JP2012026875A - 重心位置計測方法、重心位置計測装置及びタービンロータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】3つの重量計測器3に各々支持される3つの支持部7と被計測物8が設置される設置台とを備える支持構造2における、設置台内の第1基準点P1と各支持部7との間の各距離を計測する距離計測工程と、被計測物8の第2基準点と第1基準点P1とを一致させて保持する保持工程と、被計測物8の重量を計測する重量計測工程と、一支持部7を通り第1方向と平行する第1軸L1周りでの回転モーメントの釣り合い、及び一支持部7を通り第2方向と平行する第2軸L2周りでの回転モーメントの釣り合いから、水平方向における被計測物8の第2基準点からその重心位置Gまでの距離を算出する重心位置算出工程とを有するという方法を採用する。
【選択図】図7
Description
例えば、特許文献1に示すタービンロータは、回転する部材であるタービン翼車と、該タービン翼車と一体的に接続されるタービン軸とを有している。このようなタービンロータは過給器内で使用され、内燃機関から供給される排気ガスの流動により高速回転する。そのため、タービン翼車の重心位置とタービン軸との位置のずれが大きい場合、回転に伴い振動が発生する可能性があった。
上述したように、バランサを設けたタービン翼車を安定して回転させるためには、タービン翼車に重心位置計測用の支持軸又は支持用孔部を設ける必要があった。この支持軸又は支持用孔部は、その径に対する長さ(L/D)を大きくとる必要があり、重心位置計測後に支持軸を切断することや、長い支持用孔部のタービンロータの性能への悪影響等が生じてしまうという課題があった。
本発明の重心位置計測方法は、水平面内で互いに離間して設けられる3つの重量計測器に下方から各々支持される3つの支持部と被計測物が設置される設置台とを備える支持構造における、設置台内の第1基準点と各支持部との間の、水平方向のうち所定の第1方向での各距離と、水平方向のうち第1方向と直交する第2方向での各距離とを、各々計測する距離計測工程と、被計測物を設置台に設置して、被計測物の第2基準点と上記第1基準点とを水平方向で一致させて保持する保持工程と、各重量計測器にかかる被計測物の重量を計測する重量計測工程と、3つの支持部のうち所定の一支持部を通り第1方向と平行する第1軸周りでの回転モーメントの釣り合い、及び3つの支持部のうち所定の一支持部を通り第2方向と平行する第2軸周りでの回転モーメントの釣り合いから、水平方向における被計測物の第2基準点からその重心位置までの距離を算出する重心位置算出工程とを有するという方法を採用する。
このような方法を採用する本発明では、被計測物を回転させることなく被計測物の第2基準点からその重心位置までの距離を計測することが可能となる。また、本発明では、被計測物に重心位置計測用の支持軸又は支持用孔部を設けたとしても、被計測物を回転させないことから、その径に対する長さを大きくとる必要がない。
このような構成を採用する本発明では、水平面内で互いに直交する2つの軸周りでの回転モーメントの釣り合いから、被計測物の第2基準点からその重心位置までの距離が計測され、計測結果は出力部より出力される。そして、この距離の出力値を用いて、被計測物に接続される支持軸等の中心軸と、被計測物の重心位置とを精度良く合致させることが可能となる。
このような方法を採用する本発明では、回転翼の重心位置と、支持軸の中心軸とを精度良く合致させたタービンロータが製造される。
本発明によれば、被計測物を回転させることなく被計測物の重心位置を計測することができ、径に対する長さを大きくとった重心位置計測用の支持軸又は支持用孔部を被計測物に設ける必要がないことから、被計測物の製造コストを抑制でき且つ被計測物の性能を高く維持できるという効果がある。
重心位置計測装置1は、被計測物の重心位置を計測する装置であって、より詳細には、被計測物の所定の第2基準点(後述)からその重心位置までの水平方向における距離を計測する装置である。重心位置計測装置1は、支持構造2と、3つの重量計測器3と、インターフェース4と、演算部5と、出力部6とを有している。
3つの重量計測器3は、支持構造2における3本の脚部の先端部にそれぞれ対応して設けられ、被計測物の重量を各々計測する機器である。
インターフェース4は、重量計測器3から出力された電気信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換するA/D変換器である。なお、電気信号が当初よりデジタル信号ならばA/D変換器は不要である。
演算部5は、後述する被計測物の重心位置計測方法に従って、被計測物の重心位置を算出する演算装置である。
出力部6は、演算部5によって算出された被計測物の重心位置、より詳細には、被計測物の所定の第2基準点からその重心位置までの水平方向における距離を出力するものである。出力部6の例としては、ディスプレイやプリンタ、LANポート等が挙げられる。
図2は、支持構造2及び重量計測器3の構成を示す概略図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
支持構造2は、支持構造本体21と、設置台22と、3つの支持部7とを有している。
支持構造本体21は、水平面内で放射状に拡がるように設けられた3本の脚部からなる。
図3は、タービンロータRの構成を示す概略図であって、(a)はタービンロータRの全体図、(b)はタービン翼車8の断面図、(c)はタービン軸9の側面図である。
タービンロータRは、本実施形態に係るタービンロータの製造方法を用いて製造されるものである。タービンロータRは、過給機内に設けられ、内燃機関から供給される排気ガスの流動によって回転するものであり、タービン翼車(回転翼)8と、該タービン翼車8と一体的に接続されるタービン軸(支持軸)9とを有している。
図4は、タービンロータRの製造方法を示すフロー図である。
図4に示すように、タービンロータRの製造方法は3つの工程からなり、重心位置計測工程(ステップS1)と、位置決め工程(ステップS2)と、接続工程(ステップS3)とを有している。また、重心位置計測工程は、重心位置計測方法を用いてタービン翼車8の重心位置を計測する工程であって、重心位置計測方法は4つの工程からなり、距離計測工程(ステップS11)と、保持工程(ステップS12)と、重量計測工程(ステップS13)と、重心位置算出工程(ステップS14)とを有している。
以下、これらの工程を説明する。
図5は、距離計測工程を示す概略図である。なお、図5の紙面右方向を第1方向Xとし、紙面上方向を第2方向Yとする。
距離計測工程では、支持構造2における第1基準点P1と各支持部7との間の、水平方向のうちの第1方向Xでの各距離と、水平方向のうち第1方向Xと直交する第2方向Yでの各距離とを各々計測する。
第1支持部71が設けられている脚部における紙面左側の端面の、所定の位置を第1端面A1及び第2端面A2とする。そして、これら第1端面A1及び第2端面A2によって形成される面に平行する方向を第2方向Yと規定する。なお、支持構造2の姿勢の調整は他の基準に基づいてもよく、例えば第1基準点P1と第1支持部71とを結ぶ線と平行する方向を第2方向Yと規定してもよい。
以上で距離計測工程が完了する。
図6は、保持工程を示す概略図である。
最初に、3つの重量計測器3を0リセットし、重量の出力値を0としておく。すなわち、各重量計測器3から支持構造2の重量が出力されないようにする。
支持構造2における設置台22にタービン翼車8を設置する。このとき、タービン翼車8の嵌合凹部81の内径は、嵌合凸部23と隙間なく嵌合できる大きさとなっているため、嵌合凹部81に嵌合凸部23を嵌合させて設置台22上にタービン翼車8を設置すると、第1基準点P1と第2基準点P2とが水平方向で一致して保持される。
以上で保持工程が完了する。
3つの重量計測器3によって、タービン翼車8の重量を計測する。上述したように、タービン翼車8の設置前に重量計測器3は0リセットされているので、各重量計測器3からはタービン翼車8の重量のみが出力される。この出力値は、インターフェース4を介して演算部5に入力される。なお、第1重量計測器31、第2重量計測器32及び第3重量計測器33での計測値を、それぞれω1、ω2及びω3とする。
以上で重量計測工程が完了する。
図7は、重心位置算出工程を示す概略図である。なお、図7では、支持構造2は省略され、第1基準点P1と各支持部7との間の位置関係のみが概略的に示されている。また、タービン翼車8の重心Gは、第1基準点P1から第1方向XでXG、第2方向YでYGだけずれた位置に存在しているものとする。
上述した工程で、第1基準点P1と各支持部7との間の距離計測値、及び各重量計測器3におけるタービン翼車8の重量計測値は、いずれも演算部5に入力され保持されている。演算部5は、以下の計算方法に従って、タービン翼車8における第2基準点P2と真の重心Gとの間の、X第2方向Yでの距離XG及びYGを算出する。
次に、第2支持部72を通り第1方向Xと平行する第1軸L1周りでの回転モーメントを考えると、第1支持部71及び第3支持部73は、第1重量計測器31及び第3重量計測器33からそれぞれ紙面手前側に向かう反力を受け、その反力の大きさはω1及びω3である。一方、タービン翼車8の重心Gでは、紙面奥側に向かう力が発生していると考えることができ、その大きさはω1ないしω3を全て足し合わせたものである。そして、第1軸L1周りでの回転モーメントの釣り合いを考えると、第1基準点P1と各支持部7との間の距離計測値、及び各重量計測器3での重量計測値を用いて、下記式(1)に示す関係式が得られる。
(Y2−Y3)ω3+(Y2+Y1)ω1=(Y2+YG)g … (1)
(X2+X3)ω3+(X2+X1)ω1=(X2+XG)g … (2)
なお、
g=ω1+ω2+ω3 … (3)
とする。
以上の式(1)ないし式(3)を用いて、演算部5は、タービン翼車8の第2基準点P2から重心Gまでの、第1方向X及び第2方向Yでのそれぞれの距離XG及びYGを算出する。
演算部5によって算出された距離XG及びYGは、出力部6によって出力される。なお、タービン翼車8には、重心位置を計測したときの第1方向X及び第2方向Yを確認するための印などを付けておく。
以上で重心位置算出工程が完了する。よって、以上で重心位置計測工程が完了する。
図8は、位置決め工程及び接続工程を示す概略図である。
最初に、嵌合凹部81に、軸凸部91を挿入させておく。次に、上述した重心位置計測工程にて計測した、タービン翼車8の第2基準点P2から重心Gまでの第1方向X及び第2方向Yでのそれぞれの距離XG及びYGを用いて、タービン軸9の中心軸P3と直交する方向での、タービン翼車8とタービン軸9との位置関係を調整する。すなわち、重心Gと中心軸P3との位置を一致させるようにタービン翼車8とタービン軸9との位置関係を調整する。このとき、前工程でタービン翼車8に付けられた、重心位置を計測したときの第1方向X及び第2方向Yを確認するための印を用いて、正しい方向で調整する。
以上で、位置決め工程が完了する。
図8に示すように、タービン翼車8とタービン軸9との接触部Wを、電子ビーム溶接等により溶接し、タービン翼車8とタービン軸9とを一体的に接続する。
以上で、タービンロータRの製造が完了する。以上の工程によって製造されたタービンロータRは、そのタービン翼車8の重心Gとタービン軸9の中心軸P3とが一致して設けられており、高速で回転させたときにも高い回転安定性を維持することができる。
本実施形態によれば、タービン翼車8を回転させることなくタービン翼車8の重心Gの位置を計測することができ、径に対する長さを大きくとった重心位置計測用の支持軸又は支持用孔部をタービン翼車8に設ける必要がないことから、タービン翼車8の製造コストを抑制でき且つタービン翼車8の性能を高く維持できるという効果がある。
また、本実施形態によれば、タービンロータRのタービン翼車8の重心Gとタービン軸9の中心軸P3とが一致して設けられており、高速で回転させたときにも高い回転安定性を維持できるタービンロータRを製造できるという効果がある。
Claims (3)
- 水平面内で互いに離間して設けられる3つの重量計測器に下方から各々支持される3つの支持部と被計測物が設置される設置台とを備える支持構造における、前記設置台内の第1基準点と前記各支持部との間の、水平方向のうち所定の第1方向での各距離と、水平方向のうち前記第1方向と直交する第2方向での各距離とを、各々計測する距離計測工程と、
前記被計測物を前記設置台に設置して、前記被計測物の第2基準点と、前記第1基準点とを水平方向で一致させて保持する保持工程と、
前記各重量計測器にかかる前記被計測物の重量を計測する重量計測工程と、
前記3つの支持部のうち所定の一支持部を通り前記第1方向と平行する第1軸周りでの回転モーメントの釣り合い、及び前記3つの支持部のうち所定の一支持部を通り前記第2方向と平行する第2軸周りでの回転モーメントの釣り合いから、水平方向における前記被計測物の前記第2基準点からその重心位置までの距離を算出する重心位置算出工程とを有することを特徴とする重心位置計測方法。 - 水平面内で互いに離間して設けられる3つの重量計測器と、
前記3つの重量計測器に下方から各々支持される3つの支持部と被計測物が設置される設置台とを備える支持構造と、
請求項1に記載の重心位置計測方法を用いて前記被計測物の第2基準点とその重心位置との距離を算出する演算部と、
前記演算装置の演算結果を出力する出力部とを有することを特徴とする重心位置計測装置。 - 回転翼と支持軸とが一体的に接続されたタービンロータの製造方法であって、
前記回転翼を被計測物とし請求項1に記載の重心位置計測方法を用いて、前記支持軸の中心軸と直交する方向における、前記回転翼の第2基準点からその重心位置までの距離を計測する重心位置計測工程と、
前記中心軸と直交する方向で、前記回転翼の重心位置と、前記支持軸の前記中心軸とを一致させる位置決め工程と、
前記回転翼と前記支持軸とを一体的に接続する接続工程とを有することを特徴とするタービンロータの製造方法。
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