよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。