本発明は、建物壁の段差部を跨いで、或いは当該段差部で高低差を有して段差状に配設される配線・配管材を収容保護する2本の直状保護カバーと、各直状保護カバーを接続する保護カバー接続具との各外周面が、ほぼ直線状に連続した一つの面上に配置されるようにして、保護カバーの全体をすっきりさせて、見栄えをよくすることを課題としている。
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、建物壁に形成された段差部を跨いで配設される配線・配管材を内部に収容するための保護カバーの設置構造であって、前記保護カバーは、内部に配線・配管材を収容する収容空間が長手方向に連続して形成されて、前記段差部を挟んで各端部が対向した状態で、前記建物壁に設置される2本の直状保護カバーと、全体が直線状に形成され、前記段差部において当該段差部を跨いだ状態で、各直状保護カバーの端部どうしを直線状に接続するための保護カバー接続具とから成り、前記2本の直状保護カバーは、前記段差部を挟んで各端部が対向するように、直線状に配置されて前記建物壁に設置され、前記保護カバー接続具には、前記段差部を跨いで建物壁に設置可能なように、当該段差部を収容可能な凹部が前記建物壁と対向して形成され、前記保護カバー接続具の凹部に前記段差部が収容され、しかも当該保護カバー接続具の両端の接続口の内側に前記2本の直状保護カバーの対向端部がそれぞれ収容された状態で、当該2本の直状保護カバーは保護カバー接続具を介して接続され、しかも、前記した2本の直状保護カバーが保護カバー接続具を介して接続された状態において、その全体が一連の直線状に認識され得るように、前記保護カバー接続具における建物壁と対向する面を除く残りの外周面は、長手方向に沿って直線状に延設されていることを特徴としている。
請求項1の発明では、2本の直状保護カバーは、段差部を挟んで各端部が対向するように建物壁に直線状に配置され、保護カバー接続具は、建物壁と対向して形成されている凹部に前記段差部を収容した状態で建物壁に設置されて、当該保護カバー接続具の長手方向の両端の接続口の内側に、前記各直状保護カバーの端部が挿入して収容されることにより、段差部を跨いで建物壁に設置される保護カバー接続具を介して2本の直状保護カバーが接続され、この状態で、各直状保護カバー及び保護カバー接続具の内部の各収容空間に配線・配管材が収容されている。
保護カバー接続具は、全体が直線状に形成されていて、当該保護カバー接続具における建物壁と対向する側には、建物壁の段差部を収容可能な凹部が形成されているため、配線・配管材を収容する内部の収容空間のうち凹部が形成されている部分は、底部側が前記凹部の深さだけ嵩上げされた形状となっていて、保護カバー接続具における凹部が形成された部分の横断面積は、直状保護カバーの横断面積よりも小さくなっている。このため、保護カバー接続具を介して接続された2本の直状保護カバーの内部の連続した収容空間は、当該保護カバー接続具の部分において、建物壁に形成された段差部に対応して側面視で段差状に形成されていて、収容される配線・配管材は、長手方向に連続した前記収容空間の形状に応じて、保護カバー接続具の部分では、段差状となって、直状保護カバーの部分よりも狭い収容空間に収容される。このように、2本の直状保護カバーと、当該2本の直状保護カバーを接続する保護カバー接続具とから成る保護カバー装置の内部の収容空間に収容される配線・配管材は、保護カバー接続具の部分において、建物壁の段差部に対応して段差状となって配設されるが、2本の直状保護カバーと、当該2本の直状保護カバーを接続する保護カバー接続具は、接続状態において、保護カバー接続具における建物壁と対向する面を除く残りの外周面は、長手方向に沿って直線状に延設されているために、接続された保護カバー装置の全体は、保護カバー接続具の部分を含めて、全体が一連の直線状に認識される。即ち、内部の収容空間内には、配線・配管材が保護カバー接続具の部分で段差状となって配設されていても、2本の直状保護カバーが保護カバー接続具で接続された保護カバー装置は、内部の収容空間に配線・配管材が保護カバー接続具の部分で段差状となって収容しているにもかかわらず、建物壁の段差部の存在とは無関係に全体が直線状に認識される。この結果、保護カバー装置における保護カバー接続具の部分がすっきりと認識されて、保護カバー装置の設置状態の見栄えが良好となる。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記保護カバー接続具における建物壁と対向する面を除く残りの外周面は、前記直状保護カバーの外周面を前記配設方向に延長させた仮想延長面上にほぼ配置されていることを特徴としている。
請求項2の発明によれば、保護カバー接続具における建物壁と対向する面を除く残りの外周面は、直状保護カバーの外周面に対して僅かに大きな相似形状となるため、保護カバー接続具が両端部に接続された各直状保護カバーと恰も一体のように認識されて、保護カバー接続具の部分を含めて保護カバーの全体が一層直線状に認識され易くなる。
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記保護カバー接続具の横断面の外形状は、直状保護カバーの横断面の外形状に対して当該保護カバー接続具の肉厚分だけ大きな相似形状であることを特徴としている。
請求項3の発明によれば、各直状保護カバーと保護カバー接続具との接続部には、建物壁と対向している部分を除く全周に亘って、当該保護カバー接続具の肉厚分の段差しか生じないので、保護カバー接続具の部分を含めて保護カバーの全体が一層に一連の直線状に認識され易くなる。
また、請求項4の発明は、建物壁に形成された段差部を跨いで配設される配線・配管材を内部に収容するための保護カバー装置であって、内部に配線・配管材を収容する収容空間が長手方向に連続して形成されて、前記段差部を挟んで各端部が対向した状態で、前記建物壁に設置される2本の直状保護カバーと、前記段差部において当該段差部を跨いだ状態で、各直状保護カバーの端部どうしを直線状に接続するための保護カバー接続具とから成り、前記保護カバー接続具は、全体が直線状に形成されて、前記段差部を回避して前記建物壁に設置可能とするための凹部が当該建物壁と対向して形成されたベース体と、前記各直状保護カバーの端部を外側から覆った状態で、前記ベース体に組み付けられるカバー体とから成り、前記保護カバー接続具の長手方向の両端部の各接続口の内側に、前記各直状保護カバーの各端部がそれぞれ収容されて、当該各直状保護カバーが保護カバー接続具を介して接続された状態で、その全体が一連の直線状に認識され得るように、前記保護カバー接続具における建物壁と対向する面を除く残りの外周面は長手方向に沿って直線状に延設されていることを特徴としている。
請求項4の発明は、保護カバー接続具が、建物壁と対向する面に段差部を収容可能な凹部が形成されたベース体と、当該ベース体に対して一体に組み付けられるカバー体とからなる構成に特定されている点が、請求項1の発明と異なるために、建物壁に対して段差部を跨いだ状態で当該建物壁にベース体を設置した後に、当該ベース体、及び直状保護カバーの部分に配線・配管材を配設した後に、前記ベース体に対してカバー体を一体に組み付けることにより、当該保護カバー接続具の両端の接続口の内側に、直状保護カバーの端部がそれぞれ収容されて、2本の直状保護カバーが保護カバー接続具を介して一連の直線状となって接続される。その他の実質的な作用効果は、請求項1の発明と同様である。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記保護カバー接続具を構成するベース体は、建物壁に対してビスで固定されることを特徴としている。
請求項5の発明によれば、保護カバー接続具を構成するベース体は、建物壁に形成された段差部を跨いで設置され、当該ベース体は、配線・配管材の配設前に建物壁に対してビスで固定されて、段差部に対してずれないので、後に行う配線・配管材の配設作業が容易となる。
請求項6の発明は、請求項4の発明において、前記保護カバー接続具におけるベース体の凹部が形成された部分の収容空間の高さは、底板部が嵩上げされて、前記直状保護カバーの配設空間の高さに対して前記凹部の深さ分だけ低く形成され、前記底板部における嵩上げ板部と、長手方向の両端の建物壁に固定される各固定板部とは、傾斜板部で連結されていることを特徴としている。
請求項6の発明によれば、配線・配管材は、保護カバー接続具の部分で段差状となって内部に収容されるが、ベース体を構成する底板部が、長手方向の両側部に傾斜板部を有する構成となっているので、段差状に収容される配線・配管材を屈曲させたり、損傷させたりすることなく、収容可能となる。
また、請求項7の発明は、建物壁に形成された段差部を跨いで配設される配線・配管材を内部に収容するための保護カバー装置であって、内部に配線・配管材を収容する収容空間が長手方向に連続して形成されて、前記段差部を挟んで各端部が対向した状態で、前記建物壁に設置される2本の長尺状の筒状保護カバーと、前記段差部において当該段差部を跨いだ状態で、各筒状保護カバーの端部どうしを直線状に接続するための筒状保護カバー接続具とから成り、前記筒状保護カバー接続具には、前記段差部を跨いで建物壁に設置可能なように、当該段差部を収容可能な凹部が前記建物壁と対向して形成され、前記筒状保護カバー接続具の凹部に前記段差部が収容され、しかも当該筒状保護カバー接続具の両端の接続口の内側に前記2本の筒状保護カバーの対向端部がそれぞれ収容された状態で、当該2本の筒状保護カバーは筒状保護カバー接続具を介して接続され、前記接続状態において、2本の筒状保護カバーと、当該2本の筒状保護カバーを接続する筒状保護カバー接続具の全体が一連の直線状に認識され得るように、前記筒状保護カバー接続具における建物壁と対向する面を除く残りの外周面は、長手方向に沿って直線状に延設されていることを特徴としている。
請求項7の発明は、請求項4の発明に対して、直状保護カバー、及び保護カバー接続具の双方が筒状に形成されている点が異なる。このため、筒状保護カバー接続具は、その両端の各接続口に、長尺状の2本の筒状保護カバーの各対向端部を収容することにより、2本の筒状保護カバーは筒状保護カバー接続具を介して接続される。よって、筒状保護カバー接続具は、その両端部が2本の筒状保護カバーの開口端部に支持されて、建物壁に対しては全く支持されていない構造となる点、及び配線・配管材は、筒状保護カバーの一端から他端に向けて挿通することにより内部に収容される点が、請求項4の発明と異なり、他の主たる作用効果は、請求項1の発明と同様である。
請求項8の発明は、建物壁に形成された段差部を乗り越えることにより、高低差を有して配設される配線・配管材を内部に収容するための保護カバーの設置構造であって、前記保護カバーは、段差入隅部が形成される低い側に設置される第1直状保護カバーと、段差出隅部が形成される高い側に設置されて、前記第1直状保護カバーに対して高さが、前記段差部の高さ分又は当該高さ分以上低くて、横幅は同一の第2直状保護カバーと、前記段差部に配置されて、前記第1及び第2の各直状保護カバーの各端部を両端の接続口の内側にそれぞれ収容して接続する保護カバー接続具とから成り、前記保護カバー接続具における少なくとも前記第2直状保護カバーを接続する接続口の部分には、建物壁の前記段差部に設置可能なように、当該建物壁と対向する側に前記段差部に対応する段差凹部が形成されていて、しかも、前記第1及び第2の各直状保護カバーが保護カバー接続具を介して接続された状態において、その全体が一連の直線状に認識され得るように、前記保護カバー接続具における建物壁と対向する面を除く残りの全ての外周面は、長手方向に沿って直線状に延設されていることを特徴としている。
請求項8の発明は、建物壁に形成された段差部を跨ぐのではなくて、当該段差部を乗り越えることにより、段差部の部分で高低差を有して配線・配管材が保護カバー内に収容される点において、請求項1の発明と異なる。このため、段差出隅部に形成される高い側に配置される第2直状保護カバーは、第1直状保護カバーに対して、高さのみが、前記段差部の高さ分又は当該高さ分以上に低く形成されていて、保護カバー接続具には、少なくとも前記第2直状保護カバーと接続する接続口の部分に、前記段差部に対応する段差凹部が形成されて、高さのみが異なる第1及び第2の各直状保護カバーが保護カバー接続具を介して接続される。これにより、段差部に配置される保護カバー接続具と、当該段差部の前後に配置される第1及び第2の各直状保護カバーとが、一連の直線状に認識されて、段差部、及びその前後に配置される保護カバー装置の外観がすっきりする。
本発明によれば、建物壁に設けられた段差部を跨いだり、或いは当該段差部を乗り越えることにより高低差を有して配設される配線・配管材を保護カバーに収容保護させる際に、2本の直状保護カバーを接続するために前記段差部に配置される保護カバー接続具に、前記段差部を収容した状態で配置可能とする凹部又は段差凹部が建物壁と対向する側に設けられ、しかも当該保護カバー接続具の全体が一直線に形成されている。このため、配線・配管材を収容する保護カバー装置は、建物壁の段差部の存在とは無関係に、保護カバー接続具を含んだ全体が直線状に認識されて、保護カバーにおける保護カバー接続具の部分がすっきりとなって、保護カバーの設置状態の見栄えが良好となる。
以下、複数の実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
最初に、図1〜図8を参照して、建物壁Wに水平方向に形成された見切材100を跨いで配線・配管されたエアコン用の冷媒管101,102、ホース103,104、ケーブル105等の配線・配管材を収容する保護カバー装置A1 について説明する。図1は、保護カバー装置A1 により配線・配管材が収容保護された状態の正面図であり、図2〜4は、それぞれ図1のX1 −X1 線、X2 −X2 線及びX3 −X3 線の各断面図であり、図5は、図1のY−Y線断面図であり、図6は、保護カバー接続具J1 を構成するベース体V11とカバー体K11の分離状態の斜視図であり、図7は、ベース体V11を底面の側から見た斜視図であり、図8(a),(b)は、それぞれベース体V11の縦断面図及び横断面図である。
図1〜図4に示されるように、建物壁Wには、段差部となる見切材100が水平方向に沿って固定されていて、保護カバー装置A1 は、前記見切材100を挟んで端部C1aが対向配置されるように、建物壁Wに沿って上下方向に配置される2本の直状保護カバーC1 と、各直状保護カバーC1 の端部C1aの外側に嵌め込まれて、各直状保護カバーC1 を接続する保護カバー接続具J1 とから成る。直状保護カバーC1 は、樹脂の押出成形品であって、配線・配管材を内部に収容して建物壁Wに固定されるベース体V21と、当該ベース体V21の開口51(図10参照)を閉塞すべく、当該ベース体V21に覆蓋されるカバー体K21とから成る。ベース体V21は、内部に配線・配管材を収容する前に、底板部52がビス(図示せず)を介して建物壁Wに固定され、当該ベース体V21の開口51をカバー体K21で覆蓋した状態で、即ち、ベース体V21に対してカバー体K21を組み付けた状態で、ベース体V21の両側板部53の外側に形成された被係止突条54と、カバー体K21の開口側の端部の内側に設けられた係止突条55とが係止されて、カバー体K21が容易には外れなくなる。ベース体V21にカバー体K21を組み付けることにより形成される内部空間は、配線・配管材の収容空間S21となる。なお、ベース体V21の各側板部53の内側であって、その下端よりも僅かに上方の部分には、当該ベース体V21を、後述の保護カバー接続具J1 のベース体V11と接続させる際に、当該ベース体V11に対する前記ベース体V21の幅方向の位置を定めるための幅規制突起56が設けられている。
次に、図1〜図8を参照して、見切材100を挟んで各端部C1aが対向配置された2本の直状保護カバーC1 を接続する保護カバー接続具J1 について説明する。保護カバー接続具J1 は、前記見切材100を回避して建物壁Wに固定可能とする凹部6が当該建物壁Wと対向して形成されたベース体V11と、前記した2本の直状保護カバーC1 の各端部C1aを外側から覆った形態で、前記ベース体V11に組み付けられるカバー体K11とから成る。ベース体V11及びカバー体K11は、いずれも樹脂の射出成形により成形される。ベース体V11は、図6〜図8に示されるように、底板部2の幅方向(配線・配管材の配設方向Pと直交する方向)の両端部の僅かに内側に、収容される配線・配管材が幅方向の外側に移動するのを規制する規制板部3が全長に亘ってそれぞれ形成され、前記底板部2における各規制板部3の外側であって、しかも前記配設方向Pの中央部には、被係止突起4を形成するための厚板状の被係止突起形成板部5が起立して形成され、当該被係合突起形成板部5の上端部の内方に被係止突起4が形成されている。ベース体V11の底板部2の配設方向Pに沿った両端部は、建物壁Wに固定される固定板部2aとなっていて、底板部2の大部分を占める配設方向Pに沿った中央部は、前記固定板部2aに対して凹部6の深さ(D)だけ高い位置に配置された嵩上げ板部2bとなっており、当該嵩上げ板部2bの配設方向Pの両端部と、前記各固定板部2aとは、それぞれ傾斜板部2cで接続されている。この結果、建物壁Wにベース体V11を固定した状態において、当該建物壁Wと前記嵩上げ板部2b及び各傾斜板部2cとの間には、前記見切材100を回避可能な凹部6が形成される。底板部2の各固定板部2aの配設方向Pと直交する方向の中央部には、ベース体V11の全体を建物壁Wに固定するためのビス91(図5参照)を挿通させる1つのビス挿通孔9がそれぞれ形成されている。底板部2の幅方向の両端部の僅かに内側に配設方向Pに沿って形成された左右一対の規制板部3は、当該底板部2の縦断面形状に倣っている。
また、左右一対の規制板部3の長手方向である配線・配管材の配設方向Pの両端部は、底板部2の同方向Pの両端部を所定長だけ延出して設けられていて、当該延出板部3aの下端部には、幅方向の中心に向けてガイド板部7が水平に設けられている。当該ガイド板部7は、2本の直状保護カバーC1 を接続する際に、そのベース体V21の底板部52の端面を、保護カバー接続具J1 のベース体V11の底板部2の端面に当接させた状態で、当該ベース体V11の底板部2の上面に配置される部分であって(図4参照)、直状保護カバーC1 のベース体V21の底板部52と、保護カバー接続具J1 のベース体V11の底板部2とを無段差で接続可能とする部分である。また、底板部2の配設方向Pに沿った両端部であって、しかも左右一対の規制板部3の外側には、当該保護カバー接続具J1 のベース体V11に対して直状保護カバーC1 のベース体V21を接続させる際に、当該ベース体V21の各側板部53の端面を当接させて(図10参照)、両ベース体V11,V21の接続状態を安定化させるためのベース体当接板部8が起立して形成されている。当該ベース体当接板部8の上端は、規制板部3の上端とほぼ一致している。
また、ベース体V11の底板部2を嵩上げすることにより、当該ベース体V11を建物壁Wに固定した状態で、建物壁Wに設けられた種々の段差部を回避するための凹部6がベース体V11に形成されているが、当該凹部6の大きさである配設方向Pに沿った長さ及び高さは、ベース体V11の大きさを基準として予測される最大のものに対応させることが望ましい。このため、多くの場合には、凹部6の配設方向Pに沿った長さは、長過ぎて余分の凹部が残存することがあって、残存凹部は、外観を低下させる。そこで、残存凹部を最小にして良好な外観を確保すべく、前記凹部6の長手方向の両端部は、折取り可能な閉塞用薄板部11で覆われて、前後の各閉塞用薄板部11の間には、横長方形状の開口12が形成されている。図7に示されるように、閉塞用薄板部11の内側には、折取りを容易にするための折取り溝13が配設方向Pに沿って一定間隔をおいて形成されている。よって、建物壁Wに形成された段差部の幅が、前後の各閉塞用薄板部11の間に形成された横長方形状の開口12の配設方向Pに沿った寸法(L)よりも広い場合には、前記折取り溝13の部分で各閉塞用薄板部11を折り取って、前記寸法(L)を長くすればよい。なお、図7及び図8において、14は、ベース体V11の射出成形時において、アンダーカット状となった被係止突起4を成形可能にするためのスライド型の配置により、底板部2に形成された捨孔を示す。
次に、図1〜図4及び図6を参照して、保護カバー接続具J1 を構成するカバー体K11について説明する。カバー体K11は、見切材100等の段差部を挟んで端部C1aが対向するように直線状に配置されて建物壁Wに固定される2本の直状保護カバーC1 の前記各端部C1aの外側を覆った状態で、前記ベース体V11に一体に組み付けられる。カバー体K11は、対向配置される一対の側板部21が天板部22より連結された構成であって、各側板部21と天板部22との連結部は、大きくわん曲されていて、各側板部21は、弾性変形可能である。各側板部21の下端に近い部分は、ベース体V11に形成された凹部6の側面形状に対応した切欠き部23が形成されている。各側板部21の外側面におけるベース体V11の被係止突起4に対応する部分は、ベース体V11の被係止突起形成板部5を収容可能な収容凹部24が形成されていて、当該収容凹部24を形成する奥側板部24aには、ベース体V11の被係止突起4と係止可能な係止突起25が形成されている。また、天板部22の裏面であって、配設方向Pに沿った両端に近い部分には、ベース体V11に対してカバー体K11を組み付けた状態で、各端部C1aが対向配置された直状保護カバーC1 のカバー体K21の端面に当接することにより、保護カバー接続具J1 のカバー体K11に対する直状保護カバーC1 のカバー体K21の配設方向Pに沿った位置決めを行う位置決め突起26がそれぞれ設けられている。天板部22は、幅方向の両端部が組付開口27の側に向けてわん曲した平板状をなしていて、配設方向Pに沿って直状となっている。ベース体V11に対してカバー体K11を組み付けて形成される保護カバー接続具J1 の内部空間は、見切材100を跨ぐ部分の配線・配管材を収容する収容空間S11となっていて、直状保護カバーC1 の収容空間S21よりも横断面積が小さくなっている。
保護カバー接続具J1 のベース体V11の上面をカバー体K11で覆った状態で押し付けると、当該カバー体K11の一対の側板部21が僅かに内側に弾性変形され、当該カバー体K11の左右一対の収容凹部24にベース体V11の被係止突起形成板部5が収容されて、一対の側板部21が原形状に復元することにより、ベース体V11の被係止突起4とカバー体K11の係止突起25とが係止されて、ベース体V11とカバー体K11とが一体に組み付けられる。保護カバー接続具J1 のベース体V11とカバー体K11とが一体に組み付けられて筒状となった状態において、配線・配管材の配設方向Pに沿った両端の開口は、それぞれ直状保護カバーC1 と接続される接続口28(図5及び図6参照)となる。
次に、図1〜図8を参照して、保護カバー接続具J1 の全体形状を、直状保護カバーC1 の全体形状との対比において説明する。図2〜図5から明らかなように、保護カバー接続具J1 の収容空間S11の横断面形状は、配設方向Pに沿った位置で異なる。即ち、保護カバー接続具J1 の固定板部2aの部分の収容空間S11の横断面形状は、直状保護カバーC1 の収容空間S21の横断面形状とほぼ同一であるが、凹部6の形成のために嵩上げされた嵩上げ板部2bの部分の収容空間S11の横断面形状は、直状保護カバーC1 の収容空間S21の横断面形状に比較して、横幅はほぼ同一であって、高さに関しては、底辺が前記凹部6の深さ(D)だけ嵩上げされて、低くなっている。ここで、保護カバー接続具J1 の固定板部2aの部分の収容空間S11の横断面形状は、直状保護カバーC1 の収容空間S21の横断面形状とほぼ同一であるとは、収容空間S11の横断面形状は、収容空間S21の横断面形状よりも、直状保護カバーC1 の肉厚T(図4及び図9参照)だけ僅かに大きいことを意味する。このため、保護カバー接続具J1 の嵩上げ板部2bの部分の収容空間S11の横断面積は、直状保護カバーC1 の収容空間S21の横断面積よりも小さい。よって、配線・配管材の外周が断熱材で被覆されている場合において、直状保護カバーC1 の収容空間S21内では、前記断熱材は、圧縮変形されなかったのに、保護カバー接続具J1 の嵩上げ板部2bの部分の収容空間S11では、横断面積が小さくなっていることに起因して、前記断熱材が圧縮変形されることがある。例えば、図2及び図3において、冷媒管101,102に被覆された断熱材106は、直状保護カバーC1 の部分では圧縮されないが、保護カバー接続具J1 の部分では、収容空間S11の横断面積が小さくなるために、嵩上げ板部2b或いは隣接するホース103,104に接触して圧縮変形される。
このため、直状保護カバーC1 と保護カバー接続具J1 との外周面の形状に関しては、保護カバー接続具J1 に凹部6が形成されていることとは無関係に、保護カバー接続具J1 における建物壁Wと対向している面を除く残りの全ての外周面は、直状保護カバーC1 の外周面を配線・配管材の配設方向に延長させた仮想延長面F(図9参照)上にほぼ配置されることになる。異なる表現を用いると、見切材100の部分において保護カバー接続具J1 を介して接続される2本の直状保護カバーC1 と、当該保護カバー接続具J1 との各外周面は、ほぼ同一の面上に直線状となって連続配置される。即ち、2本の直状保護カバーC1 と、当該2本の直状保護カバーC1 を接続する保護カバー接続具J1 とが、建物壁Wと対向している面を除く全ての外周面においては、周方向の全部分においてほぼ直線的に接続されて、側面視においてわん曲又は屈曲された部分が存在しなくなる。
次に、図1〜図5及び図10〜図12を参照して、上記した保護カバー装置A1 内に配線・配管材を収容保護して、建物壁Wに水平方向に設けられた見切材100を跨いで当該配線・配管材を配設する方法について説明する。図10は、保護カバー接続具J1 及び直状保護カバーC1 の各ベース体V11,V12を建物壁Wに固定する状態を示す斜視図であり、図11は、各ベース体V11,V12内に配線・配管材が収容されて、ベース体V12に対してカバー体K12を組み付けている状態を示す斜視図であり、図12は、配線・配管材が収容された2本の直状保護カバーC1 の各端部C1aが保護カバー接続具J1 により接続された状態を示す斜視図である。まず、図10に示されるように、保護カバー接続具J1 のベース体V11の凹部6に、建物壁Wに設けられた見切材100を収容することにより、当該見切材100を跨いだ状態で、建物壁Wに当該ベース体V11を2本のビス91を用いて上下方向に配置して固定する。次に、ベース体V11の配設方向Pの両端部に形成された左右一対の各ガイド板部7の下方に、直状保護カバーC1 のベース体V21を挿入して、当該ベース体V21の端面をベース体V11の固定板部2aの端面に当接させる(図5参照)と共に、当該ベース体V21の左右一対の側板部53を、ベース体V11の左右一対の規制板部3の延出板部3aの両側に配置させて、当該側板部53の内側面に形成された幅規制突起56を前記延出板部3aの外側面に当接させて(図4参照)、ベース体V11に対するベース体V21の幅方向の位置決めが行われる。これにより、建物壁Wに固定された保護カバー接続具J1 の配設方向Pに沿った両端部に直状保護カバーC1 のベース体V21がそれぞれ接続される。この状態で、直状保護カバーC1 のベース体V21をビス(図示せず)を介して建物壁Wに固定する。
見切材100の横断面形状は、保護カバー接続具J1 のベース体V11の幅方向の両側に設けられた開口12に対応しているために、閉塞用薄板部11を折り取ることなく、そのままの状態で残存凹部は、当該閉塞用薄板部11で閉塞されて露出していない。このため、見切材100を跨いでいる部分のベース体V11の側面に大きな開口がなくなって、すっきりする。
次に、図11に示されるように、保護カバー接続具J1 のベース体V11を介して接続された2本の直状保護カバーC1 の各ベース体V21の開口51の部分から内部の収容空間S21に配線・配管材を収容する。実施例の配線・配管材は、エアコン用の冷媒管101,102、ホース103,104、ケーブル105である。保護カバー接続具J1 のベース体V11の部分においては、配線・配管材は、底板部2の縦断面形状に倣って嵩上げ板部2bを跨いだ形態で収容されるために、直状保護カバーC1 のベース体V21に対する収容状態に比較して、配線・配管材は上方に盛り上がって配設されると共に、左右一対の規制板部3の存在により、配線・配管材が側方に飛び出ない状態で配設できる。その後に、直状保護カバーC1 のベース体V21に対してカバー体K21を組み付けて、ベース体V21の開口51を閉塞する。なお、図11において、106は、冷媒管101,102等に被覆された断熱材を示す。
最後に、保護カバー接続具J1 のベース体V11に対してカバー体K11を組み付けると、図12に示されるように、保護カバー接続具J1 の両端の接続口28の内側に、各直状保護カバーC1 の端部C1aが収容された形態となって、内部の収容空間S21に配線・配管材を収容した2本の直状保護カバーC1 が保護カバー接続具J1 を介して接続される。図4に示されるように、各直状保護カバーC1 の端部C1aの外側は、保護カバー接続具J1 のカバー体K11のみで覆われ、直状保護カバーC1 の建物壁Wの対向面を除く外周面は、保護カバー接続具J1 の建物壁Wの対向面を除く外周面に対してほぼ同一の面上に位置している。ここで、「ほぼ同一」とは、保護カバー接続具J1 のカバー体K11の肉厚Tだけずれた面上に位置していることを意味する。また、図4に示されているように、直状保護カバーC1 の建物壁Wの対向面を除く外周面の横断面形状と、保護カバー接続具J1 の建物壁Wの対向面を除く外周面の横断面形状とは、互いにカバー体K11の肉厚分だけの差を有するほぼ相似形状となっている。なお、ベース体V11に対してカバー体K11を組み付けた状態で、カバー体K11の側板部21の組付開口27の側の各端面21a,21b,21cは、それぞれベース体V11の底板部2の固定板部2a、嵩上げ板部2b及び傾斜板部2cの幅方向の端部の上面に当接して、カバー体K11の側板部21の外側面と、閉塞用薄板部11の外側面とは、同一面上に配置される(図3、図6及び図12参照)ために、ベース体V11とカバー体K11との一体感が高まる。
このため、図 1、図5及び図12に示されるように、内部の収容空間S11, S21に配線・配管材が収容されて、見切材100を挟んで同一直線上に配置された2本の直状保護カバーC1 が保護カバー接続具J1 で接続された状態では、配線・配管材の配設方向P或いは自身の長手方向に沿って直線状或いは直管状となっている保護カバー接続具J1 の建物壁Wと対向する面を除く外周面は、直状保護カバーC1 の建物壁Wと対向する面を除く外周面の仮想延長面F(図9参照)上にほぼ位置している。ここで、「ほぼ位置している」とは、前記仮想延長面Fに対してカバー体K11の肉厚分だけ大きな仮想延長面F’(図9参照)上に位置していることを意味する。
この結果、内部の収容空間S11,S21内には、配線・配管材が保護カバー接続具J1 の部分で段差状となって配設されていても、2本の直状保護カバーC1 が保護カバー接続具J1 で接続された保護カバー装置A1 は、内部の収容空間S11,S21に配線・配管材が保護カバー接続具J1 の部分で段差状となって収容しているにもかかわらず、建物壁Wの段差状の見切材100の存在とは無関係に全体が一連の直線状に認識される。この結果、保護カバー装置A1 における保護カバー接続具J1 の部分がすっきりと認識されて、保護カバー装置A1 の設置状態の見栄えが良好となる。
また、上記した実施例1において、見切材100を回避して設置可能とするために、ベース体V11には凹部6が建物壁Wと対向して形成されていて、当該凹部6の両側は、前記見切材100に対応する開口12を残して閉塞用薄板部11で閉塞されている。しかし、当該開口12を残すことなく、ベース体V11における凹部6の両側の全てを閉塞用薄板部11で閉塞した場合には、当該保護カバー接続具を見切材100等の段差部の存在しない平面部において設置することにより、当該保護カバー接続具をソケット(2本の長尺状の保護カバーを接続する部材)として兼用できる。
次に、図13〜図17を参照して、建物壁Wに水平方向に形成された段差部110を乗り越えることにより高低差を有して配設される配線・配管材を収容する保護カバー装置A2 について説明する。図13は、保護カバー装置A2 により配線・配管材が収容保護された状態の斜視図であり、図14は、保護カバー接続具J2 を構成するベース体V12とカバー体K12の分離状態の斜視図であり、図15は、保護カバー接続具J2 を構成するベース体V12に対してカバー体K12を組み付けた状態の斜視図であり、図16は、保護カバー装置A2 により配線・配管材が収容保護された状態の縦断面図であり、図17は、図16のZ−Z線断面図である。
ここで、図5及び図16の対比から明らかなように、実施例2における段差部110を乗り越えることにより高低差を有して配線・配管材が配設された状態は、実施例1における見切材(段差部)100を跨いで配線・配管材が配設された状態に比較して、当該配線・配管材が前記見切材(段差部)100の部分を乗り越えて、再度下がるのではなくて、そのまま真っ直ぐに配設されることにより、配線・配管材が高低差を有して配設される点が異なるのみであって、使用される保護カバー接続具J2 に関しても、前記保護カバー接続具J1 を長手方向(配線・配管材の配設方向P)の中央部に対して僅かにずれた位置(開口12の長手方向の形成端の位置)で切断して、当該切断部に、前記直状保護カバーC1 の底板部を嵩上げした形状の別の直状保護カバーC2 を接続可能なように、ガイド板部7及びベース体当接板部8を設けた構成である。従って、段差部110を乗り越えて高低差を有して配線・配管材が配設するのに使用される保護カバー接続具J2 に関しては、重複説明を避けて、実施例1の保護カバー接続具J1 と同一部分には同一符号を付すと共に、同等部分には、同一符号に(’)を付して、当該保護カバー接続具J1 と異なる部分についてのみ説明する。
段差部110を乗り越えて高低差を有して配設される配線・配管材を収容する保護カバー装置A2 は、段差入隅部111が形成される低い側に設置される直状保護カバーC1 と、当該直状保護カバーC1 に対して前記段差部110の高さ(H1 )だけ嵩上げされた形状を有していて、当該段差出隅部112が形成される高い側に設置される直状保護カバーC2 と、各直状保護カバーC1 ,C2 の各端部を両端の接続口28,28’の内側に収容して接続する保護カバー接続具J2 とから成る。直状保護カバーC1 は、保護カバー装置A1 を構成するものと同一であり、直状保護カバーC2 は、直状保護カバーC1 のベース体V21に対して底板部52が前記段差部110の高さ(H1 )だけ嵩上げされたベース体V22と、当該ベース体V22に組み付けられるカバー体K22とから成る。カバー体K22は、直状保護カバーC1 のカバー体K21と同一である。
前記保護カバー接続具J1 に対する保護カバー接続具J2 の形状は、上記した通りであって、保護カバー接続具J2 には、高さ(H1 )の段差部110に跨がって設置可能なように、両側方と長手方向の一方に開口した段差凹部31が形成されている。カバー体K12の両側板部21’の組付開口27’の側に形成される切欠き部23’は、前記段差凹部31の形状に対応している。また、段差凹部31の両側方における傾斜板部2'cが形成されている側は、閉塞用薄板部11’で覆われていて、当該閉塞用薄板部11’の端面は、設置状態において建物壁Wの段差部110の段差面113に当接するか、或いは近接される(図16参照)。前記閉塞用薄板部11’の内側面には、配線・配管材の配設方向に沿って一定間隔をおいて折取り溝13’が形成されている。前記閉塞用薄板部11’によって、保護カバー接続具J2 の傾斜板部2'cと、前記段差面113との間に形成される隙間が両側方から閉塞されて、当該部分の見栄えがよくなる。閉塞用薄板部11’を折取り溝13’で折り取ることにり、保護カバー接続具J2 の傾斜板部2'cと段差部110の段差面113との距離を短くできて、第1直状保護カバーC1 を段差部110に近接させられる。
そして、段差部110を有する建物壁Wにおける段差入隅部111が形成された低い側に配置される第1直状保護カバーC1 と、段差出隅部112が形成された高い側に配置される第2直状保護カバーC2 とを、保護カバー接続具J2 を使用して接続するには、2本の直状保護カバーC1 を保護カバー接続具J1 で接続する場合に準じて行えばよい。即ち、段差部110に保護カバー接続具J2 のベース体V12を1本のビス91を用いて建物壁Wに固定した後に、建物壁Wの段差部110の低い側、及び高い側に、それぞれ第1及び第2の各直状保護カバーC1 ,C2 の各ベース体V21,V22を固定し、この状態で、各ベース体V21,V22の収容空間S21,S22及び保護カバー接続具J2 の収容空間S11に配線・配管材を配設方向Pに沿って収容する。その後に、各ベース体V21,V22にそれぞれカバー体K21,K22を組み付けて形成される保護カバー接続具J2 の両端の接続口28,28’に、それぞれ第1及び第2の各直状保護カバーC1 ,C2 の各端部C1a, C2aを収容させると、図13及び図16に示されるように、内部の収容空間S21,S22に配線・配管材を収容した第1及び第2の各直状保護カバーC1 ,C2 は、保護カバー接続具J2 を介して接続される。なお、第2直状保護カバーC2 の収容空間S22は、保護カバー接続具J2 の収容空間S11と同一断面形状を有している。
ここで、保護カバー接続具J2 を構成するカバー体K12の天板部22’は、直線状(真っ直ぐであること)に形成されているため、上記した接続状態において、保護カバー接続具J2 の建物壁Wと対向する面を除く残りの全ての外周面は、第1及び第2の各直状保護カバーC1 ,C2 の外周面の仮想延長面F上にほぼ位置しているために、接続状態の全体が一連の直線状に認識される。
また、上記説明では、高さのみ異なる第1及び第2の各直状保護カバーC1 、C2 と、当該各直状保護カバーC1 ,C2 を接続する保護カバー接続具J2 とを使用して、高さ(H1 )の高低差を有する段差部110に配線・配管材を高低差を有して配設する際に、当該配線・配管材を内部に収容する上記各直状保護カバーC1 ,C2 及び保護カバー接続具J2 は、当該保護カバー接続具J2 の部分において、一連の直線状に接続されることにより、側面視でわん曲部又は屈曲部が存在しないようにして、見栄えを良好にできることを説明した。そして、段差出隅部112を有する高さが(H1 )だけ高い部分が所定長だけ設けられて、再度、高さ(H1 )だけ下がる部分において、配線・配管材を配設する場合(実施例1で、見切材100の幅が相当に広くて、当該広い幅の見切材100の上面に直状保護カバーを配置する必要のある場合)には、各段差部110においてそれぞれ保護カバー接続具J2 を使用して、第1及び第2の各直状保護カバーC1 ,C2 を接続することにより、2本の第1直状保護カバーC1 と、当該2本の第1直状保護カバーC1 の間に配設される第2直状保護カバーC2 と、第1及び第2の各直状保護カバーC1 ,C2 の各端部が対向する段差部110の部分において、第1及び第2の各直状保護カバーC1 ,C2 を接続する2個の保護カバー接続具J2 との計5つの配線・配管材の全体を一連の直線状に接続可能となる。
ここで、実施例2では、建物壁Wに形成された段差部110の高さ(H1 )と、保護カバー接続具J2 のベース体V12に設けられた段差凹部31の高さ(H2 )〔図15参照〕とが一致しているために、段差部110を挟んで建物壁Wの異なる高さの部分に、第1及び第2の各直状保護カバーC1 ,C2 をそれぞれ設置した場合には、各直状保護カバーC1 ,C2 のベース体V21,V22は、いずれも段差部110を挟んで建物壁Wの異なる高さの部分に当接して、建物壁Wとの間に隙間が発生しないために、設置状態が安定している。ところが、現実の施行においては、建物壁Wに形成された段差部110の高さ(H1 )は、保護カバー接続具J2 のベース体V12に設けられた段差凹部31の高さ(H2 )と一致しないことがある。この場合においては、段差部110の高さが、保護カバー接続具J1 に設けられた段差凹部31の高さ(H2 )よりも低い場合には、第2直状保護カバーC2 が建物壁Wから高さの相違分だけ浮き上がり、逆の場合には第1直状保護カバーC1 が建物壁Wから高さの相違分だけ浮き上がるが、当該浮き上がりが大きい場合には、配設方向Pに沿って所定間隔をおいてスペーサを配置して、各直状保護カバーC1 ,C2 のベース体V21,V22を建物壁Wに固定すればよい。
一般的には、建物壁Wに段差部110が設けられる場合には、当該段差部110に対する配線・配管材の配設長は、建物壁Wの段差部110を除く残りの部分に対する配設長よりも遥かに短いので、段差部110に配設される第2直状保護カバーの側に建物壁Wとの間に隙間を発生させる方が望ましい。従って、保護カバー接続具J2 のベース体V12に設けられる段差凹部31の高さ(H2 )は、最も頻度の高い段差部110の高さ(H1 )よりも僅かに高く設計することが望ましい。
次に、図18〜図21を参照して、建物壁Wに形成された見切材100を跨いだ状態の管状の保護カバー接続具J3 を使用して、2本の長尺状の管状保護カバーC3 を接続する場合について説明する。図18は、保護カバー装置A3 により配線・配管材が収容保護された状態の斜視図であり、図19は、同じく縦断面図であり、図20は、保護カバー装置A3 を構成する保護カバー接続具J3 の斜視図であり、図21(a),(b)は、それぞれ保護カバー接続具J3 の縦断面図、及び凹部41の部分の横断面図である。
保護カバー装置A3 は、2本の円管状の管状保護カバーC3 と、建物壁Wの見切材100の部分で前記2本の管状保護カバーC3 を接続する保護カバー接続具J3 とから成る。管状保護カバーC3 及び保護カバー接続具J3 は、それぞれ樹脂の押出成形及び射出成形により形成される。保護カバー接続具J3 は、図19〜図21に示されるように、短円筒体の軸心方向(配線・配管材の配設方向P)の両端部を除く中央部であって、しかも周方向に沿って中心角がほぼ120°を形成する部分に凹部41が形成されて、軸心方向の両端の開口は、前記各管状保護カバーC3 の端部を内側に収容して接続可能な接続口42となった構成である。保護カバー接続具J3 の凹部41が形成されている部分は、その全周を除いて平面状に形成されて、平板部43となっている。各管状保護カバーC3 の内部空間は、配線・配管材の収容空間S23となっており、保護カバー接続具J3 の内部空間である収容空間S13の横断面積は、前記収容空間S23の横断面積よりも小さい。
そして、見切材100を跨いで配設された電線121,122を保護カバー装置A3 内に収容保護するには、以下のようにして行う。即ち、2本の管状保護カバーC3 との間に保護カバー接続具J3 を配置して、この順序で内部の各収容空間S23,S13内に電線121,122を順次挿通した後に、図18及び図19に示されるように、保護カバー接続具J3 の両端の接続口42の内側に各管状保護カバーC3 の端部C3aを収容して接続して、前記保護カバー接続具J3 の凹部41を建物壁Wの見切材100を跨いで配置させる。管状保護カバーC3 は、長手方向に沿って所定間隔をおいた複数箇所でサドル44を介して建物壁Wに固定される。保護カバー接続具J3 は、建物壁Wに固定された2本の管状保護カバーC3 の各対向端部C3aを自身の接続口42に収容して接続することにより、当該2本の管状保護カバーC3 に支持されるので、建物壁Wに対しては直接に固定されない。
実施例3の保護カバー装置A3 においても、管状保護カバーC3 と保護カバー接続具J3 との接続部分には、当該保護カバー接続具J3 の肉厚分の段差以外のわん曲部、或いは屈曲部は一切存在しないので、保護カバー接続具J3 の部分を含めて全体が1本の円管状に認識されて、保護カバー接続具J3 の部分を含めて全体がすっきりして、見栄えが良好となる。
なお、管状保護カバーC3 の横断面形状に関しては、円形に限られず、建物壁Wからの突出感を減じるために、建物壁Wと平行な方向が長円となった楕円形の管状保護カバーを使用することも可能である。
保護カバー装置A4 は、図22及び図23に示されるように、建物壁Wの段差部110を乗り越えて、高低差を有して配線・配管材を配設するのに使用され、断面円形をした長尺状の管状保護カバーC3 と、断面割円(欠落円)状をした長尺状の管状保護カバーC4 と、前記段差部110で2本の管状保護カバーC3 ,C4 を接続する保護カバー接続具J4 とから成る。保護カバー接続具J4 は、前記保護カバー接続具J3 を、長手方向の中央に対してずれた位置であって、しかも凹部41が形成されている部分で切断した形状であって、前記段差部110を乗り越えて配置可能な段差凹部45が形成されている。保護カバー接続具J4 における段差出隅部112が形成される側の建物壁Wに設置される管状保護カバーC4 の端部C4aは、保護カバー接続具J4 の小さな収容空間S13の側の接続口42’の内側に収容されて接続される。保護カバー接続具J4 における段差入隅部111が形成される側の建物壁Wに設置される管状保護カバーC3 の端部C3aは、保護カバー接続具J4 の他方の接続口42の内側に収容されて接続される。
保護カバー装置A4 においても、断面円形の管状保護カバーC3 と、断面割円状の管状保護カバーC4 とが、保護カバー接続具J4 を介して全体が一本の管状に認識されて、保護カバー接続具J4 の部分を含めて全体がすっきりして、見栄えが良好となる。
ここで、実施例1〜4では、いずれも保護カバー接続具J1 〜J4 における建物壁と対向する面を除く残りの外周面は、直状保護カバーC1 ,C2 或いは管状保護カバーC3 ,C4 の外周面を配線・配管材の配設方向Pに延長させた仮想延長面Fに対して保護カバー接続具J1 ,J2 のカバー体K11,K12の肉厚、或いは管状の保護カバー接続具J3 ,J4 の肉厚だけ大きな仮想延長面F’上に配置されていて、保護カバー接続具J1 〜J4 の縦断面における建物壁Wから最も離れた部分は、全ての実施例1〜4において当該建物壁Wと平行な直線状になっている。この構造によって、見切材100を跨いで配設されたり、或いは段差部110を乗り越えて高低差を有して配設される配線・配管材を収容する2本の保護カバー及び当該2本の保護カバーを接続する保護カバー接続具は、その長手方向に沿った全体形状が最も直線状になっていて、保護カバー接続具J1 〜J4 の前後の部分が最もすっきりしているため、形状的には最も優れている。しかし、本発明における「(長手方向に沿って)直線状に延設されている」とは、2本の保護カバーと、当該2本の保護カバーを接続する保護カバー接続具とで構成される保護カバー装置の全体が一連の直線状に認識されることを意味し、これにより保護カバー接続具の部分の「出っ張り感」を解消して、「すっきり」と認識されれば足りるので、保護カバー接続具の部分は完全に直線状になっているものに限定されず、建物壁に対して多少凸状或いは凹状となっていても、2本の保護カバーが保護カバー接続具で連結された全体の長手方向に沿った形状が、一連の直線状に認識される限り、本発明の範囲内に属するものである。
また、本発明においては、保護カバー接続具の両端部の接続口の内側に、2本の直状の保護カバーの各端部が収容されて接続される構成であって、実施例1〜4では、いずれも接続部分において、保護カバー接続具の接続口の部分の横断面形状は、保護カバーの横断面形状に対して僅かに大きな相似形状になっていて、2本の直状の保護カバーが保護カバー接続具を介して接続された状態において、全体が一連の直線状に認識されるとの観点からは、最も好ましい横断面形状である。しかし、保護カバー接続具の接続口の横断面形状と、直状の保護カバーの横断面形状との間の厳格な相似関係は必ずしも必要ではなく、2本の直状の保護カバーが保護カバー接続具で接続された全体形状が、「出っ張り感」がなく一連の直線状に認識され得る限り、保護カバー接続具の接続口の横断面形状は、保護カバーの横断面形状に対して多少変化していても問題はない。
また、実施例1,3では、保護カバー接続具J1 ,J3 の収容空間S11,S13の横断面積が、直状保護カバーC1 の収容空間S21及び管状保護カバーC3 の収容空間S23の横断面積よりも小さくなると共に、実施例2,4では、保護カバー接続具J2 ,J4 の収容空間S11,S13並びに直状保護カバーC2 の収容空間S22及び管状保護カバーC4 の収容空間S24の横断面積が、直状保護カバーC1 の収容空間S21及び管状保護カバーC3 の収容空間S23の横断面積よりも小さくなって、配線・配管材の大きさ、或いは全体量によっては、横断面積が小さくなった部分における収容が窮屈となって、配線・配管材の収容作業に手間取るか、或いは難しい場合があり得る。この場合には、配線・配管材の収容が余裕を有して可能なように、相対的に横断面積が小さくなる部分の当該横断面積を増加させればよい。この結果、相対的に横断面積が大きくなる直状保護カバーの当該横断面積は、必要な横断面積に対して多少過剰となる。
また、実施例1,3では、段差部として、建物壁Wに水平に設けられた見切材100を挙げたが、段差部の他の形態としては、建物壁Wに水平に配線・配管されたケーブル、管等もある。