JP6088926B2 - 構造物改築方法 - Google Patents
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Description
建築物を解体する方法として、例えば、最上階にハットトラスからなる仮設屋根を設けて、この仮設屋根に囲まれた空間を解体作業スペースとし、この解体作業スペースで解体作業を行うことにより、粉塵や騒音を防止する手法が提案されている。
また、既存の建築物を完全に解体するため、膨大な解体材が発生し、環境に大きな負荷がかかる、という問題があった。
まず、既存構造物の外周を覆う仮設壁を、既存構造物の屋上階床レベルの下側に架設して、この仮設壁で囲まれた改築作業スペースを形成する。
次に、改築作業スペース内で、少なくとも既存柱および既存大梁を再利用構造体とし、この再利用構造体を除いて既存構造物を解体するとともに、再利用構造体を補強しつつ、新設構造物を新たに構築する。
次に、仮設壁を下方に移動し、改築作業スペースを下方に形成して、上述の改築作業を繰り返す。
したがって、仮設壁を設けるだけで改築作業スペースを構築できるので、少量の仮設材で改築作業スペースを構築でき、低コストである。
また、改築作業スペースを仮設壁で囲んだので、既存構造物の解体時に、粉塵が周囲に飛散するのを防止できるうえに、騒音を低減でき、さらには、解体材の落下も防止できる。よって、周辺環境に与える負荷を少なくできる。
また、既存構造物の高層部を解体する場合、タワークレーンやジブクレーンを利用すると、風の影響により作業効率が低下するが、仮設壁により風の影響を受けないので、効率よく既存構造物を解体できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る構造物改築方法が適用される既存構造物としての既存建物1の断面図である。
既存建物1は、m(mは自然数)階建ての高層建物である。この既存建物1は、骨組みつまり構造体として、複数本の既存柱11と、これら既存柱11同士を連結する複数の既存大梁12と、を備える。また、この既存建物1は、非構造体として、既存床スラブ13、既存外壁14、既存間仕切壁15などを備える。つまり、本実施形態では、構造体を、建物の骨組みを構成する柱および大梁とした。
以下、既存建物1を改築する手順について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。
具体的には、まず、少なくとも既存建物1を再利用するために必要な構造体、ここでは既存柱11および既存大梁12を、再利用構造体40とする。
そして、この再利用構造体40を除く部分、つまり、m階の既存床スラブ13、既存外壁14、既存間仕切壁15、既存の設備機器などを解体する。
また、所定の既存柱11の柱脚部あるいは柱頭部に免震装置を介装して、地震時に建物上部に作用する水平荷重を低減させてもよい。また、図示しないが、補強フレームや補強梁を設けてもよい。
具体的には、改築作業スペース30内で、新設外壁51、新設床スラブ52、および新設間仕切壁53を構築したり、図示しない新たな設備機器を設置したりする。
(1)同一階において、既存建物1を解体すると同時に、この既存建物1の一部を利用して新設建物2を構築する。このとき、既存建物1を囲んで外周足場20を設けて、この外周足場20を利用して外壁部分の作業を行う。
したがって、外周足場20を設けるだけで改築作業スペース30を構築できるので、少量の仮設材で改築作業スペース30を構築でき、低コストである。
また、改築作業スペース30を外周足場20で囲んだので、既存建物1の解体時に、粉塵が周囲に飛散するのを防止できるうえに、騒音を低減でき、さらには、解体材の落下も防止できる。よって、周辺環境に与える負荷を少なくできる。
また、既存建物1の高層部を解体する場合、タワークレーンやジブクレーンを利用すると、風の影響により作業効率が低下するが、外周足場20により風の影響を受けないので、効率よく既存建物1を解体できる。
また、既存建物1の既存柱11の周囲に補強柱50を増設したので、既存柱11が補強柱50で補強されることで、新設建物2の柱の強度を増大できる。
また、既存柱11に免震装置を組み込んだ場合には、改築後の既存建物1を含む新設建物2を容易に免震化できる。
例えば、ステップS2の前に、既存建物1の屋上階から所定階までを完全に解体して、この既存建物1の建物高さを低くするステップを設けてもよい。例えば、このステップでは、外周足場20を下方に移動させながら、改築作業スペース30内で、この再利用構造体40を残すことなく既存建物1を所定階まで完全に解体する。このようにすれば、ステップS2の前に既存建物1を所定階まで解体するので、新設建物の建物高さを既存建物1よりも低くできる。
2…新設建物(新設構造物)
11…既存柱
12…既存大梁
13…既存床スラブ
14…既存外壁
15…既存間仕切壁
20…外周足場(仮設壁)
21…仮設床
22…仮設足場
30…改築作業スペース
40…再利用構造体
50…補強柱
51…新設外壁
52…新設床スラブ
53…新設間仕切壁
Claims (3)
- 既存構造物を改築する構造物改築方法であって、
前記既存構造物の外周を覆う仮設壁を、前記既存構造物の屋上階床レベルの下側に架設して、当該仮設壁で囲まれた改築作業スペースを形成する初期工程と、
前記既存構造物の屋上階から所定階までを解体して、当該既存構造物の建物高さを低くする解体工程と、
前記改築作業スペース内で、少なくとも既存柱および既存大梁を再利用構造体とし、当該再利用構造体を除いて当該既存構造物を解体するとともに、前記再利用構造体を補強しつつ、新設構造物を新たに構築する改築工程と、
前記仮設壁を下方に移動することで、前記改築作業スペースを下方に形成して、当該改築作業スペース内で前記改築工程を繰り返す繰り返し工程と、を備えることを特徴とする構造物改築方法。 - 前記改築工程では、前記再利用構造体を補強する手段として、前記既存構造物の既存柱の周囲に補強柱を増設する、または、前記既存構造物の既存柱に免震装置を組み込む、ことを特徴とする請求項1に記載の構造物改築方法。
- 前記仮設壁は、前記既存構造物の外周に設けられた仮設床と、当該仮設床上に設けられた仮設足場と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物改築方法。
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