本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
〔第1の実施の形態〕
(面発光レーザ素子)
第1の実施の形態について説明する。本実施の形態における面発光レーザ素子は、複数の面発光レーザが形成されている面発光レーザアレイであることが好ましいが、一つの面発光レーザが形成されているものであってもよい。
図1及び図2に示されるように、本実施の形態における面発光レーザ素子は、面方位が傾斜しているいわゆる傾斜基板と称される半導体基板101上に、下部半導体DBR(Distributed Bragg Reflector)103、下部スペーサ層104、活性層105、上部スペーサ層106、電流狭窄層108、上部半導体DBR107が積層形成されている。尚、図2は、本実施の形態における面発光レーザモジュールのメサ110部分における拡大図である。また、電流狭窄層108は、図示するように、上部スペーサ層106と上部半導体DBR107との間に設けてもよいが、上部半導体DBR107内に設けた構成であってもよい。
下部半導体DBR103は、不図示のバッファ層を介し半導体基板101の+Z側の面上に積層されており、n−Al0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層とn−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層とからなるペアが交互に37.5ペア積層することにより形成されている。低屈折率層と高屈折率層との間には、電気抵抗を低減するため、一方の組成から他方の組成に向かって徐々に組成を変化させた厚さ20nmの組成傾斜層が設けられている。低屈折率層及び高屈折率層の光学的な膜厚は、いずれも隣接する各々の組成傾斜層の膜厚の1/2を含んで、発振波長をλとした場合、λ/4となるように形成されている。尚、光学的な膜厚と、実際の膜厚との関係は、屈折率Nの層の光学的な膜厚がλ/4である場合、実際の膜厚Dは、D=λ/4Nである。
下部スペーサ層104は、下部半導体DBR103の+Z側に積層されており、ノンドープのAl0.6Ga0.4Asからなる層である。
活性層105は、下部スペーサ層104の+Z側に積層されており、3層の量子井戸層と4層の障壁層とを有している。各々の量子井戸層は、Al0.12Ga0.88Asにより形成されており、各々の障壁層は、Al0.3Ga0.7Asにより形成されている。
上部スペーサ層106は、活性層105の+Z側に積層されており、ノンドープのAl0.6Ga0.4Asからなる層である。
下部スペーサ層104、活性層105及び上部スペーサ層106からなる部分は、共振器構造体とも呼ばれており、光学的な厚さが1波長となるように形成されている。尚、活性層105は、高い誘導放出確率が得られるように、電界の定在波分布における腹に対応する位置である共振器構造体の中央に設けられている。
上部半導体DBR107は、上部スペーサ層106の+Z側に積層されており、p−Al0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層とp−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層とからなるペアが交互に24ペア積層することにより形成されている。低屈折率層と高屈折率層との間には、電気抵抗を低減するため、一方の組成から他方の組成に向かって徐々に組成を変化させた厚さ20nmの組成傾斜層が設けられている。低屈折率層及び高屈折率層の光学的な膜厚は、いずれも隣接する各々の組成傾斜層の膜厚の1/2を含んで、発振波長をλとした場合、λ/4となるように形成されている。
電流狭窄層108は、上部半導体DBR107の内部であって、前述した共振器構造体から光学的な距離がλ/4離れた位置に設けられている。電流狭窄層108は、p−AlAsにより形成されており、後述するようにメサを形成した後、メサの側面より水蒸気等により選択酸化を行なうことにより、選択酸化領域108aが形成される。これにより、電流狭窄層108において、選択酸化された選択酸化領域108aとメサ中央部分の酸化されていない電流狭窄領域108bとが形成され、電流狭窄領域108bが電流通過領域となる。
この後、上述した積層形成された半導体層にメサ110を形成し、誘電体層111a及び111bからなる誘電体膜111を形成した後、p側電極113を形成する。一方、半導体基板101の裏面には、n側電極114を形成する。また、メサ110上面のp側電極113の開口部142には、誘電体層111a及び111bを所定の領域に、所定の膜厚形成することにより、高次横モードの発振を抑制した構造となっている。
尚、本実施の形態における面発光レーザ素子は、へき開面143により劈開されたものであり、素子分離溝140であったところの底面には、撥液性膜122が形成されている。これによりへき開面143からの接着剤及び有機溶剤等の濡れ広がりを防止する構成となっている。
(面発光レーザ素子の製造方法)
次に、本実施の形態における面発光レーザ素子の製造方法について説明する。
最初に、図3(a)に示すように、GaAsからなる半導体基板101上に、下部半導体DBR103、下部スペーサ層104、活性層105、上部スペーサ層106、電流狭窄層108、上部半導体DBR107を積層形成する。尚、電流狭窄層108は、上部半導体DBR107内に形成される場合がある。形成方法としては、有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシャル成長法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法が挙げられる。例えば、MOCVD法により形成する場合には、III族の原料としては、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)を用い、V族の原料としては、フォスフィン(PH3)、アルシン(AsH3)を用い、また、p型ドーパントの原料には四臭化炭素(CBr4)、ジメチルジンク(DMZn)を用い、n型ドーパントの原料にはセレン化水素(H2Se)を用いて上述した各層を成膜する。尚、各膜の膜厚や層数などについては上述した通りである。
この後、上部半導体DBR107上に誘電体膜111aを形成する。誘電体膜111aは、例えば、SiN膜をプラズマCVD(plasmaCVD, plasma-enhanced chemical vapor deposition)法により成膜したものである。この誘電体膜111aは、後述するように反射率の低い光学フィルタとなるものであるため、成膜される誘電体膜111aの光学的な膜厚は、λ/4nの奇数倍となるように、例えば、膜厚が103nmとなるように形成する。尚、nは誘電体膜111aの屈折率である。
次に、図3(b)に示すように、誘電体膜111aの一部を除去する。具体的には、誘電体膜111a上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことによりレジストパターン120を形成する。この際用いられるレジストは、一般的なポジレジストであり、例えば、東京応化社製OFPR800−64cpが用いられる。このフォトレジストをレジスト厚が、スピンコーターにより膜厚が1.6μmとなるように回転数を調節して塗布する。この後、レジストパターン120をマスクとして、RIE(Reactive Ion Etching)等によりレジストパターン120の形成されていない領域の誘電体膜111aを除去する。これにより、メサ部分が形成される領域130の一部と電極パッド部分となる領域131には、誘電体膜111aが残存する。
次に、図3(c)に示すように、メサ110を形成する。具体的には、レジストパターン120が形成されている面上に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、レジストパターン121を形成する。この後、Cl2ガスを用いてECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマエッチング法により、レジストパターン121及び120の形成されていない領域の活性層105、上部スペーサ層106、電流狭窄層108、上部半導体DBR107を除去する。即ち、下部スペーサ層104の表面が露出するためエッチングを行なう。これによりメサ110が形成される。
この後、有機溶剤を用いた超音波洗浄により、レジストパターン120及び121を除去する。これにより、図4に示すように、一辺L4が20μmの略正方形の上面を有するメサ110が形成される。メサ110の上面の周囲には幅L5が2μmのロの字状の誘電体層111aからなるパターンが形成されており、さらに、ロの字状のパターンの内部には、2つの長方形の誘電体層111aからなるパターンが形成されている。このパターンは、短手方向の一辺がL2、長手方向の一辺がL3の長方形状のパターンであり、2つのパターンの短手方向における間隔がL1となるように形成されている。
次に、図5(a)に示すように、水蒸気中で熱処理を行なう。これにより、メサ110が形成されることにより、断面の露出している電流狭窄層108がメサ110の側面周囲より酸化され選択酸化領域108aが形成される。尚、メサ110の中央部分の選択酸化されていない領域、即ち、電流狭窄層108において選択酸化領域108aにより囲まれた領域は電流狭窄領域108bとなり、この電流狭窄領域108bに電流を集中して流すことができる。この電流狭窄領域108bは一辺が略4.5μmの略正方形の形状で形成される。
次に、図5(b)に示すように、素子分離溝140を形成する。具体的には、メサ110の形成されている面にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、素子分離溝140が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、このレジストパターンをマスクとして、ECRプラズマエッチングにより、下部半導体DBR103、下部スペーサ層104、活性層105、上部スペーサ層106、電流狭窄層108、上部半導体DBR107を除去することにより、素子分離溝140を形成する。
次に、図5(c)に示すように、誘電体膜111bを形成する。誘電体膜111bは、例えば、SiN膜をCVD法により成膜したものである。誘電体膜111は、このように形成された誘電体膜111bと誘電体膜111aにより構成される。尚、誘電体膜111bは、光学的な膜厚が2λ/4(膜厚206nm)となるように成膜する。この後、メサ110の上面において、上部半導体DBR107とp側電極113とを接続するための開口部141を形成する。具体的には、誘電体膜111b上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、開口部141となる領域に開口を有する不図示のレジストパターンを形成する。この際、このレジストパターンを素子分離溝140の底面にも開口を有しているように形成する。この後、RIE等により、レジストパターンの形成されていない領域の誘電体膜111bを除去することにより開口部141を形成する。この際、素子分離溝140の底面における誘電体膜111bも同時に除去される。この後、レジストパターンは、有機溶剤等により除去する。
次に、図6(a)に示すように、上部電極となるp側電極113と下部電極となるn側電極114を形成する。p側電極113は、メサ110の上面において、一辺が10μmの略正方形の開口部142を有しており、この開口部142より光が出射される。p側電極113は、Cr/AuZn/Auからなる金属多層膜、または、Ti/Pt/Auからなる金属多層膜により形成されている。p側電極113は、リフトオフにより形成されており、p側電極113の形成される領域に開口部を有するレジストパターンを形成し、上述した金属多層膜を成膜した後、有機溶剤等に浸漬させることにより、レジストパターンの形成されている領域上の金属膜をレジストパターンとともに除去し、残存した金属膜によりp側電極113が形成される。この後、半導体基板101の裏面を所定の厚さ、例えば、100μm〜300μm程度になるまで研磨し、下部電極となるn側電極114を成膜する。n側電極114としては、AuGe/Ni/Auからなる金属多層膜、または、Ti/Pt/Auからなる金属多層膜により形成される。尚、p側電極113及びn側電極114の成膜は真空蒸着により行なわれる。この後、アニールを行なうことにより、上部電極113及び下部電極114においてオーミックコンタクトをとることができる。
次に、図6(b)に示すように、素子分離溝140の設けられている領域に、撥液性膜122を成膜する。具体的には、メサ110の形成されている面にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、素子分離溝140に開口を有するレジストパターンを形成する。この後、炭化フッ化ガスを原料として用いたプラズマCVD法により、基板温度−20℃〜200℃の範囲で、成膜圧力を1.3Pa〜40Paに設定し、フッ素を含む撥液性膜122を成膜する。撥液性膜122の膜厚は、10nm〜1000nmの膜厚となるように成膜を行なう。撥液性膜122は、膜厚が10nmよりも薄い場合には、膜厚の制御が困難となり形成される撥液性膜は、アイランド状となってしまうため、撥液性としての機能を有する膜が得られない。また、膜厚が1000nmを越える場合では、厚くしても撥液性の機能はあまりかわらず成膜時間が長時間化することから、1000nm以下であることが好ましい。特に、スループットや生産効率の観点からは、比較的薄く撥液性が得られる10nm〜100nmであることがより好ましい。尚、本実施の形態では、炭化フッ化ガスとしてC2F4を用いたが、例えば、CF4、C3F8、PTFE(Polytetrafluoroethylene)等を用いてもよい。この後、レジストパターンは有機溶剤等により除去する。これにより撥液性膜122として、CxFyで示されるフッ素を含有する重合膜が形成される。
尚、図面においては、撥液性膜122は、素子分離溝140の底面に形成されているものを示しているが、プラズマCVD法はボトムカバレッジのみならずステップカバレッジも比較的良好であるため、撥液性膜122の成膜条件を調整することにより、素子分離溝140の側面にも成膜することが可能である。この場合、より一層接着剤及び有機溶剤の這い上がりを防止することができる。
この後、ウエハレベルにおけるデバイス特性を測定後、スクライブラインに沿って、ダイシング等によりチップごとに分離し、これにより分離された部分では半導体基板101におけるへき開面が露出する。
図7に分離された面発光レーザ素子の上面図を示す。図7に示されるように、p側電極113の周囲は、素子分離のための素子分離溝140であった部分が残存しているが、この素子分離溝140であった部分の底面には、撥液性膜122が形成されているため、この撥液性膜122が形成されている領域で、劈開面143からの接着剤及び有機溶剤の這い上がり(濡れ広がり)を防ぐことができる。
この後、チップをワイヤボンドにより接続し、有機系の接着剤により接着する。半導体基板101を接着剤により接着する際、半導体基板101のチップのへき開面143から這い上がった接着剤は、撥液性膜122において、はじかれてしまうため、撥液性膜122より先の半導体層の側面、更にはp側電極113まで這い上がることはない。言い換えれば、撥液性膜122においては、接着剤の濡れ性が悪いため、接着剤の濡れ広がりは、撥液性膜122において遮られる。
これにより、p側電極113まで、接着剤が這い上がることはなく、p側電極113に接着剤が付着することはないため、歩留まりを向上させることができるとともに、ワイヤボンドにおけるボンディング強度が高くなり信頼性の高い面発光レーザ素子を得ることができる。
尚、本実施の形態における面発光レーザ素子以外にも、LED素子、LEDアレイ素子においても同様に適用することが可能である。
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態とは異なる面発光レーザ素子である。
本実施の形態における面発光レーザ素子は、図8に示されるように、第1の実施の形態における面発光レーザ素子の素子分離溝140の底面に、更にストライプ溝144が設けられた構造のものである。素子分離溝140の形成されている領域における拡大図を図9に示す。
具体的には、図9に示されるように、素子分離溝140の底面に2本のストライプ溝144が設けられており、素子分離溝140の底面、ストライプ溝144の底面及び側面には、撥液性膜122が成膜されている構成のものである。ストライプ溝144は、素子分離溝140の中心に対し両側に各々設けられており、このようなストライプ溝144を設けることにより、ストライプ溝144にも撥液性膜122が形成されるため、接着剤等の濡れ性の悪い領域を広くすることができ、接着剤及び有機溶剤の這い上がりをより一層防ぐことができる。また、仮に接着剤が撥液性膜122上に濡れ広がったとしても、ストライプ溝144内に接着剤及び有機溶剤が入り込み、接着剤及び有機溶剤の広がりが阻まれるため、更に接着剤及び有機溶剤の濡れ広がりを防止することができる。
(面発光レーザ素子の製造方法)
本実施の形態における面発光レーザ素子の製造方法について説明する。本実施の形態における面発光レーザ素子の製造方法は、第1の実施の形態における素子分離溝140を形成するまでは、第1の実施の形態と同様である。具体的には、本実施の形態における面発光レーザ素子の製造方法は、第1の実施の形態における説明の図5(b)までの工程は同じであり、この工程以降について以下に説明する。
図5(b)に示される工程の後、図10(a)に示すように、素子分離溝140の底面にストライプ溝144を形成する。ストライプ溝144の幅は約10μmであり、チップ領域の外周に沿って形成する。具体的には、フォトレジストを塗布し露光装置による露光、現像を行なうことにより、ストライプ溝144が形成される領域に、開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、Cl2ガスを用いたECRプラズマエッチング法により半導体基板101を所定の深さエッチングし、この後、レジストパターンを有機溶剤等により除去することによりストライプ溝144を形成する。
次に、図10(b)に示すように、誘電体膜111bを形成する。誘電体膜111bは、CVD法により成膜され、例えば、SiN膜である。誘電体膜111は、このように形成された誘電体膜111bと誘電体膜111aにより構成される。尚、誘電体膜111bは、光学的な膜厚が2λ/4となるように成膜する。この後、メサ110の上面において、上部半導体DBR107とp側電極113とを接続するための開口部141を形成する。具体的には、開口部141の形成されている領域及び素子分離溝140の底面に開口を有するレジストパターンを形成し、RIE等により、レジストパターンの形成されていない領域の誘電体膜111bを除去することにより、開口部141を形成し、素子分離溝140の底面における誘電体膜111bも同時に除去する。この後、レジストパターンは、有機溶剤等により除去する。
次に、図10(c)に示すように、上部電極となるp側電極113と下部電極となるn側電極114を形成する。p側電極113は、メサ110の上面において、一辺が10μmの略正方形の開口部142を有しており、この開口部142より光が出射される。p側電極113は、Cr/AuZn/Auからなる金属多層膜、または、Ti/Pt/Auからなる金属多層膜により形成されている。p側電極113は、リフトオフにより形成される。この後、半導体基板101の裏面を所定の厚さ、例えば、100μm〜300μm程度になるまで研磨し、下部電極となるn側電極114を成膜する。n側電極114としては、AuGe/Ni/Auからなる金属多層膜、または、Ti/Pt/Auからなる金属多層膜により形成される。
次に、図11に示すように、素子分離溝140の設けられている領域に、撥液性膜122を成膜する。具体的には、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、素子分離溝140に開口を有するレジストパターンを形成する。この後、炭化フッ化ガスを原料として用いたHWCVD(Hot wall CVD、別名CatCVD)法により、基板温度20℃〜100℃の範囲で、成膜圧力を1.3Pa〜40Paに設定し、フッ素を含む撥液性膜122を成膜する。成膜された撥液性膜122の膜厚は、10nm〜100nmである。この後、レジストパターンは、有機溶剤等により除去する。
更にこの後、ウエハレベルにおけるデバイス特性を測定後、スクライブラインに沿って、ダイシングによりチップごとに分離し、これにより分離された部分では半導体基板101におけるへき開面が露出する。
図12に分離された面発光レーザ素子の上面図を示す。図12に示されるように、p側電極113の周囲は、素子分離のための素子分離溝140であった部分が残存しているが、この素子分離溝140であった部分の底面には、撥液性膜122が形成されているため、へき開面143からの接着剤及び有機溶剤の這い上がり(濡れ広がり)を防止することができる。また、本実施の形態では、素子分離溝140の底面であった領域には、ストライプ溝144が設けられており、仮に、接着剤及び有機溶剤が、撥液性層122に濡れ広がったとしても、ストライプ溝144に接着剤及び有機溶剤が入り込み溜まるため、接着剤及び有機溶剤の濡れ広がりをより一層防止することが可能である。
これにより、p側電極113まで、接着剤が這い上がることはなく、p側電極113に接着剤が付着することはないため、歩留まりを向上させることができるとともに、ワイヤボンドにおけるボンディング強度が高くなり信頼性の高い面発光レーザ素子を得ることができる。
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、分離溝の側面がテーパを有している形状の面発光レーザ素子である。
本実施の形態における面発光レーザ素子は、図13に示されるように、素子分離溝140aの側面が傾斜を有するテーパ状に形成されているものである。素子分離溝140aの側面が傾斜を有するテーパ状に形成されることにより、撥液性膜122aは素子分離溝140aの底面のみならず側面にも形成されるため、より一層接着剤及び有機溶剤の這い上がりを防止することができる。
(面発光レーザ素子の製造方法)
本実施の形態における面発光レーザ素子の製造方法について説明する。本実施の形態における面発光レーザ素子の製造方法は、第1の実施の形態における選択酸化領域108aを形成するまでは、第1の実施の形態と同様である。具体的には、本実施の形態における面発光レーザ素子の製造方法は、第1の実施の形態における説明の図5(a)までの工程は同じであり、この工程以降について以下に説明する。
図5(a)に示す工程の後、図14(a)に示すように、素子分離溝140aを形成する。具体的には、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、素子分離溝140aが形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、このレジストパターンをマスクとして、ECRプラズマエッチングにより、下部半導体DBR103、下部スペーサ層104、活性層105、上部スペーサ層106、電流狭窄層108、上部半導体DBR107を除去することにより素子分離溝140aを形成する。この際、素子分離溝140を形成する際のECRプラズマエッチングの条件は、素子分離溝140aの側壁がテーパ状となるような条件で形成する。
次に、図14(b)に示すように、誘電体膜111bを形成する。誘電体膜111bは、CVD法により成膜され、例えば、SiN膜である。誘電体膜111は、このように形成された誘電体膜111bと誘電体膜111aにより構成される。尚、誘電体膜111bは、光学的な膜厚が2λ/4となるように成膜する。この後、メサ110の上面において、上部半導体DBR107とp側電極113とを接続するための開口部141を形成する。具体的には、開口部141の形成されている領域及び素子分離溝140の底面に開口を有するレジストパターンを形成し、RIE等により、レジストパターンの形成されていない領域の誘電体膜111bを除去することにより、開口部141を形成し、素子分離溝140の底面における誘電体膜111bも同時に除去する。この後、レジストパターンは、有機溶剤等により除去する。
次に、図14(c)に示すように、上部電極となるp側電極113と下部電極となるn側電極114を形成する。p側電極113は、メサ110の上面において、一辺が10μmの略正方形の開口部142を有しており、この開口部142より光が出射される。p側電極113は、Cr/AuZn/Auからなる金属多層膜、または、Ti/Pt/Auからなる金属多層膜により形成されている。p側電極113は、リフトオフにより形成される。この後、半導体基板101の裏面を所定の厚さ、例えば、100μm〜300μm程度になるまで研磨し、下部電極となるn側電極114を成膜する。n側電極114としては、AuGe/Ni/Auからなる金属多層膜、または、Ti/Pt/Auからなる金属多層膜により形成される。
次に、図15に示すように、素子分離溝140aの設けられている領域に、撥液性膜122aを成膜する。具体的には、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、素子分離溝140aに開口を有するレジストパターンを形成する。この後、炭化フッ化ガスを原料として用いたHWCVD法により、基板温度20℃〜100℃の範囲で、成膜圧力を1.3Pa〜40Paに設定し、フッ素を含む撥液性膜122aを成膜する。成膜された撥液性膜122aの膜厚は、10nm〜100nmである。この際、素子分離溝140aはテーパ状に形成されているため、底面のみならず傾斜した側面にも撥液性膜122aが形成される。この後、レジストパターンは、有機溶剤等により除去する。
更にこの後、ウエハレベルにおけるデバイス特性を測定後、スクライブラインに沿って、ダイシングによりチップごとに分離し、これにより分離された部分では半導体基板101におけるへき開が露出する。
本実施の形態では、素子分離溝140aの底面のみならず側面にも撥液性膜122aが形成されるため、接着剤及び有機溶剤の這い上がりをより一層防止することができる。
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1から第3の実施の形態のいずれかにおける面発光レーザ素子を用いた画像形成装置としてのレーザプリンタ1000である。
図16に基づき、本実施の形態におけるレーザプリンタ1000について説明する。本実施の形態におけるレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060等を備えている。なお、これらは、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。そして、感光体ドラム1030は、矢印Xで示す方向に回転するようになっている。
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングユニット1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングユニット1035の順に配置されている。
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。
光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面を、上位装置からの画像情報に基づいて変調された光束により走査し、感光体ドラム1030の表面に画像情報に対応した潜像を形成する。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、この光走査装置1010の構成については後述する。
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、このトナーは現像ローラ1032に供給される。
現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、この給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚づつ取り出し、レジストローラ対1039に搬送する。このレジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、この記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。
転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。ここで転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。
定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナーが記録紙1040上に定着される。ここで定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。
除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。
クリーニングユニット1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031に対向する位置に戻る。
次に、図17に基づき光走査装置1010について説明する。光走査装置1010は、光源ユニット1100、不図示のカップリングレンズ及び開口板、シリンドリカルレンズ1113、ポリゴンミラー1114、fθレンズ1115、トロイダルレンズ1116、2つのミラー(1117、1118)、及び上記各部を統括的に制御する不図示の制御装置を備えている。尚、光源ユニット1100は、第1から第3の実施の形態のいずれかにおける面発光レーザ素子を含む光源ユニット1100が用いられている。
シリンドリカルレンズ1113は、光源ユニット1100から出力された光を、ミラー1117を介してポリゴンミラー1114の偏向反射面近傍に集光する。
ポリゴンミラー1114は、高さの低い正六角柱状部材からなり、側面には6面の偏向反射面が形成されている。そして、不図示の回転機構により、矢印Yに示す方向に一定の角速度で回転されている。
従って、光源ユニット1100から出射され、シリンドリカルレンズ1113によってポリゴンミラー1114の偏向反射面近傍に集光された光は、ポリゴンミラー1114の回転により一定の角速度で偏向される。
fθレンズ1115は、ポリゴンミラー1114からの光の入射角に比例した像高をもち、ポリゴンミラー1114により一定の角速度で偏向される光の像面を、主走査方向に関して等速移動させる。 トロイダルレンズ1116は、fθレンズ1115からの光をミラー1118を介して、感光体ドラム1030の表面に結像する。
トロイダルレンズ1116は、fθレンズ1115を介した光束の光路上に配置されている。そして、このトロイダルレンズ1116を介した光束が、感光体ドラム1030の表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー1114の回転に伴って感光体ドラム1030の長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム1030上を走査する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」である。また、感光体ドラム1030の回転方向が「副走査方向」である。
ポリゴンミラー1114と感光体ドラム1030との間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施の形態では、走査光学系は、fθレンズ1115とトロイダルレンズ1116とから構成されている。なお、fθレンズ1115とトロイダルレンズ1116の間の光路上、及びトロイダルレンズ1116と感光体ドラム1030の間の光路上の少なくとも一方に、少なくとも1つの折り返しミラーが配置されてもよい。
この場合に、面発光レーザアレイLAが、図18に示されるように配置されていると、面発光レーザアレイLAでは、各面発光レーザ素子(VCSEL)の中心から副走査方向に対応する方向に垂線を下ろした時の副走査方向に対応する方向における各面発光レーザ素子の位置関係が等間隔(間隔d2とする)となるので、点灯のタイミングを調整することで感光体ドラム1030上では副走査方向に等間隔で光源が並んでいる場合と同様な構成と捉えることができる。例えば、副走査方向に対応した方向に関する面発光レーザ素子のピッチd1が26.5μmであれば、前記間隔d2は2.65μmとなる。そして、光学系の倍率を2倍とすれば、感光体ドラム1030上では副走査方向に5.3μm間隔で書き込みドットを形成することができる。これは、4800dpi(ドット/インチ)に対応している。すなわち、4800dpi(ドット/インチ)の高密度書込みができる。もちろん、主走査方向に対応する方向の面発光レーザ数を増加したり、前記ピッチd1を狭くして間隔d2を更に小さくするアレイ配置としたり、光学系の倍率を下げる等を行えばより高密度化でき、より高品質の印刷が可能となる。なお、主走査方向の書き込み間隔は、光源の点灯のタイミングで容易に制御できる。
また、この場合には、レーザプリンタ1000では書きこみドット密度が上昇しても面発光レーザ素子は高い単一基本横モード出力を発生させる事ができるので、印刷速度を落とすことなく印刷することができる。また、同じ書きこみドット密度の場合には印刷速度を更に速くすることができる。
また、この場合には、各発光部からの光束の偏光方向が安定して揃っているため、レーザプリンタ1000では、高品質の画像を安定して形成することができる。
尚、本実施の形態における説明では、画像形成装置としてレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であってもよい。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
本実施の形態では、第1から第3の実施の形態におけるいずれかの面発光レーザ素子を用いているため、電極パッドへの接着剤の這い上がりによる劣化が生じることがないため、高い信頼性を得ることができる。これにより、湿度の高い地域や温度差の大きな地域、振動等などの厳しい環境においても安定して用いることができる。また、光走査装置や画像形成装置における通気設計、排熱設計のマージンも広くすることができる。
〔第5の実施の形態〕
次に、第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態は、複数の感光体ドラムを備えるカラープリンタ2000である。
図19に基づき、本実施の形態におけるカラープリンタ2000について説明する。本実施の形態におけるカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、ブラック用の「感光体ドラムK1、帯電装置K2、現像装置K4、クリーニングユニットK5、及び転写装置K6」と、シアン用の「感光体ドラムC1、帯電装置C2、現像装置C4、クリーニングユニットC5、及び転写装置C6」と、マゼンタ用の「感光体ドラムM1、帯電装置M2、現像装置M4、クリーニングユニットM5、及び転写装置M6」と、イエロー用の「感光体ドラムY1、帯電装置Y2、現像装置Y4、クリーニングユニットY5、及び転写装置Y6」と、光走査装置2010と、転写ベルト2080と、定着ユニット2030などを備えている。
各感光体ドラムは、図19において示される矢印の方向に回転し、各感光体ドラムの周囲には、回転順にそれぞれ帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニングユニットが配置されている。各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。帯電装置によって帯電された各感光体ドラム表面に光走査装置2010により光が照射され、各感光体ドラムに潜像が形成されるようになっている。そして、対応する現像装置により各感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写装置により、転写ベルト2080上の記録紙に各色のトナー像が転写され、最終的に定着ユニット2030により記録紙に画像が定着される。
光走査装置2010は、第1から第3の実施の形態のいずれかにおける面発光レーザ素子を含む光源ユニットを、各々の色毎に有しており、第4の実施の形態において説明した光走査装置1010と同様の効果を得ることができる。また、カラープリンタ2000は、この光走査装置2010を備えているため、第4の実施の形態におけるレーザプリンタ1000と同様の効果を得ることができる。
ところで、カラープリンタ2000では、各部品の製造誤差や位置誤差等によって色ずれが発生する場合がある。このような場合であっても、光走査装置2010の各光源が第1から第3の実施の形態のいずれかにおける面発光レーザ素子を含む光源ユニットにより形成されているため、点灯させる発光部を選択することで色ずれを低減することができる。
よって、本実施の形態におけるカラープリンタ2000では、第1から第3の実施の形態のいずれかにおける面発光レーザ素子を用いているため、高品質の画像を形成することができる。
(他の画像形成装置)
第1から第3の実施の形態における面発光レーザ素子を用いた他の画像形成装置としては、例えばCTP(Computer to Plate)として知られている印刷版の作成にも好適に利用できる。つまり、第1から第3の実施の形態における面発光レーザ素子を用いた前述のような光走査装置によって、像担持体である印刷版材料にレーザアブレーションによって直接画像形成を行い、印刷版を形成する画像形成装置である。
他の像担持体として、いわゆるリライタブルペーパーと呼ばれているものに対しても本発明は適用できる。これは例えば紙や樹脂フィルム等の支持体上に、以下に説明するような材料を記録層として塗布してなり、例えばレーザ光による熱エネルギー制御によって発色に可逆性を与え、表示/消去を可逆的に行うものである。透明白濁型リライタブルマーキング法とロイコ染料を用いた発消色型リライタブルマーキング法があり、いずれも適用できる。
透明白濁型は高分子薄膜の中に脂肪酸の微粒子を分散したもので、110℃以上に加熱すると脂肪酸の溶融により樹脂が膨張する。その後、冷却すると脂肪酸は過冷却状態になり液体のまま存在し、膨張した樹脂が固化する。その後、脂肪酸が固化収縮して多結晶の微粒子となり樹脂と微粒子間に空隙が生まれる.この空隙により光が散乱されて白色に見える。次に、80℃から110℃の消去温度範囲に加熱すると脂肪酸は一部溶融し、樹脂は熱膨張して空隙を埋める、この状態で冷却すると透明状態となり画像の消去が行われる。
ロイコ染料を用いたリライタブルマーキング法は無色のロイコ型染料と長鎖アルキル基を有する顕消色剤との可逆的な発色および消色反応を利用している。レーザ光により加熱されるとロイコ染料と顕消色剤が反応して発色し、そのまま急冷すると発色状態が保持される。今度は加熱後、ゆっくり冷却すると顕消色剤の長鎖アルキル基の自己凝集作用により相分離が起こり、ロイコ染料と顕消色剤が物理的に分離されて消色する。
さらにまたレーザ光の光エネルギー制御によって発色に可逆性を与え、表示/消去を可逆的に行うものがある。例えば、紫外光を当てるとC(シアン)に発色し、可視光のR(レッド)の光で消色するフォトクロミック化合物,紫外光を当てるとM(マゼンタ)に発色し、可視光のG(グリーン)の光で消色するフォトクロミック化合物、紫外光を当てるとY(イエロー)に発色し、可視光のB(ブルー)の光で消色するフォトクロミック化合物を紙や樹脂フィルム等の支持体上に設けたいわゆるカラーリライタブルペーパーである。これは一旦紫外光を当てて真っ黒にし、R・G・Bの光を当てる時間や強さで、Y・M・Cに発色する3種類の材料の発色濃度を制御してフルカラーを表現する、仮にR・G・Bの強力な光を当て続ければ3種類とも消色して真っ白にすることもできる。このような,光エネルギー制御によって発色に可逆性を与えるものも本発明の面発光レーザアレイを用いた前述のような光走査装置を有する画像形成装置として実現できる。
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。