燃料電池は、筐体の収容室に配置されており、アノード活物質を有するアノード流体およびカソード活物質を有するカソード流体により発電する。燃料電池は、固体高分子形、固体酸化物形、溶融炭酸塩形、リン酸形等のいずれでも良い。アノード流体供給部は、筐体の収容室に配置されており、燃料電池のアノードにアノード流体を供給する。カソード流体供給部は、筐体の収容室に配置されており、燃料電池のカソードにカソード流体を供給する。ガスセンサは、筐体の収容室における燃料電池で使用または発生するガスを検知する。
換気部は、燃料電池の運転時において、または、非運転時であっても必要時において、筐体の収容室の空気を外部に排出すると共に外部の空気を収容室に吸入することにより、収容室の空気を換気させる。制御部は、定期的または不定期的に換気部による換気量を低減させるか0とする換気抑制時間帯を形成する。換気抑制時間帯は適宜形成される。例えば第1所定時間間隔ごとに換気抑制時間帯を形成することができる。第1所定時間としては、0.2時間〜48時間の範囲内において適宜設定できる。換気抑制時間帯は第2所定時間継続することができる。第2所定時間としては、例えば5秒間〜10分間の範囲、10秒間〜5分間の範囲において適宜設定できる。制御部は、換気抑制時間帯において収容室における燃料電池で使用または発生するガスの洩れの有無をガスセンサの出力値に基づいて検知する。
燃料電池で使用または発生するガスとしては、システムまたはユーザ等に影響を与えるガスであり、アノード流体を生成させる燃料原料、水素、一酸化炭素等が例示される。水素、一酸化炭素はアノード流体中に含まれることがある。換気抑制時間帯においては、換気量が多い場合に比較して、収容室における燃料電池で使用または発生するガスが収容室の外部に排出されることが抑制される。従って万一、収容室において燃料電池で使用または発生するガスが洩れているとき、燃料電池で使用または発生するガスが大気で希釈されることが抑えられ、収容室における燃料電池で使用または発生するガスの濃度が相対的に高くなる。このためガスセンサの出力値が高くなり、燃料電池で使用または発生するガスをそれだけ検知し易くなる。殊に、ガスセンサが経年変化しているときであっても、燃料電池で使用または発生するガスをそれだけ検知し易くなる。
本発明の一視点によれば、制御部は、システムが運転されているとき、換気部の作動により収容室を換気させつつ収容室における燃料電池で使用または発生するガスの洩れの有無をガスセンサが検知したガス濃度に基づいて検知する通常検知処理を実行しつつ、定期的または不定期的に換気抑制時間帯を形成し、換気抑制時間帯において収容室における燃料電池で使用または発生するガスの洩れの有無をガスセンサが検知したガス濃度に基づいて検知することが好ましい。通常検知処理においても、収容室における燃料電池で使用または発生するガスの洩れの有無を検知できる。これに対して換気抑制時間帯においては、換気量が多い場合に比較して、収容室における燃料電池で使用または発生するガスが収容室の外部に排出されることが抑制される。従って収容室において燃料電池で使用または発生するガスが洩れているとき、燃料電池で使用または発生するガスが大気で希釈されることが抑えられ、燃料電池で使用または発生するガスの濃度が相対的に高くなる。このため換気抑制時間帯においてはガスセンサが燃料電池で使用または発生するガスをそれだけ検知し易くなる。殊に、ガスセンサが経年変化しているときであっても、燃料電池で使用または発生するガスをそれだけ検知し易くなる。
ガスセンサは、一の燃料電池で使用または発生するガスを検知する第1センサ部と、他の燃料電池で使用または発生するガスを検知する第2センサ部とを備えていることが好ましい。この場合、制御部は、換気部による換気量を第1低減換気量まで低下または0とさせる第1換気抑制時間帯を形成し、第1換気抑制時間帯において収容室における燃料電池で使用または発生するガスの洩れの有無を第1センサ部により検知する第1処理を実行できる。更に制御部は、換気部による換気量を第2低減換気量まで低下させまたは0とさせる第2換気抑制時間帯を形成し、第2換気抑制時間帯において収容室における燃料電池で使用または発生するガスの洩れの有無を第2センサ部により検知する第2処理を実行することができる。一の燃料電池で使用または発生するガスを検知する第1センサ部と、他の燃料電池で使用または発生するガスを検知する第2センサ部とにおいて、センサ出力特性、最適検知条件等が異なる場合等に有効である。なお、制御部は第1処理と第2処理とを所定の時間間隔を隔てて交互に実行できる。
換気部による換気は、筐体の収容室における熱こもりを抑える機能も有する。換気量を低減させるか0とする場合には、収容室の熱こもりが促進されるおそれがあり、熱こもりが過剰になる場合には、補機類の長寿命化には有利ではない。燃料電池の発電電力が所定値以下であれば、発電電力が大きい場合には比較して、燃料電池、補機類の放熱は抑えられている。改質器が設けられている場合には、改質器からの放熱も抑えられている。
そこで本発明の一視点によれば、制御部は、燃料電池の発電電力が所定値以下であるとき、換気量を低減または0とさせる換気抑制時間帯を形成することができる。この場合、燃料電池の発電電力が所定値以下に抑えられており、燃料電池、補機類、改質器等の放熱が抑えられているため、収容室における換気量を低減させるか0としても、収容室における熱こもりが抑制される。
本発明の一視点によれば、換気抑制時間帯が第1所定時間t1間隔で実施され、換気抑制時間帯が第2所定時間t2ぶん実施されることが好ましい。換気抑制時間帯において換気量が0とされる場合、その換気抑制時間帯が継続される第2所定時間をt2(0)とする。単位時間あたり、換気抑制時間帯において換気量がQ1からQ2に低減される場合、換気抑制時間帯が継続される第2所定時間をt2(Q2)とする。この場合、t2(Q2)>t2(0)の関係設定されていることが好ましい。換気量が少ない方が収容室において熱こもりが発生するおそれがあるため、熱こもりの抑制を考慮すれば、換気抑制時間帯が早期に終了した方が好ましいためである。
本発明の一視点によれば、換気抑制時間帯におけるガスセンサが検知したガス濃度の変化に基づいて有害ガスの洩れの有無を検知することが好ましい。
ところで、換気量の違いによるガスセンサの出力値の違いによってガスの洩れを検知することが好ましい。このため、図5、6の場合には、第2所定時間t2後のガス濃度の変化量が所定値以上であるとき、制御部は洩れと判定する。更に、第2所定時間t2の間にガス濃度が所定値を超えたらガス洩れと判定する方法がある。また、第2所定時間t2を待たずに判定できる方法がある。この場合、洩れ量が多いときに、より早く判定できる。換気抑制時間帯においてガス濃度の変化率が所定値以上になったら、制御部がガス洩れと判定する方法がある。
燃料原料として使用されるメタンガス(天然ガス)や水素が使用されることがある。この場合、これらは空気より軽いため、換気量が小さい場合には、収容室内の上部に滞留しやすい性質を持っている。このため、収容室内の上部にガスセンサを設置することにより、有害ガスの漏れを検知しやすくなる。一酸化炭素は、空気とほぼ同じ重さ(やや軽い)であるが、通常換気量の場合には空気の流れによって上部に移動する傾向をもつ。換気量が小さい場合には、一酸化炭素は、収容室内の温度による自然対流により収容室内の上部に滞留しやすい性質を持っている。このため、収容室内の上部にガスセンサを設置することで有害ガスの漏れを検知しやすくなる。対象ガスが空気よりも重い場合(例えば、燃料原料がプロパンガスや灯油等の場合)には、換気量が小さい場合には、収容室内の下部にガスが滞留しやすい性質を持っている。この場合、収容室内の下部にガスセンサを設置することが好ましい。
(実施形態1)
図1は実施形態1の概念を示す。システムは、収容室10を有する筐体1と、筐体1の収容室10に配置された発電モジュール9と、発電モジュール9の断熱壁90の包囲された燃料電池のスタック7と、筐体1の収容室10に配置されスタック7のアノードにアノードガス(アノード流体)を供給するアノードガス通路(アノード流体供給部)78と、筐体1の収容室10に配置されスタック7のカソードにカソードガスである空気(カソード流体)を供給するカソードガス通路70(カソード流体供給部)と、筐体1の収容室10における燃料電池で使用または発生するガスを検知するガスセンサ100mと、換気部6と、制御部100とを有する。スタック7の燃料電池は、アノード活物質を有するアノードガスおよびカソード活物質を有するカソードガスにより発電する。アノードガス通路78は筐体1の収容室10に配置されており、スタック7のアノードにアノードガスを供給する。
カソードガス通路70は、カソードガスポンプ72(カソードガ流体搬送源)と、除塵フィルタ17と、流量計76とを有する。アノードガス通路78は、燃料原料源(都市ガス、プロパンボンベ等)に繋がり、ポンプ、脱硫器、バルブ、改質器等を有する。燃料原料源から改質器に供給された燃料原料は、改質されて、アノードガスとしてスタック7のアノードに供給される。
筐体1の上部には、複数の橋架部12xをもつグリル構造の排気口12が形成されている。排気口12は、上部12u、下部12d,側部12sを有する。筐体1の下部には、複数の橋架部11xをもつグリル構造の吸気口11が形成されている。吸気口11は、上部11u、下部11d,側部11sを有する。換気部6は収容室10において発電モジュール9の下方に位置して収容されている。換気部6は、ハウジングと、ハウジングに配置された回転可能な送風ファンとを有する。換気部6が駆動してファンが回転すると、筐体1の収容室10の空気は排気口12から筐体1の外部14に排出されると共に、外部14の新鮮な空気は吸気口11から収容室10に吸入される。これにより収容室10の空気を換気させる。
ガスセンサ100mは、筐体1の収容室10において発電モジュール9の上方に位置するように、排気口12の近傍において、排気口12の上部12uの高さ位置よりも上方に配置されている。このため、換気部6の換気量が低減または0になる場合には、収容室10において燃料電池で使用または発生するガスがガスセンサ100m付近に滞留され易くなる。よって、換気部6の換気量が低減または0になる場合には、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスをガスセンサ100mが効率よく検知できるようになっている。システムにおける燃料電池で使用または発生するガスとしては、システムまたはユーザ等に影響を与えるガスであり、アノードガス改質用の燃料原料、改質反応で発生した水素、一酸化炭素等が挙げられる。ガスセンサ100mは、上記した燃料電池で使用または発生するガスの全体を検知できる方式でも良いし、あるいは、複数のガスをそれぞれ個別に検知できる複数のセンサ部を備える方式でも良いし、あるいは、複数のガスのうち単数のガスのみを検知できるセンサ部を備える方式でも良い。
換気部6が駆動するとき、筐体1の収容室10に吸入される空気の収容室10における流れは、基本的には、図1において、矢印X10,X11,X12,X13,X14として示されている。すなわち、システムが運転(起動運転、発電運転、停止運転等)されているとき、換気部6が作動して吸引作用が発生する。すると、筐体1の外部14の新鮮な空気が筐体11の吸気口11から矢印X10方向に沿って収容室10に吸引され、更に前述したように、矢印X10,X11,X12,X13方向に流れ、発電モジュール9の断熱壁90に接触して発電モジュール9を冷却させた後、矢印X14方向として排気口12から外部14に放出される。このようにシステムが運転されているときには、換気部6が作動して吸気口11から排気口12に向けて収容室10の換気が実行される。この場合、制御部100はガスセンサ100mの出力値を計測し、収容室10におけるガス漏れの有無を検知している(通常検知処理)。
システムが運転(起動運転、発電運転、停止運転等)されているとき、あるいは、システムが運転されていないとき、換気部6のファンは所定の回転数で回転駆動し、収容室10を換気する。本実施形態によれば、制御部100は、定期的または不定期的に、換気部6の単位時間あたりの出力を低下させ、換気部6による単位時間あたりの換気量を低減させるか0とする。つまり換気部6のファンの単位時間あたりの回転数を低下または0とさせる。これにより制御部100はシステムの運転中において換気抑制時間帯を形成する。これにより、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスの洩れの検知感度を高める。すなわち、制御部100は、システムが運転されているとき、換気部6の作動により収容室10を換気させつつ収容室10における燃料電池で使用または発生するガスの洩れの有無をガスセンサ100mの出力値に基づいて検知する通常検知処理を実行しつつ、定期的または不定期的に換気抑制時間帯を形成し、換気抑制時間帯において収容室10における燃料電池で使用または発生するガスの洩れの有無をガスセンサ100mの出力値に基づいて検知する。
上記したように換気部6の単位時間あたりの出力を低下させたり0とさせる換気抑制時間帯によれば、万一、燃料電池で使用または発生するガスが収容室10に洩れている場合において、換気部6の出力が大きくて収容室10の換気量が多い通常検知処理の場合に比較して、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスが収容室10の外部に排出されることが抑制され、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスの濃度が相対的に高くなる。このためガスセンサ100mの出力値が高くなり易く、収容室10の燃料電池で使用または発生するガスを応答性よく検知できる。殊に、経年変化等によりガスセンサ100mの0点が感度が低下する方向にずれている場合であっても、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスの検知濃度が高くなるため、ガスセンサ100mの出力値が高くなり、それだけ検知し易くなる。従って本実施形態はガスセンサ100mの経年変化に対応し易い利点が得られる。
図2は、燃料電池で使用または発生するガスが既定量漏れている場合において、換気部6による換気量と燃料電池で使用または発生するガスのガス濃度との基本的な関係を模式的に示す。図2の縦軸で示されるガス濃度は、換気量を変化させた後においてガス濃度を示す。図2に示すように、換気部6による換気量がQ2からQ1に増加されると、収容室10に流入した換気用空気により収容室10の燃料電池で使用または発生するガスは希釈化されるため、収容室10においてガス濃度は相対的に低下する傾向がある。逆に、換気部6による換気量がQ1からQ2に低減されると、収容室10におけるガス濃度は相対的に高くなる傾向がある。
図3は、従来技術に係るガスセンサ100mの出力特性を示す。図3の特性線W1に示すように、ガスセンサ100mの出力値は、基本的には燃料電池で使用または発生するガスのガス濃度と相関性をもつ。燃料電池で使用または発生するガスの濃度が高くなると、基本的には出力値は増加する傾向がある。燃料電池で使用または発生するガスの濃度が低下すると、基本的には出力値は減少する傾向がある。従って、ガス漏れと検知し警報を出力すべきガス濃度がA−1とすると、ガスセンサ100mの出力値がVe(絶対値)以上となった場合に、ガス漏れが検知されて警報が出される。
ここで、図3の特性線W2に示すように、ガスセンサ100mの出力値の0点がV0-1から0点がV0-2にずれるように、ガスセンサ100mが経年変化することが往々にしてある。このようにガスセンサ100mが経年変化した場合には、ガス濃度がA-1であったとしても、ガスセンサ100mの出力値はVe未満のVf(Vf<Ve)を示すに過ぎない。この場合、ガスセンサ100mの検知感度が実質的に低下することになり、収容室10におけるガス漏れが既定濃度A−1として検知されないおそれがあり、好ましくない。この場合、図2の特性線W2に示すように、ガス濃度がA-2(A-2>A-1)に更に増加しなければ、ガスセンサ100mの出力値はVeに到達せず、収容室10における既定濃度A−1でのガス漏れが検知されず、警報が出力されないおそれがある。
換言すると、図3に示す従来技術では、ガスセンサ100mの出力値VがVe以上となった場合に、制御部100は、ガス洩れ異常である旨を検知し、警報を出力し、システムの運転を停止させていた。従って、ゼロ点が経年変化でV0-1からV0-2に変化するときには、ゼロ点補正がされない場合には、ガス濃度がA-1ではなくA-2(A-2>A-1)に増加しなければ、ガス洩れである検知できないおそれがある。このような従来技術によれば、比較的短い時間間隔で、ガスセンサ100mのゼロ点補正をすることで検知精度を確保している。ゼロ点補正は、燃料電池で使用または発生するガスが0であることが前提であるため、システムの運転は一般的には停止される。
しかしながら燃料電池システムによっては、システムが長時間(例えば1週間,1ヶ月)にわたり連続運転するような場合がある。この場合には、システムの運転の停止が長期にわたり発生しないため、ゼロ点補正が事実上できないといった問題がある。この点本実施形態によれば、システムの運転を停止させずとも、システムを連続的に運転させつつ、換気部6の換気量を低減させるか0とすることにより換気抑制時間帯を形成すれば、収容室10のうちガスセンサ100m付近において燃料電池で使用または発生するガスを適度に濃縮できるため、ガスセンサ100mの出力値に基づいて、収容室10におけるガス漏れを良好に検知することが可能となる。もちろん、システムの運転を停止させてガスセンサ100mの出力値について0点補正を頻繁にしても良い。換言すると、本実施形態によれば、換気部6の換気量の低減に基づいて収容室10におけるガス濃度を変化させてガス洩れを検知する。この場合、図3に示すようにガスセンサ100mの出力値のゼロ点が仮にずれていたとしても、良好なガス漏れ検知結果が得られ、ガス漏れの検出精度を確保することができる。
図4は、本実施形態に係るガスセンサ100mの特性を示す。ガスセンサ100mが経年変化していない場合、ガスセンサ100mの出力値がVe(閾値)を高出力側に超えるとき、収容室10におけるガス濃度はA-1であり、収容室10におけるガス漏れが良好に検知され、警報が出力される。しかしながら図4の特性線W2に示すように、出力値の0点がV0-1から0点がV0-2にずれるようにガスセンサ100mが経年変化することがある。このようにガスセンサ100mが経年変化した場合であっても、本実施形態によれば、換気部6による換気量を低減させたり0にすることにより換気抑制時間帯を形成する。この場合、前述したように換気抑制時間帯において収容室10の燃料電池で使用または発生するガスがガスセンサ100m付近において濃縮され、ガス濃度がA-2(A-2>A-1)に増加する。このように燃料電池で使用または発生するガスが収容室10において濃縮されるため、ガスセンサ100mのセンサ出力値はVfからVeに増加し、収容室10におけるガス漏れが良好に検知される。
図5及び図6は、本実施形態に係る出力値の検知を行った場合の一例を示す。システムの運転中において、換気部6は、単位時間あたりの換気量Q1を継続的に維持し、収容室10が換気されている場合を例示する。換気量がQ1に設定されている場合において、制御部100は、ガスセンサ100mの出力値V1を求める通常検知処理を規定時間間隔(例えば10ミリ秒間隔)ごとに実行する。通常検知処理において出力値V1がVe(閾値)よりも大きいときには、制御部100は収容室10のガス洩れが発生している判定し、警報器に警報を出する。通常検知処理の途中において、起動開始時刻または前回の換気抑制時間帯の終了時刻から第1所定時間t1経過しているときには、制御部100は、換気部6の単位時間あたりの出力を低下させて換気抑制時間帯を形成し、単位時間あたりの換気量をQ1からQ2に低下させる。換気量をQ2に低下させる換気抑制時間帯は、第2所定時間t2ぶん継続される。第2所定時間t2継続された後、換気量はQ1に再び戻す。
換気量がQ2に低減された場合(換気量の低減開始時刻から第2所定時間t2経過した後)において、制御部100は、ガスセンサ100mの出力値を求める。ここで、収容室10においてガス洩れがある場合には、ガスが濃縮されて収容室10におけるガスの濃度が増加するため、ガスセンサ100mの出力値V2は、出力値V1(換気抑制時間帯の直前の出力値)よりも増加する(V2>V1)。そこで制御部100は、両者の差ΔV(ΔV=V2−V1)を求める。この場合、ガスセンサ100mの出力値の差ΔV(ΔV=V2−V1)がΔVx(閾値)以上となると、収容室10におけるガス洩れの発生が検知される。
これに対して、収容室10においてガス漏れが発生していない場合、あるいは、規定量以下のガス漏れ量の場合は、ガスセンサ100mの出力値V2(換気抑制時間帯の実行後の出力値)自体は小さい。従って、出力値の差ΔV(ΔV=V2−V1)が小さい。出力値の差ΔVがΔVx未満である場合には、図6に示すように、出力値V2が出力値V1に対してあまり増加せず、増加したとしても僅かである。従って、ガスセンサ100mの出力値の差ΔV(ΔV=V2−V1)は微小であり、配管等のガス洩れは発生しておらず、システムは正常であると判定される。
このように本実施形態によれば、システムの運転を停止させずとも、システムを連続的に運転させつつ、換気部6の換気量を低減させるか0とすることにより換気抑制時間帯を形成すれば、収容室10のうちガスセンサ100m付近において燃料電池で使用または発生するガスを適度に濃縮できるため、ガスセンサ100mの出力値に基づいて、収容室10におけるガス漏れを良好に検知することが可能となる。0点補正は、システムの運転が停止した状態で必要に応じて実行できる。場合によっては、0点補正せずとも別段の支障が無いため、0点補正を廃止することもできる。
(実施形態2)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図6を準用できる。本実施形態によれば、前述したように、換気抑制時間帯は第2所定時間t2ぶん継続される。第2所定時間t2継続された後、換気量はQ1に再び戻る。ここで、換気抑制時間帯において換気量が0とされる場合において、その換気抑制時間帯が継続される第2所定時間をt2(0)とする。換気抑制時間帯において換気量が0ではなくQ2に低減される場合において、換気抑制時間帯が継続される第2所定時間をt2(Q2)とする。t2(Q2)>t2(0)にできる。t2(Q2)=t2(0)にできる。
理由としては次のようである。収容室10の換気量が0であれば、換気による放熱が低下するため、収容室10に収容されている補機類等の部品からの放熱の影響が相対的に大きくなり、収容室10における熱こもりが発生し易いといえる。しかしながら、換気量がQ2に低減されているといえども、収容室10が換気されている限り、収容室10における熱こもりが抑えられる。このため、第2所定時間t2(Q2)を長めに設定しても、収容室10の熱こもりの影響が少ないためである。但し、場合によっては、t2(Q2)=t2(0)、または、t2(Q2)≒t2(0)としても良い。制御部は100は、換気抑制時間帯についてt2(Q2)およびt2(0)を交互に実行できるが、t2(Q2)のみ、あるいは、t2(0)のみ実行しても良い。
(実施形態3)
図7は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1,2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。図7は制御部100が内蔵するCPUが実行するフローチャートを示す。システムが起動すると、このフローチャートに基づいて制御が開始(Start)され、既定周期(10ミリ秒等)で制御が行われる。システムが運転しているとき、換気部6は換気量Q1で駆動している。ガスセンサ100mの出力値Vを求める(ステップS2)。出力値VがVe(絶対値)よりも大きいか否かを判定する(ステップS4)。ガスセンサ100mの出力値VがVe(閾値)よりも大きい場合には(ステップS4のNO)、制御部100は、ガス漏れ異常と判定し、警報を出力しシステムを停止する(ステップS16)。ガスセンサ100mの出力値VがVe以下(V≦Ve)であると判定され場合には(ステップS4のYES)、ガス漏れは一応ないと推定される。しかしながら、起動開始時刻もしくは前回の高感度処理の終了時刻から経過した経過時間tが第1所定時間t1以下であるか否かを判定する(ステップS6)。
経過時間tが第1所定時間t1以下である場合には(ステップS6のYES)、制御部100は、ガスセンサ100mは正常であると判断し、システム運転を継続し(ステップS8)、メインルーチンに戻る。ここで、第1所定時間t1は、基本的にはガスセンサ100mの経時特性により決定される値である。1日単位でゼロ点が大きく変化するようなセンサであれば、第1所定時間t1は例えば1時間〜24時間の範囲内において適宜設定される。
経過時間tが第1所定時間t1よりも経過しているときには(ステップS6のNO)、制御部100は、第2所定時間t2ぶん、換気部6による単位時間あたりの換気量を、正規の換気量Q1からQ2に低減させる換気抑制時間帯を形成する(ステップS10)。単位時間あたり、Q2/Q1として、例えば、0.8〜0.05の範囲、0.6〜0.1の範囲、0.5〜0.2の範囲に設定できる。ここで、収容室10の換気量が低減されると、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスの濃度が高くなると共に、換気により収容室10の補機類の冷却を促進させる作用が低下する。更に、換気により発電モジュール9を冷却させる能力も低下する。ここで、第2所定時間t2は、既定量のガスが漏れた場合においてガスセンサ100mの出力値の変化に基づいて、筐体1の内部および外部のガス濃度が過剰に高濃度にならず、且つ、収容室10におけるガス漏れの有無を誤検知なく検知できること、且つ、筐体1の収容室10に収容されている補機類、制御部100、発電モジュール9を冷却させることに対して影響を与えないといった観点から適宜決定される。第2所定時間t2としては10秒〜10分の範囲、特に30秒〜5分の範囲内が例示される。
更に、制御部100は、第2所定時間t2が経過した後、換気部6による換気量をQ1からQ2に低減させた前後におけるガスセンサ100mの出力値の差ΔV(ΔV=V2−V1)を求める(ステップS12)。制御部100は、差ΔVがΔVx(閾値)以下か否かを判定する(ステップS14)。ΔV≦ΔVxである場合には(ステップS12のYES)、収容室10においてガス洩れは発生しておらず、配管等のガス流路系は正常であると判定し、システムの運転を継続する(ステップS8)。一方、ΔV>ΔVxである場合には(ステップS14のNO)、収容室10においてガス漏れが発生しており、配管等のガス流路系は異常である判定し、システムを停止すると共に警報器に警報を出力する(ステップS16)。以上説明したように本実施形態によれば、従来から採用されているガスセンサ100mの出力値の絶対値Veを用いる他に、換気量の低減させた前後におけるガスセンサ100mの出力値の変化量ΔV(ΔV=V2−V1)を用いて、収容室10におけるガス漏れの有無を判定するために、精度良くガス漏れ検知が可能となる。
(実施形態4)
本実施形態は図7に示す実施形態3と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図7を準用できる。本実施形態では、ステップS10において換気抑制時間帯を形成するにあたり、換気部6の回転を停止させることにより換気量をゼロにする。この場合、収容室10の人工換気は停止される。自然換気のみとなる。この場合、人工換気量がゼロであるため、燃料電池で使用または発生するガスが収容室10において万一洩れている場合には、換気量大で収容室10が換気されている場合に比較して、収容室10においてガスセンサ100m付近では燃料電池で使用または発生するガスの濃縮速度が速い。このためガスセンサ100mの出力値の増加速度が速く、ガスセンサ100mの出力値が増加し易いと考えられる。このため図7に示すステップS14において、ΔV≦ΔVx成立する否かを判定するにあたり、閾値として、ΔVxよりも小さなΔVyを採用しても良い(ΔVx>ΔVy)。
すなわち、換気抑制時間帯においては、収容室10の換気量の大きさに応じて、ガスセンサ100mの出力値Vに対する閾値、出力値の差ΔVに対する閾値を変化させることができる。
換言すると、換気抑制時間帯において収容室10の換気量が相対的に大きいときには、収容室10においてガス漏れが発生していたとしても、収容室10においてガスセンサ100m付近での燃料電池で使用または発生するガスの濃縮速度が相対的に遅くなると考えられる。この場合、ガスセンサ100mの出力値の増加速度が相対的に低下し、出力値が相対的に増加しにくい。この場合、上記した閾値Ve,ΔVxを相対的に大きくすることができる。
また、換気抑制時間帯において収容室10の換気量が相対的に小さいときには、あるいは、換気量ゼロのときには、燃料電池で使用または発生するガスの洩れが発生している場合には、収容室10においてガスセンサ100m付近での燃料電池で使用または発生するガスの濃縮速度が速いと考えられる。この場合、ガスセンサ100mの出力値の増加速度が相対的に速くなり、その出力値の絶対値が相対的に大きくなり、ガス漏れの検知応答性が高くなる。この場合、上記した閾値Ve,ΔVxを小さくしても、ガス洩れの有無を検知できる。
(実施形態5)
図8は実施形態5の概念を示す。燃料電池システムは、固体高分子形燃料電池を組み付けて形成されている。図8に示すように、システムは、収容室10を有する筐体1と、可燃性をもつ燃料を空気で燃焼させるバーナである燃焼部2と、燃焼部2に空気を供給させるポンプ、ブロア等の空気供給装置3と、燃焼部2に基づく加熱により改質用燃料を改質させる改質器4と、収容室10を換気させる換気流を発生させる換気部6とを有する。
筐体1の収容室10は、燃焼部2、空気供給装置3、改質器4、換気部6、スタック7を収容している。可燃性を有する燃焼用燃料を燃焼部2に供給する燃焼用燃料通路20が収容室10に配置されている。改質用燃料を改質器4に供給する改質用燃料通路40(アノード流体供給部)が収容室10に配置されている。空気供給装置3は、収容室10の空気を吸引させるための吸引口31と、ポンプで形成された空気供給機構32とをもつ。吸引口31は収容室10に対面している。ここで、空気供給装置3に内蔵されている空気供給機構32が作動して回転すると、収容室10の空気は吸引口31から吸引され、燃焼用空気として空気供給通路34を介して燃焼部2に供給され、燃焼部2における燃焼反応に使用される。なお燃焼用燃料および改質用燃料としてはガス状が好ましい。スタック7は、複数の燃料電池の単セルを積層して構成されている。
図8に示すように、スタック7を構成する単セルは、アノード7aと、カソード7cと、アノード7aおよびカソード7cで挟まれた電解質7eとを有する。スタック7のカソード7cからカソードガス通路70(カソード流体供給部)が延設されている。カソードガス通路70にはカソードガス(カソードガス流体)を加湿させる加湿器71と、収容室10内の空気をカソードガス(カソード流体)として加湿器71を介してスタック7のカソード7cに供給させるカソードガスポンプ72(カソード流体搬送源)が設けられている。なお、収容室10内の空気(カソードガス)は改質器4およびスタック7からの放熱で暖められているため、発電反応の効率が高められる。スタック7のカソード7cで発電反応を終えたカソードオフガスは、収容室10に配置されているカソードオフガス通路73を介してカソードオフガス排出口74から外部14に排出される。
図8に示すように、筐体1は箱状をなしており、天井壁1uと底壁1dと第1側面壁1eと第2側面壁1fとを少なくとも有する。筐体1の下部には、外気を収容室10の下部に吸引できるように吸気口11が換気口として形成されている。筐体1の上部には、収容室10の上部の空気を外部14に放出できるように排気口12が換気口として形成されている。
換気部6は、換気ファン60と、換気ファン60を回転駆動させる駆動モータで形成された駆動部62とを有しており、筐体1の吸気口11に直接または他の部材を介して対向するように配置されており、外部14の空気を収容室10に吸引させ易くしている。換気部6が作動して換気ファン60が回転すると、筐体1の外部14の空気が筐体1の吸気口11からフィルタ17を透過して矢印X1方向に向けて収容室10に吸引され、更に、収容室10を流れ、排気口12から矢印X2方向に向けて筐体1の外部14に排出される。これにより収容室10の換気が実行される。
図8に示すように、空気供給装置3は、筐体1の吸気口11および換気部6よりも筐体1の内側に配置されている。従って、空気供給装置3の吸引口31は、筐体1の吸気口11および換気部6よりも筐体1の内側に配置されている。このため、換気部6が作動して外部14の新鮮な空気を矢印X1方向に収容室10に吸引させるとき、酸素濃度が高い新鮮な空気を吸引口31から空気供給装置3に良好に吸い込むことができる。この場合、燃焼部2における燃焼効率が高くなる。吸気口11には、吸気口11から収容室10に流入する外気に含まれる塵埃等を低減させるための浄化用のフィルタ17が設けられている。なお、フィルタ17は一般的には装備されているが、外気が清浄の場合には廃止しても良い。
一般的には、システムが運転(起動運転,発電運転,停止運転)しているとき、換気部6の換気ファン60は作動し、収容室10の空気を上記したように換気させている。このため万一、配管の緩み等に起因してガス洩れが収容室10において発生するときであっても、洩れたガスは、換気部6の換気作用により排気口12から外部14に直ちに排出されるため、安全性が高められている。
改質器4には改質水通路44が延設されている。改質水通路44には、システムで生成された凝縮水等の原水を溜めると共にイオン交換樹脂等の精製材45aで原水(例えば、システムにおいて発生した凝縮水、水道水等)を精製させる精製器45と、精製器45で精製された純度が高い水を改質用水として溜めるタンク46とを有する。給水ポンプ48(水搬送源)が作動すると、タンク46の水は改質水通路44を介して改質水として改質器4の蒸発部に供給され、水蒸気化される。生成された水蒸気は改質器4の改質部に供給される。更に水蒸気は、改質用燃料通路40から改質器4に供給される燃料原料を改質させる。
さて、燃料電池システムが運転されるときには、燃焼用燃料が燃焼用燃料通路20を介して燃焼部2に供される。更に、空気供給装置3が作動するため、空気供給装置3の吸引口31から収容室10の空気が燃焼用空気として空気供給通路34を介して燃焼部2に供給される。これにより燃焼部2において燃焼用燃料が燃焼用空気により燃焼する。このように収容室10内の空気は燃焼用空気として燃焼部2に供給される。上記したように燃焼部2において燃焼用燃料が燃焼されるため、改質器4の改質部は改質反応に適するように高温に加熱される。この状態で、改質用燃料が改質用燃料通路40から改質器4に供給されると共に、タンク46に溜められている水が改質水として改質器4の蒸発部に供給されて水蒸気化される。生成された水蒸気は、改質器4の改質部において改質用燃料を改質させる。これにより水素を主要成分とするアノードガスが生成される。生成されたアノードガスはアノードガス通路78(アノード流体供給部)および入口バルブ79iを介してスタック7のアノード7aに供給され、発電反応に使用される。発電反応を経たアノードオフガスは、水素等の可燃成分を残留させているため、アノード7aの出口から、出口バルブ79pおよびアノードオフガス通路77を介して燃焼部2に供給され、燃焼部2において燃焼され、燃焼排ガスとして燃焼部2の図略の排気口から外部14に放出される。なお、スタック7のアノードの入口は入口バルブ79iにより開閉可能である。アノード7aの出口は出口バルブ79pにより開閉可能である。
システムの発電運転時には、カソードガスポンプ72(カソード流体搬送源)が作動するため、収容室10の空気が入口72iからカソードガス(カソード流体)として加湿器71を介してスタック7のカソード7cに供給される。このように燃料電池システムが運転されるとき、換気部6が作動して換気ファン60が回転し、換気部6のうち吸気口11側において吸引作用が発生する。このため、筐体1の外部14の空気が筐体1の吸気口11から矢印X1方向に収容室10に吸引され、収容室10を流れ、排気口12から矢印X2方向に向けて筐体1の外部14に排出される。これにより収容室10の換気が実行される。
図8に示すように、燃料電池で使用または発生するガスを検知するガスセンサ100mが収容室10のうちスタック7および改質器4よりも上方に配置されている。殊に、収容室10の上部において排気口12付近(スタック7および改質器4よりも排気口12側)に、ガスセンサ100mが配置されている。システムの運転中において、万一、収容室10内の配管の緩み等に起因してガス洩れが発生するときには、ガス洩れはガスセンサ100mにより検知される。収容室10の上部(スタック7および改質器4よりも上方)には温度センサ100tが配置されている。殊に、収容室10の上部には排気口12付近(スタック7および改質器4よりも排気口12側)に温度センサ100tが配置されている。
本実施形態によれば、システムが運転(起動運転、発電運転、停止運転)している限り、制御部100は、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスの洩れを検知している(通常検知処理)。更に、通常検知処理よりも検知感度を高めるために、制御部は100は、換気抑制時間帯を定期的または不定期的に形成する。換気抑制時間帯によれば、換気部6の単位時間あたりの出力は、通常検知処理の場合よりも低下され、よって収容室10の換気量は低減される。ここで、通常検知処理において換気部6の単位時間あたり回転数をNnormalとする。換気抑制時間帯における換気部6の単位時間あたり回転数をNdetectiveとする。ここで、Ndetective/Nnormal=0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下が例示される。但しこれらに限定されるものではない。
換気抑制時間帯において、ガスセンサ100mが検知したガスの濃度が換気抑制時間帯における閾値よりも大きいとき、制御部100は、ガス洩れと判定し、警報信号Arを警報器110に報知し、警報器110は警報を発する。ここで、洩れの対象となる燃料電池で使用または発生するガスは、アノードガスの原料となる改質用の燃料原料(例えば都市ガス、プロパンガス、バイオガス)、および/または、燃料原料が改質された水素を含有するアノードガスが挙げられる。カソードガスは空気であり、実害が無いため、ガス漏れの対象としない。
以上説明したように本実施形態によれば、システムが運転(起動運転、発電運転、停止運転)している限り、制御部100は、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスの洩れを検知している(通常検知処理)。更に、制御部100は、定期的または不定期的に換気部6による換気量を低減させるか0とすることにより換気抑制時間帯を別途形成する。換気抑制時間帯において燃料電池で使用または発生するガスの洩れの検知感度は高くなる。
換気抑制時間帯においては、万一、燃料電池で使用または発生するガスが収容室10に洩れている場合において、換気量が多い場合に比較して、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスが収容室10の外部に排出されることが抑制され、結果として、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスの濃度が相対的に高くなる。このためガスセンサ100mが燃料電池で使用または発生するガスをそれだけ検知し易くなり、検知感度が高まる。この結果、経年変化等によりガスセンサ100mの0点がずれた場合であっても、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスの濃度が高くなるため、ガスセンサ100mがそれだけ検知し易くなる。従ってガスセンサ100mの経年変化に対応し易い利点が得られる。
(実施形態6)
図9は実施形態6を示す。本実施形態は前述した上記した実施形態と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図9に示すように、筐体1の収容室10は、下側の第1収容室10fと上側の第2収容室10sとに仕切壁18により分割されている。仕切壁18には換気部6が設けられている。換気部6は、換気ファン60と、換気ファン60を回転駆動させる駆動モータで形成された駆動部62とを有する。上側の第2収容室10sには、発電モジュール9が収容されている。発電モジュール9は、複数の単セルを組み付けて形成されたスタック7と、改質用燃料原料を水蒸気で改質させて水素を主要成分とするアノードガス(アノード流体)を生成させる改質器4と、改質器4とスタック7との間に位置する燃焼用空間23を形成する燃焼部2と、燃焼部2、スタック7および改質器4を外側から覆う高い断熱性をもつ断熱壁90とを有する。スタック7を構成する燃料電池は固体酸化物形であり、その発電運転時のおける作動温度は400℃以上、500℃以上、600℃以上と高温である。
図9において、下側の第1収容室10fに配置されている空気供給装置3が作動すると、第1収容室10fの空気は空気供給装置3の吸引口31から空気供給通路34に搬送され、更に、発電モジュール9の断熱壁90内に燃焼用空気またはカソードガスとして供給される。
図9に示すように、改質器4は、改質水から水蒸気を生成させる蒸発部410と、改質触媒を有する改質部420とを有する。改質用の燃料原料は、改質用燃料通路40(アノード流体供給部)から蒸発部410を介して改質部420に供給される。改質部420に供給された改質用燃料は、蒸発部410で生成された水蒸気により改質され、水素を含むアノードガス(アノード流体)となる。改質部420で生成されたアノードガスは、アノードガス通路78を介してスタック7のアノードに供給され、発電反応に使用されると共に、スタック7の上側の燃焼部2に上昇し、燃焼部2において燃焼用燃料として燃焼用空気により燃焼され燃焼火炎200を形成する。このように燃焼部2における燃焼火炎200は、改質器4の蒸発部410および改質部420を加熱させる。
システムが運転されているとき、換気部6が作動して換気ファン60が回転し、換気部6の背面6r側において吸引作用が発生する。すると、筐体1の外部14の新鮮な空気が筐体1の吸気口11から矢印X1方向に沿って収容室10fに吸引され、更に、仕切壁18の開口19を矢印X5方向に沿って流れて第2収容室10sに進入し、更に、第2収容室10sにおいて発電モジュール9の断熱壁90に接触して発電モジュール9を冷却させた後、排気口12から外部14に矢印X2方向に放出される。このようにシステムが運転されているときには、換気部6が作動して第1収容室10fおよび第2収容室10sの換気が実行される。図9に示すように、収容室10の上部(改質器4よりも上方)にはガスセンサ100mおよび温度センサ100tが配置されている。殊に、収容室10の上部において排気口12付近(断熱壁90よりも排気口12側)に、ガスセンサ100mおよび温度センサ100tが配置されている。万一、収容室10内の配管の緩み等に起因してガス洩れが発生するときには、ガスセンサ100mにより検知される。なお、センサ100m,100tの信号は制御部100に入力される。
さて本実施形態によれば、システムが運転(起動運転、発電運転、停止運転)しているとき、制御部100は、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスの洩れを検知している(通常検知処理)。更に通常検知処理の途中おいて、制御部100は、定期的または不定期的に換気部6による換気量を低減させるか0とすることにより換気抑制時間帯を別途形成する。万一、ガスが洩れている場合、換気抑制時間帯において燃料電池で使用または発生するガスの洩れの検知感度は、通常検知処理よりも高くなる。制御部100は、換気時間抑制帯においても、燃料電池で使用または発生するガスの洩れの有無を検知するガス洩れ検知処理を実行する。
具体的には、制御部100は、換気部6による換気量を通常検知処理の場合よりも低減させるか、0とする。換気量を低減させる場合には、換気部6の単位時間あたり回転数をNnormalとする。換気抑制時間帯において換気部6の単位時間あたり回転数をNdetectiveとする。Ndetective/Nnormal=0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下が例示される。但しこれらに限定されるものではない。
上記したように本実施形態によれば、制御部100は、定期的または不定期的に換気部6による換気量を低減させるか0とすることにより換気抑制時間帯を形成する。換気抑制時間帯においては、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスの洩れの検知感度が高められる。万一、燃料電池で使用または発生するガスが収容室10に洩れている場合において、換気量が多い場合に比較して、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスが収容室10の外部に排出されることが抑制され、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスの濃度が相対的に高くなる。このためガスセンサ100mが燃料電池で使用または発生するガスをそれだけ検知し易くなる。殊に、経年変化等によりガスセンサ100mの0点がずれた場合であっても、収容室10における燃料電池で使用または発生するガスの濃度が高くなるため、ガスセンサ100mがそれだけ検知し易くなる。従ってガスセンサ100mの経年変化に対応し易い利点が得られる。
(実施形態7)
図10は実施形態7を示す。本実施形態は前述した上記した各実施形態と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。ガスセンサ100mは、一の燃料電池で使用または発生するガス(ガス状の燃料原料,水素)を主として検知する第1センサ部100mfと、他の燃料電池で使用または発生するガス(一酸化炭素ガス)を主として検知する第2センサ部100msとを、収容室10の上部(発電モジュール9の断熱壁90よりも上方)に備えている。制御部100は、換気部6による換気量を第1低減換気量Q2fまで低下させることにより第1換気抑制時間帯を形成し、第1換気抑制時間帯において、一の燃料電池で使用または発生するガスのガス洩れの有無を第1センサ部100mfの出力値に基づいて検知する第1処理を実行する。また、制御部100は、換気部による換気量を第2低減換気量Q2sまで低下させることにより第2換気抑制時間帯を形成し、第2換気抑制時間帯において、収容室10における他の燃料電池で使用または発生するガスのガス洩れの有無を第2センサ部100msの出力値に基づいて検知する。
第1センサ部100mfおよび第2センサ部100msにおいて、最適な検知条件が異なる場合に有効である。すなわち、第2センサ部100msよりも第1センサ部100mfの最適な検知条件となるように、第1換気抑制時間帯おける第1低減換気量および時間幅を選択できる。第1センサ部100mfよりも第2センサ部100msの最適な検知条件となるように、第2換気抑制時間帯おける第2低減換気量および時間幅を選択できる。制御部100は、第1換気抑制時間帯および第2換気抑制時間帯を時間的間隔(第1所定時間に相当)を隔てて交互に実行することが好ましい。
(実施形態8)
本実施形態は前述した上記した各実施形態と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1〜図10を準用する。換気部6による換気は、筐体1の収容室10における熱こもりを抑える機能も有する。換気量を低減させるか0とする換気時間抑制帯では、収容室10の熱こもりが促進されるおそれがある。このため、万一、耐熱性が必ずしも高くない補機類が収容室10に搭載されている場合には、長寿命化には有利ではない。
ここで、スタック7の発電電力が大きい場合には、スタック7の発熱は増加し、バルブやポンプ等の補機類の放熱は増加し、改質器4からの放熱は増加する。これに対して、スタック7の発電電力が所定値よりも小さい場合には、スタック7、補機類の発熱は抑制され、改質器4からの放熱は抑制され、熱こもりが発生しにくい。
そこで実施形態によれば、制御部100は、通常検知処理を実行しているとき、スタック7の発電電力が所定値以下であるという条件が満足されるとき、制御部100は、上記したように換気量をその直前よりも低減させるか0とする換気抑制時間帯を形成する。この場合、スタック7の発電電力が所定値以下であるため、スタック7の発熱、補機類の発熱、改質器4等の放熱が抑えられている。故に、換気量を低減させるか0としても、収容室10における過剰な熱こもりが抑制される。よって、収容室10に収容されている補機類の長寿命化に貢献できる。ここで、スタック7の発電電力が所定値としては、収容室10における熱こもり等を考慮して設定するが、例えば、定格電力をWsetとすると、定格電力Wsetに対して95%、90%、85%、80%、70%、60%等が例示される。なお本実施形態によれば、換気抑制時間帯におけるガス洩れ検知処理は、前回の換気抑制時間帯の終了時刻から第1所定時間が経過しているか否かに拘わらず、あるいは、第1所定時間が経過したときに実行することができる。
(その他)各実施形態について、燃料電池は固体高分子形、固体酸化物形、リン酸形、溶融炭酸塩形のいずれでも良い。改質器を搭載せず、アノードガスを貯蔵するタンクを搭載するシステムに適用志手も良い。t2(Q2)=t2(0)、または、t2(Q2)≒t2(0)、または、t2(Q2)>t2(0)、または、t2(Q2)<t2(0)としても良い。
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
上記した記載から次の技術的思想が把握される。
[付記項1]収容室を有する筐体と、筐体の収容室に配置されアノード活物質を有するアノード流体およびカソード活物質を有するカソード流体により発電する燃料電池と、筐体の収容室に配置され燃料電池にアノード流体を供給するアノード流体供給部と、筐体の前記収容室に配置され燃料電池にカソード流体を供給するカソード流体供給部と、筐体の収容室における燃料電池で使用または発生するガスを検知するためのガスセンサと、筐体の収容室の空気を外部に排出すると共に外部の空気を収容室に吸入することにより収容室の空気を換気させる換気部とを具備する燃料電池システム。