JP2012025924A - 液状エポキシ樹脂組成物及び該液状エポキシ樹脂組成物を硬化させた硬化物で封止された半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 液状エポキシ樹脂組成物であって、少なくとも、(A)エポキシ基を少なくとも2以上有する化合物、(B)硬化剤、(C)無機充填剤、(D)シリコーン変性エポキシ樹脂、及び(E)フッ素系樹脂を含むものであることを特徴とする液状エポキシ樹脂組成物を提供する。
【選択図】 なし
Description
液状エポキシ樹脂組成物であって、少なくとも、
(A)エポキシ基を少なくとも2以上有する化合物、
(B)硬化剤、
(C)無機充填剤、
(D)下記平均組成式(1)で示されるシリコーン変性エポキシ樹脂、及び
(E)下記一般式(2)で示されるフッ素系樹脂
前述のように、強靭性、耐熱衝撃性を有する上、半導体チップ(ダイ)下部の狭い空間にスムーズに流入することができ、ボイドが発生しにくい性質を有する封止剤の開発が強く望まれている。
液状エポキシ樹脂組成物であって、少なくとも、
(A)エポキシ基を少なくとも2以上有する化合物、
(B)硬化剤、
(C)無機充填剤、
(D)下記平均組成式(1)で示されるシリコーン変性エポキシ樹脂、及び
(E)下記一般式(2)で示されるフッ素系樹脂
(A)エポキシ基を少なくとも2以上有する化合物としては、1分子中にエポキシ基が少なくとも2以上含まれていれば特に制限されないが、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の樹脂(高分子化合物)、下記エポキシ化合物等の低分子化合物及びこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及び下記エポキシ化合物が好ましい。(A)エポキシ基を少なくとも2以上有する化合物は一種単独で用いても、二種以上を併せて用いてもよい。
(B)硬化剤としては、(A)エポキシ基を少なくとも2以上有する化合物及び(D)シリコーン変性エポキシ樹脂を硬化させるもの又は硬化を促進するものであれば特に制限されず、例えば、アミン系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、ジシアンジアミド系硬化剤、アミジン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、及び有機リン系硬化剤等が挙げられ、好ましくは、アミン系硬化剤である。アミン系硬化剤としては下記一般式(3)〜(6)で示される芳香族アミン系硬化剤が好ましい。(B)硬化剤は一種単独で用いても、二種以上を併せて用いてもよい。
無機充填剤(C)としては、公知各種の無機充填剤を使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ボロンナイトライド、チッカアルミ、チッカ珪素、マグネシア、マグネシウムシリケート、アルミニウムなどが挙げられる。中でも真球状の溶融シリカが、組成物の低粘度化の点から好ましく、更には、ゾルゲル法又は爆燃法で製造された球状シリカが好ましい。(C)無機充填剤は一種単独で用いても、二種以上を併せて用いてもよい。
本発明の液状エポキシ樹脂組成物に含まれる(D)シリコーン変性エポキシ樹脂(下記平均組成式(1))は、扱いやすく良好な硬化物を与えるエポキシ樹脂骨格(A骨格)と低表面張力性を付与するシリコーン骨格(B骨格)とを有するABAブロックコポリマーである。(D)シリコーン変性エポキシ樹脂はシリコーン骨格が低表面張力性を有するため、(D)シリコーン変性エポキシ樹脂を有する液状エポキシ樹脂組成物は半導体チップ(ダイ)下部の狭い空間にスムーズに流入できる特性を持ち、かつ消泡性に優れる上、高温で熱分解反応を起こしにくいものとなる。さらに、(D)シリコーン変性エポキシ樹脂は同一分子内にエポキシ骨格を有するため、(A)エポキシ基を少なくとも2以上有する化合物との相溶性もよくハジキが起こりにくい上、液状エポキシ樹脂組成物が硬化する反応にも寄与するため強靭性を有する硬化物の生成に寄与する。結果として、(D)シリコーン変性エポキシ樹脂を含む本発明の液状エポキシ樹脂組成物は大型半導体チップ(大型ダイ)のアンダーフィル封止剤として用いてもボイドの発生を抑制できる上、強靭性、耐熱衝撃性を有する硬化物を与えることができる。(D)シリコーン変性エポキシ樹脂は一種単独で用いても、二種以上を併せて用いてもよい。
[ジオルガノポリシロキサン単位の質量={(D)シリコーン変性エポキシ樹脂のジオルガノポリシロキサン部分の分子量/(D)シリコーン変性エポキシ樹脂の分子量}×(D)シリコーン変性エポキシ樹脂の添加量]
本発明の液状エポキシ樹脂組成物に含まれる(E)フッ素系樹脂(下記一般式(2))は、低表面張力性を付与するシリコーン骨格(B骨格)と低表面張力性を有し、非常に化学的に安定なフッ素樹脂骨格(ポリヘキサフルオロプロピレンオキサイド骨格)(C骨格)を有するBCブロックコポリマーである。(E)フッ素系樹脂はシリコーン骨格が低表面張力性を有するため、(E)フッ素系樹脂を有する液状エポキシ樹脂組成物は半導体チップ(ダイ)下部の狭い空間に均一かつスムーズに流入できる特性を持ち、消泡性に優れる上、高温で熱分解反応を起こしにくいものとなる。また、(E)フッ素系樹脂は同様のシリコーン骨格を有する(D)シリコーン変性エポキシ樹脂と相溶性が良いため、一般的に相溶性の低いフッ素樹脂骨格を有していたとしても本発明の液状エポキシ樹脂組成物中に混在しやすい。さらに、(E)フッ素系樹脂は低表面張力性を有し、非常に化学的に安定なフッ素樹脂骨格を有するため、(E)フッ素系樹脂を有する液状エポキシ樹脂組成物は半導体チップ(ダイ)下部の狭い空間に均一なスピードで浸入できる特性を持つものとなり、その上耐熱性、耐薬品性、撥水性、撥油性及び耐候性に優れる硬化物を与えることができる。結果として、(E)フッ素系樹脂を含む本発明の液状エポキシ樹脂組成物は大型半導体チップ(大型ダイ)のアンダーフィル封止剤として用いてもボイドの発生を抑制できる上、強靭性、耐熱衝撃性を有する硬化物を与えることができる。
本発明の液状エポキシ樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲であれば更に必要に応じて各種の添加剤を添加することができる。例えば、該液状エポキシ樹脂組成物を硬化させた硬化物の応力を低減する目的でシリコーンゴム、シリコーンオイル、液状ポリブタジエンゴム、メタクリル酸メチル―ブタジエン―スチレン等の可撓性樹脂、接着性向上用炭素官能性シラン、酸化防止剤を本発明の目的を阻害しない範囲で添加することができる。また、溶剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、カルナバワックス、高級脂肪酸、合成ワックス等のワックス類、カーボンブラック等の着色剤、ハロゲントラップ剤等の添加剤を添加することができる。その他の添加剤は一種単独で用いても、二種以上を併せて用いてもよい。
本発明の液状エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ基を少なくとも2以上有する化合物、(B)硬化剤、(C)無機充填剤、(D)シリコーン変性エポキシ樹脂、(E)フッ素系樹脂、必要に応じてその他の添加剤を同時に又は別々に、必要により加熱処理を加えながら、撹拌、溶解、混合、分散させることにより得ることができる。特に、(E)フッ素系樹脂は(D)シリコーン変性エポキシ樹脂と相溶させてから、(A)エポキシ基を少なくとも2以上有する化合物、(B)硬化剤、(C)無機充填剤、必要に応じてその他の添加剤に、必要により加熱処理を加えながら、撹拌、溶解、混合、分散させることが好ましい。このように、事前に(D)シリコーン変性エポキシ樹脂に相溶させておけば(E)フッ素系樹脂が液状エポキシ樹脂組成物中で分離することを抑制することができるため、均一な液状エポキシ樹脂組成物を得ることができる。これらの混合、撹拌、分散等の装置としては、特に限定されるものではないが、撹拌、加熱装置を備えたライカイ機、3本ロール、ボールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル等を用いることができる。また、これら装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明の液状エポキシ樹脂組成物の硬化方法は、公知の方法であってよいが、好ましくは、先に100〜120℃、0.5時間以上、特に好ましくは0.5〜2時間、その後130〜250℃、0.5時間以上、特に好ましくは0.5〜5時間の条件で熱オーブンキュア(硬化)を行う。100〜120℃での加熱が0.5時間以上であれば、硬化後のボイド発生を抑制できるため好ましい。また130〜250℃での加熱が0.5時間以上であれば、十分な硬化物特性が得られるため好ましい。
本発明の液状エポキシ樹脂組成物は各種封止剤として用いることができ、例えば、リードフレーム、基盤、パッケージ上に搭載された半導体素子及びその周辺の電極配線などを封止する封止剤、アンダーフィル剤等として用いることが挙げられる。本発明の液状エポキシ樹脂組成物を硬化して作製する半導体装置の製造方法は公知の方法を用いることができる。特に、アンダーフィル剤(フリップチップにおける樹脂封止剤)として用いることが好ましく、アンダーフィルとしての一般的な半導体装置の製造方法としては、チップの一辺もしくは二辺から塗布し、液状エポキシ樹脂組成物を毛細管現象を利用した自然注入により充填後、オーブンなどで加熱し樹脂を硬化させて完了する。毛細管現象を利用した液状エポキシ樹脂組成物の充填中は、パッケージを昇温させ樹脂の粘度を下げることで充填時間を短くすることができる。
(A)エポキシ基を少なくとも2以上有する化合物として、(イ)YDF8170:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成(株)製)、及び(ロ)下記式で示される3官能型エポキシ樹脂(jER630LSD:ジャパンエポキシレジン株式会社製)を用いた。
(B)硬化剤として、(ハ)アミン系硬化剤:カヤハードA−A(日本化薬(株)製)又は(ニ)酸無水物系硬化剤:リカシッドMH700(新日本理化(株)製)を用いた。
(C)無機質充填剤として、シランカップリング剤 KBM403、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)で処理した球状シリカであって、下記粒径検査方法において、フィルター1残量(粒径25μm以上)が0.01質量%、平均粒径2.5μmの爆燃法で製造された球状シリカを用いた。
(D)シリコーン変性エポキシ樹脂として、下記一般式(7)で示されるエポキシ樹脂と下記一般式(8)で示されるシリコーンを付加反応させることで得られたシリコーン変性エポキシ樹脂を用いた。
その他の添加剤として、カーボンブラック デンカブラック(電気化学工業(株)製)を用いた。
無機充填剤として用いる球状シリカの粒径及び粒度分布は、レーザー光回折法による粒度分布測定により得ることができる。また、ギャップサイズの1/2以上の粒径の球状シリカの測定方法としては、シリカと純水を1:9(質量)の割合で混合し、超音波処理を行って凝集物を十分崩し、フィルター1(目開き25μm)又はフィルター2(目開き10μm)で篩い、篩上に残った球状シリカ残量を秤量して行った。測定は5回行い、その平均値を測定値として質量%で算出した。
BH型回転粘度計を用いて4rpmの回転数で25℃における粘度を測定した。
液状エポキシ樹脂組成物を常温から10℃/分で昇温して、200〜260℃の温度で、30秒以上5分以下保持して硬化物を得た。該硬化物を、常温まで冷却して、5mm×5mm×15mmの試験片を切り出して、TMA(熱機械分析装置)により、毎分5℃で昇温してTgを測定した。
各樹脂組成物を120℃で0.5時間硬化し、165℃で3時間硬化して、得られた硬化物について、ASTM D5045に基づき、常温の強靭性値K1cを測定した。
厚さ42.5×42.5mm×1.0mmのBT樹脂基板上に、20×20×0.725mmの半田バンプ付シリコンチップをギャップサイズが、約60μmになるように設置されたフリップチップ型半導体装置のギャップに、実施例1〜3、比較例1〜4の各々の液状エポキシ樹脂組成物を110℃の熱版の上で樹脂を浸入させたあと、120℃で0.5時間硬化し、165℃で3時間硬化する温度条件で液状エポキシ樹脂組成物を硬化させることで試験用半導体装置を作成した。実施例1〜3、比較例1〜4の各々の組成物の硬化物からなる半導体装置について以下の試験を行うことでボイド発生率、強靭性、及び耐熱衝撃性を判定した。
超音波映像診断機、C−SAM(SONIX社製)を用いて試験用半導体装置のボイドの有無を調べた。ボイド発生率を表2に示す。ボイド発生率は、[{ボイドが発生した試験用半導体装置/試験した試験用半導体装置の総数}×100]として求めた。
試験用半導体装置を、30℃/65%RH(Relative Humidity)の条件下で192時間(JEDECレベル3の条件)置いた後に、最高温度265℃に設定したIRリフロー炉を5回通した後の、クラックの有無を、超音波映像診断機、C−SAM(SONIX社製)を用いて調べた。次いで、プレッシャークッカー中、121℃/2.1atmの環境下に336時間置いた後の剥離の有無を、上記同様に調べた。クラックが観察されたチップの割合(%)を表2に示す。クラックが観察されたチップの割合(%)は、[{クラックが発生した試験用半導体装置/試験した試験用半導体装置の総数}×100]として求めた。
上記方法で得られた試験用半導体装置を、30℃/65%RHの条件下に192時間置いて、最高温度265℃に設定したIRリフロー炉を5回通した後、−55℃で10分、125℃で10分を1サイクルとし、500及び1000サイクル後のクラックの有無を、超音波映像診断機、C−SAM(SONIX社製)を用いて調べた。クラックが観察されたチップの割合(%)を表2に示す。クラックが観察されたチップの割合(%)は、[{クラックが発生した試験用半導体装置/試験した試験用半導体装置の総数}×100]として求めた。
Claims (5)
- 前記(D)シリコーン変性エポキシ樹脂として、平均組成式(1)において、R1が水素原子、R2がメチル基、rが70〜109の整数、p及びqが2〜5の整数、Qが−OCH2−CH(OH)−CH2−O−CH2CH2CH2−で示されるシリコーン変性エポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物を硬化させた硬化物で封止された半導体装置。
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