以下に、本発明光源点灯回路の実施の形態について説明する。光源点灯回路は、例えば、車両用灯具システムに設けられた複数の光源を点灯させるための回路である。以下には、光源を、例えば、デイタイムランニングランプ及びポジションランプとして用いた場合について説明する。尚、逆流防止部からデイタイムランニングランプの点灯指示が出されたときには光源はデイタイムランニングランプとして機能し、逆流防止部からポジションランプの点灯指示が出されたときには光源はポジションランプランプとして機能する。さらに、同時にデイタイムランニングランプ及びポジションランプの点灯指示が出された場合にはデイタイムランニングランプとして機能する。
図1に示すように、光源点灯回路1は、第1の制御端子4及び第2の制御端子5を有する逆流防止部2と、共通端子6及び切替端子7を有する電流制御部3とを備えて構成されている。
逆流防止部2は、第1のPチャネルFET(以下、「PMOSトランジスタTr1」と呼ぶ。)と、第2のPチャネルFET(以下、「PMOSトランジスタTr2」と呼ぶ。)と、NPNトランジスタTr3、Tr4(スイッチ駆動回路)とを備えて構成されている。逆流防止部2は、第1の制御端子4の電圧をダイオードD1(第1の整流素子)を介して切替端子7に出力する。逆流防止部2は、第2の制御端子5の電圧をダイオードD2(第2の整流素子)を介して共通端子6に出力する。
PMOSトランジスタTr1はドレインが第1の制御端子4に接続され、ソースが共通端子6に接続され、ゲートが抵抗R1とダイオードD4(第3の整流素子)を介してPMOSトランジスタTr2のドレインに接続されている。ソース−ドレイン間には寄生ダイオードD3が存在している。
抵抗R1は一端が第1接続点N1を介してPMOSトランジスタTr1のゲートに接続され他端がPMOSトランジスタTr2及びダイオードD2(第2整流素子)の第2接続点N2に接続されている。
抵抗R2(第2の抵抗)は一端が第1接続点N1を介してPMOSトランジスタTr1のゲート及び抵抗R1の一端に接続され、他端が接地されている。抵抗R2の抵抗値は抵抗R1の抵抗値よりも大きい。尚、第1接続点N1とPMOSトランジスタTr1のソースの間に電位差発生素子(ツェナーダイオード又は抵抗)を接続してもよい。
PMOSトランジスタTr2はドレインがダイオードD2を介して共通端子6に接続され、ソースが第2の制御端子5に接続され、ゲートがダイオードD5と抵抗R4を介してNPNトランジスタTr3のコレクタに接続されている。ソース−ドレイン間には寄生ダイオードD6が存在している。PMOSトランジスタTr2とダイオードD2は直列に接続されている。
NPNトランジスタTr3はエミッタが接地され、ベースが抵抗R6を介してNPNトランジスタTr4のコレクタに接続されている。ベース−エミッタ間には抵抗R7が接続されている。
NPNトランジスタTr4はエミッタが接地され、ベースが抵抗R8及びダイオードD1を介して第1の制御端子4に接続され、コレクタは抵抗R5及びダイオードD7を介して第2の制御端子5及びPMOSトランジスタTr2のソースに接続されている。ベース−エミッタ間には抵抗R9が接続されている。
電流制御部3は、共通端子6、切替端子7、出力端子8及び入力端子9を含んで構成され、直列に接続された光源としてのLED(Light Emitting Diode)40、40、40に出力端子8を介して駆動電流を供給する。
以下の説明では、デイタイムランニングランプを点灯させるための駆動電流を第1の駆動電流I1(第1の電流に対応する電流)と呼び、ポジションランプを点灯させるための駆動電流を第2の駆動電流I2(第2の電流に対応する電流)と呼ぶ。
電流制御部3は、第1の例として、LED40、40、40のカソード側にオペアンプ及びNMOSトランジスタを含む定電流クランプ回路が用いられている(図2参照)。定電流クランプ回路は、LED40、40、40の駆動電流に対応した駆動電圧をフィードバックして、予め設定された基準電圧になるように駆動電流を安定的に制御する機能を有する。
定電流クランプ回路は、オペアンプ13とNMOSトランジスタTr5、Tr6と抵抗R12、R13を備えて構成されている。
切替端子7はNMOSトランジスタTr6のゲートに接続されている。NMOSトランジスタTr6はドレインが抵抗R13を介してオペアンプ13の反転入力端子に接続されソースが接地されている。オペアンプ13の非反転入力端子には所定の基準電圧Vrefが入力される。オペアンプ13の出力はNMOSトランジスタTr5のゲートに入力される。NMOSトランジスタTr5はドレインが入力端子9に接続されソースが抵抗R12、R13の一端に接続されている。
また、電流制御部3は、第2の例として、PWMコンパレータ、エラーアンプ及びNMOSトランジスタを含むスイッチングレギュレータ回路が用いられたものであってもよい(図3参照)。スイッチングレギュレータ回路は、LED40、40、40に供給される第1の駆動電流I1又は第2の駆動電流I2にそれぞれ対応した第1の駆動電圧又は第2の駆動電圧をフィードバックして、第1の駆動電圧又は第2の駆動電圧が予め設定された基準電圧になるようにスイッチング素子を高速にスイッチングすると共に該スイッチング素子のオン/オフのデューティ比を変化させる。即ち、スイッチングレギュレータ回路はLED40、40、40に供給される第1の駆動電流I1又は第2の駆動電流I2を安定的に制御する機能を有する。
スイッチングレギュレータ回路は、コンデンサC1、C2、チョークコイルL、NMOSトランジスタTr7、Tr8、PWMコンパレータ22、エラーアンプ23及び抵抗R14、15を備えて構成されている。
共通端子6はコンデンサC1及びチョークコイルLに接続されている。共通端子6からの第1の駆動電流I1又は第2の駆動電流I2はチョークコイルL及びダイオードD8を介して出力端子8に供給される。
切替端子7はNMOSトランジスタTr7のゲートに接続されている。NMOSトランジスタTr7はドレインが抵抗R15を介してエラーアンプ23の反転入力端子及び入力端子9に接続されソースが接地されている。入力端子9は抵抗R14、抵抗R15の一端に接続される。エラーアンプ23の非反転入力端子には所定の基準電圧Vrefが入力されている。エラーアンプ23の出力はPWMコンパレータ22に入力される。PWMコンパレータ22の出力はNMOSトランジスタTr8のゲートに入力される。NMOSトランジスタTr8はドレインがチョークコイルL及びダイオードD8に接続されソースが接地されている。
逆流防止部2とバッテリ(直流電源+B)の間には、オンオフ機能を有するスイッチSW1及びスイッチSW2が接続されている(図1参照)。スイッチSW1のみをオンすると直流電源電圧が第1の制御端子4に送出され第1の駆動電流I1がLED40、40、40に供給される。スイッチSW2のみをオンすると直流電源電圧が第2の制御端子5に送出され第2の駆動電流I2がLED40、40、40に供給される。スイッチSW1及びスイッチSW2を同時にオンすると直流電源電圧が第1の制御端子4及び第2の制御端子5に送出され第1の駆動電流I1がLED40、40、40に供給される。
尚、光源点灯回路1内には複数のアース端子が設けられているが、全てのアース端子は電気的に接続されている。
以下に、光源点灯回路1の動作についてスイッチSW1のみをオンする場合(A)とスイッチSW2のみをオンする場合(B)とスイッチSW1及びスイッチSW2を同時にオンする場合(C)とに分けて説明する。
(A)まず、スイッチSW1のみをオンする場合の点灯制御回路1の動作について説明する。
スイッチSW1のみがオンすると、第1の制御端子4に直流電源電圧(+B)が入力され、第2の制御端子5には直流電源電圧(+B)は入力されず、直流電源電圧(制御信号)は第1の制御端子4を介して寄生ダイオードD3及びNPNトランジスタTr4のベースに送出される。寄生ダイオードD3には電流が流れてPMOSトランジスタTr1のゲート−ソース間に電位差が生じPMOSトランジスタTr1がオンする。その際、切替端子7の出力がハイレベルとなっているので共通端子6には第1の電流が供給される。
NPNトランジスタTr4はダイオードD1を介して直流電源電圧(制御信号)を受けてオンする。NPNトランジスタTr4がオンするとNPNトランジスタTr3がオフする。従って、抵抗R3には電位差が発生せずPMOSトランジスタTr2のゲート−ソース電圧が発生しないためPMOSトランジスタTr2がオフする。従って、PMOSトランジスタTr1のゲートには電圧が印加されないのでPMOSトランジスタTr1はオンを維持する。従って、第1の駆動電流I1はPMOSトランジスタTr1を通過して共通端子6に送出される。
また、直流電源電圧はダイオードD1を介して切替端子7に入力される。
以下に、切替端子7に直流電源電圧が入力された後の電流制御部3の動作について、電流制御部3が定電流クランプ回路を用いたものである場合(図2参照)と電流制御部3がスイッチングレギュレータ回路を用いたものである場合(図3参照)とに分けて説明する。
電流制御部3が定電流クランプ回路を用いたものである場合には、切替端子7に入力された直流電源電圧はNMOSトランジスタTr6のゲートに入力されNMOSトランジスタTr6がオンする。
NMOSトランジスタTr6がオンすると、NMOSトランジスタTr5のドレイン−ソース間を流れる第1の駆動電流の電流値I1は抵抗R13及び抵抗R12の並列接続による抵抗によって発生する電圧降下分と基準電圧Vrefとが同じ値になるように制御される。このようにして第1の駆動電流I1が一定になるように制御される。
電流制御部3がスイッチングレギュレータ回路を用いたものである場合には、切替端子7に入力された直流電源電圧はNMOSトランジスタTr7のゲートに入力されNMOSトランジスタTr7がオンする。
NMOSトランジスタTr7がオンすると、入力端子9から送出される第1の駆動電流の電流値I1に対し抵抗R14及び抵抗R15の並列接続による抵抗によって発生する電圧降下分である第1の駆動電圧がエラーアンプ23の反転入力端子に入力される。第1の駆動電圧が予め設定された基準電圧Vrefになるようにエラーアンプ23からエラーアンプ出力がPWMコンパレータ22に送出される。PWMコンパレータ22では予め設定されたノコギリ波とエラーアンプ出力とによって決定されるオンオフのデューティ比に基いてNMOSトランジスタTr8を高速にオンオフさせる。このようにして第1の駆動電圧をフィードバックして、第1の駆動電圧が予め設定された基準電圧VrefになるようにNMOSトランジスタTr8を制御して第1の駆動電流I1を一定にしている。
(B)次に、スイッチSW2のみをオンする場合の点灯制御回路1の動作について説明する。
スイッチSW1がオフしスイッチSW2がオンすると、第1の制御端子4には直流電源電圧(+B)が入力されず、第2の制御端子5に直流電源電圧(+B)が入力され、NPNトランジスタTr4がオフし、直流電源電圧(制御信号)が第2の制御端子5、抵抗R5及び抵抗R6を介してNPNトランジスタTr3のベースに送出されNPNトランジスタTr3がオンする。
NPNトランジスタTr3がオンすると抵抗R3には電位差が発生しPMOSトランジスタTr2のゲート−ソース電圧が発生するためPMOSトランジスタTr2がオンする。
PMOSトランジスタTr2がオンすると電流制御部3の切替端子7の出力がローレベルとなるのでダイオードD2を介して共通端子6に第2の電流が供給される。
ダイオードD4を介してPMOSトランジスタTr1のゲートに電圧が印加されるのでPMOSトランジスタTr1はオフする。尚、第2の制御端子5を逆接続したとき又は第2の制御端子の電圧が0ボルトであるときでも、ダイオードD4の存在によって逆流防止部2内に流れる逆電流を遮断することができる。
また、直流電源電圧は切替端子7に入力されない。
電流制御部3が定電流クランプ回路を用いたものである場合(図2参照)には、切替端子7に直流電源電圧が入力されないのでNMOSトランジスタTr6がオフする。
NMOSトランジスタTr6がオフすると、NMOSトランジスタTr5のドレイン−ソース間を流れる第2の駆動電流I2の電流値は抵抗R12によって発生する電圧降下分と基準電圧Vrefとが同じ値になるように制御される。このようにして第2の駆動電流I2が一定になるように制御される。
電流制御部3がスイッチングレギュレータ回路を用いたものである場合(図3参照)には、切替端子7に直流電源電圧が入力されないのでNMOSトランジスタTr7がオフする。
NMOSトランジスタTr7がオフすると、入力端子9から送出される第2の駆動電流I2の電流値に対し抵抗R14によって発生する電圧降下分である第2の駆動電圧がエラーアンプ23の反転入力端子に入力される。第2の駆動電圧が予め設定された基準電圧Vrefになるようにエラーアンプ23からエラーアンプ出力がPWMコンパレータ22に送出される。PWMコンパレータ22では予め設定されたノコギリ波とエラーアンプ出力とによって決定されるオンオフのデューティ比に基いてNMOSトランジスタTr8を高速にオンオフさせる。このようにして第2の駆動電圧をフィードバックして、第2の駆動電圧が予め設定された基準電圧VrefになるようにNMOSトランジスタTr8を制御して第2の駆動電流I2を一定にしている。
NMOSトランジスタTr6又はNMOSトランジスタTr7がオンすることにより、抵抗R12又は抵抗R14の両端の抵抗値はNMOSトランジスタTr6又はNMOSトランジスタTr7がオフの時より小さな値に変化するため、第1の駆動電流の電流値I1は第2の駆動電流の電流値I2より大きい値となるように制御される。
(C)次に、スイッチSW1及びスイッチSW2を同時にオンする場合の点灯制御回路1の動作について説明する。
スイッチSW1及びスイッチSW2が同時にオンすると、第1の制御端子4及び第2の制御端子5に直流電源電圧(+B)が入力され、直流電源電圧は第1の制御端子4を介して寄生ダイオードD3及びダイオードD1を介して電流制御部3の切替端子7に送出される。寄生ダイオードD3には電流が流れてPMOSトランジスタTr1のゲート−ソース間に電位差が生じPMOSトランジスタTr1がオンする。その際、切替端子7の出力がハイレベルとなっているので共通端子6には第1の電流が供給される。
NPNトランジスタTr4はダイオードD1を介して直流電源電圧(制御信号)を受けてオンする。NPNトランジスタTr4がオンするとNPNトランジスタTr3がオフする。
スイッチSW2もオンしているがNPNトランジスタTr4がオンしているのでNPNトランジスタTr3がオフする。NPNトランジスタTr3がオフすると抵抗R3には電位差が発生しないのでPMOSトランジスタTr2のゲート−ソース電圧が発生せずにPMOSトランジスタTr2がオフする。
PMOSトランジスタTr2がオフするので共通端子6に第2の駆動電流I2が供給されることはない。従って、第1の駆動電流(I1)はPMOSトランジスタTr1を通過して共通端子6に送出される。
電流制御部3が定電流クランプ回路を用いたものである場合(図2参照)と電流制御部3がスイッチングレギュレータ回路を用いたものである場合(図3参照)については、上記したスイッチSW1のみオンする場合と同様であるので説明は省略する。
以上に説明したように、光源点灯回路1は、スイッチSW1及びスイッチSW2を同時にオンする場合においてもスイッチSW1のみをオンする場合と同様の動作がされるのでデイタイムランニングランプとして機能させる第1の駆動電流I1の送出が優先される。
デイタイムランニングランプ及びポジショニングランプの機能を共通の光源にて実現させ、かつデイタイムランニングランプを優先させたときでも、逆流防止手段としてオン抵抗の少ないPMOSトランジスタを用いているので、逆流防止部の回路損失の増大及び発熱を抑制するとともにバッテリの逆接続に起因する逆流の防止を図ることができる。
また、逆流防止手段として、ダイオードと比較してコストの低いPMOSトランジスタを用いているので、光源点灯回路及びこれを備えた車両用灯具システムの製品コストの低減を図るとともにバッテリの逆接続に起因する逆流の防止を図ることができる。
上記した実施の形態は、本発明を好適に実施した形態の一例に過ぎず、本発明は、その主旨を逸脱しない限り、種々変形して実施することが可能なものである。