以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る窒化ホウ素ナノチューブ材料は、窒化ホウ素ナノチューブと、上記窒化ホウ素ナノチューブの表面上に配置されているはんだナノ粒子とを含む。はんだナノ粒子は、はんだ粒子であり、はんだを含む。
本発明では、上記の構成が備えられているので、放熱性及び信頼性を高めることができる。窒化ホウ素ナノチューブを用いているだけでなく、用いた窒化ホウ素ナノチューブの表面上にはんだナノ粒子が配置されているので、窒化ホウ素ナノチューブ同士をはんだナノ粒子によって金属接合させることができ、熱伝導ネットワークを強固に形成させることができる。結果として、放熱性をかなり高めることができる。更に、はんだナノ粒子は、金属体などに対しても、金属接合させて、硬化物と金属体との積層体を得ることができる。結果として、温度サイクルなどに晒されても剥離が生じ難い積層体を得ることができる。
また、窒化ホウ素ナノチューブの表面上にはんだナノ粒子が配置されているので、窒化ホウ素ナノチューブ材料の含有量が多くても、窒化ホウ素ナノチューブ材料の含有量が少なくても、電極又は金属板等と上記はんだナノ粒子とが金属接合されることで、被着体と硬化物との密着性の低下及び信頼性の低下を防ぐことができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る窒化ホウ素ナノチューブ材料を模式的に示す断面図である。なお、図1及び後述する図では、図示の便宜上、実際の形状及び大きさとは異なる場合がある。
図1に示す窒化ホウ素ナノチューブ材料1は、窒化ホウ素ナノチューブ11と、窒化ホウ素ナノチューブ11の表面上に配置されている複数のはんだナノ粒子12とを含む。はんだナノ粒子12は、ナノチューブではない。窒化ホウ素ナノチューブ材料1では、はんだナノ粒子12が、窒化ホウ素ナノチューブ11の表面上に付着している。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る窒化ホウ素ナノチューブ材料を模式的に示す断面図である。
図2に示す窒化ホウ素ナノチューブ材料1Aは、窒化ホウ素ナノチューブ11Aと、窒化ホウ素ナノチューブ11Aの表面上に配置されている複数のはんだナノ粒子12Aとを含む。はんだナノ粒子12Aは、ナノチューブではない。窒化ホウ素ナノチューブ材料1Aでは、窒化ホウ素ナノチューブ11Aの表面上に、複数のはんだナノ粒子12Aが重なり合った状態で配置されている。窒化ホウ素ナノチューブ材料1Aでは、一部のはんだナノ粒子12Aが、窒化ホウ素ナノチューブ11Aの表面上に付着している。窒化ホウ素ナノチューブ材料1Aでは、一部のはんだナノ粒子12Aが、窒化ホウ素ナノチューブ11Aの表面上に付着しておらず、他のはんだナノ粒子12Aの表面上に付着している。
本発明に係る熱硬化性材料は、(A)熱硬化性化合物と、(B)熱硬化剤と、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料とを含む。(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料は、窒化ホウ素ナノチューブと、上記窒化ホウ素ナノチューブの表面上に配置されているはんだナノ粒子とを含む。
また、他の局面では、本発明に係る熱硬化性材料は、(A)熱硬化性化合物と、(B)熱硬化剤と、窒化ホウ素ナノチューブと、はんだナノ粒子とを含む。この場合に、はんだナノ粒子は、窒化ホウ素ナノチューブの表面上に配置されていなくてもよい。
本発明に係る熱硬化性材料では、上記の組成が採用されているので、窒化ホウ素ナノチューブによる熱伝導ネットワークが形成でき、また電極又は金属板等とはんだナノ粒子との金属接合により、放熱性及び信頼性をかなり高めることができる。はんだナノ粒子を溶融させることで、金属板等の表面を濡れ拡がらせることができ、その後はんだが固化することで強固な接合が果たされる。更に、(A)熱硬化性化合物と、(B)熱硬化剤と、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料とを併用することで、これらを併用していない場合と比べて、放熱性及び信頼性が効果的に高くなる。
上記のような効果が得られるのは、上記窒化ホウ素ナノチューブの表面上に配置されているはんだナノ粒子により、窒化ホウ素ナノチューブによる熱伝導ネットワークが形成されるため、また、金属板等とはんだナノ粒子とが金属接合されるためであると考えられる。
放熱性を効果的に高める観点からは、上記熱硬化性材料は、(D)ナノチューブではない絶縁性フィラー(単に、(D)絶縁性フィラーと記載することがある)を含むことが好ましい。本発明では、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料と(D)絶縁性フィラーとが存在することで、熱伝導ネットワークをより密に構成することができるため、放熱性をかなり高めることができる。
(D)絶縁性フィラーを用いる場合に、(D)絶縁性フィラー間に(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料を配置することができ、更に、(D)絶縁性フィラーを(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料を介して他の(D)絶縁性フィラーに間接的に接するようにすることができる。結果として、放熱性及び機械的強度を効果的に高めることができる。
以下、本発明の詳細を説明する。
((C)窒化ホウ素ナノチューブ材料)
上記はんだナノ粒子は、上記窒化ホウ素ナノチューブの表面上の一部に配置されていてもよく、表面の全体に配置されていてもよい。また、上記窒化ホウ素ナノチューブの表面上において、上記はんだナノ粒子が1個ずつ配置していてもよく、複数のはんだナノ粒子が凝集した状態で配置されていてもよく、複数のはんだナノ粒子が凝集し、重なり合った状態で配置されていてもよい。本発明では、窒化ホウ素ナノチューブの表面上にはんだナノ粒子が存在しているため、窒化ホウ素ナノチューブ同士の凝集を抑制することができ、放熱性及び絶縁破壊特性を効果的に高めることができる。
(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料において、上記はんだナノ粒子が、上記窒化ホウ素ナノチューブの表面上に付着していることが好ましい。(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料は、上記窒化ホウ素ナノチューブの表面上に付着しているはんだナノ粒子を含むことが好ましい。ここで、付着とは、上記はんだナノ粒子が上記窒化ホウ素ナノチューブに、接触している状態であり、官能基を介して化学結合していてもよく、電荷により静電付着していてもよい。
また、はんだナノ粒子は、表面に水酸基を有する。この水酸基を介して、上記はんだナノ粒子が上記窒化ホウ素ナノチューブに付着していてもよい。
放熱性及び絶縁破壊特性を効果的に高める観点からは、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料において、上記窒化ホウ素ナノチューブの表面の上記はんだナノ粒子による被覆率は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、好ましくは100%以下、より好ましくは95%以下である。
上記被覆率は、窒化ホウ素ナノチューブの表面(図1の方向、但し、図1は断面)を一方向から走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した場合、窒化ホウ素ナノチューブの表面(外周縁内)の投影面積上に存在するはんだナノ粒子の投影面積の割合で示す。被覆率は、電子顕微鏡の画像中の任意の50個の算術平均により求めることが好ましい。
上記はんだナノ粒子の配置方法としては、例えば、窒化ホウ素ナノチューブの表面をはんだナノ粒子の吸着部位となる官能基で修飾してはんだナノ粒子を吸着させる方法、はんだナノ粒子の表面を窒化ホウ素ナノチューブの吸着部位となる官能基で修飾してはんだナノ粒子を吸着させる方法、アルコールや水等で分散した窒化ホウ素ナノチューブとはんだナノ粒子との表面電荷の差を利用した湿式表面処理を用いる方法、並びにはんだナノ粒子スラリーを用いたスプレードライ法を用いる方法等が挙げられる。上記スプレードライ法では、表面処理濃度や表面処理回数で、上記被覆率を制御することができる。
上記はんだナノ粒子は、上記窒化ホウ素ナノチューブの表面上において、はんだナノ粒子が1個ずつ付着して単一の層を構成していてもよく、複数のはんだナノ粒子が重なり合うことで2以上の層を構成していてもよい。
放熱性及び絶縁破壊特性を効果的に高める観点からは、窒化ホウ素ナノチューブ上において、はんだナノ粒子の平均厚み(被覆部の平均厚み)は、好ましくは2nm以上、より好ましくは10nm以上、好ましくは1μm以下、より好ましくは800nm以下である。上記被覆部の厚みは、電子顕微鏡の画像中の窒化ホウ素ナノチューブの断面等の観察等で評価することができる。窒化ホウ素ナノチューブ材料が複数の場合に、例えば、50個の窒化ホウ素ナノチューブ材料における被覆部の厚みを算術平均することにより求めることができる。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤を除く成分100体積%中、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料の含有量は、好ましくは0.01体積%以上、より好ましくは0.1体積%以上、好ましくは50体積%以下、より好ましくは40体積%以下である。(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の放熱性が効果的に高くなる。
窒化ホウ素ナノチューブ:
上記窒化ホウ素ナノチューブは、ナノチューブである。上記窒化ホウ素ナノチューブの材質は、窒化ホウ素である。上記窒化ホウ素ナノチューブの形状は、チューブ状である。理想的な形状としては、6角網目の面がチューブ軸に平行に管を形成し、単管又は多重管になっている形状である。
上記窒化ホウ素ナノチューブの平均直径は好ましくは2nm以上、より好ましくは6nm以上、更に好ましくは10nm以上、特に好ましくは30nm以上、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下、更に好ましくは200nm以下、特に好ましくは100nm以下、最も好ましくは50nm以下である。
平均直径とは、単管の場合には平均外径を示し、多重管の場合には最も外側に位置する管の平均外径を意味する。
上記窒化ホウ素ナノチューブの平均長さは、好ましくは1μm以上、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下、特に好ましくは80μm以下である。
窒化ホウ素ナノチューブの直径や長さは、合成手法、合成時の温度や時間等を変更することで適宜変えることができる。例えばアーク放電法では小直径、化学気相成長法では大直径のナノチューブが得られる。
上記窒化ホウ素ナノチューブのアスペクト比は好ましくは2以上である。上記窒化ホウ素ナノチューブのアスペクト比の上限は特に限定されない。上記窒化ホウ素ナノチューブのアスペクト比は100000以下であってもよい。
上記平均直径、上記平均長さ及び上記アスペクト比は、電子顕微鏡による観察から求めることができる。例えばTEM(透過型電子顕微鏡)による測定を行い、得られた画像から直接、上記窒化ホウ素ナノチューブの直径、長さを測定することが可能である。また熱硬化性材料中の上記窒化ホウ素ナノチューブの形態は、例えば軸と平行に切断した繊維断面のTEM(透過型電子顕微鏡)測定により把握することができる。上記平均直径、上記平均長さ及び上記アスペクト比は、電子顕微鏡の画像中の任意の50個の算術平均により求めることが好ましい。
上記窒化ホウ素ナノチューブは、アーク放電法、レーザー加熱法及び化学気相成長法等を用いて合成できる。また、ホウ化ニッケルを触媒として使用し、ボラジンを原料として合成する方法も知られている。また、カーボンナノチューブを鋳型として利用して、酸化ホウ素と窒素を反応させて合成する方法も知られている。上記窒化ホウ素ナノチューブは、これらの合成方法により得られるものに限定されない。上記窒化ホウ素ナノチューブは、強酸処理又は化学修飾された窒化ホウ素ナノチューブであってもよい。
上記窒化ホウ素ナノチューブを表面処理することにより、上記はんだナノ粒子を上記窒化ホウ素ナノチューブ上に効率よく集積させることができ、上記はんだナノ粒子を付着させることができる。このような効果を得るために、上記窒化ホウ素ナノチューブは、予め各種カップリング剤や界面活性剤等により表面処理されていることが好ましい。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、ビニルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。上記アルミニウムシランカップリング剤としては、アルミネートカップリング剤及びジルコアルミネートカップリング剤等が挙げられる。
上記窒化ホウ素ナノチューブ100重量部に対して、上記カップリング剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。
上記界面活性剤としては、脂肪族アミン、脂肪族カルボン酸及びアルカンチオール等が挙げられる。上記脂肪族アミンとしては、オレイルアミン及びオクチルアミン等が挙げられる。上記脂肪族カルボン酸としては、オレイン酸等が挙げられる。
上記窒化ホウ素ナノチューブ100重量部に対して、上記界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
上記窒化ホウ素ナノチューブを表面処理することで上記はんだナノ粒子が付着された(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料に関しては、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料を十分に洗浄することで、余剰な表面処理剤を除去してから、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料を樹脂成分と混合することが好ましい。
(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料を使用する際に、上記はんだナノ粒子が上記窒化ホウ素ナノチューブの表面から脱落し難いため、窒化ホウ素ナノチューブの表面上にはんだナノ粒子が官能基を介して付着していることが好ましい。
上記官能基として、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、ヒドロキシル基及びスルホ基等が挙げられる。
上記窒化ホウ素ナノチューブに対して上記官能基を導入する方法は特に限定されない。
また、樹脂成分と窒化ホウ素ナノチューブとの濡れ性及び耐湿性の改善、並びに界面における熱抵抗を低減させるために、窒化ホウ素ナノチューブは、表面に共役系ポリマーを有することも好ましい。
上記共役系ポリマーは、二重結合と単結合とが交互に連なっている分子である。上記窒化ホウ素ナノチューブは、窒化ホウ素ナノチューブ本体と、上記窒化ホウ素ナノチューブ本体の表面上に配置された共役高分子とを有することが好ましい。上記共役系ポリマーと上記窒化ホウ素ナノチューブ本体との相互作用は強い。また、後述する(A)熱硬化性化合物がフェノキシ樹脂を含む場合に、上記共役系ポリマーとフェノキシ樹脂との相互作用を強くすることができる。
上記共役系ポリマーとしては、例えば、ポリフェニレンビニレンポリマー、ポリチオフェンポリマー、ポリフェニレンポリマー、ポリピロールポリマー、ポリアニリンポリマー、及びポリアセチレンポリマー等が挙げられる。ポリフェニレンビニレンポリマー、又はポリチオフェンポリマーが好ましい。
窒化ホウ素ナノチューブ本体を上記共役系ポリマーで被覆する方法として、特に限定はされないが、1)窒化ホウ素ナノチューブ本体を、溶融している共役系ポリマーに添加して、無溶媒で混合する方法、並びに、2)窒化ホウ素ナノチューブ本体と共役系ポリマーとを、共役系ポリマーを溶解する溶媒中で分散混合する方法等が挙げられる。上記2)の方法においては、窒化ホウ素ナノチューブ本体を分散させる方法としては、超音波による分散方法、及び各種の攪拌方法等が挙げられる。上記攪拌方法としては、ホモジナイザーによる攪拌方法、アトライターによる攪拌方法、及びボールミルによる攪拌方法等が挙げられる。
はんだナノ粒子:
上記はんだナノ粒子は、はんだを導電性部分の外表面に有する。上記はんだナノ粒子は、中心部分及び導電性の外表面とのいずれもがはんだにより形成されている。上記はんだナノ粒子は、中心部分及び導電性(導電性部分)の外表面のいずれもがはんだであるナノ粒子である。
上記はんだナノ粒子を用いることで、はんだが溶融してはんだナノ粒子同士、はんだナノ粒子と電極又は金属板等とが接合される。その結果、はんだナノ粒子を介して窒化ホウ素ナノチューブ同士が接合されて熱伝導ネットワークが形成され、硬化物の放熱性を効果的に高めることができる。また、はんだナノ粒子を介して窒化ホウ素ナノチューブと電極又は金属板等とが接合されることによって、硬化物と電極又は金属板等との剥離がより一層生じ難くなり、信頼性を効果的に高めることができる。
上記はんだは、融点が450℃以下である金属(低融点金属)であることが好ましい。低融点金属の融点は好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。
また、上記はんだは錫を含むことが好ましい。上記はんだ100重量%中、錫の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP−AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX−800HS」)等を用いて測定可能である。
上記はんだを構成する低融点金属は特に限定されない。該低融点金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−亜鉛合金、錫−インジウム合金等が挙げられる。金属体に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫−銀合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることが好ましい。錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることがより好ましい。
上記はんだ(はんだ部)を構成する材料は、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線が450℃以下である溶加材であることが好ましい。上記はんだの組成としては、例えば亜鉛、金、銀、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウム等を含む金属組成が挙げられる。低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、上記はんだは、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むはんだ、又は錫とビスマスとを含むはんだであることが好ましい。
上記はんだによる接合強度をより一層高めるために、上記はんだは、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。また、はんだと金属体との接合強度を更に一層高める観点からは、上記はんだは、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。はんだによる接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、上記はんだ100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
上記窒化ホウ素ナノチューブに官能基を介してはんだナノ粒子を付着させるために、はんだナノ粒子が、予め各種カップリング剤や界面活性剤等により表面処理されていることが好ましい。上記カップリング剤及び上記界面活性剤としては、上記窒化ホウ素ナノチューブの欄で挙げられた化合物が挙げられる。
上記はんだナノ粒子100重量部に対して、上記カップリング剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。
上記はんだナノ粒子100重量部に対して、上記界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
また、上記はんだナノ粒子の形状は特に限定されない。上記はんだナノ粒子の形状は、球状であってもよく、扁平状等の球形以外の形状であってもよい。
上記はんだナノ粒子はナノサイズである。上記はんだナノ粒子の平均粒子径は、1μm未満である。放熱性及び絶縁破壊特性を効果的に高める観点からは、上記はんだナノ粒子の平均粒子径は、好ましくは2nm以上、より好ましくは10nm以上、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下である。
放熱性及び絶縁破壊特性を効果的に高める観点からは、上記窒化ホウ素ナノチューブの平均直径の、上記はんだナノ粒子の平均粒子径に対する比(窒化ホウ素ナノチューブの平均直径/はんだナノ粒子の平均粒子径)は、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、好ましくは200以下、より好ましくは150以下である。上記比(窒化ホウ素ナノチューブの平均直径/はんだナノ粒子の平均粒子径)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、窒化ホウ素ナノチューブ材料の分散性が効果的に高くなり、硬化物の放熱性及び絶縁破壊特性が効果的に高くなる。
上記はんだナノ粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積平均での粒度分布測定結果から求められる。
((A)熱硬化性化合物)
(A)熱硬化性化合物は、加熱により硬化可能な化合物である。(A)熱硬化性化合物としては、スチレン化合物、フェノキシ化合物、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。(A)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(A)熱硬化性化合物として、(A1)10000未満の分子量を有する熱硬化性化合物(単に、(A1)熱硬化性化合物と記載することがある)を用いてもよく、(A2)10000以上の分子量を有する熱硬化性化合物(単に、(A2)熱硬化性化合物と記載することがある)を用いてもよく、(A1)熱硬化性化合物と、(A2)熱硬化性化合物との双方を用いてもよい。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料、及び(D)絶縁性フィラーを除く成分100重量%中、(A)熱硬化性化合物の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは70重量%以下、特に好ましくは60重量%以下、最も好ましくは50重量%以下である。(A)熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上であると、硬化物の接着性及び耐熱性がより一層高くなる。(A)熱硬化性化合物の含有量が上記上限以下であると、熱硬化性材料の作製時の塗工性が高くなる。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料、及び(D)絶縁性フィラーを除く成分は、(D)絶縁性フィラーを含み、かつ熱硬化性材料が溶剤を含まない場合には、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料、及び(D)絶縁性フィラーを除く成分であり、熱硬化性材料が(D)絶縁性フィラーを含み、かつ溶剤を含む場合には、溶剤、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料及び(D)絶縁性フィラーを除く成分である。熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料、及び(D)絶縁性フィラーを除く成分は、(D)絶縁性フィラーを含まず、かつ熱硬化性材料が溶剤を含まない場合には、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料を除く成分であり、熱硬化性材料が(D)絶縁性フィラーを含まず、かつ溶剤を含む場合には、溶剤、及び(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料を除く成分である。
(A1)10000未満の分子量を有する熱硬化性化合物:
(A1)熱硬化性化合物としては、環状エーテル基を有する熱硬化性化合物が挙げられる。上記環状エーテル基としては、エポキシ基及びオキセタニル基等が挙げられる。上記環状エーテル基を有する熱硬化性化合物は、エポキシ基又はオキセタニル基を有する熱硬化性化合物であることが好ましい。(A1)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(A1)熱硬化性化合物は、(A1a)エポキシ基を有する熱硬化性化合物(単に、(A1a)熱硬化性化合物と記載することがある)を含んでいてもよく、(A1b)オキセタニル基を有する熱硬化性化合物(単に、(A1b)熱硬化性化合物と記載することがある)を含んでいてもよい。
硬化物の耐熱性及び耐湿性をより一層高める観点からは、(A1)熱硬化性化合物は芳香族骨格を有することが好ましい。
上記芳香族骨格としては特に限定されず、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びビスフェノールA型骨格等が挙げられる。硬化物の耐冷熱サイクル特性及び耐熱性をより一層高める観点からは、ビフェニル骨格又はフルオレン骨格が好ましい。
(A1a)熱硬化性化合物としては、ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマー、ナフタレン骨格を有するエポキシモノマー、アダマンタン骨格を有するエポキシモノマー、フルオレン骨格を有するエポキシモノマー、ビフェニル骨格を有するエポキシモノマー、バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマー、キサンテン骨格を有するエポキシモノマー、アントラセン骨格を有するエポキシモノマー、及びピレン骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。これらの水素添加物又は変性物を用いてもよい。(A1a)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマーとしては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型又はビスフェノールS型のビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマーとしては、ジシクロペンタジエンジオキシド、及びジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ナフタレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、及び1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。
上記アダマンタン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン、及び2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン等が挙げられる。
上記フルオレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、及び9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等が挙げられる。
上記ビフェニル骨格を有するエポキシモノマーとしては、4,4’−ジグリシジルビフェニル、及び4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等が挙げられる。
上記バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,1’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、及び1,2’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン等が挙げられる。
上記キサンテン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3,4,5,6,8−ヘキサメチル−2,7−ビス−オキシラニルメトキシ−9−フェニル−9H−キサンテン等が挙げられる。
(A1b)熱硬化性化合物の具体例としては、例えば、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、及びオキセタン変性フェノールノボラック等が挙げられる。(A1b)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化物の耐熱性をより一層良好にする観点からは、(A1)熱硬化性化合物は、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物を含むことが好ましい。
硬化物の耐熱性をより一層良好にする観点からは、(A1)熱硬化性化合物100重量%中、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、100重量%以下である。(A1)熱硬化性化合物100重量%中、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物の含有量は10重量%以上、100重量%以下であってもよい。また、(A1)熱硬化性化合物の全体が、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物であってもよい。
(A1)熱硬化性化合物の分子量は、10000未満である。(A1)熱硬化性化合物の分子量は、好ましくは200以上、好ましくは1200以下、より好ましくは600以下、更に好ましくは550以下である。(A1)熱硬化性化合物の分子量が上記下限以上であると、硬化物の表面の粘着性が低くなり、硬化性組成物の取扱性がより一層高くなる。(A1)熱硬化性化合物の分子量が上記上限以下であると、硬化物の接着性がより一層高くなる。更に、硬化物が固くかつ脆くなり難く、硬化物の接着性がより一層高くなる。
なお、本明細書において、(A1)熱硬化性化合物における分子量とは、(A1)熱硬化性化合物が重合体ではない場合、及び(A1)熱硬化性化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味し、(A1)熱硬化性化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料、及び(D)絶縁性フィラーを除く成分100重量%中、(A1)熱硬化性化合物の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは70重量%以下、特に好ましくは60重量%以下、最も好ましくは50重量%以下である。(A1)熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上であると、硬化物の接着性及び耐熱性がより一層高くなる。(A1)熱硬化性化合物の含有量が上記上限以下であると、熱硬化性材料の作製時の塗工性が高くなる。
(A2)10000以上の分子量を有する熱硬化性化合物:
(A2)熱硬化性化合物は、分子量が10000以上である熱硬化性化合物である。(A2)熱硬化性化合物の分子量は10000以上であるので、(A2)熱硬化性化合物は一般にポリマーであり、上記分子量は、一般に重量平均分子量を意味する。
硬化物の耐熱性及び耐湿性をより一層高める観点からは、(A2)熱硬化性化合物は、芳香族骨格を有することが好ましい。(A2)熱硬化性化合物がポリマーであり、(A2)熱硬化性化合物が芳香族骨格を有する場合には、(A2)熱硬化性化合物は、芳香族骨格をポリマー全体のいずれかの部分に有していればよく、主鎖骨格内に有していてもよく、側鎖中に有していてもよい。硬化物の耐熱性をより一層高くし、かつ硬化物の耐湿性をより一層高くする観点からは、(A2)熱硬化性化合物は、芳香族骨格を主鎖骨格内に有することが好ましい。(A2)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族骨格としては特に限定されず、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びビスフェノールA型骨格等が挙げられる。ビフェニル骨格又はフルオレン骨格が好ましい。この場合には、硬化物の耐冷熱サイクル特性及び耐熱性がより一層高くなる。
(A2)熱硬化性化合物としては特に限定されず、スチレン樹脂、フェノキシ樹脂、オキセタン樹脂、エポキシ樹脂、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
硬化物の酸化劣化を抑え、硬化物の耐冷熱サイクル特性及び耐熱性をより一層高め、更に硬化物の吸水率をより一層低くする観点からは、(A2)熱硬化性化合物は、スチレン樹脂、フェノキシ樹脂又はエポキシ樹脂であることが好ましく、フェノキシ樹脂又はエポキシ樹脂であることがより好ましく、フェノキシ樹脂であることが更に好ましい。特に、フェノキシ樹脂又はエポキシ樹脂の使用により、硬化物の耐熱性がより一層高くなる。また、フェノキシ樹脂の使用により、硬化物の弾性率がより一層低くなり、かつ硬化物の耐冷熱サイクル特性がより一層高くなる。なお、(A2)熱硬化性化合物は、エポキシ基等の環状エーテル基を有していなくてもよい。
上記スチレン樹脂として、具体的には、スチレン系モノマーの単独重合体、及びスチレン系モノマーとアクリル系モノマーとの共重合体等が使用可能である。スチレン−メタクリル酸グリシジルの構造を有するスチレン重合体が好ましい。
上記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン及び3,4−ジクロロスチレン等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂は、具体的には、例えばエピハロヒドリンと2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、又は2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂である。
上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格又はジシクロペンタジエン骨格を有することが好ましい。上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格又はビフェニル骨格を有することがより好ましく、フルオレン骨格及びビフェニル骨格の内の少なくとも1種の骨格を有することが更に好ましい。これらの好ましい骨格を有するフェノキシ樹脂の使用により、硬化物の耐熱性が更に一層高くなる。
上記エポキシ樹脂は、上記フェノキシ樹脂以外のエポキシ樹脂である。上記エポキシ樹脂としては、スチレン骨格含有エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
(A2)熱硬化性化合物の分子量は10000以上である。(A2)熱硬化性化合物の分子量は、好ましくは30000以上、より好ましくは40000以上、好ましくは1000000以下、より好ましくは250000以下である。(A2)熱硬化性化合物の分子量が上記下限以上であると、硬化物が熱劣化し難い。(A2)熱硬化性化合物の分子量が上記上限以下であると、(A2)熱硬化性化合物と他の成分との相溶性が高くなる。この結果、硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料、及び(D)絶縁性フィラーを除く成分100重量%中、(A2)熱硬化性化合物の含有量は好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。(A2)熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上であると、熱硬化性材料の取扱性が良好になる。(A2)熱硬化性化合物の含有量が上記上限以下であると、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料の分散が容易になる。
((B)熱硬化剤)
(B)熱硬化剤は特に限定されない。(B)熱硬化剤として、(A)熱硬化性化合物を硬化させることができる適宜の熱硬化剤を用いることができる。また、本明細書において、(B)熱硬化剤には、硬化触媒が含まれる。(B)熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化物の耐熱性をより一層高める観点からは、(B)熱硬化剤は、芳香族骨格又は脂環式骨格を有することが好ましい。(B)熱硬化剤は、アミン硬化剤(アミン化合物)、イミダゾール硬化剤、フェノール硬化剤(フェノール化合物)又は酸無水物硬化剤(酸無水物)を含むことが好ましく、アミン硬化剤を含むことがより好ましい。上記酸無水物硬化剤は、芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物を含むか、又は、脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物を含むことが好ましい。
上記アミン硬化剤としては、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、ジアミノジフェニルメタン及びジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。硬化物の接着性をより一層高める観点からは、上記アミン硬化剤は、ジシアンジアミド又はイミダゾール化合物であることがより一層好ましい。硬化性組成物の貯蔵安定性をより一層高める観点からは、(B)熱硬化剤は、融点が180℃以上である硬化剤を含むことが好ましく、融点が180℃以上であるアミン硬化剤を含むことがより好ましい。
上記イミダゾール硬化剤としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記フェノール硬化剤としては、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、キシリレン変性ノボラック、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、及びポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。硬化物の柔軟性及び硬化物の難燃性をより一層高める観点からは、メラミン骨格を有するフェノール樹脂、トリアジン骨格を有するフェノール樹脂、又はアリル基を有するフェノール樹脂が好ましい。
上記フェノール硬化剤の市販品としては、MEH−8005、MEH−8010及びMEH−8015(以上いずれも明和化成社製)、YLH903(三菱化学社製)、LA−7052、LA−7054、LA−7751、LA−1356及びLA−3018−50P(以上いずれもDIC社製)、並びにPS6313及びPS6492(以上いずれも群栄化学社製)等が挙げられる。
上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、例えば、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、フェニルエチニルフタル酸無水物、グリセロールビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及びトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、SMAレジンEF30、SMAレジンEF40、SMAレジンEF60及びSMAレジンEF80(以上いずれもサートマー・ジャパン社製)、ODPA−M及びPEPA(以上いずれもマナック社製)、リカシッドMTA−10、リカシッドMTA−15、リカシッドTMTA、リカシッドTMEG−100、リカシッドTMEG−200、リカシッドTMEG−300、リカシッドTMEG−500、リカシッドTMEG−S、リカシッドTH、リカシッドHT−1A、リカシッドHH、リカシッドMH−700、リカシッドMT−500、リカシッドDSDA及びリカシッドTDA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにEPICLON B4400、EPICLON B650、及びEPICLON B570(以上いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物は、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られる脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物であることが好ましい。これらの硬化剤の使用により、硬化物の柔軟性、並びに硬化物の耐湿性及び接着性がより一層高くなる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、メチルナジック酸無水物、ジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物又は該酸無水物の変性物等も挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、リカシッドHNA及びリカシッドHNA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにエピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H及びエピキュアYH309(以上いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。
(B)熱硬化剤は、メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸であることも好ましい。メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸の使用により、硬化物の耐水性が高くなる。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素ナノチューブ材料、及び(D)絶縁性フィラーを除く成分100重量%中、(B)熱硬化剤の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。(B)熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、熱硬化性材料を充分に硬化させることが容易である。(B)熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化に関与しない余剰な(B)熱硬化剤が発生し難くなる。このため、硬化物の耐熱性及び接着性がより一層高くなる。
((D)ナノチューブではない絶縁性フィラー)
(D)絶縁性フィラーは絶縁性を有する。(D)絶縁性フィラーは、有機フィラーであってもよく、無機フィラーであってもよい。放熱性を効果的に高める観点からは、(D)絶縁性フィラーは、無機フィラーであることが好ましい。放熱性を効果的に高める観点から、(D)絶縁性フィラーは、10W/m・K以上の熱伝導率を有することが好ましい。(D)絶縁性フィラーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なお、絶縁性とは、フィラーの体積抵抗率が106Ω・cm以上であることを意味する。
硬化物の放熱性をより一層高める観点からは、(D)絶縁性フィラーの熱伝導率は好ましくは10W/m・K以上、より好ましくは15W/m・K以上、更に好ましくは20W/m・K以上である。(D)絶縁性フィラーの熱伝導率の上限は特に限定されない。熱伝導率が300W/m・K程度である無機フィラーは広く知られており、また熱伝導率が200W/m・K程度である無機フィラーは容易に入手できる。
(D)絶縁性フィラーの材質は、アルミナ、合成マグネサイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛又は酸化マグネシウムであることが好ましく、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛又は酸化マグネシウムであることがより好ましい。これらの好ましい絶縁性フィラーの使用により、硬化物の放熱性がより一層高くなる。
(D)絶縁性フィラーのアスペクト比は5未満であってもよく、4以下であってもよく、3以下であってもよく、2以下であってもよい。(D)絶縁性フィラーは、球状粒子、又は、独立した絶縁性フィラーが凝集した球状粒子であることが好ましい。(D)絶縁性フィラーが球状粒子、又は、凝集した球状粒子であることで、放熱性を効果的に高めることができる。球状粒子のアスペクト比は、2以下である。
(D)絶縁性フィラーの材質の新モース硬度は、好ましくは12以下、より好ましくは9以下である。(D)絶縁性フィラーの材質の新モース硬度が9以下であると、硬化物の加工性がより一層高くなる。
硬化物の加工性をより一層高める観点からは、(D)絶縁性フィラーの材質は、合成マグネサイト、結晶シリカ、酸化亜鉛、又は酸化マグネシウムであることが好ましい。これらの無機フィラーの材質の新モース硬度は9以下である。
放熱性を効果的に高める観点からは、(D)絶縁性フィラーの平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、好ましくは100μm以下である。平均粒子径が上記下限以上であると、(D)絶縁性フィラーを高密度で容易に充填できる。平均粒子径が上記上限以下であると、硬化物の耐電圧性がより一層高くなる。
上記「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤を除く成分100体積%中、(D)絶縁性フィラーの含有量は、好ましくは25体積%以上、より好ましくは30体積%以上、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下である。(D)絶縁性フィラーの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の放熱性が効果的に高くなる。
(他の成分)
上記熱硬化性材料は、上述した成分の他に、分散剤、キレート剤、酸化防止剤等の熱硬化性材料及び熱硬化性シートに一般に用いられる他の成分を含んでいてもよい。
(熱硬化性材料、硬化物、硬化物の製造方法及び積層体の他の詳細)
上記熱硬化性材料は、熱硬化性ペーストであってもよく、熱硬化性シートであってもよい。上記熱硬化性材料は、配合成分の種類及び配合量が異なる2以上の領域を有していてもよい。
本発明に係る熱硬化性材料を硬化させることで、硬化物を得ることができる。上記硬化物は、上記熱硬化性材料の硬化物である。本発明に係る硬化物は、熱硬化部と、窒化ホウ素ナノチューブと、はんだとを含む。上記熱硬化部は、熱硬化性成分が硬化した部分である。
上記硬化物では、複数の上記窒化ホウ素ナノチューブが、上記はんだナノ粒子に由来するはんだにより接合されていることが好ましい。上記硬化物は、上記熱硬化性材料を上記はんだナノ粒子の融点以上に加熱し、硬化物を得る工程を経て得られていることが好ましい。上記はんだナノ粒子が溶融した後に固化することで、複数の上記窒化ホウ素ナノチューブが、上記はんだナノ粒子に由来するはんだにより接合されている硬化物を得ることが好ましい。
図3は、本発明の一実施形態に係る熱硬化性材料を模式的に示す断面図である。なお、図3では、図示の便宜上、実際の大きさ及び厚みとは異なっている。
図3に示す熱硬化性材料21は、熱硬化性成分部31と、窒化ホウ素ナノチューブ材料1と、絶縁性フィラー32を含む。熱硬化性成分部31は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含む。この熱硬化性成分は、加熱により硬化させることができる。なお、図3では、熱硬化性材料21は、2つの金属体41,42の間に配置されている。熱硬化性材料21は、金属体41,42の表面上に配置されている。
上記熱硬化性材料及び上記硬化物は、放熱性及び絶縁破壊特性等が高いことが求められる様々な用途に用いることができる。上記硬化物は、例えば、電気又は電子機器において、発熱部品と放熱部品との間に配置されて用いられる。
また、本発明に係る積層体は、上記金属体と、上記熱硬化性材料の硬化物とを備える。本発明に係る積層体は、金属体と熱硬化性材料とを積層させた後、熱硬化性材料を硬化させることにより得ることができる。
上記金属体の材質は銅であることが好ましい。但し、他の材質であってもよく、上記金属体の材質は限定されない。上記金属体の材質は銅やアルミニウムであることが好ましい。但し、他の材質であってもよく、上記金属体の材質は限定されない。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。本発明は以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
(窒化ホウ素ナノチューブ材料の作製)
窒化ホウ素ナノチューブへの官能基の導入:
平均直径が50nm、平均長さが100μmである窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)を用意した。この窒化ホウ素ナノチューブをステンレス容器に入れて、窒素を充填した後、300Wの出力でプラズマ処理を5分間行い、表面にアミノ基が導入されたBNNTを得た。得られたBNNTを水中に超音波分散させ、3−メルカプトプロピオン酸の1重量%水溶液を添加した。50℃で1時間反応させた後、水洗、乾燥させ、表面にチオール基が導入された窒化ホウ素ナノチューブを得た。
窒化ホウ素ナノチューブ材料の作製:
上記表面にチオール基が導入されたBNNT100mgを、メタノール中に超音波分散させ、次にはんだナノ粒子(錫−ビスマス合金、平均粒子径:10nm)10mgを添加し、50℃で1時間超音波分散させた。その後、デカンテーションにより、過剰なはんだナノ粒子を除去した後、乾燥させ、窒化ホウ素ナノチューブの表面がはんだナノ粒子により被覆された窒化ホウ素ナノチューブ材料を得た。
(熱硬化性材料の調製)
ポリマーとしてビスフェノールA型フェノキシ樹脂50重量部と、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂30重量部と、硬化剤として脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製「リカシッドMH−700」)及びジシアンジアミドとを合計で15重量部と、添加剤としてエポキシシランカップリング剤5重量部とを配合してマトリックス樹脂を作製した。マトリックス樹脂に窒化ホウ素ナノチューブ材料を、マトリックス樹脂と窒化ホウ素ナノチューブ材料との配合比(単位は体積%)が70:30となるように添加し、ホモディスパー型攪拌機で混練して、ペースト(熱硬化性材料)を得た。
(熱硬化性シートの作製)
厚み50μmの離型PETシートに、上記熱硬化性材料を厚み300μmになるように塗工し、90℃のオーブン内で30分乾燥して、PETシート上に熱硬化性シート(シート状の熱硬化性材料)を作製した。
(実施例2)
窒化ホウ素ナノチューブ材料の作製の際、はんだナノ粒子を3mg添加し、はんだナノ粒子被覆窒化ホウ素ナノチューブを得たこと以外は、実施例1と同様にして、熱硬化性材料を得た。得られた熱硬化性材料を用いて、実施例1と同様にして、熱硬化性シート(シート状の熱硬化性材料)を得た。
(実施例3)
熱硬化性材料の調製の際、窒化ホウ素ナノチューブ材料の代わりに、フィラー1として表面に官能基が導入されていないBNNT、フィラー2としてはんだナノ粒子(錫−ビスマス合金、平均粒子径:10nm)を用いて、マトリックス樹脂、フィラー1及びフィラー2の配合比(単位は体積%)が70:15:15となるように添加し、ペースト(熱硬化性材料)を得たこと以外は、実施例1と同様にして、熱硬化性材料を得た。得られた熱硬化性材料を用いて、実施例1と同様にして、熱硬化性シート(シート状の熱硬化性材料)を得た。
(実施例4)
熱硬化性材料の調製の際、窒化ホウ素ナノチューブ材料の代わりに、フィラー1として表面に官能基が導入されていないBNNT、フィラー2としてはんだナノ粒子(錫−ビスマス合金、平均粒子径:10nm)、絶縁性フィラー(フィラー3)として球状窒化ホウ素フィラー(熱伝導率:60W/m・K、平均粒子径:60μm)を用いて、マトリックス樹脂、フィラー1、フィラー2及びフィラー3の配合比(単位は体積%)が40:15:15:30となるように添加し、ペースト(熱硬化性材料)を得たこと以外は、実施例1と同様にして、熱硬化性材料を得た。得られた熱硬化性材料を用いて、実施例1と同様にして、熱硬化性シート(シート状の熱硬化性材料)を得た。
(実施例5)
熱硬化性材料の調製の際、窒化ホウ素ナノチューブ材料に加えて、絶縁性フィラー(フィラー3)として球状窒化ホウ素フィラー(熱伝導率:60W/m・K、平均粒子径:60μm)を用いて、マトリックス樹脂、窒化ホウ素ナノチューブ材料及びフィラー3の配合比(単位は体積%)が40:30:30となるように添加し、ペースト(熱硬化性材料)を得たこと以外は、実施例1と同様にして、熱硬化性材料を得た。得られた熱硬化性材料を用いて、実施例1と同様にして、熱硬化性シート(シート状の熱硬化性材料)を得た。
(実施例6)
熱硬化性シートの作製の際、厚みを20μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、第1の領域形成用の熱硬化性シート(シート状の熱硬化性材料)を作製した。
更に、熱硬化性材料の調製の際、窒化ホウ素ナノチューブ材料の代わりに、フィラー1として表面に官能基が導入されていないBNNT、絶縁性フィラー(フィラー3)として球状窒化ホウ素フィラー(熱伝導率:60W/m・K、平均粒子径:60μm)を用いて、マトリックス樹脂、フィラー1及びフィラー3の配合比(単位は体積%)が40:30:30となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして、第2の領域形成用の熱硬化性材料を得た。
上記第1の領域形成用の熱硬化性シートの表面上に、第2の領域形成用の熱硬化性材料を厚み280μmとなるように塗工し、90℃のオーブン内で30分乾燥して、PETシート上に第1の領域及び第2の領域が形成された熱硬化性シート(シート状の熱硬化性材料)を作製した。
(比較例1)
熱硬化性材料の調製の際、窒化ホウ素ナノチューブ材料の代わりに、フィラー1として表面に官能基が導入されていないBNNTを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、熱硬化性材料を得た。得られた熱硬化性材料を用いて、実施例1と同様にして、熱硬化性シート(シート状の熱硬化性材料)を得た。
(比較例2)
熱硬化性材料の調製の際、窒化ホウ素ナノチューブ材料の代わりに、フィラー2としてはんだナノ粒子(錫−ビスマス合金、平均粒子径:10nm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、熱硬化性材料を得た。得られた熱硬化性材料を用いて、実施例1と同様にして、熱硬化性シート(シート状の熱硬化性材料)を得た。
(評価)
(1)温度サイクル信頼性
熱硬化性シートを厚み1.5mmのアルミニウム板と厚み35μmの電解銅箔との間に挟み、真空プレス機にて、4MPaの圧力を保持しながら120℃で1時間、その後更に200℃で1時間プレスをすることで、熱硬化性シートを硬化させ、銅張積層板を得た。得られた銅張積層板を用いて、−40℃〜125℃を1サイクルとする温度サイクル試験を実施した。温度サイクル試験のヒートプロファイルは、−40で10分間保持し、−40℃から125℃まで2分間で昇温させ、125℃で10分間保持し、125℃から−40℃まで2分間で降温させるヒートプロファイルであった。
10000サイクルの温度サイクル試験を実施し、硬化物シートがアルミニウム板及び銅箔から剥離しているか否かを観察した。温度サイクル信頼性を以下の基準で判定した。
[温度サイクル信頼性の判定基準]
○○:面積の10%未満で剥離が発生又は剥離無し
○:面積の10%以上、20%未満で剥離が発生
△:面積の20%以上、40%未満で剥離が発生
×:面積の40%以上で剥離が発生
(2)熱伝導率の測定
熱硬化性シートを120℃のオーブン内で1時間、その後200℃のオーブン内で1時間加温処理し、熱硬化性シートを硬化させた。得られた硬化物シートの熱伝導率を、京都電子工業社製熱伝導率計「迅速熱伝導率計QTM−500」を用いて測定した。また、比較例1の硬化物シートの熱伝導率を同様にして測定した。比較例1の熱伝導率を1.0として、その他の実施例及び比較例の硬化物シートの熱伝導率を比較した。各実施例及び比較例(比較例1を除く)における熱伝導率の比較例1における熱伝導率に対する比(熱伝導率比)を求めた。
結果を下記の表1に示す。