以下、本実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態における画像品質検査システム1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態における画像品質検査システム1を構成する各装置間での信号の流れ等を説明するための制御系の主要部である。
図1および図2に示す画像品質検査システム1は、画像形成装置20によって用紙Sに画像を形成(出力)した後、当該用紙Sの画像を読み取り、当該読み取り結果に基づいて出力画像の品質の良否(異常画像の発生の有無)を検査し、該検査結果の表示等の処理を行うものである。
図1に示すように、画像品質検査システム1は、入力画像データに基づく画像を用紙Sに形成する画像形成装置20、画像形成装置20に用紙Sを給紙する給紙装置10、画像形成装置20から排紙された用紙Sの画像を読み取る画像読取装置30、複数の排紙トレイ(42,43)を有する後処理装置40を備える。
画像品質検査システム1では、用紙Sの搬送方向の上流側から、給紙装置10、画像形成装置20、画像読取装置30、および後処理装置40が順に物理的に接続される(装置本体同士が連結される)ことにより、用紙Sの搬送経路Pがこれら複数の装置間に連なって構成される。この搬送経路Pは、後処理装置40の仕分け部41によって、下方の排紙トレイ42に連なる経路P1と、上方の排紙トレイ43に連なる経路P2と、に分岐される。
簡明のため、図1では、画像形成装置20内の搬送経路Pを1本の線で示しているが、実際の画像形成装置20では、両面印刷のための両面搬送路が設けられている。また、簡明のため、図1では、後処理装置40内で分岐される経路をP1およびP2の2本としたが、排紙トレイの数などに応じて、より多くの分岐経路を設けることができる。
給紙装置10は、種々のサイズや紙種の用紙Sを収容することができる。給紙装置10は、収容(積載)された用紙Sを1枚ずつ給紙するための給紙ローラー、給紙ローラーを駆動するモーターなどを有する。
画像形成装置20は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式の画像形成部21を有する。この例では、画像形成部21は、図示しない感光体ドラム上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト(図示せず)に一次転写し、中間転写ベルト上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに二次転写することにより、トナー像を形成する。また、用紙Sの搬送方向における画像形成部21の下流側には、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを加熱および加圧して、用紙Sにトナー像を定着させる定着部22が配置されている。これら画像形成部21および定着部22は、公知の構成であるため、詳細な説明を省略する。また画像形成装置20における画像形成の方式は、上記の方式に限られるものではなく、他の種々の方式が適用可能である。
画像形成装置20の装置本体には操作表示部25が備えられる。この操作表示部25は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部26及び操作部27として機能する。表示部26は、後述する制御部200から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部27は、テンキー、スタートキー等の各種操作キー(いわゆるハードウエアスイッチ)を備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部200に出力する。また、表示部26は、後述する各種画面において、カーソル(ポインタ)等で選択可能な種々のアイコン(いわゆるソフトウエアスイッチ)を表示し、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部200に出力する。
画像形成装置20は、図2に示すように、この画像形成装置20全体の制御を司る制御部200を備える。制御部200は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203等を備え、上述した画像形成部21、定着部22、および操作表示部25の他、画像形成装置20に備えられる各部の動作を制御する。すなわち、制御部200のCPU201は、ROM202から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM203に展開し、展開したプログラムと協働して、画像形成部21、定着部22、操作表示部25および画像形成装置20内の他のブロックの動作を集中制御する。
画像形成装置20に備えられる他のブロックとしては、入力画像データに対して階調補正などの種々の補正を行う画像処理部、用紙Sを搬送する複数の搬送ローラーを駆動する用紙搬送部、通信ネットワーク等を通じて外部装置と通信する通信部などが挙げられる。また、画像形成装置20は、原稿画像を用紙Sに複写するコピー機としての構成、すなわち、ADF(Auto Document Feeder)などの自動原稿給紙装置および原稿画像走査装置(スキャナー)等を備える構成としてもよい。上述したこれらのブロックは、公知の構成であるため、図示および説明を省略する。
画像読取装置30は、図1および図2に示すように、画像形成装置20から排紙された用紙Sの画像(トナー像)を光学的に読み取る出力画像読取部31を有する。具体的には、出力画像読取部31は、用紙Sを光学的に走査し、用紙Sからの反射光を図示しないCCD(Charge Coupled Device)センサーの受光面上に結像させて、用紙Sの両面の画像を読み取り、読取結果に基づいて読取画像データを生成する。出力画像読取部31によって生成された読取画像データは、後述する品質検査装置50に入力される。
後処理装置40は、図1および図2に示すように、画像読取装置30によって画像を読み取られた用紙Sを搬送する搬送ローラー、かかる用紙Sを排出する複数の排紙トレイ42,43、および、用紙Sの排出先(搬送ルート)を切り替える仕分け部41を備える。簡明のため、図2では、2つの排紙トレイ42,43を備えた構成を例示するが、排紙トレイの数は任意であり、より多くの排紙トレイを設けてもよい。仕分け部41は、用紙Sの排出先(搬送ルート)を経路P1と経路P2のいずれかに切り替える切り替えゲート、切り替えゲートを駆動するソレノイド等の駆動源、画像形成装置20および品質検査装置50とデータの送受信を行うためのインターフェースなどを備える。
図2に示すように、画像品質検査システム1は、画像読取装置30によって生成された読取画像データに基づいて、当該用紙Sに形成(出力)された出力画像の品質の良否(異常画像の有無)を検査する品質検査装置50を備える。この品質検査装置50は、CPUなどのハードウェアプロセッサやROM、後述するデータ格納部51などを備え、ROMに格納されたプログラムをCPUが読み出して実行することにより、出力画像の品質の良否(異常画像の有無)を検査するジョブ(以下、検品ジョブという)を実行する。品質検査装置50は、本発明の「画像検査部」に対応する。
品質検査装置50は、例えば、画像読取装置30や後処理装置40、さらには画像形成装置20等の筐体内に物理的に組み込まれることができ、または、これら装置とは物理的に独立した装置として構成することもできる。図2に示す例では、品質検査装置50は、後者すなわち物理的に独立した装置であり、画像形成装置20の後述する制御部200等に電気的に接続された構成となっている。
また、画像品質検査システム1は、図2に示すように、入力画像データおよび印刷条件(印刷の方法や部数などの種々のユーザー設定値)のデータをリファレンスデータ(参照画像ないし正解画像のデータ)として出力するPC60を備える。図2に示す例では、PC60は、上記のリファレンスデータを画像形成装置20(制御部200)と品質検査装置50の両方に供給するようになっている。他の例として、PC60から送信されたリファレンスデータを2分岐して制御部200と品質検査装置50とに送信する中継装置を設けてもよい。
さらに、図2に示すように、画像品質検査システム1は、上述したリファレンスデータ等の各種データを格納するためのデータ格納部51,52を備える。このうち、データ格納部51は、品質検査装置50の一部であり、リファレンスデータを一時的に記憶するために用いられる。また、データ格納部51は、品質検査装置50によって検知された異常画像に関する種々のデータが格納される。他方、データ格納部52は、画像形成装置20の本体(筐体)内に設けられ、図示しないインターフェースを介して、制御部200および品質検査装置50のCPUに接続されている。これらデータ格納部51,52は、HDDや半導体のメモリーなど、各種のデータ記憶媒体を使用することができる。
次に、図3のフローチャートを参照して、品質検査装置50が実行する検品ジョブの処理の流れについて説明する。
ステップS10において、品質検査装置50(図2に示す品質検査装置50のCPU、以下同じ。)は、画像形成装置20による印刷ジョブの実行に伴って、上述したリファレンスデータを取得する。図2に示す例では、品質検査装置50は、PC60から送信されるリファレンスデータを受信し、受信したリファレンスデータをデータ格納部51に格納する。
検品ジョブの他の態様として、画像形成装置20が原稿を読み取るスキャナーを備える構成であって、かかるスキャナーで読み取った複数枚の原稿の画像を画像形成装置20でコピー印刷し、コピー印刷で出力された画像の品質を検査するような場合もある。このような場合、コピー印刷の前処理として、当該原稿の画像を予めスキャナーで読み取らせておくとともに、当該読み取ったデータをリファレンスデータ(正解画像のデータ)としてデータ格納部51に格納しておく。
ステップS20において、品質検査装置50は、画像読取装置30の出力画像読取部31によって生成された読取画像データを取得する。本実施の形態では、品質検査装置50は、生成された読取画像データを画像読取装置30から直接受信する。なお、他の構成例として、上述した中継装置が設けられている場合には、品質検査装置50は、中継装置を介して読取画像データを受信してもよい。
ステップS30において、品質検査装置50は、ステップS20で取得された読取画像データを、ステップS10で取得された対応するリファレンスデータと比較することによって、参照画像(正解画像)と読取画像の同一性を検査する。
ステップS40において、品質検査装置50は、読取画像データの画像品質が合格(OK)か否かを判定する。かかる判定の処理は、正解画像と読取画像の一致度(読取画像の欠陥の種類すなわち後述する異常画像UIの種類)に関する項目および合否の基準値(閾値)等によって異なるものとなり、これらは公知の手法と同様であるため、判定手法の詳述を省略する。なお、読取画像の欠陥は、後述する異常画像UIと同義であり、かかる欠陥(異常画像UI)の種類に関しては後述する(図9参照)。
ここで、品質検査装置50は、読取画像データの画像品質が合格(OK)と判定した場合(ステップS40、YES)、当該合格となった読取画像データに対応する用紙Sを、予め設定された第1トレイ(例えば図1の排紙トレイ42)に排出するように、後処理装置40に通知する。そして、品質検査装置50は、当該検品に関する印刷ジョブが完了するまでステップS20~ステップS40の処理を繰り返し、かかる印刷ジョブが完了すると、処理を終了する。この場合、品質検査装置50は、例えば「全ての印刷頁で画像品質が合格した」旨を画像形成装置20の制御部200に通知する。
他方、品質検査装置50は、読取画像データの画像品質が不合格(NG)と判定した場合(ステップS40、NO)、ステップS50に移行する。
ステップS50において、品質検査装置50は、例えば「100枚目の印刷頁で異常画像が発生した」等のメッセージを画像形成装置20の制御部200に送信する。このとき、品質検査装置50は、当該異常の種類、用紙S内における異常の位置などを併せて画像形成装置20の制御部200に送信する。また、品質検査装置50は、当該不合格となった読取画像データに対応する用紙Sを、予め設定された第2トレイ(例えば図1の排紙トレイ43)に排出するように、後処理装置40に通知する。そして、品質検査装置50は、当該検品に関する印刷ジョブが完了するまでステップS20~ステップS50の処理を繰り返し、かかる印刷ジョブが完了すると、処理を終了する。
品質検査装置50から画像品質の合否についての通知を受けた後処理装置40は、対象となる用紙Sを該当する排紙トレイ(42または43)に排出するように、仕分け部41の切り替えゲートを駆動する。
他の例として、品質検査装置50は、読取画像データの画像品質の合格または不合格の別を画像形成装置20の制御部200に通知し、対応する用紙Sの排出先(排紙トレイ42または43の別)を制御部200から後処理装置40に指示してもよい。
品質検査装置50は、検品ジョブが完遂されるまで、上述したステップS20~ステップS50の処理を繰り返し行い、検品ジョブが完了(完遂)された場合、検品結果を画像形成装置20に送信して、検品ジョブを正常に終了する。典型的には、品質検査装置50は、画像形成装置20が印刷ジョブの実行で印刷した全ての印刷物に対して上述したステップS20~ステップS50の処理を繰り返し行うことで、検品ジョブを継続的に実行した後、上述のように正常に終了する。
ところで、このような画像品質検査システム1において、印刷された画像に特定の異常(例えば、画像スジや濃度ムラなど)が繰り返し品質検査装置50により検出された場合、かかる異常の発生原因(多くは画像形成装置20内の機械的な不具合)を特定して、特定された機械のメンテナンス(調整、部品交換、修理等)を行う必要が生じる。この場合、メンテナンス対象となる機械を特定するためには、異常な画像が発生する周期(インターバル)を検出することが有力な手がかりとなり得る。
このため、本実施の形態でも、異常な画像(以下、単に「異常画像」という)の繰り返し現れる発生周期(以下、単に「周期」という。)を検出(特定)する構成とする。本実施の形態では、異常画像が複数頁分検出された場合(複数の画像に画像不良が発生している場合)に、品質検査装置50のCPUによって異常画像の周期が特定される。すなわち、本実施の形態では、品質検査装置50(CPU)は、本発明の「発生周期特定部」に対応する。
また、異常画像の周期(画像不良の発生周期)を検出する手法は、従来と同様の方法を使用することができる。一具体例では、品質検査装置50(CPU)は、上述したステップS40の判定でNOの結果となった場合、異常画像が発生したものとして、当該異常画像の画像データを、印刷頁の値(例えば画像形成装置20の稼働開始から何枚目の印刷物かを表す値)とともにデータ格納部51に格納しておく。
そして、品質検査装置50は、複数頁分の異常画像が発現した場合(すなわちデータ格納部51に複数枚の異常画像の画像データが格納された場合)、これら異常画像同士を比較して、異常の種類の同一性を判断する。ここで、品質検査装置50は、異常の種類が同一であると判断した場合(例えば複数頁分の異常画像がいずれも「画像スジ」の場合)、当該異常画像の各々の印刷頁に基づいて、当該異常における周期性の有無を判定し、周期性が有る場合はかかる周期の値を算出する。
例えば、異常画像として「画像スジ」が第103頁、第106頁、第109頁、第112頁・・、といったように周期的(ないし規則的)に発生した場合、品質検査装置50は、周期性「有り」と判定し、周期の値として「3(頁)」を出力する。他方、画像スジが第103頁、104頁、110頁、189頁、・・・といったように不規則的(ないし乱数的)に発生した場合、品質検査装置50は、周期性「無し」と判定する。
なお、検出された異常の種類および算出された周期によっては、原因となる機械部分をある程度高い確率で特定できる場合もある。例えば、画像形成部21の上述した感光体ドラムにキズがあるような場合、当該キズに対応した形状の画像スジが、短い周期(上記例では少ない頁周期)で発現することになる。したがって、このような場合、品質検査装置50は、検出された異常の種類および算出された周期に基づいて、当該異常画像の原因の候補となる画像形成装置20の機械部分(ユニットなど)を推定する。
他方、多くの場合、算出された周期に基づいて、異常画像が発現する原因となる機械部分(機械的な不具合)を正確に特定することは必ずしも容易ではない。この点、従来技術によれば、プロセッサーで算出された異常画像の周期を操作表示部25などに表示してユーザーに提示する一方、ユーザーは、異常画像が出力された用紙Sを観察し、経験則や推論により、原因となる機械部分を試行錯誤的に特定していた。
しかしながら、一般に非常に多くの部品数で構成されている画像形成装置20における異常画像の発生原因となる機械部分をより確実に把握することを望むユーザーにとって、従来のシステムでは、ユーザーへの判断材料の提示を十分に行っていないと考えられる。言い換えると、本発明者らは、従来の画像品質検査システムでは、異常画像が発生した場合に当該異常の発生原因(機械の不具合の箇所等)をユーザーが出来るだけ早期に把握できるような、ユーザーを支援する仕組みが十分でないことを見出した。
そこで、本実施の形態の画像品質検査システム1では、画像形成装置20の制御部200は、品質検査装置50によって特定された周期に基づいた並べ方で、異常すなわち画像不良が発生している複数の画像にそれぞれ関連する、複数の画像関連情報を表示させる制御を行う。また、品質検査装置50(発生周期特定部)は、複数の画像に画像不良が発生している場合(すなわち複数頁分の異常画像が検知された場合)、異常(画像不良)の種類毎に周期を特定する。
本実施の形態では、画像関連情報は、画像不良が発生している用紙S上の画像であり、この例については図4以下で後述する。また、画像関連情報は、画像不良の種類を識別するマークとすることもでき、この例については図8で後述する。
本実施の形態では、制御部200は、画像関連情報を自機(すなわち画像形成装置20)の上述した表示部26に表示するように操作表示部25を制御する。他の制御例として、制御部200は、異常画像をPC60などの外部装置の表示部に表示するように、当該外部装置を制御してもよい。
図4は、品質検査装置50によって複数頁分の画像不良(異常画像)が検出され、かつ、周期が特定された異常画像を表示部26に表示する態様の一具体例を示す。図4に示す例は、画像形成装置20で30頁分の原稿を6部コピー印刷する(すなわち180枚の用紙Sに各々の画像を印刷する)印刷ジョブを行いながら、かかる印刷物の異常画像すなわち画像不良の発生の有無を品質検査装置50で検査した結果を示している。図4中、異常画像を符号UIで示し、符号UIにおける添え字の(p7)、(p28)は、頁数を表している。また、図4中、横軸は頁数を表し、縦軸は部数を表している。
図4に示すように、本実施の形態では、制御部200は、異常画像UIを、画像形成装置20(画像形成部21)による画像形成の進捗状況を表すパラメーターをそれぞれ示す2軸を有するグラフの軸に沿って、周期に応じて並べるように表示する。
図4に示す事例では、印刷された各部(6部)中の特定の頁(この例では第7頁と第28頁)が異常画像UIとして表示されており、品質検査装置50は、「各部における第7頁と第28頁の読取画像が、対応する正解画像と全く異なる」旨を通知した。また、品質検査装置50は、当該異常画像UIの発生の規則性を考慮して、横軸を頁数、縦軸を部数とする2軸のグラフ内に、各部における第7頁と第28頁の読取画像(すなわち異常画像)を組み込んだ表示用のデータ(以下、「パネル描画データ」という。)を生成し、画像形成装置20に送信した。
このような事例では、通常、リファレンス画像(正解画像)の方に問題があり、例えば、上述したコピー印刷の前処理で、原稿画像の順番を間違えた(この例では7頁と28頁が入れ替えて登録されている)ことが考えられる。したがって、上記の通知およびパネル描画データを受信した画像形成装置20の制御部200は、例えば「スキャナーにセットしている原稿の7頁と28頁を確認してください」等のメッセージを図4に示すグラフの内外に付加するように、表示部26に表示する。
図5Aおよび図5Bに、表示部26に表示された異常画像UIの表示態様の他の一具体例を示す。図5Aおよび図5Bに示す例は、数百頁(枚)分の画像を画像形成装置20で連続的に印刷しつつ、品質検査装置50で検品ジョブを実行した場合に、50枚おきに何らかの異常画像が品質検査装置50によって検出された事例を仮定している。図5Aおよび図5B中、異常画像の符号UIにおける添え字のA,B,C,D・・・Hは、互いに別の用紙Sに印刷されたことを識別するための符号であり、この例では、異常画像UIAとUIG、異常画像UIBとUIH、異常画像UICとUIE、異常画像UIDとUIF、の各対は、互いに同一の正解画像に基づいて印刷された画像である。図5Aおよび図5Bに示す例では、横軸と縦軸のいずれも頁数を表しており、この点、後述する図6~図8、および図10,図11の例も同様である。
図5Aに示す例では、1枚目(第1頁)から200枚目(第200頁)の印刷物中における異常画像を(下から)一段目に表示し、201枚目(第201頁)から400枚目(第400頁)の印刷物中における異常画像を二段目に表示している。他方、図5Bに示す例では、異常画像(UI)の発生順をより視認しやすくするために、発生した異常画像UI(UIA,UIB,UIC・・)を下から縦一列に配置している。このような表示の仕方(2軸のグラフ(二次元座標)における各軸の目盛りの取り方)は、印刷の部数や枚数、異常画像の発生数等に応じて、上述した操作部27等の操作によりユーザーが任意に切り替えられるようにするとよい。すなわち、制御部200は、ユーザーによる操作部27の操作に応じて、2軸のグラフにおける各軸の目盛り(数値)の表示を切り替え、かかる表示切り替えに伴って異常画像UIの配置を変えるように、表示部26を制御する。したがって、操作部27は、表示部26に表示する異常画像UI同士の表示間隔を設定する表示間隔設定部としての機能を有する。
図5Aおよび図5Bに示す例では、一定の頁枚数毎に、かつ比較的短い周期(50頁)で異常画像UIが発生している。このようなケースでは、異常画像UIは、画像形成部21の機械的な要因により発生している可能性が高いものと考えられる。したがって、このような場合、制御部200は、例えば「画像形成装置(20)の画像形成部(21)の機械的な調整等を行う必要があり得ます。」等のメッセージを表示部26に表示する。
また、制御部200は、過去の異常画像UIの発生時に実行された画像形成装置20の部品交換や調整実行などのメンテナンス情報を、異常の種類、印刷頁数、周期が検出された場合は当該周期の情報とともに、データ格納部52に蓄積しておく。かかる構成において、制御部200は、図5A等に示すような異常画像UI(UIA,UIB,UIC・・)が発生した場合に、当該異常の種類や周期(この例では50枚毎)と同様のケースをデータ格納部52から検索する。そして、制御部200は、今回の事例と同様の過去のケースが検索された場合、当該過去に実行された部品交換や調整実行などのメンテナンス情報を、今回の作業候補として表示部26に表示する。
図6に、表示部26に表示された異常画像UIの表示態様の他の具体例を示す。図6に示す表示例は、一万頁(枚)分の画像を画像形成装置20で連続的に印刷しつつ、検品ジョブを実行した場合に、1000頁(枚)毎の周期で濃度低下や濃度ムラなどの異常画像(画像不良)が品質検査装置50によって検出された事例を仮定している。
図6に示す例では、図5A等に示す例と比べて、非常に長い周期で異常画像UIが発生しており、かつ、一定の印刷頁毎に異常画像UIが発生している。このようなケースでは、異常画像UIは、画像形成部21の機械的な性能劣化により発生している可能性が高い。また、上述のような電子写真方式の画像形成装置20では、トナー量の不足や現像剤の劣化などに起因した画像の異常(濃度低下や濃度ムラなど)が生じる可能性が高い。したがって、このような場合、制御部200は、例えば「濃度低下(濃度ムラ)が発生しました。トナーまたは現像剤が原因である可能性が高いです。」等のメッセージを表示部26に表示する。
図4~図6を参照して説明したように、本実施の形態によれば、制御部200は、品質検査装置50(画像品質検査部)によって検知された複数の異常画像UIを、画像形成装置20による印刷の進捗状況を表すパラメーターを各々示す2軸を有するグラフとともに、表示部26に表示する。具体的には、制御部200は、検知された複数頁分の異常画像UI(UIA,UIB,UIC・・)を、2軸を有するグラフの少なくとも一方の軸に沿って、当該異常画像の周期に応じて並べるように表示部26に表示する。このような表示を行うことにより、異常画像UIの周期が視覚的により分かりやすくなることから、異常画像UIの発生原因を把握しようとするユーザーを支援することができる。
さらに、表示部26に表示された異常画像UI(UIA,UIB,UIC・・)のいずれかをユーザーがポインタ等で指定して操作部27により所定操作を行った場合、制御部200は、当該指定された異常画像UIを拡大して表示部26に表示する。この際、制御部200は、当該異常画像UIにおける異常(例えば画像スジ等)の部分を、表示部26の中央に配置すること、さらには、異常の種類を表示するとよい。このような表示を行うことで、異常画像UIの発生原因を把握せんとするユーザーに更なる利便性を供与することができる。
また、制御部200は、品質検査装置50によって複数枚(頁)分の異常画像UIが検出され、当該異常画像UIの周期が特定された場合に、かかる周期の長さに応じた異常画像UIの発生原因を選定ないし判別して、表示部26に表示する処理を行う。かかる構成とすることにより、装置のメンテナンスを行って正常な印刷物を得ようとするユーザーに対して、より確実な手がかりを供与することができる。
図7に、表示部26に表示された異常画像UIの表示態様の他の具体例を示す。図7中、異常画像UIの添え字「(P1500~Pn)、等」は、画像形成装置20の初期稼働時からの印刷枚数(頁数)を表している。
図7に示す事例では、画像形成装置20の初期稼働時から1500枚毎に異常画像UIが連続的に発生し、その都度ユーザー(習熟したサービスマン)が表示部26に表示された異常画像UIから異常の原因を究明して、メンテナンス作業を(合計3回)行った場合を想定している。また、サービスマンは、行ったメンテナンス作業の内容を、1回毎に図示しないユーザー管理画面等を通じて入力し、この際に、制御部200は、入力された内容をメンテナンス情報として、異常の種類や周期の情報とともにデータ格納部52に格納(蓄積)する。
以下、図7に示す事例の内容をより詳細に説明する。この例では、画像形成装置20の初期稼働時から1499頁(枚)までの印刷では正常な画像が出力され続け、1500頁(枚)からの印刷では、異常画像UIが品質検査装置50によって連続的に検出された(図7中の異常画像UI(P1500~Pn)参照)。なお、この時点で、品質検査装置50(発生周期特定部)は、異常画像UI(P1500~Pn)における異常の周期は特定しなかった。この後、上記のサービスマンが表示部26に表示された異常画像UI(P1500~Pn)を適宜拡大操作して異常の種類等を確認した結果、画像形成部51の感光体ドラムを交換する必要があると判断し、感光体ドラムの交換と、かかる交換に伴う画質調整の作業を行った。また、制御部200は、サービスマンにより入力されたメンテナンス作業の内容(ここでは「感光体交換」と「画質調整」)をデータ格納部52に格納した。上記のメンテナンス作業が功を奏し、その後は、画像形成装置20における2999頁(枚)までの印刷では正常な画像が出力され続けた。
しかしながら、3000頁(枚)からの印刷で、異常画像UIが品質検査装置50によって再び連続的に検出された(図7中の異常画像UI(P3000~Pn)参照)。このとき、品質検査装置50は、異常画像UIの周期(この例では「1500頁」)を検出(特定)した。また、画像形成装置20の制御部200は、図7の表示内容中、異常画像UI(P1500~Pn)とメンテナンス作業の内容(「感光体交換」と「画質調整」)、および異常画像UI(P3000~Pn)を2軸のグラフとともに表示部26に表示した。
この後、サービスマンが表示部26に表示された上記内容を視認し、異常画像UI(P3000~Pn)を適宜拡大操作して異常の種類や状態等を確認した。その結果、サービスマンは、画像形成部51(現像ユニット)の現像剤を交換する必要があると判断し、現像剤の交換と、かかる交換に伴う画質調整の作業を行った。また、制御部200は、サービスマンにより入力されたメンテナンス作業の内容(ここでは「現像剤交換」と「画質調整」)をデータ格納部52に格納した。上記のメンテナンス作業が功を奏し、その後は、画像形成装置20における4499頁(枚)までの印刷では正常な画像が出力され続けた。
さらに、4500頁(枚)からの印刷で、異常画像UIがまたもや品質検査装置50によって連続的に検出された(図7中の異常画像UI(P4500~Pn)参照)。このとき、品質検査装置50は、異常画像UIの周期(1500頁)を再び検出(特定)した。また、画像形成装置20の制御部200は、図7の表示内容中、異常画像UI(P1500~Pn)とメンテナンス作業の内容(「感光体交換」と「画質調整」)、異常画像UI(P3000~Pn)とメンテナンス作業の内容(「現像剤交換」と「画質調整」)、および異常画像UI(P4500~Pn)を、2軸のグラフとともに表示部26に表示した。
この後、サービスマンが表示部26に表示された上記内容を視認し、異常画像UI(P4500~Pn)を適宜拡大操作して異常の種類や状態等を確認した。その結果、サービスマンは、画像形成部51(現像ユニット)のトナーを交換する必要があると判断し、トナーの交換と、かかる交換に伴う画質調整の作業を行った。また、制御部200は、サービスマンにより入力されたメンテナンス作業の内容(ここでは「トナー交換」と「画質調整」)をデータ格納部52に格納した。このメンテナンス作業が功を奏し、その後の印刷では正常な画像が出力されるようになった。
このような事例において、図7に示す表示態様は、上記3回のメンテナンス作業の後の任意の時機に、ユーザーが操作表示部25を操作することによって、過去に発生した異常画像UIに関する事例を表示部26に一覧的に表示したものである。かかる操作信号を受信した制御部200は、データ格納部52に格納(蓄積)された異常画像UIおよび関連する情報(ここでは周期およびメンテナンス作業の内容)を読み出して、過去に発生した異常画像UIの周期が視認できるように、表示部26に時系列的に一覧表示する。
本実施の形態では、制御部200は、図7に示すように、2軸を有するグラフ内に異常画像UIを時系列に沿って表示し、かつ、発生した異常画像UIの頁や周期が視認できるように表示部26に表示する。また、図7に示す例では、制御部200は、異常画像UIとともに、当該異常画像UIの発生を解消するために行ったメンテナンス作業の内容を併せて表示する(付加表示する)ように、表示部26を制御する。
このような表示制御を行う本実施の形態によれば、メンテナンス作業後に所定枚数(この例では1500枚)を印刷した場合に異常画像UIが連続的に発生することを容易に視認することができる。
また、このような表示制御および過去のメンテナンス作業のデータの蓄積を行う本実施の形態によれば、現在の画像形成装置20(この例では、感光体ドラム、現像剤、およびトナー)の耐久状態や、次に異常画像UIが発生する時期(この例では6000枚目)の予測なども容易に行うことができる。
このため、制御部200は、次の検品ジョブの実行時に品質検査装置50によって異常画像UI(画像不良)が検出された場合に、データ格納部52に格納(蓄積)されたメンテナンス作業のデータを参照して、当該異常画像UIを解消するためのメンテナンス作業の候補を、当該異常画像UIに付加して表示してもよい。
一具体例として、制御部200は、次の検品ジョブの実行時に品質検査装置50によって異常画像UIが検出された場合に、当該異常画像UIの検出された印刷頁数(カウンタ情報)が6000頁以後であるかを判定する。そして、制御部200は、6000頁以後であると判定した場合、図7で例示した1500頁周期の異常画像UIが再び発生したものとみなして、当該異常画像UIを解消するために過去に行われたメンテナンス作業のデータ(図7参照)を全て読み出す。さらに、制御部200は、該読み出されたデータから、候補となるメンテナンス作業(例えば「感光体交換」および「画質調整」)を抽出して、抽出されたメンテナンス作業の候補を、当該異常画像UIに付加するように表示部26に表示する。
他方、制御部200は、当該異常画像UIの検出された頁数が6000頁以後ではない(例えば4000頁など、6000頁未満である)と判定した場合、図7で例示した1500頁周期の異常画像UIではないものとみなす。この場合、制御部200は、当該異常画像が図6で上述した1000頁周期の異常画像であって、かつ、当該異常画像UIを解消するために過去に行われたメンテナンス作業のデータが格納されている場合には、上述と同様の処理を行う。
図8に、表示部26に表示された異常画像UIの表示態様の他の具体例を示す。
図8に示す事例は、図6で上述したケースと同様に、一万頁(枚)分の画像を画像形成装置20で連続的に印刷しつつ、品質検査装置50で検品ジョブを実行した場合を仮定している。他方、図8に示す事例では、1000枚の周期で特定種類の異常画像(例えば画像スジ)が品質検査装置50によって単発的に検出され、かつ、1500枚の周期で他の異常画像(例えば濃度低下)が品質検査装置50によって連続的(群発的)に検出された場合を仮定している。
上述のように、本実施の形態では、ユーザーは、表示部26に表示された個々の異常画像UIを指定して拡大操作することで、当該異常の詳細を視認することができる。他方、例えば、実行すべきメンテナンス作業の内容が明確な種類の画像異常UIである場合、あるいは、発生した異常画像UIにおける異常の種類が比較的少ないような場合、図8に示すように、発生した異常画像UIの種類に対応したマークを、異常画像UIに付加して表示するとよい。
図8に示す例では、画像関連情報として、異常画像UIの種類毎に異なる識別枠CFを、異常画像UIを囲うように表示している。図8中、太枠で示す識別枠CF1は、当該異常画像UIの種類が画像スジであることを示す。他方、点線で示す識別枠CF2は、当該異常画像UIの種類が濃度低下であることを示す。なお、異常画像UIの種類毎に識別枠CFの色を異なるものとしてもよく、例えば識別枠CF1を赤色、識別枠CF2を緑色としてもよい。
上記のように、画像関連情報として、異常画像UIの種類毎に異なるマーク(この例では識別枠CF)を、異常画像UIに付加して表示する形態とすることで、品質検査装置50によって複数種類の異常画像UIが検出された場合でも、各々の異常毎の周期を容易に視認することができる。
さらに、図示は省略するが、図8に示す表示形態からユーザーが所定の操作を行った場合に、制御部200は、異常画像UIの種類に応じたマーク(上記例では識別枠CF)だけを画像関連情報として表示部26に表示し、対応する異常画像UIを表示しない形態に切り替える処理を行う。このような表示形態は、例えば発生した異常画像UIの頁数や種類が多いような場合に、個々の異常画像UIを拡大表示して個々の異常の内容を詳細に調べる煩雑さを逃れることができる。加えて、個々の異常画像UIが表示されないことから、制御部200は、この場合に、異常画像UIの拡大表示の操作自体を禁止することができる。このため、例えばユーザーの誤操作によって本来必要のない拡大表示が行われるような事態を回避することができる。
ところで、一般に、異常画像(画像不良)の種類には様々なものがある。例えば、本例のような電子写真方式の画像形成装置20では、画像形成部21(すなわちトナー像の現像および転写)の不具合から生じ得る読取画像の異常(すなわち異常画像UI)の例として、「画像スジ」、「画像白抜け」、「濃度低下」、「濃度ムラ」、「転写不良」、「周期ムラ」、「転写抜け」、「ホタル」(ベタ画像中に白色の斑点が発生すること)、「裏面汚れ」などが挙げられる。
これらの異常画像UIに関し、品質検査装置50では、図3で上述したように、正解画像と読取画像の同一性を検査することで、上記の異常、さらにはより多くの異常の種類を識別(検知ないし検出)することができる。さらには、上述のように、読取画像の欠陥の周期等によっては、画像の異常のみならず、例えば感光体ドラムのキズ(感光体キズ)といった具体的な機械の不具合まで検知できる場合もある。加えて、異常画像UIの種類は、例えば「定着ムラ」などの定着部22の不具合に起因するものもある。
他方、品質検査装置50によって過去に検出された全ての種類の異常画像UI(および感光体キズなどの異常の要因、以下は単に「異常要因」という。)を一度に表示部26に表示した場合、異常の種類に対応する周期が、ユーザーにとって却って視認し難くなることが考えられる。
そこで、本実施の形態では、品質検査装置50によって過去に検出された全ての種類の異常画像UIおよび異常要因のうち、表示部26に表示する対象をユーザーが選別できるようにした。以下、かかる構成について、図9~図11を参照して説明する。
図9は、表示部26に表示される異常画像UIおよび異常要因の種類および優先度をユーザーが設定するための、優先度設定部としての設定画面の一例である。かかる設定画面の左側の表示エリア(以下、左側欄という。)には、品質検査装置50によって検出可能な全ての種類の異常画像UI(および感光体キズなどの異常の要因)の項目が、選択可能なアイコンとして一覧表示される。
図9に示す例では、上述した「感光体キズ」、「画像スジ」、「画像白抜け」、「濃度低下」、「濃度ムラ」、「転写不良」、「周期ムラ」、「転写抜け」、「ホタル」、「裏面汚れ」の10項目のうち、上から7つの項目を選択した場合を示している。かかる選択により、当該選択された項目が、設定画面の右側の表示エリア(以下、右側欄という。)に表示される。
続いて、ユーザーは、設定画面の右側に表示された項目のいずれか一つを選択して「上げる」ボタン252または「下げる」ボタン253を選択することにより、当該選択された項目が設定画面の右側の上下方向に位置を変えるように表示される。図9に示す例では、左側欄で選択された7つの項目のうちの「転写不良」の優先度を最も高く設定し、次いで、「濃度ムラ」、「感光体キズ」、「画像白抜け」、「濃度低下」、「画像スジ」、「周期ムラ」の順で優先度を設定した場合を示す。この状態で右下側に表示されている「OK」ボタン250を選択すると、図10で説明するような画面に遷移する。他方、この状態から「キャンセル」ボタン251を選択すると、右側欄がリセットされ、左側欄における選択の操作のやりなおしができる。
図10は、簡明のため、図9の設定画面の左側欄で「画像スジ」、「濃度低下」、「周期ムラ」の3つの項目を選択し、右側欄ではこの順に優先度を設定するようにOKボタン250を選択した場合の遷移画面を示す。図10は、図6で上述した1000枚周期の異常画像であって、「画像スジ」のある異常画像UI(UIA~UIJ)が表示されている。図10に示す状態から、「濃度低下」のボタンを選択してOKボタン250を選択した場合、制御部200は、かかる操作内容に従って、「濃度低下」のある異常画像UIを表示するように、表示部26の表示内容を切り替える。
図11は、品質検査装置50によって検出される周期の区間を設定するための設定画面の例を示している。図11に示す例では、品質検査装置50によって検査された印刷物の頁範囲の開始頁と終了頁を指定する設定となっている。図11では、開始頁が5000頁、終了頁が10000頁に指定されており、この状態から、「上げる」ボタン252,254または「下げる」ボタン253,255を選択することにより、開始頁および終了頁を適宜変更することができる。図11に示す状態からOKボタン250が選択された場合、制御部200は、当該指定された頁の範囲において品質検査装置50によって過去に検出された、周期性のある異常画像UIを表示する(図11の例では、異常画像UIA~UIEを表示対象から除外する)ように、表示部260を表示制御する。他の例として、図11に示す状態からOKボタン250が選択された場合、品質検査装置50は、周期性の有無の判定を再度実行するようにしてもよい。
かかる構成によれば、品質検査装置50によって大量の異常画像UIが検出および蓄積されたような場合、例えば最新の数千頁分、過去の数千頁分など、ユーザーの表示したい区間を指定し、該指定区間の異常画像UIおよびその周期を表示部26に表示することができる。ひいては、画像形成装置20で発生しやすい異常画像UIの傾向の把握や、近い将来に発生するであろうメンテナンス作業などの予測もしやすくなる。
本実施の形態における画像品質検査システム1が備える上述した各種の機能は、適宜組み合わせることができる。
次に、図12のフローチャートを参照して、画像品質検査システム1において異常画像UIの周期性を解析して表示部26に表示する処理の流れを説明する。
まず、画像形成装置20によって印刷ジョブの実行が開始される(ステップS100)。このとき、画像形成装置20の制御部200は、入力画像データに従ったトナー像を現像および中間転写ベルト上に一次転写するように画像形成部21を制御する。また、制御部200は、用紙Sを機内に給紙するように給紙装置10を制御し、中間転写ベルト上に1次転写されたトナー像を、当該給紙された用紙S上に二次転写するように用紙Sの搬送を制御する。さらに、制御部200は、当該用紙S上のトナー像を定着させるように定着部22を制御する。
上記の印刷ジョブ開始に伴って、制御部200は、検品ジョブの実行を開始するように品質検査装置50に指示(ジョブ開始命令)を出力する(ステップS120)。このジョブ開始命令を受信した品質検査装置50は、図3(ステップS10~S50)で上述したように、検品ジョブの実行を開始する。すなわち、品質検査装置50は、PC60から送信されたリファレンスデータと、画像読取装置30の出力画像読取部31で生成された読取画像データとを、各々取得し、読取画像データを対応するリファレンスデータと比較して、読み取られた画像に画像不良が発生しているか否か(上述した異常画像UIの有無)の検査を開始する。ここで、品質検査装置50は、特定種類の異常画像UIが複数頁分検出されたと判定した場合(ステップS140、YES)、ステップS160以下の処理を行う。
ステップS160において、品質検査装置50は、各々の異常画像UIの周期性を、当該異常画像UIの種類毎に解析する。一具体例では、品質検査装置50は、異常画像UIの発生周期として、異常画像UIが発生する頁間隔を、異常画像UIの種類毎(この例では上述した「画像スジ」毎、「濃度低下」毎、・・・毎)に集計する。
続くステップS180において、品質検査装置50は、集計された異常画像UIの頁間隔に周期性があるか否かを判定する。このステップS180の判定は、異常画像UIの種類毎(すなわち「画像スジ」毎、「濃度低下」毎、・・・毎)に判定する。品質検査装置50は、いずれかの種類の異常画像UIの頁間隔に周期性がある(ステップS180、YES)と判定した場合、ステップS200に移行する。
他方、品質検査装置50は、検知されたいずれの種類の異常画像UIの頁間隔にも周期性がない(ステップS180、NO)と判定した場合、集計された全ての異常画像UIは、図4~図11等で上述した表示の対象としないものとして、処理を終了する。この場合、品質検査装置50は、例えば「101頁と103頁と110頁に画像白抜けが、110頁に裏面汚れ、125頁に濃度低下が、それぞれ発生しました。いずれの画像エラーにも周期性は検出されませんでした。」といった通知を画像形成装置20に送信する。画像形成装置20の制御部200は、品質検査装置50から受信した通知を表示部26に表示する。
なお、図7で上述した例からも分かるように、異常画像UIの発生に周期性のあることが、後の印刷ジョブに対する検品ジョブの実行で判明する場合もある。したがって、品質検査装置50は、いずれの種類の異常画像UIの頁間隔にも周期性がない(ステップS180、NO)と判定した場合でも、当該異常画像UIの発生した頁数の情報を、異常(画像不良)の種類毎にメモリ(データ格納部51等)に格納しておく。そして、品質検査装置50は、後の検品ジョブの実行時に、当該格納した情報を読み出して、読み出した情報をステップS160およびステップS180の処理時に使用する。
ステップS200において、品質検査装置50は、周期性があると判定された異常画像UIのデータを上述したような2軸のグラフ内に組み込むように、表示部26に表示させるためのパネル描画データを生成する。生成されたパネル描画データは、品質検査装置50から画像形成装置20に送信されて、画像形成装置20のデータ格納部52に格納される。あるいは、生成されたパネル描画データは、品質検査装置50のデータ格納部51に保存されてもよい。
この後、図9~図11等で上述したようなユーザーの操作入力がなされた場合、画像形成装置20の制御部200は、データ格納部52等からパネル描画データを読み出し、ユーザーの操作内容に従った表示内容に加工する。ここで、加工の例としては、ユーザーの指定等に応じて、表示する異常画像UIをパネル描画データから間引くこと、2軸グラフのフォーマット(軸上に表示する頁の間隔など)を変更すること、図8で上述したようなマーク(識別枠CF)を付加すること、などである。
このようにして加工されたパネル描画データは、制御部200の表示制御により、図4~図8で上述したような種々の形態で、表示部26に表示される。
上述のように、本実施の形態の画像品質検査システム1では、品質検査装置50によって特定された異常画像UIの周期(画像不良の種類毎の発生周期)に基づいた並べ方で、画像不良が発生している複数の画像にそれぞれ関連する、複数の画像関連情報を表示させる制御を行う。かかる構成によれば、異常画像UIの発生周期をユーザーが容易に視認することができ、異常画像UI(画像不良)の発生原因を把握しようとするユーザーを支援することができる。
上述した実施の形態では、品質検査装置50で検出する異常画像UIの周期の単位として、主に「頁」の数(頁間隔)を使用する場合を説明した。異常画像UIの周期の単位の他の例として、「部」の数(部間隔)を使用ないし併用(図4参照)してもよいし、中間転写ベルト、感光体ドラム、搬送ローラー等のサイズ(一周の長さなど)等の、機械固有の周期を使用してもよく、あるいは、日付や日時などを使用してもよい。
上述した実施の形態では、異常画像UIの周期(画像不良の発生周期)を検出する主体が品質検査装置50のCPUである例を説明した。他方、異常画像UIの周期を検出する主体は、画像形成装置20の制御部200であってもよく、あるいは、他の専用のプロセッサーであってもよい。
上記実施の形態では、給紙装置10、画像読取装置30、後処理装置40が画像形成装置20に対して別体の装置である例を説明したが、これらの装置が一体化されていてもよいことは勿論である。
上記実施の形態では、画像読取装置30が画像形成装置20の後段に接続された構成例を説明した。他方、画像読取装置30(出力画像読取部31)は、画像形成装置20の装置本体内に配置してもよく、例えば画像形成部21と定着部22との間に、付加的あるいは代替的に配置してもよい。
また、上記実施の形態では、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。