本発明は、学校、美術館、博物館もしくは図書館などの公共施設、倉庫、研究所、工場またはオフィスなどの特定の領域を監視エリアとし、この監視エリアとその周辺に設置された侵入センサによって監視エリア内への侵入を監視する警備システムに適用される。本発明の実施形態として、住宅の家屋を監視エリアとし、この監視エリアへの侵入を監視する警備システムにおける一実施例について、図面を参照しつつ説明する。
本発明に係る警備システムは、安全性の異なる生体認証および生体認証以外の他の認証のいずれかによって利用者が正規利用者であるか否かの認証を行い、この認証結果に従って警備システムにおける警備状態を設定する。すなわち、本警備システムは、利用者がより安全な生体認証によって認証された場合、より低い監視レベルの警備状態に設定し、利用者がより安全でない他の認証によって認証された場合、より高い監視レベルの警備状態に設定する。
本発明は、利用者が肌荒れや怪我などで生体認証を受けることができない場合を救済可能としつつも、警備システムの利便性と安全性を容易に維持できるようにするものである。なお、本発明は、生体認証に利用する生体情報として、指紋、掌紋、指静脈の血管パターン、顔、虹彩など種々の情報を利用できるが、本実施例では、指紋を利用する。
図1は、本実施例に係る警備システム1の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本警備システム1は、玄関ドアなどの監視エリア10の入口ドアに設置され家屋などの監視エリア10内への入場を規制する電気錠20と、玄関などの監視エリア10の入口周辺に設置され入口からの入場を検知する入口センサ30と、監視エリア10の外側に設置された操作端末50と、監視エリア10の内側に設置された監視端末60と、を有する。さらに、この警備システム1は、監視エリア10の外周または内部に設置された監視エリア10内への侵入などを検知する一つまたは複数のセンサ40を有する。操作端末50と監視端末60、監視端末60と電気錠20、入口センサ30およびセンサ40との間は、それぞれ、例えば、イーサネット(登録商標)もしくは無線LANなど所定の規格の通信回線によって接続されている。
警備システム1には、警備状態が異なる少なくとも2種類の警備モードがあり、警備システム1の利用者である居住者は、これらの警備モードのうち適宜状況に適した警備モードを設定して警備システム1の警備状態を切り替えることができる。本実施例では、警備モードには、少なくとも警戒モードと解除モードの2種類の警備モードがある。
2種類の警備モードの一つの警戒モードは、例えば、居住者が留守で監視エリア10内が無人のときに設定され、監視エリア10とその周辺に設置された入口センサ30およびセンサ40をすべて監視状態として警備システム1全体を警戒状態にする。また、警戒モード中、警備システム1は、玄関ドアの電気錠20を施錠状態にして家屋への入場を禁止する。
一方、2種類の警備モードのもう一つの解除モードは、例えば、居住者が在宅で監視エリア10内が有人のときに設定され、玄関を監視する入口センサ30の他少なくとも一部のセンサ40を非監視状態として、警備システム1の少なくとも一部の警戒状態を解除する。本実施例の警備システム1は、警備モードが警戒モードから解除モードに切り替わると、玄関ドアの電気錠20を解錠して家屋への入場を許可する。また、解除モード中、警備システム1は、入口センサ30およびセンサ40を非監視状態とする。
居住者が、例えば、外出して家屋を留守にするとき、操作端末50または監視端末60から警備システム1に警備モードを警戒モードに設定するよう指示し、生体認証または他の認証によって正規居住者であると認証されると、警備モードは、警戒モードに設定される。一方、留守中の家屋に帰宅した居住者が、操作端末50で生体認証によって正規居住者であると認証されると、警備モードは、解除モードに設定される。
監視エリア10は、不審者の侵入を監視する監視対象エリアであり、ここでは、住宅の家屋を監視エリア10とする。なお、監視エリア10は、家屋などの建物に限定されず、人間が自由に出入りできないようにフェンスなどで囲まれた特定の領域でもよい。
電気錠20は、玄関ドアなどの監視エリア10の入口ドアに取り付けられ、監視端末60から送信される制御信号に従って玄関ドアを解錠または施錠することによって、警備システム1の利用者が監視エリア10である家屋へ入場するのを物理的に規制する。本実施例では、電気錠20は、常時施錠状態であり、監視端末60から解錠制御信号を受信すると一定時間だけ解錠される。解錠された電気錠20は、解錠してから一定時間経過後、自動的に施錠される。しかしながら、本発明はこれに限定されず、電気錠20は、例えば、電気錠20が解錠状態になると玄関ドアは自動的に開状態となり、玄関ドアが閉状態になると電気錠20は自動的に施錠状態になるなど、玄関ドアの開閉と連動してもよい。また、電気錠20は、必ずしも常時施錠状態でなくてもよく、例えば、警備モードが解除モードのとき、玄関ドアの施錠および解錠は居住者がサムターンなどの操作によって行うこととしてもよい。或いは、警備モードが警戒モードに設定されたときに限って、監視端末60が電気錠20を自動施錠してもよい。
入口センサ30は、監視エリア10である家屋への通常の出入口である玄関ドアまたはその周辺に設けられ、玄関ドアを通して人間が監視エリア10内へ入場すると、これを検知して発報する侵入センサである。入口センサ30としては、例えば、玄関ドアおよびその外枠にリードスイッチおよびマグネットを設置して玄関ドアの開閉を検知する開閉検知センサや玄関ドアの両脇に設置された投光器−受光器間の赤外線が入場者により遮断されたことを検知する赤外線センサなどが用いられる。また、入口センサ30として、監視エリア10内の玄関付近に、人体から放射される赤外線を検出することにより監視空間に存在する人間を検知する空間センサを設置してもよい。入口センサ30は、人間が玄関ドアを通して監視エリア10内へ入場したことを検知すると、入口侵入検知信号を監視端末60へ送信する。
センサ40は、監視エリア10への通常の出入口である玄関ドア以外の出入口や窓などからの侵入を監視するため監視エリア10の外周に設置される侵入センサである。センサ40としては、例えば、窓とその外枠にリードスイッチとマグネットを設置して窓の開閉を検知する開閉検知センサ、家屋の外周などに設置された投光器−受光器間の赤外線が入場者により遮断されたことを検知する赤外線センサ、および/または、窓などのガラスに伝わる振動を検知するガラスセンサなどが用いられる。センサ40は、入口以外の出入口や窓などから人間が侵入したことを検知すると、侵入検知信号を監視端末60へ送信する。
さらに、センサ40として、監視エリア10内の玄関ドア以外の出入口や窓の周辺に、監視空間に存在する人間を検知する一つまたは複数の空間センサを設置してもよい。また、空間センサは、監視エリア10内のすべての空間を監視できるように設置されてもよい。この場合、警備システム1は、一つまたは複数の空間センサから送信されてくるすべての検知信号を監視して、監視エリア10内に不審者が存在するか否かを判定する。なお、本発明に係る警備システム1は、人間が監視エリア10の入口から入場したことを検知できればよいので、入口センサ30以外のセンサ40を有しなくてもよい。
操作端末50は、例えば、外出する居住者が、警備システム1の警備モードを警戒モードに設定する退館要請を行うため、警戒指示を与えて本人確認のための指紋認証または暗証番号認証を受ける装置である。また、例えば、帰宅した居住者が、警備システム1の警備モードを解除モードに設定する入館要請を行うため、この操作端末50によって本人確認のための指紋認証または暗証番号認証を受ける。そして、操作端末50は、これらの認証結果にしたがって、居住者が指紋認証または暗証番号認証のいずれの認証によって退館要請または入館要請のいずれの操作を行ったかを示す情報を監視端末60に送信する。
また、保守員または正規利用者は、警備システム1の導入時および変更時に、操作端末50によって警備システム1の初期設定および設定変更などの保守作業の操作を行うことができる。なお、操作端末50は、家屋の玄関ドアの外側や門柱などに設置されるインターホンの呼出器などに含まれてもよい。また、操作端末50は、監視エリア10の複数の出入口に複数台設置されてもよい。
図1に示すように、操作端末50は、警戒指示部510と、指紋読取部520と、暗証番号入力部530と、監視端末インタフェース部540と、記憶部550と、操作制御部560と、を有する。
警戒指示部510は、利用者が退館要請のため警備モードを警戒モードに設定するように操作端末50に警戒指示を与えるためのボタンなどのユーザ入力装置である。利用者が、例えば外出するとき、警戒指示部510であるボタンを押下すると、警戒指示部510は、利用者から警戒指示が入力されたことを操作制御部560に通知する。
指紋読取部520は、生体認証のため利用者の生体情報を読み取る生体情報読取部の一例である。本実施例では、生体情報として指紋を利用するので、指紋読取部520は、利用者の指紋の特徴パターンを読み取る指紋センサを有する。利用者が指紋認証を受けるため指紋読取部520のセンサ面に指を置くと、指紋読取部520は、この指を検知して撮影し指画像を取得する。なお、指紋センサは、光学式、静電容量式、電界式、感圧式、感熱式などいずれの方式で指画像を読み取ってもよい。
指紋読取部520は、撮影した利用者の指画像から指紋の特徴を表す指紋情報を取得して、操作制御部560に渡す。例えば、指紋読取部520は、撮影した指画像を二値化して指紋の隆線と谷線を区分し、さらに隆線を細線化する。そして、指紋読取部520は、細線化した隆線から、指紋の渦中心、三角州ならびに隆線の端点および分岐点などの特徴点を抽出し、これらの特徴点の種類、方向および位置などの特徴点に関するデータを利用者の指紋情報として取得することができる。指紋読取部520は、取得した指紋情報を操作制御部560に送る。
通常時、利用者は、例えば、外出時の退館要請のため、警戒指示部510によって操作端末50に警戒指示を与えてから、指紋認証を受けるため指紋読取部520のセンサ面に自身の指を置く。また、利用者は、例えば、帰宅時の入館要請のため、警戒指示部510によって警戒指示を与えることなく、指紋認証を受けるため指紋読取部520のセンサ面に自身の指を置く。
暗証番号入力部530は、生体認証以外で認証を行うため正規利用者または操作端末50などに固有の情報である第1識別コードを読み取る第1識別コード取得部の一例である。第1識別コードとしては、暗証番号、パスワードおよび/またはIDカードに記憶されたカード識別コードなど種々の情報を利用できるが、本実施例では、第1識別コードとして暗証番号を利用する。したがって、暗証番号入力部530は、利用者が暗証番号を操作端末50に入力するのに用いるテンキーまたはタッチパネルなど暗証番号を入力可能なユーザ入力装置である。暗証番号入力部530は、利用者から暗証番号が入力されると、入力された暗証番号を操作制御部560に渡す。
利用者は、指の肌荒れや怪我などのため指紋認証を受けることができない場合など、操作端末50において指紋認証の代わりに暗証番号認証を受けることができる。利用者は、例えば、外出時の退館要請のため、警戒指示部510によって操作端末50に警戒指示を与えてから、所定の遅延時間内に暗証番号認証を受けるため暗証番号入力部530から暗証番号を入力する。また、利用者は、例えば、帰宅時の入館要請のため、警戒指示部510によって警戒指示を与えることなく、暗証番号認証を受けるため暗証番号入力部530から暗証番号を入力する。
また、保守員または利用者は、警備システム1の導入時または変更時に操作端末50で保守作業を行うとき、操作端末50を保守モードに切り替えるための保守コードを暗証番号入力部530から入力することができる。
監視端末インタフェース部540は、操作端末50から監視端末60へ情報を送信するための通信インタフェース部である。したがって、監視端末インタフェース部540は、操作端末50と監視端末60とを接続する通信規格に従って、例えば、イーサネット(登録商標)または無線LANなど所定の通信規格の通信インタフェースおよびその周辺回路などを有する。監視端末インタフェース部540は、操作制御部560から入館要請または退館要請と生体認証または暗証番号認証のいずれで認証されたかを示す情報とを受け取り、受け取った情報を監視端末60に送信する。
記憶部550は、操作端末50が各種動作を実行するためのプログラムおよびデータを記憶し、例えばRAM、ROMおよび/またはEPROMなどの半導体メモリを有する。また、記憶部550は、ハードディスクなどの磁気記憶媒体などを含んでもよい。記憶部550には、監視エリア10への入館が許可された1人または複数の正規居住者などの正規利用者の指紋の特徴を表す指紋情報があらかじめ取得されて正規利用者の生体情報として記憶されている。さらに、記憶部550には、警備システム1、操作端末50または正規利用者などに対してあらかじめ設定された固有の第1識別コードである暗証番号が記憶されている。
例えば、保守員または利用者は、警備システム1の導入時または変更時に正規利用者の生体情報を登録または変更するため、暗証番号入力部530から保守コードを入力するなどして操作端末50を保守モードにしてから、指紋読取部520に一人または複数の正規利用者の指紋画像を読み取らせることができる。指紋読取部520が読み取った指紋画像から指紋情報を取得すると、取得された指紋情報は、記憶部550に登録される。同様に、保守員または利用者は、正規利用者の暗証番号を登録または変更するため、操作端末50を保守モードにして、暗証番号入力部530から正規利用者または警備システム1に固有の暗証番号を入力することによって、記憶部550に登録しておくことができる。あるいは、操作端末50は、監視端末インタフェース部540などの通信インタフェース部を介して、外部記憶媒体または外部装置から送信された正規利用者の指紋情報および/または暗証番号を受信して、記憶部550に記憶することができる。
操作制御部560は、プロセッサとその周辺回路を含んで構成され、プロセッサが記憶部550に記憶された各種プログラムを実行することによって、操作端末50の操作処理を実行する。
図1に示すように、操作制御部560は、指紋認証手段5610と、暗証番号認証手段5620と、認証結果通知手段5630と、を有する。操作制御部560は、記憶部550に記憶されたこれらの手段を実行するプログラムをプロセッサが実行することによって、操作端末50の操作処理を実行する。なお、操作制御部560による操作処理については、後で詳述する。
指紋認証手段5610は、利用者の指紋情報を生体情報として利用して生体認証処理を実行する生体認証手段の一例である。指紋認証手段5610は、指紋読取部520が取得した利用者の指紋情報を受け取り、この利用者の指紋情報と記憶部550にあらかじめ記憶されている正規利用者の指紋情報とを例えばマニューシャマッチングにより照合する。そして、指紋認証手段5610は、利用者の指紋情報が記憶部550に記憶された正規利用者の指紋情報のいずれかと一致すれば利用者が正規利用者であると認証し、一致しなければ利用者が正規利用者でないと認証して、その認証結果を通知する。なお、指紋認証手段5610は、指紋読取部520から指紋読取部520が撮影した利用者の指画像を受け取り、この指画像から指紋の特徴点などを抽出して指紋の特徴を表す指紋情報を生成し、生成した指紋情報を記憶部670に記憶された正規利用者の指紋情報と照合してもよい。
暗証番号認証手段5620は、利用者が入力した暗証番号を生体情報以外の情報である第1識別コードとして利用して認証処理を実行する第1識別コード認証手段の一例である。暗証番号認証手段5620は、暗証番号入力部530から入力された暗証番号を受け取り、受け取った暗証番号と記憶部550にあらかじめ記憶されている正規利用者の暗証番号とを照合する。そして、暗証番号認証手段5620は、利用者が入力した暗証番号が記憶部550に記憶された正規利用者の暗証番号と一致すれば利用者が正規利用者であると認証し、一致しなければ利用者が正規利用者でないと認証して、その認証結果を通知する。
認証結果通知手段5630は、正規利用者から入館要請もしくは退館要請のいずれの要請があったかを示す情報を、利用者が指紋認証または暗証番号認証のいずれで正規利用者であると認証されたかを示す情報とともに監視端末インタフェース部540を介して監視端末60に送信することによって、指紋認証または暗証番号認証によって認証された正規利用者から入館要請または退館要請があったことを監視端末60に通知する。
監視端末60は、監視エリア10である家屋の内側に設置され、警備モードに従って、監視エリア10の入口および外周に設置された入口センサ30およびセンサ40から送信される侵入検知信号を適切に処理しながら不審者による侵入異常を監視する。そして、不審者による侵入異常が発生したと判定すると、監視端末60は、これを監視センタ(図示せず)などへ通報する。また、監視端末60は、操作端末50から入館要請または退館要請と利用者が生体認証または暗証番号認証のいずれで認証されたかを示す情報とを受信すると、受信した情報と警備モードに従って適切に処理する。さらに、監視端末60によって、例えば、外出する居住者は、警備システム1の警備モードを警戒モードに設定する退館要請を行うため、警戒指示を与え本人確認のためのカード認証を受けることができる。
また、保守員または利用者は、警備システム1の導入時および変更時に、監視端末60によって警備システム1の初期設定および設定変更などの保守作業の操作を行うことができる。なお、監視端末60は、家電制御や監視カメラによる監視などを行うホームシステムの制御装置などに含まれてもよく、インターホンの応答器などに含まれてもよい。
図1に示すように、監視端末60は、電気錠インタフェース部610と、操作端末インタフェース部620と、入口センサインタフェース部630と、センサインタフェース部640と、カード読取部650と、通報部660と、記憶部670と、監視制御部680と、を有する。
電気錠インタフェース部610は、監視端末60が電気錠20へ電気錠の制御信号を送信するための通信インタフェース部である。したがって、電気錠インタフェース部610は、監視端末60と電気錠20とを接続する通信規格に従って、例えば、イーサネット(登録商標)または無線LANなど所定の規格の通信インタフェースおよびその周辺回路などを有する。電気錠インタフェース部610は、監視制御部680から電気錠20を解錠または施錠する制御信号を受け取り、受け取った制御信号を電気錠20に送信する。
操作端末インタフェース部620は、監視端末60が操作端末50から送信された情報を受信するための通信インタフェース部である。したがって、操作端末インタフェース部620は、監視端末60と操作端末50とを接続する通信規格に従って、例えば、イーサネット(登録商標)または無線LANなど所定の規格の通信インタフェースおよびその周辺回路などを有する。操作端末インタフェース部620は、操作端末50から入館要請または退館要請と生体認証または暗証番号認証のいずれで認証されたかを示す情報とを受信し、受信した情報を監視制御部680に送る。
入口センサインタフェース部630は、監視端末60が入口センサ30からの検知信号を受信するための通信インタフェース部である。したがって、入口センサインタフェース部630は、監視端末60と入口センサ30とを接続する通信規格に従って、例えば、イーサネット(登録商標)または無線LANなど所定の規格の通信インタフェースおよびその周辺回路などを有する。入口センサインタフェース部630は、入口センサ30が人間の侵入を検知したとき、侵入検知信号を入口センサ30から受信し、受信した情報を監視制御部680に送る。
センサインタフェース部640は、監視端末60がセンサ40からの検知信号を受信するための通信インタフェース部である。したがって、センサインタフェース部640は、監視端末60とセンサ40とを接続する通信規格に従って、例えば、イーサネット(登録商標)または無線LANなど所定の規格の通信インタフェースおよびその周辺回路などを有する。センサインタフェース部640は、センサ40が人間の侵入を検知したとき、侵入検知信号をセンサ40から受信し、受信した情報を監視制御部680に送る。
カード読取部650は、生体情報および第1識別コード以外で本人確認の認証を行うため正規利用者または監視端末60などに固有の第2識別コードを読み取る第2識別コード取得部の一例である。第2識別コードとしては、暗証番号、パスワードおよび/またはIDカードなどに記憶されたカード識別コードなど種々の情報を利用できるが、本実施例では、第2識別コードとしてIDカードに記憶されたカード識別コードを利用する。したがって、カード読取部650は、利用者が携行しているIDカードからIDカードに記憶されているカード識別コードなどのカード情報を読み取るカードリーダである。
カード読取部650は、例えば、RFID(Radio Frequency IDentification)リーダのように近距離無線通信により非接触でIDカードを読み取る非接触式カードリーダ、あるいは、磁気カードリーダのような接触式カードリーダを有する。監視エリア10の正規利用者には、IDカード固有のカード識別コードなどが記憶されたIDカードがあらかじめ配布されている。そして、利用者が、例えば持っているIDカードをカード読取部650にかざすと、カード読取部650は、このIDカードからIDカードに記憶されているカード識別コードなどのカード情報を読み取り、読み取ったカード情報を監視制御部680に渡す。
例えば、利用者は、指の肌荒れや怪我のため指紋認証を受けることができないとき、外出する際に第2識別コードが記憶されたIDカードを携行する。そして、利用者は、帰宅時に監視エリア10の外側の操作端末50で暗証番号認証によって認証されて監視エリア10内に入場した後、さらにカード認証を受けるためIDカードをカード読取部650に読み取らせる。
また、利用者は、例えば、外出時の退館要請で、監視端末60に警戒指示を与えるための警戒指示用IDカードをカード読取部650に読み取らせる。さらに、保守員または利用者は、警備システム1の導入時または変更時に監視端末60で保守作業を行うとき、監視端末60を保守モードに切り替えるための保守用IDカードをカード読取部650に読み取らせことができる。なお、本実施例では、利用者は、上述した第2識別コードが記憶されたIDカードを、保守用IDカードおよび/または警戒指示用IDカードと兼用する。
通報部660は、監視端末60が侵入異常などの異常発生を遠隔地に設けられた監視センタ(図示せず)へ通信網などを介して通報するための外部通信インタフェース部である。したがって、通報部660は、監視端末60と監視センタ(図示せず)とを接続する通信規格に従って、例えば、イーサネット(登録商標)、無線LAN、公衆回線または専用回線などの所定の通信規格に応じた通信インタフェースおよびその周辺回路などを有する。通報部660は、監視制御部680から受け取った異常発生の通報信号を監視センタへ送信する。さらに、通報部660は、消防署や警察署など他の施設へ通報するための外部通信インタフェース部、または、異常が発生したことを監視エリア10内にいる居住者に通報するためのランプ、アラーム、スピーカもしくはディスプレイなどを含んで構成されてもよく、これらを任意に組み合わせて構成されてもよい。
記憶部670は、監視端末60が各種動作を実行するためのプログラムおよびデータを記憶し、例えばRAM、ROMおよび/またはEPROMなどの半導体メモリを有する。また、記憶部670は、ハードディスクなどの磁気記憶媒体、ならびに/あるいは、CD−ROMおよび/またはDVDなどの光記憶媒体と、そのアクセス装置とを含んでもよい。記憶部670には、正規利用者に配布された1枚または複数のIDカードに記憶されているカード識別コードなどを含む正規利用者のカード情報があらかじめ記憶されている。また、記憶部670は、警備システム1において現在設定されている警備モードが警戒モードであるかまたは解除モードであるかを記憶する。
正規利用者のカード情報は、例えば、警備システム1の導入時または正規利用者のIDカードの追加または変更時に、保守員または利用者がカード読取部650に保守用IDカードを読み取らせたりテンキーなどのユーザ入力装置(図示せず)から保守コードを入力したりして監視端末60を保守モードにしてから、一枚または複数の正規利用者のIDカードをカード読取部650に読み取らせることによって、記憶部670に登録することができる。あるいは、監視端末60は、操作端末インタフェース部620などの通信インタフェース部を介して、外部記憶媒体または外部装置からカード情報を受信して記憶部670に記憶してもよい。
監視制御部680は、プロセッサとその周辺回路を含んで構成され、プロセッサが記憶部670に記憶された各種プログラムを実行することによって、監視端末60の監視処理を実行する。
図1に示すように、監視制御部680は、電気錠制御手段6810と、カード認証手段6820と、警告通報手段6830と、を有する。監視制御部680は、記憶部670に記憶されたこれらの手段を実行するプログラムをプロセッサが実行することによって、監視端末60の監視処理を実行する。なお、監視制御部680による監視処理については、後で詳述する。
電気錠制御手段6810は、電気錠インタフェース部610を介して電気錠20を解錠または施錠する制御信号を電気錠20へ送信することによって、監視エリア10の入口ドアの解錠または施錠を行い、利用者の監視エリア10内への入場を許可または禁止する。
カード認証手段6820は、利用者のIDカードに記憶されているカード識別コードを生体情報および第1識別コード以外の第2識別コードとして利用して認証処理を実行する第2識別コード認証手段の一例である。カード認証手段6820は、カード読取部650が利用者のIDカードから読み取ったカード情報を受け取り、受け取ったカード情報と記憶部670にあらかじめ記憶されている正規利用者のカード情報とを照合する。そして、カード認証手段6820は、利用者のIDカードから読み取ったカード情報が記憶部670に記憶された正規利用者のカード情報のいずれかと一致すれば利用者が正規利用者であると認証し、一致しなければ利用者が正規利用者でないと認証して、その認証結果を通知する。
警告通報手段6830は、通報部660に侵入異常信号を送ることによって侵入異常が発生したことを通報する。
図2および図3は、操作端末50における操作処理の一例を示すフローチャートである。図2および図3のフローチャートを参照しながら、操作端末50の操作制御部560が実行する操作処理について説明する。なお、本実施例では、操作制御部560による操作処理は、警備モードが警戒モードの場合と解除モードの場合とで共通に行われる。
操作制御部560は、例えば、警備システム1の起動時に操作端末50の電源が投入されたり、監視端末60から操作開始の指示信号を受信したりすることによって、以下の操作端末50の操作処理を開始する。
操作制御部560は、例えば、警備システム1の終了時に操作端末50の電源が切られたり監視端末60から警備終了の指示信号を受信したりして警備終了を指示されるまで、ステップS1010〜S1120の処理を繰り返す(ステップS1010)。
操作制御部560は、利用者が退館要請のため警戒指示部510のボタンを押下して操作端末50に警戒指示を入力したか否かを判定する(ステップS1020)。そして、警戒指示部510に警戒指示が入力されていない場合(ステップS1020のNo)、操作制御部560は、利用者が警戒指示部510を操作せずに指紋認証または暗証番号認証を行うことによって入館要請を指示したか否かを判定する(ステップS1030〜S1040)。
利用者が入館要請を指示したか否かを判定するため、操作制御部560は、指紋読取部520が利用者の指を検知して指紋を読み取ったか否かを調べる。指紋読取部520が利用者の指紋を読み取った場合、操作制御部560は、指紋認証手段5610が指紋読取部520から受け取った利用者の指紋情報に基づいて実行した指紋認証の結果を判定する(ステップS1030)。指紋認証手段5610が利用者は正規利用者であると認証した場合(ステップS1030のYes)、操作制御部560は、認証結果通知手段5630によって正規利用者から指紋認証による入館要請があったことを監視端末60に通知し、ステップS1010に戻る(ステップS1060)。
指紋読取部520が利用者の指紋を読み取らなかった場合、あるいは、指紋認証手段5610が利用者は正規利用者でないと認証した場合、すなわち、指紋認証に失敗した場合(ステップS1030のNo)、操作制御部560は、利用者から暗証番号入力部530に暗証番号が入力されたか否かを調べることによって、利用者から入館要請が指示されたか否かを判定する。暗証番号入力部530に暗証番号が入力された場合、操作制御部560は、暗証番号認証手段5620が暗証番号入力部530から受け取った暗証番号に基づいて実行した暗証番号認証の結果を判定する(ステップS1040)。暗証番号認証手段5620が利用者は正規利用者であると認証した場合(ステップS1040のYes)、操作制御部560は、認証結果通知手段5630によって正規利用者から暗証番号認証による入館要請があったことを監視端末60に通知し、ステップS1010に戻る(ステップS1050)。暗証番号入力部530に利用者から暗証番号が入力されなかった場合、あるいは、暗証番号認証手段5620が利用者は正規利用者でないと認証した場合、すなわち、暗証番号認証に失敗した場合(ステップS1040のNo)、操作制御部560は、ステップS1010に戻る。
上述した処理によって、操作制御部560は、例えば、帰宅した利用者が警戒指示部510の操作を行わずに指紋読取部520に指を置くと、利用者の指紋認証を実行し、利用者が指の肌荒れや怪我などで指紋認証を受けることができないため暗証番号入力部530から暗証番号を入力すると、暗証番号認証を実行する。そして、操作制御部560は、これらの認証によって利用者が正規利用者であると認証すれば、入館要請とともに指紋認証または暗証番号認証のいずれで認証したかを示す情報を監視端末60に送信する。したがって、この情報を受け取った監視端末60は、指紋認証による入館要請と暗証番号認証による入館要請とを区別することができるので、それぞれ異なる処理を実行することができる。
利用者から警戒指示部510に警戒指示が入力された場合(ステップS1020のYes)、図3に示すように、操作制御部560は、利用者が指紋認証または暗証番号認証を受けるのを所定の遅延時間待機するため、退館認証タイマの計時を開始する(ステップS1070)。この遅延時間は、利用者が警戒指示部を操作してから指紋認証または暗証番号認証を受けるため指紋読取部520に指を置くかまたは暗証番号入力部530に暗証番号を入力するまでに要する時間であり、数十秒程度が好ましい。
操作制御部560は、上述のステップS1030と同様に指紋認証手段5610による指紋認証の結果を判定し(ステップS1080)、指紋認証に成功した場合(ステップS1080のYes)、認証結果通知手段5630によって正規利用者から指紋認証による退館要請があったことを監視端末60に通知し、ステップS1010に戻る(ステップS1120)。
指紋認証手段5610が指紋認証に失敗した場合(ステップS1080のNo)、操作制御部560は、上述のステップS1040と同様に暗証番号認証手段5620による暗証番号認証の結果を判定し(ステップS1090)、暗証番号認証に成功した場合(ステップS1090のYes)、認証結果通知手段5630によって正規利用者から暗証番号認証による退館要請があったことを監視端末60に通知し、ステップS1010に戻る(ステップS1110)。なお、監視端末60では、退館要請に関しては指紋認証であっても暗証番号認証であっても同様に処理するので、ステップS1110、ステップS1120において通知する退館要請がいずれの認証によるかを示す情報は必ずしも必要ではない。
暗証番号認証に失敗した場合(ステップS1090のNo)、操作制御部560は、退館認証タイマが所定の遅延時間を経過したか否かを判定し(ステップS1100)、まだ所定の遅延時間を経過していない場合(ステップS1100のNo)、ステップS1080に戻る。退館認証タイマが所定の遅延時間を経過した場合(ステップS1100のYes)、操作制御部560は、警戒指示の入力を無効とみなしてステップS1010に戻る。
なお、操作制御部560による操作制御の処理手順は上述した例に限定されず、実行される操作処理の内容が同じであれば様々な手順で実行できる。例えば、ステップS1030〜S1040およびステップS1080〜S1090の処理は、それぞれ順序を入れ替えてもよい。
図4および図5は、監視端末60における警戒モード中の監視処理の一例を示すフローチャートである。図4および図5のフローチャートの実線で示した部分を参照しながら、監視端末60の監視制御部680が実行する警戒モード中の監視処理について説明する。
後述する解除モード中の監視処理において、利用者が、操作端末50の警戒指示部510または監視端末60のカード読取部650もしくは警戒指示部(図示せず)によって、警備モードを警戒モードに設定するよう警備システム1に指示したとき、監視制御部680は、記憶部670に記憶されている警備モードを警戒モードに設定し、以下の警戒モード中の監視処理を開始する。
警戒モードに入ると、監視制御部680は、監視エリア10とその周辺に設置された各種センサからの検知信号、あるいは、監視エリア10の入口に設置された操作端末50からの入館要請が送信されるのを待機する(ステップS2010〜S2020)。本実施例では、監視制御部680は、少なくとも入口センサインタフェース部630を含む各種センサインタフェース部のいずれかが接続されているセンサから検知信号を受信したか否かを判定する(ステップS2010)。
各種センサインタフェース部のいずれもセンサからの検知信号を受信していない場合(ステップS2010のNo)、監視制御部680は、操作端末インタフェース部620が操作端末50から入館要請に関する情報を受信したか否かを判定し(ステップS2020)、操作端末インタフェース部620が入館要請に関する情報を受信していない場合(ステップS2020のNo)、ステップS2010に戻る。
操作端末インタフェース部620が操作端末50から入館要請に関する情報を受信した場合(ステップS2020のYes)、監視制御部680は、操作端末インタフェース部620が受信した情報に基づいて入館要請を行った利用者が指紋認証または暗証番号認証のいずれによって正規利用者であると認証されたかを判定する(ステップS2030)。
指紋認証による入館要請を受信した場合(ステップS2030の「指紋認証」)、監視制御部680は、指紋認証は本人確度が高いので正規利用者による入館要請であると判断する。したがって、監視制御部680は、電気錠制御手段6810によって入口ドアの電気錠を解錠して利用者の監視エリア10内への入場を許可し(ステップS2050)、記憶部670に記憶されている警備モードを解除モードに設定し、解除モード中の監視処理に移行するため本処理を終了する(ステップS2060)。
暗証番号認証による入館要請を受信した場合(ステップS2030の「暗証番号認証」)、監視制御部680は、入館要請の操作を行った利用者が正規利用者であると推定できるものの、暗証番号認証の信頼性が指紋認証に比べて低いため、利用者が正規利用者でない可能性もあると判断する。したがって、監視制御部680は、電気錠制御手段6810によって入口ドアの電気錠を解錠して利用者の監視エリア10内への入場を許可する(ステップS2040)が、警備モードは警戒モードのまま変更せずに警備システム1の警戒状態を維持する。そして、監視制御部680は、利用者が監視エリア10内に入場するのを待機するためステップS2010に戻る。
各種センサインタフェース部のいずれかがセンサから検知信号を受信した場合(ステップS2010のYes)、図5に示すように、監視制御部680は、入口センサインタフェース部630が入口センサ30から侵入検知信号を受信したか否かを判定する(ステップS2070)。
入口センサインタフェース部630が入口センサ30から侵入検知信号を受信した場合(ステップS2070のYes)、監視制御部680は、暗証番号で認証されて正規利用者と推定される利用者が入口ドアから監視エリア10内に入場したと判断することができる。そして、監視制御部680は、この利用者が正規利用者であればIDカードによる認証を受けるので、利用者がIDカードをカード読取部650に読み取らせるのを所定の遅延時間待機するため、入館ディレータイマの計時を開始する(ステップS2080)。この遅延時間は、操作端末50で暗証番号認証を受けた利用者が監視エリア10の入口を通過してから監視エリア10内の監視端末60でカード読取部650にIDカードを読み取らせるまでに要する時間であり、監視エリア10の入口の位置と監視端末60が設置された位置との関係によって決定することができるが、例えば、1分程度とする。
そして、監視制御部680は、暗証番号認証で監視エリア10内に入場した利用者にさらにカード認証を実行するため、カード読取部650が利用者のIDカードを読み取ったか否かを判定する。そして、カード読取部650が利用者のIDカードを読み取った場合、監視制御部680は、カード認証手段6820がカード読取部650から受け取った利用者のカード情報に基づいて実行したカード認証の結果を判定する(ステップS2090)。カード認証手段6820が利用者は正規利用者であると認証した場合(ステップS2090のYes)、監視制御部680は、記憶部670に記憶されている警備モードを解除モードに設定して、解除モード中の監視処理に移行するため本処理を終了する(ステップS2120)。
また、カード読取部650が利用者のIDカードを読み取っていない場合、または、カード認証手段6820が利用者は正規利用者でないと認証した場合、すなわち、カード認証に失敗した場合(ステップS2090のNo)、監視制御部680は、入館ディレータイマが所定の遅延時間を経過したか否かを判定する(ステップS2100)。入館ディレータイマが所定の遅延時間を経過していない場合(ステップS2100のNo)、監視制御部680は、ステップS2090に戻り、所定の遅延時間内にカード認証が実行されるのを待機する(ステップS2090〜S2100のループ)。
利用者がIDカードによって正規利用者であると認証されることなく入館ディレータイマが所定の遅延時間を経過した場合(ステップS2100のYes)、監視制御部680は、IDカードを持たない不審者による侵入異常であると判断し、警告通報手段6830によって侵入異常信号を通報部660に送って侵入異常が発生したことを通報する(ステップS2110)。
ステップS2010においてセンサから検知信号を受信した場合であって、検知信号を送信したのが入口センサ30以外のセンサ40であれば(ステップS2070のNo)、監視制御部680は、入口ドア以外からの出入りは侵入異常であると判断する。したがって、監視制御部680は、警告通報手段6830によって侵入異常信号を通報部660に送って侵入異常が発生したことを通報する(ステップS2110)。
なお、監視制御部680による監視制御の処理手順は上述した例に限定されず、実行される監視処理の内容が同じであれば様々な手順で実行できる。例えば、ステップS2010〜S2020の処理は、順序を入れ替えてもよい。
上述した例では、監視制御部680は、指紋認証または暗証番号認証のいずれの認証も受けずに監視エリア10内に侵入した利用者に対しても、暗証番号認証を受けた利用者と同様に、監視エリア10内で所定の遅延時間内にカード認証を受けるのを待機する。これは、物理的な鍵を携行する利用者が、操作端末50の操作を行わずに物理的な鍵を使用して入口ドアを解錠する場合があるからである。しかしながら、本発明は、肌荒れや怪我のため指紋認証を受けることができない利用者に対しては、指紋認証以外の暗証番号認証によって正規利用者であると確認してから監視エリア10内への入場を許可することによって、警備システム1の利便性と安全性を維持するものである。したがって、例えば、警備システム1において物理的な鍵が使用されない場合においては、いずれの認証も受けずに監視エリア10内に侵入した利用者を暗証番号認証を受けた利用者と区別して扱うことが好ましい。したがって、監視制御部680は、操作端末50から入館要請を受信する前に入口センサ30から侵入検知信号を受信した場合、直ちに侵入異常と判定してもよい。
この場合、監視制御部680は、図4および図5のフローチャートにおいて点線で示した箇所の処理を追加して実行する。すなわち、暗証番号認証による入館要請があった場合(ステップS2030の「暗証番号認証」)、電気錠制御手段6810によって入口ドアの電気錠を解錠して(ステップS2040)から、利用者の監視エリア10内への入場を待機中であることを示すため一定の時間を経過すると自動的にOFFになる入館待機フラグをONに設定して(ステップS2045)、利用者が入口ドアから入場するのを待機する。そして、利用者が入口ドアから入場して入口センサインタフェース部630が入口センサ30から侵入検知信号を受信したとき(ステップS2070のYes)、入館待機フラグがONに設定されているか否かを判定する(ステップS2075)。そして、入館待機フラグがONの場合、すなわち、利用者が暗証番号認証を受けて入館要請を行った後監視エリア10内に入場した場合(ステップS2075のYes)、カード認証を実行するため入館ディレータイマの計時を開始する(ステップS2080)。一方、入館待機フラグがOFFの場合、すなわち、利用者がいずれの認証も受けずに監視エリア10内に侵入した場合(ステップS2075のNo)、入館ディレータイマの計時を開始せずに直ちに侵入異常と判定してこれを通報部660に通報する(ステップS2110)。
また、上述の例において、監視制御部680は、暗証番号認証による入館要請があった場合、入口センサ30が利用者の入場を検知したとき(ステップS2070のYes)、入館ディレータイマの計時を開始する(ステップS2080)が、本発明はこれに限定さない。例えば、監視制御部680は、操作端末50から操作端末インタフェース部620を介して暗証番号認証による入館要請を受信した(ステップS2030の「暗証番号認証」)直後に電気錠制御手段6810によって入口ドアの電気錠20を解錠する(ステップS2040)とともに入館ディレータイマの計時を開始してもよい。この場合、監視制御部680は、入口センサ30が利用者の入場を検知することなく入館ディレータイマが所定の遅延時間を経過すれば、侵入異常と判定しない。そして、監視制御部680は、入口センサ30が利用者の入場を検知しかつ利用者のカード認証に成功する前に入館ディレータイマが所定の遅延時間を経過すると、侵入異常と判定する。
図6は、監視端末60における解除モード中の監視処理の一例を示すフローチャートである。図6のフローチャートを参照しながら、監視端末60の監視制御部680が実行する解除モード中の監視処理について説明する。
上述したように、監視制御部680が警戒モード中の監視処理で警備モードを解除モードに切り替えた後、あるいは、監視端末60に電源が投入されると、監視制御部680は、解除モードの監視処理を開始する。
解除モードに入ると、監視制御部680は、操作端末50からの入館要請または退館要請、あるいは、監視端末60自体での退館要請があるまで待機する(ステップS3010〜S3020のループ)。上述したように、操作端末50において、利用者から入館要請または退館要請の指示が操作された場合、操作端末50は、利用者の指紋認証または暗証番号認証を実行し、入館要請または退館要請とともにいずれの認証を行ったかを示す情報を監視端末60に送信する。一方、監視端末60において、例えば、外出する利用者は、監視端末60のカード読取部650または警戒指示部(図示せず)に警戒指示の操作を行ってから、IDカードによるカード認証によって退館要請の認証を受けるためカード読取部650に自身のIDカードを読み取らせる。これに応じて、監視制御部680は、所定の遅延時間内にカード認証手段6820によって利用者が正規利用者であると認証すれば、正規利用者からのカード認証による退館要請があったと判断する。また、監視制御部680は、カード認証手段6820によって利用者が正規利用者であると認証することなく所定の遅延時間が経過すれば、正規利用者からのカード認証による退館要請はなかったと判断する。この遅延時間は、利用者が警戒指示部を操作してからカード認証を受けるためカード読取部650にカードを読み取らせるまでに要する時間であり、数十秒程度が好ましい。なお、監視制御部680は、監視端末60で指紋認証、暗証番号認証またはパスワード認証などカード認証以外の認証が実行可能であれば、これらのいずれかの認証によって退館要請の認証を実行してもよい。
空間センサが監視エリア内のすべての空間を監視できるように設置されている場合、監視制御部680は、外出する居住者から操作端末50または監視端末60に警戒指示が与えられなくても、空間センサからの検知信号によって監視エリア10内が無人になったことを確認すれば、自動的に退館要請があったと判断してもよい。
操作端末インタフェース部620が操作端末50から入館要請を受信した場合(ステップS3010のYes)、監視制御部680は、警戒モード中とは異なり警戒解除は行わないので、指紋認証または暗証番号認証のいずれに基づく入館要請であっても同様に監視エリア10内への入場を許可する。したがって、監視制御部680は、電気錠制御手段6810によって入口ドアの電気錠20を解錠し(ステップS3030)、記憶部670に記憶されている警備モードを解除モードに維持したまま解除モードの処理の先頭(ステップS3010)に戻る。
操作端末インタフェース部620が操作端末50から退館要請を受信した場合、または、監視端末60で退館要請があった場合(ステップS3020のYes)、監視制御部680は、退館要請のための認証の種類によって利用者が操作端末50または監視端末60のいずれで退館要請を行ったかを判定する(ステップS3040)。
退館要請を行った利用者がカード認証によって正規利用者であると認証された場合(ステップS3040のYes)、利用者は監視エリア10の内側である屋内に設置された監視端末60で退館要請の操作を行っているので、監視制御部680は、例えば、利用者が屋内の監視端末60から玄関ドアを通って屋外に出るまで待機する。このため、監視制御部680は、退館ディレータイマの計時を開始して(ステップS3050)、退館ディレータイマが所定の遅延時間を経過するまで待機する(ステップS3060)。この遅延時間は、利用者が監視エリア10内の監視端末60から監視エリア10の外側に出るのに要する時間であり、監視エリア10の入口の位置と監視端末60が設置された位置との関係によって決定することができるが、例えば、1分程度とする。
退館ディレータイマが所定の遅延時間を経過した場合(ステップS3060のYes)、利用者は、監視エリア10の外側に出たと思われるので、監視制御部680は、電気錠制御手段6810によって入口ドアの電気錠20を施錠して監視エリア10内への入場を禁止し(ステップS3070)、記憶部670に記憶されている警備モードを警戒モードに設定して、警戒モード中の監視処理に移行するため本処理を終了する(ステップS3080)。
また、退館要請を行った利用者がカード認証以外の指紋認証または暗証番号認証によって正規利用者であると認証された場合(ステップS3040のNo)、利用者は、監視エリア10の外側の操作端末50で退館要請の操作を行っているので既に監視エリア10の外側にいる。したがって、監視制御部680は、直ちに電気錠制御手段6810によって入口ドアの電気錠20を施錠し(ステップS3070)、記憶部670に記憶されている警備モードを警戒モードに設定して、警戒モード中の監視処理に移行するため本処理を終了する(ステップS3080)。
ここで、退館要請は、監視エリア10を警戒状態にするものであり、正規利用者以外の者が不正操作を行ったとしても警備モードが警戒モードに設定されるため、不正な侵入行為などが発生する危険性は高くない。したがって、本人確認のための認証確度に関係なく、操作端末50での指紋認証または暗証番号認証のいずれに基づく退館要請であっても、同様に警備モードが警戒モードに設定されるようにしている。
以上説明してきたように、本発明が適用された警備システムは、利用者の病気、怪我、肌荒れまたはあかぎれなどによって生体情報が変化し、生体認証が行えない場合でも、正規利用者であれば救済することができ、かつ、生体認証の安全性と利便性を維持することができる。
また、本警備システムは、本人確認の確度の高い生体認証で正規利用者であると認証された利用者の入館要請に関しては、監視エリアへの入場を許可するとともに警備モードを警戒モードから解除モードに切り替える。一方、この警備システムは、暗証番号認証など生体認証より確度が低い認証である第1識別コード認証で認証された利用者の入館要請に関しては、監視エリアへの入場は許可するが、警備モードは警戒モードのまま維持する。この場合、本警備システムは、カード認証などさらに他の認証である第2識別コード認証を利用者に課すことによって、高い安全性を維持することできる。したがって、警備システムは、例えば、犯罪者が不正に入手した暗証番号などを使って操作端末を操作し、監視エリア内への入場が許可されたとしても、警戒モードを解除モードに切り替える警備解除用のIDカードを所持していなければ、警戒モードが解除されず、侵入異常の発生が監視センタなどに通報される。
さらに、本発明によれば、利用者は、生体認証を利用できないときのみ暗証番号を記憶してIDカードを携行すればよいので、通常は、生体認証による利便性を享受できる。また、利用者は、生体認証を利用できないときでも、暗証番号を記憶してIDカードを携行するだけで警備システムを利用することができ、自身の生体情報を登録し直すなどの煩雑な操作を行う必要がない。
このように、本発明が適用された警備システムでは、入館要請では、安全性を重視して、認証確度が異なる指紋認証と暗証番号認証とでは解除モードへ移行する条件を異ならせるが、退館要請では、利便性を重視して、指紋認証と暗証番号認証とを同等に扱うため、利便性と安全性を兼ね備えた運用が実現される。
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施例の警備システムにおいて、指紋認証手段、暗証番号認証手段など操作端末の操作制御部の少なくとも一部の機能は、監視端末の監視制御部に含まれてもよい。これにともない、正規利用者の指紋情報、暗証番号などは、監視端末の記憶部に記憶されてもよい。また、電気錠制御手段、カード認証手段、警告通報手段など監視制御部の少なくとも一部の機能は、操作端末の操作制御部に含まれてもよい。これにともない、正規利用者のカード情報などは、操作端末の記憶部に記憶されてもよい。なお、操作制御部と監視制御部とを併せて、警備制御部ということができる。上記以外にも、警備システムの構成に従って、操作端末の少なくとも一部の構成が監視端末に備えられ、監視端末の少なくとも一部の構成が操作端末に備えられることがある。
また、利用者は、操作端末および監視端末で実行する第1識別コード認証および第2識別コード認証の両方において、第1識別コードおよび第2識別コードが記憶されたIDカードを利用することができる。この場合、警備システムの安全性を考慮して、第1識別コードおよび第2識別コードは、互いに異なるコードで、それぞれ別のIDカードに記憶されることが好ましい。さらに、第1識別コードおよび第2識別コードは、それぞれ異なる方式でIDカードに記憶され、それぞれのIDカードを読み取るカードリーダは、他方のIDカードを読み取れないことが好ましい。また、第2識別コードとして、IDカードのカード識別コードとパスワードとを併用することによって、警備システムの安全性をより高くすることができる。