JP2012035280A - 識別マーク付形鋼の製造方法および識別マーク付鋼矢板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧延ロールに形成された刻設マークを形鋼に転写して、前記刻設マークと同形状の転写マークを形成し、この転写マークの圧延方向端部を圧延ロールで押圧することで、所定形状の前記識別マークを形成する構成とされており、刻設マークが形成された圧延ロールの周速度と、一対の圧延ロール間を通過する前記形鋼の通過速度と、の速度差を求め、この速度差から前記転写マークの圧延方向の変形量を予め算出し、前記刻設マークの前記圧延ロール周方向長さを、前記識別マークの前記圧延方向長さに対して前記変形量分だけ増加させておくことを特徴とする。
【選択図】図10
Description
そこで、例えば特許文献1,2には、H形鋼の圧延時に、圧延ロールに形成された刻設マークをH形鋼のウエブ部あるいはフランジ部に転写することにより、識別マークを付す方法が開示されている。
また、特許文献3には、鉄枕木用形鋼などの溝型形鋼において、竪ロールを使用して製品の肩部に識別マークを転写する方法が開示されている。
また、ロールの周速度と鋼矢板の速度を合わせるように、例えば、凹側のロール径を小さくするなどの方法がとられていたが、この場合、ロールの使用寿命が短くなり、高コストとなっていた。
よって、刻設マークが形成された圧延ロールの周速度と形鋼の通過速度との間に速度差が生じる場合であっても、鮮明な識別マークを形成することができる。これにより、識別マークの視認性に優れた識別マーク付形鋼を製出することができる。
前記形鋼を挟持して押圧する前記一対の圧延ロールのうち、形鋼の前記通過速度との速度差が小さい圧延ロールの方が、形鋼に転写された転写マークの変形量が小さくなる。よって、刻設マークを識別マークに対して大きく変形させる必要がなくなり、鮮明な識別マークを比較的容易に形成することが可能となる。
刻設マークが形成された圧延ロールの周速度が、前記形鋼の前記通過速度よりも速い場合には、形鋼に転写された転写マークに対して圧延ロールが衝突することになり、転写マークが、圧延ロール(刻設マーク)によって削り取られるように変形することになる。一方、刻設マークが形成された圧延ロールの周速度が、前記形鋼の前記通過速度よりも遅い場合には、圧延ロールに対して形鋼に転写された転写マークが衝突していくため、転写マークは圧延ロール(刻設マーク)によって押し潰されるように変形することになる。
一対の圧延ロールによってウエブ部を挟持して圧延を実施する場合には、前記ウエブ部の溝外面側を押圧する部分のロール径が、前記ウエブ部の溝内面側を押圧する部分のロール径よりも小さくなり、その周速度が遅くなる傾向にある。このため、ウエブ部の溝外面側に識別マークを形成することにより、変形が少なく鮮明な識別マークを形成することが可能となる。
この場合、水平部が所定形状を成すことにより、識別マークが鮮明に視認されることになる。また、識別マークに、前記ウエブ部の表面に対して傾斜する傾斜部が設けられているので、識別マーク(鋼矢板)の意匠性を向上させることができる。
本実施形態である識別マーク付形鋼の製造方法は、土木工事等に使用される鋼矢板(シートパイル)に、製造者等の情報を示す識別マークを付すものである。
この識別マーク付鋼矢板10は、図1に示すように、延在方向に直交する断面において、U字溝形状をなしており、このU字溝の溝底部に相当するウエブ部11と、U字溝の溝側壁に相当するフランジ部12と、このフランジ部12の突端側(図1において上端側)に形成され、鋼矢板10同士を連結する連結部13と、を備えている。そして、ウエブ部11の溝外面11a側(図1において下面側)には、図2に示すように、製造者を示す識別マーク20が設けられている。
上述の識別マーク付鋼矢板10は、図5に示す圧延ロールユニット30による圧延時に、識別マーク20が付されることによって製造される。
上側ロール31は、軸線O1を中心にして回動する構成とされており、図6に示すように、その外周面に、図1に示す鋼矢板10の溝内面11b(図1において上面)側形状に対応する成形凸部32及び一対の成形凹部33,33が形成されている。
下側ロール36は、軸線O2を中心にして回動する構成とされており、図7に示すように、その外周面に、図1に示す鋼矢板10の溝外面11a(図1において下面)側形状に対応する成形凹部37及び一対の成形凸部38,38が形成されている。
また、本実施形態では、上側ロール31の周速度VR1と鋼矢板10の通過速度VSとの速度差ΔV1は、下側ロール36の周速度VR2と鋼矢板10の通過速度VSとの速度差ΔV2よりも大きくなるように設定されている。すなわち、ΔV2<ΔV1の関係となっているのである。
図8に示す刻設マーク40の形状は、次のようにして設計されることになる。
まず、刻設マーク40を形成する一対の圧延ロール(上側ロール31及び下側ロール36)の周速度VR1、VR2と、一対の圧延ロール(上側ロール31及び下側ロール36)間を通過する鋼矢板10の通過速度VSと、を比較し、刻設マーク40を形成する圧延ロールを選択する。本実施形態では、鋼矢板10の通過速度VSとの速度差がより小さく、かつ、鋼矢板10の通過速度VSよりも遅い周速度(VR2)となる下側ロール36が選択されることになる。
そして、刻設マーク40をそのままの形状で鋼矢板10のウエブ部11に転写した転写マーク50に対して、下側ロール36と鋼矢板10との速度差ΔV2による変形量を算出する。すなわち、下側ロール36の周速度VR2が鋼矢板10の通過速度VSよりも遅いことから、刻設マーク40の回転方向R前方側部分に、ウエブ部11に転写された転写マーク50が衝突し、転写マーク50が圧延方向Sに変形するのである。なお、この変形量は、下側ロール36の成形凹部37におけるロール径、刻設マーク40の深さ、速度差ΔV2等から算出されることになる。
なお、この圧延の前工程において、ウエブ部11のうち識別マーク20を形成する部分の肉厚を厚く形成しておくことが好ましい。
例えば、図1に示す断面形状をなす鋼矢板に識別マークを付すものとして説明したが、これに限定されることはなく、圧延を実施する際において圧延ロールの周速度と形鋼の通過速度との間に速度が生じる場合であれば、本発明に係る識別マーク付形鋼の製造方法を適用することができる。
また、識別マークは、図示された形状のものに限定されることはなく、任意の形状とすることができる。
本実施形態で図示したような圧延ロールユニットを用いて識別マークを形成した。実施例1、2では、鋼矢板のウエブ部の溝外面に識別マークを形成した。ここで、下側ロールの成形凹部におけるロール径L2を782mmとした。また、刻設マークの深さを実施例1では0.5mm、実施例2では1.0mmとした。そして、成形凹部における周速度VR2を2021mm/sとし、鋼矢板の通過速度VSを2284mm/sとした。
11 ウエブ部
11a 溝外面
20 識別マーク
21 傾斜部
22 水平部
30 圧延ユニット(一対の圧延ロール)
31 上側ロール(圧延ロール)
36 下側ロール(圧延ロール)
40 刻設マーク
50 転写マーク
Claims (5)
- 少なくとも一対の圧延ロールによって形鋼の圧延を行う際に、前記形鋼に識別マークを形成する識別マーク付形鋼の製造方法であって、
前記圧延ロールに形成された刻設マークを前記形鋼に転写して、前記形鋼に前記刻設マークと同形状の転写マークを形成し、この転写マークの圧延方向端部を前記圧延ロールで押圧することで、所定形状の前記識別マークを形成する構成とされており、
前記刻設マークが形成された圧延ロールのうち前記刻設マークが形成された部分の周速度と、一対の圧延ロール間を通過する前記形鋼の通過速度と、の速度差を求め、
この速度差から前記転写マークの圧延方向の変形量を予め算出し、
前記刻設マークの前記圧延ロール周方向長さを、前記識別マークの前記圧延方向長さに対して前記変形量分だけ増加させておくことを特徴とする識別マーク付形鋼の製造方法。 - 一対の前記圧延ロールのうち、前記形鋼の前記通過速度との速度差が小さい周速度となる前記圧延ロールに前記刻設マークを形成することを特徴とする請求項1に記載の識別マーク付形鋼の製造方法。
- 一対の前記圧延ロールのうち、前記形鋼の前記通過速度よりも遅い周速度となる前記圧延ロールに前記刻設マークを形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の識別マーク付形鋼の製造方法。
- 延在方向に垂直な断面において、U字溝形状をなし、その溝底部に相当するウエブ部の溝外面側に識別マークが形成されていることを特徴とする識別マーク付鋼矢板。
- 前記識別マークは、前記ウエブ部の表面に対して傾斜する傾斜部と、この傾斜部に連設され、前記ウエブ部の表面に対して平行に延在する水平部と、を備えていることを特徴とする請求項4に記載の識別マーク付鋼矢板。
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