JP2012031705A - 多層建築物のブロック式解体工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多層建築物を安定的に維持しながら短工期で解体できるブロック式解体工法を提供する。
【解決手段】多層建築物1の最上階Fnの各柱P1、P2、……、Piの周囲に床及び梁2の片持ち支持可能領域Q1、Q2、……、Qiを割付け、その割付け領域Qiが相互に重なる柱Piと床及び梁2とを所定総荷重Gの範囲内で一体化することにより最上階Fnの躯体を複数の柱含有ブロックB1、B2、……、Bjに区分けする。そのうえでブロックBj毎に、そのブロックBj周縁の床及び梁2を切断するステップと、そのブロックBj内の柱Pを下層階F(n−1)と切断して地上Eへ降ろすステップとを反復して最上階Fnの躯体を解体し、解体後の最上階F(n−1)でブロック分けから躯体解体までのサイクルを順次繰り返すことにより建築物1を解体する。
【選択図】 図1

Description

本発明は多層建築物のブロック式解体工法に関し、とくに多層建築物の躯体をブロック単位で切断しながら最上階から下層階へと順次解体する工法に関する。
従来から鉄骨構造(S造)、鉄筋コンクリート構造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート構造(SRC造)、コンクリート充填鋼構造(CFT造)等の多層建築物を解体する場合に、建築物に併設した揚重リフト(貨物用リフト等)により圧砕機等の解体用重機を建築物の最上階に揚重し、その重機で建築物の床・梁、壁、柱等の各部材を破砕・切断し、破砕・切断した各部材の廃材をリフトで地上に荷降ろす工法が実施されている(特許文献1、2参照)。最上階の各部材を解体・除去したうえで重機を下層階へ降ろし、各部材の破砕・切断を上層階から下層階へ順次繰り返すことにより多層建築物を建設時と逆の順序で一階層ずつ解体する。ただし、このような破砕式の解体工法は、破砕に伴う飛石・粉塵の拡散・飛散を防止するために比較的大規模な養生仮設が必要であり、大重量の圧砕機等を支持するために最上階を下層階から支持する支保工も必要となるので、養生仮設及び支保工の設置や移動(解体作業に応じた下層階への移動)に手間がかかる。
これに対して、圧砕機等を最上階に揚重することが難しい比較的高層の建築物を解体する場合に、図7に示すように、タワークレーン10等を利用して比較的小型軽量の切断装置(例えば電動カッター、ワイヤーソー等)を最上階に吊り上げ、その装置で床・梁2、壁3、柱Pを部材毎に切断し、切断した各部材2、3、Pをクレーン10によって地上へ吊り降ろす工法が実施されている(非特許文献1参照)。このような切断式の解体工法は、上述した破砕式の解体工法と同様の手順で建築物を解体するものであるが、解体時に飛石・粉塵が発生しにくいので養生仮設を削減又を省略することができ、最上階を下層階から支持する支保工も削減又を省略することできる利点を有している。ただし、部材毎の切断作業及び吊り降ろし作業に手間がかかる。
この切断式の解体工法に関して、特許文献3は、床・梁、柱等の複数の部材をスラブユニットとして周辺部分に支持した状態で一体的に切断し、切断したユニットをクレーンにより地上へ吊り降ろしたのち部材毎に解体するユニット式解体工法を提案している。例えば、コンクリートが打設された床スラブ(デッキプレート)を、鉄骨柱が含まれない無柱部分A1と鉄骨柱が含まれる有柱部分A2とに分割し、無柱部分A1の床スラブを鉄骨梁と一体のスラブユニットA1として切断し、有柱部分A2の床スラブを鉄骨梁及び鉄骨柱と一体のスラブユニットA2として切断する。各ユニットA1、A2を、それぞれコンクリートの一部分をはつって鉄骨梁を露出させ、吊りピース等を溶接したうえで、鉄骨梁部分を吊ってクレーンにより地上へ吊り降ろして解体する。このように複数の部材をブロック化して切断するユニット式解体工法によれば、切断作業(切断箇所)を少なくすると共に複数の部材をまとめることで吊り降ろし作業も短縮することができるので、建築物の解体作業を迅速に進めることが期待できる。
特開2007−262688号公報 特開2006−022534号公報 特開平8−028068号公報
鹿島編「図解・超高層ビルのしくみ−建築から解体までの全技術」講談社(ブルーバックスB−1683)、2010年5月20日、201〜210頁
しかし、特許文献3のユニット式解体工法は、解体中の建築物に地震時・風負荷時等に水平荷重が加わると切断中のユニットが構造的に不安定な状態となりやすい問題点がある。特許文献3では、例えば床スラブ(及び鉄骨梁)の切断面を斜めに傾斜させて周辺スラブに係止することで切断時のスラブユニットA1、A2を支持しているが、そのような係止のみではユニットを安定的に支持することができず、比較的小さな建築物の振動でも切断中のユニットが転倒するおそれがある。特許文献3においてユニットの転倒を避けるために、例えばスラブユニットを予めクレーンに玉掛けして揚重しながら切断することが考えられるが、そのような方法ではユニットの切断にクレーンが占有されてしまい、クレーンを効率的に運用して解体作業を迅速に進めることが難しくなる。或いは、下層階に支保工を設けてスラブユニットを支持する方法も考えられるが、上述したように支保工は解体に応じて移動する必要があるので、やはり解体作業の効率的な進捗の障害となりうる。建築物を安定的に維持しながら迅速に解体するためには、特許文献3のように単に複数の部材をブロック化するだけでは足りず、ブロック化した部材を地震時・風負荷時等にも構造的に安定な状態に維持しながら解体できることが必要である。
そこで本発明の目的は、多層建築物を安定的に維持しながら短工期で解体できるブロック式解体工法を提供することにある。
図1、図2の実施例及び図3の流れ図を参照するに、本発明による多層建築物のブロック式解体工法は、多層建築物1の最上階Fn(図示例では20階F20)の各柱P1、P2、……、Piの周囲にそれぞれ床及び梁2の片持ち支持可能領域Q1、Q2、……、Qi(図5(A)参照)を割付け、且つ、その割付け領域Qiが相互に重なる柱Piと床及び梁2とを所定総荷重Gの範囲内で一体化することにより最上階Fnの躯体を複数の柱含有ブロックB1、B2、……、Bjに区分けし(図2(A)参照)、ブロックBj毎に、そのブロックBj周縁の床及び梁2を切断するステップ(図3のステップS002参照)と、そのブロックBj内の柱Pを下層階F(n−1)(図示例では19階F19)と切断して地上Eへ降ろすステップ(図3のステップS012〜013参照)とを反復して最上階Fnの躯体を解体し、解体後の最上階F(n−1)(F19以下の各下層階)で前記ブロック分けから躯体解体までのサイクルを順次繰り返してなるものである。
好ましくは、所定総荷重Gを、建築物1上又は近傍に設けたクレーン10で揚重可能な総荷重とし、各ブロックBjをクレーン10で地上Eへ吊り降ろす。各ブロックBj内の柱Pは、図5(B)に示すように、そのブロックBjが自立可能な位置Hで下層階F(n−1)と切断することができる。望ましくは、図5(C)に示すように、各ブロックBj周縁の床及び梁2を切断するステップにおいて、そのブロックBj内の柱Pの自立可能な位置Hの断面を、そのブロックBjに加わる水平力が下層階F(n−1)に伝達可能な限度で一部切断する。また、例えば図2に示すように最上階Fnの躯体を、何れのブロックBjにも含まれない床及び梁2の部分T(図5(A)参照)が発生しないように複数の柱含有ブロックBjに区分けすることが望ましい。
更に好ましくは、図3の流れ図に示すように、各ブロックBjを地上Eへ降ろすステップ(図3のステップS012〜013)と、そのプロックBjの後続ブロック(j+1)の周縁の床及び梁2を切断するステップ(図3のステップS002)とを同時並行に進める。図4(A)に示すように、各ブロックBj内又は周縁の外装材3a、3b及び内装材4は、そのブロックBjと共に地上Eへ降ろすことができる。また、図4(B)に示すように、各ブロックBj内又は周縁の階段設備、エレベータ設備、電気設備その他の設備5も、そのブロックBj周縁の床及び梁2と共に切断し且つブロックBj内の柱Pと共に下層階F(n−1)と切断して地上Eへ降ろすことが可能である。望ましくは、図示例のように、各ブロックBj内又は周縁の複数階を貫く設備5を、そのブロックBjが自立可能な位置Hで下層階下層階F(n−1)と切断する。
図1及び図2に示すように、建築物1の隣接地上に養生壁21で囲まれた解体ヤード20を設け、各ブロックBjを最上階Bjから解体ヤード20内に降ろして解体することができる。また、各ブロックBjは、解体ヤード20内に自立させつつ降ろして解体することができる。
本発明による多層建築物のブロック式解体工法は、多層建築物1の最上階Fnの躯体を柱Pとその周囲の片持ち支持可能な床及び梁2とが一体化された複数の柱含有ブロックB1、B2、……、Bjに区分けしたうえで、ブロックBj毎に、そのブロックBj周縁の床及び梁2を切断するステップと、そのブロックBj内の柱Pを下層階F(n−1)と切断して地上Eへ降ろすステップとを反復して最上階Fnの躯体を解体し、解体後の最上階F(n−1)でブロック分けから躯体解体までのサイクルを順次繰り返すことにより建築物を解体するので、次の有利な効果を奏する。
(イ)多層建築物1の最上階Fnの躯体を、柱Pと片持ち支持可能な床及び梁2とが一体化された柱含有ブロックBj、すなわち周縁の床及び梁2と切り離されても支保工なしで自立可能なブロック構造を単位として切断するので、建築物1の解体に際して必要な支保工の量を削減し又は最小化することができる。
(ロ)また、地震時・風負荷時等に各ブロックBjに水平荷重が加わったとしても、各ブロックBj内の柱Pを介して水平荷重を下層階F(n−1)に伝達して逃がすことができるので、解体中の建築物1に十分な耐震性・耐風性を保持させることができる。
(ハ)各ブロックBjを自立可能な構造とすることで各ブロックBjの切断時にクレーン等で支持する必要がなくなり、各ブロックBjのクレーンによる吊り降ろし作用と後続ブロックB(j+1)の周縁の床及び梁2の切断作業とを同時並行に進めることにより多層建築物1を短工期で解体することができる。
(ニ)また、各ブロックBj内の柱Pの切断及び吊り下げ時にのみクレーンを玉掛けすれば足りるので、ブロックBj毎に必要なクレーンの占有時間を短縮してクレーンの運用の効率性を高めることができる。
(ホ)更に、各ブロックBj内の柱Pを一部切断しても下層階F(n−1)に水平力を伝達できれば耐震性・耐風性を維持できるので、各ブロックBjの周縁の床及び梁2を切断する際に併せて内部の柱Pを一部切断しておくことにより、各ブロックBjによるクレーンの占有を更に短縮し、建築物1を構造的に安定な状態に維持しつつ解体の一層の短工期化を図ることができる。
(ヘ)多層建築物1から切断した各ブロックBjは、特別の支保工等を用いずとも地上へ自立させつつ降ろすことができ、地上において従来の圧砕機等を用いて迅速に粉砕・解体することができる。
(ト)また、多層建築物1の最上階Fnから飛石・粉塵が発生しにくい切断作業によって各ブロックBjを切り出し、切り出した各ブロックBjの粉砕作業は地上に自立させつつ行うことができるので、建築物1の解体に伴う周囲環境への影響を最小限に抑えることができる。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態及び実施例を説明する。
本発明による建築物の解体工法の一実施例の説明図である。 最上階の躯体を複数のブロックに区分けする方法の一例の説明図である。 図1の建築物の水平断面図である。 本発明による建築物の解体工法の流れ図の一例である。 本発明による建築物の解体工法の図式的流れの説明図である。 最上階の躯体を複数のブロックに区分けする方法の他の一例の説明図である。 従来の切断式の解体工法の説明図である。
図1及び図2は、本発明を適用した多層建築物1の解体工法の一実施例を示す。図示例の建築物1は地上20階、地下2階のS造又はRC造の高層建築物であり、図2の水平断面図に示すように4列7行の28本の柱P11〜47を有している。ただし、本発明の解体工法において建築物1の構造種別及び柱の配置はとくに制限はなく、部材に応じた適当な切断装置8を用いることにより様々な構造形式、構造種別の建築物1に適用可能である。本発明は、(1)建築物1の最上階Fn(図示例では20階F20)の躯体をそれぞれ柱Pと床及び梁2とを含む複数の柱含有ブロックBjに区分けし、(2)そのブロックBj単位で最上階Fnの躯体を切断するステップと、(3)切断した各ブロックBjを地上Eへ降ろすステップとを反復することにより最上階Fnの躯体を解体し、その(1)〜(3)のサイクルを解体後の最上階F(n−1)(19階以下の各下層階)において繰り返すことにより建築物1を上層階から下層階へと順次解体する。
図示例では、多層建築物1の敷地(又は隣接地)上Eに所定作業半径Rのタワークレーン(マストクライミング方式)10を立て、最上階Fnで切断された各ブロックBjをクレーン10により地上Eへ吊り降ろしている。クレーン10は、例えばエレベータシャフト等を利用して建築物1上に設置するクレーン(フロアクライミング式)とすることも可能である。また、タワークレーン10に代えて、必要に応じて他の種類のクレーン(例えば移動式クレーン等)を用いることも可能である。更に、以下では図3の流れ図を参照してクレーン10を用いた本発明の実施例について説明するが、本発明において各ブロックBjを地上Eへ降ろす手段はクレーンに限定されず、例えば建築物1に併設した適当な揚重リフト等を用いて各ブロックBjを地上Eへ降ろすことも可能である。
(1)最上階の躯体のブロック分け
図3は、本発明による解体工法の流れ図の一例を示す。最初に図3のステップS001において、多層建築物1の最上階Fnの躯体を複数の柱含有ブロックBjに区分けする。柱含有ブロックBは、図5(B)に示すように、最上階Fnの少なくとも1本の柱Pとその周囲の片持ち支持可能な床及び梁2とを含み、周縁の床及び梁2と切り離されても支保工なしで自立可能とした骨組構造である。最上階Fnの躯体を複数の柱含有ブロックBjに区分けする方法の一例を図5(A)の水平断面図に示す。なお、図5(A)では、図3の流れ図の説明のために各柱Pを実際の建築物と異なる配置や太さで表している。
図5(A)のブロック分けでは、先ず最上階Fnの各柱Piの周囲に、その柱Piにより片持ち支持することが可能な最上階Fnの床及び梁2の領域(柱Piを中心とする領域)Qiを割付ける。各柱Piに割付ける領域Qiの大きさや形状は、柱Piや周囲の床及び梁2の構造的性能(太さや強度等)に応じて柱Pi毎に相違しうる。例えば、大径の柱Piの周囲には、小径の柱に比して大きな領域Qiを割り付けることができる(図示例の柱P35を参照)。また、大きな載置荷重を想定して構築された場所(人の多く集まる場所や書架等を設置する場所)の床及び梁2は、固定荷重のみを想定した場所の床及び梁2に比して大きな領域Qiとして割り付けることができる(図示例の柱P23の割付け領域Q23を参照)。
なお、図示例では説明簡単化のために一部の柱P13〜16、P23、P24、P26、P35に対してのみ片持ち支持可能な領域Q13〜16、Q23、Q24、Q26、Q35を割り付けているが、例えば柱Pi毎にその太さや周辺の床及び梁2の強度性能に応じた構造計算(自立安定性計算)等を行うことにより、最上階Fnの全ての柱Piに片持ち支持可能な床及び梁2の領域(例えば片持ち支持可能な最大領域)Qiを割り付けることができる。
次いで、割付け領域Qiが相互に重なる柱Piと床及び梁2とを所定総荷重Gの範囲内で一体化することにより、最上階Fnの躯体を複数の柱含有ブロックBjに区分けする。図5(A)は、割付け領域Q13、Q14、Q23、Q24が相互に重なる最上階Fnの4本の柱P13、P14、P23、P24を、それらの領域Q13、Q14、Q23、Q24内の床及び梁2と一体化して1つの柱含有ブロックBjとしている。同図に示すように各柱含有ブロックBjに含まれる床及び梁2の区分け位置は、必ずしもブロックBj内の各柱Piに割付けた領域Qiの周縁境界と一致させる必要はなく、隣接するブロックB(j−1)、B(j+1)等との重なり合いを考慮して、各柱Piの割付け領域Qiの内側となるように定めることができる。
柱含有ブロックBjの各々に含める柱Pの本数は、そのブロックBjの重心Oとクレーン10の設置位置との間の距離Lを考慮して、そのブロックBjの総荷重Gがクレーン10の揚重能力(吊り能力)の範囲内となるように定めることができる。また、クレーン10に代えて揚重リフト等で各ブロックBjを地上Eへ降ろす場合は、その揚重リフト等の最大積載荷重の範囲内で各ブロックBjに含める柱Pの本数を定めればよい。例えば図5(B)に示すように、下層階F(n−1)との切断位置Hを想定して各柱含有ブロックBj内に含まれる柱Piと床及び梁2との重量の総計を求め、その総計が所定総荷重Gを超える場合はブロックBjを区分けし直す。
図5(A)に示すように、柱Piとその周囲の片持ち支持可能な床及び梁2の領域Qiとを含む柱含有ブロックBjは、周縁の床及び梁2と切り離されても支保工なしで自立できる。また、地震時・風負荷時等に水平荷重が加わったとしても、各ブロックBj内の柱Pを介して水平荷重を下層階F(n−1)に伝達して逃がし、地震や強風に十分耐えることができる。必要に応じて、各ブロックBjの柱P、床及び梁2の配置・構造・強度等に応じて構造計算(自立安定性計算)等を行って自立可能性や耐震性を確認することにより、各ブロックBjの区分け位置を調整してもよい。このような自立可能な柱含有ブロックBj単位で高層建築物1の躯体を切断することにより、躯体の解体に際して支保工の必要量を削減又は最小化し、建築物1を安定的に維持しながら短工期で解体することができる。また、躯体の切断時にクレーン10に玉掛けして支持する必要もなくなり、ブロックBj毎に必要なクレーンの占有時間を短縮してクレーンの運用の効率性を高めることができる。
好ましくは、各柱含有ブロックBjに3本以上の柱Piを含め、各ブロックBjの抵抗モーメント(柱Piと床及び梁2とのフレーム強度)を自重・地震力・風荷重による回転モーメントより大きくすることにより、各ブロックBjの自立安定性(耐震性・耐風性)を高める。例えば図2(A)は、最上階Fnの28本の柱Pを、4本の隣接する柱Pを含むブロックB1、B2、B7、B8と、3本の隣接する柱Pを含むブロックB3、B4、B5、B6との8ブロックに区分けした一例を示す。
ただし、一般に高層建築物1では各階層の床及び梁2(スラブ)の重量や大きさはほぼ一定であり、屋上に近い上層階では比較的小径(又は薄肉)の柱Pが用いられているのに対し、地上に近い下層階では上部荷重を支えるために強度の高い比較的大径の柱Pが用いられている。最上階から下層階へ順次解体する本発明の工法では、下層階の解体時に上部荷重が十分に軽減されているので、そのような大径の1本又は2本の柱Pによって各ブロックBjを自立させることも十分可能である。また、各ブロックBjの重心はブロックBj内の柱Piを結ぶ線の内側(中心付近)にあることが望ましいが、片側にしか柱PjのないブロックBjであっても水平荷重を下層階F(n−1)に伝達することができれば地震や強風に十分耐えられる構造とすることができる。
更に、各柱含有ブロックBjに含まれる床及び梁2の区分け位置は、最上階Fnにおいて何れのブロックBjにも含まれない床及び梁2の部分が発生しないように定めることが望ましい。例えば図5(A)は、隣接する柱P14、P15、P16、P24、P26、P35の何れの割付け領域Qにも属さない床及び梁2の部分Tが発生した場合を示しており、このような部分Tの床及び梁2を切断する際には例えば下層階F(n−1)から支保工6で支えることが必要となる(図5(B)参照)。この場合は、例えば図6に示すように、そのような部分Tを囲む3本の柱P15、P24、P26を一体化して柱含有ブロックBjを区分けし直すことにより、何れのブロックBjにも属さない床及び梁2の部分Tの発生を避けることができる。
すなわち、図5(A)のように何れの割付け領域Qにも属さない床及び梁2の部分Tが発生した場合は、その部分Tの床及び梁2の構造・強度等や周囲の柱Pの配置・強度等に応じて、その部分Tの床及び梁2を周囲の複数本の柱Pで(固定梁状又は連続梁状に)支持するようにブロックBjを区分けし直すことができる。周囲の複数本の柱Pで固定梁状又は連続梁状に床・梁2を支持する柱含有ブロックBjとすれば、片持ち梁に比して大きな面積の床及び梁2を支持することができ、何れか1本の柱Pのみでは片持ち支持することができない部分Tを解消することができる。柱Pや床及び梁2の配置・構造・強度等に応じた構造計算によってブロックBjを適切に区分けし直し、最上階Fnの床及び梁2の全体を何れかのブロックBjに含まれるように区分けすることにより、躯体の解体に際して支保工を最小化し又は用いる必要をなくし、建築物1の一層迅速な解体が可能となる。
(2)各ブロック周縁の床及び梁の切断
最上階Fnの躯体を複数の柱含有ブロックBjに区分けしたのち、図3のステップS002において、例えば電動カッター、ガス切断装置、ワイヤーソー等の軽量小型の切断装置8を用いて各ブロックBjの周囲の床及び梁2を区分け位置に沿って切断し、周縁の床及び梁2と切り離す。切断装置8は、例えば建築物1に併設した揚重リフト7(図5参照)又はクレーン10等を用いて、予め最上階Fnに搬送しておくことができる。上述したように各ブロックBjは自立可能であり、十分な耐震性・耐風性を有しているので、原則として支保工を用いることなく各ブロックBjの周囲の床及び梁2を切断することができる。
図5(B)のように何れの柱含有ブロックBjにも含まれない床及び梁2の部分Tを切断する場合は、下層階F(n−1)から支保工6で支持し又はクレーン10に玉掛けして支持する必要が生じるが、そのような部分Tはできるだけ小さくなるようにステップS001のブロック分けをすることが望ましい。例えば図4(A)は、最上階FnをブロックB1〜B3に区分けする場合に、何れのブロックB1〜B3にも含まれない部分Tの床及び梁2gが発生しうる場合を示している。そのような床及び梁2gが発生しても、その部分Tが十分に小さければ、図4(B)に示すように後述する吊り降ろし作業(ステップS011〜S013)において、切断後の床及び梁2gを隣接するブロックB2(又はB3)に自立可能性を損なわないように固定して一緒に吊り降ろすことができる。
なお、本発明の解体工法では各ブロックBjの周縁の床及び梁2を鉛直方向に真直ぐ切断すれば足り、例えば特許文献3のように床スラブ(及び鉄骨梁)を斜めに傾斜して切断する必要はない。特許文献3の工法では、スラブユニットに吊り治具を取り付けて吊り上げるので、適当な鉛直方向ガイド等を設けることが難しく、スラブユニットの切断面を斜めにして隣接ユニットとの干渉を避けている。これに対し本発明の工法では、各ブロックBjに含まれている何れか柱P又は複数の柱Pの切断部に適当な鉛直方向ガイド(例えば、切断部の上下の柱Pを鉛直方向に滑り可能に芯合わせするガイド部材)を設けることが容易であり、切断装置8による鉛直方向の切断時に生じる「切り代」(例えば床スラブコンクリートの場合は10〜15mm程度)があれば、各ブロックBを隣接ブロックとの干渉を避けながら鉛直方向に吊り上げることができる。
(3)各ブロックの地上への吊り降ろし
各柱含有ブロックBjの周縁の床及び梁2を切断したのち、図3のステップS011〜013において、各ブロックBj内の柱Piの頂端にクレーン10を玉掛けし、柱Piを下層階F(n−1)(図示例では19階F19)と切断して地上Eへ降ろす。各ブロックBjの下層階F(n−1)からの切断位置Hは、例えば図4(B)に示すように、床及び梁2を含むブロックBjが安定的に自立できる各柱Pの高さHを構造計算(自立安定性計算)等によって求めることにより、各ブロックBjが自立可能となるように定めることができる。また、例えば図4の実施例では各ブロックBjの柱Pを同じ位置H(高さH)で下層階F(n−1)と切断しているが、下層階F(n−1)の切断位置HはブロックBj毎に相違していてもよい。
なお、図4(B)に示すように、各ブロックBjの内側又は周縁に配置された階段設備(鉄骨階段等)、エレベータ設備(レール等)、電気設備その他の設備5(異なるブロックBjに跨る設備や複数階に跨る設備を含む)も、ステップS011〜013においてブロックBj周縁の床及び梁2と共に切断すると共にブロックBj内の柱Pと共に下層階F(n−1)と切断して地上Eへ降ろすことが可能である。この場合は、各ブロックBjが設備5を含めて安定的に自立できる各柱Pの切断位置Hを構造計算等によって設計することができる。また、図4(A)のブロックB1、B3に示すように、各ブロックBjの内側又は周縁の外装材3a、3b(外装カーテンウォール等)や内装材4は、ステップS011〜013において適当に切断・分解してブロックBjと共に地上Eへ降ろすことができる。この場合は、各ブロックBjが外装材3a、3bや内装材4を含めて安定的に自立できる各柱Pの切断位置を構造計算等により設計することができる。
本発明の解体工法では、上述したように躯体を自立可能なブロックBjとして切断するので、各ブロックBjの切断作業時に原則としてクレーン10を玉掛けして支持することを必要としない。従って、図3の流れ図に示すように、各ブロックBjのクレーン10による吊り降ろし作業(ステップS011〜S015)と各ブロックBjの切断作業(ステップS001〜S005)とを独立に進めることができる。すなわち、例えば図4(A)に示すように、ブロックB1をクレーン10で地上Eへ吊り降ろす間に、後続ブロックB2、B3の周縁の床及び梁2の切断作業(図中に黒三角矢印で示す)を同時並行に進めることができる。このようにブロックBjの切断作業と吊り降ろし作業とを同時並行に進めることにより、ブロックBj毎に必要なクレーンの占有時間を短縮し、クレーン10の効率的な運用による解体工期の短縮が図れる。
好ましくは、ステップS002において各ブロックBjの周縁の床及び梁2を切断する際に併せて、図3のステップS003において、図5(C)に示すように、そのブロックBj内の柱Pの自立可能な位置Hの断面を、そのブロックBjに加わる水平力が下層階F(n−1)に伝達可能な断面積が限度で一部切断しておく(図中に白三角矢印で示す)。各ブロックBj内の柱Pを一部切断しても、下層階F(n−1)に水平力を伝達できれば耐震性・耐風性を維持できるので、各ブロックBjの床及び梁2の切断に併せて内部の柱Pの断面を一部切断しておくことにより、ステップS012における各ブロックBj内の柱Piの切断時間(クレーン10の占有時間)を短縮し、建築物1を構造的に安定な状態に維持しつつ解体工期の一層の短縮を図ることができる。
ステップS003では、例えば各ブロックBjの柱Pについて地震時・強風時等に加わる水平力を下層階F(n−1)に逃がすために必要な断面積を構造計算(自立安定性計算)等により求め、その断面積が残る限度で柱Pの自立可能な位置の断面を一部切断する。水平力を逃がす断面積を残しておけば、図5(C)のようにブロックBj自体を地震上及び強風上耐えられる構造とすることができる。本発明者の予備的計算によれば、最上階Fnの各ブロックBjの各柱Pで支持すべき荷重は比較的小さいので、解体段階にもよるが、各柱Pの断面積の半分以上を切断しても地震時・強風時に耐えられる状態に維持することが可能である。解体工期を短縮するためには、一部切断によって残す断面積(水平力を下層階F(n−1)に伝達可能な面積)が小さいほど有利である。
図3のステップS004は、建築物1の最上階Fnに未切断のブロックBjが残っているか否かを判断し、残っている場合は上述したステップS002〜S003を繰り返して最上階Fnの全てのブロックBjを切断することを示す。また図3のステップS014は、切断ステップS002〜S004と同時並行して、建築物1の最上階Fnに切断済のブロックBjが残っているか否かを判断し、上述したステップS011〜S013を繰り返して残った全てのブロックBjを吊り降ろすことにより最上階Fnの躯体を全て解体することを示す。最上階Fnの躯体が全て解体済である場合は、図3のステップS004(及びステップS014)からステップS005(及びステップS015)へ進み、解体後の最上階F(n−1)(図示例では19階F19)を解体するか否かを判断する。
解体後の最上階F(n−1)を解体する場合はステップS001(及びステップS011)へ戻り、上述した最上階Fnの場合と同様に最上階F(n−1)の躯体を複数の柱含有ブロックBjに区分けし、上述した各ブロックBjの切断作業(ステップS001〜S005)と吊り降ろし作業(ステップS011〜S015)を同時並行的に進めすることにより最上階F(n−1)を解体する。図1のように1階から最上階Fnまでほぼ同一の水平断面形状である場合は、下層階F(n−1)におけるブロックBjの区分けステップ(ステップS001)を省略し、最上階Fnと同じブロック分けに従ってステップS002〜004のサイクルを繰り返すことも可能である。このようなブロック分けから躯体解体までのサイクルを、多層構造物1を所望の低階層(例えば1階F1)まで各階層について順次繰り返すことにより、図1の多層建築物1の各階層F20〜F2を構造的に安定な状態に維持しながら効率的に解体することができる。
こうして本発明の目的である「多層建築物を安定的に維持しながら短工期で解体できるブロック式解体工法」の提供を達成することができる。
なお、図1の実施例では、多層建築物1の躯体を解体する最上階Fnに移動式養生仮設9を設け、例えばコンクリートの切断除去時に発生し得る最上階Fnからの飛石・粉塵の拡散・飛散を防止している。図示例の養生仮設9は下層階F(n−1)に係止する脚部を有し、最上階Fnの躯体解体後にクレーン10で揚重しながら脚部を下層階F(n−2)に移動させ、次に解体すべき下層階F(n−1)(最上階Fnの解体後の最上階)に移動させる。ただし、本発明の解体工法は飛石・粉塵の発生しにくい切断作業によって最上階FnのブロックBjを切り出すことが可能であり、養生仮設9は本発明に必須のものではない。
図4は、図3のステップS001において建築物1の最上階Fnの躯体を複数の柱含有ブロックBjに区分けしたのち、ステップS002〜S004及びステップS001〜S014に従って最上階Fnの躯体を実際に解体する手順の実施例を示す。図4(A)では、最上階Fnの躯体を3つの柱含有ブロック、すなわち柱P1、P2と床及び梁2a、2b、2cとを含むブロックB1、柱P2、P3と床及び梁2d、2e、2fとを含むブロックB2、及び柱P5、P6と床及び梁2h、2iとを含むブロックB3とに区分けしている。何れのブロックB1〜B3にも含まれない部分Tの床及び梁2gは、ブロックB2上に固定して一緒に地上Eへ吊り降ろす。
先ず図4(A)において、ブロックB1の周縁の床スラブ2a、2cを例えば電動カッター等の切断装置8で区分け位置に沿って切断すると共に、区分け位置上の梁2bをガス切断する(ステップS002)。また、ブロックB1内の各柱P1、P2の切断位置(高さ)Hをワイヤーソー等の切断装置8で一部切断すると共に(ステップS003)、ブロックB1の周縁に存在する外装材3aを切断位置Hで下層階F(n−1)と切断する。この状態でブロックB1の各柱P1、P2の頂端にクレーン10を玉掛けし、各柱P1、P2の残りの柱断面を切断し、床スラブ及び梁2a、2b、2cと外装材3aと柱P1、P2とを含むブロックB1を地上Eに吊り降ろす(ステップS011〜S013)。本発明の工法では柱Pを吊り点とすることができるので、クレーン10の玉掛けに際して、鉄骨製の柱Pの頂端に例えばガス切断等で単に穴をあければ足り、特許文献3のように床コンクリートをはつり出して鉄骨梁に吊り治具を取り付ける手間を省くことができる。
図4(A)は、建築物1の最上階Fnのスリット壁(仕切壁)その他の内装材4を予め引き倒し、ブロックB1上に固定して同時に地上Eへ吊り降ろすことを示している。また同図は、ブロックB1を地上Eへ吊り降ろす間に、後続のブロックB2の周縁の床スラブ及び梁2f、2gの切断(図中の黒三角矢印)と、ブロックB2内の各柱P3、P4の一部切断(図中の白三角矢印)とを同時並行に進めることを示している。このようにブロックB1の吊り降ろし作業とブロックB2の切断作業とを同時並行に進めることにより、上述したようにブロックB2の各柱P3、P4の切断に伴うクレーン10の占有時間を短縮し、クレーン10の効率的な運用による解体工期の短縮を図ることができる。更に同図に示すように、何れのブロックB1〜B3にも含まれない床スラブ及び梁2gは、下層階F(n−1)に支保工6を一時的に設置したうえで切断することができる。
ブロックB1の吊り降ろしが完了したのち、図4(B)に示すように、ブロックB2の各柱P3、P4にクレーン10を玉掛けし、各柱P3、P4の残りの柱断面を切断したうえで、床スラブ及び梁2d、2e、2fと柱P3、P4とを含むブロックB1を地上Eに吊り降ろす。また、図4(B)では、何れのブロックB1〜B3にも含まれない床スラブ及び梁2gをブロックB2上に固定して同時に地上Eへ吊り降ろしている。このブロックB2を地上Eへ吊り降ろす間に、後続のブロックB3の外装材3b及び設備(鉄骨階段)5の切断(図中の黒三角矢印)と、ブロックB3の各柱P5、P6の一部切断(図中の白三角矢印)とを同時並行的に進める。
ブロックB2の吊り降ろしが完了したのち、図4(C)に示すように、ブロックB3の各柱P5、P6にクレーン10を玉掛けして残りの柱断面を切断し、床及び梁2h、2iと外装材3bと設備5と柱P5、P6とを含むブロックB3を地上Eに吊り降ろす。ブロックB3を地上Eへ吊り降ろす間に、解体装置8を下層階F(n−1)へ移動し、後続の下層階F(n−1)のブロックB4の床スラブ及び梁2a、2c、2b、外装材3aを切断し、各柱P1、P2を一部切断することができる。ブロックB3の吊り降ろしにより最上階Fnの躯体の解体が完了し、図4(A)と同様の状態に復帰する。下層階F(n−1)(最上階Fnの解体後の最上階)においても、上述した最上階Fnと同様に複数のブロックBjに区分けし、各ブロックBjの切断作業と吊り降ろし作業を同時並行的に進めすることにより最上階F(n−1)を解体することができる。
なお、図4の流れ図において、各ブロックBjの周縁の床スラブ2を切断する際に、そのブロックBjの内側及び周縁の床スラブ2上のコンクリートをカッター等の切断装置8により切断除去し、例えば図2に示す揚重リフト7で切断除去したコンクリートをブロックBjとは別に地上Eへ降ろすことも可能である。床スラブ2上のコンクリートを除去することで各ブロックBjを軽量化し、クレーン10によるブロックBjの吊り降ろし作業の安全と容易化を図ることができる。ただし、コンクリートの切断除去は本発明に必須の作業ではなく、各ブロックBjが重い場合であっても揚重能力の高いクレーン10を用いることで対応可能である。
図2(B)は、多層建築物1の最上階Fnを区分けした複数のブロックB1〜B8のうち、4本の柱Pを含むブロックB1〜B4を最上階Fnの中央部(コア部)に配置し、その周縁部に3本の柱Pを含むブロックB5〜B8を配置した躯体の区分け方法の他の一例を示す。例えば、先ず中央部分のブロックB1、B2を切断して地上Eへ吊り降ろし、次いでその周縁のブロックB3、B4を切断して地上Eへ吊り降ろし、最後に周縁角部のブロックB5〜B8を順次切断して地上へ吊り降ろす。このように最上階Fnを中央部から周縁部へ順次切断するブロックBjの区分け方法は、図2(A)のように最上階Fnを行列状に順次切断するブロックBjの区分け方法に比して、中央ブロックB1、B2の切断時に加わる水平力を周縁ブロックB3〜B8に伝達させて支持することができ、切断中の中央ブロックB1、B2の耐震性・耐風性の向上を図れる利点がある。
ただし、図2(B)において例えば階段等の設備が中央ブロックB1、B2に含まれている場合は、クレーン10の玉掛けのために作業員が階段等を利用して最上階Fnに昇降できるように、外縁ブロックB3〜B8を先行して切断し、最後に中央ブロックB1、B2を切断することも可能である。最上階FnのブロックBjを如何なる手順で切断する場合でも、上述したように各ブロックBjの柱断面を下層階F(n−1)に水平力が伝達可能な限度で一部残しておけば、切断手順に拘らず各ブロックBjを地震及び強風に十分耐えられる状態に維持することができる。
図1の実施例では、多層建築物1の隣接地上Eに解体ヤード20を設け、建築物1の最上階Fnの各ブロックBjを解体ヤード20内に自立させつつ降ろして解体している。図示例の解体ヤード20には、その周囲を囲む養生壁21と、ヤード内に散水するミスト装置22と、ヤード内を移動可能な圧砕機等の解体用重機23とが設けられている。上述したように本発明は最上階Fnの躯体を自立可能なブロックBjとして切り出すので、特別の支保工等を設けずとも各ブロックBjを解体ヤード20に自立させつつ降ろし、解体用重機23で迅速に粉砕・解体することができる。ただし、各ブロックBjは解体容易な姿勢(例えば上下反転させた姿勢)で解体ヤード20上に降ろすことができ、必ずしも解体ヤード20上で自立させる必要はない。
また、解体ヤード20における各ブロックBjの解体作業を、上述した後続ブロックBjを地上へ降ろすステップ、及びその後続ブロックB(j+1)の周縁の床及び梁2を切断するステップと同時並行に進めることにより、建築物1の解体作業の更なる工期短縮を図ることができる。更に、図示例のような地上Eの解体ヤード20で各ブロックBjを粉砕・解体することにより、建築物1の解体に伴う周囲環境への飛石・粉塵の拡散・飛散を最小限に抑えることができる。ただし、本発明は建築物1に隣接させて解体ヤード20を設けることを必須とするものではなく、例えば最上階Fnから吊り下ろした各ブロックBjを建築物1から離れた解体施設に搬送して粉砕・解体することも可能である。
1…多層建築物 2…床又は梁
3…外壁材 4…内壁材
6…支保工 5…階段、エレベータ、配管その他の設備
7…貨物リフト 8…切断装置
9…移動式養生仮設
10…クレーン 11…ベース
12…マスト 13…旋回フレーム
14…ジブ 15…フック
20…解体ヤード 21…養生壁
22…ミスト装置 23…解体用重機
B…(自立可能)ブロック E…地上
F…階層 G…総荷重
H…柱の切断位置 L…クレーンまでの距離
O…ブロック中心 P…柱
Q…割付け領域 R…クレーン作業半径
S…建物基礎

Claims (11)

  1. 多層建築物の最上階の各柱の周囲にそれぞれ床及び梁の片持ち支持可能領域を割付け且つその割付け領域が相互に重なる柱と床及び梁とを所定総荷重の範囲内で一体化することにより最上階の躯体を複数の柱含有ブロックに区分けし、前記ブロック毎に当該ブロック周縁の床及び梁を切断するステップと当該ブロック内の柱を下層階と切断して地上へ降ろすステップとを反復して最上階の躯体を解体し、解体後の最上階で前記ブロック分けから躯体解体までのサイクルを順次繰り返してなる多層建築物のブロック式解体工法。
  2. 請求項1の解体工法において、前記所定総荷重を建築物上又は近傍に設けたクレーンで揚重可能な総荷重とし、前記各ブロックをクレーンで地上へ吊り降ろしてなる多層建築物のブロック式解体工法。
  3. 請求項1又は2の解体工法において、前記各ブロックの柱を当該ブロックが自立可能な位置で下層階と切断してなる多層建築物のブロック式解体工法。
  4. 請求項1から3の何れかの解体工法において、前記各ブロック周縁の床及び梁を切断するステップにおいて、当該ブロック内の柱の自立可能な位置の断面を当該ブロックに加わる水平力が下層階に伝達可能な限度で一部切断してなる多層建築物のブロック式解体工法。
  5. 請求項1から4の何れかの解体工法において、前記最上階の躯体を、何れのブロックにも含まれない床及び梁の部分が発生しないように複数の柱含有ブロックに区分けしてなる多層建築物のブロック式解体工法。
  6. 請求項1から5の何れかの解体工法において、前記各ブロックを地上へ降ろすステップと当該プロックの後続ブロック周縁の床及び梁を切断するステップとを同時並行に進めてなる多層建築物のブロック式解体工法。
  7. 請求項1から6の何れかの解体工法において、前記各ブロック内又は周縁の外装材及び内装材を、当該ブロックと共に地上へ降ろしてなる多層建築物のブロック式解体工法。
  8. 請求項1から7の何れかの解体工法において、前記各ブロック内又は周縁の複数階を跨ぐ階段設備、エレベータ設備、電気設備その他の設備を、当該ブロック周縁の床及び梁と共に切断し且つ当該ブロック内の柱と共に下層階と切断して地上へ降ろしてなる多層建築物のブロック式解体工法。
  9. 請求項8の解体工法において、前記各ブロック内又は周縁の複数階を貫く設備を当該ブロックが自立可能な位置で下層階と切断してなる切断する多層建築物のブロック式解体工法。
  10. 請求項1から9の何れかの解体工法において、前記建築物の隣接地上に養生壁で囲まれた解体ヤードを設け、前記各ブロックを解体ヤード内に降ろして解体してなる多層建築物のブロック式解体工法。
  11. 請求項10の解体工法において、前記各ブロックを解体ヤード内に自立させつつ降ろして解体してなる多層建築物のブロック式解体工法。
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