JP2012030773A - セミクローラ - Google Patents
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Abstract
【課題】どのようなトラクタにでも取り付け可能なセミクローラを提供する。
【解決手段】農業用トラクタに用いることのできるセミクローラ20に関し、セミクローラは、大径の湾曲して空間を形成したスプロケット7と、トラクタの後輪の車軸に連結された入力軸の回転数を所定の比率で増加してスプロケットの出力軸に出力する増速機4と、フロントアイドラー8、トラックローラ11及びリアアイドラー9を回転自在に保持するトラックフレーム1と、フロントアイドラー、トラックローラ及びリアアイドラーとの外周に装架された無限軌条12とを備え、スプロケットの空間内に、増速機と斜めに延出した連結フレーム2の一部とを収容し、前記無限軌条の全幅内に、大径のスプロケットと、増速機と、連結フレームと、トラックフレームとを収容する。
【選択図】図2
【解決手段】農業用トラクタに用いることのできるセミクローラ20に関し、セミクローラは、大径の湾曲して空間を形成したスプロケット7と、トラクタの後輪の車軸に連結された入力軸の回転数を所定の比率で増加してスプロケットの出力軸に出力する増速機4と、フロントアイドラー8、トラックローラ11及びリアアイドラー9を回転自在に保持するトラックフレーム1と、フロントアイドラー、トラックローラ及びリアアイドラーとの外周に装架された無限軌条12とを備え、スプロケットの空間内に、増速機と斜めに延出した連結フレーム2の一部とを収容し、前記無限軌条の全幅内に、大径のスプロケットと、増速機と、連結フレームと、トラックフレームとを収容する。
【選択図】図2
Description
本発明は、凹凸地、軟質地、湿田、農圃等で用いられる農業用トラクタに取り付けられるセミクローラに関する。
トラクタは、走行手段に応じて、ホイール形とクローラ形とに大別することができ、クローラ形は、さらに、フルクローラ形とセミクローラ形とに分けられる。ホイール型もクローラ形も、水田、畑作、酪農等における耕耘、播種、中耕、除草、収穫、運搬等の広範囲に使用することができるが、クローラ形は、ホイール形に比べて接地圧が小さいため、それらの作業の中でも、特に、柔軟地や不整地での使用に適し、また、牽引力を必要とする作業に適している。
従来のセミクローラでは、後車軸にセミクローラを履き替える作業は相当煩雑である。特に、後車輪を揺動形セミクローラに履き替える際には、後車軸とクローラの回転駆動体(ドラム、スプロケットホイール等)の軸心を一致させることが必要であり、揺動形セミクローラは揺動することからその作業はより困難である。また、揺動支軸とトラクタ車体の該支軸の受け部(軸受部)の軸心を一致させることも相当困難であり、履き替え作業は重労働であるだけでなく長時間を要している。
それを解消するために、セミクローラの揺動の範囲を制限するための装置を設けることも行われている。
また、従来のセミクローラでは、セミクローラに履き替えるために、セミクローラの回転駆動体と前輪との周速をほぼ等速にするための走行伝動体を、トラクタに、予め又は追加的に設けており、そのような走行伝動体を有しないトラクタにセミクローラを取り付けることは困難であった。
また、従来のセミクローラでは、トラクタ等の駆動軸に伝動ケースが連結され、さらに、その外側にクローラベルトが装着された駆動軸が連結されているため、トラクタの種類によっては、後車輪をセミクローラに履き替えることができなかったり、車体幅が不要に大きくなったりすることがある。
そこで、本発明は、トラクタに、セミクローラの回転駆動体と前輪との周速をほぼ等速にするための走行伝動体を設ける必要がなく、そのような走行伝動体を有しないトラクタに取り付け可能なセミクローラを提供することを目的とする。
また、本発明は、セミクローラの揺動を制限するための追加の構成を必要とすることなく揺動範囲を著しく減少させてピッチング現象の発生を防ぐことのできるセミクローラを提供することを目的とする。
また、本発明は、セミクローラを取り付ける際にセミクローラの揺動の範囲を制限するためのロック手段を必要としないセミクローラを提供することを目的とする。
また、本発明は、トラクタの前進及び後退の際のステアリングを容易にし、また、セミクローラのフレーム等に泥等が付着しにくくまた付着した泥等が取れやすいセミクローラを提供することを目的とする。
また、本発明は、コンパクトなセミクローラを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、セミクローラをトラクタに取り付けた後に、ラバークローラの交換が容易に行えるセミクローラを提供することを目的とする。
本発明に係るセミクローラは、駆動手段によって少なくとも後輪の車軸を回転させることによって走行可能な農業用トラクタに用いることのできるセミクローラである。このセミクローラは、歯が形成された円周部分と中心にある出力軸が固定された軸受部分とを有する大径のスプロケットと、前記農業用トラクタの前記後輪の車軸に連結された入力軸の回転数を所定の比率で増加させて、大径のスプロケットに連結された前記出力軸に出力する増速機と、該増速機を保持する車軸・フレーム連結フレームであって、2つの離隔して配置された枠を有し、該2つの枠の間に前記増速機を配置し、該2つの枠の双方の一方の端部が前記増速機に連結され、かつ、該2つの枠の双方の他方の端部がベース部を介して揺動軸に結合された、車軸・フレーム連結フレームと、フロントアイドラー、トラックローラ及びリアアイドラーを回転自在に保持し、前記車軸・フレーム連結フレームの前記揺動軸を回転自在に保持する円筒形状の揺動軸受部が固定されていて、該揺動軸受部が前記トラックローラの回転軸の近くに配置されたトラックフレームと、前記大径のスプロケットと、前記トラックフレームに保持されたフロントアイドラー、トラックローラ及びリアアイドラーとの外周に装架された無限軌条とを備え、前記大径のスプロケットが、歯の形成された部分と該大径のスプロケットの前記出力軸の軸受部分とを連結する部分が湾曲して空間を形成し、該空間内に、前記増速機及び前記車軸・フレーム連結フレームの一部を収容し、前記車軸・フレーム連結フレームの前記2つの枠が、前記空間内に収容された前記増速機から延出して前記ベース部を介して前記揺動軸に結合され、該揺動軸が前記トラックフレームの円筒形状の揺動軸受部内に回転自在に挿入されており、前記無限軌条の全幅内に、前記前記大径のスプロケット、前記増速機、前記車軸・フレーム連結フレーム及び前記トラックフレームが収容されることを特徴とする。
その農業用トラクタに用いることのできるセミクローラにおいて、前記増速機が歯車の組み合わせからなる増速手段を備えるようにしてもよい。
その農業用トラクタに用いることのできるセミクローラにおいて、前記トラックフレームにガイドレールが設けられており、前記リアアイドラーに、前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダーが取り付けられていて、該リアアイドラーが、保持位置から所定の距離隔てた退避位置まで移動可能である。
本発明に係る農業用トラクタに用いることのできるセミクローラによると、トラクタに、セミクローラの回転駆動体と前輪との周速をほぼ等速にするための走行伝動体を設ける必要がなくなるため、どのようなトラクタに対しても本発明に係るセミクローラを取り付けることができる。
また、本発明に係る農業用トラクタに用いることのできるセミクローラによると、セミクローラの揺動を制限するために追加の構成を必要とすることなく、揺動範囲を著しく減少させてピッチング現象の発生を防ぐことができる。
また、本発明に係る農業用トラクタに用いることのできるセミクローラによると、セミクローラを取り付ける際にセミクローラの揺動の範囲を制限するためのロック手段を必要としない。
また、本発明に係る農業用トラクタに用いることのできるセミクローラによると、トラクタの前進及び後退の際のステアリングを容易にし、また、セミクローラのフレーム等に泥等が付着しにくくまた付着した泥等が取れやすい。
また、本発明に係る農業用トラクタに用いることのできるセミクローラによると、コンパクトなセミクローラを提供することができる。
さらに、本発明によると、セミクローラをトラクタに取り付けた後に、ラバークローラの交換を容易に行うことができる。
以下、添付図面に基づいて本発明に係る農業用トラクタに用いることのできるセミクローラの一実施形態を説明する。
なお、全図において、各部材の厚さ、長さ、形状、部材同士の間隔、隙間等は、理解の容易のために、適宜、拡大・縮小・変形・簡略化等を行っている。また、図の説明の際の上下・左右の表現は、その図に向かった状態でのその図面の面に沿った方向を表すものとする。
図1は、本発明の一実施形態に係るセミクローラ20を、従来からある農業用トラクタの一例のトラクタ車体100の後車輪と置き換えて取り付けた状態を示す側面図であり、図2は、そのセミクローラ20を同一の方向から見た側面図である。
[セミクローラの概要]
図1に示すように、トラクタ車体100は、本来は、前輪80と二点鎖線で示す後輪90とを備えており、図1においては、後輪90を、本発明の一実施形態に係るセミクローラ20に履き替えている。
図1に示すように、トラクタ車体100は、本来は、前輪80と二点鎖線で示す後輪90とを備えており、図1においては、後輪90を、本発明の一実施形態に係るセミクローラ20に履き替えている。
また、トラクタ車体100は、ボンネット60で覆われたエンジン(図示せず)とキャビン70とを備え、キャビン70は、フロントガラス71、乗降用ドア72、サイドガラス73及びリアガラス74から囲まれており、その内部には、運転席75、トラクタの前輪80の操向操作のためのステアリングハンドル76、変速装置77等を備える。乗降用ドア72はヒンジ部78を中心として回転するように開閉することができる。
後輪90の取り付けられていた後車輪軸50には、トラクタ車体100の車体に取り付けられたディファレンシャルギア、トランスミッション装置等(図示せず)を経由してエンジンから動力が伝達される。大径のスプロケット7が矢印Fの方向に回転するとトラクタ車体100は前進する。
図2に詳しく示すように、セミクローラ20は、回転伝達体の大径のスプロケット7とトラックフレーム1とを備える。大径のスプロケット7は、詳しくは後述する通り、増速機4及び車軸・フレーム連結フレーム2を介してトラックフレーム1に支持されている。
トラックフレーム1には、テンショナー10を介してフロントアイドラー8が回転自在に保持されており、さらに、リアアイドラー9及び複数のトラックローラ11がそれぞれの回転軸によって回転自在に保持されている。大径のスプロケット7、フロントアイドラー8、リアアイドラー9及びトラックローラ11の外周に沿ってラバークローラ12が装架されている。
ラバークローラは無限軌条であり、フロントアイドラー8、リアアイドラー9及び複数のトラックローラ11は遊動輪として機能する。また、スプロケット7に代えて、ドラム形又はローラ形のものを用いることができ、ラバークローラ12もそれに応じて変更することができる。
大径のスプロケット7のスプロケット軸5は、詳しくは後述する増速機4の3つの噛合する歯車を経由してトラクタの後車輪軸50に接続されている。増速機4の下方には2つの突出部が形成されていて、それらの突出部は、車軸・フレーム連結フレーム2の2本の枠22a,22bに連結されている。それらの枠は、ベース部23を介して揺動軸6に連結されている。揺動軸6は、トラックフレーム1に固定された円筒形状の揺動軸受部24内に回転自在に挿入されている。これにより、トラックフレーム1がトラクタ車体に対し揺動することができる。それによって、セミクローラ20が地面の凹凸形状に滑らかに追従でき、トラクタ車体の上下動が押さえられて安定した高精度な作業を行うことができるようになる。
大径のスプロケット7においては、図3に示すように、歯7aの形成された円周部分(歯底円)とスプロケット軸5の軸受7bとの間の部分が湾曲していて、一周にわたる歯7aを結ぶ仮想の平面と軸受7bを通る仮想の垂直面との間に空間が形成されている。その空間に、増速機4と、それに連結されたホイールディスク46と、トラクタの後車軸50のホイールディスク51と、車軸・フレーム連結フレーム2と、トラックフレーム1とが収容されている。その空間の例として、歯7aの形成された部分(歯底円)とスプロケット軸5の軸受7bとが水平方向にシフトしてそれらの部分を連結する部分が略くの字に湾曲する例を示したが、その連結する部分が緩やかな曲線を描くように湾曲することによって空間が形成されたり、直角に折れ曲がることによって空間が形成されたりするようにしてもよい。
[増速機]
一般的に、トラクタの後輪90の外径とセミクローラ20の大径のスプロケット7のピッチ円直径(PCD)とは異なっており、本発明の実施形態では、後輪90の外径よりもスプロケット7の直径が小さいため、トラクタのトランスミッションの変速比をそのまま使用すると、トラクタの後車輪軸50に後輪90が取り付けられている場合の後輪の周速に比べて、セミクローラ20とが取り付けられている場合のラバークローラ12の周速が遅くなる。その結果、特に、四輪駆動の場合、前輪の速度とセミクローラ20のラバークローラ12の速度とが相違することになるため、前輪が空転することになる。
一般的に、トラクタの後輪90の外径とセミクローラ20の大径のスプロケット7のピッチ円直径(PCD)とは異なっており、本発明の実施形態では、後輪90の外径よりもスプロケット7の直径が小さいため、トラクタのトランスミッションの変速比をそのまま使用すると、トラクタの後車輪軸50に後輪90が取り付けられている場合の後輪の周速に比べて、セミクローラ20とが取り付けられている場合のラバークローラ12の周速が遅くなる。その結果、特に、四輪駆動の場合、前輪の速度とセミクローラ20のラバークローラ12の速度とが相違することになるため、前輪が空転することになる。
そのような状況を防ぐために、従来では、トラクタに走行伝動体のような速度差調整機構を設けたり、多くの異なる寸法のスプロケットのセミクローラを用意したりする必要があった。本発明に係るセミクローラの増速機4は、トラクタの後車輪軸50の回転数を高めてセミクローラ20の大径のスプロケット7に伝達するため、トラクタにそのような速度差調整構造を設ける必要はない。
図3は、図2の3A−3A線に沿って矢印の方向に見たセミクローラの一部の構成を簡略化して示す一部断面図であり、図4Aは、増速機4を簡略化して示す拡大正面図であり、また、図4Bは、図4Aの4B−4Bを結ぶ一点鎖線に沿って矢印方向に見た増速機4の一部断面図である。
図2及び図3に示すように、増速機4の下方の2つの突出部は、それぞれ、車軸・フレーム連結フレーム2の枠22a,22bに連結されている。枠22a,22bは、逆三角形状のベース部23に連結され、ベース部23の下方の頂点は、揺動軸6に結合されている。揺動軸6は、トラックフレーム1に固定されている円筒形状の揺動軸受部24内に回転自在に挿入されている。
トラクタの後車輪軸50のディスク51には、通常後輪のホイールが取り付けられている。図3においては、そのディスク51には、後輪のホイールに代えて、増速機4の入力側のホイールディスク46が連結されている。また、増速機4の出力側には、大径のスプロケット7のスプロケット軸5が連結されている。
図4A及び図4Bに示すように、増速機4は、ギヤケース45を有していて、その内部に、歯数の異なる歯車42、歯車47及び歯車44を備える。それらの歯車は順に噛合しあっており、歯車42と歯車44とは噛合していない。
歯車42の回転軸には、ホイールディスク46が一体的に形成されている。また、歯車44の回転軸には、大径のスプロケット7のスプロケット軸5が一体的に形成されている。
増速機4は、歯車42と歯車44との歯数の相違を利用して、入力の回転数を出力において高める増速手段として機能する。歯車47は、歯車42と歯車44とを同方向に回転させる機能を有するものであり、それらの歯車の間での変速には寄与しない。
図4Bに示すように、歯車42、歯車47及び歯車44は、それぞれ、ベアリング42a,42b、ベアリング47a,47b、ベアリング44a,44bによってギヤケース45に回転自在に保持されている。
図4Aに示す一実施形態に係る増速機4において、例えば、歯車42の歯数Z42を28枚とし、歯車44の歯数Z44を16枚とする。この場合の増速比rは以下のとおりになる。
増速比r=Z42/Z44=28/16=1.75
例えば、1150mmの外径の後輪が取り付けられたトラクタによる走行速度が28.7km/hの場合に、その後輪に代えて、大径のスプロケット7を備えるセミクローラ20を取り付け、その大径のスプロケット7のピッチが90mm、歯数が23、ピッチ円直径(PCD)が659.24mmであるとすると、スプロケット軸5の回転数Nsの比率Nsrは次の通りになる。
例えば、1150mmの外径の後輪が取り付けられたトラクタによる走行速度が28.7km/hの場合に、その後輪に代えて、大径のスプロケット7を備えるセミクローラ20を取り付け、その大径のスプロケット7のピッチが90mm、歯数が23、ピッチ円直径(PCD)が659.24mmであるとすると、スプロケット軸5の回転数Nsの比率Nsrは次の通りになる。
Nsr=1150/659.24=1.744/1
すなわち、その回転数の比は増速比としてとらえることができる。
すなわち、その回転数の比は増速比としてとらえることができる。
その増速比の1.744に対し、増速機4による増速比rは1.75であり、1.75/1.744=1/0.997である。そのため、増速機4によって、後輪の周速とセミクローラ20の大径のスプロケット7周速との差を十分に解消することができるため、後輪をセミクローラ20に置き換えることができることは明らかである。
その結果、前輪の周速とセミクローラ20のラバークローラ12の速度との差も解消することができる。
[揺動機構]
再度図2及び図3を参照しながらセミクローラ20の揺動機構を説明する。揺動機構は、車軸・フレーム連結フレーム2とトラックフレーム1に取り付けられた揺動軸6によって達成される。
再度図2及び図3を参照しながらセミクローラ20の揺動機構を説明する。揺動機構は、車軸・フレーム連結フレーム2とトラックフレーム1に取り付けられた揺動軸6によって達成される。
車軸・フレーム連結フレーム2は、側面の枠22a,22bと、揺動軸6に連結されたベース部23とを備える。側面の枠22a,22bは、それぞれ、上記のとおり、増速機の下方の2つの突出部に連結されている。
また、図2に示すように、側面の枠22a,22bは、離隔されていて、トラクタの後車輪軸50のディスク51及びホイールディスク46をそれらの間に挟むように配置されている。また、図3に示すように、側面の枠22a,22bは、増速機の下方の2つの突出部からトラクタの車体側に斜めに配置されている。そのように構成したことによって、車軸・フレーム連結フレーム2は、例えば、スプロケット7を水平方向に回避するための空間が不要となるため、セミクローラ20がコンパクト化され、また車軸・フレーム連結フレーム2はラバークローラ12の幅内に収まるため、それに泥が付着しにくくなる。
車軸・フレーム連結フレーム2の揺動軸6は、トラックフレーム1に固定された揺動軸受部24内に回転自在に挿入されている。揺動軸6の回転中心は、図2に示すように、トラクタの後車輪軸50の中心及び大径のスプロケット7のスプロケット軸5の中心を通る直線上に位置する。このため、揺動軸6を中心として、スプロケット7がトラクタの前後にわたって揺動することができる。
また、揺動軸受部24及び揺動軸6は、トラックフレーム1の最も低い位置に取り付けられている。つまり、図2に示すように、揺動軸6は、トラックローラ11の回転軸と同じレベルに設けられている。揺動軸6にはトラクタの車輌の重量がかかるため、揺動中心がそのように地表面に最も近い位置にあると、揺動の振幅が小さくなり、例えば、揺動の範囲を角度3度から角度5度程度の範囲内に抑えることができる。そのため、凹凸のある地面を走行した場合でもピッチング現象の発生が効果的に抑えられる。
[トラックフレーム]
トラックフレーム1は、図6に示すように、略コの字を回転させて下方が開口する断面形状となるように配置した形状であり、上方には、跳ね上げた泥が落下しやすいように傾斜面が形成されている。図2に示すように、トラックフレーム1には、テンショナー10を介してフロントアイドラー8が回転自在に保持されており、さらに、リアアイドラー9及び複数のトラックローラ11のそれぞれが回転軸によって回転自在に保持されている。
トラックフレーム1は、図6に示すように、略コの字を回転させて下方が開口する断面形状となるように配置した形状であり、上方には、跳ね上げた泥が落下しやすいように傾斜面が形成されている。図2に示すように、トラックフレーム1には、テンショナー10を介してフロントアイドラー8が回転自在に保持されており、さらに、リアアイドラー9及び複数のトラックローラ11のそれぞれが回転軸によって回転自在に保持されている。
(テンショナー)
テンショナー10は、フロントアイドラー8に押圧力を加えて、セミクローラ20のラバークローラ12の張力が一定になるように調整する張力調整手段である。図1に示すように、大径のスプロケット7を矢印Fの方向に回転させるとトラクタ車体100は前進し、逆方向に回転させるとトラクタは後進するが、その際に、トラックフレーム1が揺動してラバークローラに緊張や弛緩が生じる。例えば、その際にラバークローラ12の張力を調整する。
テンショナー10は、フロントアイドラー8に押圧力を加えて、セミクローラ20のラバークローラ12の張力が一定になるように調整する張力調整手段である。図1に示すように、大径のスプロケット7を矢印Fの方向に回転させるとトラクタ車体100は前進し、逆方向に回転させるとトラクタは後進するが、その際に、トラックフレーム1が揺動してラバークローラに緊張や弛緩が生じる。例えば、その際にラバークローラ12の張力を調整する。
テンショナー10は、スプリングを有するばね装置10s及びロッド10rを備えており、図2に示すように、テンショナー10のばね装置10sが、トラックフレーム1の内側に、水平方向に配置されて固定されている。ロッド10rの先端部には、フロントアイドラー8の回転軸8aが取り付けられていて、フロントアイドラー8が回転自在に保持されている。フロントアイドラー8の回転中心は、ロッド10rの移動方向を表す直線上に位置している。
ロッド10rが水平方向に往復移動すると、それに対応してばね装置10sのスプリングが伸縮する。例えば、トラックフレーム1が揺動してフロントアイドラー8が内側に押されてフロントアイドラー8−1まで移動する場合には、その移動距離に応じて、ロッド10rがばね装置10sのスプリングを一定の長さ収縮させる。トラックフレーム1の揺動が止まった場合には、ばね装置10sのスプリングの付勢力によってロッド10rを押し戻してフロントアイドラー8を元の位置に戻す。
また、トラックフレーム1の傾斜面の頂部には、フロントアイドラー8が、フロントアイドラー8−1の位置まで移動できるように、切欠きが形成されている(図示せず)。
本実施形態では、上記のとおり、テンショナー10は水平方向に配置してあるが、水平方向から傾けて取り付けることも可能である。例えば、フロントアイドラー8を挟む2つの直線部分のラバークローラ12を延長した線上での交点と、フロントアイドラー8の回転中心とを結ぶ線上に沿ってテンショナー10を取り付けることも可能である。
ただし、水平方向から傾けて取り付けた場合には、フロントアイドラー8の激しい動きに伴い、ばね装置10sのスプリングの当り面の一部が大きく摩耗することがあり、それにより、テンショナー10の耐久性に問題が生じたり円滑な動きが阻害されたりすることがあるため、これを考慮する必要はある。
(リアアイドラー)
図5は、本発明の一実施形態に係るセミクローラのリアアイドラー9を簡略化して示す斜視図であり、図6は、そのリアアイドラー9がトラックフレーム1に取り付けられた状態を示す断面図である。
図5は、本発明の一実施形態に係るセミクローラのリアアイドラー9を簡略化して示す斜視図であり、図6は、そのリアアイドラー9がトラックフレーム1に取り付けられた状態を示す断面図である。
図2に示すように、リアアイドラー9は、通常は、回転軸91(図6)がボルト92(図6)によって、保持位置9aに回転自在に保持されているが、ラバークローラ12の取り外し又は取り付けをする場合には、ボルト92を外してリアアイドラー9の回転軸91を保持位置9aから退避位置9bまで、つまり、リアアイドラー9−1の位置まで移動させることができる。これにより、ラバークローラ12に緩みを生じさせる。
より詳細に説明すると、図6に示すように、リアアイドラー9の回転中心部93には、回転軸91が回転自在な貫通孔が形成されている。また、回転中心部93の両側面にはスライダー94が取り付けられていて、そのスライダー94に回転軸91の各端部が嵌め込まれて固定されている。
また、図6に示すように、トラックフレーム1の内側の面の両側に、位置9aから位置9bまでに対応する部分に、上下一対のガイドレール95が固定されている。各スライダー94が、それぞれの上下一対のガイドレール95の間に配置されていて、スライダー94が一対のガイドレールの間を滑動することができる。
また、スライダー94には、その回転軸91の軸線上に固定用ボルト92が螺合するねじ穴96が形成されている。ねじ穴96をトラックフレーム1の位置9aに形成された孔と一致させて固定用ボルト92を締め付けることによって、リアアイドラー9をトラックフレーム1の位置9aに保持することができ、リアアイドラー9はその位置で遊動輪となる。
一方、2つの固定用ボルト92を外すと、各スライダー94は上下の対のガイドレール95の間を退避位置9bまで滑動することができる。退避位置9bは、リアアイドラー9を一時的に退避させるためのもので、その位置にはリアアイドラー9を固定する必要はないので、トラックフレーム1のその位置には固定用ボルト用の孔の形成は不要である。
ラバークローラ12の取り付け等の作業が終了すると、スライダー94の移動とともにリアアイドラー9を位置9bから位置9aまで移動させて、固定用ボルト92によって、リアアイドラー9を位置9aに固定する。
このように、リアアイドラー9を位置9aと位置9bとの間で移動できるようにした理由は以下のとおりである。
上記のとおり、フロントアイドラー8及びテンショナー10の組み合わせは、走行時のラバークローラ12の張力調整装置や緩衝装置として機能する。また、従来からあるミニショベル等に用いられているフルクローラに比べると、セミクローラのスプロケットのPCDは一回り大きい。そのため、フロントアイドラー8をフロントアイドラー8−1の位置まで移動しただけでは、ラバークローラ12の緩みは小さいためその取り外しや取り付けは困難である。
従来からあるトラクタでは、大径のスプロケットに相当するスプロケットを2分割又は3分割して、分割したものを1つずつ順に取り付けるという方法が取られている。しかし、その方法では、分割したスプロケットを用いなければならず、また、スプロケットの取り付け軸を二重にしなければならないため、費用の上昇や取り付け作業時間の増大を招いている。
そのため、本発明のセミクローラでは、リアアイドラー9を簡単に移動できる構造にしたことにより、ラバークローラ12の取り外しや取り付けを容易かつ短時間で行えるようにした。
[ラバークローラ]
図2に示すように、ラバークローラ12は、大径のスプロケット7、フロントアイドラー8、リアアイドラー9及び複数のトラックローラ11の外周にわたって装架されており、外側の面には、地表面とのグリップのための接地ラグ12aが等間隔で形成されており、また、内側には、大径のスプロケット7の歯と係合する複数のガイド突起が形成されている(図示せず)。
図2に示すように、ラバークローラ12は、大径のスプロケット7、フロントアイドラー8、リアアイドラー9及び複数のトラックローラ11の外周にわたって装架されており、外側の面には、地表面とのグリップのための接地ラグ12aが等間隔で形成されており、また、内側には、大径のスプロケット7の歯と係合する複数のガイド突起が形成されている(図示せず)。
(接地面)
図2に示すように、ラバークローラ12の複数のトラックローラ11が接する部分は農圃等の地表面に接するが、フロントアイドラー8及びリアアイドラー9に巻かれた部分は地表面から浮いた状態になっている。より詳しく述べると、複数のトラックローラ11の前方に位置するものからフロントアイドラー8に掛けられている部分は、上方に持ち上がるように傾斜しており、また、複数のトラックローラ11の後方に位置するものからリアアイドラー9に掛けられている部分は、上方に持ち上がるように傾斜している。
図2に示すように、ラバークローラ12の複数のトラックローラ11が接する部分は農圃等の地表面に接するが、フロントアイドラー8及びリアアイドラー9に巻かれた部分は地表面から浮いた状態になっている。より詳しく述べると、複数のトラックローラ11の前方に位置するものからフロントアイドラー8に掛けられている部分は、上方に持ち上がるように傾斜しており、また、複数のトラックローラ11の後方に位置するものからリアアイドラー9に掛けられている部分は、上方に持ち上がるように傾斜している。
そのように、ラバークローラ12の地表面に接地する側の前方及び後方の所定の部分を上方に浮かせたのは、ステアリング操作を容易にするためである。フロントアイドラー8側のラバークローラ12の持ち上がりは、トラクタ車体100が前進している場合に、トラクタの進行方向を変えるためのトラクタのステアリングハンドル76の操作を容易にし、また、リアアイドラー9側のラバークローラ12の持ち上がりは、トラクタ車体100が後退している場合に、トラクタの進行方向を変えるためのトラクタのステアリングハンドル76の操作を容易にする。そのため、小回りでき、旋回性能が高まる。
また、泥地内では、ラバークローラ12のトラックローラ11に掛けられた部分がやや沈み込むため、前後の浮き上がった部分が泥と接することになり、接地圧をより分散させることができるようになる。
(コンパクト化)
図3に示すように、本発明に係るセミクローラ20においては、ラバークローラ12の全幅内に、大径のスプロケット7、増速機4、車軸・フレーム連結フレーム2及びトラックフレーム1のすべてが収まっていて、いずれの部分もそれから飛び出していない。
図3に示すように、本発明に係るセミクローラ20においては、ラバークローラ12の全幅内に、大径のスプロケット7、増速機4、車軸・フレーム連結フレーム2及びトラックフレーム1のすべてが収まっていて、いずれの部分もそれから飛び出していない。
そのように構成できたのは、上記のとおり、大径のスプロケット7の歯の形成された部分7aから軸受7bの部分までが湾曲していて空間を形成していてその空間に増速機4が収容されているだけではなく、増速機4自体がコンパクトであり、また、軸・フレーム連結フレーム2の枠22a,22bがトラクタの後車輪軸50のディスク51及びホイールディスク46を挟むように配置するとともに、それらをトラクタの車体側に向かって傾斜させてトラックフレーム1の最も低い位置に揺動軸6を取り付けるように構成したからである。
そのため、セミクローラがコンパクトに構成されているだけではなく、土や泥のかたまりが、増速機4、車軸・フレーム連結フレーム2及びトラックフレーム1に付着し難くなっている。
[セミクローラへの取り換え]
トラクタの後輪をセミクローラに取り換える際には、トラクタ車体100をジャッキアップして左右の後輪90を後車輪軸50のディスク51から取り外す。次に、左右の後車輪軸50のディスク51のそれぞれに増速機4のホイールディスク46をボルトで固定する。固定が完了したらジャッキアップを終了してトラクタ車体100を下す。これで完了である。
トラクタの後輪をセミクローラに取り換える際には、トラクタ車体100をジャッキアップして左右の後輪90を後車輪軸50のディスク51から取り外す。次に、左右の後車輪軸50のディスク51のそれぞれに増速機4のホイールディスク46をボルトで固定する。固定が完了したらジャッキアップを終了してトラクタ車体100を下す。これで完了である。
[他の実施形態]
上記の実施形態では、農業用トラクタに取り付けられるセミクローラについて説明したが、建設機械、雪上車等セミクローラの接地圧の低い点や牽引力の強さを利用しようという自動車であれば、どのような自動車に対しても本発明に係るセミクローラは使用することができる。なお、ここで、自動車とは、原動機を備え、その動力によって車輪を回転し、軌条によらずに道路上を走行する車をいう。
上記の実施形態では、農業用トラクタに取り付けられるセミクローラについて説明したが、建設機械、雪上車等セミクローラの接地圧の低い点や牽引力の強さを利用しようという自動車であれば、どのような自動車に対しても本発明に係るセミクローラは使用することができる。なお、ここで、自動車とは、原動機を備え、その動力によって車輪を回転し、軌条によらずに道路上を走行する車をいう。
以上、本発明に係るセミクローラの一実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に拘束されるものではなく、当業者が容易になしえる追加、削除、改変等は、本発明に含まれるものであり、また、本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められることを承知されたい。
1・・・トラックフレーム
2・・・車軸・フレーム連結フレーム
21・・・上部連結部
22a,22b・・・枠
23・・・ベース部23
4・・・増速機
42,44,47・・・歯車
45・・・ギヤケース
46・・・ホイールディスク
5・・・スプロケット軸
50・・・後車輪軸
6・・・揺動軸
7・・・大径のスプロケット
8,8−1・・・フロントアイドラー
9,9−1・・・リアアイドラー
94・・・スライダー
95・・・ガイドレール
10・・・テンショナー
10s・・・ばね装置
10r・・・ロッド
11・・・トラックローラ
12・・・ラバークローラ
20・・・セミクローラ
24・・・揺動軸受部
2・・・車軸・フレーム連結フレーム
21・・・上部連結部
22a,22b・・・枠
23・・・ベース部23
4・・・増速機
42,44,47・・・歯車
45・・・ギヤケース
46・・・ホイールディスク
5・・・スプロケット軸
50・・・後車輪軸
6・・・揺動軸
7・・・大径のスプロケット
8,8−1・・・フロントアイドラー
9,9−1・・・リアアイドラー
94・・・スライダー
95・・・ガイドレール
10・・・テンショナー
10s・・・ばね装置
10r・・・ロッド
11・・・トラックローラ
12・・・ラバークローラ
20・・・セミクローラ
24・・・揺動軸受部
Claims (3)
- 駆動手段によって少なくとも後輪の車軸を回転させることによって走行可能な農業用トラクタに用いることのできるセミクローラであって、
歯が形成された円周部分と中心にある出力軸が固定された軸受部分とを有する大径のスプロケットと、
前記農業用トラクタの前記後輪の車軸に連結された入力軸の回転数を所定の比率で増加させて、大径のスプロケットに連結された前記出力軸に出力する増速機と、
該増速機を保持する車軸・フレーム連結フレームであって、2つの離隔して配置された枠を有し、該2つの枠の間に前記増速機を配置し、該2つの枠の双方の一方の端部が前記増速機に連結され、かつ、該2つの枠の双方の他方の端部がベース部を介して揺動軸に結合された、車軸・フレーム連結フレームと、
フロントアイドラー、トラックローラ及びリアアイドラーを回転自在に保持し、前記車軸・フレーム連結フレームの前記揺動軸を回転自在に保持する円筒形状の揺動軸受部が固定されていて、該揺動軸受部が前記トラックローラの回転軸の近くに配置されたトラックフレームと、
前記大径のスプロケットと、前記トラックフレームに保持されたフロントアイドラー、トラックローラ及びリアアイドラーとの外周に装架された無限軌条とを備え、
前記大径のスプロケットが、歯の形成された部分と該大径のスプロケットの前記出力軸の軸受部分とを連結する部分が湾曲して空間を形成し、該空間内に、前記増速機及び前記車軸・フレーム連結フレームの一部を収容し、前記車軸・フレーム連結フレームの前記2つの枠が、前記空間内に収容された前記増速機から延出して前記ベース部を介して前記揺動軸に結合され、該揺動軸が前記トラックフレームの円筒形状の揺動軸受部内に回転自在に挿入されており、
前記無限軌条の全幅内に、前記前記大径のスプロケット、前記増速機、前記車軸・フレーム連結フレーム及び前記トラックフレームが収容される、農業用トラクタに用いることのできるセミクローラ。 - 請求項1の農業用トラクタに用いることのできるセミクローラにおいて、前記増速機が歯車の組み合わせからなる増速手段を備える、農業用トラクタに用いることのできるセミクローラ。
- 請求項1又は2の農業用トラクタに用いることのできるセミクローラにおいて、前記トラックフレームにガイドレールが設けられており、前記リアアイドラーに、前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダーが取り付けられていて、該リアアイドラーが、保持位置から所定の距離隔てた退避位置まで移動可能である、農業用トラクタに用いることのできるセミクローラ。
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