JP2012031768A - スクロール圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】旋回スクロール20、固定スクロール30は、ラップ壁22、32の高さが、高壁部22H、32Hから低壁部22L、32Lへと切り替わる段差部62において、高壁部22H、32Hと、低壁部22L、32Lとの間に、低壁部22L、32Lの頂面22t、32tに直交する立ち上がり壁部63が形成されている。立ち上がり壁部63の下端部63aと、低壁部22L、32Lの頂面22t、32tとの境界部分64は、所定の曲率半径のR形状とされ、さらに、境界部分64の曲率半径は、ラップ壁22、32の外周側から内周側に向けて、漸次大きくなるように形成されている。
【選択図】図4
Description
すなわち、図8に示すように、固定スクロール1または旋回スクロール2において、ラップ壁3の高さが段階的に小さくなる段差部4において、ラップ壁3の壁頂面3aと、壁頂面3aに直交して立ち上がる立ち上がり壁部3bとの交差部4xに、応力が集中しやすくなっている。
そして、冷媒を、何らかの原因により液体の状態で圧縮機内に吸い込み、そのまま圧縮動作を行った場合、液体状態の冷媒は、気体の状態に比べて密度が遙かに高いため、段差部4の交差部4xにクラックが生じるという問題がある。また、圧縮機内に、異物を噛み込んだ場合も同様の問題が生じる。
旋回スクロール、固定スクロールは、双方の相対的な旋回動作により、圧縮空間内の容積を漸次縮小することで圧縮動作を行う。圧縮過程の後半の、圧縮空間の圧力が高い状態においては、ラップ壁の内周側で圧縮空間をシールするため、ラップ壁の内周側には高い圧力が作用する。そこで、ラップ壁の外周側における境界部分の曲率半径をなるべく大きくすることで、立ち上がり壁部と、低壁部の頂面との境界部分にクラック等が生じるのを防ぐことができる。一方、圧縮空間の圧縮をし始める初期段階においては、ラップ壁の外周側で圧縮空間をシールする。そこで、ラップ壁の外周側における境界部分の曲率半径、面取り寸法をなるべく小さくすることで、低壁部の頂面と、当該低壁部から高壁部に向けて立ち上がる立ち上がり壁部との境界部分における噛み合い精度を高く確保し、シール性を高めることができる。
また、境界部分は、ラップ壁の最外周側の曲率半径が0であるようにしても良い。
これにより、スクロール圧縮機の高い耐久性、信頼性を得ることができる。
図1は、本実施の形態におけるスクロール圧縮機の構成を説明するための図である。本実施形態においては、圧縮機10を、空気調和用の冷凍サイクルシステムに用いる場合を例に挙げる。
この図1に示すように、圧縮機10は、縦型のスクロール型で、ハウジング11内に、主軸12と、主軸12とともに回転する旋回スクロール20と、ハウジング11側に固定された固定スクロール30と、を備える。
このような圧縮機10においては、ハウジング11の一端側に形成された冷媒導入ポートP1からハウジング11内に冷媒(流体)が導入され、旋回スクロール20と固定スクロール30との間に形成された圧縮空間において冷媒が圧縮される。そして、圧縮された冷媒は、ハウジング11の他端側に形成された冷媒吐出ポートP2から吐出される。
一方、固定スクロール30は、旋回スクロール20に対向する端板31には、旋回スクロール20のラップ壁22に対向して噛み合う渦巻き状のラップ壁32が形成されている。
また、主軸12には、ハウジング11の底部のオイル溜りから吸い上げた潤滑油を主軸12の上端部から主軸12と凹部23との間のドライブブッシュ24等に供給するための潤滑油流路12aが形成されている。
図3、図4に示すように、旋回スクロール20、固定スクロール30は、ラップ壁22、32の高さが、第一の高さを有した高壁部22H、32Hから、高壁部22H、32Hよりも低い第二の高さを有した低壁部22L、32Lとが連続して形成されている。これにより、高壁部22H、32Hと低壁部22L、32Lとの間に、段差部62を有している。段差部62においては、高壁部22H、32Hと、低壁部22L、32Lとの間に、低壁部22L、32Lの頂面22t、32tに直交して立ち上がる立ち上がり壁部63が形成され、この立ち上がり壁部63が、高壁部22H、32Hの端部を形成している。立ち上がり壁部63は、平面視すると、高壁部22H、32Hから、高壁部22H、32Hの厚さ寸法を直径とした半円形に突出する形状をなしている。
ここで、図4に示すように、立ち上がり壁部63の下端部63aと、低壁部22L、32Lの頂面22t、32tとの境界部分64は、所定の曲率半径のR形状とされている。さらに、境界部分64の曲率半径は、ラップ壁22、32の外周側(端板21、31の外周側)22O、32Oから、内周側22I、32Iに向けて、漸次大きくなるように形成されている。
図6(b)に示すように、圧縮過程の後半の、圧縮空間50の圧力が高い状態において、立ち上がり壁部63および境界部分64がその内周側において段差部70と噛み合って圧縮空間50をシールするため、境界部分64の内周側には高い圧力が作用する。そこで、ラップ壁22、32の境界部分64の内周側においては曲率半径を大きくすることで、境界部分64における補強効果を高めるのが好ましい。これにより、冷媒を液状態で圧縮してしまうような場合においても、立ち上がり壁部63の下端部63aと、低壁部22L、32Lの頂面22t、32tとの境界部分64にクラック等が生じるのを防ぐことができる。
例えば、図7(a)に示すように、境界部分64の曲率半径を、ラップ壁22、32の外周側22O、32Oから内周側22I、32Iに向けて連続的に大きくなるように形成しても良い。
また、例えば、図7(b)に示すように、境界部分64の曲率半径を、ラップ壁22、32の外周側22O、32Oの一定範囲S1においては同一寸法とし、内周側22I、32Iの範囲S2において、曲率半径が内周側に向けて漸次大きくなるように形成してもよい。
また、本発明は、冷凍サイクルシステムに組み込まれて冷媒を圧縮機で圧縮する構成に限らない。例えば、冷媒以外の流体を圧縮機で圧縮する場合をも本発明は適用可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
Claims (4)
- 外殻を形成するハウジング内に回転自在に支持された主軸と、
前記主軸の中心に対してオフセットした位置に回転自在に連結された旋回スクロールと、
前記ハウジング側に固定され、前記旋回スクロールに対向して、当該旋回スクロールとの間に流体を圧縮する圧縮空間を形成する固定スクロールと、を備え、
前記旋回スクロールおよび前記固定スクロールは、それぞれ、円板状の端板に渦巻き状のラップ壁が一体に形成され、前記旋回スクロールの前記ラップ壁と前記固定スクロールの前記ラップ壁を噛み合わせることにより前記圧縮空間を形成するとともに、前記ラップ壁は、前記端板からの立ち上がり高さが、渦巻き状の当該ラップ壁の外周側から内周側に向けて段階的に漸次小さくなり、
前記ラップ壁は、当該ラップ壁の前記端板の立ち上がり高さが第一の高さを有した高壁部と、前記高壁部よりも小さな第二の高さを有した低壁部とを有し、
前記旋回スクロールおよび前記固定スクロールの少なくとも一方は、前記高壁部と前記低壁部との段差部において、前記低壁部の頂面と、当該低壁部から前記高壁部に向けて立ち上がる立ち上がり壁部との境界部分に、定められた曲率半径または面取り寸法によるR加工または面取り加工が施され、前記境界部分の曲率半径または面取り寸法は、前記ラップ壁の外周側から内周側に向けて漸次大きくなるよう形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。 - 前記境界部分は、その曲率半径または面取り寸法が、前記ラップ壁の外周側から内周側に向けて連続的に大きくなるよう形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
- 前記境界部分は、前記ラップ壁の外周側の一定範囲が同一寸法の曲率半径または面取り寸法とされ、前記ラップ壁の内周側の残る範囲が、前記ラップ壁の内周側に向けて曲率半径または面取り寸法が連続的に大きくなるよう形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
- 前記境界部分は、前記ラップ壁の最外周側の曲率半径が0であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
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