JP2012023096A - 導電性組成物および太陽電池セル - Google Patents

導電性組成物および太陽電池セル Download PDF

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Abstract

【課題】体積抵抗率を低く、また、シリコン基板との密着性にも優れる電極等を形成することができる導電性組成物およびそれを用いて電極を形成した太陽電池セルの提供。
【解決手段】銀粉(A)と、脂肪酸銀塩(B)と、エポキシ樹脂(C)と、コアシェル型粒子(D)および/またはフェノキシ樹脂(E)とを含有する導電性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性組成物およびそれを用いて電極を形成した太陽電池セルに関する。
太陽光のような光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池は、地球環境問題に対する関心が高まるにつれ、積極的に種々の構造・構成のものが開発されている。その中でも、シリコンなどの半導体基板を用いた太陽電池は、その変換効率、製造コストなどの優位性により最も一般的に用いられている。
このような太陽電池の電極を形成しうる材料としては、エポキシ樹脂系のペースト材料が知られている。
例えば、特許文献1には、電気・電子用の回路接続材料として、「下記(1)〜(3)の成分を必須とする接着剤組成物と、導電性粒子よりなる回路接続材料。(1)フェノキシ樹脂(2)ナフタレン系エポキシ樹脂(3)潜在性硬化剤」が記載されている。
更に、特許文献2には、基板やガラス基板上に電極又は電気配線を低温硬化条件にて形成し得る導電性樹脂組成物として、「(A)導電粉末、(B)フェノキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂、(D)60℃〜130℃で活性化可能な潜在性硬化剤、及び(E)溶剤を含むことを特徴とする導電性樹脂組成物。」が記載されている。
一方、特許文献3および4には、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイパネル(PDP)のような平板ディスプレイの導電線パターン形成、タッチスクリーンの電極部、面発光バックライト(FFL)のPAD部電極、フレキシブルPCBとRFIDのアンテナ等に用いられる導電膜を形成する銀ペーストが記載されており、特許文献3には、「炭素数0〜12の脂肪酸銀0.1〜60重量%;銀粉末1〜80重量%;バインダー0.1〜15重量%;及び有機溶媒残量で構成される導電膜形成用銀ペースト。」が記載され([請求項1])、また、脂肪酸銀としてクエン酸、銀粉末として板型銀粉末、バインダーとしてエポキシ樹脂バインダーが記載されている([0027][0035])。
特開2008−153230号公報 特開2009−269976号公報 特表2010−504612号公報 特表2010−505230号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載された組成物は、銀粉末の連結が進行せず、電極や配線の体積抵抗率(比抵抗)が高くなる場合があり、また、シリコン基板との密着性が劣ることが明らかとなった。
また、特許文献3および4に記載されたペースト材料は、使用するエポキシ樹脂バインダーの種類や焼成温度によっては、導電線パターンや電極の形成に用いられる導電膜の体積抵抗率(比抵抗)が高くなる場合があり、また、シリコン基板との密着性が劣ることが明らかとなった。
そこで、本発明は、体積抵抗率を低く、また、シリコン基板との密着性にも優れる電極・配線や導電膜(以下、「電極等」という。)を形成することができる導電性組成物およびそれを用いて電極を形成した太陽電池セルを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、銀粉、脂肪酸銀塩およびエポキシ樹脂に対して、コアシェル型粒子および/またはフェノキシ樹脂を含有する導電性組成物が、体積抵抗率を低く、また、シリコン基板との密着性にも優れる電極等を形成することができることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記(1)〜(17)を提供する。
(1)銀粉(A)と、脂肪酸銀塩(B)と、エポキシ樹脂(C)と、コアシェル型粒子(D)および/またはフェノキシ樹脂(E)とを含有する導電性組成物。
(2)上記脂肪酸銀塩(B)が、カルボキシ銀塩基(−COOAg)と水酸基(−OH)とをそれぞれ1個以上有する脂肪酸銀塩(B1)、および/または、カルボキシ銀塩基(−COOAg)を2個以上有するポリカルボン酸銀塩(B2)である上記(1)に記載の導電性組成物。
(3)上記脂肪酸銀塩(B1)が、下記式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物である上記(2)に記載の導電性組成物。
(式(I)中、nは0〜2の整数を表し、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。nが0または1である場合、複数のR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。nが2である場合、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(II)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(III)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
(4)上記脂肪酸銀塩(B1)が、上記カルボキシ銀塩基に対するα位および/またはβ位の炭素原子に上記水酸基を有している上記(2)または(3)に記載の導電性組成物。
(5)上記脂肪酸銀塩(B1)が、上記カルボキシ銀塩基を1個有し、上記水酸基を1個または2個有する上記(2)〜(4)のいずれかに記載の導電性組成物。
(6)上記ポリカルボン酸銀塩(B2)が、水酸基を有しない上記(2)に記載の導電性組成物。
(7)上記ポリカルボン酸銀塩(B2)が、下記式(IV)で表される化合物である上記(2)または(6)に記載の導電性組成物。
(式(IV)中、mは、2〜6の整数を表し、R4は、炭素数1〜24のm価の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2〜12のm価の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12のm価の脂環式炭化水素基、または、炭素数6〜12のm価の芳香族炭化水素基を表す。R4の炭素数をpとすると、m≦2p+2である。)
(8)上記コアシェル型粒子(D)の平均1次粒子径が、50〜500nmである上記(1)〜(7)のいずれかに記載の導電性組成物。
(9)上記コアシェル型粒子(D)が、中心からコア層、中間層およびシェル層をこの順に有する三層構造を有し、
上記コア層のガラス転移点が50℃以上であり、上記中間層のガラス転移点が−30℃以下であり、上記シェル層のガラス転移点が50℃以上である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の導電性組成物。
(10)上記脂肪酸銀塩(B1)が、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩および/または2−ヒドロキシイソ酪酸銀塩である上記(2)〜(5)、(8)および(9)のいずれかに記載の導電性組成物。
(11)上記ポリカルボン酸銀塩(B2)が、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸銀塩である上記(2)および(6)〜(9)のいずれかに記載の導電性組成物。
(12)上記フェノキシ樹脂(E)が、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂とビスフェノールF型フェノキシ樹脂との共重合体である上記(1)〜(11)のいずれかに記載の導電性組成物。
(13)上記脂肪酸銀塩(B)の含有量が、上記銀粉(A)100質量部に対して、1〜100質量部である上記(1)〜(12)のいずれかに記載の導電性組成物。
(14)上記エポキシ樹脂(C)の含有量が、上記銀粉(A)100質量部に対して、1〜100質量部である上記(1)〜(13)のいずれかに記載の導電性組成物。
(15)上記コアシェル型粒子(D)および上記フェノキシ樹脂(E)の合計の含有量が、上記銀粉(A)100質量部に対して、3〜50質量部である上記(1)〜(14)のいずれかに記載の導電性組成物。
(16)太陽電池電極用ペーストに用いる上記(1)〜(15)のいずれかに記載の導電性組成物。
(17)受光面側の表面電極、半導体基板および裏面電極を具備し、
上記表面電極および/または上記裏面電極が、上記(16)に記載の導電性組成物を用いて形成される太陽電池セル。
以下に示すように、本発明によれば、体積抵抗率を低く、また、シリコン基板との密着性にも優れる電極等を形成することができる導電性組成物およびそれを用いて電極を形成した太陽電池セルを提供することができる。
図1は太陽電池セルの好適な実施態様の一例を示す断面図である。 図2は実施例で使用する銀粉(AgC−103、福田金属箔社製)を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真である。 図3は実施例で使用する銀粉(AgC−2011、福田金属箔社製)を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真である。
本発明の導電性組成物は、銀粉(A)と、脂肪酸銀塩(B)と、エポキシ樹脂(C)と、コアシェル型粒子(D)および/またはフェノキシ樹脂(E)とを含有する導電性組成物である。
また、本発明の導電性組成物は、後述するように印刷性等の観点から、必要に応じて溶媒(F)を含有していてもよい。
以下に、銀粉(A)、脂肪酸銀塩(B)、エポキシ樹脂(C)、コアシェル型粒子(D)および/またはフェノキシ樹脂(E)ならびに所望により含有してもよい溶媒(F)について詳述する。
<銀粉(A)>
本発明の導電性組成物で用いる銀粉(A)は特に限定されず、従来公知の導電性ペーストで配合されているものを使用することができる。
上記銀粉(A)は、印刷性が良好となり、体積抵抗率のより小さい電極等を形成することができる理由から、平均粒子径が0.5〜10μmの球状の銀粉末であるのが好ましい。
ここで、球状とは、長径/短径の比率が2以下の粒子の形状をいう。
また、平均粒子径とは、球状の銀粉末の粒子径の平均値をいい、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定された50%体積累積径(D50)をいう。なお、平均値を算出する基になる粒子径は、球状の銀粉末の断面が楕円形である場合はその長径と短径の合計値を2で割った平均値をいい、正円形である場合はその直径をいう。
例えば、後述する実施例で使用する銀粉(AgC−103、福田金属箔社製)の写真(図2)で示されるものは球状の銀粉末に該当するが、銀粉(AgC−2011、福田金属箔社製)の写真(図3)で示されるものは球状の銀粉末には該当せず、フレーク(鱗片)状の銀粉末に該当するものである。
また、上記銀粉(A)の平均粒子径は、印刷性がより良好となる理由から、0.7〜5μmであるのが好ましく、焼結速度が適当となり作業性に優れる理由から、1〜3μmであるのがより好ましい。
本発明においては、このような銀粉(A)として市販品を用いることができ、その具体例としては、AgC−103(形状:球状、平均粒子径:1.5μm、福田金属箔社製)、AG4−8F(形状:球状、平均粒子径:2.2μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AG2−1C(形状:球状、平均粒子径:1.0μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AG3−11F(形状:球状、平均粒子径:1.4μm、DOWAエレクトロニクス社製)、EHD(形状:球状、平均粒子径:0.5μm、三井金属社製)、AgC−2011(形状:フレーク状、平均粒子径:2〜10μm、福田金属箔社製)等が挙げられる。
また、本発明においては、上記銀粉(A)の含有量は、印刷性が良好となり、体積抵抗率のより小さい電極等を形成することができる理由から、後述する溶媒(F)100質量部に対して300〜700質量部であるのが好ましく、400〜600質量部であるのがより好ましい。
更に、本発明においては、後述する実施例4にも示すように、上記銀粉(A)として、球状の銀粉末とフレーク状の銀粉末とを併用することができる。
ここで、フレーク状の銀粉末を併用する場合の含有量は、上記銀粉(A)の総質量のうち50質量%以下であるのが好ましい。
<脂肪酸銀塩(B)>
本発明の導電性組成物で用いる脂肪酸銀塩(B)は、有機カルボン酸の銀塩であれば特に限定されないが、低温(150〜350℃程度)焼成であっても、断線の発生を抑制して配線(電極)を形成することができ、シリコン基板への熱によるダメージを軽減できる理由から、カルボキシ銀塩基(−COOAg)と水酸基(−OH)とをそれぞれ1個以上有する脂肪酸銀塩(B1)、および/または、カルボキシ銀塩基(−COOAg)を2個以上有するポリカルボン酸銀塩(B2)であるのが好ましい。
このような脂肪酸銀塩(B1)またはポリカルボン酸銀塩(B2)を用いることにより、シリコン基板のみならず、耐熱性の低い基材上にも電子回路、アンテナ等の回路を容易かつ短時間で作製することができるため非常に有用である。
以下に、脂肪酸銀塩(B1)およびポリカルボン酸銀塩(B2)について詳述する。
(脂肪酸銀塩(B1))
上記脂肪酸銀塩(B1)は、カルボキシ銀塩基(−COOAg)と水酸基(−OH)とをそれぞれ1個以上有する脂肪酸銀塩であり、具体的には、以下に示す水酸基を1個以上有する脂肪酸と酸化銀とを反応させて得られるものである。
上記反応に用いられる脂肪酸は、水酸基を1個以上有する脂肪酸であれば特に限定されず、例えば、下記式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
式(1)中、nは0〜2の整数を表し、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。nが0または1である場合、複数のR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。nが2である場合、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(2)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(3)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記式(1)〜(3)中、R1の炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基が挙げられる。R1としては、水素原子、メチル基、エチル基であるのが好ましい。
また、上記式(1)中、R2の炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ヘプタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が挙げられる。R2としては、メチレン基、エチレン基であるのが好ましい。上記式(1)中、nの0〜2の整数としては、1または2であるのが好ましい。
また、上記式(3)中、R3の炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ヘプタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が挙げられる。R2としては、メチレン基、エチレン基であるのが好ましい。
上記式(1)で表される化合物としては、具体的には、例えば、下記式(1a)で表される2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸、下記式(1b)で表される2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、下記式(1c)で表されるヒドロキシピバリン酸、下記式(1d)で表されるβ−ヒドロキシイソ酪酸等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(2)で表される化合物としては、具体的には、例えば、下記式(2a)で表される2−ヒドロキシ−2−メチル−n−酪酸、下記式(2b)で表される2−ヒドロキシイソ酪酸、下記式(2c)で表されるグリコール酸、下記式(2d)で表されるDL−2−ヒドロキシ酪酸等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(3)で表される化合物としては、具体的には、例えば、下記式(3a)で表されるDL−3−ヒドロキシ酪酸、下記式(3b)で表されるβ−ヒドロキシ吉草酸等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種を併用してもよい。
これらのうち、得られる脂肪酸銀塩(B1)の還元が速やかに行われ、銀粒子が生成しやすくなる結果、本発明の導電性組成物を用いた電極等の形成がより低温かつ短時間で可能となる理由から、上記カルボキシ銀塩基に対するα位および/またはβ位の炭素原子に上記水酸基を有しているものが好ましく、上記カルボキシ銀塩基を1個有し、上記水酸基を1個または2個有するものがより好ましい。
特に、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸および/または2−ヒドロキシイソ酪酸であるのが、得られる脂肪酸銀塩(B2)である2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩および/または2−ヒドロキシイソ酪酸銀塩を含有する本発明の導電性組成物を用いた電極等の形成が更に低温かつ短時間で可能となる理由から好ましい。
一方、上記反応に用いられる酸化銀は、酸化銀(I)、即ち、Ag2Oである。
上記脂肪酸銀塩(B1)は、上述した水酸基を1個以上有する脂肪酸と酸化銀とを反応させて得られ、以下に示す反応式中の下記式(I)〜(III)で表される化合物であるのが好ましい。
この反応は、例えば、上記式(1)〜(3)で表される化合物を用いた場合は以下に示す反応式で表される反応が進行するものであれば特に限定されないが、上記酸化銀を粉砕しつつ進行させる方法や、上記酸化銀を粉砕した後に上記脂肪酸を反応させる方法が好ましい。前者の方法としては、具体的には、上記酸化銀と、溶剤により上記脂肪酸を溶液化したものとを、ボールミル等により混練し、固体である上記酸化銀を粉砕させながら、室温で、1〜24時間程度、好ましくは2〜8時間反応させるのが好ましい。
式(I)中、nは0〜2の整数を表し、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。nが0または1である場合、複数のR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。nが2である場合、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(II)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(III)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記脂肪酸を溶液化する溶媒としては、具体的には、例えば、ブチルカルビトール、メチルエチルケトン、イソホロン、α−テルピネオール等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
中でも、イソホロンおよび/またはα−テルピネオールを溶媒として用いるのが、上記反応により得られる脂肪酸銀塩(B1)を含有する本発明の導電性組成物のチクソ性が良好となる。
(ポリカルボン酸銀塩(B2))
上記ポリカルボン酸銀塩(B2)は、カルボキシ銀塩基(−COOAg)を2個以上有するポリカルボン酸銀塩であり、具体的には、以下に示すカルボキシ基を2個以上有する脂肪酸と酸化銀とを反応させて得られるものである。
上記反応に用いられる脂肪酸は、カルボキシ基を2個以上有する脂肪酸であれば特に限定されないが、水酸基を有していない脂肪酸であるのが好ましく、例えば、下記式(4)で表される化合物等が挙げられる。
式(4)中、mは、2〜6の整数を表し、R4は、炭素数1〜24のm価の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2〜12のm価の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12のm価の脂環式炭化水素基、または、炭素数6〜12のm価の芳香族炭化水素基を表す。R4の炭素数をpとすると、m≦2p+2である。
なお、式(4)中、mが2以上の場合、カルボキシ基の炭素が結合するR4の炭素は、同一であっても異なっていてもよい。
上記式(4)中、mの2〜6の整数としては、2〜5であるのが好ましく、2〜4であるのがより好ましい。
上記式(4)中、R4が示す飽和脂肪族炭化水素基の1〜24の炭素数としては、1〜12であるのが好ましく、1〜6であるのがより好ましい。
mが2の場合におけるR4が示す飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基等が挙げられる。
mが3の場合におけるR4が示す飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メタン−トリイル基、エタン−1,1,2−トリイル基、プロパン−1,1,3−トリイル基、プロパン−1,2,3−トリイル基、ブタン−1,1,3−トリイル基、ブタン−1,1,4−トリイル基、ブタン−1,2,4−トリイル基等が挙げられる。
mが4の場合におけるR4が示す飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、エタン−1,2,2,2−テトライル基、プロパン−1,2,2,3−テトライル基、ブタン−1,2,3,4−テトライル基等が挙げられる。
上記式(4)中、R4が示す不飽和脂肪族炭化水素基の2〜12の炭素数としては、2〜10であるのが好ましく、2〜6であるのがより好ましい。
mが2の場合におけるR4が示す不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、エチレン−1,2−ジイル基、プロペン−1,3−ジイル基等が挙げられる。
mが3の場合におけるR4が示す不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、プロペン−1,2,3−トリイル基、プロペン−1,3,3−トリイル基等が挙げられる。
mが4の場合におけるR4が示す不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、プロペン−1,1,2,3−テトライル基等が挙げられる。
上記式(4)中、R4が示す脂環式炭化水素基の3〜12の炭素数としては、3〜10であるのが好ましく、3〜6であるのがより好ましい。
mが2の場合におけるR4が示す脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘキセン−1,2−ジイル基、シクロヘキセン−4,5−ジイル基、1−メチルシクロヘキセン−4,5−ジイル基等が挙げられる。
mが3の場合におけるR4が示す脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロパン−1,2,3−トリイル基、シクロペンタン−1,1,2−トリイル基、シクロヘキサン−1,2,4−トリイル基等が挙げられる。
mが4の場合におけるR4が示す脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブタン−1,2,3,4−テトライル基、シクロペンタン−1,2,3,4−テトライル基、シクロペンタン−1,2,4,5−テトライル基、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基、3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基等が挙げられる。
上記式(4)中、R4が示す芳香族炭化水素基の6〜12の炭素数としては、6〜10であるのが好ましく、6〜8であるのがより好ましい。
mが2の場合におけるR4が示す芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン−1,2−ジイル基、ベンゼン−1,3−ジイル基、ベンゼン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,3−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基等が挙げられる。
mが3の場合におけるR4が示す芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン−1,2,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,5−トリイル基等が挙げられる。
mが4の場合におけるR4が示す芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン−1,2,4,5−テトライル基、ビフェニル−3,3′,4,4′−テトライル基等が挙げられる。
上記式(4)で表される化合物としては、例えば、脂肪族ポリカルボン酸、脂環式ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ポリカルボン酸としては、具体的には、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの飽和ジカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸;トリカルバリル酸などの飽和トリカルボン酸;アコニット酸などの不飽和トリカルボン酸;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などの飽和テトラカルボン酸;等が挙げられる。
脂環式ポリカルボン酸としては、具体的には、例えば、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸などの不飽和脂環式ジカルボン酸;1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸などの飽和脂環式テトラカルボン酸;等が挙げられる。
芳香族ポリカルボン酸としては、具体的には、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのベンゼンジカルボン酸;トリメリット酸、トリメシン酸などのトリカルボン酸;ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸などのテトラカルボン酸;1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸;等が挙げられる。
これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、印刷性が良好となり、本発明の導電性組成物を用いた電極等の形成がより低温かつ短時間で可能となる理由から、脂肪族ポリカルボン酸、脂環式ポリカルボン酸が好ましく、飽和ジカルボン酸、飽和テトラカルボン酸、不飽和脂環式ジカルボン酸であるのがより好ましい。
特に、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸であるのが、得られるポリカルボン酸銀塩(B2)である1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸銀塩を含有する本発明の導電性組成物を用いた電極等の形成が更に低温かつ短時間で可能となる理由から好ましい。
一方、上記反応に用いられる酸化銀は、上述した脂肪酸銀塩(B1)の反応(合成)と同様、Ag2Oである。
上記ポリカルボン酸銀塩(B2)は、上述したカルボキシ基を2個以上有するポリカルボン酸と酸化銀とを反応させて得られ、以下に示す反応式中の下記式(IV)で表される化合物であるのが好ましい。
この反応は、例えば、上記式(4)で表される化合物を用いた場合は以下に示す反応式で表される反応が進行するものであれば特に限定されず、上述した式(1)〜(3)で表される化合物を用いた場合と同様の方法が挙げられる。
式(IV)中、mは、2〜6の整数を表し、R4は、炭素数1〜24のm価の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2〜12のm価の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12のm価の脂環式炭化水素基、または、炭素数6〜12のm価の芳香族炭化水素基を表す。R4の炭素数をpとすると、m≦2p+2である。
なお、式(IV)中、mが2以上の場合、カルボキシ基の炭素が結合するR4の炭素は、同一であっても異なっていてもよい。
本発明においては、上記脂肪酸銀塩(B)の含有量は、印刷性が良好となり、体積抵抗率のより小さい電極等を形成することができる理由から、上記銀粉(A)100質量部に対して1〜100質量部であるのが好ましく、5〜50質量部であるのがより好ましい。
<エポキシ樹脂(C)>
本発明の導電性組成物で用いるエポキシ樹脂(C)は、1分子中に2個以上のオキシラン環(エポキシ基)を有する化合物からなる樹脂であれば特に限定されず、一般的に、エポキシ当量が90〜2000のものである。
このようなエポキシ樹脂としては、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができる。
具体的には、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型等のビスフェニル基を有するエポキシ化合物や、ポリアルキレングリコール型、アルキレングリコール型のエポキシ化合物や、ナフタレン環を有するエポキシ化合物や、フルオレン基を有するエポキシ化合物等の二官能型のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;
フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の多官能型のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;
ダイマー酸等の合成脂肪酸のグリシジルエステル系エポキシ樹脂;
N,N,N′,N′−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン(TGDDS)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン(TGMXDA)、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン、テトラグリシジル1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(TG1,3−BAC)、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)等のグリシジルアミン系エポキシ樹脂;
トリシクロ〔5,2,1,02,6〕デカン環を有するエポキシ化合物、具体的には、例えば、ジシクロペンタジエンとメタクレゾール等のクレゾール類またはフェノール類を重合させた後、エピクロルヒドリンを反応させる公知の製造方法によって得ることができるエポキシ化合物;
脂環型エポキシ樹脂;東レチオコール社製のフレップ10に代表されるエポキシ樹脂主鎖に硫黄原子を有するエポキシ樹脂;ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂;ポリブタジエン、液状ポリアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を含有するゴム変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、これらのうち、硬化性、耐熱性、耐久性およびコストの観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂であるのが好ましい。
本発明においては、上記エポキシ樹脂(C)の含有量は、体積抵抗率がより低く、シリコン基板との密着性がより良好となる電極等を形成することができる理由から、上記銀粉(A)100質量部に対して、1〜100質量部であるのが好ましく、5〜50質量部であるのがより好ましい。
<コアシェル型粒子(D)>
本発明の導電性組成物で用いるコアシェル型粒子(D)は、コア層およびシェル層の2層を少なくとも有するものである。なお、このコアシェル型粒子(D)は、後述するフェノキシ樹脂(E)に代えて、または後述するフェノキシ樹脂(E)とともに用いるものである。
本発明においては、上記コアシェル型粒子(D)は、シェル層のガラス転移点が50℃以上であるのが好ましく、シェル層に隣接する内層のガラス転移点が−30℃以下であるのが好ましい。
ここで、上記コアシェル型粒子(D)が2層構造の場合、シェル層に隣接する内層はコア層となるため、このコア層のガラス転移点が−30℃以下であるのが好ましい。
また、上記コアシェル型粒子(D)が3層構造の場合、上記コアシェル型粒子(B)はシェル層に隣接する内層として中間層を有し、この中間層のガラス転移点が−30℃以下であるのが好ましい。なお、3層構造のコアシェル型粒子(D)は、耐熱性および耐衝撃性等が良好となる理由から、中心にガラス転移点が50℃以上のコア層を有し、コア層を覆うようにガラス転移点が−30℃以下の中間層を有していることが好ましく、さらに中間層を覆うようにガラス転移点が50℃以上の最外殻にシェル層を有することが好ましい。
また、上記コアシェル型粒子(D)は4層以上の構造を有していてもよく、例えば、上記コア層の内部に上記コア層と異なるガラス転移点をもった層を有する4層構造であってもよい。
以下に、上記コアシェル型粒子(D)を構成する各層について詳述する。
(シェル層)
シェル層を形成する物質は特に限定されないが、シリコン基板との密着性がより良好となる理由から、ガラス転移点が50℃以上の物質であることが好ましく、50〜200℃であることがより好ましく、80〜200℃であることがさらに好ましい。
なお、ガラス転移点は、動的な粘弾性測定におけるtanδのピーク値の温度をいう。コアシェル型粒子(D)における他層のガラス転移点も同様とする。
シェル層は、メチルメタクリレートおよび/またはスチレンが重合してなるポリマー、これらと共重合可能なモノマーとが共重合したポリマー等からなることが好ましい。
メチルメタクリレートまたはスチレンと共重合可能なモノマーとしては、具体的には、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのアルキルアクリレート;エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどのアルキルメタクリレート;ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニルや芳香族ビニリデン;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニルやシアン化ビニリデン;等のビニル重合性モノマーが挙げられ、中でも、エチルアクリレート、アクリロニトリルが好ましい。
また、メチルメタクリレートまたはスチレンと共重合可能なモノマーとしては、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基等の官能基を持ったモノマーを共重合させることができる。例えば、エポキシ基を持つモノマーとしては、グリシジルメタクリレート等が挙げられ、カルボキシル基を持つモノマーとしては、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられ、水酸基を持つモノマーとしては、2−ヒドロキシメタクリレート、2−ヒドロキシアクリレート等が挙げられる。
また、メチルメタクリレートまたはスチレンと共重合可能なモノマーとしては、層間の結合が得られ、加熱時においても粒子が変形し難いという理由から、架橋性モノマーまたはグラフト用モノマーを10質量%以内で用いることが好ましい。
架橋性モノマーとしては、具体的には、例えば、ジビニルベンゼンなどの芳香族ジビニル化合物;ヘキサンジオールジアクリレート、ノルボルネンジメチロールジメタクリレートなどのアルカンポリオールポリアクリレート;等を挙げることができる。
グラフト用モノマーとしては、例えば、アリルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アリルエステル;等を挙げることができる。
また、シェル層を製造する際に使用されるモノマーは、凝集を防ぐ観点から、アクリロニトリルを含むのが好ましい。
同様に、シェル層を製造する際に使用されるモノマーは、分散性の観点から、極性の高いアクリロニトリルを含むのが好ましい。
そして、シェル層を製造する際に使用されるモノマーがアクリロニトリルを含む場合、得られるポリマー(シェル層)がニトリル基を有することになるため、上述したエポキシ樹脂(C)が硬化して生成するヒドロキシ基と水素結合を形成することにより柔軟性が発現し、また、シリコン基板に対して作用することにより密着性がより良好となる。
また、シェル層を製造する際に使用されるモノマーがアクリロニトリルを含む場合、アクリロニトリル以外にアクリロニトリルと共重合しうるモノマーとして、さらに芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル以外の非芳香族系単量体を含むことができる。
芳香族ビニル単量体としては、具体的には、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。なかでも、上述した柔軟性および密着性の観点から、スチレンが好ましい。
アクリロニトリルの量は、シェル層を製造する際に使用されるモノマーの全量中、好ましくは70質量%以下の範囲であり、より好ましくは50質量%以下の範囲である。
アクリロニトリル以外の非芳香族系単量体としては、具体的には、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸アルキル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸アルキル;メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル;シアン化ビニリデン;等が挙げられる。
アクリロニトリル以外の非芳香族系単量体の量は、シェル層を製造する際に使用されるモノマーの全量中、好ましくは70質量%以下の範囲であり、より好ましくは50質量%以下の範囲である。
また、シェル層を製造する際に使用されるモノマーがアクリロニトリルを含む場合、シェル層は、架橋性単量体にて架橋されていてもよい。
シェル層を製造する際に使用することができる架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ブチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。特に、上述した柔軟性および密着性の観点から、ジビニルベンゼンが好ましい。
架橋性単量体の量は、シェル層を製造する際に使用されるモノマーの全量中、通常、30質量%以下の範囲であり、好ましくは0.5〜20質量%の範囲であり、より好ましくは5〜15質量%の範囲である。
また、シェル層を製造する際に使用されるモノマーがアクリロニトリルを含む場合、シェル層は、スチレン−アクリロニトリル系共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ジビニルベンゼン系共重合体が好ましい。
(内層)
シェル層に隣接する内層は、シリコン基板との密着性がより良好となる理由から、そのガラス転移点が−30℃以下であるのが好ましく、−110〜−30℃であることがより好ましく、−110〜−40℃であることがさらに好ましい。
シェル層に隣接する内層を製造する際に使用することができるモノマーは、例えば、アルキル基の炭素数が2〜8であるアクリル酸アルキルエステル、ブタジエンを含むことができる。
アルキル基の炭素数が2〜8であるアクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、例えば、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。
シェル層に隣接する内層を製造する際に使用することができるモノマーは、具体的には、例えば、アルキル基の炭素数が2〜8であるアクリル酸アルキルエステルやブタジエンと共に、それに共重合可能な他のビニル系単量体を併用することができる。
アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のビニル系単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物や芳香族ビニリデン化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニルやシアン化ビニリデン;メチルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどのアルキルメタクリレート;等が挙げられる。
アクリル酸アルキルエステルやブタジエンと共重合可能な他のビニル系単量体の量は、シェル層に隣接する内層を製造する際に使用するモノマーの全量に対して、通常、50質量%以下の範囲であり、好ましくは30質量%以下の範囲である。
シェル層に隣接する内層は、架橋性単量体によって架橋されていてもよい。架橋性単量体は、上記と同義である。架橋性単量体の使用量は、シェル層に隣接する内層を製造する際に使用することができるモノマー全量中の、通常、0.01〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜2質量%の範囲である。
シェル層に隣接する内層を製造する際に使用することができるモノマーはさらにグラフト化単量体を含むことができる。グラフト化単量体は特に制限されない。
コアシェル型粒子(D)が3層である場合のコア層について以下に説明する。
3層のコアシェル型粒子(D)におけるコア層を製造する際に使用することができるモノマーとしては、例えば、芳香族ビニル単量体が挙げられる。芳香族ビニル単量体は、上記と同義である。
3層のコアシェル型粒子(D)におけるコア層を製造する際に使用することができるモノマーは、芳香族ビニル単量体以外に、さらに、非芳香族系単量体、架橋性単量体を含むことができる。
非芳香族単量体としては、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのアルキルアクリレート;メチルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどのアルキルメタクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニルやシアン化ビニリデン;等が挙げられる。
非芳香族単量体の使用量は、コア層を製造する際に使用することができるモノマー全量中の、好ましくは50質量%以下の範囲であり、より好ましくは20質量%以下の範囲である。
3層のコアシェル型粒子(D)におけるコア層は、架橋性単量体にて架橋されていてもよい。
架橋性単量体としては、例えば、分子内に二個以上の重合性エチレン性不飽和結合を有する単量体が挙げられる。具体的には、例えば、ジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート;等が挙げられる。中でも、ジビニルベンゼンが好ましい。
架橋性単量体の使用量は、コア層を製造する際に使用することができるモノマー全量中の、通常、30質量%以下の範囲であり、好ましくは0.5〜20質量%の範囲であり、より好ましくは5〜15質量%の範囲である。
3層のコアシェル型粒子(D)におけるコア層を製造する際に使用することができるモノマーはさらにグラフト化単量体を含むことができる。
3層のコアシェル型粒子(D)におけるコア層のガラス転移点が50℃以上の物質であることが好ましい。コア層のガラス転移点は50〜200℃であることがより好ましく、80〜200℃であることがさらに好ましい。ガラス転移点がこの範囲であると、シリコン基板との密着性がより良好となる。
本発明においては、上記コアシェル型粒子(D)は、1次粒子径の平均が50〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがより好ましい。平均一次粒子径がこの範囲であると、凝集が抑制され、シリコン基板との密着性がより良好となる。
なお、上記コアシェル型粒子(D)の1次粒子径の平均値は、ゼータ電位粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社)を用いて測定して得た値を意味するものとする。
上記コアシェル型粒子(D)は、一般的なコアシェルポリマーを製造するための公知の方法に準じて製造することができる。例えば、公知のシード重合法に従い、所定の単量体を段階的に反応系に添加することによって、コア層、中間層およびシェル層を順次形成させることにより製造することができる。
<フェノキシ樹脂(E)>
本発明の導電性組成物で用いるフェノキシ樹脂(E)は特に限定されず、従来公知のフェノキシ樹脂を用いることができる。
本発明においては、上述したエポキシ樹脂(C)と相溶して安定したペースト状態を得ることができる理由から、上記フェノキシ樹脂(E)が、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂とビスフェノールF型フェノキシ樹脂との共重合体であるのが好ましい。
また、本発明においては、上記フェノキシ樹脂(E)として市販品を用いることができ、その具体例としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(1256、ジャパンエポキシレジン社製)、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(YP−50、東都化成社製)、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂(FX−316、東都化成社製)、ビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合タイプ(YP−70、東都化成社製)等が挙げられる。
本発明においては、上述した銀粉(A)、脂肪酸銀塩(B)およびエポキシ樹脂(C)とともに、コアシェル型粒子(D)および/またはフェノキシ樹脂(E)を配合した導電性組成物を用いることにより、体積抵抗率を低く、また、シリコン基板との密着性にも優れる電極等を形成することができる。
これは、コアシェル型粒子(D)および/またはフェノキシ樹脂(E)が、エポキシ樹脂(C)に対して柔軟性を付与することにより、断線の発生を抑制して高い導電性を発現すると考えられる。また、柔軟性が付与されることにより、エポキシ樹脂(C)が、熱処理により脂肪酸銀塩(B)から分解される銀とともにシリコン基板に適度に濡れ広がるため、シリコン基板との密着性が向上すると考えられる。
また、本発明においては、上記コアシェル型粒子(D)および上記フェノキシ樹脂(E)の合計の含有量は、体積抵抗率がより低く、シリコン基板との密着性がより良好となる電極等を形成することができる理由から、上記銀粉(A)100質量部に対して、3〜50質量部であるのが好ましく、10〜20質量部であるのがより好ましい。
<溶媒(F)>
本発明の導電性組成物は、印刷性等の作業性の観点から、溶媒(F)を含有するのが好ましい。
上記溶媒(F)は、本発明の導電性組成物を基材上に塗布することができるものであれば特に限定されず、その具体例としては、ブチルカルビトール、メチルエチルケトン、イソホロン、α−テルピネオール等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
<硬化剤>
本発明の導電性組成物は、上述したエポキシ樹脂(C)の硬化剤を含有するのが好ましい。
上記硬化剤は特に限定されず、従来公知の導電性ペーストにおいてエポキシ樹脂とともに配合されているものを使用することができる。
<酸化銀>
本発明の導電性組成物は、上述したエポキシ樹脂(C)の分解を抑制し、シリコン基板との優れた密着性を保持できる理由から、酸化銀の含有量は上述した溶媒(F)100質量部に対して5質量部以下であるのが好ましく、1質量部以下であるのがより好ましく、実質的に酸化銀を含有していない態様が最も好ましい。
<ガラスフリット>
本発明の導電性組成物は、太陽電池電極用ペーストに用いる場合、形成される電極とシリコン基板との密着性がより良好となる理由から、所望によりガラスフリットを含有することができる。なお、低温(150〜350℃程度)、特に200℃以下の温度による焼成で電極等を形成する場合は、通常、ガラスフリットは含有しない。
<添加剤>
本発明の導電性組成物は、必要に応じて、上述した銀粉(A)以外の金属粉、還元剤等の添加剤を含有していてもよい。
上記金属粉としては、具体的には、例えば、銅、アルミニウム等が挙げられ、中でも、銅であるのが好ましい。また、0.01〜10μmの粒径の金属粉であるのが好ましい。
上記還元剤としては、具体的には、例えば、エチレングリコール類等が挙げられる。
本発明の導電性組成物の製造方法は特に限定されず、上記銀粉(A)、上記脂肪酸銀塩(B)および上記エポキシ樹脂(C)と、上記コアシェル型粒子(D)および/または上記フェノキシ樹脂(E)と、所望により含有してもよい上記溶媒(F)、硬化剤および添加剤等とを、ロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機等により混合する方法が挙げられる。
本発明の太陽電池セルは、受光面側の表面電極、半導体基板および裏面電極を具備し、上記表面電極および/または上記裏面電極が、上述した本発明の導電性組成物を用いて形成される太陽電池セルである。
ここで、本発明の太陽電池セルは、上述した本発明の導電性組成物が全裏面電極型(いわゆるバックコンタクト型)太陽電池の裏面電極の形成にも適用することができるため、全裏面電極型の太陽電池にも適用することができる。
以下に、本発明の太陽電池セルの構成について図1を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の太陽電池セル1は、受光面側の表面電極4と、p層5およびn層2が接合したpn接合シリコン基板7と、裏面電極6とを具備するものである。
また、図1に示すように、本発明の太陽電池セル1は、反射率低減のため、例えば、ウェハー表面にエッチングを施して、ピラミッド状のテクスチャを形成し、反射防止膜3を具備するのが好ましい。
<表面電極/裏面電極>
本発明の太陽電池セルが具備する表面電極および裏面電極は、いずれか一方または両方が本発明の導電性組成物を用いて形成されていれば、電極の配置(ピッチ)、形状、高さ、幅等は特に限定されない。なお、電極の高さは、通常、数〜数十μmに設計されるが、本発明の導電性組成物を用いて形成した電極の断面の高さと幅の比率(高さ/幅)(以下、「アスペクト比」という。)を大きく(例えば、0.4程度以上)調整することが可能となる。
ここで、表面電極および裏面電極は、図1に示すように、通常、複数個有するものであるが、本発明においては、例えば、複数の表面電極の一部のみが本発明の導電性組成物で形成されたものであってもよく、複数の表面電極の一部と複数の裏面電極の一部が本発明の導電性組成物で形成されたものであってもよい。
<反射防止膜>
本発明の太陽電池セルが具備していてもよい反射防止膜は、受光面の表面電極が形成されていない部分に形成される膜(膜厚:0.05〜0.1μm程度)であって、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、酸化チタン膜、これらの積層膜等から構成されるものである。
<シリコン基板>
本発明の太陽電池セルが具備するシリコン基板は特に限定されず、太陽電池を形成するための公知のシリコン基板(板厚:100〜450μm程度)を用いることができ、また、単結晶または多結晶のいずれのシリコン基板であってもよい。
また、上記シリコン基板はpn接合を有するが、これは、第1導電型の半導体基板の表面側に第2導電型の受光面不純物拡散領域が形成されていることを意味する。なお、第1導電型がn型の場合には、第2導電型はp型であり、第1導電型がp型の場合には、第2導電型はn型である。
ここで、p型を与える不純物としては、ホウ素、アルミニウム等が挙げられ、n型を与える不純物としては、リン、砒素などが挙げられる。
本発明の太陽電池セルは、表面電極および/または裏面電極が本発明の導電性組成物を用いて形成されているため、電極のアスペクト比を大きくし易く、受光により発生した起電力を電流として効率良く取り出すことができる。
本発明の太陽電池セルの製造方法は特に限定されないが、本発明の導電性組成物をシリコン基板上に塗布して配線を形成する配線形成工程と、得られた配線を熱処理して電極(表面電極および/または裏面電極)を形成する電極形成工程とを有する方法が挙げられる。
なお、本発明の太陽電池セルが反射防止層を具備する場合、反射防止膜は、プラズマCVD法等の公知の方法により形成することができる。
以下に、配線形成工程、熱処理工程について詳述する。
<配線形成工程>
上記配線形成工程は、本発明の導電性組成物をシリコン基材上に塗布して配線を形成する工程である。
ここで、塗布方法としては、具体的には、例えば、インクジェット、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷等が挙げられる。
<熱処理工程>
上記熱処理工程は、上記配線形成工程で得られた塗膜を熱処理して導電性の配線(電極)を得る工程である。
配線を熱処理することにより、脂肪酸銀塩(B)から分解される銀が融解する際に銀粉(A)が連結され、電極(銀膜)が形成される。
本発明においては、上記熱処理は特に限定されないが、150〜350℃の比較的低い温度で、数秒〜数十分間、加熱(焼成)する処理であるのが好ましい。温度および時間がこの範囲であると、シリコン基板上に反射防止膜を形成した場合であっても、ファイヤースルー法により容易に電極を形成することができる。
なお、本発明においては、上記配線形成工程で得られた配線は、紫外線または赤外線の照射でも電極を形成することができるため、上記熱処理工程は、紫外線または赤外線の照射によるものであってもよい。
以下、実施例を用いて、本発明の導電性組成物について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1〜6、比較例1〜2)
ボールミルに、下記第1表に示す銀粉等を下記第1表中に示す組成比となるように添加し、これらを混合することにより導電性組成物を調製した。
次いで、調製した導電性組成物をシリコン基板(単結晶シリコンウェハー、LS−25TVA、156mm×156mm×200μm、信越化学工業社製)上に、スクリーン印刷で塗布して塗膜を形成した後、オーブンにて200℃および450℃の2つの条件で30分間乾燥し、導電性被膜を作製した。
<体積抵抗率(比抵抗)>
形成した各導電性被膜について、低抵抗率計(ロレスターGP、三菱化学社製)を用いた4端子4探針法により比抵抗(体積固有抵抗値)を測定した。その結果を下記第1表に示す。
<密着性>
形成した各導電性被膜のシリコン基板に対する密着性の評価は、碁盤目はく離試験により行った。その結果を下記第1表に示す。
具体的には、得られた各導電性被膜付きシリコン基板に、1mmの基盤目を100個(10×10)作り、基盤目上にセロハン粘着テープを完全に付着させ、指の腹で10回こすった後、テープの一端を導電性膜に直角に保った状態で瞬間的に引き離し、完全に剥がれないで残った基盤目の数を調べた。完全に剥がれないで残った基盤目数が100、即ち、全く剥がれなかったものが最も好ましい。
第1表中の各成分は、以下のものを使用した。
・銀粉1:AgC−103(形状:球状、平均粒子径:1.5μm、福田金属箔社製)
・銀粉2:AgC−2011(形状:フレーク状、平均粒子径:2〜10μm、福田金属箔社製)
・2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩:
まず、酸化銀(東洋化学工業社製)50g、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸(東京化成社製)64gおよびメチルエチルケトン(MEK)300gをボールミルに投入し、室温で24時間撹拌させることにより反応させた。
次いで、吸引ろ過によりMEKを取り除き、得られた粉末を乾燥させることにより、白色の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩を調製した。
・2−ヒドロキシイソ酪酸銀塩:
まず、酸化銀(東洋化学工業社製)50g、2−ヒドロキシイソ酪酸(東京化成社製)45gおよびメチルエチルケトン(MEK)300gをボールミルに投入し、室温で24時間撹拌させることにより反応させた。
次いで、吸引ろ過によりMEKを取り除き、得られた粉末を乾燥させることにより、白色の2−ヒドロキシイソ酪酸銀塩を調製した。
・1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸銀塩:
まず、酸化銀(東洋化学工業社製)50g、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸(新日本理化社製)25.29gおよびメチルエチルケトン(MEK)300gをボールミルに投入し、室温で24時間撹拌させることにより反応させた。
次いで、吸引ろ過によりMEKを取り除き、得られた粉末を乾燥させることによって、白色の1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸銀塩を調製した。
・2−エチルヘキサン酸銀塩:
まず、酸化銀(東洋化学工業社製)50g、2−エチルヘキサン酸(東京化成社製)62.21gおよびメチルエチルケトン(MEK)300gをボールミルに投入し、室温で24時間撹拌させることにより反応させた。
次いで、吸引ろ過によりMEKを取り除き、得られた粉末を乾燥させることによって、白色の2−エチルヘキサン酸銀塩を調製した。
・ネオデカン酸銀塩:
まず、酸化銀(東洋化学工業社製)50g、ネオデカン酸(東洋合成社製)74.3gおよびMEK300gをボールミルに投入し、室温で24時間撹拌させることにより反応させた。
次いで、吸引ろ過によりMEKを取り除き、得られた粉末を乾燥させることにより、ネオデカン酸銀塩を調製した。
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂:EP−4010(ADEKA社製)
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂:YDF−170(新日鐵化学社製)
・3層コアシェル型粒子:IM−601(1次粒子の平均粒径:200〜300nm、シェル層を形成するポリマー:アクリロニトリル/スチレン共重合体、シェル層のガラス転移点:約80℃〜100℃、中間層のガラス転移点:約−50℃〜−60℃、コア層のガラス転移点:約80℃〜100℃、ガンツ化成社製)
・2層コアシェル型粒子:AC−3355(1次粒子の平均粒径:400〜500nm、シェル層を形成するポリマー:メチルメタクリレート、シェル層のガラス転移点:約80〜100℃、コア層のガラス転移点:約−50℃〜−60℃、ガンツ社製)
・ビスフェノールA型フェノキシ樹脂:1256(ジャパンエポキシレジン社製)
・ビスフェノールF型フェノキシ樹脂:FX−316(東都化成社製)
・溶媒:α−テルピネール
・硬化剤:芳香族スルホニウム塩(Sl−100L、三新化学工業社製)
第1表に示す結果から、コアシェル型粒子(D)および/またはフェノキシ樹脂(E)を用いずに調製した比較例1および2は、体積抵抗率が高くなり、また、シリコン基板との密着性にも劣ることが分かった。
これに対し、コアシェル型粒子(D)および/またはフェノキシ樹脂(E)を用いて調製した実施例1〜6は、450℃で30分間という中温焼成条件のみならず、200℃で30分間という低温焼成条件であっても、体積抵抗率を低く、また、シリコン基板との密着性にも優れることが分かった。特に、所定の脂肪酸銀塩(B1)やポリカルボン酸銀塩(B2)を用いて調製した実施例1〜5は、体積抵抗率がより低くなることが分かった。
1 太陽電池セル
2 n層
3 反射防止膜
4 表面電極
5 p層
6 裏面電極
7 シリコン基板

Claims (17)

  1. 銀粉(A)と、脂肪酸銀塩(B)と、エポキシ樹脂(C)と、コアシェル型粒子(D)および/またはフェノキシ樹脂(E)とを含有する導電性組成物。
  2. 前記脂肪酸銀塩(B)が、カルボキシ銀塩基(−COOAg)と水酸基(−OH)とをそれぞれ1個以上有する脂肪酸銀塩(B1)、および/または、カルボキシ銀塩基(−COOAg)を2個以上有するポリカルボン酸銀塩(B2)である請求項1に記載の導電性組成物。
  3. 前記脂肪酸銀塩(B1)が、下記式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物である請求項2に記載の導電性組成物。
    (式(I)中、nは0〜2の整数を表し、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。nが0または1である場合、複数のR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。nが2である場合、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    式(II)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    式(III)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
  4. 前記脂肪酸銀塩(B1)が、前記カルボキシ銀塩基に対するα位および/またはβ位の炭素原子に前記水酸基を有している請求項2または3に記載の導電性組成物。
  5. 前記脂肪酸銀塩(B1)が、前記カルボキシ銀塩基を1個有し、前記水酸基を1個または2個有する請求項2〜4のいずれかに記載の導電性組成物。
  6. 前記ポリカルボン酸銀塩(B2)が、水酸基を有しない請求項2に記載の導電性組成物。
  7. 前記ポリカルボン酸銀塩(B2)が、下記式(IV)で表される化合物である請求項2または6に記載の導電性組成物。
    (式(IV)中、mは、2〜6の整数を表し、R4は、炭素数1〜24のm価の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2〜12のm価の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12のm価の脂環式炭化水素基、または、炭素数6〜12のm価の芳香族炭化水素基を表す。R4の炭素数をpとすると、m≦2p+2である。)
  8. 前記コアシェル型粒子(D)の平均1次粒子径が、50〜500nmである請求項1〜7のいずれかに記載の導電性組成物。
  9. 前記コアシェル型粒子(D)が、中心からコア層、中間層およびシェル層をこの順に有する三層構造を有し、
    前記コア層のガラス転移点が50℃以上であり、前記中間層のガラス転移点が−30℃以下であり、前記シェル層のガラス転移点が50℃以上である請求項1〜8のいずれかに記載の導電性組成物。
  10. 前記脂肪酸銀塩(B1)が、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩および/または2−ヒドロキシイソ酪酸銀塩である請求項2〜5、8および9のいずれかに記載の導電性組成物。
  11. 前記ポリカルボン酸銀塩(B2)が、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸銀塩である請求項2および6〜9のいずれかに記載の導電性組成物。
  12. 前記フェノキシ樹脂(E)が、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂とビスフェノールF型フェノキシ樹脂との共重合体である請求項1〜11のいずれかに記載の導電性組成物。
  13. 前記脂肪酸銀塩(B)の含有量が、前記銀粉(A)100質量部に対して、1〜100質量部である請求項1〜12のいずれかに記載の導電性組成物。
  14. 前記エポキシ樹脂(C)の含有量が、前記銀粉(A)100質量部に対して、1〜100質量部である請求項1〜13のいずれかに記載の導電性組成物。
  15. 前記コアシェル型粒子(D)および前記フェノキシ樹脂(E)の合計の含有量が、前記銀粉(A)100質量部に対して、3〜50質量部である請求項1〜14のいずれかに記載の導電性組成物。
  16. 太陽電池電極用ペーストに用いる請求項1〜15のいずれかに記載の導電性組成物。
  17. 受光面側の表面電極、半導体基板および裏面電極を具備し、
    前記表面電極および/または前記裏面電極が、請求項16に記載の導電性組成物を用いて形成される太陽電池セル。
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