JP2012031172A - T細胞阻害性受容体組成物およびその使用 - Google Patents
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Abstract
【課題】T細胞阻害性受容体分子に結合し、そしてT細胞活性を調節する組成物、およびこうした組成物を用いる方法の提供。
【解決手段】胆汁糖タンパク質結合剤が含まれる。癌胎児抗原ファミリー(CEA)のメンバーである、胆汁糖タンパク質(BGP;CD66aおよびC-CAMとしても知られる)は、ヒト腸上皮内に含まれる活性化T細胞に対する阻害性受容体である。細胞傷害性および増殖を含む、キラーT細胞活性を調節するための方法。
【選択図】なし
【解決手段】胆汁糖タンパク質結合剤が含まれる。癌胎児抗原ファミリー(CEA)のメンバーである、胆汁糖タンパク質(BGP;CD66aおよびC-CAMとしても知られる)は、ヒト腸上皮内に含まれる活性化T細胞に対する阻害性受容体である。細胞傷害性および増殖を含む、キラーT細胞活性を調節するための方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、T細胞阻害性受容体分子に結合し、そしてT細胞活性を調節する組成物に関する。
ヒト腸上皮内リンパ球(iIEL)の生物学的役割およびそれらの腸上皮細胞(IEC)との機能的な関連の性質決定は不完全なままである。ヒトiIELは、多様なサイトカイン類の分泌を通じ、細胞溶解機能およびおそらく免疫制御機能を示すことが、多様に示されてきている(Ebert, Science, 82:81-85, 1990; Lundqvistら, J. Immunol., 157:1926-1934, 1996; Balkら, Science, 253:1411-1415, 1991)。しかし、これらの機能的活性が、腸に関連するリンパ組織に特有である可能性がある過程、例えばIEC損傷および悪性トランスフォーメーションに対する口部耐性および局所免疫監視に関連しているのかは、明らかでない。さらに、iIELの機能的活性化を制御し、そしてこの特別な微小環境で利用されている可能性があるiIELの細胞表面上の分子およびそのIEC対受容体の解明は始まったばかりである。
小腸および大腸両方のヒトiIELのかなりの分画は、制限されたアレーのαβおよび、より少ない量で、γδ-T細胞受容体(TCR)を発現するCD8-αβ+およびCD45RO+ T細胞である(Balkら, 1991; Jarryら, Eur. J. Immunol., 20:1097-1103, 1990; Blumbergら, J. Immunol., 150:5144-5153, 1993; Van Kerckhoveら, J. Exp. Med., 175:57-63, 1992; Chowersら, J. Exp. Med., 180:183-190, 1994)。これらの表現型特性は、iIELがIECの基底外側表面に局在する、該IEC上の主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)クラスIまたはクラスI様分子の背景における限定された数の抗原を認識するための、記憶細胞であることを示す。しかし、マウスおよびヒトにおいて、iIELの大部分は、CD28-であり、iIEL活性化のため、必要な二次シグナルを提供するのに、TCR/CD3複合体仲介活性化のための他の補助的刺激分子が重要である可能性があることが示唆される(Gelfanovら, J. Immunol, 155:76-82, 1995; Gramzinskiら, Int. Immunol. 5:145-153, 1993; Russellら, J. Immunol., 157:3366-3374, 1996)。ヒトiIELの補助的刺激分子の候補には、大部分のiIELにより発現される、CD2(Ebert, Gastroenterology, 97:1372-1381, 1989)、CD101(Russellら, 1996)、BY-55(Anumanthanら, J. Immunol., 161:2780-2790, 1998)およびαEβ7(Parkerら, Proc. Natl. Acad. Sci., 89:1924-1928, 1992)が含まれる。
補助的刺激分子を活性化するのに加え、T細胞は、T細胞の最初の活性化が妨げられるかまたは活性化状態が下方制御されるように、阻害性のシグナルを運ぶ、多様な分子を発現する可能性があることもまた、次第に明らかになってきている。前者には、T細胞サブセット上に発現され、そして標的細胞上の特定の種類の主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)クラスI分子に結合する、キラー阻害性受容体(KIR)が含まれる(Lanierら, Immunology, 7:75-82, 1995)。後者には、T細胞活性化後に発現されると、抗原提示細胞上のCD80(B7.1)またはCD86(B7.2)のいずれかに結合する、CTLA-4(CD152)が含まれる(Walunasら, J. Exp. Med., 183:2541-2550, 1996; Krummelら, J. Exp. Med. 183:2533-2540, 1996)。これらの阻害性受容体は、特徴的に、細胞外に免疫グロブリン様ドメインを、そして細胞質テールに、コンセンサス配列I/L/VxYxxL/Vからなる、1つまたはそれ以上の免疫受容体のチロシンに基づく阻害性モチーフ(ITIM)を含む(Velyら, J. Immunol., 159:2075-2077, 1997)。CTLA-4の場合、ITIMは、GxYxxMにわずかに修飾されている(Cambier, Proc. Natl. Acad. Sci., 94:5993-5995, 1997)。ITIM含有受容体は、Src相同ドメイン含有プロテインチロシンホスファターゼ、SHP-1およびSHP-2、またはSH2ドメイン含有イノシトールポリリン酸5-ホスファターゼ、SHIPのいずれかの補充(recruitment)に役割を果たす(Isakov, Immunol. Res., 16:85-100, 1997)。これらのホスファターゼは、TCRと会合するCD3-γ、δ、εおよびζ鎖に含まれるものと似た、免疫受容体のチロシンに基づく活性化モチーフ(ITAM)を持つ受容体により補充されるシグナル分子の脱リン酸化に役割を果たす。こうしたものとして、T細胞上のITIMを持つ受容体は、どちらも互いに近接して連結されていれば、ITAMを持つ受容体により引き出される活性化事象を下方制御すると予測される。重要なことに、CTLA-4またはCD80/CD86のどちらも、それぞれヒト小腸のiIELまたはIEC上に観察されてきていない。
癌胎児抗原ファミリー(CEA)のメンバーである、胆汁糖タンパク質(BGP;CD66aおよびC-CAMとしても知られる)は、ヒト腸上皮内に含まれる活性化T細胞に対する阻害性受容体であることが、現在、発見されてきている。これらの研究により、主にCD28/CTLA4-CD80/CD86陰性である局部的な微小環境において、他の受容体・リガンド相互作用が、T細胞活性化および免疫病理を限定するのに必要な下方制御シグナルを提供する可能性があることが示唆されている。
本発明の1つの側面にしたがい、患者において、キラーT細胞の細胞傷害性または増殖を、特異的に亢進させるための方法が提供される。該方法は、こうした治療が必要な患者に、胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を選択的に減少させる剤を、該患者におけるキラーT細胞の細胞傷害性または増殖を亢進させるのに有効な量で、投与することを含む。特定の態様において、該剤は、単一の胆汁糖タンパク質ポリペプチドにのみ結合する、抗体または抗体断片である。好ましい抗体断片にはFab断片が含まれる。他の態様において、該剤は、胆汁糖タンパク質ポリペプチドに対するリガンドを含み、該リガンドは、単一の胆汁糖タンパク質ポリペプチドにのみ結合する。好ましい態様において、該リガンドは、免疫グロブリン分子またはその断片に融合しているか、あるいは、可溶性胆汁糖タンパク質分子またはその断片である。
本発明の別の側面にしたがい、患者において、キラーT細胞の細胞傷害性または増殖を、特異的に抑制するための方法が提供される。該方法は、こうした治療が必要な患者に、胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を選択的に増加させる剤を、該患者におけるキラーT細胞の活性を抑制するのに有効な量で、投与することを含む。特定の態様において、該剤は抗体、好ましくはモノクローナル抗体である。他の態様において、該剤は、胆汁糖タンパク質ポリペプチドに対するリガンドを含み、該リガンドは、2つまたはそれ以上の胆汁糖タンパク質ポリペプチドに結合する。好ましい態様において、該リガンドは、免疫グロブリン分子またはその断片に融合しているか、あるいは、胆汁糖タンパク質ポリペプチドまたはその断片を含む。
本発明の別の側面にしたがい、組成物が提供される。該組成物は、患者におけるキラーT細胞の細胞傷害性または増殖を亢進させるのに有効な量の、胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を選択的に減少させる剤、および薬学的に許容しうるキャリアーを含む。特定の態様において、該剤は、単一の胆汁糖タンパク質分子にのみ結合する、抗体または抗体断片である。好ましい抗体断片は、Fab断片を含む。好ましい態様において、該剤は、胆汁糖タンパク質ポリペプチドに対するリガンドを含み、該リガンドは、単一の胆汁糖タンパク質ポリペプチドにのみ結合する。好ましくは、こうしたリガンドは、免疫グロブリン分子またはその断片に融合している。特定の態様において、該リガンドは、胆汁糖タンパク質またはその断片である。好ましくは、該組成物は薬剤組成物である。
本発明のさらに別の側面にしたがい、患者におけるキラーT細胞の細胞傷害性または増殖を抑制するのに有効な量の、胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を選択的に増加させる剤を含む組成物が提供される。該組成物はまた、薬学的に許容しうるキャリアーも含む。いくつかの態様において、該剤は抗体、好ましくはモノクローナル抗体である。別の態様において、該剤は、胆汁糖タンパク質ポリペプチドに対するリガンドを含み、該リガンドは、2つまたはそれ以上の胆汁糖タンパク質ポリペプチドに結合する。好ましくは、該リガンドは、免疫グロブリン分子またはその断片に融合している。他の好ましい態様において、該リガンドは、胆汁糖タンパク質またはその断片である。好ましくは、該組成物は薬剤組成物である。
本発明のさらに別の側面にしたがい、キラーT細胞の細胞傷害性または増殖を、特異的に亢進させるための方法もまた、提供される。該方法は、キラーT細胞集団の細胞傷害性または増殖を亢進させるのに有効な量の、胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を選択的に減少させる剤と、キラーT細胞集団を接触させることを含む。胆汁糖タンパク質結合剤は、患者におけるキラーT細胞活性を亢進させるための方法において、上述されたとおりである。
本発明の別の側面において、キラーT細胞の細胞傷害性または増殖を、特異的に抑制するための方法が提供される。該方法は、キラーT細胞集団の細胞傷害性または増殖を抑制するのに有効な量の、胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を選択的に増加させる剤と、キラーT細胞集団を接触させることを含む。胆汁糖タンパク質結合剤は、患者におけるキラーT細胞活性を抑制するための方法において、上述されたとおりである。
本発明の別の側面にしたがい、単離融合タンパク質が提供される。該単離融合タンパク質は、免疫グロブリン分子またはその断片に融合している、胆汁糖タンパク質ポリペプチドまたはその断片を含む。該融合タンパク質の構成要素は、直接融合していてもよいし、あるいは、胆汁糖タンパク質構成要素および免疫グロブリン構成要素の間に、ペプチドなどのリンカー分子を介在させてもよい。一般の当業者に明らかであろうように、他のポリペプチドを免疫グロブリン構成要素に置換させてもよい。特定の態様において、融合タンパク質の胆汁糖タンパク質(またはその断片)構成要素は、34B1、5F4および26H7からなる群より選択されるモノクローナル抗体に選択的に結合する。好ましくは、胆汁糖タンパク質の断片は、CD66aのN-ドメイン、CD66aのNA1B1ドメイン、CD66aのNA1B1A2ドメインからなる群より選択される。免疫グロブリン分子の断片は、好ましくは、免疫グロブリン分子のFc部分である。
本発明の別の側面にしたがい、胆汁糖タンパク質に結合する、2つまたはそれ以上の胆汁糖タンパク質ポリペプチドまたはその断片を含む、単離融合タンパク質が提供される。該融合タンパク質は、2つ(またはそれ以上)の胆汁糖タンパク質分子に結合する胆汁糖タンパク質結合剤、特に胆汁糖タンパク質分子を架橋する剤を選択するのに有用である。
本発明のさらに別の側面にしたがい、キラーT細胞活性を亢進させるまたは抑制する化合物を同定するための方法が提供される。該方法は、胆汁糖タンパク質を発現するキラーT細胞集団を、胆汁糖タンパク質と結合する化合物と接触させ、そしてコントロールに比較した、キラーT細胞集団の細胞傷害性または増殖を測定することを含む。細胞傷害性または増殖を増加させる化合物は、キラーT細胞活性を亢進させる化合物であり、そして細胞傷害性または増殖を減少させる化合物は、キラーT細胞活性を抑制する化合物である。特定の態様において、該方法は、胆汁糖タンパク質ポリペプチドまたはその断片を提供し、該胆汁糖タンパク質ポリペプチドまたはその断片を、化合物と接触させ、そして該胆汁糖タンパク質ポリペプチドまたはその断片に対する、該化合物の結合を測定する段階を含む。該化合物は、前述の、キラーT細胞細胞傷害性または増殖の増加または減少を試験するための方法に用いられている。
本発明の別の側面において、異常なキラーT細胞活性により特徴付けられる異常を有する患者を選択的に治療するための方法が提供される。該方法は、こうした治療が必要な患者に、胆汁糖タンパク質に対し選択的である薬理学的剤を、異常なキラーT細胞活性を正常にするのに有効な量で、投与することを含む。
前述の、本発明の側面および態様において、好ましいキラーT細胞には、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、NK細胞、腸上皮内リンパ球および末梢血T細胞が含まれる。特に好ましいキラーT細胞は、CD8+ T細胞である。
前述の組成物の、医薬の調製における使用もまた、提供される。好ましい態様において、該医薬は、自己免疫疾患、癌および移植を含む、免疫系機能に関連する異常の治療に有用である。
本発明のこれらのおよび他の目的は、本発明の詳細な説明と関連し、さらに詳細に記載されるであろう。
図1は、IECを認識するが、休止iIELを認識しない、3つのmAb(34B1、5F4および26H7)の同定を示す。
図2は、iIELおよびPBTが、活性化後、34B1、5F4および26H7 mAbにより認識される抗原を発現することを示す。
図3は、BGPのN-ドメインが34B1関連mAbの同族(cognate)抗原であることを示す。
図4は、34B1関連mAbが、COS細胞トランスフェクタントおよび活性化iIEL上のBGPを特異的に免疫沈降することを示す。
図5は、抗BGP mAbの、他のCD66ファミリーメンバーに対する特異性を示す。
図6は、活性化ヒトiIELによるCD66アイソフォーム発現の解析を示す。
図7は、抗BGP抗体による、抗CD3に指示され、そしてリンホカインに活性化されるキラー活性の阻害を示す。
図8は、抗BGPモノクローナル抗体による、ヒト同種異系混合(allo-mixed)リンパ球反応の阻害を示す。
ヒト胆汁糖タンパク質(BGP、CD66a)の、活性化iIEL上の阻害性分子としての役割に関する証拠は、活性化iIEL細胞株に対し作成された3つのモノクローナル抗体の性質決定を通じ、提供されてきている。これらのデータは、CTLA-4の非存在下で、他の分子、例えば胆汁糖タンパク質が、T細胞活性化の下方制御に貢献している可能性があることを示唆するため、iIELに特に関係がある。これらの研究はまた、胆汁糖タンパク質がまた、活性化ヒト末梢血T細胞によっても発現されるという観察を考慮すると、胆汁糖タンパク質の機能を、一般的にTリンパ球の免疫制御における重要な役割に拡張するのに関係がある。
ヒト胆汁糖タンパク質は、免疫グロブリンスーパーファミリーの一部である、糖タンパク質のCEAファミリーのメンバーであり、そして染色体19上の巨大クラスターにコードされる(Wattら, Blood, 84:200-210, 1994; Danielら, Int. J. Cancer, 55:303-310, 1993; Teixeiraら, Blood, 84:211-219, 1994; Teixeira, 1996; Barnettら, Molec. Cell. Biol., 13:1273-1282, 1993)。CEAクラスターは、遺伝的に連鎖している、妊娠特異的遺伝子クラスターに非常に関連している(thompsonら, j. Clin. Lab anal., 5:344-366, 1991; obrink, curr opin cell biol., 9:616-626, 1997)。本ファミリーのCEAサブグループは、血清学的にCD66a(BGPまたはC-CAM)、CD66b(CGM6)、CD66c(NCA)、CD66d(CGM1)およびCD66e(CEA)として同定されている。これらの構造的に関連する糖タンパク質は、BGP、NCA、CGM6およびCEAの場合、非常に相同な膜遠位アミノ末端IgV様N-ドメインおよび多様な数の膜遠位IgC2様ドメインからなる。グリコシルホスファチジルイノシトールアンカーにより、膜に連結しているヒトCEA、CGM6およびNCAと対照的に、CGM1およびBGPは、1型膜貫通糖タンパク質である。後者は共に、短いまたは長い細胞質テールを含むアイソフォームとして存在する。
胆汁糖タンパク質、並びにそのマウスおよびラット相同体C-CAM(Rosenbergら, Cancer Res., 53:4838-4945, 1993; Linら, J. Biol. Chem., 264:14408-14414, 1989; Obrink, BioEssays, 13:227-234, 1991)は主に、胃腸管および胆管系の上皮細胞、好中球並びに、より最近はB細胞により主に発現される、細胞・細胞接着において機能する分子と見なされてきている。胆汁糖タンパク質はまた、マウス肝炎ウイルス(Williamsら, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:5533-5536, 1991)および細菌のナイセリア(Neisseria)種のOpaタンパク質(Virjiら, Mol. Microbiol., 5:941-950, 1996)の受容体としても働く。上皮細胞上の胆汁糖タンパク質の連結が、胆汁糖タンパク質の発現が減少することにより、腫瘍形成中に減少する可能性がある、陰性の増殖シグナルを運ぶ可能性があることが重要である(Rosenbergら, 1993; Kunathら, Oncogene, 11:2375-2382, 1995; Brummerら, Oncogene, 11:1649-1665, 1995)。胆汁糖タンパク質はまた、高い度合いの代替転写プロセシングを示し、その結果、少なくとも8つの潜在的な代替膜貫通転写物を生じる。これらの転写物の2つ、BGPaおよびBGPbは、2つのITIMモチーフを含む67アミノ酸の長い細胞質テールをコードし、阻害性受容体としての役割が示唆される(Obrink, 1997)実際、この細胞質テールは、チロシンリン酸化されると、マウス結腸癌腫細胞株においてSHP-1に結合することが可能である(Beaucheminら, Oncogene, 783-790, 1996)。こうした相互作用は、上皮細胞上の本分子の阻害性増殖効果を説明する可能性がある。
本明細書に含まれる研究は、胆汁糖タンパク質は、IECにより恒常的に発現されるが、該タンパク質は、上皮細胞に隣接するT細胞上の活性化分子であるという、予期しなかった知見を記載する。他方、末梢血T細胞の研究は、胆汁糖タンパク質は、低いレベルで恒常的に発現され、そしてT細胞活性化により上方制御されるという、予期しなかった結果を示す。iIELおよびPBTの間のこの相違は、胆汁糖タンパク質発現が、通常の条件下では、上皮において能動的に抑制されている可能性があることを示唆する。胆汁糖タンパク質と活性化状態の関係はまた、CTLA-4発現とも似ている。
iIELの主な機能である細胞傷害性を尺度として用いると、活性化iIEL上の胆汁糖タンパク質は、CD3が指示する細胞傷害活性の阻害性分子として機能するようである。この意味で、胆汁糖タンパク質は、キラー阻害性受容体として見なされるべきである。IEC上の胆汁糖タンパク質に対するリガンドは未知であるが、CD66群メンバーの間の既知の同種親和性および異種親和性相互作用を考慮すると、候補リガンドは、胆汁糖タンパク質自体または別のCD66ファミリーメンバーである(Wattら, 1994; Oikawaら, Biochem. Biophys. Res., 186:881-887, 1992; Teixeiraら, 1994; Obrink, 1997)。したがって、活性化iIELによる、IEC上の胆汁糖タンパク質の連結は、IEC増殖の阻害において機能するよう働くことが可能であると仮定することが可能である。結果として、IEC上のBGPによる、活性化iIEL上の胆汁糖タンパク質の結合は、T細胞の活性化を制限することが可能である。胆汁糖タンパク質発現が減少していることが観察されている上皮の腫瘍において、IECに対するiIELの増殖阻害効果が失われている可能性がある(Brummer, 1995)。
したがって、本発明は、キラーT細胞上の胆汁糖タンパク質に結合する分子(すなわち「胆汁糖タンパク質結合剤」)、例えば抗体が、キラーT細胞の活性、例えば細胞傷害性および/または増殖を阻害するまたは亢進させる可能性があるという知見に関する。本明細書において、「キラーT細胞」には、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞およびNK細胞が含まれる。胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を増加させる胆汁糖タンパク質結合剤は、胆汁糖タンパク質の阻害性シグナルを増加させ、それによりキラーT細胞の活性を抑制する。胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を減少させる胆汁糖タンパク質結合剤は、胆汁糖タンパク質の阻害性シグナルを減少させ、それによりキラーT細胞の活性を亢進させる。本発明はまた、キラーT細胞活性を亢進させるまたは抑制するが、上述の架橋特性にしたがって機能しない分子も含む。例えば、キラーT細胞の活性を抑制する特定の胆汁糖タンパク質結合剤は、胆汁糖タンパク質に結合し、そして架橋を増加させることなく、胆汁糖タンパク質の阻害性シグナルを増加させる可能性がある(例えば、胆汁糖タンパク質のコンホメーション変化を誘導することによる)。
キラーT細胞表面上に発現される胆汁糖タンパク質に結合する分子によるキラーT細胞活性の調節は、in vivoで免疫反応を特異的に亢進させるまたは抑制するのに有用であり、該調節は自己免疫疾患、癌および移植(例えば骨髄または器官)を含む免疫機能に関連する異常の治療に有用である可能性がある。キラーT細胞活性の調節はまた、in vitroおよび/または非療法的適用にも有用であり、該適用には、癌、自己免疫疾患、および移植の実験モデルにおいて、患者のT細胞が機能するかどうか決定し(例えば増殖および/または細胞傷害機能)、治療がキラーT細胞を機能しなくしているか決定し、例えば特定の器官または生理学的過程に対するキラーT細胞機能の増加または減少の影響を決定し、そしてキラーT細胞活性を増加させるまたは減少させる剤に関し試験する適用が含まれる。他の使用は、一般の当業者に明らかになるであろう。
胆汁糖タンパク質に結合し、そしてキラーT細胞活性を調節する分子(胆汁糖タンパク質結合剤)には、抗体およびその断片、胆汁糖タンパク質に対するリガンド、その断片並びにリガンドまたは他の胆汁糖タンパク質結合分子を含む融合タンパク質が含まれる。さらに別の胆汁糖タンパク質結合剤は、本明細書に記載されるアッセイおよび当業で標準的なT細胞活性のアッセイを用い、キラーT細胞活性を亢進させるまたは抑制する能力に関し化合物をスクリーニングすることにより、同定することが可能である。本発明にしたがい、キラーT細胞活性を調節するのに有用な融合タンパク質を調製するための典型的な方法が本明細書に記載され;こうした融合タンパク質を調製するためのさらなる典型的な方法は、米国特許第5,434,131号に記載される。胆汁糖タンパク質に結合する分子は、一次療法として単独で用いてもよく、またはコンビネーション療法として他の治療法と組み合わせ、他の医学的処置の療法的利点を亢進させてもよい。
本発明はまた、胆汁糖タンパク質および/または胆汁糖タンパク質の断片に結合し、そしてキラーT細胞活性を誘導するまたは抑制する剤を含む。本明細書に記載される使用に加え、こうした結合剤は、胆汁糖タンパク質ポリペプチドの存在または非存在、iIELの存在または位置を検出するスクリーニングアッセイに、そしてiIELおよび胆汁糖タンパク質を発現する他のキラーT細胞を単離する精製プロトコルに用いてもよい。同様に、こうした結合剤を用い、薬剤、毒素または他の分子を、胆汁糖タンパク質を発現するキラーT細胞に選択的に標的化してもよい。この方式で、胆汁糖タンパク質を発現するキラーT細胞を細胞傷害性化合物で処理し、それにより望ましくない免疫反応を減少させてもよい。
本発明にしたがい有用な胆汁糖タンパク質結合剤は、抗体および他のポリペプチドを含み、単離剤である。本明細書において、胆汁糖タンパク質結合剤に関し、「単離」という用語は、剤が実質的に純粋であり、そして天然またはin vivo系で該剤と共に見られる可能性がある他の物質を、事実上そして意図される使用に適した度合いで、本質的に含まないことを意味する。特に、該剤は、例えば、薬剤調製を産生するのに有用であるように、十分に純粋であり、そして宿主細胞の他の生物学的構成要素を十分に含まない。薬剤調製において、単離胆汁糖タンパク質結合剤を薬学的に許容しうるキャリアーと混合してもよいため、胆汁糖タンパク質結合剤は、該調製の重量にしてわずかな割合のみを含む可能性がある。胆汁糖タンパク質結合剤は、それにもかかわらず、生体系で関連している可能性がある物質から実質的に分離されている点で、純粋である。
1つの態様にしたがい、本発明に用いられる胆汁糖タンパク質結合剤は、単離された型の、好ましくは可溶性型の、あるいは薬剤調製における、損なわれていない(intact)抗胆汁糖タンパク質モノクローナル抗体である。損なわれていないモノクローナル抗体は、当業に周知であるように、ジスルフィド架橋により連結されるポリペプチド鎖の集合である。2つの主な(principle)ポリペプチド鎖は、軽鎖および重鎖と称され、抗体のすべての主要な構造種(アイソタイプ)を構成する。重鎖および軽鎖はともに、さらに可変部および定常部と称される下位領域に分割される。本明細書において、「モノクローナル抗体」という用語は、ヒト胆汁糖タンパク質のエピトープ(すなわち抗原性決定基)に特異的に結合する免疫グロブリンの均一な集団を指す。
本発明は、したがって、胆汁糖タンパク質、特にキラーT細胞、例えば腸上皮内リンパ球および活性化末梢血リンパ球の細胞表面に結合されるような該胆汁糖タンパク質に選択的に結合する能力を有する抗体または抗体断片の使用を含む。抗体には、慣用的な方法論にしたがい調製されたポリクローナルおよびモノクローナル抗体が含まれる。例には、実施例に記載されるモノクローナル抗体34B1、5F4および26H7が含まれる。胆汁糖タンパク質と反応性であるさらなる抗体、特にキラーT細胞上に発現される胆汁糖タンパク質に対して作成された抗体を、標準的方法にしたがい、調製してもよい。
抗体は、いかなる多様な方法により調製してもよく、該方法は、タンパク質、タンパク質の断片、タンパク質またはその断片を発現している細胞およびそれらに匹敵するものを動物に投与し、ポリクローナル抗体を誘導することを含む。モノクローナル抗体の産生は、当業に周知の技術にしたがう。本明細書に詳細に記載されるように、こうした抗体は、例えば、タンパク質を発現している組織を同定するのにまたはタンパク質を精製するのに用いてもよい。抗体はまた、限定されるわけではないが、メトトレキセート、放射性ヨウ素化化合物、リシン(ricin)などの毒素、他の細胞分裂停止または細胞溶解性薬剤などを含む、画像化のための特定の標識剤または細胞傷害性剤にカップリングさせてもよい。
重要なことに、当業に周知であるように、抗体分子のわずかな一部、パラトープのみが、そのエピトープに対する抗体の結合に関与する(一般的には、Clark, W.R.(1986) The Experimental Foundations of Modern Immunology Wiley &Sons, Inc., ニューヨーク; Roitt, I.(1991) Essential Immunology, 第7版, Blackwell Scientific Publications, オックスフォードを参照されたい)。例えば、pFc’およびFc領域は、補体カスケードのエフェクターであるが、抗原結合には関与しない。pFc’領域が酵素的に切断されている、またはpFc’領域なしに産生されている抗体は、F(ab’)2断片と称され、損なわれていない抗体の抗原結合部位を両方とも保持する。同様に、Fc領域が酵素的に切断されている、またはFc領域なしに産生されている抗体は、Fab断片と称され、損なわれていない抗体分子の抗原結合部位の1つを保持する。さらに続けると、Fab断片は、共有結合した抗体軽鎖およびFdと呼ばれる抗体重鎖の一部からなる。Fd断片は、抗体特異性の主要な決定基であり(単一のFd断片は、抗体特異性を改変することなく、最大10の異なる軽鎖と会合することが可能である)、そしてFd断片は、単離された際、エピトープ結合能を保持する。
抗体の抗原結合部分内には、当業に周知であるように、抗原のエピトープと直接相互作用する相補性決定領域(CDR)、およびパラトープの三次構造を維持する枠組み(framework)領域(FR)がある(一般的には、Clark, 1986; Roitt, 1991を参照されたい)。IgG免疫グロブリンの重鎖Fd断片および軽鎖には共に、それぞれ3つの相補性決定領域(CDR1からCDR3)により分離されている4つの枠組み領域(FR1からFR4)がある。CDR、そして特にCDR3領域、そしてさらに詳細には重鎖CDR3が、抗体特異性に大部分の責任がある。
哺乳動物抗体の非CDR領域は、元来の抗体のエピトープ特異性を保持しながら、同種(conspecific)抗体または異種(heterospecific)抗体の同様の領域と置き換えてもよいことが、現在、当業によく確立されている。これは、非ヒトCDRがヒトFRおよび/またはFc/pFc’領域に共有結合し、機能する抗体を産生する、「ヒト化」抗体の開発および使用に最も明らかに示されている。したがって、例えば、PCT国際公告第WO 92/04381号は、ネズミFR領域の少なくとも一部がヒト起源のFR領域により置き換えられている、ヒト化ネズミRSV抗体の産生および使用を解説する。抗原結合能を持つ、損なわれていない抗体の断片を含む、こうした抗体は、しばしば「キメラ」抗体と称される。
したがって、一般の当業者に明らかであろうように、本発明はまた、F(ab’)2、Fab、FvおよびFd断片;Fcおよび/またはFRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が、相同ヒトまたは非ヒト配列により置き換えられている、キメラ抗体;FRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が、相同ヒトまたは非ヒト配列により置き換えられている、キメラF(ab’)2断片抗体;FRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が、相同ヒトまたは非ヒト配列により置き換えられている、キメラFab断片抗体;およびFRおよび/またはCDR1および/またはCDR2領域が、相同ヒトまたは非ヒト配列により置き換えられている、キメラFd断片抗体も提供する。本発明はまた、いわゆる一本鎖抗体も含む。したがって、本発明は、胆汁糖タンパク質に特異的に結合する、非常に多くの大きさまたは種類のポリペプチドを含む。これらのポリペプチドは、また、抗体技術以外の供給源から得てもよい。例えば、こうしたポリペプチド結合剤は、溶液中で、固定型でまたはファージディスプレーライブラリーとして容易に調製することが可能な、縮重ペプチドライブラリーにより、提供されてもよい。1つまたはそれ以上のアミノ酸を含むペプチドのコンビナトリアル・ライブラリーもまた、合成してもよい。ペプトイドおよび非ペプチド合成部分のライブラリーをさらに合成してもよい。
ファージディスプレーは、Hartら, J. Biol. Chem. 269:12468(1994)に記載されるような方法を用い、本発明にしたがい有用な結合ペプチドを同定するのに、特に有効である。簡潔には、慣用的な方法を用い、4ないし約80アミノ酸残基の挿入物を展示するファージライブラリーを(例えばm13、fd、またはラムダファージを用い)調製する。挿入物は、完全に縮重しているまたは偏向(biased)アレーに相当してもよい。その後、胆汁糖タンパク質またはその断片に結合する挿入物を持つファージを選択することが可能である。胆汁糖タンパク質またはその断片に結合するファージを再選択する数回の周期を通じ、この方法を繰り返してもよい。反復周期により、特定の配列を持つファージが濃縮される。DNA配列解析を行い、発現されたポリペプチドの配列を同定してもよい。胆汁糖タンパク質またはその断片に結合する、配列の最小限の直線部分を決定してもよい。最小直線部分の一部またはすべてに加え、1つまたはそれ以上のさらなる縮重残基をその上流または下流に含む挿入物を含む偏向ライブラリーを用い、該方法を繰り返してもよい。このように、胆汁糖タンパク質を用い、ファージディスプレーライブラリーを含むペプチドライブラリーをスクリーニングし、キラーT細胞活性を調節するためのペプチド胆汁糖タンパク質結合剤を同定し、そして選択してもよい。好ましくは、胆汁糖タンパク質結合剤は、胆汁糖タンパク質を架橋する能力に関し、性質決定される。こうした結合分子はまた、記載されるように、スクリーニングアッセイに、診断アッセイに、精製プロトコルに、または薬剤、毒素および/または標識剤(例えば放射性同位体、蛍光分子など)を、胆汁糖タンパク質を細胞表面上に発現する細胞、特にキラーT細胞に標的化するのに用いてもよい。こうした胆汁糖タンパク質またはその断片を発現する細胞を無力にするまたは破壊するであろう薬剤分子が当業者に知られ、そして商業的に入手可能である。例えば、イムノトキシン業は、抗体またはその断片により細胞に搬送された際、有効である毒素の例を提供する。毒素の例には、植物または細菌に由来するリボソーム損傷毒素、例えば、リシン、アブリン、サポリン(saporin)、シュードモナス(Pseudomonas)内毒素、ジフテリア毒素、A鎖毒素、遮断リシンなどが含まれる。
さらに、胆汁糖タンパク質結合断片(CDR3領域)を含むものを含む小さいポリペプチドを、組換え手段により、容易に合成しまたは産生し、本発明にしたがい有用な胆汁糖タンパク質結合剤を産生することが可能である。こうした方法は、一般の当業者に周知である。ペプチドは、例えば、商業的に入手可能な自動化ペプチド合成装置を用い、合成することが可能である。ペプチドは、組換え技術により、ペプチドを発現するDNAを発現ベクターに取りこみ、そして該発現ベクターで細胞を形質転換し、該ペプチドを産生することにより、産生することが可能である。
ペプチド胆汁糖タンパク質結合剤を合成するのに用いる、CDR領域の配列は、当業に知られる方法により、決定することが可能である。重鎖可変部は、一般的に長さ100ないし150アミノ酸の範囲にわたるペプチドである。軽鎖可変部は、一般的に長さ80ないし130アミノ酸の範囲にわたるペプチドである。およそ3-25アミノ酸配列しか含まない、重鎖および軽鎖可変部内のCDR配列は、一般の当業者により、容易に配列決定することが可能である。該ペプチドは、商業的な供給源によってさえ、合成することが可能である。
ペプチドが胆汁糖タンパク質に結合するかどうか決定するため、いかなる既知の結合アッセイを使用してもよい。例えば、ペプチドを表面上に固定し、そしてその後、標識胆汁糖タンパク質と接触させてもよい。ペプチドと相互作用する胆汁糖タンパク質の量またはペプチドに結合しない量をその後、定量化し、該ペプチドが胆汁糖タンパク質に結合するかどうか決定してもよい。前述の抗胆汁糖タンパク質モノクローナル抗体が固定されている表面を、陽性コントロールとして利用してもよい。
胆汁糖タンパク質結合剤のスクリーニングはまた、競合アッセイを利用し、行ってもよい。モノクローナル抗体の結合の減少により示されるように、試験される胆汁糖タンパク質結合剤が、抗胆汁糖タンパク質モノクローナル抗体と競合する場合、該剤および抗胆汁糖タンパク質モノクローナル抗体は、同一のまたは非常に関連しているエピトープに結合する可能性がある。剤が上述の抗胆汁糖タンパク質モノクローナル抗体の特異性を有するかどうか決定する、さらに別の方法は、モノクローナル抗体を、通常反応性である(すなわち結合する)胆汁糖タンパク質とあらかじめインキュベーションし、そしてその後、試験される剤を添加し、試験される該剤が胆汁糖タンパク質に結合する能力において阻害されるかどうか決定することである。試験される該剤が阻害される場合、最も可能性が高いのは、該剤が抗胆汁糖タンパク質モノクローナル抗体と同一のまたは機能的に同等のエピトープおよび特異性を有することである。
一般の当業者に知られる日常的な方法を用い、胆汁糖タンパク質結合剤が、キラーT細胞増殖または細胞傷害性を調節するかどうか、in vitroアッセイで、例えばキラーT細胞からのTNFの放出を測定することまたは51Cr放出アッセイにより(例えば、Herinら, Int. J. Cancer 39:390-396, 1987を参照されたい)、決定することにより、本発明にしたがい、有用であるかどうか決定することが可能である。他のアッセイは実施例および本明細書の他の場所に記載される。
上述のポリペプチド(例えば抗体)および他の胆汁糖タンパク質結合剤はまた、ヒトにおけるキラーT細胞感受性障害に関し、免疫療法的に用いてもよい。胆汁糖タンパク質結合剤と関連して本明細書に用いられる、「免疫療法的」または「免疫療法」という用語は、予防的と共に療法的投与両方を意味する。したがって、該ペプチドは、キラーT細胞感受性疾患、例えば腫瘍、移植片拒絶または自己免疫疾患の可能性および/または重症度を減じるため、高リスク患者に投与してもよいし、あるいはこうした疾患が既に明示されている患者に投与してもよい。
本発明の特定の側面は、in situで、キラーT細胞の細胞傷害性または増殖を特異的に調節するための方法を含む。該方法は、こうした治療が必要な患者に、胆汁糖タンパク質ポリペプチドに選択的に結合する剤を、該患者におけるキラーT細胞の細胞傷害性または増殖を亢進させるまたは抑制するのに有効な量で、投与することを含む。実施例に示されるように、キラーT細胞が胆汁糖タンパク質を発現するため、キラーT細胞の活性が特異的な調節にさらされる。キラーT細胞集団を、胆汁糖タンパク質結合剤と接触させる、キラーT細胞の細胞傷害性または増殖を特異的に調節するための方法もまた、提供される。胆汁糖タンパク質結合剤を患者に投与すると、またはキラーT細胞集団と接触させると、胆汁糖タンパク質の阻害性活性が調節される。キラーT細胞活性を増加させるまたは減少させる胆汁糖タンパク質結合剤を、本明細書に記載されるアッセイを用い、そして標準的なキラーT細胞細胞傷害性および増殖アッセイ、例えば混合リンパ球反応、クロム放出アッセイ、TNF放出アッセイ、およびチミジン取り込みアッセイにしたがい、選択してもよい。一価胆汁糖タンパク質結合剤は、キラーT細胞により発現される胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を減少させることにより、胆汁糖タンパク質の阻害性シグナルを阻害するであろうし、そして多価胆汁糖タンパク質結合剤(2つまたはそれ以上の胆汁糖タンパク質結合剤を有する)は、キラーT細胞により発現される胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を増加させることにより、胆汁糖タンパク質の阻害性シグナルを増加させるであろうと考えられる。
定義により、「in situ」という用語は、用語in vivo、ex vivoおよびin vitroを包含しそして含む。本発明の組成物は、多くのin vitro目的に有用である。例えば、本発明の組成物は、キラーT細胞増殖または細胞傷害性を阻害する化合物をスクリーニングするのに有用である。こうしたスクリーニングアッセイは、キラーT細胞増殖または細胞傷害性を増加させる胆汁糖タンパク質結合剤およびキラーT細胞集団を含む、細胞増殖または細胞傷害性アッセイを設定することにより、in vitroで行うことが可能である。潜在的なキラーT細胞増殖または細胞傷害性阻害剤を混合物に加え、そして増殖または細胞傷害性に対する影響を測定してもよい。キラーT細胞の増殖または細胞傷害性を増加させる剤を、同様のアッセイを用い、スクリーニングしてもよい。したがって、胆汁糖タンパク質に結合し(または天然リガンドなどの他の分子により、胆汁糖タンパク質の活性を調節し)そしてキラーT細胞活性を亢進させるまたは抑制する化合物を同定するための方法が、本発明にしたがい、提供される。他のin vitro使用、例えば研究目的のものが、一般の当業者に知られる。
ex vivo使用もまた、当業者により容易に同定されるであろう。ex vivo使用には、例えば、哺乳動物患者から除去され、そして続いて該哺乳動物患者の体に戻される、キラーT細胞の増殖または細胞傷害性の刺激が含まれる。
本発明はまた、異常なキラーT細胞活性、例えば細胞傷害性または増殖により特徴付けられる異常を治療するための方法も含む。該方法は、こうした異常を有する患者に、胆汁糖タンパク質に選択的に結合する薬理学的剤を、T細胞増殖または細胞傷害性を増加させるまたは減少させるのに有効な量で、投与することを含む。
本明細書において、「異常なキラーT細胞活性により特徴付けられる異常」は、キラーT細胞機能の増加または減少、具体的にはキラーT細胞増殖または細胞傷害性の増加または減少が、不利な生理学的結果の改善を生じるような、不利な生理学的結果に関連するいかなる異常でもよいものである。こうした異常には、免疫系の障害、例えば免疫不全、自己免疫および移植片拒絶と共に、微生物または望ましくない細胞増殖、例えば腫瘍による、望ましくない細胞性侵入を含む障害が含まれる。
胆汁糖タンパク質結合剤は、有効な量で投与される。本明細書において、胆汁糖タンパク質結合剤の「有効な量」は、胆汁糖タンパク質阻害性機能を調節し、キラーT細胞増殖または細胞傷害性の調節を生じるのに十分な量である。キラーT細胞活性の胆汁糖タンパク質阻害を調節することは、異常なキラーT細胞活性により特徴付けられる異常に関連する症状が、改善するまたは減少する、望ましい効果を生じるのに十分である。好ましくは、ペプチドの有効量は、in vivoでキラーT細胞増殖または細胞傷害性を調節するのに、療法的に有効な量である。一般的に、療法的に有効な量は、患者の年齢、状態、体重および性別と共に、患者における疾患の度合いで変化する可能性があり、そして日常的な実験の題材として当業者により決定することが可能である。投薬量は、いかなる合併症が起きた場合も、個々の医師により、調整することが可能である。療法的に有効な量は、毎日1回またはそれ以上の用量投与で、1日または数日間、典型的には、約0.01 mg/kgないし約500 mg/kg、より典型的には、約0.1 mg/kgないし約200 mg/kg、そしてしばしば、約0.2 mg/kgないし約20 mg/kgの範囲で変化するであろう(もちろん、投与方式および上に論じられる因子に依存する)。
当業の技術の1つは、in vitroアッセイにおいて、剤がキラーT細胞増殖または細胞傷害性を調節する能力を測定することにより、胆汁糖タンパク質結合剤の有効量がどのくらいであるか、決定することが可能である。胆汁糖タンパク質結合剤がキラーT細胞増殖または細胞障害性を調節する能力を測定するための典型的な方法は、実施例に提供され、そして上に論じられてきている。典型的なアッセイは、胆汁糖タンパク質結合剤がキラーT細胞活性をin vivoおよび/またはex vivoで調節する能力を予測し、そしてしたがって、療法適用のための剤を選択するのに用いることが可能である。
本発明にしたがい、胆汁糖タンパク質結合剤は、薬学的に許容しうる組成物で投与してもよい。一般的に、抗体、抗体断片、および他の胆汁糖タンパク質結合剤(コンビナトリアル・ライブラリーに由来するものなどの小分子を含む)のための薬学的に許容しうるキャリアーは、一般の当業者に周知である。本明細書において、薬学的に許容しうるキャリアーは、活性成分の生物学的活性、すなわち剤がキラーT細胞活性を調節する能力の有効性を妨げない、非毒性成分を意味する。薬学的に許容しうるキャリアーには、希釈剤、充填剤(filler)、塩、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤および当業に周知の他の成分が含まれる。ペプチドのための典型的な薬学的に許容しうるキャリアーは、米国特許第5,211,657号に記載されている。本発明の剤は、経口、非経口または外科的投与のため、固体、半流動体(semi-solid)、液体または気体型、例えば錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、デポジトリー(depository)、吸入剤および注射剤の調製に処方してもよい。本発明はまた、局所投与のため処方される、例えば移植による、薬剤組成物も含む。
本発明の方法にしたがい、剤は、注射により、時間にわたる漸次注入により、またはいかなる他の医学的に許容しうる方式により、投与してもよい。投与は、例えば、静脈内、腹腔内、筋内、腔内、皮下または経皮であってもよい。非経口投与のための調製には、無菌水性または非水性溶液、懸濁物および乳化物が含まれる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油、注射可能な有機エステル、例えばエチルオリエート(ethyloliate)である。水性キャリアーには、水、生理食塩水および緩衝媒体を含む、アルコール性/水性溶液、乳化物または懸濁物が含まれる。非経口ビヒクル(vehicle)には、塩化ナトリウム溶液、リンゲルのブドウ糖溶液、ブドウ糖および塩化ナトリウム、乳酸添加(lactated)リンゲル溶液、または不揮発性油が含まれる。静脈内ビヒクルには、流体および栄養素補充剤(replenisher)、電解質補充剤(例えばリンゲルのブドウ糖溶液に基づくものなど)、およびそれらに匹敵するものが含まれる。保存剤および他の添加物もまた、存在してもよく、これらは例えば、抗菌剤、酸化防止剤、キレート化剤、および不活性ガス並びにそれらに匹敵するものである。当業者は、これらの代替薬剤組成物を調製するため、不必要な実験に頼ることなく、多様なパラメーターを容易に決定することが可能である。
本発明の方法はまた、胆汁糖タンパク質結合剤を、免疫系障害を治療するための慣用的な療法と共に投与することも含む。たとえば、本発明の方法は、慣用的な治療と同時に実施してもよい。特定の慣用的な治療は、もちろん、障害の性質に依存する。例えば、異常なキラーT細胞活性に関連する異常が腫瘍である場合、治療の慣用的な方式は、化学療法である。キラーT細胞活性を増加させる(例えば、胆汁糖タンパク質阻害性活性を減少させる)本発明の剤を、亢進した殺腫瘍性効果を提供するため、腫瘍の治療において、化学療法と共に投与してもよい。他の免疫系疾患を、本明細書に記載される胆汁糖タンパク質結合剤およびT細胞に結合しそしてT細胞機能に影響を及ぼす他の分子、例えば米国特許第5,434,131号に記載されるようなCTLA4Ig融合タンパク質と共に、同時に治療してもよい。
以下の実施例は、本発明の実施の特定の例を例示するために提供され、そして本発明をこれらの実施例に限定すると見なしてはならない。一般の当業者に明らかであろうように、本発明は、多様な組成物および方法に適用を見出すであろう。
材料および方法
抗体:34B1、26H7および5F4モノクローナル抗体(mAb)は以前に説明されているように(Russell et al., 1996)BALB/cマウスを活性化ヒト粘膜リンパ球株191Eで免疫することにより産生された。5x106リンパ球の3回の腹腔内注射および最後の静脈内注射を2週間間隔で行った。静脈内免疫化3日後、脾臓細胞を単離し、以前に説明されているようにPEG(m.w.1450)存在下、NS1マウスミエローマ細胞と融合させた。アミノプテリン含有培地でハイブリドーマを選択し、ハイブリドーマ上清は凍結腸および扁桃組織切片の間接免疫ペルオキシダーゼ染色によりスクリーニングした。陽性ハイブリドーマは限界希釈により2回サブクローン化し、プリスタン処理BALB/cマウスへのハイブリドーマ細胞腹腔注射により抗体を含んでいる腹水を産生させた。34B1(IgG1)、26H7(IgG1)および5F4(IgG1)のアイソタイプはマウスアイソタイプ特異的mAb(Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN)を用いるELISAにより決定された。W6/32はヒトMHCクラスIに特異的なマウスIgG2a mAbである(Dana-Farber Cancer Institute, Boston, MAのJack Strominger博士より親切にも提供された)。OKT3(IgG2)はマウス抗ヒトCD3 mAbである(Dana-Farber Cancer Institute, Boston, MAのRobert Finberg博士より親切にも提供された)。TS2/18(Brigham and Women’s HospitalのLlyod Klickstein博士より親切にも提供された)は抗CD2 mAb(マウスIgG2a)である。OKT11(Dana-Farber Cancer InstituteのEllis Reionherz博士より親切にも提供された)は抗CD2 mAb(マウス IgG29)である。OKT4およびOKT8は各々ヒトCD4およびCD8-αに特異的なマウスIgG2a mAbである(American Type Culture Collection, Bethesda, MDから得られた)。フィコエリトレインに直接結合されたUCHT1はヒトCD3-εに特異的なマウスIgG1 mAbである(Dako, Denmark)。MA22(CD66a;クローンYG-C94G7;IgG1)、MA26(CD66a;クローン4.3.17;IgG1)、A27(CD66e;クローン26/5/1;IgG2a)、MA28(CD66e;クローン26/3/13;IgG1)、MA30(CD66c;クローン9A6;IgG1)、MA41(CD66b;クローン BIRMA17c;IgG1)、MA61(CD66b;クローン80H3;IgG1)、MA76(CD66ae;クローン12-140-4;IgG1)、MA79(CD66b;クローンB13.9;IgGl)、MA81(CD66b;クローンG10F5;IgG1)、MA83(CD66e;クローンb7.8.5;IgG1)、MA84(CD66de;クローンCOL-1);IgG2a、MA86(CD66acde;クローンB6.2;IgG1)およびMA91(CD66e;クローンT84.66;IgG1)はマウスmAbであり、VIth Leukocyte Typing Workshop, Osaka, Japanから得られた。アイソタイプが一致したマウスIgG1陰性対照mAbはKakopatts(Copenhagen, Denrnark)またはCappel(West Chester, PA)から購入した。mAbは常法によりアフィニティー精製およびプロテイン-AまたはGセファロースカラムにより精製した。
抗体:34B1、26H7および5F4モノクローナル抗体(mAb)は以前に説明されているように(Russell et al., 1996)BALB/cマウスを活性化ヒト粘膜リンパ球株191Eで免疫することにより産生された。5x106リンパ球の3回の腹腔内注射および最後の静脈内注射を2週間間隔で行った。静脈内免疫化3日後、脾臓細胞を単離し、以前に説明されているようにPEG(m.w.1450)存在下、NS1マウスミエローマ細胞と融合させた。アミノプテリン含有培地でハイブリドーマを選択し、ハイブリドーマ上清は凍結腸および扁桃組織切片の間接免疫ペルオキシダーゼ染色によりスクリーニングした。陽性ハイブリドーマは限界希釈により2回サブクローン化し、プリスタン処理BALB/cマウスへのハイブリドーマ細胞腹腔注射により抗体を含んでいる腹水を産生させた。34B1(IgG1)、26H7(IgG1)および5F4(IgG1)のアイソタイプはマウスアイソタイプ特異的mAb(Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN)を用いるELISAにより決定された。W6/32はヒトMHCクラスIに特異的なマウスIgG2a mAbである(Dana-Farber Cancer Institute, Boston, MAのJack Strominger博士より親切にも提供された)。OKT3(IgG2)はマウス抗ヒトCD3 mAbである(Dana-Farber Cancer Institute, Boston, MAのRobert Finberg博士より親切にも提供された)。TS2/18(Brigham and Women’s HospitalのLlyod Klickstein博士より親切にも提供された)は抗CD2 mAb(マウスIgG2a)である。OKT11(Dana-Farber Cancer InstituteのEllis Reionherz博士より親切にも提供された)は抗CD2 mAb(マウス IgG29)である。OKT4およびOKT8は各々ヒトCD4およびCD8-αに特異的なマウスIgG2a mAbである(American Type Culture Collection, Bethesda, MDから得られた)。フィコエリトレインに直接結合されたUCHT1はヒトCD3-εに特異的なマウスIgG1 mAbである(Dako, Denmark)。MA22(CD66a;クローンYG-C94G7;IgG1)、MA26(CD66a;クローン4.3.17;IgG1)、A27(CD66e;クローン26/5/1;IgG2a)、MA28(CD66e;クローン26/3/13;IgG1)、MA30(CD66c;クローン9A6;IgG1)、MA41(CD66b;クローン BIRMA17c;IgG1)、MA61(CD66b;クローン80H3;IgG1)、MA76(CD66ae;クローン12-140-4;IgG1)、MA79(CD66b;クローンB13.9;IgGl)、MA81(CD66b;クローンG10F5;IgG1)、MA83(CD66e;クローンb7.8.5;IgG1)、MA84(CD66de;クローンCOL-1);IgG2a、MA86(CD66acde;クローンB6.2;IgG1)およびMA91(CD66e;クローンT84.66;IgG1)はマウスmAbであり、VIth Leukocyte Typing Workshop, Osaka, Japanから得られた。アイソタイプが一致したマウスIgG1陰性対照mAbはKakopatts(Copenhagen, Denrnark)またはCappel(West Chester, PA)から購入した。mAbは常法によりアフィニティー精製およびプロテイン-AまたはGセファロースカラムにより精製した。
細胞および細胞株:末梢血単核細胞(PBMC)は常法を用い、フィコール-ハイパック比重遠心法により得た。末梢血T細胞はペニシリン/ストレプトマイシン(100単位/ml)、10mMヘペス pH7.4、10%ウシ胎児血清および1μg/フィトヘマグルチン-P(PHA-P)(Murex Diagnostics, Dartford, England)を含んでいるRPMI-1640(Gibco, Grand Island, NY)中、PBMCを37℃で72時間培養することにより刺激した。ヒトiIEL細胞株EEI-10(小腸)、EEI-5(小腸)およびCLI(大腸)は以前に説明されているように発生させ(Christ et al., Immunol.Let., 58:159-165, 1997)、10%ヒト血清(タイプAB, Sigma, St.Louis, MO)、5単位/ml rIL-4(Genzyme, Cambridge, MA)および2nM rIL-2(Ajinomoto Co., Ltd., Japanより親切にも提供された)を含んでいるRPMI-1640中で細胞を1μg/ml PHA-Pで刺激し、および照射PBMCを支持細胞として維持した。HT29はATCCから得られたヒト腸上皮細胞(IEC)株である。COSはサル腎臓線維芽細胞株である。これらの後の細胞株は10%熱不活性化ウシ胎児血清(Gibco)、ペニシリンおよびストレプトマイシン、非必須アミノ酸および10mMヘペス(完全培地)を含んでいるRPMI-1640中、5%CO2雰囲気下、37℃で維持した。
トランスフェクタント:BGPx’分子は以下のように構築した。ヒトBGPcのN末端ドメインおよび膜貫通/細胞質ドメインは各々プライマー対BGPAMP-S:caucaucauc auaagcttat ggggcacctc(配列ID番号:1)およびNTM-AS:gccattttct tggggcabct ccgggtatac(配列ID番号:2);NTM-S:gtatacccgg agctgcccca agaaaatggc(配列ID番号:3)およびBGPTRANS-CYT-AS:cuacuacuac uaagactatg aagttggttg(配列ID番号:4)(NTMプライマーはN末端ドメインの3’末端および膜貫通ドメインの5’末端のハイブリッドであった)を用いるPCRにより別々に増幅した。PCR反応液は5μlの10×Taq緩衝液(10 mMトリス-HCl pH8.3、50mM KCl、0.1%ゼラチン)、3μlの1.5mM MgCl2、1μlの200μMの各々のdNTP、1μMの各々のプライマー、1単位のTaqポリメラーゼおよび1μgのcDNAを50μlの最終容量にしたものである。PCR反応は、94℃で10分、続いて94℃で1分、55℃で1分および72℃で2分を25サイクル、最後に72℃での10分の伸長時間を加える条件で実施した。PCR生成物はS-300カラムを通過させた後、5μlの各々のPCR生成物が第二のPCRに使用された。PCR生成物をアニール化した後、BGPAMPおよびTRANS-CYT-ASプライマーを反応混合物に加え、前記のようにPCR反応を実施した。生じたPCR生成物は使用説明書に詳述してあるようにCloneAMPシステムを用いてpAMP1ベクター内へクローン化し(Gibco-BRL, Gaithersburg, MD)、DH5α受容細菌を形質転換し、陽性形質転換体はPCRにより選択した。得られたBGPx’ cDNAは抽出し、常法により配列決定した。BGPx’ cDNAをEcoRIおよびNotI制限酵素で切断し、pcDNA1/Arnpベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)内へサブクローン化した。このベクター中のBGPx’ cDNAおよびpSV2neoプラスミド(Clontech, Palo Alto, CA)は各々XhoIおよびBamHIで直線状とし、以前に記載されているように(Watt et al., 1994)安定なCHO-BGPx’細胞を作り出すため、G418およびFACSセルソーターで選択されたCHO細胞内へ15:1の比で電気穿孔された。BGPx’、ネオマイシン(Neo)、BGPc(Watt et al., 1994)およびBGPa(Oikawa et al., Biochem.Biophys.Res.Commun., 186:881-887, 1992)で安定にトランスフェクトされたCHO細胞、およびCEA、CGM1、NCAおよびCGM6で安定にトランスフェクトされたヒーラー細胞は以前に報告されている(Daniel et al., 1993)。
フローサイトメトリー:単色免疫蛍光のため、約1×106細胞を1μgの一次mAbを用い、氷上で30分間染色した。細胞は次に、2%ウシ胎児血清または0.2%ウシ血清アルブミンおよび0.02%アジ化ナトリウム(WB)を含んでいるリン酸緩衝液(PBS)で洗浄し、続いてWBに希釈した1μgのヤギ抗マウスフルオレセインイソチオシアネート標識二次抗体(Zymed, San Francisco, CA)と30分インキュベートした。細胞をWBで洗浄し、新鮮なまま試験するかまたは1%パラホルムアミド含有PBSに再懸濁した。染色および固定された細胞はEpics Vフローサイトメーター(Coulter, Hialeah, FL)またはFACSCalibur(Becton-Dickinson, Sunnyvale, CA)で分析した。二色免疫蛍光のためには、染色は上記のように、ただし一次コンジュゲート体とのインキュベーション後、染色された細胞を、20%正常マウス血清を含んでいるPBS中で20分間ブロックし、続いて直接コンジュゲートしたmAbとインキュベートして実施された。
免疫組織化学:組織試料をOCT化合物(Ames Co., Elkart, IN)中でマウントし、液体窒素中またはクライオスタット中で凍結し、-70℃で保存した。4μm厚の凍結組織切片はアセトンで5分間固定し、風乾し、アビジン-ビオチン-ペルオキシダーゼ複合体(Vector Laboratories, Burlingame, CA)および3-アミノ-9-エチルカルバゾール(Aldrich Chemical Co., Inc., Milwaukee, WI)を色原体として使用する間接免疫ペルオキシダーゼ法(Canchis et al., Immunology, 80:561-569, 1994)により染色した。
COS細胞発現クローニング:cDNAライブラリーはベクターpAEXF(Hall et al., Proc. Natl. Acad Sci., 93:11780-11785, 1996)中の、休止および活性化ヒトPBTからの、およびNK細胞からのポリ(A)+RNAを用いてpCDM8ベクター内で構築された。一回目の選択では、COS細胞は100 mm皿当たり0.2μgのライブラリーDNAを用いるDEAE-デキストラン法(Seed et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 84:3365-3369, 1987)によりトランスフェクトされた。40時間後、細胞を採取し、34B1 mAb(腹水を1:500希釈)とインキュベートし、洗浄し、前に記載されているように抗IgG1被覆プレートでより分けた(Seed et al., 1987; Freeman et al., J.Immunol., 143:2714-2722, 1989)。エピソームDNAは付着細胞から調製され、大腸菌内へ再導入し、スフェロプラストのポリエチレングリコール媒介融合によりCOS細胞内へトランスフェクトし(Seed et al., 1987)、34B1 mAbによるより分けが繰り返された。個々のプラスミドDNAはDEAE-デキストラン法によりCOS細胞内へトランスフェクトされ、72時間後、間接免疫蛍光およびフローサイトメトリーにより細胞表面発現が分析された。
放射性標識、免疫沈降および電気泳動:一時的トランスフェクション96時間後、COS細胞を非酵素的にプラスチックペトリ皿から取り除き、以前に記載されているようなラクトペルオキシダーゼ触媒法(Balk et al., Science, 265:259-262, 1994)を用い、Na-[125I]で標識した。洗浄後、150 mM塩化ナトリウム、50 mMトリスpH 7.8、10 mMヨウ化アセトアミド、1 mM EDTAを含んでいる免疫沈降緩衝液(IPB)中で放射性標識された細胞を溶解した(1mM PMSFおよび各々1μg/mlのロイペプチン、ペプスタチン、アプロチニンおよびキモスタチン、界面活性剤として1%Nonidet P40)。細胞は氷上で30〜60分間溶解させ、続いて4℃にて15分、14,000gで遠心分離した。遠心分離の上清はTL-100超遠心機中、100,000gで4℃にて遠心分離した。この遠心分離からの上清は20μlの包装されたプロテインAセファロースビーズとインキュベートし、4℃で一夜優しく揺り動かした。プロテインAまたはプロテインGセファロースビーズへ結合された無関係なアイソタイプmAbまたは正常マウス血清で前もってきれいにした後、プロテインAまたはGセファロース(Pharrnacia, Piscataway, NJ)へ結合させたmAbと4℃で一夜優しく揺り動かすことにより結合特異的免疫沈降を実施し、ビーズは界面活性剤を含んでいるIPBで洗浄した。N-グリシナーゼ切断のため免疫沈降物を0.8% β-メルカプトエタノールおよび0.5%SDS中で煮沸した後、0.25 M Na-HPO4および1 mM EDTAに懸濁した。免疫沈降物は次に1単位のN-グリシナーゼ(Genzyme, Boston, MA)で処理するか、または37℃で一夜偽処理し、還元剤を含んでいるLaemmli緩衝液に再懸濁した。可溶化された免疫沈降物は次にSDS存在下で12.5%ポリアクリルアミドゲルに溶解した。
可溶性組換え体タンパク質の産生:ヒトIgG1のFcゲノム断片を含んでいるpIGプラスベクター(R&D Systems Europe Ltd., Abingdon, UK)、およびN、NA1B1およびNA1B1A2細胞外ドメインを含んでいるCD66a-Fc可溶性タンパク質、Muc-18-FcおよびNCAM-Fc構築物のヒンジ(H)、CH2およびCH3ドメインの取り込みの詳細は以前に報告されている(Teixeira et al., 1994; Buckley et al., J.Cell.Sci., 109:437, 1996; Teixeira, 1996)。NCAM-Fc、Muc-18-Fc(R&D Systems)およびCD66-Fc(N-Fc、NA1B1-FcおよびNA1B1A2-Fc)cDNAをCOS細胞内へトランスフェクトさせ、分泌された可溶性タンパク質は以前に説明されているように(Watt et al., 1994; Teixeira et al., 1994)プロテインAセファロースで精製した。
可溶性組換え体タンパク質に結合する抗体の分析:以前に記載されているように(Teixeira et al., 1994)、96ウェル平底マイクロタイタープレート(Immulon 3)を抗ヒトFc(Sigma, St.Louis, MO)の10 mMトリス-HCl pH8溶液100μl(1μg/mlの最終濃度)で一夜4℃にて被覆した。ウェルを4回洗浄後、0.25%BSA、0.05%Tween20を含むPBS溶液(pH 7.4)を用いて室温で1時間ブロックし、50μlの可溶性Fc構築物のPBS溶液(10μg/mlの最終濃度)を用いて4℃で一夜被覆した。PBSでウェルを4回洗浄後、PBSでいろいろな濃度に希釈されたmAbの50μlを1〜2時間室温でウェルに加えた。PBSでウェルを4回洗浄し、1:4000希釈アルカリ性ホスファターゼ結合ヤギ抗マウスIg(Boehringer-Mannheim)のPBS溶液を1時間室温でウェルに加えた。PBSでウェルを4回洗浄し、200μlのパラニトロフェニルホスフェート基質(Sigma)を加え、室温で15〜45分間発色させた。吸光度は405 nmで決定された。すべての実験は3重に実施され、少なくとも2回繰り返された。
再方向付け溶解:細胞毒性は以前に記載されているように評価された(Probert et al., J.Immunol., 158:1941-1948, 1997)。簡単に言えば、P815肥満細胞腫細胞株を100μCiの[51Cr](New England Nuclear, Boston, MA)を用い、37℃で30分間標識した。2×l03の放射性標識細胞(100μlの完全培地)を、100μl完全培地を含む96ウェルV底プレートに3重に入れられている100μlの種々の濃度のエフェクターT細胞に添加した。標的細胞の添加に先立って、エフェクター細胞はOKT3 mAb(200μl/mlの精製された抗体)および/または34B1、26H7または5F4 mAb(腹水の1:600希釈液または種々の濃度の精製抗体)と室温で20分間インキュベートした。5時間後、100μlの上清液をγ-カウンター(LKB Wallac Clini Gamma 1272, Finland)での分析のために取り出した。自然および最大放出を、各々標的細胞を培地または1%Nonidet-P40で培養することにより測定した。パーセント毒性は式(実験放出-自然放出)×100/(最大放出-自然放出)を用いて計算した。
統計:試料間の相違はSigma Stat(Jandel Scientific, San Rafael, CA)プログラムを使用し、対応のないスチューデントT検定で評価した。
実施例1:正常ヒトIEC細胞表面上の34B1関連抗原の構成的発現
iIEL特異的mAb(インビトロで増殖させたヒト小腸からのiIEL T細胞株でマウスを免疫することにより得られた)開発の間、mAbのある種の分画が正常ヒト小腸の免疫組織化学により示されるようにIECを染色することが注目された。これらのmAbの3つ、およびそれらが認識する抗原の特性付けは以下に説明されるように特に興味深い。
実施例1:正常ヒトIEC細胞表面上の34B1関連抗原の構成的発現
iIEL特異的mAb(インビトロで増殖させたヒト小腸からのiIEL T細胞株でマウスを免疫することにより得られた)開発の間、mAbのある種の分画が正常ヒト小腸の免疫組織化学により示されるようにIECを染色することが注目された。これらのmAbの3つ、およびそれらが認識する抗原の特性付けは以下に説明されるように特に興味深い。
図1はIECを認識するが、iIELを認識しない3つのmAb(34B1、5F4および26H7)の同定を示している。パネルA〜Cは材料および方法に説明されたようにヤギ抗マウス西洋わさびペルオキシダーゼ結合抗体との続いてのインキュベーションで検出される結合により34B1(パネルA)、5F4(パネルB)および26H7(パネルC)mAbで染色された正常大腸の免疫組織学を示している。沈殿した褐色反応生成物は腸細胞上の特異的染色を示している。[倍率20倍]。正常マウス血清での染色は陰性であった(データは示されていない)。
ヒト腸組織切片の染色はこれらの3つのmAb(34B1、5F4および26H7)のみがIECを染色することを示した(図1)。これらの抗体でのこのインビトロ組織染色は、正常ヒトIEC株、HT29のフローサイトメトリー分析により確認されるように細胞表面上であるようである。これら3つの抗体は、免疫組織化学で決定されるように(図1)または単離直後にフローサイトメトリーにより決定されるように(データは示されていない)インサイチュではiIELを染色しないので、iIELがインビトロ培養過程の間に活性化され、IECにより構成的に発現される新生抗原を発現したことが疑われた。
実施例2:34B1関連抗原は正常ヒトiIELおよび末梢血T細胞上の活性化抗原である。
iIEL細胞株がIECで共有されている新生抗原を発現したかどうかを決定するため、iIELの染色をPHA-Pとインビトロで培養した後に試験した。単色フローサイトメトリー分析を、図1で説明したように、小腸に由来する活性化iIEL細胞株、EEI-5で実施した。図1に示したように、iIELインサイチュおよび新しく単離されたiIEL(データは示されていない)は34B1、26H7および5F4 mAbで染色されなかった。しかしながら、10〜14日ごとのPHA-P活性化で連続細胞株としてインビトロで維持した後、すべてのiIELはこれらの3つのmAbにより認識される抗原を発現した(図2A)。小腸から確立されたiIEL T細胞株、EEI-5の染色は(図1Bに示されるように90%CD8+および10%CD4+であった)、すべてのiIELがインビトロ活性化後に3つのmAbにより認識される抗原を発現したことを示している。3つのmAbはわずかに異なった染色パターンを示しており、異なった分子または同一分子上の異なったエピトープを認識することを示唆している。同様の観察が大腸から調製されたiIEL T細胞株、CLIでなされ、それは40%CD8+、30%CD4+および30%二重陰性(CD4--CD8-)であり、この組織部位中のiIELのインビボ発現型と一致した(Lundqvist et al., Int.lmmunol. 7:1473-1480, 1996;データは示されていない)。
iIEL細胞株がIECで共有されている新生抗原を発現したかどうかを決定するため、iIELの染色をPHA-Pとインビトロで培養した後に試験した。単色フローサイトメトリー分析を、図1で説明したように、小腸に由来する活性化iIEL細胞株、EEI-5で実施した。図1に示したように、iIELインサイチュおよび新しく単離されたiIEL(データは示されていない)は34B1、26H7および5F4 mAbで染色されなかった。しかしながら、10〜14日ごとのPHA-P活性化で連続細胞株としてインビトロで維持した後、すべてのiIELはこれらの3つのmAbにより認識される抗原を発現した(図2A)。小腸から確立されたiIEL T細胞株、EEI-5の染色は(図1Bに示されるように90%CD8+および10%CD4+であった)、すべてのiIELがインビトロ活性化後に3つのmAbにより認識される抗原を発現したことを示している。3つのmAbはわずかに異なった染色パターンを示しており、異なった分子または同一分子上の異なったエピトープを認識することを示唆している。同様の観察が大腸から調製されたiIEL T細胞株、CLIでなされ、それは40%CD8+、30%CD4+および30%二重陰性(CD4--CD8-)であり、この組織部位中のiIELのインビボ発現型と一致した(Lundqvist et al., Int.lmmunol. 7:1473-1480, 1996;データは示されていない)。
しかしながら、PBTが34B1関連抗原を発現し、インビトロでのPHA-P刺激後にこの発現を上方制御するので、これらの特徴ではiIELを確認できない。図2Bは1μg/ml PHA-P刺激前および3日後、CD3陽性リンパ球を除いた後に34B1、5F4および26H7で、および直接的に結合されたアイソタイプ一致対照抗体による染色バックグラウンドを差し引いた後の二色蛍光分析を示している。厚い黒線はPHA-P刺激なしのPBTを示しており、薄い黒線(矢印)はPHA-P刺激を示している。PHA-P刺激に先立って、T細胞の孤立性集団は34B1、5F4および26H7 mAbによる染色の増加を示した(図2B)。PHA-P刺激後、3つすべてのmAbで全集団の染色強度の小さいがしかし有意なシフトが観察された。従って、34B1関連抗原は小腸上皮および末梢血中の両方の正常ヒトT細胞上の活性化抗原である。
実施例3:34B1関連抗原は広範囲の器官の上皮細胞、B細胞および顆粒球上に発現されている。
前記のデータは34B1関連抗原が腸の上皮細胞および活性化T細胞により発現されていることを示唆している。従って、この細胞発現分布の限定器官調査が行われた。表Iにみられるように、34B1、26H7および5F4 mAbにより認識される抗原は広範囲の組織で同様に発現されており、問題としている分子は多様な器官系で機能的役割を持っていることが示唆された。3つすべてのmAbは小腸および大腸、胆管樹状構造、腎臓、皮膚および胸腺の上皮細胞上の抗原を一貫して認識した。加えて、いくつかの器官中の散乱顆粒球および扁桃腺の胚中心内の細胞(これらはB細胞と一致する)もまた陽性に染色された。顆粒球の染色は末梢血顆粒球の免疫組織化学的分析によっても確認された(データは示されていない)。従って、これらの結果は前記の表現型研究と一緒になって、34B1関連抗原は本来広範囲の上皮細胞型、BおよびTリンパ球、顆粒球およびナチュラルキラー(NK)細胞(NK細胞株の染色に基づいて、データは示されていない)により発現されていることを示唆している。
前記のデータは34B1関連抗原が腸の上皮細胞および活性化T細胞により発現されていることを示唆している。従って、この細胞発現分布の限定器官調査が行われた。表Iにみられるように、34B1、26H7および5F4 mAbにより認識される抗原は広範囲の組織で同様に発現されており、問題としている分子は多様な器官系で機能的役割を持っていることが示唆された。3つすべてのmAbは小腸および大腸、胆管樹状構造、腎臓、皮膚および胸腺の上皮細胞上の抗原を一貫して認識した。加えて、いくつかの器官中の散乱顆粒球および扁桃腺の胚中心内の細胞(これらはB細胞と一致する)もまた陽性に染色された。顆粒球の染色は末梢血顆粒球の免疫組織化学的分析によっても確認された(データは示されていない)。従って、これらの結果は前記の表現型研究と一緒になって、34B1関連抗原は本来広範囲の上皮細胞型、BおよびTリンパ球、顆粒球およびナチュラルキラー(NK)細胞(NK細胞株の染色に基づいて、データは示されていない)により発現されていることを示唆している。
表I:34B1関連mAbの組織染色
組織 染色パターン
腎臓 近位尿細管(+)
糸球体(+)
内皮(+)
肝臓 毛細胆管(+)
胆管(+):管腔表面
リンパ節 類洞(+):顆粒球/血小板
皮膚 表皮(-)
エクリン腺/汗腺(+)
小腸 腸細胞(+):絨毛>腺窩
杯細胞(-)
顆粒球(+)
胸腺 ハッサル小体(+)
扁桃腺 胚中心(+)
上皮細胞(+)
すべての組織の染色は材料および方法に説明されているように行われた。各々の組織に対し、細胞染色は病理学者により決定された不在(-)または存在(+)として等級分けされた。
組織 染色パターン
腎臓 近位尿細管(+)
糸球体(+)
内皮(+)
肝臓 毛細胆管(+)
胆管(+):管腔表面
リンパ節 類洞(+):顆粒球/血小板
皮膚 表皮(-)
エクリン腺/汗腺(+)
小腸 腸細胞(+):絨毛>腺窩
杯細胞(-)
顆粒球(+)
胸腺 ハッサル小体(+)
扁桃腺 胚中心(+)
上皮細胞(+)
すべての組織の染色は材料および方法に説明されているように行われた。各々の組織に対し、細胞染色は病理学者により決定された不在(-)または存在(+)として等級分けされた。
実施例4:胆汁糖タンパク質(BGP)としての34B1関連抗原の同定
34B1関連mAbにより認識される分子を同定するため、休止および活性化ヒトPBTおよびNK細胞からの3つのcDNAライブラリー混合物でのトランスフェクション後のCOS細胞発現クローニングによる34B1 mAbのコグネイト抗原をコードしているcDNAのクローン化に34B1 mAbが使用された。以前の研究がこれらの細胞型における34B1、26H7および5F4 mAbにより認識される抗原の発現を示しているので、これらのcDNAライブラリーが利用された。一時的にトランスフェクトされたCOS細胞を3回の免疫選択および34B1 mAbでのより分けにかけた。3回目のより分け後、50の無作為選択大腸菌形質転換体の17が3.3 kb挿入物を持つプラスミドを含んでいた。これらのプラスミドの挿入物は制限切断分析で類似していた。これらのプラスミドでトランスフェクトされたCOS細胞は34B1 mAbで特異的に染色された。これらのプラスミドの内の一つ、pPAN3.1が更なる特徴付けのために選択された。
34B1関連mAbにより認識される分子を同定するため、休止および活性化ヒトPBTおよびNK細胞からの3つのcDNAライブラリー混合物でのトランスフェクション後のCOS細胞発現クローニングによる34B1 mAbのコグネイト抗原をコードしているcDNAのクローン化に34B1 mAbが使用された。以前の研究がこれらの細胞型における34B1、26H7および5F4 mAbにより認識される抗原の発現を示しているので、これらのcDNAライブラリーが利用された。一時的にトランスフェクトされたCOS細胞を3回の免疫選択および34B1 mAbでのより分けにかけた。3回目のより分け後、50の無作為選択大腸菌形質転換体の17が3.3 kb挿入物を持つプラスミドを含んでいた。これらのプラスミドの挿入物は制限切断分析で類似していた。これらのプラスミドでトランスフェクトされたCOS細胞は34B1 mAbで特異的に染色された。これらのプラスミドの内の一つ、pPAN3.1が更なる特徴付けのために選択された。
このプラスミドは、COS細胞内へトランスフェクトされた場合、34B1および5F4 mAbにより特異的に認識され、N-グリカナーゼによる切断後に約70 kDの主バンドおよびより小さい分子量のいくつかの副バンドに分離される(図4)、120 kD糖タンパク質の翻訳を指示している。BGPb(レーンa〜c)をコード化しているpPAN3.1ベクターまたはpCDM8ベクター(レーンdおよびe)で一時的にトランスフェクトされたCOS細胞および活性化iIEL細胞株、EEI-10(レーンfおよびg)の細胞表面タンパク質を[125I]で放射性標識し、34B1 mAb(レーンb、c、d、e、fまたはf)かまたは正常マウス血清(レーンa)で免疫沈降させ、免疫沈降物を還元条件下、N-グリカナーゼ前処理をして(レーンc、eおよびg)またはせずに(レーンa、b、dおよびf)分離した。同一の観察が5F4および26H7 mAbでなされた(データは示されていない)。同様のタンパク質が3つすべてのmAbにより放射性標識細胞表面iIELタンパク質から免疫沈降された(図4)。両方の鎖上のこのcDNAの完全DNA配列決定はBGPまたはCD66a(Gen Bank寄託番号X14831)の’b’スプライス変異体と97%同一であり、すべての相違はコード領域の外側に存在することを明らかにした。cDNAは58 kDのポリペプチド主鎖を予言するので、図4のデータはいくつかの炭化水素修飾がN-グリカナーゼ切断に比較的抵抗性であることを示唆している。BGPは免疫グロブリンスーパー遺伝子ファミリーの一員であり、他の胎児性癌抗原(CEA)またはCD66ファミリー構成遺伝子のN-ドメインと高度に相同的であるN-末端免疫グロブリンV(IgV)関連ドメイン、続いてのいくつかのIgC2関連ドメインA1およびB1、およびBGPアイソフォームに独特なA2、YまたはZドメインから成っている(Watt et al., 1994; Oikawa et al., 1992; Teixeira, 1994; Bamett et al., 1993; Thompson, 1991)。
34B1関連mAbがBGPに対して反応性であることを確認するため、およびこれらのmAbが方向付けられる特異的タンパク質ドメインを決定するため、CD66aのN-ドメイン、CD66aのNA1B1ドメイン、CD66aのNA1B1A2ドメインおよび陰性対照としてのN-CAM(CD56)を含んでいるFc融合タンパク質での結合アッセイで抗体が試験された。図3Aは材料と方法で説明されたような、mAbを試験するためにELISAで使用されるFc融合タンパク質のスキームダイアグラムである。CD66aのN、NA1B1およびNA1B1A2ドメインおよび陰性対照としてのN-CAM(CD56)を含んでいるFc融合タンパク質は材料と方法で説明されたように、34B1、5F4および26H7 mAbは、陽性対照抗体MA22、MA76およびMA26と比較してELISAにおいて試験された(図3B)。図3Bにみることができるように、これらの研究は3つのmAbによるBGP(CD66a)の認識を確認し、3つすべてのmAbがN-ドメインと反応することを示した。
34B1関連mAbのコグネイト抗原がBGPであったことをさらに確認するため、いくつかのBGPのスプライス変異体(BGPa、BGPcおよびBGPx’)で安定にトランスフェクトされたCOS細胞、およびCD66b(CEA遺伝子関連番号1、CGMl)、CD66c(CEA遺伝子関連番号6、CGM6)、CD66d(非特異的交差反応抗原、NCA)およびCD66e(CEA)を含むCD66血清学的クラスターの他の構成物でトランスフェクトされたヒーラー細胞を染色する能力で3つのmAbが試験された。図5は、34B1、5F4および26H7 mAbsまたは陰性対照としてのアイソタイプ一致IgG1で染色した後の、CHOのBGPa、BGPcおよびBGPx’トランスフェクト体およびヒーラー細胞のCEA、NCA、CCGM6およびCGM1トランスフェクト体のフローサイトメトリー分析と偽(Neo)形質転換体の比較を示している。すべての形質転換体はトランスフェクトされたcDNAに特異的な対照mAbで陽性に染色された(データは示されていない)。CGM1(CD66b)を除いて、34B1 mAbはすべてのスプライス変異体を含む試験されたCD66ファミリー構成物をすべて染色した。しかしながら、26H7および5F4 mAbはCD66aスプライス変異体のみを染色し、それらはこの分子のN-ドメインに特異的であるらしいことを示唆している。これらの結果は、表現型分類および前記の上皮細胞、顆粒球、B細胞、T細胞およびNK細胞上のBGPの分布、および従来の報告(Thompson et al., 1991; Moller et al., 1996)を一緒にすると、34B1、26H7および5F4 mAbのコグネイト抗原としてのBGPのN-ドメイン、およびさらに34B1 mAbが他のCD66形を認識することを明瞭に同定している。
実施例5:iIELはCD66aアイソフォームのみを発現する
活性化ヒトiIELはモノクローナル抗体の第6回国際ワークショップで示された、およびすべてのCD66アイソフォームに特異的であるmAbの一団により染色された。小腸からのヒトiIEL細胞株、EEI-10は材料および方法で説明したように一連の抗CD66 mAbでの活性化8日後に染色された。各々のパネルはCD66特異的mAbと陰性対照としての正常マウス血清で得られた染色の重ね合わせを示している。CD66アイソフォームに対するmAbの特異性はパネルに示されている。活性化iIELは、CD66a〜eに特異的なmAbの大集団(mAb MA27、MA28、MA30、MA41、MA61、MA76、MA79、MA81、MA83、MA84、MA86およびMA91)での染色に基づくと、CD66a以外のCD66アイソフォームを発現しない(図6)。
活性化ヒトiIELはモノクローナル抗体の第6回国際ワークショップで示された、およびすべてのCD66アイソフォームに特異的であるmAbの一団により染色された。小腸からのヒトiIEL細胞株、EEI-10は材料および方法で説明したように一連の抗CD66 mAbでの活性化8日後に染色された。各々のパネルはCD66特異的mAbと陰性対照としての正常マウス血清で得られた染色の重ね合わせを示している。CD66アイソフォームに対するmAbの特異性はパネルに示されている。活性化iIELは、CD66a〜eに特異的なmAbの大集団(mAb MA27、MA28、MA30、MA41、MA61、MA76、MA79、MA81、MA83、MA84、MA86およびMA91)での染色に基づくと、CD66a以外のCD66アイソフォームを発現しない(図6)。
BGPとKIR含有ITIM間の類似性をさらに引き出すため、CD3結合後のチロシンリン酸化タンパク質のパターンに対するCD66a特異的mAbの効果をth4e Eei-10細胞株で評価した。iIEL(1×106)を0.1%ウシ血清アルブミン(Sigma)を含んでいる100μlのRPMI-1640中、架橋剤として20μg/mlのヤギ抗マウスIgG抗体(Pierce, Rockford, IL)存在下、100 ng/mlのOKT3 mAbおよび10μg/mlの5F4 mAbかまたは10μg/mlの正常IgG1とインキュベートした。37℃で2または8分のインキュベーション後、反応を10 mMのNa2VO3(Sigma)を含んでいる1 mlのPBSで停止させ、ペレットを0.2×PBS、100μM Na2VO3、1 mM PMSF、5 mMヨウ化アセトアミドおよび20μg/mlのアプロチニンおよび還元剤として加えられたLaemmli緩衝液を含んでいる100μlの溶解緩衝液中で30分間、氷上でインキュベートした。溶解液を5分間煮沸し、10%ゲル上のSDS-PAGEで分離し、Immobilonフィルターへウェスタン移送し、PY20 mAb(Zymed, San Francisco, CA)で免疫ブロットし、西洋わさびペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウス抗体(Zymed)で発色させ、化学発光を促進させた。5F4 mAb存在下でのCD3とOKT3 mAbとの架橋のアイソタイプ対照抗体との比較は、リン酸化の動力学およびレベルを著しく変化させ、BGP架橋の結果としてホスファターゼが活性化されたことを示唆している。
実施例6:iIELに対するキラー阻害レセプターとしてのBGP機能。
BGP特異的mAb、34B1、26H7および5F4での染色により決定されたように、BGpが活性化iIEL上で発現されたという観察は、BGPは主として上皮細胞および顆粒球上で発現される分子としておよび細胞-細胞接着および上皮細胞増殖の制御に関与するとみられていたので、独特でありまた予期されていなかった。iIELおよびT細胞上のBGPの機能はしかしながら、一般的には知られていない。重要なことは、BGPaおよびBGPbスプライス変異体の細胞質の尾は21アミノ酸離れて細胞質尾内に2つのITIMドメインを含んでおり(CD66b〜eは含んでいない)、BGPがT細胞上の阻害分子として機能するのではないかという可能性を生じさせる(Beauchemin et al., 1996;Obrink, 1997)。T細胞機能におけるBGP抗原の役割を決定するため、iIELの機能に対する3つのmAbの影響が試験された。
BGP特異的mAb、34B1、26H7および5F4での染色により決定されたように、BGpが活性化iIEL上で発現されたという観察は、BGPは主として上皮細胞および顆粒球上で発現される分子としておよび細胞-細胞接着および上皮細胞増殖の制御に関与するとみられていたので、独特でありまた予期されていなかった。iIELおよびT細胞上のBGPの機能はしかしながら、一般的には知られていない。重要なことは、BGPaおよびBGPbスプライス変異体の細胞質の尾は21アミノ酸離れて細胞質尾内に2つのITIMドメインを含んでおり(CD66b〜eは含んでいない)、BGPがT細胞上の阻害分子として機能するのではないかという可能性を生じさせる(Beauchemin et al., 1996;Obrink, 1997)。T細胞機能におけるBGP抗原の役割を決定するため、iIELの機能に対する3つのmAbの影響が試験された。
活性化iIELの主たる機能は細胞溶解性エフェクター細胞としての機能である。従って、iIELの細胞溶解性機能に対する3つのmAbの影響が再方向付け溶解アッセイで試験され、その結果が図7に示されている。KJ-3 iIEL細胞株の抗CD3方向付け溶解(OKT3)が、100:1、50:1および25:1のエフェクター:標的比で、100.0μg/mlの濃度のCD66特異的mAb(5F4または26H7)またはアイソタイプ一致IgG1抗体の存在または不在下で、材料および方法で説明したように試験された。添加抗体なし(培地)での、および試験抗体単独存在下(26H7、5F4および対照IgG1)での細胞溶解もまた示されている。各々の測定に対する平均の標準誤差が示されている。図7に示されているデータは6回の実験を表わしたものである。正常ヒト小腸由来のiIEL細胞株、EEI-10が、標的細胞としてP815マウス肥満細胞腫細胞株を用いる再方向付け溶解アッセイで試験された場合、OKT3 mAbを使用した抗CD3架橋で著しい細胞毒性が惹起された(しかし架橋なしでは観察されない)(図7)。34B1、26H7または5F4 mAbのどれもが種々の異なった濃度でP815細胞株の細胞溶解を刺激することができず、架橋BGPは直接iIELを活性化していないことを示している。しかしながら、3つすべての抗BGP mAbとの架橋BGPは、阻害を示さないアイソタイプ一致IgG1対照抗体と比較するとP815細胞株の抗CD3方向付け細胞溶解の著しい阻害を生じた。5F4 mAbは100:1、50:1および25:1のエフェクター:標的比で各々22%、35%および38%程度溶解を阻害した。同じエフェクター:標的比での対照抗体による阻害は-4%、5%および5%であった。さらに、抗CD3方向付け細胞溶解は、P815細胞株とのCD58様相互作用を阻害すると期待されるであろうCD2特異的mAb、TS2/18によっては阻害されず、抗CD66a mAbによる阻害は単に接着に影響するせいではないようであることを示唆している。従って、BGPの架橋形成はiIELの抗CD3方向付け細胞溶解活性を阻害する。
サイトカイン処理後の早期にiIELが採取された場合、P815細胞株に対して有意な量の細胞溶解が観察され、iIELに対して以前に記載されている特性である、サイトカイン誘導キラー活性(リンホカイン活性化キラー活性、LAK)と一致している。この細胞溶解性活性が抗BGP mAbによる阻害の主題でもあるかどうかを試験するため、iIEL細胞株をBGP特異的mAb(BGP特異的mAbのプール)または正常IgG1の存在または不在下で、標的としてのP815細胞に暴露した。EEI-10 iIEL細胞株によるP815細胞株の毒性に対する抗BGP特異的mAb 34B1、26H7および5F4の影響は25:1のエフェクター:標的比で試験された。P815の細胞溶解は2μg/mlまたは6μg/mlの無関係IgG1抗体では影響されなかった。すべての抗BGP抗体について細胞毒性の阻害は有意であった(5F4、p=0.15;26H7、p=0.048、34B1、p=0.004;プール、p=0.0016)。抗BGP mAbは、mAbのプールを用いると各々2μg/mlで70%の高くまで、2μg/mlの個々のmAb量で50%までの阻害でiIEL細胞株の細胞溶解性活性を阻害し、iIELのリンホカイン活性化キラー活性もまた抗BGP抗体による阻害の主題であったことを示している。
実施例7:抗BGP抗体は異質遺伝子混合リンパ球反応におけるBGP阻害シグナルを阻害できる。
ヒト末梢血単核細胞(ドナーA)を照射し(500ラド)、フィコール-ハイパック比重遠心法により調製した非照射末梢血単核細胞と96ウェルU底プレート中200μlの総容量にて、2×106細胞/ウェルの総濃度で4重に同時培養した。96時間後、ウェル当たり0.5μCiの[3H]-チミジンを加えて18時間インキュベートし、プレートから採取して計数した。培養条件は添加物を含まないか(培地)または種々の濃度の希釈腹水(マウス抗ヒトBGPモノクローナル抗体34B1および5F4)または正常マウス血清を含んでいる。実験データは表IIに示されており、5回の実験を表すものである。平均±SEが示されている。抗BGP抗体存在下でのT細胞増殖の増加はBGP阻害シグナルの阻害と一致している。
ヒト末梢血単核細胞(ドナーA)を照射し(500ラド)、フィコール-ハイパック比重遠心法により調製した非照射末梢血単核細胞と96ウェルU底プレート中200μlの総容量にて、2×106細胞/ウェルの総濃度で4重に同時培養した。96時間後、ウェル当たり0.5μCiの[3H]-チミジンを加えて18時間インキュベートし、プレートから採取して計数した。培養条件は添加物を含まないか(培地)または種々の濃度の希釈腹水(マウス抗ヒトBGPモノクローナル抗体34B1および5F4)または正常マウス血清を含んでいる。実験データは表IIに示されており、5回の実験を表すものである。平均±SEが示されている。抗BGP抗体存在下でのT細胞増殖の増加はBGP阻害シグナルの阻害と一致している。
表II:異質遺伝子混合リンパ球反応
処理 CPM
培地 16,330±2,131
マウス抗ヒトBGP(34B1)
1: 125 41,246±1,779
1: 250 54,578±2,437
1: 500 34,987±1,545
1: 750 33,978±1,036
1:1000 31,522±1,087
マウス抗ヒトBGP(5F4)
1:125 35,330±1,615
1:250 33,191±883
1: 500 27,862±2,635
1: 750 23,511±2,365
1:1000 38,826±3,103
正常マウス血清(陰性対照)
1: 125 18,491±544
1: 500 17,957±772
1:1000 19,343±471
図8は同様な実験の結果を示している。二人の関係のないヒト研究被験者からの刺激体(照射末梢血単核細胞)および応答体(非照射末梢血単核細胞)が、フィトヘマグルチニン-P(PHA;1μg/ml)、種々の濃度の無関係IgG1(1〜100μg/ml)または種々の濃度の抗CD66a特異的モノクローナル抗体34B1、26H7または5F4(1〜100μg/ml)の存在または不在下で、96ウェル平底プレート中、各々のウェル当たり2×105細胞で同時培養された。4日後、最後の18時間インキュベーションにウェル当たり1μキューリーの3H-チミジンを加え、増殖の評価のためプレートから採取した。y軸は分当たりのカウント数を示している。各々の測定にS.E.M.が示されている。
処理 CPM
培地 16,330±2,131
マウス抗ヒトBGP(34B1)
1: 125 41,246±1,779
1: 250 54,578±2,437
1: 500 34,987±1,545
1: 750 33,978±1,036
1:1000 31,522±1,087
マウス抗ヒトBGP(5F4)
1:125 35,330±1,615
1:250 33,191±883
1: 500 27,862±2,635
1: 750 23,511±2,365
1:1000 38,826±3,103
正常マウス血清(陰性対照)
1: 125 18,491±544
1: 500 17,957±772
1:1000 19,343±471
図8は同様な実験の結果を示している。二人の関係のないヒト研究被験者からの刺激体(照射末梢血単核細胞)および応答体(非照射末梢血単核細胞)が、フィトヘマグルチニン-P(PHA;1μg/ml)、種々の濃度の無関係IgG1(1〜100μg/ml)または種々の濃度の抗CD66a特異的モノクローナル抗体34B1、26H7または5F4(1〜100μg/ml)の存在または不在下で、96ウェル平底プレート中、各々のウェル当たり2×105細胞で同時培養された。4日後、最後の18時間インキュベーションにウェル当たり1μキューリーの3H-チミジンを加え、増殖の評価のためプレートから採取した。y軸は分当たりのカウント数を示している。各々の測定にS.E.M.が示されている。
用いられた用語および表現は記述の用語として使用されており、何ら制限するものではなく、そのような用語および表現の使用においては、示されおよび説明された特色の均等物またはそれらの一部を排除することは意図されていず、種々の変形が本発明の範囲内で可能であることが認められる。
本明細書に記載されたすべての参考文献は本明細書において援用される。
Claims (56)
- 被検体において、キラーT細胞の細胞傷害性または増殖を、特異的に亢進させるための方法であって:
こうした治療が必要な被検体に、胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を選択的に減少させる剤を、該被検体におけるキラーT細胞の細胞傷害性または増殖を亢進させるのに有効な量で、投与する
ことを含む、前記方法。 - 剤が、単一の胆汁糖タンパク質ポリペプチドにのみ結合する、抗体または抗体断片である、請求項1の方法。
- 抗体断片がFab断片である、請求項2の方法。
- 剤が、胆汁糖タンパク質ポリペプチドに対するリガンドを含み、該リガンドが、単一の胆汁糖タンパク質ポリペプチドにのみ結合する、請求項1の方法。
- リガンドが、免疫グロブリン分子またはその断片に融合している、請求項4の方法。
- リガンドが、可溶性胆汁糖タンパク質分子またはその断片である、請求項4の方法。
- キラーT細胞がCD4+ T細胞、CD8+ T細胞およびNK細胞からなる群より選択される、請求項1の方法。
- キラーT細胞が、腸上皮内リンパ球である、請求項1の方法。
- キラーT細胞が末梢血T細胞である、請求項1の方法。
- 被検体において、キラーT細胞の細胞傷害性または増殖を、特異的に抑制するための方法であって:
こうした治療が必要な被検体に、胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を選択的に増加させる剤を、該被検体におけるキラーT細胞の活性を抑制するのに有効な量で、投与する
ことを含む、前記方法。 - 剤が抗体である、請求項10の方法。
- 抗体がモノクローナル抗体である、請求項11の方法。
- 剤が、胆汁糖タンパク質ポリペプチドに対するリガンドを含み、該リガンドが、2つまたはそれ以上の胆汁糖タンパク質ポリペプチドに結合する、請求項10の方法。
- リガンドが、免疫グロブリン分子またはその断片に融合している、請求項13の方法。
- リガンドが、胆汁糖タンパク質ポリペプチドまたはその断片を含む、請求項13の方法。
- キラーT細胞がCD4+ T細胞、CD8+ T細胞およびNK細胞からなる群より選択される、請求項10の方法。
- キラーT細胞が、腸上皮内リンパ球である、請求項10の方法。
- キラーT細胞が末梢血T細胞である、請求項10の方法。
- 被検体におけるキラーT細胞の細胞傷害性または増殖を亢進させるのに有効な量の、胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を選択的に減少させる剤、および
薬学的に許容しうるキャリアー
を含む組成物。 - 剤が、単一の胆汁糖タンパク質分子にのみ結合する、抗体または抗体断片である、請求項19の組成物。
- 抗体断片がFab断片である、請求項20の組成物。
- 剤が、胆汁糖タンパク質ポリペプチドに対するリガンドを含み、該リガンドが、単一の胆汁糖タンパク質ポリペプチドにのみ結合する、請求項19の組成物。
- リガンドが、免疫グロブリン分子またはその断片に融合している、請求項22の組成物。
- リガンドが、胆汁糖タンパク質またはその断片である、請求項22の組成物。
- 被検体におけるキラーT細胞の細胞傷害性または増殖を抑制するのに有効な量の、胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を選択的に増加させる剤、および
薬学的に許容しうるキャリアー
を含む組成物。 - 剤が抗体である、請求項25の組成物。
- 抗体がモノクローナル抗体である、請求項26の組成物。
- 剤が、胆汁糖タンパク質ポリペプチドに対するリガンドを含み、該リガンドが、2つまたはそれ以上の胆汁糖タンパク質ポリペプチドに結合する、請求項25の組成物。
- リガンドが、免疫グロブリン分子またはその断片に融合している、請求項28の組成物。
- リガンドが、胆汁糖タンパク質またはその断片である、請求項28の組成物。
- キラーT細胞の細胞傷害性または増殖を、特異的に亢進させるための方法であって:
キラーT細胞の細胞傷害性または増殖を亢進させるのに有効な量の、胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を選択的に減少させる剤と、キラーT細胞集団を接触させる
ことを含む、前記方法。 - 剤が、一の胆汁糖タンパク質分子に結合する、抗体または抗体断片である、請求項31の方法。
- 抗体断片がFab断片である、請求項32の方法。
- 剤が、胆汁糖タンパク質ポリペプチドに対するリガンドを含み、該リガンドが、単一の胆汁糖タンパク質ポリペプチドにのみ結合する、請求項31の方法。
- リガンドが、免疫グロブリン分子またはその断片に融合している、請求項34の方法。
- リガンドが、可溶性胆汁糖タンパク質分子またはその断片である、請求項34の方法。
- キラーT細胞がCD4+ T細胞、CD8+ T細胞およびNK細胞からなる群より選択される、請求項31の方法。
- キラーT細胞が、腸上皮内リンパ球である、請求項31の方法。
- キラーT細胞が末梢血T細胞である、請求項31の方法。
- キラーT細胞の細胞傷害性または増殖を、特異的に抑制するための方法であって:
キラーT細胞の細胞傷害性または増殖を抑制するのに有効な量の、胆汁糖タンパク質ポリペプチドの架橋を選択的に増加させる剤と、キラーT細胞集団を接触させる
ことを含む、前記方法。 - 剤が抗体である、請求項40の方法。
- 抗体がモノクローナル抗体である、請求項41の方法。
- 剤が、胆汁糖タンパク質ポリペプチドに対するリガンドを含み、該リガンドが、2つまたはそれ以上の胆汁糖タンパク質ポリペプチドに結合する、請求項40の方法。
- リガンドが、免疫グロブリン分子またはその断片に融合している、請求項43の方法。
- リガンドが、可溶性胆汁糖タンパク質分子またはその断片を含む、請求項43の方法。
- キラーT細胞がCD4+ T細胞、CD8+ T細胞およびNK細胞からなる群より選択される、請求項40の方法。
- キラーT細胞が、腸上皮内リンパ球である、請求項40の方法。
- キラーT細胞が末梢血T細胞である、請求項40の方法。
- 免疫グロブリン分子またはその断片に融合している、胆汁糖タンパク質ポリペプチドまたはその断片を含む、単離融合タンパク質。
- 胆汁糖タンパク質またはその断片が、34B1、5F4および26H7からなる群より選択されるモノクローナル抗体に選択的に結合する、請求項49の単離融合タンパク質。
- 胆汁糖タンパク質の断片が、CD66aのN-ドメイン、CD66aのNA1B1ドメイン、CD66aのNA1B1A2ドメインからなる群より選択される、請求項50の単離融合タンパク質。
- 免疫グロブリン分子の断片が、免疫グロブリン分子のFc部分である、請求項G1の単離融合タンパク質。
- 胆汁糖タンパク質に結合する、2つまたはそれ以上の胆汁糖タンパク質ポリペプチドまたはその断片を含む、単離融合タンパク質。
- キラーT細胞活性を亢進させるまたは抑制する化合物を同定するための方法であって、
(a)胆汁糖タンパク質を発現するキラーT細胞集団を、胆汁糖タンパク質と結合する化合物と接触させ、そして
(b)コントロールに比較した、キラーT細胞集団の細胞傷害性または増殖を測定する、ここで細胞傷害性または増殖を増加させる化合物は、キラーT細胞活性を亢進させる化合物であり、そして細胞傷害性または増殖を減少させる化合物は、キラーT細胞活性を抑制する化合物である
ことを含む、前記方法。 - さらに
(a)胆汁糖タンパク質ポリペプチドまたはその断片を提供し、
(b)該胆汁糖タンパク質ポリペプチドまたはその断片を、化合物と接触させ、
(c)該胆汁糖タンパク質ポリペプチドまたはその断片に対する、該化合物の結合を測定する、ここで該化合物は、請求項H1の段階(a)に用いられている
段階を含む、請求項54の方法。 - 異常なキラーT細胞活性により特徴付けられる症状を有する被検体を選択的に治療するための方法であって、
こうした治療が必要な被検体に、胆汁糖タンパク質に対し選択的である薬理学的剤を、異常なキラーT細胞活性を正常にするのに有効な量で、投与する
ことを含む、前記方法。
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