JP2012030498A - 発泡成形体の製造方法、及び発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の発泡成形体の製造方法は、下記(1)〜(3)を満たすような配合で混合された混合樹脂に、発泡剤を加えて混練した樹脂を発泡パリソン10として押し出し、分割金型2の間で挟み込んで成形するものである。(1)長鎖分岐構造の高密度ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂を50〜90wt%含有する。(2)長鎖分岐構造のポリプロピレンを10〜50wt%含有する。(3)前記長鎖分岐構造の高密度ポリエチレンの配合割合をX(wt%)、前記長鎖分岐構造のポリプロピレンの配合割合をY(wt%)としたときに、X+2Y≧60を満たす。
【選択図】図1
Description
(1)長鎖分岐構造の高密度ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂を50〜90wt%含有する。
(2)長鎖分岐構造のポリプロピレンを10〜50wt%含有する。
(3)前記長鎖分岐構造の高密度ポリエチレンの配合割合をX(wt%)、前記長鎖分岐構造のポリプロピレンの配合割合をY(wt%)としたときに、X+2Y≧60を満たす。
実施形態として、本発明の製造方法により、車両の空調に用いられるダクトを製造する場合について説明する。
まず、押出機(図示せず)内で、複数の樹脂を混合した混合樹脂と発泡剤とを混練し、アキュームレータ(図示せず)に混練された樹脂を搬送する。尚、適宜、発泡の起点となる発泡核剤や着色用の顔料(カーボンブラック)などを混合する。所定の樹脂量がアキュームレータ内に貯留された後、アキュームレータのピストンを押すことにより、ダイ1のスリットより、円筒状の発泡パリソン10を押し出す(図1、図2参照)。分割金型2を型締めして、発泡パリソン10を挟み込みつつ、分割金型2のキャビティ面に開口するように形成された吸引用の穴2cから発泡パリソン10を吸引する(図3参照)。これにより、パリソン10の外面を金型内面に沿わして、発泡成形体20を形成する。その後、分割金型2を開き、発泡成形体20を取り出す。取り出された発泡成形体20の周囲にはバリ20aが付着している(図4参照)。当該バリ20aを取り除くことにより、所定のダクト100を得ることができる(図5参照)。
ただし、高発泡倍率の発泡成形体20を得たい場合は、発泡パリソン10内への吹き込みを行わずに、分割金型2からの吸引のみで行うことが望ましい。発泡パリソン10内への吹き込みを行った場合、発泡パリソン10が吹き込みの圧力で分割金型2に押し付けられ、厚さ方向に圧縮されてしまう。この場合、樹脂内の気泡が潰れたり、気泡が樹脂から抜けたりしてしまう。一方、分割金型2からの吸引のみで成形した場合は、発泡パリソン10が厚さ方向に圧縮されにくいため、樹脂内の気泡が潰れたり、気泡が樹脂から抜けたりすることを抑制できる。
即ち、長鎖分岐構造の樹脂を所定量以上含むことで、発泡倍率の高い発泡成形体を成形することができる。また、ポリエチレン系樹脂の含有率を50wt%以上とすることで、バリを引き裂き易くなり、ナイフを用いなくても素手で容易にバリ取りができるようになる。
成形に用いた混合樹脂の密度を、当該混合樹脂を発泡して得られた発泡成形体の見かけ密度で割った値を発泡倍率とした。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマーや、エチレンプロピレンゴム(以下、EPRと記載する)、オレフィンブロックコポリマー(以下、OBCと記載する)などを用いることができる。
スチレン系エラストマーとしては、分子内に水素が添加されたスチレン単位を有するエラストマーが適用可能である。例えば、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(以下、SEBSと記載する)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体等の水素添加エラストマーが適用可能である。
尚、OBC(オレフィンブロックコポリマー)とは、2種類の触媒からなる触媒システムにより、2種類のポリオレフィンが一本の分子内に交互にブロック状に形成されたものをいう。
<バリ取り強度の測定方法>
図4を用いて説明する。バリ付きの発泡ダクトを金型から取り出した後に、バリとダクトとの境目(分割金型の食い切り部で厚さ0.3mm、幅0.5mmになるように圧縮された溝状部分20b)における所定の位置Aから、当該溝状部分が延びる方向と垂直方向に向かってバリの縁部までをナイフで切断する(切断ラインを図4のL1で示す)。そして、所定の位置Aから、溝状部分に沿って、ナイフで5mmの切り込みL2を入れる。更に、所定の位置Aから切り込みL2を入れた方向に向かって、溝状部分に沿って2cm移動した位置Bから、溝状部分が延びる方向と垂直方向に5cm離れた位置に1cm角の穴Cを開ける。その穴Cを通して、引っ張り荷重を測定できるフォースゲージ(プッシュプルゲージなど)をバリに引掛ける。そして、当該フォースゲージを素手で引っ張ることでダクトの周りのバリをちぎった時に、フォースゲージに作用した力の最大値をバリ取り強度として測定した。
樹脂A:長鎖分岐HDPE(単独重合体)、東ソー(株)製「08S55A」
樹脂B:長鎖分岐PP(単独重合体)、ボレアリス社製「WB140」
樹脂C:HDPE(非長鎖分岐構造)、旭化成ケミカルズ(株)製「B470」
樹脂D:OBC、ダウケミカル社製「OBC9000」
樹脂E:SEBS、旭化成ケミカルズ(株)製「H1062」
樹脂F:EPR、日本ポリプロ(株)製「NBX8HR」
樹脂A、樹脂B、樹脂Cを、40:10:50の割合で混合した混合樹脂100重量部に、発泡剤として超臨界状態の炭酸ガス、核剤としてタルクマスターバッチ1.5重量部および着色剤としてカーボンブラックマスターバッチ1.5重量部を添加して発泡樹脂とした。これを、押出機で混練した後にマンドレルとダイ外筒の間の円筒状空間であるダイ内アキュームレータに貯留し、リング状ピストンを用いて円筒状のパリソンとして分割金型間に押出し、型締めしつつ、分割金型からパリソンを吸引することで、分割金型の内面形状沿って成形されたバリ付きの発泡ダクト成形体を得た。その後、バリ取り強度を測定した。
樹脂A、樹脂B、樹脂Cを、20:20:60の割合で混合した混合樹脂を用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が2.2倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、13(N)であった。
樹脂A、樹脂Bを、50:50の割合で混合した混合樹脂を用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が2.8倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、27(N)であった。
樹脂A、樹脂B、樹脂Cを、40:50:10の割合で混合した混合樹脂を用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が2.7倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、25(N)であった。
樹脂A、樹脂B、樹脂Cを、10:30:60の割合で混合した混合樹脂を用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が2.3倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、17(N)であった。
実施例6は、化学発泡剤のみで混合樹脂を発泡させた点で、実施例1と異なっている。
具体的には、樹脂A、樹脂B、樹脂Cを、40:10:50の割合で混合した混合樹脂100重量部に、発泡剤としてADCAマスターバッチ(三協化成株式会社製「セルマイクMB1023」)1.5重量部および着色剤としてカーボンブラックマスターバッチ1.5重量部を添加して発泡させ発泡樹脂とした。その他の製法は実施例1と同じであるため省略する。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が1.9倍であった。また、表面にシャークスキンが少し発生した。また、バリ取り強度は、8(N)であった。
発泡剤として重曹マスターバッチ(大日精化工業株式会社製「PO217K」)1.5重量部を用いた点で実施例6と異なるが、その他の製法は実施例6と同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が2.0倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、9(N)であった。
実施例8は、化学発泡剤と、物理発泡剤とを併用した点で、実施例1と異なっている。
具体的には、樹脂A、樹脂B、樹脂Cを、40:10:50の割合で混合した混合樹脂100重量部に、発泡剤として超臨界状態の窒素ガス、核剤として化学発泡剤である重曹マスターバッチ(大日精化工業(株)製「PO217K」)1.5重量部および着色剤としてカーボンブラックマスターバッチ1.5重量部を添加して発泡させ発泡樹脂とした。その他の製法は実施例1と同じであるため省略する。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が2.1倍であった。また、表面にシャークスキンは少し発生した。また、バリ取り強度は、12(N)であった。
実施例9は、発泡剤として、超臨界状態の窒素ガスに替えて、超臨界状態の炭酸ガスを用いた点で、実施例8と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が2.6倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、11(N)であった。
樹脂A、樹脂B、樹脂Dを、50:45:5の割合で混合した混合樹脂を用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が4.0倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、18(N)であった。
樹脂A、樹脂B、樹脂Dを、50:40:10の割合で混合した混合樹脂を用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が4.5倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、10(N)であった。
樹脂A、樹脂B、樹脂Dを、50:30:20の割合で混合した混合樹脂を用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が3.8倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、17(N)であった。
樹脂A、樹脂B、樹脂Dを、50:10:40の割合で混合した混合樹脂を用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が3.5倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、21(N)であった。
樹脂A、樹脂B、樹脂Eを、50:40:10の割合で混合した混合樹脂を用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が3.0倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、16(N)であった。
樹脂A、樹脂B、樹脂Fを、50:40:10の割合で混合した混合樹脂を用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が3.2倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、14(N)であった。
樹脂A、樹脂B、樹脂Cを、30:10:60の割合で混合した混合樹脂を用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が1.8倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、7(N)であった。
樹脂A、樹脂Bを、40:60の割合で混合した混合樹脂を用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が3.5倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、34(N)であった。
樹脂A、樹脂Cを、50:50の割合で混合した混合樹脂を用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が1.5倍であった。また、表面にシャークスキンが顕著に発生した。また、バリ取り強度は、5(N)であった。
樹脂Aのみを基材樹脂として用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が2.0倍であった。また、表面にシャークスキンが顕著に発生した。また、バリ取り強度は、22(N)であった。
樹脂Bのみを基材樹脂として用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が4.0倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度については、バリを製品(ダクト形状部分)から引き離していくときに、分割金型の食い切り部に挟み込まれた部分ではなく製品に亀裂が生じ、製品の胴体部が破断したため、測定できなかった。このことから、バリ取り強度は、非常に大きい(38Nよりも大きい)と推定される。
樹脂B、樹脂Cを、80:20の割合で混合した混合樹脂を用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が3.5倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、38(N)であった。
樹脂A、樹脂B、樹脂Cを、10:20:70の割合で混合した混合樹脂を用いた点で、実施例1と異なるが、その他の製法は同じである。
表1に示すように、成形された発泡ダクトは、発泡倍率が1.7倍であった。また、表面にシャークスキンは発生しなかった。また、バリ取り強度は、9(N)であった。
実施例1〜15は、(1)長鎖分岐構造の高密度ポリエチレン(樹脂A)を含むポリエチレン系樹脂を50〜90wt%含有し、(2)長鎖分岐構造のポリプロピレン(樹脂B)を10〜50wt%含有し、(3)長鎖分岐構造の高密度ポリエチレン(樹脂A)の配合割合をX(wt%)、長鎖分岐構造のポリプロピレン(樹脂B)の配合割合をY(wt%)としたときに、X+2Y≧60を満たす、配合の混合樹脂を発泡させたものである。
この場合、発泡倍率を高めることが可能であり、シャークスキンの顕著な発生を抑制でき、更に、バリ取り性を向上させることができる。
2 分割金型
2a 凹部
2b 食い切り部
2c 穴
3 棒状部材
10 発泡パリソン
20 発泡成形体
20a バリ
100 ダクト
Claims (9)
- (1)長鎖分岐構造の高密度ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂を50〜90wt%含有し、
(2)長鎖分岐構造のポリプロピレンを10〜50wt%含有し、
(3)前記長鎖分岐構造の高密度ポリエチレンの配合割合をX(wt%)、前記長鎖分岐構造のポリプロピレンの配合割合をY(wt%)としたときに、X+2Y≧60を満たす、
配合の混合樹脂に発泡剤を加えて混練した樹脂を押し出し、金型間で挟み込んで成形することを特徴とする発泡成形体の製造方法。 - 炭酸ガスを発生する化学発泡剤を混合して成形する、請求項1に記載の製造方法。
- 炭酸ガスからなる物理発泡剤を更に混合して成形する、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 熱可塑性エラストマーを5〜40wt%混合して成形する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記熱可塑性エラストマーとして、オレフィンブロックコポリマーを用いた、請求項4に記載の製造方法。
- 長鎖分岐構造の高密度ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂50〜90wt%と、長鎖分岐構造のポリプロピレン10〜50wt%と、を混合した混合樹脂を発泡させて成形した発泡成形体であって、前記長鎖分岐構造の高密度ポリエチレンの配合割合をX(wt%)、前記長鎖分岐構造のポリプロピレンの配合割合をY(wt%)としたときに、X+2Y≧60となる発泡成形体。
- 熱可塑性エラストマーが5〜40wt%混合された、請求項6に記載の発泡成形体。
- 前記熱可塑性エラストマーとして、オレフィンブロックコポリマーを用いた、請求項7に記載の発泡成形体。
- 発泡倍率が3倍以上であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の発泡成形体。
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